最新の観てきた!クチコミ一覧

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『シーチキンサンライズ』『幸せな時間』

『シーチキンサンライズ』『幸せな時間』

T1project

小劇場B1(東京都)

2016/09/14 (水) ~ 2016/09/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

幸せな時間
 他の多くの公演でも緑葉と窓にそれらの影が映り込んでいる演出は、さりげない分、プロの証だろう。この緑や窓に映り込んだその影の要素が、観客をリラックスさせるからである。

ネタバレBOX

 
 異なる作品をほぼ交互に上演する今回の企画、舞台美術は共用である。内容的に異なる作品ではあるが、共に漫才師の人生を描いた作品という点で共通項があり、芸人の溜まりである楽屋が舞台になっている点でも違和感はない。また、楽屋は芸人たちが素を表す場所でもあるから、人生の機微を描くにはうってつけのシチュエイションなのである。こういうさりげない設定が、芝居を自然に見せる為の非常に大切な点だということにも注意したい。
内容的には、観て頂くのが一番だから、余り深くここでは触れない。今ではピンの老師匠、寛治が、若くして死んだ相方との二人三脚を中心に、様々な時代が入れ子細工になって展開する作品だ。幾つもの時代が交錯する関係で演出、役者陣、音響、照明など、どれか一つが噛み合わなくとも不協和音が生ずる、演じ手には難度の高い作品であるが、その分、さりげなさの中に深くしみじみ感じさせるものがあり、大人の為の作品と言えよう。そして、この難しい作品を自然にみせてくれる作・演出の友澤氏の実力とT1プロジェクト参加の役者陣の力量にも賛辞を呈したい。また、演劇が生きものであるということを実感させてくれる作品群なので、できれば何回か観たいものである。
一例だが、科白の切れを紹介しておく。観劇の参考にされたい。
老師匠の子供時代、貧しさの果てに体を売らなければならなくなった母親が朝方帰宅すると、未だ眠らずにいた寛治に問う「お母さんの顔に見える?」という科白だ。
MONTAGNE/山

MONTAGNE/山

青年団国際演劇交流プロジェクト

アトリエ春風舎(東京都)

2016/09/17 (土) ~ 2016/09/19 (月)公演終了

満足度★★★

ネタばれなし
作家の事前に決めていたテーマがあり、それに準じて物語を作っているような感じなのだが、これが中々面白い。テーマが俳優の芝居によって簡単に凌駕させてしまう事が大きな狙いでもあるのだろう。

桜舞う夜、君想ふ  ※全公演終演しました。『観てきた!』ご記入頂けましたら幸いです。

桜舞う夜、君想ふ ※全公演終演しました。『観てきた!』ご記入頂けましたら幸いです。

STAR☆JACKS

南大塚ホール(東京都)

