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ガラスの動物園

ガラスの動物園

新国立劇場

新国立劇場 中劇場(東京都)

2022/09/28 (水) ~ 2022/10/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

演劇は、演じる側も見る側も上演される国(場所)を逃れられないものだと思う。
フランスの代表的な劇団がアメリカの戯曲(それも80年も前の)を母国上演のまま日本でも演じるという。劇団招聘公演と言う興行だけでは絶対に引き合わない形で、したがって国立の劇場の税金公演である。
その疑問はあとで書くが、まず、芝居そのものについて。
「ガラスの動物園」は室内劇で、半円形の新国立のオープンな舞台では俳優たちもやりにくそうで、最初しばらくは、何か身振りも不自然に大きくて、違和感があったが、そこは次第に収まって、後半のローラ(ジュスティーヌ・パジュレ)とジム(シリル・ゲイユ)の場面などはなかなかいい。ジムが黒人俳優と言うのはアメリカなら今のご時世ならやりそうなことだが、この舞台ではまったく自然で、フランスらしい(最近のヨーロッパ映画でもよく見る)。追憶の劇ともいわれている過去にとらわれている人たちの物語でもあるわけだが、このジムは未来も既に過去に取り込まれているような風情であった。
映画で見る女優のイザベル・ユベール(アマンダ)は舞台でも実績のある人ということだが、その真価を見るには、やはり千人以下のプロセニアム舞台で見たかった。冒頭のトム(アントワーヌ・レナール)の語り手として観客に語り掛ける場面も、手品で、これだけの観客を掴もうというのは無理だ。
舞台は、刷毛で茶色の汚しを賭けたようなモルタル壁で囲まれた一室。半具象の難しいセットだ、バルコニーの場は舞台の前面で演じられる。4人だけの芝居で幕間なし、黒スクリーンを下ろしながらの場面転換で二時間。音楽も音響効果も控えめだが、あまり「アメリカ」を意識してはいない。日本で上演される「ガラスの動物園」は日本人好みの小市民家族人情劇でまとめて人気があるが、このフランスの劇団の公園とはタッチが違う。演出者(イヴォ・ヴァン・ホーヴェ)はアメリカに特有な小さな人間関係の中でも独立を求めるところに注目したと言っているが、そのこと一つでも、日本とフランスでは解釈が違い、日本ではおセンチ、フランスでは孤独を厭わない、ということになるのだろう。そういう他国の有名戯曲に対する違いは実際に公演を見て見ないと分らない。そいう機会は留学でもしないとなかなか得られないが、この公演は、そういう違いが分かって面白かった。
翻訳字幕は舞台中央の一文字の上の黒幕に出す。日英で出るのだが、丁寧なのはいいが、演者と距離があるので目が忙しい。同時イヤホーン音声も選択できるようにした方がよかったと思う、どうせ、舞台も第一原語でやっているわけではないのだから。
 舞台は、なるほど、という出来ではあったが、なぜ、フランスの国立劇団を招聘しておきながら、フランスの芝居をやらなかったのかは疑問が残る。フランスはアメリカよりも古い演劇の伝統もあり、古典も不条理劇も、さらに現代劇も皆フランスに名作がある。一度、「ゴドー」をフランスで見てみたいと思っている観客は多いと思う。欧米では歌舞伎のような継承はないから、時代によって演劇作品はどんどん変わる。今のパリの劇場はどんな風にやっていて、それをどう観客が見ているかは演劇ファンは関心がある。この「ガラスの動物園」はコロナでろくろくパリでもやっていないという。なんだか長年の政府間取り決めを誓文払いしたような印象である。
有名女優と、有名戯曲を出しておけば客は集まるだろう、それで言いわけは立つ、という下心が見え見えで、国立劇場の所業としては寂しい。事実、客は一階は埋まっていた。しかし、戦後最初にバローが来た時も、つい十数年前にムヌーシキンが太陽劇団を引き連れてやってきたときも、演目はいかにもフランスらしい一筋縄ではいかないもので、それを機会に学んだことも多い。だが、今は、海外の劇団の上演をというのなら、大きなカンパニーは無理でも、ちょっと気をつけていれば東京ではいくらでも見られる。(ミュージカルならほとんど日本ツアーをやる)今の時代の招聘公演の在り方は少し真面目に考えてほしい。
最期によかったのは高いパンフレットは売らないで、欧米の劇場のようにタダで観劇要覧のような小冊子を配ったことでここは国立劇場らしいおおらかさだった。


