『希望』 -チェ・スンフン×日本人俳優-
劇団チャンパ
d-倉庫(東京都)
2012/03/14 (水) ~ 2012/03/15 (木)公演終了
満足度★★
醜・悲・痛
まるで役者の身体が試されているような舞台。
「コトバ」のない詩。
っていう感じで、いいな、と思ったところもあったのだが…。
ネタバレBOX
冒頭から台詞を廃した舞台に、「これはイイかも」と思ったのだが、どうも響いてこない。
何故だろうと思ったら、静から激していくパターンが、それこそワンパターンに繰り返されるからではないかと思った。
ホワイトノイズのようなものが全編に聞こえ、それが轟音になっていくのはちょっとシビれるのだが、それにほぼ合わせて舞台の上では、激してくる。
静にあって、動作を制御している役者が、徐々に気持ちを高まらせていくというのは、やっている役者にはもの凄い快感があるのではないかと思った。
それがあまりにもワンパターンでどうも不感症になってきてしまうようだ。
演出家から与えられた課題を気持ち良くこなしている感じというか。
確かに当パンに書いてあったことで作り上げられた舞台であることは、理解できた。
しかし、やっぱり何か響いてこないのだ。
混乱しつつ、さらに乱れていく舞台の上と、淡々と進む役者の身体の対比は美しくなっていくと思ったのだが、やっぱり私には響かない。
そうなると、なんとなく舞台の上にあるものが、「意味ありげ」にしか見えてこなくなってくる。
女性の叫び、特に悲痛な音に聞こえるものが多く、それが、どのシーンであっても不快にしか聞こえなかったのも残念。
「醜」や「悲」や「痛」の中に、「美」もあるはずだと思ったのだが。そんな感じにまで突き抜けて行かないもどかしさ。
もちろん、粉のシーンはよかったけれど…。
これも、役者には快感なんだろうなぁ、という他人事の感想しかわかなかったのだが。
「希望」って何だっんだろう。
「何か」が、「どうにかなると」もの凄い舞台になるような気がする。
とは言え。その「何か」が何なのか、「どうにかなる」とは何なのかは、皆目見当がつかないのだ。
こういう言い方が適切がどうかはわからないが、観る人を選ぶ舞台であったのではないだろうか。で、私は選ばれなかったということで。
平たく言ってしまえば、2時間という時間の長さはそれほど感じなかったものの、特に後半は苦痛でしかなかったという体験を久々にした舞台であった。
音響の感じはよかった。
それと地震のほうが、舞台の上よりもインパクトと、気持ちの揺さぶった、ということもあったのかも。
掏摸―スリ―
サイバー∴サイコロジック
OFF・OFFシアター(東京都)
2012/03/14 (水) ~ 2012/03/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
素晴らしい
ストーリーは文句なし。セットの使い方が絶妙。過不足のない役者の素晴らしい表現力。悪、邪、望んでいないのに転がり落ちて行く悲しさの中に、時折垣間見るおかしさの演出。サイバーサイコロジックを初めて観ましたがとても魅力的。観て損はない。強いて言うなら、上演作品としてもう少しだけコンパクトに構成できたなら言うことはない。
【耳のトンネル】満員御礼!ありがとうございました。
FUKAIPRODUCE羽衣
こまばアゴラ劇場(東京都)
2012/03/09 (金) ~ 2012/03/19 (月)公演終了
満足度★★★
カネゴンに爆笑
とてもカワイイ作品です。
当パンにがっつり系と書いてあるけど、脳みそを揺さぶられる妙な感じがなくて残念。
意味不明な面白さが影を潜め分かりやすい面白さになっていました。
笑いも多く、初羽衣でも楽しめると思います。
遅めに会場に入ったら通されたのが桟敷席でお尻が痛くて参りました。
数センチ目の前で妙ージカルが行われるため足も伸ばせず痛みとの戦い。
これがなければもっと集中して見られたのにな。
通路の補助席にしてもらえばよかった。
前作が☆4、今作は☆3。
「甘え子ちゃん太郎」は衝撃的で理解できないまま終わり、何度も何度も思い返し、今でも思い出すくらい。
半年経ち☆2.5から☆4まで成長しました。
この作品も伸びしろがあると感じました。
ネタバレBOX
男子中学生の思春期がメイン?
