最新の観てきた!クチコミ一覧

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リミックス【初日・土夜完売御礼】

リミックス【初日・土夜完売御礼】

国分寺大人倶楽部

中野スタジオあくとれ(東京都)

2009/05/28 (木) ~ 2009/05/31 (日)公演終了

満足度★★★★

remix かくあれかし
過去の上演作品からシーンを抽出・編集して、4つの情景を1つの枠組み内に再構成した。
筆致はふだんよりマイルドなので今回が初見でも難はないけど、過去の河西作品を知っている人のほうが、今回の企みにより深く感銘を受けるだろう。まるで過去の公演が、今回のための布石であったかのような錯覚すら感じる。
互いに脈絡のない話を並べて上演する短篇集とは大違いで、このようにしか組み立てられない必然を感じ、好印象。

前説や場内整理の人が大声で喋ってるのに、客入れのBGMに遮られて聞こえなかったのは残念。少し音量を落としてほしかった。

ネタバレBOX

清原和博のように不貞不貞しい風貌の後藤剛範が、今回はカワイイ。
信じがたいだろうけど、これホント。
天気のいい日はボラを釣る

天気のいい日はボラを釣る

studio salt

インディペンデントシアターOji(東京都)

2009/05/20 (水) ~ 2009/05/24 (日)公演終了

満足度★★★★

惜しい
面白かっただけに

ネタバレBOX

自転車の彼が病気だと分かり、そこから更に何かがあれば。
もう一押しの何か。
少なくとも観客としてはその何かに期待していました。

しかし全体を通じて完成度の高い劇団だと思いました。
JUMON(反転)/便所の落書き屋さん【満員御礼で終了】『観て来た!』に全レス中!(ただいま1/3)

JUMON(反転)/便所の落書き屋さん【満員御礼で終了】『観て来た!』に全レス中!(ただいま1/3)

MU

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/05/26 (火) ~ 2009/05/31 (日)公演終了

短編という印象はまったくなく、美味しいものを2食いただいたような
色合いは違っていても、両作品とも物語が太い線で描かれていて、がっつりと楽しめました。

短編を観たという印象はあまりなく、しっかりとしたお芝居を2本別腹でいただいた感じ。それが全く負担に感じられないのです。

美味しいものは続けて食べられるのだなぁと実感したことでした。

ネタバレBOX

両方の作品とも、物語の骨格は太くシンプルなのですが、人物が丁寧に表現されていて粗さをまったく感じさせない。

物語の流れが観客を引き込む力も強いし、役者達が醸し出す人物の色も、すっと伝わってくるのです。

・JUMON(反転)

なんとかの方舟事件を想起する時点で歳がばれてしまいますが・・・。
その男女逆バージョンのようなお話し。

愛に対する新旧(?)価値観の対立の物語である以上に、男女を問わずそれぞれの人物が抱えるものが丁寧に描かれた、群像劇のような肌合いを感じました。

登場人物の内にある飢えのようなものが、概念に丸められるのではなく個々にきちんと表現されていて。その重なりが物語にしっかりとした奥行きを作り出していていたように思います。印宮伸二、小野哲史や坂本健一、さらには浜野隆之らかそれぞれの色である種の欠落感を表現していく・・・

小林タクシーの怪演も、キャラクターの内心が絶妙に表現されていてあざとさがまったくない・・・。宍戸香那恵や長岡初奈から垣間見えるエゴにも強い実存感がありました。
成川知也の中性的表現も、なにか突き抜けていて、うまいと思う・・・。

佐々木なふみの描く女性、物語に不思議なリアリティを与えていて・・・。また、終盤、彼女の想いがすごく瑞々しく伝わってきたことでした。


・便所の落書きやさん

一人の美人教師を20歳離れた兄弟が取り合うという、どこか少年コミックのような風合いをもった作品、こういうお芝居って理屈抜きで楽しめるところがあって・・・。

弟役・浜野隆之の抑制を持った演技が作品のベースを作ります。成川知也のヒール役も凄く生きてる・・・。清水那保が醸し出す「無垢な善良さ」テイストが物語に厚みを作ります。