「五月、忘れ去られた庭の片隅に花が咲く」

「五月、忘れ去られた庭の片隅に花が咲く」

北海道演劇財団

浅草九劇(東京都)

2022/09/22 (木) ~ 2022/09/26 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

登場人物のやるせなさと恨み、悲しみが舞台を覆いつくすような、激しい感情を喚起する芝居だった。ここまで激しく濃密なドラマは久々に見た(思い出すところでは「ザ・ウェルキン」のラストに近い、か)。

主人公で次兄(斎藤歩)と、弟の妻だが主人公と密通した彼女(智順)の、まさに愛憎入り混じった口喧嘩、いがみ合いは騒々しい。30年前のばめんと現在が行き来するが、現在では彼女の息子(犬飼淳治)がホモのパートナー(津村知与支)とくらしており、帰ってきた次兄を忌み嫌う。津村のおねえ言葉や、舞台をかき回す無邪気なトリックスターぶりが最高に面白い。単に言葉だけでなく、くんずほぐれつ、投げ飛ばしたり、ごろごろ転がったりの、体を張った演技も見ごたえあった。

死んだ弟がホモだったことも示唆されている。鄭義信が同性愛を扱ったのは珍しい。「泣くロミオと怒るジュリエット」では、ロミオの親友が同性愛者だったが。今回は「(男同士の情事を)想像したでしょ、想像したでしょ」などと、きわどいセリフもある。ホモをユーモアにくるんで大いに笑いをとっていた。

ネタバレBOX

弟の死んだ炭鉱事故が、81年のあの大事故かと思っていたら、クライマックスでもっと大きい事故が起きる。これが81年の自己をモデルにしたものだ。長兄が坑道に取り残され、主人公は「注水同意書」の署名を迫られる。「弟に続いて、兄までも俺は見殺しにすることになる」「周りがなんと見るか?」「これに署名したら、俺はここにはいられない」と。彼女はそれでも署名をすすめるのだが、この場面、彼女の目には本当に涙が光っていた。目薬も差していないのに、本当に感情が高ぶる舞台ではこういうことがある。(この前もそういうシーンを見た)。主人公は署名する代わりに、家を出て行った。隠し子の高校生?の必死に止めるのも振り切って。
燐光のイルカたち

燐光のイルカたち

劇団青年座

ザ・ポケット(東京都)

2022/09/23 (金) ~ 2022/10/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

壁と軍隊によって閉じ込められた人々の、鬱屈が丹念に描かれていく。それは夫婦げんかやシナリオ作家の夢など、どこにでもあるような暮らしなのだが、鬱屈を抑えきれなくなったとき、思いもかけない事態が起こる。その事後を生きる男の目から、過去が振り返られていく。関西弁のノリと明るさと、壁が醸す不穏な空気、今はなぜ弟も父母もいないのかという謎がないまざって、目の離せない緊張感のある舞台だった。ラストの展開の落差は、一つのカタルシスを生んだ。

真守(まもる、松田周)と妻の一恵(三枝玲奈)と、北から越境してきた凛(古谷陸)の現在に、真守の過去がフラッシュバックしていく。過去から現在への転換には、機銃掃射とハードロックの大音響に、3人の北軍兵士が店を襲うシーンが挿入される。過去はまだ真守の父母と弟との4人暮らし。弟のひかる(君澤透)は映画が好きでシナリオ作家志望。父健人(松川真也)は大工なのに、穴掘りのような仕事しかさせてもらえず、いつも不機嫌。母京子(野々村のん)は畑でキャベツを育ている。店の窓からは、立ちふさがるように灰色の壁が建っているのが見える。
家族を時折訪れる、父の友人の丈二(横堀悦夫)。「追悼デモ」の記録映像をとっているが、南のテロリストとも関係があることがわかってくる。

あの壁は何を象徴しているのか。ベルリンの壁か、南北朝鮮か。向こう側の北軍の兵士が南側をも監視しているところを見ると、イスラエルとパレスチナの関係が一番近いようだ。そう思っていると、あの事件を思させる展開になる。