金子さんの初体験のソワソワ感が面白すぎて大爆笑!美声も最高!
高橋名人の冒険は声が聞き取りにくかった。汗っかきのくだりは笑った。
澤田くんとクロムの幸田さん素敵でした。あの歌、歌詞カードにないんですね。
ラブホチャペルの場面は長かったなー。すべてのカップルやるまで終わらないと知っていても長かった。その後の浮気のシーンも長かった。あのあたりで見ているほうも疲れが出てきました。
昌子!昌子良かったよ!おかみ!昌子!次回も期待してます。
深井さんはキュートだなー。頬を撫でてくれてありがとうございます!
耳かきのシーンで地震が。会場から緊急地震速報が何台か。
電源切っていても鳴るもの?電源オートオンになるの?鳴っても出て行かないんだし電源から切って欲しいです。
『希望』 -チェ・スンフン×日本人俳優-
劇団チャンパ
d-倉庫(東京都)
2012/03/14 (水) ~ 2012/03/15 (木)公演終了
満足度★★★★★
キクなあ。。。
会話のない舞台。
抽象的な身体表現&メタファにあふれていて、最初は、面食らったが・・・。
開演30分くらい経った頃。
舞台上で繰り広げられているものに対して、地獄絵図のように重苦しく、鳥獣戯画のように軽妙に「人間そのもの」を表現してるなあ、と感じ始めてから、グイグイ引き込まれた!
舞台上で繰り広げられる世界に、ズッポリズブズブにひたりきった!
そこからの90分。あっという間に感じた。この手の舞台では、初めてかも。
この舞台は、韓国の演出家チェ・スンフンさんが、「説明」に書いてあるようなテーマを、役者さんに投げかけて、それぞれのシーンを作り上げていく・・・という作り方をしたらしい。
それらのシーン。
これは、観る人それぞれで、感じ方もおもしろさも違ってくるんだろうなあ。
「正解」を探るんじゃなくて、身近な人々や街の風景を想起したら・・・とってもリアルになった。 ま、ボク自身が持ち合わせている「業」や「欲望」「生き様」そのものなのかもしれないけどさ・・・「自分のことはさて置いて」のほうが、気がラク(笑)
チェさんの用意する「正解」はあるんだろうけども・・・それぞれが、何かを感じ取って、人生の色付けに使えたら、それでイイと思った。
アフタートークでは、謙遜の言葉が連発した役者さんたち・・・。
その身体表現、すばらしかったです!おもしろかったです!脳に身体に・・・ビンビンきました!!!
ネタバレBOX
身体に養生テープで書物を張り付ける男。でも、内面に浸透してないあたり・・・ボクみたいだね。
いろんなものを欲しがる女。でも、欲しいものが多すぎて、挙句の果て、なにが欲しいのかもわからなくなって、結局なにも残らない・・・ボクはそうじゃない、と思いたい(笑)
欲望のまま生きる女。結果、訳わからない状況に・・・そんな時もあるよね。
禁欲的で有りたいのに、袋小路に迷い込む男・・・そんなもんだよね。
作られた知識・情報から逃れようとしても・・・それらは結局、誰かが引き継いでしまう。同じことの繰り返し。
純粋無垢で、希望にあふれた赤ん坊だって、育てるのは今を生きる人間だから。
芸術や宗教だって、所詮は気休め。
ま、芸術とは?宗教とは?なんてどうでも良くて、「人生、寝て食ってヤッて、チョン」で充分って思いもあるにはあるんだけど。
それはそうと・・・
トイレからキャベツが出てきちゃった時は・・・唸ったなあ(笑)
あと、白塗り(←親しい人の骨粉を塗ったくってる状況?)って、凄いわ。
この『希望』を観て、初めて白塗りが放つ力強さに酔いしれた。
春風亭小朝 独演会 2012
シアターネットプロジェクト
エルガーラホール 大ホール(福岡県)
2012/03/10 (土) ~ 2012/03/10 (土)公演終了
満足度★★★
若様が行く、いつまでも
小朝師匠、毎度、「巧いなあ」と思ってはいるのだ。
『中村仲蔵』で、定九郎を見事に演じきった仲蔵が、師匠の伝九郎を前にして涙を流し、頭を垂れて礼を言う時の仕草など、本物の仲蔵もこうであったかと思えるほどに真に迫って見える。
でもこれは噺家の「芸」と言うよりは役者の「演技力」だよな、と思ってしまうのだ。だから「演技」が臭くなると、途端に馬脚を現してしまう。「芸」は一つの様式であり「型」であるから、ちょっとやそっとのことでは揺るがない。声と間と所作と、一度確立されたなら、何度聞いても笑える。
