最新の観てきた!クチコミ一覧

8641-8660件 / 189640件中
デカローグ5・6

デカローグ5・6

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2024/05/18 (土) ~ 2024/06/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

5は20歳の青年ヤツェク(福崎那由他)が、タクシードライバー(寺十吾)の強盗殺人をする話。青年の犯行は、ひもを用意しているあたり、計画的ともとれるが、タクシーに乗るまでほぼ何の予兆も見えず、犯罪の理由がない。金を奪うから、金目当てではあるのだろうが、それほど金に困っているという描写もない。

6は、19歳の青年トメク(田中亨)が、団地の窓から覗き見た女性(仙名彩世)に恋をし、ストーカー行為をする。女性は、それを告白されて、最初は嫌がるが、すぐ青年に興味を持つ。「愛している」という純真で一途な青年と、「愛など存在しない」と、多くの男と寝ている女。

ネタバレBOX

5は強盗殺人の場面が、縄で首を絞め、何度も頭を殴り、それでも死なずに、最後何度もとどめを刺し…と、暴力場面が結構きつい。死刑制度反対の新米弁護士(渋谷謙人)が弁護するが、死刑判決が出る。青年が強盗をする直前にミルクを飲んだカフェで、新米弁護士は、弁護士試験に合格した喜びを婚約者?に電話していた。ただの偶然だが、その対照に社会の明暗が込められているのだろう。青年は最後の願いに弁護士に話をするが…。絞首刑のシーンもやるので見ていてかなりダメージ受ける。

青年の弁護士への話というのは、故郷の田舎で5年前、12歳の妹が、友達の酔っぱらい運転のトラクターにひかれて死んだという話。青年も友達と一緒に酔って、乗っていた。そのため、青年は田舎にいられなくなった。「あの事が起きなければ、その後も違ったと思う。あのことが起きなければ」と。人生何が起きるかわからない不条理を言いたいのだともとれるが、あまりに当たり前のことで、言い訳にもならない。こんなくだらないことを持ち出すしかないばかばかしさも含めての、不条理な社会を表現したというべきか。救いのない人間の生というべきか。

6は、失恋した青年がリストカットで自殺未遂し、女が青年を追うように関係がいつしか逆転してしまう。ありそうにないが、物語的にはよくある話というべきか。
柿喰う客新作本公演 2024『殺文句』

柿喰う客新作本公演 2024『殺文句』

柿喰う客

本多劇場(東京都)

2024/05/24 (金) ~ 2024/06/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「タン麺をタンタンメン、ワンタンメンをタンメン、タンタンメンをタンメン」などなど、早口言葉とリズミカルな洒落を含むせりふが速射砲のように延々と続く。つかこうへいと野田秀樹を合わせたようなせりふ術。その言葉のエネルギーには圧倒され、時に置いてきぼりにされた。

活動家の夫婦から生まれた男・継美ツクシ(玉置玲央)が、革命組織から組合つぶしのために入社し、総務部の7人の女性たちをはらませて、妊娠退社に追い込み…、核だった女性たちがいなくなり組合も弱体化…という話らしい。そんな設定は後から見えてくるので、最初はとにかく速射砲のような言葉の嵐。

上司(中屋敷)が痴漢で逮捕・休職中に、ツクシがしきり、総務部長(七味まゆ味)が産休になるが、妊娠してないんじゃないの? そんなこんなのうちに、上司が部長を階段で誤って突き落とし、いや、逆に突き落とされてあしをくじき…と。総務部長と総務課女子が組合を守り、労災認定を迫るが、ワルシャワ労働歌や、「蟹工船」「海に生きる人々」、インターナショナルまで出てきて、カクメイはもはや空疎なネタでしかないことを突き付けられる。

玉置はでづっぱりだが、最後までせりふが一つもない。一言も発しない。本人の「せりふのない役をやってみたい」という要望から、この芝居ができたらしい。
休憩なし1時間50分+AT10分