ネタバレBOX

ひかるはシナリオコンクールに入賞して、他国に3か月の留学に出る。しかし、これは丈二が絡んだ、テロ組織のリクルートだった。舞台奥の店の壁を取っ払った、奥行きのできた無機的な舞台。ひかるが一人、その後の故体験を語る。ひかるは3か月を終えると、テロリストとしての訓練を受け、飛行機を仲間と共に乗っ取り、飛行機もろとも突っ込んでいく…。北軍の背後にいる大国に一矢報いるため。テロのリーダーは「これは私が考えたスペクタクルなのだよ」とうそぶく。母がキャベツ畑で狙撃されて死んだことが、ひかるをテロに駆り立てた。

犯人家族として真守も父も北軍に逮捕されて拷問を受け、父は死んだ。真守はこれからどうするのか。何が起きるのかわからないが、生きていくことだけは間違いない。

ラスト、残った店で真守は凛とパンケーキを食べる。凛は一緒にシナリオを書こうと言う。そうすれば南北両方のことがわかると。真守の幻視のように、凛とひかるが映画のパンフレットで盛り上がるシーンが現れ、背後の壁には、狙撃されたアーティストの残した二頭のイルカが泳ぎだす。「一緒に跳べば壁も超えていける」
八月のモンスター

八月のモンスター

甲斐ファクトリー

オメガ東京(東京都)

2022/09/28 (水) ~ 2022/10/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

すごい!凄い!
以前、池袋で観た初演を大幅に改訂した内容は、その凄さをパワーアップして眼前に突き付けられた。
とにかく脚本が面白すぎる!縦横に張られた伏線が後半、次々と「えっ、そうきたか」と心を震わせながら気が付いたら泣いていた。
いつもそうだが、この劇団の役者は熱演で、好感が持てる。
悲しい話を美しく仕上げていく演出も良い。
ネタバレになるので、これ以上は書けないがリピート券があるそうなので、もう一度観に行こうと思う。
久しぶりに観た傑作!!

クロミネンス・クロニクル2

クロミネンス・クロニクル2

桜餅総本舗

キーノートシアター(東京都)

2022/09/28 (水) ~ 2022/10/02 (日)公演終了

実演鑑賞

良い舞台だったと思います。

賊義賊 -Zokugizoku-

賊義賊 -Zokugizoku-

壱劇屋

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2022/09/21 (水) ~ 2022/09/27 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/09/27 (火) 16:00

価格6円

セリフがないことへの不安感があったが、そんな感情はあっという間に消え去る舞台だった。
役者さんの表情や動きで感情が伝わる、今まで見た事のない作品で感動した。言葉の通じない場所でも通用すると思う。想像力もフル活用し、笑って泣いて、楽しめる。大団円で収まらず因果応報という所も描かれてる。本当に面白かった。
色んな所に胸を躍らせるシーンを詰め込んでくる壱劇屋さん。一度見たらファンになる。

ネタバレBOX

クロが刺されて、師匠と笑い合いながら一緒に旅立ち、最後2人がコウから小判を受け取るところ本当に感動した。
そして手ぬぐいも伏線だったのか!と思わせる最後高い所からコウがポーズを取るところも鳥肌が立ったし、何より次回作の主人公とハイタッチをして正にバトンを渡した様なシーンは何とも言えない高揚感があった。
世界が朝を知ろうとも

世界が朝を知ろうとも

劇団papercraft

すみだパークギャラリーささや(東京都)

2022/09/28 (水) ~ 2022/10/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

Aチーム

存在意義を喪失すると、その人は“虫”になってしまう世界。カフカの『変身』なんかを連想し、頭の中にはスターリンの『虫』なんかが流れてくる。
「虫になったらよろしく」

A 葛堂(かどう)里奈さんの独り芝居。小4の時、保健室で先生が気付くと虫(コオロギ)になっていた。パニックで踏み潰してしまったトラウマ。「虫になんかなってたまるか」と生きてきたつもりだったが・・・。篠原涼子に小雪を混ぜて不幸にした感じの雰囲気、熟練した技術。彼女はラブホに向かっている。

