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除け者(ノケモノ)は世の毒を噛み込む。

除け者(ノケモノ)は世の毒を噛み込む。

キ上の空論

新宿シアタートップス(東京都)

2024/05/09 (木) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

人生は綱渡り。常に転落の危うさを孕んでいる。その危うさの甘美なセカイを一口でも舐めてしまうと、もう戻れない。知ってしまったことを知らないことにはできない。後戻りできない人生。戻れないのだから、新たな魅力を探して、見つけた道へ、見つけられそうな方向へ向かうしかない。好転するのか、更なる転落が待っているのかはわからない。ただ、とどまることは出来ない。
それが性癖であると、日の当たる場所に晒すモノではないから、なかなかに理解されにくい。けれど、性癖に限らず、きっと誰にも多かれ少なかれ拘りみたいなものはあって、そこに生きづらさがあるのは誰もが感じているのではなかろうか。
自己肯定感が低い人間には、その闇からなかなか抜け出せない。我が子という存在には無限の愛を注ぐことができ、誰からも咎められることはない。そこに歪んだ性欲が含まれなければ。
彼が自分の分身となる子どもの誕生に感情が動かされることは理解できる。同時に反対側にいる立場の恐怖も。
改めて、何が彼の転落のスイッチを押したのかを考えている。なぜアレを跳ね除けられなかったのか、その力がありそうだった彼からそれを奪ったのは何なのかを考えている。落書きの主が誰なのかも。
一つ言えるのは、伝聞の恐ろしさ。その情報の信憑性が高くなかったとしても、その小さな棘は体内に入り込んで、心臓へと着実に上っていく。SNSはその最たる棘。

藍澤慶子さんは今作でも素敵だった。

悪魔の手毬唄

悪魔の手毬唄

劇団ヘロヘロQカムパニー

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2024/05/04 (土) ~ 2024/05/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/05/10 (金) 12:30

1977年の市川崑監督による映画以降、テレビドラマも連続(古谷金田一)・単独(古谷/片岡/稲垣/加藤金田一)合わせて5本観ていたが、今回改めて気付いたことが2つ。1つ目は「悲劇性」が前面に押し出されていること。
所謂「推理もの」は一般的に私利私欲や怨恨などが前面に出ており、本作ももちろんその要素もあるがそれよりも「不幸な偶然」「避けられない運命」的なものが強調され沙翁の四大悲劇やギリシア悲劇などと通ずる気がした。
2つめは本作の陰の主役……と言うより真の主役は磯川警部ではないか?ということ。ラストの金田一の「あの台詞」で露わになることを秘めての行動、イイよなぁ。この2点、今回の脚本・演出で改めて気付いたかも?
あと、今回観に行くキッカケの1つだった「あの場面は舞台でどう表現するのだろう?」な興味も「あぁ、そうしたのか!(得心)」だったしそれ以外も過去の再現場面の見せ方を筆頭に3つも盆を使う(なんと豪勢な!)など生の舞台での見せ方の見本市のようで大いに満足。

象

9PROJECT

上野ストアハウス(東京都)

2024/05/16 (木) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

前説によると、つかこうへいが別役実を尊敬していてこの「象」からもたくさんパクっているという。この舞台はそれを強調してつかこうへい風の演出になっている。もっとも普通に演出した「象」を観たことがないのでどこがオリジナルでどこが「つか」風なのか正確にはわからないのだが、異常なテンションの高さ、ここぞと入るBGMはこの舞台特有なのだろう。

さすがに60年前の作品なのでリヤカーに乗ってムシロに座り背中のケロイドを見せてお金をもらうということのリアリティは失われている。若い人はケロイド以前にリヤカーもムシロも見たことがないだろう。題名の「象」はサーカスや動物園の見世物としての象なのだろうか「群盲象をなでる」の象なのだろうか。前者ならストレートに過ぎるし後者なら格好つけすぎだ。

そしてまたこの舞台は前述の通り「象」の中のつか的要素の研究なのだから反核や被爆者差別といったテーマに重きは置かれていない。そして別役作品と言っても初期のもので不条理劇ではなく電信柱も登場しない。兄が行こうとしている「あの町」がどこなのかが謎ではあるがとりあえず場所ではなく「見世物として輝いていた昔」だと解釈した。

