口笛を吹けば嵐
ピーチャム・カンパニー
イワト劇場(東京都)
2010/10/14 (木) ~ 2010/10/20 (水)公演終了
満足度★★★
長大
斬新、かつ、泥臭い。残念ながら、長さを感じてしまいました。
マフィー版「くるみ割り人形」
オーストラリア・バレエ団
東京文化会館 大ホール(東京都)
2010/10/15 (金) ~ 2010/10/17 (日)公演終了
満足度★★★★
感動
くるみ割り人形を感動的に仕立て上げた、現代版の傑作。照明が絶妙で、映像では味わえないよさがあった。
しあわせな世界
カラスカ
TACCS1179(東京都)
2010/10/21 (木) ~ 2010/10/24 (日)公演終了
満足度★★★
兄妹
今作品はコメディな部分はあったものの笑い殺されそうになるくらいのコミカルさはほんのちょっと。その分、終盤に観客を泣かせることに終始したらしい本。友情と兄と妹と家族の物語。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
両親を事故で亡くした富雄と麻由美の幼い兄妹。二人は親戚に引き取られる形でその町にやってきた。しかし親戚の西本家でも同じ事故の犠牲となって理枝の母が亡くなっていたのだった。母の事故の原因となった富雄と麻由美の両親を恨む理枝。だからその子供たちの富雄と麻由美も許せなかったのだった。
しかし、富雄と麻由美にはガキ大将やにんじんと言われる温かい人達との友情が芽生えていく。そんな皆に囲まれて二人は紆余曲折しながらも大人になるまでを綴った物語。
小学生から中学生までの彼らの青春はまるでアニメちっくでワタクシが一番ウケたのは風見鶏(久高)の仕草だ。毎回と言っていいほど久高にはヤラレル。なんつーか、やっぱキモイほどに面白いのだ。
水に戯れる夏休みの子供みたいに彼らはいつも賑やかに過ごしていたが、麻由美が高校生になったころに施設に勤めることを希望するようになる。それは寂しい思いをしている子供たちを少しでも幸せにしてやりたい。という気持ちからだった。大人になってその夢が叶い自身も幸せそうにしていた麻由美だったが、ある日、自動車事故によってその命が絶たれてしまう。
絶望に打ちのめされる富雄。時が止まったかのように呆然自失となった富雄を友人たちが麻由美を引き合いに出して励ますシーンはやはり泣ける場面だ。
今は亡き麻由美が彗星に願いをかけた言葉「お兄ちゃんが幸せになりますように・・。」兄弟愛を前面に出したベタな物語だが、まっすぐ伸びた直球勝負はやはり心が打たれるのだ。
物語は正直言って雑だ。ストーリーの全てがコメディなら、笑わせてくれればそれでOKなのだが、こういった芝居の場合、やはりもうちょっとじっくり練りあげて欲しいと思う。キャストらの演技力にも課題が残り、少し惜しい気もしたが、コメディと感動でのMIX劇だった為に、少し辛口になってしまう。
いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校
ロロ
新宿眼科画廊(東京都)
2010/10/17 (日) ~ 2010/10/24 (日)公演終了
満足度★★★★
「いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校」
ロロ初見。良かった。
ネタバレBOX
「第三小学校」を見間違えて、小学三年生の芝居だと思っていたが、六年生でした。
大人への階段を登る途中で、不可思議なもの・人に出会い別れる。
喜び、孤独、死、生。
NHK少年SFドラマシリーズをなんとなく彷彿させるような懐かしさ。
見ている途中で、
初期の山の手事情社や劇団青い鳥を見たときのことを思い出していた。
新宿眼科画廊という小さな空間であることも良かった。
蛇足だが、北川麗が昔の会社の同僚に似ていて、せつなさ二倍だった。
「オリーブ」
陽なた
d-倉庫(東京都)
2010/10/19 (火) ~ 2010/10/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
心温まる感動ストーリー
まず何と言ってもプロのミュージカル俳優たちが小劇場で観られることに感動しました。
歌唱力も折り紙付きでストーリーも良く練られていて人気盛況が頷ける素敵な集団だと思いました。
毛皮族のウィークエンド軽演劇
毛皮族
リトルモア地下(東京都)
2010/10/15 (金) ~ 2010/10/24 (日)公演終了
満足度★★★★
P演目観劇
工業系会話劇なんて言われても何のこちゃ分かりませんが、
1時間ゲラゲラ笑って気持ち良く帰れた。
劇団員のスペックが確実に上がってるように感じる。
そして、武田さんは今回もギリギリアウトだ(笑)
他の演目も観たかったな。
おそるべき親たち
TPT
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2010/10/21 (木) ~ 2010/11/03 (水)公演終了
満足度★★★★★
観逃すな!
