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ARTE Y SOLERA CONCIERTO Vol.29

ARTE Y SOLERA CONCIERTO Vol.29

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団

めぐろパーシモンホール(東京都)

2025/04/29 (火) ~ 2025/04/29 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 鍵田 真由美さんと佐藤 浩希氏フラメンコスタジオ発表会という形での公演だが、いつもながらソロといい、群舞といい見事なものだ。今回は途中10分の休憩を挟む2部構成。尺トータルは約145分。29回目の公演とあってダンサーの中には母・娘2代にわたる参加者も居て厚みと日本のフラメンコを牽引するこのフラメンコスタジオの実力・実績も感じさせる。

ネタバレBOX

 一方、多くの日本人アーティストは技術的には世界のトップレベルに在りながら、その表現に元々の発祥地の人々が持っていた歴史性や民族性、或いは社会的位置から迸る血の滲むような叫びやフラメンコであればロマへの被差別に対する叩きつけるような命の迸りが弱いように思われる。実際ナチのホロコーストで大量殺戮の憂き目を見たのは何もユダヤ人だけではない。ロマも大変多くの方々が殺されているのだが、国を持たず流離いの民として生きるロマには組織だってこの事実を訴える力が弱いだけである。
 日本の伝統演劇に能や歌舞伎があり、型が重んじられるし、無論それには訳もあり、効用もあるのだが一方で河原者と差別されて来た歴史も、都として千年以上も続いた京都・奈良中心の関西圏と後発の江戸中心の関東圏とでは、未だに芸に差がありその差自体が極めて興味深い内実を持つ。このフラメンコスタジオはこれだけ高い技術を持つのだから本場スペインや欧州中心のロマとは異なる歴史性や被差別史を背景とした例えば田沼意次の時代に活躍した吉原の花魁の持っていた単に妓楼に繋がれた女性としてではなく、往時の文化を体現し時代のファッションを牽引するスターとしての自負や大名や幕府要人、旗本との知的会話もこなす教養人としての知的プライドをも兼任した文化人としての気位をダンサーのメンタリティー表現として取り込むこともアリなのではないか? とは思う。このようなことを可視化し得た時、このスタジオ制作のフラメンコはその当初は毀誉褒貶を受けるにしても将来高い評価を受けることになるように思う。
そよ風と魔女たちとマクベスと(2025)

そよ風と魔女たちとマクベスと(2025)

フライングシアター自由劇場

すみだパークシアター倉(東京都)

2025/04/25 (金) ~ 2025/05/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ネタバレ

ネタバレBOX

串田和美『そよ風と魔女たちとマクベスと』を観劇。

 日本人は本当にシェイクスピアが好きなのだろうか?
故・蜷川幸雄が有名人を使って、埼玉県の田舎でシェイクスピアをやり続けたのは原因の一端だが、アングラ演劇人・串田和美が和製ミュージカルとコクーン歌舞伎で世間を席巻し、シェイクスピアには関心がないと思われていたのも事実だ。
どうやら日本人をシェクスピアフリークにしたのは、彼らだったのは間違いないようだ。

 いきなり銀髪ロックスターのような若者が、聴衆を魅了する。舞台を見せられているのか?それとも学生運動のリーダーか?はたまたボディビルダーか?
そこからマクベスの人生が始まるのだ。厄介なシェイクスピアを見るのは困難だ!という思い込みも、始まりから崩れ去っていくのだ。
魔女の囁きにより、将来に希望を見出し、強力な力を得てしまった人間に起こる、長く辛い悲劇が面白さだ。マクベス夫人の戯言も我が妻の囁きに聞こえ、仕事での地位をもっとあげ、沢山の給料を貰いたいという己の果てしない欲望に悶え苦しんでしまうのである。
 そして誰もが迎える老の姿まで見せてしまう残酷さ。誰もがマクベスに寄り添いたくないが、喜びを見出せるのは観客の勇気次第だろう。もし劇場からこっそり立ち去ろうとするなら、スカイツリーが立ちはだかり、逃げられないのである。
 元ボディビルダーが演じる若きマクベスは見事である。
 お勧めである。
ARTE Y SOLERA CONCIERTO Vol.29

ARTE Y SOLERA CONCIERTO Vol.29

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団

めぐろパーシモンホール(東京都)

2025/04/29 (火) ~ 2025/04/29 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

2度目のフラメンコ鑑賞。やはり映像で見るのとは全然違って、目の前で感じる熱量に今回も圧倒されました。今回は少しだけ予習して行ったので、前よりも技術的な細かい動きや表現にも気づけて、より楽しめた気がします。発表会ということで、ダンサーの方々にはそれぞれ技量の違いも見られましたが、その分個性が際立っていて、いろんなフラメンコの表情を味わえたように思います。全体として、とても情熱的で見応えのあるステージでした!