ネタバレBOX

両親が組織を抜けるために作った子供ツクシが、両親のため、「非避妊主義者」となってみずからも中高校生時代やりまくり、両親の脱党をなしとげる。その時否認を頼んでも否認してもらえなかった女の弟が、背の高い労務課長(村松洸希)。しかし、ツクシは「子どもは革命の邪魔だ」と今やコンドームを二重で付ける避妊主義者。なのに、総務課の女たちは妊娠した。どうして? なぞを解くカギは、総務部長とのいつもより長い面会にあった。部長はツクシに、「子どもをつくらないというのは、革命を信じていないこと、革命を引き継ぐ人たちがいないのだから。そうじゃないのか」と詰め寄っていた。

生まれた子たちが成長してツクシをせめる。その中の唯一の男が「謝ってくれ、謝罪しろ、頭を垂れろ…生まれてきてくれて、ありがとう、愛している、と言ってくれ」と。アフタートークで、玉置は、このセリフが、一番ジンとくると語っていた。
走り梅雨の音

走り梅雨の音

WAO!エンターテイメント

アトリエアーサム(大阪府)

2024/05/23 (木) ~ 2024/06/02 (日)公演終了

満足度★★★

麻薬の潜入捜査官と、その上司の話
今まで観てきた中では、一番…
後味が悪く、正に心も梅雨入りした感

黒い太陽

黒い太陽

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2024/05/30 (木) ~ 2024/06/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白い、お薦め。
1970年日本万国博覧会の開催に係る出来事を、岡本太郎を中心に描いた群像劇。
タイトル「黒い太陽」が、岡本太郎の心にある深く強い思いであることに感動した。これは、芸術家 岡本太郎だけではなく、多くの人の普遍的な<思い>ではなかろうか。
なお、上演前には当時の実況中継等が流れ、その雰囲気を知ることが出来るので、早めの会場入りをお勧めする。
(上演時間1時間50分 途中休憩なし)

ネタバレBOX

半円を描くような舞台、奥に細紐で円柱のようなもの。上部(天井)には舞台と対になるような雲のような輪、そして客席と舞台の間にも白い輪。少しずつ輪の大きさが違うため、天地それぞれから眺めたら遠近法のように感じるか。勿論 天井を刳り貫いていることから、万博における丹下健三「大屋根」と岡本太郎「太陽の塔」の関係を意識した造作に思える。

物語は、岡本太郎(豊田 豪サン)が万博に関わるまでの過程、そして彼を育んできた家族を含め重層的に描く。進行役は太郎の養女になった岡本敏子(根本こずえサン)、特に太郎の激しい気性に込められた心情を代弁するような語りが上手い。岡本太郎-インターネットで検索すれば概要を知ることはできるが、舞台(フィクション)としての面白さは本人等とは違った人物像や観点で描き出すところ。それがタイトルに表れているよう。また口癖のような〈芸術〉とは〈生きること〉だと言い、生き様を感じさせる。

当初「黒い太陽」は、「太陽の塔」にある3つの顔(地下の顔を入れると4つ)のうち、背後にある(過去を表す)ものと思っていたが、実は母への思慕。見上げれば太陽がある、目を瞑れば暗闇の中に母(太陽)の姿をしっかり思い出すことが出来る。母の気質(性癖?)には振り回されたようだが、両親からは愛情を注がれたよう。

愛という狂おしい情熱で生きた母 かの子(内海詩野サン)、そして母の愛人との共同生活まで受け入れた父 一平(市原一平サン)、何が普通か分からないが、少し歪に感じられる家庭環境の中で育った太郎の生い立ちがしっかり描かれている。その思いが万博への参画、そして世間からの批判を無視するへ繋がる。自分の信じる道(事)を進む。万博について、人間は進歩も調和もしていない、政府の思惑である安保改定(反対運動)から目を逸らすためなど、太郎の気骨に絡め反骨ある台詞・場面を鏤める。