初日を観劇。芸劇の小ホールがかつてのtptの本拠地、ベニサン・ピットに変貌していたのに、まずびっくり!想像力の賜物。
今秋、何は無くとも「Must See 観るべき」芝居の1本。
フランス前衛アート、コクトーワールドがきちんと池袋の小劇場で成立しているのにまたもやびっくり。もちろん、これぞ舞台俳優という役者陣の演技も必見。
GLADIATOR-奴隷と皇帝-【ご来場ありがとうございました!!】
劇団三年物語
萬劇場(東京都)
2010/10/16 (土) ~ 2010/10/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
両バージョン観劇
10/21奴隷バージョン、10/22皇帝バージョンを観劇。
2バージョンでの公演となっておりますが、どちらも濃密な物語で、また展開がスピーディーで時間があっという間でした。(スピーディーといっても、物語が解らなくなるほど早くもなく、物語にのめり込む・引き込まれるスピーディーさです)
どとらのバージョンも面白かったです。
また、衣装も時代にマッチしていました。
ネタバレBOX
奴隷バージョンはこちら側だけ見ても物語が完結するというか、物語量十分との感じでしたが、皇帝バージョンは、奴隷バージョンで補完する感じに仕上がってると思いました。
(まあ、これは観た順番とか、ラウィウス(栗城宇宙)とルシラ(馬渡直子)のやり取りのセリフから、皇帝バージョンが回顧録的な物語と感じたのもあると思いますが)
THE COBE[ザ・コーブ]
劇団チャリT企画
インディペンデントシアターOji(東京都)
2010/10/20 (水) ~ 2010/10/24 (日)公演終了
満足度★★★★
モーたまらん…牛だけに
チラシに惹かれて観劇。チャリTの舞台は3年ぶりに見ました。ハチャメチャでした。時事ネタと懐かしいネタとシュールな雰囲気でケラケラ笑ったけど、煙に巻かれた感じがするなぁ。深い意味があるのか、ないのか…。でも意味なんて考えなくても面白かったです。
ネタバレBOX
ザコーブが上演中止になって代わりに上演される、劇団口口(くちくち)『ボーイミートボールガール』の話。ロロ(ろろ)の『ボーイミーツガール』を想像させる仕掛けも楽しい。愛だの恋だの正面きって言うのは恥ずかしかったり、生まれる前に付き合ったり、殺人鬼だったり。あと、ザコーベだったり、ボーイミートボールだったり。
「ボーイミートボールガール」は、路上に巻かれたミートボールに関わる色んな人がああでもない、こうでもない言う話なんだけれど。路上は誰のものでもなくてそこにミートボールを投げる事はいけない事か。犬を食べる事はいけない事か。それが人肉ならどうか。悪くなくても認めちゃえばいいのか。タイトルに隠された、良い意味で最高にクダラナイオチも含めて、気持のいい70分で、もっと見てたかったなぁ。
8:2(ハチニー)の男
東京パチプロデュース
劇場MOMO(東京都)
2010/10/19 (火) ~ 2010/10/24 (日)公演終了
満足度★★★
ストレス溜るー!
別に教訓があるというわけではありませんが、大人の寓話、イソップ物語のようなお話でした。
ネタバレBOX
8:2や2:8は善と腹黒ではなく、気弱でお人好しと本音の比率でした。
善なら金を持っている人をタダで診療するわけはありません。公平さや病院経営のことを考えるはずです。ということで、いらいらしながら見ていました。
案内役の紙芝居屋さんの進行で進みましたが、私の好みではありませんでした。
いちいち案内役が説明するために、性格が入れ替わる純粋に面白い話なのに、説教じみた話になってしまいました。
ハチニーとニハチがドアから登場したり退場したりするタイミングはぴったりでした!ニハチの顔の表情、腰を動かす身のこなしなど、良かったです!
ケイジ/LIFE SHARE
EgofiLter
新宿ゴールデン街劇場(東京都)
2010/10/21 (木) ~ 2010/10/24 (日)公演終了
満足度★★★
不思議といける
なんかへんにおもしろいんですね、ちゃんとじゃなくて。で、へんなひとたちのはなしみえて違った、ような。
ジョアンナ
キョードー東京
THEATRE1010(東京都)
2010/10/20 (水) ~ 2010/10/23 (土)公演終了
満足度★★★★
面白かったあ!!
もう、すっかり騙されました!