けれども、演技が臭いまま固まってしまうと、一度目は笑えても、二度目はもう持たないのだ。飽きると言うか、鬱陶しくなる。小朝が「巧いまま上達せずにここに至った」原因は、そのあたりにあるのではなかろうか。
誉めてるんだか貶してるんだかよく分からない文章になってしまったが、実際、未だに小朝師匠は「下町の若様」のままなのである。
それでも独演会があると聞けばついつい足を運んでしまうのは、『三匹が斬る!』でファンになっちゃったからなんだよね。多分、来年も観に行くんだろうなあ。
ネタバレBOX
『牛ほめ』春風亭ぴっかり
去年の11月に「春風亭ぽっぽ」から「ぴっかり」に名前が変わって、二ツ目昇進。でも出囃子は『鳩ぽっぽ』のまま(笑)。
「ぽっぽ」時代に『悋気の独楽』を聞いたことがあるが、その時はかなりつっかえつっかえで、たどたどしかった。それが今回は格段に進歩、すっきりして流暢な語り口になっている。マクラで、「お客さんから『名前覚えたよ! ぽっかりちゃん!』、どうやら混ざっちゃったようで」と、ここからお客さんをすんなり掴んでいる。
本編は特に大きな改作は無し。親父から、伯父の佐兵衛の家普請と飼い牛を誉めてくるように言付かった与太郎が、言い間違えまくる噺。「天角地眼~」のあたりは現代人には通じにくいので端折る噺家も少なくないが、これもキッチリ演った。ただ、言い間違いを親父のところと伯父さんのところで二度繰り返したのはちょっとくどかった。あれはぴっかりちゃん、間違えちゃったのか、だめ押しした方が面白いと考えたのか。
口跡はよくなっているが、声質が可愛らしいのがかえって損をしている面もある。与太郎は馬鹿というよりコドモだし、親父さんたちはもう一つ大人の貫禄がない。語りに淀みがないと言っても、実はまだちょっと“焦り”が目に付く。
でも“伸びしろ“はあるようなので、真を打てるようになってほしい。女に噺家は無理だとは昔からの言い習わしだけれども、そんなことはないと思っている。なんたってぴっかりちゃんは可愛いのだ(実はトシを聞くとビックリするけどね)。
『宗論』春風亭小朝
一応、古典落語ではあるが、大正期に改作されたものだとか。
元は浄土真宗の親父と、日蓮宗の息子との宗教論争だったものが、息子の宗教がキリスト教に変えられたのだそうな。
キリスト教にかぶれた息子が、旧弊な親父を何とか折伏しようとするのだが、喋れば喋るほど、キリスト教が胡散臭く聞こえてきてしまう。
小ネタの集積で笑わせる噺だが、得てして一つ一つのネタの出来に差が生じてしまうものだ。
「マリア様ハァ、処女にしテ、イエス・キリストをお産みになりマシタ」「処女で妊娠!? 馬鹿言うな。それじゃあ白百合女学院は妊婦だらけだ」「オーウ、それは間違いデース。白百合ニ、処女ハ、スクナーイ」
このあたりは予測が付いても面白いが、「この中ニィ、私を裏切る者がいマース。テーブルの上ノ、飲み物ヲ見れば分かりマース。これハァ、葡萄酒だァ、これハァ、水だァ、これハァ、“湯”ダァ」。
と、ダジャレで落とすのはいただけない。それでも客席には結構な笑いが起きていたのだが、「よくお分かりにならない? ではもう一度」と、二度も繰り返したのは、予めの段取り通り演ったのだろう。ここは充分受けてたのだから、一度だけでだめ押しをする必要はなかった。ちゃんと客席を観てないのがバレバレである。
サゲが「汝、右の頬を殴られたラ、左の頬を差し出セ。眼には、眼ヲ、歯には、歯ヲ!」と言って親父さんを殴ろうとするのだが、いささか乱暴で、気持ちがスッキリしない。
息子の口調をことさら大仰に、「外国人訛り」にして演じさせたことも、かえって息子のキャラクターからリアリティを奪い、笑わせることに失敗しているように思える。この噺はもっと面白くできるはずだ。
『ぼやき酒屋』春風亭小朝
桂三枝作の新作落語だが、居酒屋に来た酔っ払いの客が、愚痴やら冗談やらを言いまくるという設定だけを借りて、中身は殆ど春風亭一門でよってたかってこしらえたもののようだ。三枝の落語はどれも「どうだ巧いだろう」という押しつけがましさが鼻につくので、小朝の方が格段に面白い。