2016/09/16 (金) ~ 2016/09/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

死に様 生き様
侠客、森の石松の生き様・死に様存分に受け取りやした

ネタバレBOX


 今のチンケなヤーコーと違って、侠客と言える人物造形が素晴らしい。男だったらこうでなくっちゃ、という美しさがある。何より石松が偉そうにしない所がいい。本当に自信のある人間の常だが、そういう人間は決して偉そうにはしないものだ。裸形で生きてゆけるのである。アリバイ作りに汲々とし、嘘と方便だけでは足りないので権威を嵩に着て偉ぶる阿呆が、大手を振る植民地の実態は飽き飽きした。
 子供にでも分かる大切なことを守る為に命を張り、少なくとも友と恋する人を守る道筋をつけた石松は、真の侠だろう。農家の二男、三男に生まれればヤクザになるしかなかった時期の名残りもあったであろう幕末に生きた渡世の華として、清水一家にこの人あり、と人気が絶えないのは当然といえば当然であろうか。
 今作の創り方は、そのような方向性で作られている。というのも、石松の死に纏わる真実を調べるという形で東京の新聞記者が、古老を訪ねるという形式を取っており、この古老こそ、袖触れ合うも他生の縁で石松と深い因縁を結ぶことになった七五郎、つまり石松が恋したさくらの兄であったのだから。この兄は半端者、都鳥一家の賭場で八百長の片棒を担いでいたのだが、悪党としては都鳥一家に分がある。というのも、賭場で大きな借金を作らせて、女衒に女房や姉妹を買わせる仕組みを都鳥一家はシステム化していたからである。即ち彼らのシノギは、八百長賭博と女衒の元締めで成立していたのである。結局、美しい妹を借金の形に取られることとなり、妹は女郎屋に売られる破目になった。この事情を知った石松が都鳥一家とことを構えることになった訳である。
 ところで、ここでファーストシーンの伏線が生きてくる。どんな伏線かは、DVDでも買って見てちょ。
 石松役のドヰ タイジの熱演は無論のこと、七五郎役の浜口 望海も好演、七五郎の女房お民役の鳶野 皐月が度胸の据わった女房を演じるシーンの格好良さ、見受山役の酒井 高陽の上手さ、マムシの佐平次役の中山 貴裕らの演技が気に入った。障子風の衝立を上手に使った演出にもセンスの良さを感じる。シナリオもすっきりしたもので、演出センスの良さと役者陣の活躍、音響、照明の効果的な使い方、何れもバランスの取れた良い舞台であり、別の所で挙げた3団体に強力なライバルが登場したという印象を受けた。ぜひまた東京で公演して欲しい劇団である。 
the Answer

the Answer

FUTURE EMOTION

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2016/09/15 (木) ~ 2016/09/19 (月)公演終了

満足度★★★★


情報という神。

ネタバレBOX

 天才科学者が、遂に量子コンピュータ-を作成した。無論、研究は秘密裡に為されていたが、メンバーの一人が己の功名心から外部の人間に秘密を漏らしてしまった。これが一連の「騒動」の発端である。
科学はあくまで客観性で動かなくてはならぬ
 この原則が貫徹されていたなら、今作は自分好みの傑作。当然★5つだったのだが。科学者の研究の動機を好奇心ではなく、念に置いたこと、その為客観性ではなくセンチメンタリズムが重大要素として入り込んでしまったことが、自分が4つ★にした原因である。
 誤解の無いように言っておくが自民党のアホやそのアホな支持者如きが抜かす根拠のないプロパガンダではない。観察を積み重ね、ある条件下では必ずこうなるという実証を伴った絶対である。謂わば必然としての絶対でもあるのだ。このレベルで人情の関与する余地は無い。人情にエネルギーとしてのエントロピーが物理的力としてあるなら、それはキチンと測定して要素に加える必要はあるが。幽霊に関する見解と等しくそれは現在、この地域では科学の対象ではない。無論、作者には、この程度のことは分かっていよう。一般の人々に分かり易くする為に念というコンセプトを用いたのだろうが、センチにならないような工夫をするかパスワードを類推する為の異なる方法が欲しい。
 何れにせよ、内調と公安との面子争いだの縦割り行政の実態が随所に出て笑わせてくれるし、本当に量子コンピューターを独占開発することができれば、その技術が世界で唯一である間だけは、戦争の物理的な破壊をせずに世界を牛耳ることができよう。あらゆる情報を最も早く入手し、敵対勢力がコンピューターを用いてする演算や予測を凌駕して、SLBMなども発射した敵に命中するようプログラムを書き換えることも可能であろうから。無論、こんな力が一般に知られることになれば、人の自由との兼ね合いで反対する勢力は生まれてこよう。然しながら総ての武器を無力化し得るこの方法は、最も平和的に世界を統一する方法たり得ることも事実であろう。当然、量子コンピューター開発競争やスパイ合戦は熾烈を極めようし、量子コンピューター以外のコンピューターによるハッキング研究も盛んになろう。だが、その総てを正確に予測し対応できるとしたら、最早無敵ではないか? そして愚か極まる人間の欲望をコントロールする必要悪としてこの能力が活かされるとすれば、人は最早量子コンピューターに支配される一生物として生きる他なくなるのかも知れない。


家族の基礎 ~大道寺家の人々~

家族の基礎 ~大道寺家の人々~

森崎事務所M&Oplays

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2016/09/06 (火) ~ 2016/09/28 (水)公演終了