小林タクシーがきっちり仕事で、こういう物語に欠かせないスパイスを効かせていました。佐々木なふみの酔っ払い美人教師に意外とまじでほろっとさせられたり・・・。

終わりかたも個人的には好きかも。



2作とも、本当に楽しませていただいたことでした。

もちろんお勧めです。

踊るワン‐パラグラフ

踊るワン‐パラグラフ

ニットキャップシアター

アトリエ劇研(京都府)

2009/05/28 (木) ~ 2009/06/01 (月)公演終了

笑うのも恥ずかしい距離感
久しぶりにこのサイズの劇場での彼らの公演を観て、舞台と客席の近さに、久しぶりにこんな照れくささを感じた・・。
このような距離感の持てる空間で、ニットキャップシアターの公演を観れるのは、素敵です。

JUMON(反転)/便所の落書き屋さん【満員御礼で終了】『観て来た!』に全レス中!(ただいま1/3)

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MU

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/05/26 (火) ~ 2009/05/31 (日)公演終了

5月28日(木)S
愛についての話。快哉。

リミックス【初日・土夜完売御礼】

リミックス【初日・土夜完売御礼】

国分寺大人倶楽部

中野スタジオあくとれ(東京都)

2009/05/28 (木) ~ 2009/05/31 (日)公演終了

満足度★★★★

嬉しい企画!
国分寺大人倶楽部は前回の「ハローワーク」で初めて見て大好きになってしまった。
なので、今回の「今までを振り返る」企画はありがたいです。

しかもRemixということでどのように変えてくるのか、等など興味の尽きない公演です。
初日、雨がザンザンと降る中、超満員。
熱気のこもった劇場はギュウギュウ詰め。
舞台上はあまりセットもなく、シンプルな作り。
ミラーボールとテディベアと奥の小さな暖かい明りが目立ってます。

約100分。

ネタバレBOX

今まで公演してきた4つの作品を短編にしてRemixした企画。
Remixって何だろう?と思っていたが、4つの作品がそれぞれリンクしているのでした。

『リバースremix』
 マジメなお芝居で、最後の最後に毒があるけど全体的にキレイに作りすぎた感じでした。亡くしてしまった恋人と妄想の中で語り合う小説家志望の男性。思い出は美しいまま取っておきたいけど、でも美しいばかりではなくて。

『ハローワークremix』
 一度暗転してから薄明かりの中役者さんたちがセットの配置を変えて、舞台チェンジ。テーブルが置かれてパイプイスがいくつか置かれてます。職業体験にきた女子高生。その女子高生を物珍しそうに見つつも、何気ない普通の会話が続きます。
 そんな中、いかつい男性が結婚する事が分かるのだけど、その婚約者は妊娠してて、同僚の前では強がって婚約者の事を悪く言うのだけど、その婚約者が忘れた弁当をわざわざ届けに来たところでコロっと変わってやさしーくなってしまう彼が可愛いのでした。
 この話が一番気持ちよく見れて、笑いもあって好きです。

『チャイルドプレイremix』
 19歳引きこもりの男性。部屋でゴロゴロと過ごしていると父親が帰ってくる。彼は父親とふたりの家庭。父親が気遣って声をかけてやっても素直になれない。そのうち父親が「友達」を呼ぶのだけど、それが若い女性で、父親と隣の部屋で乳くり合いを始めるのでした。
 この作品の面白いところは、舞台上には引きこもりの少年がずっといるのだが、言葉を一言も発さない所。逆に隣の部屋にいる父親とその愛人らしき女性は声だけが聞こえて姿は見せない。
 父親が愛人に、少年が引きこもったきっかけの話をした段階で完全にキレてしまった少年。手にナイフを持って隣の部屋に乗り込むのでした。。。