B 女子大生2人がラブホで秘密の作業。お互い四年で進路もちらつく。井上向日葵さんと清田みくりさん。

C 久々に訪れたラブホで深刻な痴話喧嘩。前田悠雅さんと緒形りょう氏。前田悠雅さんはハーフっぽい。木の実ナナの若い頃を感じさせる。

ギターをぶら下げて突然登場する紫野さんがカッコイイ。これならもうずっと部屋の片隅でギターを弄っていた方が良い。

ちなみに『前田悠雅バースデーイベント2022』会場・渋谷DESEO mini 2022/10/23(日)のチケットは絶賛発売中。

ネタバレBOX

人間が虫化する為、全ての虫の採集や売買は禁じられている世界。この設定が判り辛い。特殊な虫として別種にすべき。そうした方が“人間虫”が商品になる、非合法な基盤が出来る。どれだけ罪が重いのかもよく解らないので女子大生の口論にも深刻さがない。警察ではなく、被害者の家族に報復されるべき。

葛堂里奈さんのイカれた旦那は登場させた方がいい。
逆に前田悠雅さんのネタは独り芝居の方が合うのでは。
三つのエピソードが交差しないのであればラブホ縛りの意味もない。

演出を別の人に託した方が良い。笑いのセンスがなさすぎて、地獄のような会場。ネタ自体は馬鹿馬鹿しくて結構笑いをまぶしているのに、お通夜のような重苦しい雰囲気が延々続く。テンポよくリズミカルに演ればこんなに長くはならないホン。前田悠雅さんと緒形りょう氏の痴話喧嘩も早回しで充分。女子大生二人のエピソードは本筋に絡めるべき、これじゃ只の引き延ばし。散々笑わせておきながら、ふっと憂鬱で残酷な世界と向き合わせゾッとさせるべき題材。ワークショップじゃないんだから、役者のナルシシズムなんか誰も興味ない。

実は狂った女の妄想だった的な匂わせもあるが、それも要らない。
12人の淋しい親たち

12人の淋しい親たち

劇団時間制作

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2022/09/22 (木) ~ 2022/10/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

台本にもっとリアリティが欲しいと感じてしまうのだが・・・。
陪審員物は、あんなふうに過剰にバカっぽいキャラクターをたくさん出してごちゃごちゃな動物園状態にしないとドラマになりにくいのだろうか。一生に一度あるかないかの、誰もが重圧と緊張を感じるであろう裁判陪審(しかも親による幼児殺害という深刻な事件)という公の場なのに、まるでピクニックのように楽しげな雑談で盛り上がったりとか、人前で臆面もなく偏見アクセル全開で暴走したりとか、有り得なさすぎるように思う。あれではバカの見本市状態。
それとも、有名な映画を含め過去の陪審員物作品ですでにやれることはやり尽くされていて、もう相当無理な設定をしないと新しいことをやるのが難しいのかも。

フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~

フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~

ホリプロ

Bunkamuraオーチャードホール(東京都)

2022/09/25 (日) ~ 2022/09/30 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』

超面白かった!イロモノかと思いきや予想外の傑作!

山﨑玲奈リンが最後の真実歌いながら村人と悪党に立ち向かう辺りでレミゼ超え!

平原綾香ユリアの歌コンサートかよ!

伊礼彼方ジュウザ持って行き過ぎ!

福井晶一ラオウの昇天で拍手喝采!😆

八月のモンスター

八月のモンスター

甲斐ファクトリー

オメガ東京(東京都)

2022/09/28 (水) ~ 2022/10/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

最後に評価が逆転しました。

ネタバレBOX

テイストや役者も脚本も、何もかもがチープだと感じていました。
しかし終盤からの「怪物は私です」の終わり方に、鳥肌が止まらなくなった。涙が自然に出てきた。
今まで出ていた大嫌いな癖の強いキャラクター達、それこそ社長、渋谷、神田、大塚などのキャラクター、チープなストーリー、全て含めて全員が不器用に生きているとても愛おしいキャラクターに見えた。
つまり主人公の過去や未来、全部が肯定され、受容されて、田中さんの幻視に対する決別表明の態度、その覚悟の中にある寂しさをも表現する田中さん、私の中でのこの脚本、劇団の評価がガラっとひっくり返った。
0点の演劇が最期100点になった。
私もカリキュラムに参加してしまっていたようですね。
あなたがたは最高の劇団です。
幸せな時間をありがとうございました。
『やってきたゴドー』『ああ、それなのに、それなのに』『病気』