観る人を選ぶ舞台で私は選ばれていないなあ。

世界ギュルルン滞在記

世界ギュルルン滞在記

FREE(S)

ウッディシアター中目黒(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/06/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

コメント遅くなりました。何回かこう来たかというところがあって面白かったです。本団体さんは何度か拝見していますが、お笑いのセンスも私は好きで楽しかったです。アフタートークもよかったですね。また次回も楽しみです。

社交場

社交場

演劇集団エスキス

イカロスの森(兵庫県)

2023/12/23 (土) ~ 2024/06/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

久しぶりの会場やったのもあって楽しめました☆出演者の皆さんの熱演は感動的でもあり、チケット代もお手軽でお得感満載の素敵な時間でした\(^o^)/

ハムレットQ1

ハムレットQ1

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2024/05/11 (土) ~ 2024/06/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/05/18 (土) 18:30

有名な「ハムレット」を吉田羊がやるというので観に行った。面白い。71分(20分休み)87分。
 Q1というのは最初期のバージョンということらしく、短いらしいのだが、そもそも「標準的な」ハムレットというのもよく分からないので、比較はできない。それよりも、シェイクスピアの時代には男優だけでやっていた舞台に女優を使うというところが特徴なのかとも思う。吉田羊はすぐ気が変わるハムレットを熱演、その他の役者陣も見事に演じて、熱の入った舞台になっていた。特に何か、というのではなく、普通に楽しめる舞台だった。なお、結婚報道直後の飯豊まりえだが、オフィーリアを普通に演じつつ、狂気のオフィーリアに観るべきところがあったように思う。

親の顔が見たい

親の顔が見たい

diamond-Z

日本橋公会堂ホール「日本橋劇場」(東京都)

2024/05/16 (木) ~ 2024/05/18 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

熟練の芝居に非常な臨場感を感じました。観る方にも覚悟がいるぞ、と。普遍的なストーリーでありながらこの舞台が新鮮だったのは、真実を炙り出す過程に技術があったからだと思います。

親の顔が見たい

親の顔が見たい

diamond-Z

日本橋公会堂ホール「日本橋劇場」(東京都)

2024/05/16 (木) ~ 2024/05/18 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

何度か観た芝居ではあるが,やはりこの舞台も凄かった。役者さんの中にはもう少し…と思うところも無いではなかったが,脚本の力であろう,それを補う迫力を舞台から感じることが出来た。ついつい感情移入してしまったところ。総じて充実した観劇時間。見応えありのおススメの舞台でした。

朗読劇「Unknown」

朗読劇「Unknown」

劇団ナンバーエイト

浅草九劇(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

持田千妃来さん出演のAチームを観劇。
動きのある朗読劇ということはうかがっておりましたが、これほどまでとは思ってませんでした。台本を持たない場面も多く、演劇の舞台に近いものだったと思います。

公演は4回ありますがメイン3名の演者さんは毎回変わるので、たったの1回です。お三方はその1回にすべてを出し切ったと感じました。

持田さんは台本を持たないシーンも多く、朗読劇と思ってたのが良い意味で裏切られました。たまたまですが私の正面に来ることが多く、細かい視線の演技までよく見えてよかったです。

ストーリーには引き込まれました。伏線を回収する流れが見事だったと思いますが、それに加えて演者さん7人の強い思いも大きかったと思います。

ネタバレBOX

持田千妃来:近藤椿。「思考手術」の研究・実行者
松井拓己:2役 春本一澄・小出千春。元教師で椿のアシスタント・椿の死んだ恋人
辻美優:加瀬伊吹。反逆で罪に問われた春本の、弁護士