舞台技術は、ハーモニーのような柔らかく優しい音楽、人影を壁面に映し出すような陰影が効果的だ。半円舞台であることから、役者の立つ位置によって表情が見えないシーンがあるが、そこは ご愛敬か。
次回公演も楽しみにしております。
Deep in the woods

Deep in the woods

終のすみか

調布市せんがわ劇場(東京都)

2024/05/24 (金) ~ 2024/05/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

せんがわ劇場のコンペで前回観客賞を獲ったユニットの新作とのこと。俳優に知った名があった以外は未知数。なかなか良かった。
一時間の作品。話の幹は、二人の来訪者(男女)とそれを迎える男の、一夜のこと。大きな事件は起きないが、旧交を温めつつも微妙に流れる不思議な空気、違和感と安堵感の間を揺れ動く、その時間の中に、彼らの過去の接点から現在の「目に見えている相手」との時間が、リアルに立ち上がる様が心地よい。「あるなあ」と思わせる会話の中に、時として「現在」の本心の吐露が僅かに、為されて行く。その延長線上、三人はどこに行き着くのか、と見ていると、最後にある種の「きつい謎解き」が待っている。だが私はそれも含めてその自然な時間の流れ方が好きであった。
トークゲストの徳永氏(コンペの審査員でもあるが、この人の斬り込み方には大概、首肯させられるものがある)は、最後にもっと、「彼」への具体的なコミットの意思を表す台詞が欲しかった、といった意味のコメントをトークの冒頭の感想として述べていた。 実際には、二人はその男に、ある意思を示していると見えていたのだが、あれでは足りなかったのか・・(徳永氏は「劇的なあり方として」といった前提を言っていたが、、)

蛇足ではなく、役者の貢献は大きかった。

黒い太陽

黒い太陽

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2024/05/30 (木) ~ 2024/06/02 (日)公演終了

実演鑑賞

かなり昔目にした作演出の今の仕事を味わう事ができた。魅力的なタイトルにも惹かれて静かに心踊らせ会場へ駆け込んだところ(久々に息を上げて走った)、劇場スペースを半円状に取り囲むように(二列程度)置かれた座席の一角に案内され、有り難い程の見やすい席に収まり、開演から観る事ができた。

渡された配役表に岡本かの子、一平そして太郎とある。(末尾に瀬戸内晴美とあるのはお遊びの役名だったよう。)そして冒頭、丹下健三と事務方らしき若い男女との会話。万博か・・。奥の暗部(役者もはける)に向かう感じと言い、装置も悪くない。広い円形の盆のやや奥に塔が立ち、円の周りには更に白のライン(幅40cm程か)が少し波打った輪郭で引かれ、天井にもそれを写すような円形のラインがある。今話題の2025大阪万博で予算が問題視されている「屋根」(輪っかが和を表すとか言ってるアレ)を想起させ、のっけに警戒心がもたげる。半世紀前の万博へのオマージュを現在に引き込んで「批判も多いけど万博ありじゃね?」と折伏されちゃうんじゃないか・・と。が、この部分はカッコに括り、面白く始まった歴史劇を見始めた。
細部にはいつか触れてみたいが、「深いい話」「プロジェクトX」的な叙述には滅法厳しくなる自分にも首肯できる人間ドラマが、書き込まれていた。憎い台詞、思わずこみ上げる瞬間も。だが核心は岡本太郎の「精神」がどんな残像を観客の心に刻むか、だろう(それがこの題材を上演する意味だろうから)。通り一遍のメッセージに止まらない、体感を伴って染み込んで来る「太郎が見る世界」に、迫ろうとする作者の意志と、狙いは理解した気がした。役者も達者な人たちであったが、歴史に材をとった本作の場合脚本が評価の表に来るべきである。若干反響等のためか空間に「透き間」が空きそうな条件をふと感知したが、濃密な劇空間が作られていた。