『メリーremix』 
 メリーという源氏名のサンタのコスプレをした女性が、「そこ」にやってきた人々をエスコートする。そこにやってきた「彼」は、自分がなぜそこに来たのか理解できていない。なので、「あの方」に頼んで昨日の夜を繰り返してもらう。
 何度繰り返しても結末が変わる訳でもなく、次第に状況を理解した彼は絶望する。


全体的に暗いシーンやリアリティのない設定だと国分寺大人倶楽部の良さが半減してしまっている印象でした。
自然な現代口語でリアリティのない話をする事の難しさを感じました。
そんな中でリアルな「ハローワーク」「チャイルトプレイ」にスタイルがぴったりとハマって、魅力的な作品に昇華されていました。

これで一区切りで次のステップへ踏み出す国分寺大人倶楽部の秋の王子小劇場公演が楽しみです!
ウィキッド

ウィキッド

劇団四季

電通四季劇場[海](東京都)

2007/06/17 (日) ~ 2008/08/31 (日)公演終了

満足度★★★★

初めて
生で四季を観ました。
まず装置にびっくり!

内容も一部はスタンディングオーベーションしかけるくらい盛り上がりました。
二部は内容が暗くなりすぎて、若干話についていけなくなりました。

し歌はさすがに上手いです。感動しました。
もっと他のも観たいなって思いました、チケット代がかかりますけどね。

僕たちの好きだった革命

僕たちの好きだった革命

サードステージ

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2009/05/19 (火) ~ 2009/05/31 (日)公演終了

満足度★★★

実感を伴った横から目線。
全く期待感なくフラットな気持ちで行って、意外におもしろいことに驚きました。第三舞台が大活躍な頃を知らず、虚構の劇団を見て鴻上さんももう古いな、と思っていた私としては、その頃観られなかったことを悔しく思いました。リアルタイムで観てたら結構好きだったかも。

虚構の劇団で浮ついた感じで若い俳優を演出している鴻上さんより、絶対こういうちょっと古めの雰囲気でもちゃんと実感のこもった作品を作ってる鴻上さんのほうが好き。若者の不思議感覚を斜め上からふわっと捉えるより、横並びに生きているほうが絶対おもしろい。

ネタバレBOX

映像っぽいノリがあるなぁと思っていたら、やっぱり最初は映画にしようと書いた脚本だったそう。場面はぽんぽん飛んで、それがブレヒト幕でさくさく流れていくのはちょっと楽しくなる。

中村雅俊、塩谷瞬、片瀬那奈の学生服姿、抵抗感はあるけどそれはそれで物語としてはしっくりきちゃうのがいい。
こどもの劇場2009 「にんぎょひめ」

こどもの劇場2009 「にんぎょひめ」

世田谷パブリックシアター

北とぴあ つつじホール(東京都)

2009/05/28 (木) ~ 2009/05/28 (木)公演終了

満足度★★★★

集中できました
もう舞台に引き込まれてしまって。舞台セットとかはシンプルなのですが、役者の衣装・メイク、歌、動作が素敵で、5人であれだけの舞台が作れるなんてすごく感動です。いろいろ考えさせられました。

循環プロジェクト公演「≒2 にあいこーるのじじょう」

循環プロジェクト公演「≒2 にあいこーるのじじょう」

NPO法人 DANCE BOX

世田谷美術館(東京都)

2009/05/28 (木) ~ 2009/05/28 (木)公演終了

満足度★★★★

世田谷美術館のエントランスが
そのまま舞台になっていました。案内に明記されていましたが、そもそも舞台として使えるようにと設計されたエントランスは本当にドラマティック!で、右から左からまたその奥からと、照明でいかようにも分断でき、セットなしで十分美しい空間でした。欲を言えば階段がお姫様でも降りてきそうな立派なものなので二階も使ったら楽しい。
プロジェクト統括の大谷さんの言葉にありましたが「障がいをマイナスではなく独自性と考え、それを表現として立ち上げること。こちらの事情を押し付けないこと。また参加者の事情に寄り添いすぎないこと」
この寄り添いすぎない、っていうバランスが一番難しいのではないかと思いますが、今日初めて観て、人間力に圧倒されてしまったし、車椅子との関わり方などダンスの振り付けの発想もユニーク。私の表現不足で軽く伝わるのを避ける為に詳細は控えます。が、会った人には沢山宣伝します。
世田谷美術館は駅から遠いのが難点ですが、またこの素晴らしい空間で是非企画して欲しいです。