満足度★★★★★

家族の基礎
タイトルが「家族の基礎」とあまりにも普通と言うか堅苦しいと言うか面白みがないので「もしかしたらそこがひっかけなのかも?堅苦しいタイトルにぶっとんだ話?」と思いつつ、六角さんと最近気になる林君が出演と言うことで行ってみたら、これがもう!!面白かったです。セリフを覚えていることができないので再現できないのですが、それぞれのやりとりがちょっとしたところまで面白く、こういうのが脚本がよくできているというものなのでしょうか。
場面が変わるのと一緒にくるくる変るセットも楽しかったです。
ぶっ飛んでいるお話とは言え、お父さんがアレを発見するシーンにはもっと説得力があった方が良いのでは?と思いました。

ネタバレBOX

松重お父さんも京香お母さんも素敵ですが、憎めないクズ男の六角さんが良かったです。始めの方で六角さんがギターを弾いて歌うシーンがあって、終わったところで拍手しようと思ったらほかの誰も拍手しないので、思わず手を止めてしまった日本人の私でした。六角さんにごめんなさいです。
硝子の途(再演)

硝子の途(再演)

劇団ヨロタミ

あうるすぽっと(東京都)

2016/09/16 (金) ~ 2016/09/19 (月)公演終了

満足度★★★★

ジーンとした
主人公の青年が抱えてしまったものが大きすぎて、
その後の人生の選択が、
あまりに理不尽なのではと思ってしまう部分はあるのですが、
そこを抜きにして(←抜きにしていいのか?)
笑って、笑って、ジーンとしました。

来年2月の公演も是非拝見してみたいと思いました!
昭和を舞台にした人情ものとか、
絶対に面白いと思うな~。

個人的には、やはりチラシのデザインが、
この物語の世界観を伝えていなくて、
とてももったいないと思いました。

あと主人公のタクヤ役を演じていた役者さんに可能性を感じました。
髪型とか普通の坊主にして、ヤンチャな雰囲気(ヤンキーではなく、下町の人の良いあんちゃん風)にすると、ドラマとか映像系の仕事が沢山ある気がする。そーゆうキャラって、今、いそうでいない。そして、需要がある。あと声がかすれ気味なので発声法と滑舌の訓練、そして筋トレで体作りをすれば絶対に売れる人だと思う。

硝子の途(再演)

硝子の途(再演)

劇団ヨロタミ

あうるすぽっと(東京都)

2016/09/16 (金) ~ 2016/09/19 (月)公演終了

満足度★★★★

多少の無理が違和感となって。。。?
ストーリーの展開に多少の無理があったように思いました。あうるすぽっとはこの芝居の良さを伝えるには少し大きすぎたようです。もっと小さな劇場演じられた方が役者さんの熱気まで伝えることができたでしょう。舞台セットしっかりと作られていました。2時間楽しませていただきました。

2言目には

2言目には

大人工芸倶楽部

自由表現空間 シアターカフェNyan(大阪府)

2016/08/26 (金) ~ 2016/08/28 (日)公演終了

満足度★★★★

前向きになれる。悩む事は決して悪い事じゃない…
「一言目」に詰まって、でもその時、一生懸命考えて…。

前回、沢山の役者さんがご出演でしたが、今回、3人の役者さんが悩める世代を好演。
教師も高校生もアーティストも…、みんな悩んでる。
悩む事は決して悪い事じゃない。
そんなメッセージをいただいたような…。

小さな劇場で間近に拝見できて、とっても良かった!