・・いま少し感想を書き継ぎたいが、また改めて。

横浜キョンシーRENDEZ-VOUS

横浜キョンシーRENDEZ-VOUS

Daisy times produce

六行会ホール(東京都)

2024/05/29 (水) ~ 2024/06/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

横浜に九龍街はありませんが、川崎の電脳九龍城は行っておいて良かったと思える場所の一つです。その横浜九龍街、キョンシーに動士と言うのでワクワク楽しみにして行ったのでしたが・・・

ネタバレBOX

やたら大人数で踊ったり戦ったり、がんばっていたのだとは思いますが、殺陣が初めての方も多いせいか今ひとつ緊迫感に欠けました。
そしてあのラストはないと思います。ドライにさらっと終わらせたかったのでしょうか。泣かせる必要はないですが、こみ上げる感情があるはずだと思いました。
デンギョー!

デンギョー!

小松台東

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2024/05/31 (金) ~ 2024/06/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

死ぬ程面白い。大傑作だと思う。
セットは庭劇団ペニノの『笑顔の砦』っぽいリアルな作り込み。舞台美術と照明は天才の仕業だ。詰所の窓とアルミサッシの引戸が開かれる度、ふと見える外の光景。まさしく現実世界に続いていく手触り。TRASHMASTERSっぽい人物の偏執的な描き込み。どうしようもなく沈鬱な現実を提示するのかと身構えるが、展開されるのは高度な喜劇。何重にも捻り過ぎて最早哲学的ですらある笑い。平山秀幸監督の『笑う蛙』を観た時のような全く先が読めない不思議な感覚。これ一体どう落とすのか?と思ったら成程!

宮崎県にある宮崎電業。社長が病気で倒れ、社長代理の森が舵を取る。現場を知らない素人の仕切りに電工(電気工事士)達はそっぽを向き、叩き上げの電工から執行部入りした営業部長(瓜生和成氏)は間に挟まれる。更に執行役員として尾方宣久氏が突然の入社。現場主任の五十嵐明氏や松本哲也氏は不信感を募らせる。

太腿のtattooを見せ付ける事務員の平田舞さんはあーりんを思わせるふてぶてしさで貫禄。
しずちゃんとの結婚で注目を集めた佐藤達(とおる)氏は下請け業者を流石の怪演。
いぶし銀の五十嵐明氏は目付きの変化だけで唸らせる。
軽度の知的障害者であろう吉田電話氏も大ハッスル。
電材屋の依田啓嗣(たかし)氏はヴィジュアル系。

MVPは天才・瓜生和成氏。もうこの人にはかなわない。時折ドクター中松にも見える自然な抜けっぷり。凄い技術。時代が時代なら実録ヤクザ映画で引っ張りだこだったろう。

この高度な笑いのテクニック。混ぜ方が巧妙。時折、吹き出すのをこらえる役者達。シリアスな話の中に必ず毒物を混ぜてくる。
こういう作品を観れる幸運。才能が溶岩のように溢れ出している。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

依田啓嗣氏のケンタッキーを早朝に差し入れする力量。宮崎では24時間営業なのか?

タイミングの巧さ。狙いすましたようにカットが切り替わる。
博多華丸・大吉のネタに近い笑い。
みんなのご機嫌よかれが肝心かなめ

みんなのご機嫌よかれが肝心かなめ

劇団やりたかった

座・高円寺1(東京都)

2024/05/29 (水) ~ 2024/06/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

鑑賞日2024/05/31 (金) 19:00

115分。休憩なし。

ライカムで待っとく

ライカムで待っとく

KAAT神奈川芸術劇場

KAAT神奈川芸術劇場・中スタジオ(神奈川県)

