
『鯨よ!私の手に乗れ』『りぼん』
オフィス3〇〇
本多劇場(東京都)
2025/01/08 (水) ~ 2025/01/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
直前に観劇を思い立ったものの本多は後方が厳しかったなと些か逡巡。しかし宣した以上は観るべしと足を運んだ。顔は判然とせずとも芝居はよく届いた。歌の比重が高く、ヘッドセットのマイクのためか誰が喋っているか探す場面が多々(自分が喋ってるという芝居してちょ、と内心こぼす)。
戦時下の日本や戦後の幾つかの時期を、説明抜きに行き来する3◯◯ならではのカオス演劇。中心となる女性たち(同潤会アパートの住人たち)は縁りの女優か、知らぬ名もあるが演技が「届く」面々。全体としてアンサンブルも含め華やぎ賑やかしい出演陣が舞台を埋め、群像たちの個体識別は未完に終わったが、様々な「喪失」の悲哀の重層低音を響かせる3時間近いドラマは「再会と獲得」を暗喩するラストで締め括られた。何のかの言って最後には渡辺えり氏がこの機に再演に付した思いが切々と迫って来るのであった。

取り戻せ、カラー
アマヤドリ
吉祥寺シアター(東京都)
2025/01/24 (金) ~ 2025/01/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
広田氏の私小説的物語であるそうだが、もちろんフィクションを織り交ぜているとしても、この、かなり壮絶な半生と、祖父母や両親の人生と、これから向き合わなくてはいけない「母」や「きょうだい」「きょうだいの家族」「自分の家族」と、これから先を生きる者たちが抱えるかもしれない「血の繋がり」の呪縛等々を「舞台作品」とし世に出したことに、まず感服する。
そして、タイトルの「取り戻せ、カラー」は、これからカラーを取り戻しに行く広田氏の覚悟と決意表明のようにも感じて、胸が熱くなる。
登場人物が多く、時代が行き来するので混乱するかと思ったが、そこはさすが実力の確かな役者さん揃い。素晴らしかった。
特に相葉るかさんは、ちょっと、いやかなりエキセントリックな母親を見事に演じていて素晴らしかった。
「アマヤドリ」活動休止前最終公演とのこと。
いろいろな事情があるとは思うので、何年先になるかはわかりませんが、どうか近い将来に「カラー」を取り戻して更に深みを増した広田氏の脚本・演出で「活動再開記念公演」が行われることを切に願う。

メモリーがいっぱい
ラゾーナ川崎プラザソル
ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)
2025/01/24 (金) ~ 2025/02/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
主役のロボットの父(豊田豪)の演技、我々ロボットを想像するようなや動きや台詞回し。それは面白いのですが、暗転の場面、普通、そこでは演技はしないものです。でも彼は暗くなってもロボットを演じていました。実は以前、『ガラスの動物園』と言う芝居、ローラ役の女優、足が不自由な役なのですが、暗転になると普通の動きをしていました。それを批判的に書いていた投稿がありましたが、私は芝居のルール、その良し悪しは分かりませんでした。でも暗転の場面でも観客は目を凝らしています。俳優が、そこまでの注意を払うのがよく分かりました。