硝子の途(再演)

硝子の途(再演)

劇団ヨロタミ

あうるすぽっと(東京都)

2016/09/16 (金) ~ 2016/09/19 (月)公演終了

満足度★★★★

考えさせられる
重いテーマですが、楽しい雰囲気で笑いを交えながら進んでいくので、重くなり過ぎずに観易いと思いました。それぞれの想いは伝わってきましたが、ストーリーが、何となく解せない部分もありました。個人的に、ハッピーエンドは好きですが、いくら理由があるにせよ、加害者側と被害者側が、あまりにも仲良く(?)なるのは、有り得ないかと・・もやもやした気持ちが残りました。とは言え、苛めや少年犯罪など考えさせられる事も多く、良い舞台でした。

桜舞う夜、君想ふ  ※全公演終演しました。『観てきた!』ご記入頂けましたら幸いです。

桜舞う夜、君想ふ ※全公演終演しました。『観てきた!』ご記入頂けましたら幸いです。

STAR☆JACKS

南大塚ホール(東京都)

2016/09/16 (金) ~ 2016/09/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

劇団・代表作です!!
「桜舞う夜、君想ふ」は、こちらの劇団さんの
代表作であります。
10年前に、この作品で旗揚げして以来。
何度も何度も、進化をしながら再演されて
きました。
任侠の世界。命を掛けて愛し抜いた、男の
物語。
作・演出の劇団リーダー「ドヰタイジ」
さんのテーマである「大事な人の為に
最後まで生き抜く」
そんな熱いメッセージを感じる大作です。


9/NINE

9/NINE

OM-2

日暮里サニーホール(東京都)

2016/09/15 (木) ~ 2016/09/17 (土)公演終了

満足度★★★★★

衝撃第2弾
初演も観劇している。だから,この改訂再演,どう変わったのかとても気になるところで,また,あの衝撃のリズムを体感したく,劇場に向かった。初演とどこが変わったのか,どう進化したのか,よー分らんかった(初演が余りにも衝撃的過ぎて,今回,いろいろと細かいところも気づいたが,これが改訂部分なのか,初演時に自分が気づかなかっただけなのか^^;)が,やはり圧倒的なリズムは健在,凄かった。初演時にもコメントしたが,ストーリー的なものはあるものの,これは芝居ではない。でも,かなり破壊的・衝撃的な舞台で,これを体感できたことには大満足。芝居を観たい人にはおススメしないが,見て体感する価値のある舞台ではある。

味がしなくなったガムみたいな

味がしなくなったガムみたいな

マニンゲンプロジェクト

「劇」小劇場(東京都)

2016/09/07 (水) ~ 2016/09/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

なんとかなるよ。
一人の社会人として、一家の主人として、子を持つ親として、この言葉を言うべき、あるいは言いたいタイミングは今まで何度もあった。そしてその度に「なんでこんな簡単な言葉が言えないのだろう? もう喉元まで出かかっているのに。。」

安易に言ってしまうと、なんだか無責任な感じがしてしまう。でも心のどこかでそうであってほしいと思っている。そんな葛藤をしている間に、つい口にするタイミングを逃してしまう。

未来志向のようで現実逃避のような、力強いようで弱々しいような、でも本当は勇気と決断に満ちた、それを伝えるべき相手を温かく包み込む魔法の言葉。

「なんとかなるよ。」

そういえば昔、母がよくこれを言ってくれたよな。その度に素直じゃない自分は『何を根拠に?』とか思いながらも、悪い気はしなかった。

そして、大事なこと。

今を境に過去を振り返ってみると、本当にすべてなんとかなっている、ということ。
おそらくこれからの自分の人生で、魔法の言葉が必要とされる機会はまだまだあるだろう。そんな時に、実際に発することができたなら、それは今日の日のおかげだと思う。

ヒロインのようこさん、いろいろと辛いこともあったでしょうが、舞台が終わった瞬間、主人公とようこさんの明るい未来を想像することができました。物語の続きが、目に浮かぶようでした。あの魔法の言葉に支えられながら。

天召し-テンメシ- 【第28回池袋演劇祭参加作品】

天召し-テンメシ- 【第28回池袋演劇祭参加作品】

ラビット番長

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2016/09/15 (木) ~ 2016/09/19 (月)公演終了

満足度★★★★

人生ドラマ
棋士として実在した、村山聖、小池重明をモデルとした将棋に生きた人生ドラマ。ドラマチィクな展開、将棋を知っているともっと面白いのだろう。登場人物も多く、もう少し内容を整理すると、さらに良い作品になるだろう。開演前から懐かしい歌が多く聴くことが出来、最後に「また会う日まで」、時代背景を感じた。