2024/05/24 (金) ~ 2024/06/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

2022年の初演を観たときの衝撃が忘れがたい作品。今回の再演&ツアーでより多くの人に届けられるのは本当に意義のあることだと思う。

ネタバレBOX

一方、上演がはじまってすぐに感じたのは、先の展開を知りながらこの物語を辿ることのしんどさであり、そういう物語が待ち受けることを知りながらそれを(娯楽として?芸術として?)観ようとしている私のこの行為はこの作品(が突きつけるもの)に対する裏切りなのでは?という疑念だったのであった。
理想郷

理想郷

小田尚稔の演劇

水性(東京都)

2024/05/23 (木) ~ 2024/05/29 (水)公演終了

実演鑑賞

それぞれに事情を抱えた4人の女性が共同生活をはじめ、そしてそれぞれに去っていくまでを描いた作品、なのだが、それぞれの女性の設定を見せたところで終わってしまったような印象で大いに消化不良。
また、小田作品では多くこじらせた非モテ男性が描かれ、もちろんその切実さと解像度の高さこそが小田作品の持つ「力」だったと思うのだが、そこに内在していたミソジニーが今作では悪い方向で発露していたようにも思う。それぞれの「事情」の背後に明らかに男性がいる場合にもその存在が透明化され、あたかも責任が女性にあるかのように描かれている場面が散見されたのもいただけない。

べつのほしにいくまえに

べつのほしにいくまえに

趣向

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2024/05/23 (木) ~ 2024/05/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「互助・共助のための結婚法」の施行を間近に控えたある国の話、を、『夏の夜の夢』+αの登場人物の名前と設定の一部を借りながら語る。ラブ婚とケア婚、LGBTQなど結婚に関わるトピックてんこ盛りながら『夏の夜の夢』の枠組みを借りることで2時間の枠内で(ひとまず)まとめあげた劇作が巧み。ただ、個人的にはこの作品が誰に向けられたものなのかという点が気になった。あまりに多くのトピックが詰め込まれているので、普段からこの類の問題に興味を持たない人にとっては(一応ある程度の説明はあるものの)ついていくのがかなり難しい部分もあったように思うし、逆に私のように普段からその周辺の問題に関心を寄せるものからすると新たな発見や驚きが感じられる部分はなかった(祖母と孫のエピソードにはその可能性の萌芽は感じたが)。登場人物それぞれも人間というよりは設定を背負ったキャラクターとして配置されている印象が強く(だからこそ『夏の夜の夢』の枠組みが有効に働くわけだが)、もっとトピックを絞って人間のドラマとして見たかった気もする。同じ興味関心を、もっと言えば、おおよそ同じ方向に社会が「よくなる」ことを臨む人々にとっては志を同じくするものの集うセーフスペースとしての意義はあったかもしれない(が、私自身は演劇にその機能は求めていない)。

Deep in the woods

Deep in the woods

終のすみか

調布市せんがわ劇場(東京都)

2024/05/24 (金) ~ 2024/05/26 (日)公演終了

実演鑑賞

2022年の『idk.』以来の観劇。会話が(まずは作劇の面で)巧みになっていて驚いた。俳優の演技に拠る部分も大きいが、特に明確な「引き」のない会話が続くつくりにも関わらず、飽きずに集中して見続けられる上演になっていた。ただ、その上演を通して立ち上がってくるものとして会話や場の空気以上のものが感じられなかった点は大いに不満。巧さは十分にあるのでそれで何を書くのかを観たい。

若き日の詩人たちの肖像

若き日の詩人たちの肖像

平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co.