チラシには「SFメルヘン。再び。」と。上演前の案内放送によると、過去に舞台としても上演されたそうです。

以下は私の解釈です。記憶に頼っているところがあるので間違いあったらすみません。

PM2.5などで地上の汚染が激しく、人々は地下で生活するようになった、2040年の世界。
椿の耳にある半導体チップには14,000人もの思考データが入っている。
春本が来るまではひとりで研究室におり、その思考と共存していた。
犯罪者の思考を強制的に書き換える。それを椿ひとりでやっていた。犯罪者の再犯率はわずか1%。
その職を離れることはできるが、契約で記憶を消されることになっていた。椿は千春の記憶を消されたくないので、続けていた。
昔。椿が大学1年、千春が3年。千春たちゼミのみんなで「思考」の研究。それが原因で千春たちゼミの皆は死んだ。「思考」を椿が引き継いだ。
椿が時折腕を伸ばして「ダー!」とする、照れるときに額を抑える、といったことは千春のそれ。

花の「サイネリア」は本来「シネラリア」で、日本語的に縁起が悪いので通称ができたと。勉強になりました。
爪かわいい

爪かわいい

絶望プリンアラモード

北池袋 新生館シアター(東京都)

2024/05/18 (土) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ピンクに染まるネイルサロンの一室に集う女性たち、その生き方が交差しやがて思わぬ方向に転がってゆく休憩無し約1時間50分、キーワードは「爪は死体」。

達磨さんは転ばない

達磨さんは転ばない

劇団龍門

シアターシャイン(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/05/15 (水) 19:00

初日を鑑賞したが、やはり村手龍太の描く舞台世界は(いい意味で)一癖も二癖も、と、そう思わせる作品だった。

(以下、ネタバレBOXにて…)

ネタバレBOX

映画監督の金本達磨(女性)が5年ぶりの新作制作にあたり、スタッフやスポンサー等には相談もせず、独断でキャスト募集オーディションをSNSで告知した。スポンサーはこれでは金を出せないと騒ぐし、マスコミも密かに探りを入れている様子にプロデューサーや助監督は対応に走り回る。
一方、選考されオーディションに集まったのは演技経験もなく、心に闇を抱えた8人の男女。そこで達磨は参加者たち応募書類に書かれていた彼らの経歴をほのめかしながら、それぞれが己を曝け出すことを要求する。刑事だという男も顔をみせ、達磨と思わせぶりにやりとりしている。

劇中でも事実と真実の違いについて説明がなされるが、まさにどこまでが事実で、どこからが虚構かはっきりさせない展開が続く。そしてラストでのどんでん返しで、またさらにどこまでが事実なのか観客を煙に巻く。

達磨役の上田愛がこのトンデモキャラクターを存在感たっぷりに演じている。
刑事と思しき村手龍太やプロデューサー役として久々の舞台出演となった中村公隆は勿論のこと、ムショ帰りの男を演じた朝廣亮二(この役を以前龍門に客演した役者に演らせるとしたら和興あたりか…)など、年配の男優の演技は厚みが違う。若手役者もこうした演技を観ながら成長していくんだなあと実感した。
PLAY ULTRA vol.4  合戦-3on3-

PLAY ULTRA vol.4 合戦-3on3-

PLAYULTRA

神戸三宮シアター・エートー(兵庫県)

2024/05/18 (土) ~ 2024/05/18 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

壱劇屋の6人の悩める観客や病的船団に出ていた赤鬼二代目座長の行澤孝さんがオーガナイザーをされているイベント!
去年、ハラマサさんが出ていたヤツのチーム対抗戦。
中尾周統参戦につき、遊びに行ってみる。
優勝:超絶FANTASTIC(中尾周統・三原悠里・浄弘卓磨)
MVP:中尾周統
ちかちゃんはやっぱり凄かった!

ちかちゃんはやっぱり、きのこりん?を出してきた…

達磨さんは転ばない

達磨さんは転ばない

劇団龍門

シアターシャイン(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

達磨さんが転ばないどころか、輝いていました。

ネタバレBOX

重たい過去を抱えた人たちのオーディション、映画製作、詐欺事件、どこからが映画製作なのか、その意表を突く展開に圧巻されました。最初から最後まで役者の熱気か熱量が高く感じ、集中力が高まりました。それぞれの登場人物の暗い過去が少しずつあらわになる展開は絶妙です。心打たれる場面があるところに、笑いの瞬間がいいところでスパイスのように効くのが、とてもいいですね。
親の顔が見たい

親の顔が見たい

diamond-Z

日本橋公会堂ホール「日本橋劇場」(東京都)

2024/05/16 (木) ~ 2024/05/18 (土)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