『やってきたゴドー』『ああ、それなのに、それなのに』『病気』

名取事務所

吉祥寺シアター(東京都)

2022/09/23 (金) ~ 2022/10/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

『病気』
特に何もしていないサラリーマンが周りの屁理屈、珍理屈、謎理屈によってどんどん窮地に陥って行く不条理劇。まあでも、ただのコントであって久し振りに大いに笑ってしまった。満足度星5つ。

『ああ、それなのに、それなのに』
いやあもう全然分からない。本を1ページ飛ばしで読んでいるかのようだ。まあでも、そういう正統な不条理劇であって、ただ暴れているだけで演劇かどうかもよく分からないという不条理さではないのが救い(?)ではある。こちらは満足度判定不能。

コマギレ

コマギレ

ラビット番長

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2022/09/22 (木) ~ 2022/09/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

笑いあり、涙あり、再演されるだけあって、
完成度が高く面白かったです!

燐光のイルカたち

燐光のイルカたち

劇団青年座

ザ・ポケット(東京都)

2022/09/23 (金) ~ 2022/10/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

鑑賞日2022/09/27 (火)

まったくわからなかった。なんかかっこいいステージ!!とは感じたのですが。爆音と銃撃音でちょっと・・・と思う方がいると思います。
私が分からないのはそこじゃなく、それぞれの関係性と、映画という虚構そして現実。この狭間の中を行ったり来たりなのだろうけど、わからない。でもね、銃撃シーンとか、ラストのイルカ、モノローグはカッコ良い!!って思いましたよ。
これって脚本を読むともっとわかるのかしら?でも、読まずに伝わらなきゃだめよねぇ。

ペレアスとメリザンド<新制作>

ペレアスとメリザンド<新制作>

東京文化会館 / 新国立劇場

新国立劇場 オペラ劇場(東京都)

2022/07/02 (土) ~ 2022/07/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

初めて見たドビュッシーのオペラ。プールサイドでの義弟との逢瀬など、寒々しくももだえるように官能的だった。家族そろった食卓のシーンも互いの孤独とすれ違いを黙劇のように見せた。前面の壁を開閉するたびに、箱の中のセットが変わる演出は、物語の流れを途絶えさせずに、リアルな場面を作り出していた。意外な掘り出し物

蝶々夫人

蝶々夫人

東京二期会

新国立劇場 オペラ劇場(東京都)

2022/09/08 (木) ~ 2022/09/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ライブビューイング1度を含む4回目の「蝶々夫人」観劇。大村博美のアリアが素晴らしかった。最後の蝶々さんの悲劇に向けて、最初から伏線がたくさん張ってある。ピンカートンを信じている間も「もし帰ってこなければ、死にます」と、結末を予言している。ケートの存在からすべてを察し、信じるものに裏切られた絶望の深さから、いわば発作的に自害してしまう心情がよく分かった。

音楽はすばらしい。バッティストーニの指揮はメリハリがあり、わかりやすい。美術も屏風を配して港の光景を作るなど、オーソドックスで豪華。

ドードーが落下する

ドードーが落下する

劇団た組

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2022/09/21 (水) ~ 2022/10/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