戸山公園(箱根山地区)陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡(東京都)

2024/05/17 (金) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

戸山公園野外演劇祭参加作品。平泳ぎ本店の俳優たちのチャーミングさと野外劇ならではの空気、時間の経過に伴うその変化などが相互に作用しあってよい上演になっていた。
堀田善衞『若き日の詩人たちの肖像』を原作とした舞台を戸山公園(箱根山地区)陸軍戸山学校軍楽隊野外演奏場跡で上演するという趣向は、能のような効果をあげているという点において評価できる一方、平泳ぎ本店の「マッチョ」なキャラクターは(それはチャーミングさとも切り離せないものなので一概にそれだけで否定すべきものでもないと思いつつ)作品で描かれる反戦的なメッセージを裏切っているようにも思え、テキスト構成の(見れないほど破綻しているわけではないが必然性もさほど感じられない)ゆるさも相まって、やはり演出家なりドラマトゥルクなりが必要だったのではとも。

かちかち山の台所

かちかち山の台所

SPAC・静岡県舞台芸術センター

舞台芸術公園 ほか(静岡県)

2024/04/27 (土) ~ 2024/04/29 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「かちかち山」をモチーフに、舞台芸術公園とその周辺を歩き回りながら鑑賞するツアーパフォーマンス。「かちかち山」をおじいさんの視点ではなくたぬきやおばあさん、うさぎの視点=周縁化された視点から語り直す趣向と、舞台芸術公園の周囲=外側に観客の意識を向けさせるパフォーマンスの重なり合いが巧み。どこからか聞こえてくるオーボエの音に誘われるようにして自然と視線も周囲に開かれていく。かなりの高低差のある道のりを自分の足で歩き回ることで、そこがどのような土地なのかということが(もちろんそれはその土地のごくごく一部でしかないのだが)自分の感覚でもってたしかに感じられる体験だった。

ピテカントロプス・エレクトス

ピテカントロプス・エレクトス

劇団あはひ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2024/05/24 (金) ~ 2024/06/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

最初の30分というか、原人のパートになるまでが少々しんどかったというのが正直なところ。それ以降はなかなか面白かったのだが、最後の方はセリフが聞こえにくくなってしまったのが残念。劇場の使い方に☆を追加。

ストレンジシード静岡

ストレンジシード静岡

ストレンジシード

駿府城公園、青葉シンボルロード、静岡市役所・葵区役所など静岡市内(静岡県)

2024/05/04 (土) ~ 2024/05/06 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

オムニバス・ストーリーズ・プロジェクト『パレードとレモネード』を観劇。
50名以上の登場人物のプロフィールからそれぞれの短いエピソードを立ち上げ、それらを連ねるかたちで演劇作品をつくり上げる「オムニバス・ストーリーズ・プロジェクト」の静岡版。東京芸術祭2023で劇場空間で上演された『オムニバス・ストーリーズ・プロジェクト(カタログ版)』ではエピソードごとに異なる時空間を次々と舞台上に立ち上げていくスタッフ・キャストの巧みさに唸らされたが、街中で上演された今回のバージョンでは、実際に街の中で行なわれている様々な営みと同じレイヤーで上演を観ることになるため、「ああ、こんなにもいろいろな人がここにはいるんだ」ということを改めて、鮮やかに感じる上演になっていたように思う。ストリートシアターのフェスティバルで上演するにふさわしい作品であるのみならず、作品のポテンシャルも十二分に引き出された素晴らしい上演だった。

きなこつみ物語(再演)

きなこつみ物語(再演)

劇団きらら

王子スタジオ1(東京都)

2024/05/31 (金) ~ 2024/06/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/05/31 (金) 16:00

75分。休憩なし。

みんなのご機嫌よかれが肝心かなめ

みんなのご機嫌よかれが肝心かなめ

劇団やりたかった

座・高円寺1(東京都)

2024/05/29 (水) ~ 2024/06/02 (日)公演終了

実演鑑賞

鑑賞日2024/05/31 (金)

休憩なし

「Collapse Of Values 」Re'

「Collapse Of Values 」Re'

SFIDA ENTERTAINMENT

劇場MOMO(東京都)

2024/05/28 (火) ~ 2024/06/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

全身全霊の演劇でした  引き込まれて身動きできません

このページのQRコードです。

拡大