アンナの銀河
演劇集団nohup
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2025/01/22 (水) ~ 2025/01/27 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/01/23 (木) 19:30
『アンナの銀河』のタイトルやあらすじを読んだ感じだと、藤子F不二雄のSF(少し不思議)な漫画の話とかのパロディ的なSFコメディ劇と思って期待して観に行った。途中劇中にはっきり出てこない星人が優生思想で人間を研究対象で下等に見ているのがナチスを彷彿とさせる。
さらにシェルターでアンナと他の家族が生活する。共同で隠れてシェルターで生活するが途中で大人同士のイザコザが起きたり、不倫が起きたりし、実験用ペットとして15年間シェルター外の入れ物の外から観察してきた星人が痺れを切らせて未知のウィルスを食べ物を作り出す機械の中に混入し、アンナ以外全滅するが、アンナだけ生き残り、引き続き観察が続けられる。といった在り方が『アンネの日記』を書いていたアンネとその一家が密告されて、ナチスに捕まり、アンネは病気で亡くなるという事実と偶然かもしれないが酷似して(厳密なやり方は違うものの)重なる部分が多くて、ちゃんと劇作家·演出の人は『アンネの日記』を読み込んで、アンネフランクに関わる文献を徹底的に調べ上げた上で書いて上演しているなと感じ、感心してしまった。
それまでのけいかではハラハラドキドキ心配になり、時に戦慄さえ感じて、終始緊張しっぱなしで、時々笑える場面も多々ありつつも、劇の進行から片時も眼が離せなかったが、終わり方が『アンネの日記』を換骨奪胎した上にアンナが救われるということで、安心して胸をなでおろすことができた。
アンナが劇中書く日記をアンナ自身が独白で読み上げる形式が普通の劇より説明的な感じがやや否めないものの、それが逆に新鮮で特徴的。アンネフランクの生涯は劇にもたくさんなっていると思うが、『アンネの日記』をアンネが独白形式で読む説明感強めでありつつの群像劇で、要所要所の重要な山場の場面さえ押さえれば、観客が劇に引き込まれつつ、最後にお涙頂戴的なことでなく、無理なく感動して、自然と涙が出てこれる演出方法で、本当の『アンネの日記』の劇化の際に参考になるんじゃないかと考えた。もちろん説明的すぎるのも良くないと思うので、適度なバランスは大事だと思うが。
『アンネの日記』における性的描写やアンネが明るくお喋りで落ち着きがないが無邪気でありつつませていて、段々日記を書く中盤頃から思春期なのを意識し始めたりする、アンネがよくその辺にいる普通の女の子だといったエピソードがあるが、『アンナの銀河』においても似たようなエピソードをちょこちょこ挟む劇作家·演出の人の妙な忠実ぶりには感慨深かった。

どらきゅらぁズ
四宮由佳プロデュース
サンモールスタジオ(東京都)
2025/01/21 (火) ~ 2025/01/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
キリキリした緊張感、熱量で押してくるみたいな芝居じゃない。
このゆるさはきっと自覚的なもので、なかなかうまくいってると思いました。
そこがダメな人もいるだろうけど、自分は肩の力抜いて観られて悪くはなかった。
シンプルなセットのなか、棺桶の使い方は面白かったですね。
3つあった親子関係には、ちょっとホロリとした。

きみは泡沫にうたう。
キミノアトリエ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2025/01/22 (水) ~ 2025/01/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
こちら良かったです。
まず、美術と照明が良くて。丸い発光体を多数釣っていて、それが光ったり暗くなったり、昇ったり下がったりするんですが。
凄い綺麗で幻想的でしたね。タイトル通り泡を連想して、それはつまり更に裏の意味まで繋がるんですが。
アドリブ的なギャグシーンは、この作風ならいらない気もしたけど、そういうシーンで一息つける人もいるのかな。
通路を役者が通る演出はかなりやってきて、なかなか効果的だった。
詩的、散文的な見せ方なんですが。
最終的にはああってなる感じで。
観終わったあと、芝居に浸った余韻がありました。

かっこいいジャンパー(仮)
道楽息子
アルネ543(東京都)
2025/01/22 (水) ~ 2025/01/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
荒唐無稽でハチャメチャだけど、演劇愛ってスジは通ってると思う。
元気あったころの香港映画のテイストを感じたり。
演劇をこの世から消滅させようとするものと、演劇をやろうとする人たちの戦い。
結構過激な演劇あるあるネタたっぷりでしたので、そこをユーモアで流せる人なら楽しめるかと。
僕は面白かったですね。

取り戻せ、カラー
アマヤドリ
吉祥寺シアター(東京都)
2025/01/24 (金) ~ 2025/01/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
家族の話、作演の私小説的な話。
時系列はやや前後はあるけど、それでもアマヤドリの作品としては、かなりわかりやすい感じで。
もう少し驚きがあるのかと構えていたら、全体的にオーソドックスで、どストレートだなって思いました。
役者や各種の基本的な質に間違いは無く。
僕は誠実だと感じたのですが、提示されたお話にどこまで共感出来るか、みたいなところかなと。

『幻書奇譚』
ロデオ★座★ヘヴン
新宿眼科画廊(東京都)
2025/01/23 (木) ~ 2025/01/28 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
世界最古の本をめぐる、ワンシチュエーションのミステリー劇。
まず脚本が面白く、役者陣も素晴らしく、会場との親和性も抜群なので入り込めます。
10年前の作品の再再演になるそうですが、古びておらず、むしろ今だからこそって感じすらありました。
二面の客席の作り方もよく考えられていて。色んな意味でスキが無い芝居だなって。
ピリピリした芝居じゃなくて、息抜き出来る場面もちゃんと多数用意されてるんですよね。
昨年11月に、同じ新宿眼科画廊で”平坂村事件”(同作家による。これもめちゃ面白かった)を観ていたのは、幸いだったなって思います。
観劇後に知ったのですが、この2作は構造的に盾の表と裏って発信がSNSであったんですね。
うんうんって感じ。お話に繋がりがあるわけじゃないですけどね。