スイカを見ながら、客が「スイカってのは家族団欒で食うもんだ。去年はみんなで食べたわよねえ、そう、去年はまだ、そこにお爺ちゃんがいたのよね。今年は…・・・お婆ちゃん?」と、ここでお婆ちゃんのいる方に目を向ける仕草がまた巧い。急に高座が面積を広げて、そこに家族と、少し離れたところに、本当にお婆ちゃんが座ってスイカを食っている姿が見えるような気がしてくる。
客が主人に「あんた、好きな芸能人とかいる?」と聞くと「恥ずかしながら、くーちゃんで」「誰?」「倖田來未」「ああ、中国の」「……お客さん、それ、江沢民」。ただのダジャレではあるが、これなど私は結構気に入っている。ただ、客席はそんなに受けてはいなかった。恐らく、倖田來未も江沢民も、よく知らない客が多いのだ。
実際、時事ネタでも、受けがいいものと悪いものとの差が激しい。「最近、誰か噺家で死んだやつがいたよねえ……圓歌か」というのは全くと言っていいほど笑いが起きなかった(圓歌は死んでないよ。念のため)。年寄りでももう、あれだけ一世を風靡した「山のあなあな」の圓歌と言うか歌奴を知らないのだ。談志もそれ誰?って客も少なくないんじゃないか。
反面、「世襲ってのはよくありませんね。政治家も噺家も」とか「奥さんの選び方には気をつけなきゃいけませんよ」という「楽屋落ち」と言うか「身内落ち」というか「元身内落ち」は大いに受けているのである。どうも客層の情報収集の範囲がよく分からない。
サゲは「お客さんのご商売は?」「俺? 向こうで居酒屋ヤッてんだ」という、これは三枝の原作通りの落ちなのだが、やはり笑いは今ひとつ。それはそうだろう。ここでアッと意外な結末で驚かせようというのなら、ぼやく客に、店の主人はもっと困っていなければならない。そうでないと、その客自身も、散々悪態を吐く客に困らせられた経験があるのだという、落ちのウラが、客にピンと来なくなるのだ。
この噺では、主人は聞き手一方で影が薄い。改作の余地はまだまだあるはずである。
〈仲入り〉
『水戸大神楽』柳貴家雪之介
皿回し芸である。包丁三本で回したのはなかなか凄かったが、どうも先日「クーザ」を見た直後だと、そんなにびっくりできない。もちろん雪之介三の責任ではないのだが。
『中村仲蔵』春風亭小朝
トリは大ネタ。円生、彦六、両師匠も得意としていた、歌舞伎の中村仲蔵の史実に基づく逸話の落語化である。独演会でも、地方によっては軽いネタ二席くらいで終わらせることもあるようなので、一応、小朝師匠、福岡のお客さんを大事にしてくれてはいるようである。
名題(歌舞伎における真打ち)になった仲蔵だったが、立作者の金井三笑の嫌がらせを受けて、次の『忠臣蔵』では端役の斧定九郎役しか振られなかった。ところが逆境を芸を磨くチャンスと気持ちを切り替えた仲蔵は、それまでにない黒羽二重の出で立ちに、悪逆かつ凄惨な定九郎を演じて、大向こうを唸らせる。師匠の中村伝九郎(勝十郎)に誉められて涙を流したところ、伝九郎から「おいおい、芝居はまだ初日だぜ。楽にはしない」と言われてサゲとなる。
このサゲは噺家によって随分変わるようだが、小朝のサゲは、その前の愁嘆場が妻のおきしとのやりとり、それから伝九郎との一席と、時間を充分にとって聞かせてくれるので、最後にさらりと流すのが粋で気持ちがいい。
仲蔵は若僧だから小朝の“身の丈”に合っていていいのだが、師匠の伝九郎になるともういけない。貫禄がないのが頗る惜しい。
ここまで「流されて」きた以上は、小朝が今後、「進歩」なんてするのかどうか、たいして期待はできない。それでも何となく見捨てられないような、放置するとまた厄介な出来事に巻き込まれるんじゃないかというような、余計な心配をしてしまうのである。
アイ・アム・アン・エイリアン
ユニークポイント
シアター711(東京都)
2012/03/13 (火) ~ 2012/03/18 (日)公演終了
満足度★★★★
そうだ、議論しよう
全く同じ条件でドナーからの移植を待つ患者二人。
どちらに移植するべきかを決める審査会に、市民から無作為に選ばれた7人が集まった。
ひとりを助ければ、もう一方はやがて死ぬだろう。
患者は二人とも幼い子どもである・・・。
普通の人がこんな重い選択を迫られるとき、人は何を基準に判断するのか。
そもそも人が決定出来ることなのか?