ARTE Y SOLERA CONCIERTO Vol.29

ARTE Y SOLERA CONCIERTO Vol.29

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団

めぐろパーシモンホール(東京都)

2025/04/29 (火) ~ 2025/04/29 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

躍動感を味わいたくて、前から2列目で観劇。やっぱりフラメンコはイイですね。発表会にツッコミ入れても野暮だけど、ちょっと残念な生徒の方もいますが、ソロで踊る方はみんな巧い。個人的には山﨑嬉星さんが印象的でした。

ぬいぐるみおじさんと夢みる鏡

ぬいぐるみおじさんと夢みる鏡

レティクル座

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2025/04/18 (金) ~ 2025/04/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/04/20 (日) 13:00

5度目の再演という短編と新作中編のカップリング。
パセリ(どころかエビフライやハンバーグまで!)を擬人化するにとどまらず人間と会話までさせてしまうとかおじさんがぬいぐるみになって想う相手を見守るとかどちらも発想がブッ跳んでいるがそれぞれきちんとテーマがあるファンタジーとして成立しておりただの(自称しているところの)「ナンセンスコメディ」に終わらないのがレティクル座のレティクル座たる所以ではなかろうか?(私見)
また、パセリ、エビフライ、ハンバーグの衣装・メイクやハーフミラーを表現したフレームの使い方など舞台美術面にも感心。

アルカの板

アルカの板

9-States

駅前劇場(東京都)

2025/04/25 (金) ~ 2025/04/29 (火)公演終了

実演鑑賞

登場人物が多いわりに人物設定が分かりやすく、とても自然に観ることができました。スナックでこの話が全部完結するのも面白いですね!モニターによる演出も楽しかったです。

なべげん太宰まつり『散華』

なべげん太宰まつり『散華』

渡辺源四郎商店

ザ・スズナリ(東京都)

2025/04/29 (火) ~ 2025/05/02 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

太宰治好きは必見。絶対観た方がいい。

作家(桂憲一氏)がガールズバーのキャスト(木村慧さん)を誘って海辺で酒盛りをしている。鎌倉の小動(こゆるぎ)岬であろう。酒が切れ、女をコンビニに買い出しに行かせる。そして一人になると用意していた錠剤と酒を煽って昏倒。太宰治に傾倒していた売れない作家は七里ケ浜心中を模した自裁を選んだのだ。
遠くで半鐘が鳴っている。靄がかったあやふやな景色。作家が目を覚ますと太宰治(大井靖彦氏)が横に立っている。時代は丁度七里ケ浜心中(1930年11月28日)のすぐ後、女給・田部あつみ(本名はシメ子)だけが亡くなった心中崩れ。絶望的に落ち込んでいる太宰治を励ます作家。「貴方は日本文学を背負って立つ人間なんだ、小説を書きなさい!」
果たしてここは何処なのか?夢か現実か妄想か?

MVPは太宰治役の大井靖彦氏、前回のヒトラーもそうだったが取り憑かれたように成り切る役者。
太宰治文学論にもなっていて面白い。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

大変失礼な話だが、去年観た『雲を掴む』がつまらなかったので全く期待していなかった。本来なら今作も観なかったが何も考えずに3演目セット券を購入。まあ木村慧さん出ているし···、と思っていたらやられた。若い時分、太宰治や尾崎豊にベロンベロンにやられたチョロい自分。新潮文庫を貪り読んだもの。「微笑もて正義を為せ!」なんて今でも大好きだ。太宰治に受けた影響は終生付きまとう。独り深夜に憑かれたように読み耽り、誰にも理解されないお前の気持ちを判るのは世界で唯一俺だけだと囁く。この感覚を創れる奴のことをカリスマと呼ぶ。

初日だったので皆さん台詞が怪しかった。これを覚えるのは大変だ。
太宰治好きにはたまらない。だが余り知らない人にはそこまで刺さらないだろうとも思う。

今作を叩き台に倍の二幕に分けて徹底的に太宰治論を突き詰めて欲しい。女との心中未遂という俗な太宰から彼の文学の本質へと。初心者の太宰治入門の切っ掛けになると思う。

ユング派の分析心理学者、河合隼雄は太宰治の解説評論でお馴染み。太宰治の文学に流れる精神をキリストのようだと美しく賛美した。唯幻論の心理学者、岸田秀はそれを徹底的に論破否定。こういうキャラクターをこそ登場させて貰いたい。
ARTE Y SOLERA CONCIERTO Vol.29