世界ギュルルン滞在記

世界ギュルルン滞在記

FREE(S)

ウッディシアター中目黒(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/06/02 (日)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

LALL HOSTEL

LALL HOSTEL

おぶちゃ

MsmileBOX 渋谷(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

色々な男女模様が描かれて、面白い舞台でした。

PLAY ULTRA vol.4  合戦-3on3-

PLAY ULTRA vol.4 合戦-3on3-

PLAYULTRA

神戸三宮シアター・エートー(兵庫県)

2024/05/18 (土) ~ 2024/05/18 (土)公演終了

満足度★★★★

3on3の四チームの対決 個人的には普通の演劇が好みだが、コスパも良く楽しめました‼️

若き日の詩人たちの肖像

若き日の詩人たちの肖像

平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co.

戸山公園(箱根山地区)陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡(東京都)

2024/05/17 (金) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

新宿区にある「戸山公園」にて上演された野外劇。近隣には学習院女子大学、早稲田大学、都立戸山高校などがあり、学校に囲まれた、緑豊かで人々の行き交いも多い公園でした。18時30分開演、上演時間60分。ゆっくり日が暮れていき、闇が広がり、表現が街へ伝播していく。野外劇の醍醐味のひとつに「街との一体感」があるけれど、今作は「ステージを基点に想像力をどこまで広げられるか?」という、表現の能動的な営みを感じることができました。

ネタバレBOX

森の中に佇む野外特設ステージ。夕景から夜景に変わる自然を背景に上演する。これらの環境要因に強いこだわりを持って企画されたことがよく伝わってきます。正直、この上演環境であれば、何を上演しても観客の満足度は高いと思う。それを踏まえて、どのようなテキストを乗せるか? についても熟考し、迷いながら、悩みながら、でも信念を持って上演に至ったのだと想像します。戦争に翻弄された時代、若き芸術家たちの苦悩、不安定な社会状況など、カンパニーの実存と重なる内容だと感じました。反戦に対する想いは勿論ですが、芸術家たち自身の自我、葛藤、絶望などを描いている点も印象深かったです。
親の顔が見たい

親の顔が見たい

diamond-Z

日本橋公会堂ホール「日本橋劇場」(東京都)

2024/05/16 (木) ~ 2024/05/18 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

今まで身の周りで中学生の自殺事件が起こった事こそ無いけれど、普段 通りかかっている学校内で、こんなやり取りが実際にあっても全くおかしくないなぁと思わせる説得力
日常生活の延長線上な世界観は、やはり日常生活で関わりのありそうな雰囲気ある役者さん達の揃ったdiamond-Zさんにはとても合っている
穏便に暮らしていて突然この様な事件に直面したら
「これは何かの間違い、うちは関係ない!」・・・そう思いたい気持ちは痛いほど分かる
だからこそ目が離せない
本当にいろんな親の“顔”を見る事ができます
味わい深い役者さん達、台詞が自身の役に沁み込んだ“言葉”としてもう一段自然に発せられたなら、味わいはより一層深まったと思う

略式:ハワイ

略式:ハワイ

劇団スポーツ

OFF OFFシアター(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

まだ学生劇団だった「劇団スポーツ」が7年前に上演した作品の、リクリエイション版だとか。タイトルは一緒ですが、内容は新作に近いのかも。当日パンフに記載されたキャラクター解説が劇中より詳細に設定されており、大幅な加筆修正が想像できます。

ネタバレBOX

17歳の高校生たちによる学園青春ドラマ。体罰に近いハードな練習を課す剣道部に所属する主人公。残りの高校生活をこのまま剣道部に捧げるべきか? について悩み、クラスメイトに誘われるまま高校生バンドへ加入。剣道からバンド活動にシフトチェンジしようとしたその時、「10年後の自分」を名乗る青年が現れ、剣道部を辞めないよう提言する…。

ネタバレOK欄ですが、ネタバレしない方が観劇を楽しめると思うので、大きなネタバレは避けます。僕の感想は、昨年内田さんがヨーロッパ企画へ客演した影響が、今作に濃く出ているなぁ…というもの。勿論悪い意味ではなく、吸収力があり意欲的な若手劇団として目に写りました。

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