さとがえり

さとがえり

KAKUTA

ザ・スズナリ(東京都)

2009/04/04 (土) ~ 2009/04/12 (日)公演終了

満足度★★★★★

感動!
「帰れない夜」観ました。
ラストで泣けました。切ないドラマっていいですね。
また伺います。

JUMON(反転)/便所の落書き屋さん【満員御礼で終了】『観て来た!』に全レス中!(ただいま1/3)

JUMON(反転)/便所の落書き屋さん【満員御礼で終了】『観て来た!』に全レス中!(ただいま1/3)

MU

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/05/26 (火) ~ 2009/05/31 (日)公演終了

満足度★★★★

お腹一杯の短編が二つ。
とても楽しめました。

空間を上手く使った照明効果や演出で、一体になった面白さがありました。
すばらしいです。またMUがやってくれました。

ネタバレBOX

JUMON : 初演の時より、ハードになっていた感じです。女性の方が怖い…

便所の~ : MUっぽくないMUみたいな感じでした。相思相愛確信犯のラストに近いような、そんな破綻っぷりを感じました。


どちらもとても魅力的です。
僕たちの好きだった革命

僕たちの好きだった革命

サードステージ

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2009/05/19 (火) ~ 2009/05/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

すばらしい。
観客を楽しませる要素に満ちている舞台でした。

映像などのすべてのピースが、程よい熱量にてまとめられていたように感じます。

ネタバレBOX

「ごあいさつ」素敵でした。GAKUさんのも笑
新・五月晴れの青い空

新・五月晴れの青い空

劇団 浪漫狂

俳優座劇場(東京都)

2009/05/27 (水) ~ 2009/05/31 (日)公演終了

満足度★★

なんだかなー。
笑いのソースがちょっと古い。中村隆天が独壇場で一生懸命に笑いを取ろうと努力はしてるのだけれど、そのネタが古のネタ。
会場のシーン・・。状態にむしろ同情するほど。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

ヤクザ同士のちっさな抗争劇に図らずも巻き込まれた修司(中村隆天)は親分の子供を身ごもって捨てられたオンナに恋をして、そのオンナの為に命を懸けるも、修司は兄貴の機転で命は助かる。修司のどこまでも一途な恋心にやがて絆されたオンナは修司が刑務所から出てくるまで待つ、という心温まる物語。
終盤、ホロリとさせられたが、舞台が広い割にこじんまりとした芝居で空間が目立つ。もっと小さな箱で上演したなら違ってたかも。笑いのソースはどちらかというと体力勝負というか、身体表現でセリフでの勝負ではない。テンポもゆっくりでスピード感もないところはコメディとしては好みではなかった。


僕たちの好きだった革命

僕たちの好きだった革命

サードステージ

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2009/05/19 (火) ~ 2009/05/31 (日)公演終了

満足度★★★★

中村雅俊+鴻上 尚史!!
観劇させて頂きました。この作品は、あらすじ通りで主人公役の中村雅俊が学園闘争時代に意識を失い、30年後の近年に目を覚まし、再びかつて通っていた高校に復学し・・・と言う物語でした!中村雅俊が主人公でありながら独占舞台にならずに、良い意味で中心になりながらも息の合った舞台に仕上がっていました!観劇させていただく前には中村雅俊の独断場になるのではないのかと若干不安な点もありましたがその様なことは無く、その上で映像と音楽を織り交ぜながらも、巧みに舞台上を使いながら物語を展開させていました!そして物語は客席を楽しませることに熟知した、終演まで全く飽きさせることの無い舞台でした!ただ、昨年鴻上 尚史の「ドラえもん」を観劇させて頂いたのですが、舞台展開の構成が少し重なるかなぁ~、とも思える気がしてしまいました。客席を楽しませることに熟知している分だけ、少しだけ器用にまとめ過ぎているような気もしましたが、恐らく「ドラえもん」を観劇させていただいていたからでしょうけれども、その辺がひょっとしたら巧みな脚本・演出家の悩みになるのかもしれません。今回の作品の星の評価は星4つですが、もしかしたら昨年「ドラえもん」を観劇させて頂いていなかったら星5つつけていたかもしれません。しかし、中村雅俊の学生服姿がかなり似合っている、かつての学園闘争を現代に舞台を移して、観ている者に分かりやすく、その上で楽しませる作品になっていました!