ARTE Y SOLERA CONCIERTO Vol.29

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団

めぐろパーシモンホール(東京都)

2025/04/29 (火) ~ 2025/04/29 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

迫力のあるステージで素晴らしかったです。とくにギターの演奏が素晴らしかったです。ダンスですが、最初のオープニングで振り付けを覚えていない方がいたのがちょっと残念だったかなと… 舞台だったらセリフを覚えていないでステージに立つようなものでちょっと残念というかがっかりというか「それはいくらなんでも…」だったかなと。

アルカの板

アルカの板

9-States

駅前劇場(東京都)

2025/04/25 (金) ~ 2025/04/29 (火)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

アルカの板

アルカの板

9-States

駅前劇場(東京都)

2025/04/25 (金) ~ 2025/04/29 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

楽しい演劇でした。よく練られた作品だと思います。登場人物の立場に立ってよく考えられています。そこそこ明るかったのであまり重くは受け止めませんでしたし、今後の若手の躍進をお祈りします。

ネタバレBOX

最善席でモニターをみて首が痛くなりました
神様の家庭菜園

神様の家庭菜園

夕方5時のチャイム

OFF・OFFシアター(東京都)

2025/04/26 (土) ~ 2025/04/29 (火)公演終了

槍と大学

槍と大学

劇団狸寝入

関西学院大学・上ヶ原キャンパス旧学生会館2階・ママ上ホール(兵庫県)

2025/04/26 (土) ~ 2025/04/28 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

関学唯一の演劇サークル
うーん🤔関関同立の演劇サークル結構拝見させて頂いてますが…
内容も演技力も大学生感満載で、昔の神無月の様なパワーと脚本力に欠ける
次回に

アルカの板

アルカの板

9-States

駅前劇場(東京都)

2025/04/25 (金) ~ 2025/04/29 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ハズレのない9-Statesであるが、これはグッとくる一作ですね。一筋縄ではいかないストーリー展開に引き込まれます。

零れ落ちて、朝

零れ落ちて、朝

世界劇団

三重県文化会館(三重県)

2025/04/12 (土) ~ 2025/04/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

広島公演を鑑賞しました。
圧巻の一言です。俳優から、舞台から、音響、照明から、力強いエネルギーを全身に浴び続ける100分。
いま世界に起きてる異変を知らず生きることは、無垢で無邪気なようで実はグレーなのかなと思いました。
多くの方に見ていただきたいです!

ピエ・イエス

ピエ・イエス

ミュージカル座

劇場MOMO(東京都)

2025/04/23 (水) ~ 2025/04/30 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ピエ・イエスとはラテン語で『慈悲深いイエス』という意味になるそうです。
はるか大昔の原作の世界ですが、今の出来事のように生き生きと描かれており、スッと物語に入り込めました。
生の歌声が登場人物たちの葛藤や叫びを鮮やかに描き出していて、ミュージカルとしての完成度の高さも感じました。
最後に今も戦争が起きていて、この歌を捧げますという言葉とともに静かに歌われたピエ・イエスが、雨模様の天気と重なって、印象に残りました。素晴らしい演劇を観させていただき、ありがとうございました。

ぬいぐるみおじさんと夢みる鏡

ぬいぐるみおじさんと夢みる鏡

レティクル座

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2025/04/18 (金) ~ 2025/04/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

<パセリ農家の悲願2025>
最近パセリ見ない気がする、というかみじん切りなら余裕…とか思いながら。これからは残さず食べます!
<ぬいぐるみおじさんと夢みる鏡>
分からないけど分かるおじさんの悲哀。おかしいんだけど応援したくなるし胸が熱くなる不思議。

なんかの味

なんかの味

ムシラセ

OFF・OFFシアター(東京都)

2025/04/02 (水) ~ 2025/04/09 (水)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★★

ただいま 配信鑑賞中🎶

劇場で観て
それぞれが抱えるもの 想いを知っている分…
“どんな想いで あの言葉を聞いていたのだろう”
“どんな想いで 話していたのだろう”と…
登場人物 それぞれの 胸中考えると
観るたびに 涙が止まりません^^;

円盤化は難しいらしいので…
ぜひっ!!
再演 地方公演 してほしい 作品です♪♪

絵本町のオバケ屋敷 〜愛!いつまでも残るの怪!〜

絵本町のオバケ屋敷 〜愛!いつまでも残るの怪!〜

優しい劇団

高円寺K'sスタジオ【本館】(東京都)