ニッポン人は亡命する。
うずめ劇場
シアターX(東京都)
2025/01/24 (金) ~ 2025/01/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
二十歳代に来日してそのままこの国に定住して三十年、日本語堪能のドイツ人の演劇人による問題劇である。さきに詩森ろばによる性行為のハラスメントが問題とされた劇を見たが、こちらは広く日本に拡がる生存権、表現の自由と権利、国家権力を問題にしている。
問題は。福井県の職業高校で起きた演劇部への差別事件である。全県の高校が参加する演劇祭の作品を地域のケーブルテレビが中継放送した。しかし、この職業高校の作品だけ、県の原子力発電所の是非を扱っているため放送しなかった。これは表現の自由に関する侵害ではないか。また職業高校に対する差別ではないか。
この高校の演劇部を指導してきた地元の教師や指導者は異議を唱えた。しかし、同じ高校の教職員からもも、同意が得られず、県の教育委員会も同意しなかった。さらに、全国組織でも、教員組織のみならず、劇作家協会や演出者協会に訴えても、支持は得られなかった。みな、あれこれの理由をつけて(ここはいかにもありそうなことで笑ってしまうが、もちろん舞台では笑い事ではありません!と正論である)。福井県が、全国4位の原発受け入れ県で、一方でははかばかしい産業もないという現況を背景にしての職業高校の持つ周囲への配慮である。しかし正論を言えば、これは憲法違反である、とてもこんな生き苦しい国には住めない。生存権の問題だと、ドイツに亡命しようと、ドイツ大使館に亡命させてくれと訴え出る。ここからドラマが始まるわけで、ドイツ大使館も在日本大使館だから、窓口は責任者「代理」として日本人を雇っていて対応する。奇妙な亡命申し出に大使館も辟易して、対応時間を決める。問題は次第に矮小化して肝心の問題はどこかへ行ってしまう。
問題素材提示劇である。
まぁ、よくあることだが、現代の日本人はこういう問題の処理と解決はあまり上手くない。そこをこの「問題提起素材劇」は面白く展開して2時間、飽きさせないが、そこでどうなるというものでもない。しかし、この課題をいろいろ考え話し合ったりするのは今後の役には立つだろう。現代版のブレヒト劇である。一つのジャンルにはなるだろう。
このドラマの感想となると、内容は、国を超えて理解することは出来るが、共感は作りにくい。ということだろうか。ドイツでも同じような問題は難民問題で起きている、どのような国でも、人間が作る社会があれば対立する問題は起きる。ドイツを諦めてカナダで亡命希望しても結局亡命者として受け入れないだろう。それならカナダは自由の国ではないというのか?。結論が諸般の事情で出せないことはある。それをなんとかやりくりして過ごすのは社会の必然で、この国には、無理矢理解決を図って身の程知らずの戦争で国民の命も財産を大いに失った経験がある、どこで妥協点を見つけるかで、その方法は一つづつ考えていくしかない。
亡命で解決するというのは劇の脚本の面白さである。現実の問題解決になるためには劇の現実化への可能性がなければならない。いい妥協点が見つかればドラマの効用である。
久し振りで登場した作者は・鈴江俊郎、健在だったのか! かつて、自殺した学友が自転車に乗って現われる青春劇に共感したことを思い出した。もう四十年近く前のことだ。

『マリンスノーの雪解けを』
演劇集団MALACHITE
大阪市立芸術創造館(大阪府)
2025/01/24 (金) ~ 2025/01/26 (日)公演終了
満足度★★★
過去作品は基本ファンタジーの劇団だが、今回はファンタジー感はほんの少しで、リアル会話劇 前半でこうなるだろうな〰️と思っていたとおりに進み、中弛み感はあったが、最後は定番のハッピーエンド 物足りないかな〰️