時効を待ちながら

時効を待ちながら

東京おいっす!

「劇」小劇場(東京都)

2009/05/26 (火) ~ 2009/06/02 (火)公演終了

満足度★★★★★

そーとー面白かった!
いやぁ面白かったです!どこがどうというんじゃなく、全体が面白かった。まず脚本が面白いし、キャラの個性もきっちりしてるし、流れもいいし、伏線の張り方と拾い方も絶妙だし、役者さんたちも巧い!
観劇後の居酒屋で、友人と「面白かったー」を何回言い合ったかわからないくらい。
ここでのチケットプレゼントでご招待いただいたんですが、もうもう、次回以降の公演はちゃんとお客さんとして見させていただきます宣言します!
なにせ、以前の公演のDVDまで購入してきちゃいましたから。
ネタバレに書きたいことも山ほどありますが…とにかく観てみて!

CASSIS

CASSIS

INUTOKUSHI

早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ(東京都)

2009/05/21 (木) ~ 2009/05/27 (水)公演終了

満足度★★

エンクラ派の戯れ言です。
 守りに徹した、挑戦していない舞台、僕にはそうみえた。

ネタバレBOX

 いくつかの小さな物語が、同時並行的に入れ替わり立ち替わり演じられていくけれど、大きなテーマはみんなひとつ。「理想」が現実に負ける、不可能性のはなし。そして、それを、僕らはあらかじめ、知っている。だって、「犬と串」という劇団のテーマが、すでに「理想と現実のギャップ」となっているんだから。

 そうなると、はじめに、人間と動物たちが楽しく過ごす、楽園のようなケーキ屋さんが出てきて、そこに、人類愛みたいなものを説く女主人が出てきた時点で、「ああ、このケーキ屋さんが崩壊するはなしかな」と予想できてしまう。

 同時進行する、セックスの経験のない人間たちが、妖精化して雑誌をつくる編集部の話も、草食系男子のツヨシが、草食系の楽園をつくろうとするはなしも、みんな、崩壊という結末で結びつくのかな、とあたりがつけられてしまう。

 舞台が全て、「理想と現実のギャップ」をみせる、そのために進行して行く。キャラクターも情景も、そのための歯車みたいだ。たとえば、ケーキ屋さんの女主人の親友の女の子が出てくるけど、彼女は、ただ、女主人のことばを信用して、破滅する、それだけのために出てくる。彼女がどんな人なのかとか、そういうことは全然出てこない。

 この舞台は、テーマがはじめにある。そして、そのテーマのために、物語が用意される。そして、そこに必要な役割としてのキャラクターたちが、機械的に配置されていく。演出も、わりとオーソドックス(形式としての演劇を疑っていない感じ)。おそらく、それが、この劇団の基本的な姿勢なのだろうと思う。

 テーマが伝わらないことへの不安も、感じる。とても慎重に、繰り返し、テーマが説明される。過剰だと、感じる。舞台中央のカシスの池も、冒頭に「カシスは血の色」といわれてしまうので、血のメタファーだと分かってしまう。たくさんのファンタジー的世界を、わざわざ「現実」ではさむのも、周到だけど、あざとさがみえてしまう。

 結局舞台は、あらかじめ説明されているテーマ通りに、予定調和的に展開して行く。そうなると、部分部分を断片的に、コント集的に楽しむしかないのだけど、それも予定調和。結構はじけた舞台を演出しているけど、それも、はみださない程度。そこには、驚きや楽しさはない。いかに慎重に、はみ出さないようにするか、そこに注意が集中していて、それが、今を象徴しているようにも思った。