ストーリーは私たち市民の目線からブレることなく、
観客がちゃんとついて来ていることを確認するように慎重に進む。
その結果とても現実的で説得力のある舞台になった。
ネタバレBOX
舞台いっぱいにドーナツを半分にしたようなテーブルが半円を描いて置かれている。
テーブルは印象的なムラのある赤い天板、背もたれと脚が黒い椅子が10脚。
部屋の隅にはお茶のペットボトルと紙コップが用意されている。
そこへ患者2人との面会を終えたメンバー7人が入って来る。
ゆっくりと客席が暗くなった後は、照明も変化せず、暗転も無く役者はほぼ出ずっぱり。
舞台と同時進行の1時間半、私たちも一緒に辛い選択を迫られるのだ。
メンバー7人のキャラが明確でとても面白い。
ライターの男が移植の基礎を説明するのも、難しい話がすんなり入ってわかりやすい。判断のよりどころとなるのはやはり正確な情報だと思わせる。
とにかくさっさと終えて帰りたい気持ち満々の男は、全員一致にしようと説得を試みる。
その強引なやり方に強く反発する硬派な女は、議論しない結論は必ず後悔すると言う。
「母親なら絶対…」と感情的に主張する若い母親は次第にエスカレートしていく。
様々な背景が固有の価値観を生み、皆その価値観にしたがって
この難題に立ち向かおうとするのだが、その価値観がぶつかり合ってまとまらない。
やがてメンバーの中に疑問がわいてくる。
「A、 Bでなく患者の名前を知りたい」
「生活保護を受けている母親が美容院へ行くなんて…」
「ドナーの子どもはどうして脳死状態になったのか」
「ドナーの親はどうして移植に同意したのか」
「虐待していたのではないか」
「そもそも移植してまで生きるべきなのか」
この辺りの疑問の出し方が観る側を置いてきぼりにせず丁寧だと思う。
そしてついに決断が下され、全員一致で1人の患者が選ばれた。
解放され、ほっとして場が緩んだとたん、突然移植は中止になる。
誰も予期していなかった理由で・・・。
劇中、「犠牲者の数で悲劇が量られ、寄付金の額で善意が量られる」
という意味の台詞があった。
私たちは「物語」が大好きで、「物語」を欲している、という台詞も。
悲劇のドナー、移植を受けて喜ぶ親子、
死んだ子どもの臓器が生き続けることで納得するドナーの親・・・。
みんな自分を納得させるための「物語」でしかない。
マスコミもそうだ。
裁判員制度はもちろん、震災を強く意識させるこの台詞にどきりとさせられる。
キーワードや根幹にかかわる言葉が出てくると
トイピアノのような無機質な音が響く。
これがとても効果的で舞台にピシッと緊張が走る。
言葉を失うような、はっとするような場面が一瞬静止画になる。
ライター役のナギケイスケさんの静かな、でも誠実でリアルなたたずまいがとてもよかった。進行役の男を演じた古市裕貴さん、最後にメンバー全員にお礼を言う時の一瞬こみ上げた顔が忘れられない。どピンクのパンツを穿いたオネエ役の小林英樹さん、ひょっとして地なのかと思った。
「議論しましょう」という洪明花さんの切羽詰まった声がまだ聴こえる。
「ドナーは、いかなる瞬間でも移植の中止を申し出ることが出来る」という事実。
脳死とは生きているのか、死んでいるのか・・・。
回復の可能性はないが温かい人間とは何か・・・。
深く考えさせられた。
アイ・アム・アン・エイリアン
ユニークポイント
シアター711(東京都)