天召し-テンメシ- 【第28回池袋演劇祭参加作品】

天召し-テンメシ- 【第28回池袋演劇祭参加作品】

ラビット番長

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2016/09/15 (木) ~ 2016/09/19 (月)公演終了

満足度★★★★★

大満足!!
ラビット番長 第2五回公演「天召し」Aチーム千穐楽マチソワ観てきました。
昨日に続いてトータル3回の観劇。

初演も観てるけど改めて思ったのは、棋士の生き様を描いた物語ではあるけど、根底にあるのは男と男、男と女、女と女、親と子の物語で、それは友情であったり、愛であったり...

将棋を知らない人にも楽しめるのは、感情移入できる人物が必ず見つかるからなのかなって思った。

もちろん、そこはラビ番の舞台。
随所に笑いが散りばめられてて、極上の「笑って泣けるエンターテイメント」に仕上がってました。

今回、残念ながらAチームのみの観劇になったけど、劇団員さんも客演さんも華も実力もある方達が多く、素晴らしかったです。

それにしても、いつも感じる心地良いホーム感はなんなんだろ(笑)
やっぱりラビット番長大好きです!!

ゴミ屑の様に可愛い我が儘の為に。

ゴミ屑の様に可愛い我が儘の為に。

劇団milquetoast+

【閉館】SPACE 梟門(東京都)

2016/09/15 (木) ~ 2016/09/18 (日)公演終了

満足度★★★

地蔵菩薩を忘れないで
キャラ出力MAXで過電流気味の前半から、適度に制御がされた後半へ、よりスムーズな送電環境の中で照らし出される疑心暗鬼。有用・不用で考えるなら、ゴミ屑でありえない唯一の存在は自分自身。自分をゴミだと甘えて倒錯すれば、周りのすべてはゴミに転化する・・・。改めて、”可愛い”に優しい味わいを認める。

デンデンドロイカ

デンデンドロイカ

楽劇座

THEATER Rrose Sélavy (東京都)

2016/09/16 (金) ~ 2016/09/20 (火)公演終了

満足度★★★★★

なんだこれは、という衝撃
楽劇座の作品はいつもそうですが、他の団体の舞台にはない衝撃!!もちろん今回も!

ブラックで気が遠くなるような狂気、でも日常でコミカル。相反するものがぐるぐるに渦巻いていて、息つく間もなくどんでん返し!!!


大人に観て欲しい良作です。ハマる人はきっと、ハマります(((o(*゚▽゚*)o)))

スカラベ

スカラベ

風煉ダンス

立川市子ども未来センター 芝生広場(東京都)

2016/09/16 (金) ~ 2016/09/25 (日)公演終了

満足度★★★★

祝祭的
20年ぶりの再演とか。「まつろわぬ人々」が初風煉ダンス。昨年は惜しくも逃し、今回どうにか駆けつけた。様々な出演参加者が目につく。風煉ダンスという集団をよく知らないが、ある「価値」を求めてその事業を成そうとする主体に賛同し駆けつけている「感じ」が薫っている。今回の芝生広場に設営された客席及び舞台(広い!)は、一大事業と呼ぶにふさわしいかも知れないが、それだけではなさそうである。この「感じ」はテント劇や野外劇につき物のそれのようでもあるが、それだけでもなさそうである。 「まつろわぬ・・」にあった下から突き上げるようなある種の告発(昨年の「泥リア」も?)の様相がそのヒントかも知れない・・・これら全て想像(もっと調べて書けってか)。
 ハチャメチャな登場人物や場面が、自然である物語の構造にもなっているが、空間じたいも十分にその存在を許す雰囲気を保証し、途中雨なども降ってビニールの天井がパラパラと鳴ったりしたが、生演奏と声は(マイクも使っていたが)よく通って歯切れが良く、活力がある。
予告より上演時間が長いのは場面転換、また一部俳優の台詞の間延びか。というのも通常の舞台の二倍四方ある広さがこの芝居のポイント(動かなくても良い距離を敢えて移動しての芝居は笑える)で、前の場面や台詞を食えば1~4秒位稼げそうな箇所が幾つもあった。(これから詰まって行くだろうが)
珍妙な唄、切なげな唄もいい。登場する奇矯で奇天烈なキャラたちは、また見てみたくなる。
物語は、宗教的儀礼として成り立つような筋立てで、原初的で祝祭的(ゆえにハチャメチャが許容される)。
おそらく見た目以上に俳優は肉体を酷使しているだろう、「捧げる劇」の当然の姿として。
舞台に仕込む物理的な内容物に情熱を燃やす者(たち)の手作り感あふれる諸々も、芝居の温度を上げている。
自分も野原を走りたくなる芝居である。