2025/04/19 (土) ~ 2025/04/19 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「舞台と客席をひとつにする熱狂」

 開演前の舞台上には出演者たちが談笑したり準備運動をしたりするなか、作・演出の尾﨑優人が客席に向けて前説を行っている。通し稽古をしておらずほぼぶっつけ本番であることに動揺の笑い声がたびたび起きた。

ネタバレBOX

 やがて開演時間になると明かりが落ち、舞台奥に設置された会場トイレのドアを開けて俳優が舞台へ足を踏み入れる。日常と地続きの非日常を感じられるこの幕開きがまずうまい。彼女は絵本町と呼ばれる町の住人(土本燈子)であり、誰も曲がらない三丁目の街角にある通称「オバケ屋敷」へやってきたという。別段なにも不思議なことが起こらないこの町をメルヘンあふれるものにしたいと願う住人に、そこにいた老婆(尾﨑優人)が幽霊たちを呼び出す。ピアノが置いてある部屋で座敷童子(石丸承暖)と出会ったお嬢様(夏アンナ)は、座敷童との交流と別れを回想する。プラモデルに熱中するあまり数々の人造人間を作るにまでなった博士(吉成豊)は、人造人間たちと合唱をして大騒ぎである。演劇部員(早舩聖)は俳優(好姫)から芸道を学び、大人気の子役(千賀百子)は芸能界の鬼(宝保里実)にみっちりしごかれる。幽霊たちの様子を見届けた住人は、いま見聞きした様子を絵本にすると誓ってオバケ屋敷を後にするのだった。

 本作の魅力は尾﨑を含む出演者たちの熱量のある芝居と、詩的かつナンセンスさもある独特の台詞である。特別な舞台装置はなく、簡素なスピーカーからブルートゥース経由で音楽を流し、スタッフが手で持ち運びできる照明を使い明かりを作るというなんともシンプルな作りながら、想像力を刺激された所以である。特に中盤、出演者全員で「ちゃぶ台」をモチーフに激しい台詞の応酬合戦見せたくだりは圧巻であった。もう少し声のトーンを落とし聞きやすい速度での台詞回しのほうがなおよいとは感じたが、冒頭の前説を含め客席は沸きに沸いていた。場面ごとに俳優の見せ場が設けられていて、さながらボードヴィルを見るような面白さがあった。
アルカの板

アルカの板

9-States

駅前劇場(東京都)

2025/04/25 (金) ~ 2025/04/29 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

まちがいない劇団さん。暗転でのモニターも秀逸。考えさせられるフレイズ。ラストまで目がはなせない。すばらしー!

遠巻きに見てる

遠巻きに見てる

劇団アンパサンド

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2025/04/18 (金) ~ 2025/04/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「いくつもの不条理に翻弄される人々」

 登場人物が何気ない会話を重ねるなかで日常に潜む不条理をあぶり出す秀作である。

ネタバレBOX

 踏切下の急な坂道の麓でバイト終わりのユウコ(西出結)と小林(永井若葉)が談笑していると、坂の向こうからランニング終わりの手嶋(奥田洋平)が突進してきて口論となる。声を荒らげ責め立てる手嶋に気圧された彼女たちは、最近市民ランナーが公道を我が物顔で走っていることを非難する。しかし次第にユウコといい仲の溝部(重岡漠)や、はては小林までもが手嶋やランニング仲間の高田(岩本えり)と一緒に走るようになってしまう。予想もしなかった変化にユウコはただたじろぐばかりだ。

 数日後、いつものように手嶋がランニング中に踏切の向こう側に立つと、そこから急に並行世界へと消えてゆきかけてしまう事件が起こる。そしてユウコが友人のアケミ(安藤奎)とともに踏切の向こう側を調査していると、アケミが並行世界へ消えてしまうのだった。アケミを助け出せなかった後悔からユウコまでランニングをはじめるのだが、そこで彼女は小林が走り出した恐ろしい真意を知ることになる。

 本作は何気ない会話を重ねることで手嶋に象徴されるランナーの身勝手な論理や、横暴な人物に仲間をとられていく様、果ては平行世界に飲み込まれていく人間たちなどさまざまな不条理を重層的に、おかしみを交えて描いていく。小林が手嶋を殺そうとして市民ランナーしか使わない自動販売機の水に毒を仕込むものの、誤ってその水を飲んでしまった渡部が死んでしまうといった展開も周到に計算されている。この人間模様の示唆するところは観客によってさまざまであろう。数日間の話とはいえ暗転が多いのにはやや辟易したし、もう少し長い尺で観たいとは思ったものの、味読がいのある小品を愉しんだ。

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