生ハムの原木
月曜劇団
in→dependent theatre 1st(大阪府)
2025/01/24 (金) ~ 2025/01/26 (日)公演終了

正しいホシの見つけ方
アカルプロジェクト
アカルスタジオ(大阪府)
2025/01/24 (金) ~ 2025/01/26 (日)公演終了
満足度★★★★
最後が意外な展開でしたが、あれでは組織として…😞
ミシュランの星🌟ではなく、自分自身の星❇️を見つけようってことですね➰

押絵と旅する女たち
犬儒派リーディングアクト
アトリエ三軒茶屋(東京都)
2025/01/10 (金) ~ 2025/01/13 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
初犬儒派リーディング観劇はとても小さなアトリエ三軒茶屋というこちらも初のスペースにて。コロナに入った2022年から凡そ年3回ペースで独特な作品をやってる模様だが、どうやら日本文学史上の品々を翻案ないしはコラージュした作品を披露するものであるらしい。そのコンセプトはシンプルで、複数の乱歩作品を引き摺り出しある視点(糸)通して括り、抒情の内に幕を閉じて作品或いは作中人物(それは作者にも思われる)を元居た場所(冥界?)へと送り出すかのようである。乱歩の作風がそうさせるのか、ちょっとした儀式に立ち会った感覚に見舞われたのだった。
個人的には初のユニットながら見ればお馴染みの俳優たち、特に先日の二人落語第二弾を見そびれた北澤女史の「名調子」を図らずも味わえてラッキー。

会想列車
劇団 枕返し
遊空間がざびぃ(東京都)
2025/01/24 (金) ~ 2025/01/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
とても面白かったです。
不思議な世界観を持ったストーリーも良いし、役者さん達は、登場人物達を魅力的に演じていて、どんどん惹き込まれました。
シリアスなのかコメディーなのか、絶妙な所も良かったです。
笑いに中に、善悪や生きづらさを考えさせられ、そして愛ある作品で、良い舞台でした!

おもいだすまでまっていて【東京公演】
Pityman
シアター711(東京都)
2025/01/16 (木) ~ 2025/01/21 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/01/20 (月) 14:00
母娘3人の東京観光という事前情報から漠然と小津安二郎監督「東京物語」(実は未見(爆))を思い浮かべたこともあってか、ゆったりと間をとった(広島訛りの)会話で描かれる「家族」の物語に1950年代の日本の白黒映画を想起。
また、既に両親とも亡くしている身として娘の側になることはもはやないものの将来自分もなるであろう母の様子が身につまされると言うか迫ってきてしんどいが、全体的には温かさでくるんでいるのでそれが緩和される感じ?
そんなところも巧いと思った。

カンテン「The Foundations」Final.
カンテン事務局(Antikame?)
座・高円寺1(東京都)
2025/01/22 (水) ~ 2025/01/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/01/26 (日)
価格4,000円
これはこりっち年間面白かった演劇ランキングに(自分の)1位で載せる気になれた演劇。
帰り、台本を買えば良かったと小さく後悔した。
素舞台。前半「9人の佐藤」
団地という世界での佐藤さんの織り成す人生。特に呆けたおばあちゃん役が素晴らしかった。
後半「名前のない空」はまさに演劇でやるべき作品。
終演後に作家と話す機会があったが聴きそびれたのが2点。
1点、どういう着想からこの芝居を書こうと思ったのか。
2点、一番やりたかったシーンや展開はどれなのか。

誕生の日
ONEOR8
ザ・スズナリ(東京都)
2025/01/23 (木) ~ 2025/02/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
観てきました☆ 舞台セットがとても雰囲気良く出来ていて始まる前からワクワクでした☆
初演も観たのですが、ずっと良くなっていたと感じました☆ 最後の歌のシーン感動でした☆
終演後の矢部さんの挨拶、らしさが出ていてほっこりしました☆

メモリーがいっぱい
ラゾーナ川崎プラザソル
ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)
2025/01/24 (金) ~ 2025/02/02 (日)公演終了

ニッポン人は亡命する。
うずめ劇場
シアターX(東京都)
2025/01/24 (金) ~ 2025/01/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2025/01/25 (土) 18:00
ベテラン劇団だが実は初見。厳しい台詞が続く問題提起型演劇かと思う。(前説等で7分押し)120分。
ドイツ大使館に1組の男女が現われ、男がドイツに亡命したいと言い、語り始める、日本の暮らしにくさの数々、…という物語。エンディングはファンタジーにしているが、聞いてて落ち着かない台詞の連鎖で心穏やかではいられない。「明日のハナコ」の話題を中心に教育の問題を語る時間が長いが、全体に通底するものがある。