 1時間半観ることが出来たのは、俳優たちのおかげ。そこはゲキケン、きちんと訓練がされていて、魂のないキャラクターが、役者の個性で、それなりに生き生きしてみえる。テンポも、スピードも、全部かれらのカラダがあればこそ(脚本は、もっさりしていると思ったので)。ぜひ、彼らを、別の作品で観たいと思う。

 犬と串は、現在のゲキケン、唯ひとつのアンサンブルだ。たくさんの所属劇団をかかえるエンクラ(早稲田大学演劇倶楽部)とちがって、ここには、役者たちに選択肢がない。それが、さびしい。次も、彼らは、犬と串で、歯車をいきいきと演じるのだろうか。

無頼茫々

無頼茫々

風琴工房

ザ・スズナリ(東京都)

2009/05/10 (日) ~ 2009/05/18 (月)公演終了

満足度★★★★

リピートしました
一言で表現すれば「真っ直ぐで清々しい」。現在のスタイルの新聞の黎明期と言える大正時代の若きジャーナリストたちの気骨が、フニャフニャしているわが心(爆)にグサリグサリと突き刺さってくるような感覚。
人物紹介&物語の背景紹介的な青春群像劇風の前半から次第に言論の自由に対する圧力というテーマにシフトしてゆく流れが自然で、とっつき易いところから入って感情移入させてから本題に触れるのでついつい引き込まれるシカケになっているのが巧い。
ただ、主人公が熱血漢であるだけでなく、新聞についてシッカリ学んでもいて文武両道的なのでこりゃカナワン、な感アリ?(笑)
あ、ただの熱血漢でもあの発想や行動力にはカナワンか?(爆)

なお、16日にC列3番で再見。

チェリーボーイ・ゴッドガール

チェリーボーイ・ゴッドガール

ゴジゲン

OFF OFFシアター(東京都)

2009/05/02 (土) ~ 2009/05/10 (日)公演終了

満足度

唐突な結末は承服しかねる
奇しくも前回この小屋で観た某作品のように散らかったアパートの1室が舞台で、「とにかく童貞を卒業したい」と一心に願っているオトコたちの物語。
程度の差はあれ、共感するというか心当たりがあるというかで、そこそこ笑いながら見るも「楢やん」のオクテぶりは「明治時代かよ!」あるいは「小学生かよ!」で現実味に乏しく、そこ以降ちょいと醒めてしまい冗長に感じてしまう。
さらにあの結末は「生きろ!」あるいは「死んじゃだめだよ、生きてなくちゃだめだよ」派として承服しかねる。いや、そもそもアレは唐突では?
…ではあったものの、この日は終演後にイベントがあり、えっち話の「フルーツバスケット」で笑わせてもらい、後味の悪さを払拭して劇場を後にする。

おかしなふたり~千夜一夜物語~

おかしなふたり~千夜一夜物語~

スーパーグラップラー

シアターサンモール(東京都)

2009/05/07 (木) ~ 2009/05/10 (日)公演終了

満足度★★★★

概ね満足
アラジンが手にするハズだった魔法のランプを手に入れた主人公はランプの精の力によって元の世界に帰ろうとし、物語界が崩壊しないようにアラジンとその叔父「アフリカの魔法使い」は彼女を探し、夢の世界の秩序を守るチーム「獏」も彼女を探す「夢の世界」に、現実界の人々までがランプの精の力で召喚され…という構造が巧い。
また、「獏」の設定がよく練られていて、主人公と縁が深いことが明かされる1人についてはやや切ない結末を迎えるも、希望を残すその匙加減がまた巧い。
欲を言えば最後を歌で締めればより「歌劇」っぽかったのではないかという気もしつつ、全体がコメディタッチで楽しかったし、現実世界と夢の世界をクロスさせる見せ方も巧かったし、概ね満足。

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