ネタバレBOX
てっきり9世紀のジョアンナのことかと思っていました。『トップガールズ』にも出てくる女性なので、そのこともあって関心がありました。ただ伝記物になると、彼女の一生か半生かを勉強することはできるけれども、冗長になるのかなと心配していました。
食事をするために修道士の恰好をしたのを見て、駆け落ちのためじゃないんだと思い、そういう描き方をしているんだと、それでもまだ9世紀の話だと思い込んでいました。テンプル騎士団と言われてもいつのことか分かりませんし…。
ジョバンニ2世になるかもしれないという台詞を聞いて、初めてあのジョアンナとは違う話だと気付きました!
テンプル騎士団が壊滅させられた14世紀初頭の話でした(今調べて)!!
もうすっかり騙されて、半生記どころじゃなく、数週間から1、2ヶ月の話でした。冗長になるはずもなく、テンポ良く進み、あっという間に臨時教皇という裏ワザで教皇の座に上り詰める快挙に快哉快哉!!
教皇になるときに性別を判断する検査があることを知り、「でかっ!」のシーンに大笑い!
GLADIATOR-奴隷と皇帝-【ご来場ありがとうございました!!】
劇団三年物語
萬劇場(東京都)
2010/10/16 (土) ~ 2010/10/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
皇帝編をみました
お誘いを受けて何も知らずに行って来ましたが、凄かったです!
熱く、真剣で、勢いがありながらも、所々の笑いが良いアクセントになっていると思いました。
日程が合わず、皇帝編しか見れませんでしたが、是非奴隷編も観てみたかったです。
ウンジュよ
ウンジュよ実行委員会
イワト劇場(東京都)
2010/10/22 (金) ~ 2010/10/24 (日)公演終了
満足度★★★★
胸を打つ沖縄戦の物語
哀しい物語を大場久美子がしっかりと聞かせる。爆音、スライド、照明、それらが効果的に挿入されて、まるで朗読劇ではなく、一人芝居のように魅せられた。
二部の島唄はとても楽しい。その楽しさの中に、胸をうつサプライズがあったりして演出家としても大場久美子はなかなかやるぞと感じた。
なによりもこの「ウンジュよ」を自分のライフワークにするのだという意気込みが公演の全てから感じられ、それが観客の心を動かす。もう50歳ということを聞いてびっくりした。いつまでも若さを失わない大場久美子だがあえてこういう作品を選んだことにも拍手を贈りたい。
ジャパニーズ・スリーピング/世界でいちばん眠い場所
遊園地再生事業団
座・高円寺1(東京都)
2010/10/15 (金) ~ 2010/10/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
「眠り」×「コラージュ」="ドラマ"
宮沢氏の言葉から「メタ」で「前衛」的で分り難い作品なのかな、と
思ってたら、結構考えさせられたり、思わぬところで笑わせられたり
集中して観ることが出来た、面白い作品でした。
宮沢氏のエッセイに出てくる、真面目な感じの中ふと放りこまれる
笑える言葉。 アレが好きな人は結構ツボじゃないかと思います。
ネタバレは、「大いに混乱していますが、それによって読み手が
集中出来ることもある」と信じてます。 書いている私自身は(苦笑
ネタバレBOX
私は基本的に「メタ」「セカイ系」という言葉って大嫌いなんです。
どうでもいいこと、分り易いことをワザと小難しくて針小棒大に語るので
いっつもアホくせーと思ってきたわけだけど。
遊園地再生事業団の、ゼロ年代(この言葉も嫌いですが)を突き抜けての
「ジャパニーズ・スリーピング」は確かにその匂いも感じつつも、どこか
開けて、前向きで、「メタ」「セカイ系」の持つ子供っぽさ、独りよがりさとは
凄く遠い作品のように思えた。 それがまず嬉しかったです。
パンフレットの、野田氏との対談を読むと
「物語」―無邪気に「感動」「メッセージ」「サービス」の集合
が量産されることに深い危惧を感じているようですね。
正直、すごく共感しました。
「物語」には力があると、よく言われる。
実は、私は本当にそうなの? とずっと前から考えることが多かった。
「整理され」「分り易くされ」「山があって谷があって」、そして最後は
「余韻を残して終わる」。
そんな、演劇に限らない、全エンタメに共通する、期待を裏切らない
感情を揺さぶってくれる、そんな「文法」に辟易しててどっかでそれを
裏切ってくれないかな、と思ってました。 誰かに。
本作品は、序盤に登場人物によって解説されるように、
一定の流れに沿わない、混乱した構成を持っている。
人々へのインタビュー、眠りをめぐる数々のエピソード、古今東西の
書物からの眠りについての部分の抜粋…
それらはコラージュされ、バラバラにつなぎあわされた構成のまま、
観客の前にぶつけられる。 時々、語られる内容が「眠り」なのか
「現実に起こったこと」なのか。
語りが何度も繰返される中、境界線が徐々に分らなくなってきたところに、
今度は本当の(私たちがまさに実際に日常で体験している)「現実」が
呟きのように、でも生々しく入り込んでくる。 その光景は何というのか…
「演劇」を真面目に考え続けた結果、それを飛び越えて「現代アート」の
領域にまで越境してしまった感じ。 あの舞台美術も目にしてまず
脳裏に浮かんだのは、その印象。
観ながら、この「ジャパニーズ・スリーピング」を世界で上演した場合、
観衆はどういう反応を取るのだろう、と考えていました。
「アメリカン・スリーピング」になるのだろうか? 「チャイニーズ・
スリーピング」になるのだろうか? いや、なれるのだろうか?