2012/03/13 (火) ~ 2012/03/18 (日)公演終了
満足度★★★★
エイリアン・・・・・
他の方たちも書いているが、いい作品だけど、やはり二番煎じの感が否めない。
何でもいいから早く終わらせたい、という人が出てくるのも定番ですね。命の重さの感じ方は人によって違う。それこそ、他人の命ならほとんど重さを感じない人から、自分の子供と同じくらい感情移入してしまう人まで。こういう人々の互いに話が通じないジレンマが、議論の末一つの結論を生むまでに変化する過程は見応えありました。話が通じない内は全く相手がエイリアンに見えてしまいますね。
美術、印象的でした。
ネタバレBOX
議論は子供を持つ母親の、レシピエントとその家族に対する同情と涙でだんだんまとまりを見せていきますが、ここら辺はいかにも日本的で残念。もう少し理詰めの議論や臓器移植の現実や舞台裏を見せて欲しかったです。
ストロンガー
散歩道楽
俳優座劇場(東京都)
2012/03/14 (水) ~ 2012/03/20 (火)公演終了
満足度★★★★★
ゆっくりだけど事態は好転?
兄妹のダメさ加減は、財産を狙う不埒な連中を応援したくなるほど。応援してくれる人が周囲にいるうちに頑張りを見せなきゃ、と思った次第。今時の中高校生好演。ワキもがっりち固められていて見応えのある作品でした。
アイ・アム・アン・エイリアン
ユニークポイント
シアター711(東京都)
2012/03/13 (火) ~ 2012/03/18 (日)公演終了
満足度★★★
討論作品
上演時間が90分とほどよい。熱中の面白さがある反面イライラするところもあるとういう、討論の表裏一体がある作品。臓器移植の議論の必要性もさることながら、まずはあなたはどう思うという一石を投げかける。キャラがいまひとつ浮き立っていなかった感じ。
小袖の手
劇団三日月湊
座・高円寺2(東京都)
2012/03/14 (水) ~ 2012/03/14 (水)公演終了
満足度★★★
なかなかです
お芝居とはちょっと違った感じでもありますが、小道具の使い方とシャキッとした台詞回しは心地よかったです。
青春残酷短編集
ENBUゼミナール
笹塚ファクトリー(東京都)
2012/03/13 (火) ~ 2012/03/14 (水)公演終了
満足度★★★
おもしろかった!
短編集でしたが、わかりやすくてよかったです。
加藤さんに注目です。この人すごいなぁ。
掏摸―スリ―
サイバー∴サイコロジック
OFF・OFFシアター(東京都)
2012/03/14 (水) ~ 2012/03/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
ドラマティック!
生まれながらにして、幸せになれない運命の青年は絶望を生きている。
でも最後には運命を自分の手で、しっかりと掴み取る。
きっと幸せとともに。
なんだかとてもドラマティックで、たくさんの場面転換でも気持ちが途切れるコトなくお話が進んで行く感じがとても良かったなあ。
お舞台の世界にすっかり惹き込まれてしまって、時間があっ!と云う間に過ぎてしまった。
美しい映画を観ているような気分になったり。
小説をこんなにコンパクトにまとめるのって、凄く大変だったんじゃないかな。
こんなにドラマティックなお舞台は、ホント久しぶり!