MONTAGNE/山

MONTAGNE/山

青年団国際演劇交流プロジェクト

アトリエ春風舎(東京都)

2016/09/17 (土) ~ 2016/09/19 (月)公演終了

満足度★★★★

概念的風景
狂言に置き換えるとぴったりのようなシチュエーションの二人芝居でした。

ネタバレBOX

地球の思い出にと、日本人とフランス人が山に登ってビデオを撮ったり採取していると、山の神が一人に憑依する形で登場。もう一人が宇宙の歴史を語り、自分たちがなぜ地球から脱出しようとしているかのうんちくを垂れる話。

視力が悪いせいか、字幕はほとんど見えませんでした。それよりも、日本人とフランス人が使っていたヘッドセット型の自動翻訳装置を客席にも配置してくれていたらどんなに良かったかと思いました。

ある程度の知的生命体は宇宙に数多く存在するのでしょうが、強力な電波を受発信できるまでに進化すると早晩核爆発によって滅んでしまうので、知的生命体同士の交信はチャンスが限られていてなかなか実現しないのかもしれません。

神は脳内の産物というのはその通りだと思いました。神が宇宙に進出するには人間が宇宙に進出する必要があります。

概念的風景は興味深かったですがどうでもよかったです。
ナイゲン(2016年版)

ナイゲン(2016年版)

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2016/08/11 (木) ~ 2016/08/22 (月)公演終了

満足度★★★★★

やっぱり面白い
この夏だけで、様々なところで公演されていただけに戯曲としての完成度と題材の人気度の高さは疑いようがないが、逆に観客の期待値の高さからリブートものはオリジナルと比べられ、ネガティブな評価になる危険も伴う物件で有ることから、演出家も演者も相当な覚悟で臨んだことでしょう。

そんなことを思いながら観始めましたが、演者の真剣に演技を楽しんでいる感が伝わってきて、演出家も含めてああこの人達もナイゲンが好きなんだかなあと感じつつ、結局大笑いしてしまいました。

でも、何と言ってもこればかりは評価せざるを得ない「脚本の圧倒的強度」。

七人の語らい(ワイフ・ゴーズ・オン)/笑の太字

七人の語らい(ワイフ・ゴーズ・オン)/笑の太字

アガリスクエンターテイメント

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2016/09/09 (金) ~ 2016/09/11 (日)公演終了

シチュエーションコメディへの愛を感じる
シチュエーションコメディの有名作品2つに対して、それぞれのあり方を否定するような言動を見せながら、実はそのシチュエーションコメディが大好きだと大声で叫んでいるような作品。単にパロディではない、メタパロディとでもいうべきか。(もしくはツンデレ?)
元になった作品を知らなくても笑えるが、知っていればさらに楽しめる。

ネタバレBOX

「ワイフ・ゴーズ・オン」
芝居の約束事としてスルーされてきた不自然(感動的な場面ではどこからともなく音楽が流れる、とか)を、合理的に処理しようとする役者たち。それぞれがいろんなところに引っかかって進行が滞るアクシデントの連続のように見せながら、時計代わりに表示されるカウントダウンぴったりに終劇する、つまりすべては計算されていたことが示されるラストが凄い。

「笑いの太字」
自作の上演許可を出さない作家を批判しているようで、とにかく生の舞台を見たいんだよ、と熱烈なラヴコールを送っている。
やらせてもらえるといいですね。

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