その一点に興味が俄然わきましたね。
また同時に序盤で言われるように「一定の法則にしたがって
流れる「物語」を排することで、改めて人々は俳優に、ドラマに
集中する事が出来る」。 次に何が起きるか分からない。
そのスリリングさに一番人は刺激を受けるのです。
この作品の台詞はよく耳を傾けていると分かるけど、
ちゃんと計算されて丁寧に練られて書かれていると思います。
だから、言葉がすうっとはいっていくし、印象に残り易い。
皆が一種の気持ちよさをこの作品に感じるのは、何よりも
「音楽的」だからではないでしょうか。 冷たいけど、どこか
透明な印象を与える、水の中のような舞台美術も、
恐ろしく程に緩急付いて、自分をコントロールし切っている、
空間と一体化している俳優達も、
全て調和がとれていて一定で、耳障りなところ、ノイズが入るところが
一か所も無い。 これは、私よりも、年間数十~百本演劇を観て、
映画を観て、その声高っぷりに一種鬱陶しさを感じる人の方が
共感すると、私は確信しています。
ヘンな感情移入を避けるために、意図的に切り刻まれているだけで
そうすることで観客は台詞に、言葉に集中し、かえってそのことに
気が付くのではないでしょうか?
宮沢氏の名著「演劇は道具だ」(2006)に、「ただ立っていることの強さ」に
言及している箇所があります。 曰く、
「ただ立っていることで、あなたは裸にされ、その強さも弱さもたちどころに
見透かされる」
「その時、触れれば立ちどころに崩れ落ちてしまうからだではいけない。
強いからだをもたなくてはいけない」
本当にそうだと思う。 そして、「ジャパニーズ・スリーピング」は。
弱いからだ―「物語」にもたれかからない、強度の強い「drama」(決して
playではない)と感じました。
最後に。
笑いを入れるところが絶妙ですね。 張り詰めたところに、牛尾千聖が
バスタオル何枚も重ねて~とぶっ飛び出した時には思わず笑った。
牛尾千聖良いなあ、やついの、無視されキャラっぷりも大いに笑う(笑
眠れないことに悩み続ける三人組が脳内物質を見つけにどっか
行っちゃうエピソードもウケた。 「何処へ行くんだ?」「メラトニンを
見つけに!!!」「そっか…頑張れよ(やけに晴れやか)」 見つかるのかよ(笑
あと、女性陣が妙に官能的でした。 というか、過ぎでした。
最前列で観ていたので田中夢が後ろのスクリーンにドアップで
映写された時、本当にどうしようかと思った。 山村麻由美の、
静謐な佇まいも、負けず劣らずなんかエロティックでした。
役者の立ち位置が皆ホントに良い。 ピタリとはまりこみ過ぎて
この人は、もうこの役しかあり得ない、と思えてくるのが、宮沢さん
凄いと言わざるを得ないです。
来年も、遊園地再生事業団で本公演あるらしいので、大いに
期待したいところです。
Easy go
Func A ScamperS 009
ザムザ阿佐谷(東京都)
2010/10/15 (金) ~ 2010/10/17 (日)公演終了
満足度★★★★
相変わらずな面白さ
以前に観たままの、しっかりしたストーリーに笑いやダンスが散りばめられて、安心して観られるお芝居でした。
充分楽しかったのですが、あえて言うなら、
今回、劇団員のみでの初公演とのコトだったので以前とは違ったモノが観れるかな?!と、思ったのですが、あまり印象が変わらなかったのがすこし残念だったのと、出演者の少なさを感じました。
ただこれは脚本と演出によって解消できるのでは、と思うのですが…
元気で行こう絶望するな、では失敬。
パラドックス定数
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2010/06/25 (金) ~ 2010/07/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
闇(森)は背中に広がる
パラ定の数ある作品の中
もしかしたら今作が一番好きかもしれん!