久しぶりに加藤拓也の創作劇、それも自分に身近な青春喪失劇である。
「無用の人」ドラマは、今までにもチェホフを発端に(もっと昔からあるだろうが)数々見てきたが,これはまがうことなき現代劇。相変わらず、うまい。
現代の無用の人は芸人社会からおちこぼれて30歳代になってしがない食堂のバイトなどをやっている夏目(平原テツ)と、それを取り巻く男女。信也(藤原季節)は友達として事ごとに夏目の面倒を見るが、歳を経て、その距離は次第に遠くなっていく。二人を中心になんとなく集まっている同世代の若者グループの、いかにも今風の3年間の物語を、現在、三年前、一年前、直前と時間設定して辿っていく。自殺するとか、警察に捕まるとか、深刻なものから、男女関係、親子実家問題、友人関係、日々の生活問題と、この世代にありがちなエピソードに加え、知的障碍者への性犯罪とかエグイ現代社会タネも交えて物語は進むが、それらを解りやすいテーマにしがたって並べてはいない。最後が、突然のように終わることも含め、作者が当日ビラで述べているように一つの時代の人間関係記として描いているだけで、評価もしていなければ、感情を伴走させてもいない。それでも面白く見てしまうのだから、この作者、やはり並大抵の才能ではないと思う。
現実の社会にはこの若者程度の総合失調症の人たちは普通に生活している。内心、自分たちは世間には見えない方がいいんじゃないか、と思いながら生きているし、周囲もそこは塩梅してきた。しかしその亀裂は時に露呈することもあるわけで、丁度安部国葬の日にこの芝居を観たのも奇縁であった。いや、そこは病を持つ人たちだけでなく現代のどこにも誰にも遍在することだろうと、観客は解らないでもない。少し引いてみれば、誰もが個人の壺に入ることを推奨しているような社会への批判劇にもなっている。
今回は、そういう無用の世界に生きる人たちをマダカスカルの絶滅した飛ばない鳥ドードーになぞらえているが、そこは作劇的には少し性急だったかと思わないでもない。
この作者の才能はよくわかっている。しかし、こういう生モノを扱っていると思わぬけがをしてあたら才能を潰すこともある。この作・演出者に「ザ・ウエルキン」を持って行ったのはさすが、シスカンパニーの見識であった。「ザ・ウエルキン」ジェンダーを問う難しい側面を持っていたが、ほとんど完璧と言っていい演出だった。それは翻訳台本だったからのびのびやれたからだろう。野田秀樹もこの年代には、よく古典や小説原作の作品に取り組んでいた。日本古典をベースに野田の桜の下のような新作を期待したい。

銀幕ボイス

銀幕ボイス

盆栽サイダー

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2022/09/23 (金) ~ 2022/09/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

相変わらずの素晴らし伏線回収。
気持ちがスっと入っていき泣かずには居られない素敵な舞台でした!
そして何度でも見たくなる!

次回も楽しみです。

いつかまた逢える

いつかまた逢える

居酒屋「夢の郷」☆製作委員会

活鮮旬菜 夢の郷(東京都)

2022/09/17 (土) ~ 2022/09/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「夢の郷2022秋物語 いつかまた逢える 過去の忘れもの 取りに行きませんか」 前半と後半千秋楽の3公演を観劇しました 若手ベテランがとってもいい雰囲気で、笑ってホロってきてみんなで歌って、楽しい時間を過ごせました 交流会では多才な演者さんたちの実力発揮、あっという間の終演で、次回公演が楽しみです(期待を込めて)

賊義賊 -Zokugizoku-

賊義賊 -Zokugizoku-

壱劇屋

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2022/09/21 (水) ~ 2022/09/27 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ワードレス殺陣芝居。
台詞はないのですが
表情や動き、そして殺陣からも感情・言葉が聴こえてくる。
笑って泣いて、たくさん心を動かしてくれます。
壱劇屋さんは一度観たら、虜になります。

新訳「あわれ彼女は娼婦」ワークインプログレス

新訳「あわれ彼女は娼婦」ワークインプログレス

NICE STALKER

スタジオ空洞(東京都)

2022/09/21 (水) ~ 2022/09/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

 開演前、可成り哲学的な質問がエンドレスに読み上げられている。会場は下手壁際に暖色系の柔らかな素材を腸のように纏めたオブジェが意味も無く存在しており、その上部に天井から白、赤、緑、藍、黄、紺等で色付けされた電球が高さや位置をずらして下がっている。舞台美術はこれだけで板上はフラット。役者は全員裸足で演技する。
 J.フォードは17世紀エリザベス朝演劇末期にイギリスで活躍した劇作家。今作は彼の代表作とされる作品だが兄・ジョバンニと妹・アナベラ兄妹の純愛故の破滅を描いた衝撃作。作品成立は1620年頃と考えられている。今回、開演前には可成り哲学的な質問がエンドレスに流され続けている。(追記後送)

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