少しでも気になってる方は、観逃さないで欲しいな。
くろねこちゃんとベージュねこちゃん【ご来場ありがとうございました!!】
DULL-COLORED POP
アトリエ春風舎(東京都)
2012/03/14 (水) ~ 2012/04/08 (日)公演終了
満足度★★★★★
鬼才
やばい。
超面白い。
やっばい。
正直、こんな面白いと思ってなかった。
どうせなんかオシャレな感じなんだろと思ってた。
全然違った。
イプセンの『人形の家』に通じるものすら感じる。
エグさが、たまらない。
爽快ですらある。
『バクマン。』好きな人は十中八九好きになれると思う。
※トラックバックで送った記事のコピーにて失礼致します。
死してなお
ふつつかもの
東京大学駒場Ⅰキャンパス(東京都)
2012/03/10 (土) ~ 2012/03/12 (月)公演終了
満足度★★★
家族の知らない家族の顔
後半が面白かったので、もっとコメディにしたら楽しいかもって思いました。
役者さんたちが皆良かったです。とくに長女由起子(七野洋子)が良かった。あと、お父さんの太極拳仲間の酒井くん(岩波史弥)と安田くん(岩波達弘)がいい味出していました。
小袖の手
劇団三日月湊
座・高円寺2(東京都)
2012/03/14 (水) ~ 2012/03/14 (水)公演終了
満足度★★★
テクニカルに・・・
良かったと思います。1回がもったいないです。また観ます。
アンラッキー★ツイスターズ
.comet <ドットコメット>
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2012/03/08 (木) ~ 2012/03/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
構成が巧みでした
序盤から後半にかけてどんどん出てくる伏線に戸惑うばかりでしたが、終盤で一気に解決される様は秀逸でした。ただ、解決編(?)が怒涛の情報量なので、理解しきれなかった部分もあったのが残念。
チラシ文面からミスリードを誘っていたのでしょうか。まんまとひっかかってしまいました。良い意味で期待を裏切られました。
役者さんの芝居も、勢いがありとても個性的。話が若干難解気味で立ち芝居が多かったため、演技のアクが強めだったのは逆に心地よかったです。
内容はタップリだったのに、時間は1時間40分だったのが驚き。
値段が安いのもまた驚きでした。
アイ・アム・アン・エイリアン
ユニークポイント
シアター711(東京都)
2012/03/13 (火) ~ 2012/03/18 (日)公演終了
満足度★★★★
面白かった。
「十二人の優しい日本人」の、議論のテーマが違うといった感じ。
作品時間は90分で役者達のほとんどはずっと舞台上。
なかなか話も良かったし役者全員演技が上手い!
ただ、どうしても「十二人の優しい日本人」をモデルにしているせいか、あまり目新しいところがなかったのが残念。
でも、それを抜きにしても人に薦められる舞台でした。
最後のオチもよかった。
牡丹灯籠
sunday
吹田市文化会館 メイシアター・小ホール(大阪府)
2012/03/08 (木) ~ 2012/03/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
見逃さなくてよかった!
会場に入り、まず竹の舞台の美しさに感嘆。
想像してたよりも細い竹が、舞台上だけでなく客席にも吊り下げられていて、客席の通路も花道として役者が行きかい、駆け抜け、会場すべてを舞台としてお噺は進んでゆく。
役者が駆けるたび竹が鳴り、からからからと心地よい音が響く。
オープニングで役者が竹を揺らせていっせいに舞台を駆け抜けていくシーンは鳥肌がたつようでした。
開演前から流れていたのは雨の音だったのか 風の、葉擦れの音だったのか。とても心地よかった。
因果応報、勧善懲悪、と前口上に書いてあったけれど、果たしてそうだったのかな。かなり良い舞台でした。
地中
<神戸の視点>実践!演劇プロデューサーへの道2011
神戸アートビレッジセンター(兵庫県)
2012/03/09 (金) ~ 2012/03/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
ラマーズ法式芝居
地中と母体内、土と本と過去、過去と未来。呼吸の度に象徴が変容し続けるラマーズ法的芝居。ハイブリッドな作品です。対置された象徴の隙間を観客の想像が埋めていく。刺激的で面白い参加型。作品に参加できるって観客にとって幸せなことです。とても良かったです。
ジョージ
HOP CLUB
OVAL THEATER & GALLERY (旧・ロクソドンタブラック)(大阪府)
2012/01/20 (金) ~ 2012/01/22 (日)公演終了
幼い舞台だな、と
大人っぽい作品なのに役者がみな若すぎて、もったいなかった。特にOLやホステスのママ役を演じるには幼すぎて、最後まで違和感が拭えませんでした。
若い役者さんたちではこれが限界でしょうか。幼い舞台に思えました。
また、他の方も書いておられたように、アイドルのファンサービス的な要素が強いように感じ、芝居として観に行った自分は場違いな所に来たような気持ちになりました。
早川さんの脚本・演出とはいえ、正直物足りなかったです。
幅広い年齢の役者さんで演じたら、もっと厚みが出て面白い作品になると思います。