いや・・・、きっとまだまだ *笑*
ネタバレBOX
目覚めていてもまだ足下の覚束ない男子
彼らが大音響に合わせ迫り上がるオープニング
日常の雑音と有り余る未熟なチカラを振りかざしコチラの五感を圧してくる
戻らなかったあいつは誰の心にもあるミッシングピース?
かつて理由もなく強かった自尊心やプライドで練り上げられた
デリケートで脆弱な自分の半身?
あいつを忘れて大人になってしまった私(観客)の席は
未来への恐れと若さゆえの混沌をも呑み込む森を
背にしていたように思えて、途中から背後が薄ら寒い心地さえした
そうしてもう戻れないトコロにいるのだと当たり前のコトを
改めて感情の襞にゴシゴシと擦り込まれていく
忘れていた薄情な私に
ありったけの大きな声でエールを送るあいつ
胸を突かれ不覚にもなにやら熱いモノが込み上げる
言霊の共鳴とクラッピングの喧噪の中、どこか切なく甘美な後味が残った
野木さん、やっぱり貴方の作品が大好きです
2番目、或いは3番目
ナイロン100℃
本多劇場(東京都)
2010/06/21 (月) ~ 2010/07/19 (月)公演終了
満足度★★★
うまいことを仰る
コチラの感想で「ケラ風チェーホフ」とな。
なるほど、上手いことを仰るような気がしました。
だからかな、チェーホフが苦手な自分にはイマイチいけなかったんですね。
ネタバレBOX
チェーホフよりはイプセン(単なる赤毛モノ・洋物の括り)な自分は
こういったケラさんらしくないモノも見たいと思っていたので・・・
とにかく美しい準劇団員を拝めたので満足ではありますが
次回作はどんな感じのモノを見せてくれるのか
じっと待ちたいと思って劇場を後にしました
グロリア
ハイリンド×サスペンデッズ
「劇」小劇場(東京都)
2010/10/14 (木) ~ 2010/10/24 (日)公演終了
満足度★★★★
どんな時代だったとしても
人生はあっという間だ。
生まれ落ちる時に時代も場所も環境も選べず放り出され
右往左往、悲喜こもごも沢山の想いを紡いで暮らしていく。
泣き笑い怒り悲しみ、丸い地球の上の本当に卑小な私達。
時に信じた正義に裏切られ、その真実も見えず知らず
哀しみのバトンは予期せぬ誰かの手の中に堕ちたりもする。
そうして巡る幸せも痛みも全ての総量は一定なのではないか?
それでも生ききってこそ
そんな愛おしい時間に想い至るラストにキュンと来た。
ネタバレBOX
人生を全うしてまさに旅立とうとする老女。
家族には惚けていると思われている彼女の残した文章を
生活に窮々とし、ささくれた気持ちで固まってしまった孫が読み進め
果ては彼が彼女の少女時代に成り代わる。
観客は少女の彼と共に老女の心に映る原風景へと旅に出る。
旅立つ時に自分はどんなことを思うのか。
喜びに満ちた一瞬の輝いた時か、口をつぐみ蓋した苦い後悔の時だろうか。
省みて戻りたいと思える時代、時期はいつだろう。
メビウスの輪のように繋がるラストの優しさは作家の持ち味?
そういえば、家で待つ人と話していないことが沢山在る。
帰り道は少しだけ柔らかい気持ちになった自分に笑いが出た。
ポテチ
BS-TBS
青山円形劇場(東京都)
2010/10/14 (木) ~ 2010/10/24 (日)公演終了
満足度★★★★
予想以上
原作ファンだけに多少の不安を胸に観に行きましたが、良い意味で裏切ってくれました。観劇前、この話は男性キャスト次第だと思いましたが、哀しいとか切ないとかとは単純に言い切れない凄い複雑な感情を抱えた青年を演じた加藤晴彦氏、全てを達観しているかのような中年を演じた山本亨氏両氏とも素晴らしかったです。勿論、他のキャストも良かったです。
ただ、本来なら満点の評価にしたいのですが、やはり原作ファンとしては削って欲しくないエピソードがチョコチョコ削られているのが気になりました。話としては無くても良いので、何が悪いとかじゃなく原作に思い入れが有り過ぎる自分のせいだと思います。