ラ・バヤデール
新国立劇場バレエ団
新国立劇場 オペラ劇場(東京都)
2024/04/27 (土) ~ 2024/05/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
現在上演中の新国立劇場バレエ団の『ラ・バヤデール』4公演目を観た。
主要な配役の内重要な4役を挙げると、ニキヤを柴山紗帆、ソロルを速水渉悟、ガムザッティを木村優里、大僧正を中島駿野が演じていたが、個人的には久しぶりに観る木村優里のファンである。
バヤデールというのは寺院の舞姫を意味し、主役はそのバヤデールの中でも美貌の持ち主・ニキヤ。このニキヤに恋した高潔の戦士ソロルの悲劇を描いたのがこの作品で、悲劇を作り出したのはニキヤに横恋慕する大僧正とソロを愛するガムザッティの愛憎劇。結局、ガムザッティの侍女の渡した花かごから現れた毒蛇によってニキヤや絶命し、ニキヤへの愛を貫こうとしたソロルは大寺院崩壊の下敷きになって絶命する。いや、元々は絶命するものの、2人は天上で結ばれるというのがこの作品の原作で4幕ものであったのを、初演後に近年一時4幕目をカットして上演していたものを、4幕目の内容を3幕内に取り込んで上演するようになっていたのだ。ただ、新国立劇場で採用している牧阿佐美版は天上で2人が結ばれるというハッピーエンドで終わらせず、ソロルは寺院崩壊で死に、ニキヤは天上へ向かうという演出となっている。『白鳥の湖』の結末のように、ハッピーエンドで終わらせていないのが、観客に訴えかける何かがある。
そう言えば、この作品は『白鳥の湖』と並んで「ホワイトバレエ」の代表作の1つに数えられているそうだが、3幕冒頭のコール・ド・バレエのシーンでアラベスクを繰り返してジグザグに山をおりてくるところがホワイトの印象が強かったが、その他の場面ではむしろエキゾチックな場面が多いように思われた。
音楽はミンスク作曲。バレエのファンで無くてはミンスクという作曲家の名前を知る者はおそらく多くはおるまい。チャイコフスキーほど洗練されてはいないが、ダンサーにとっては踊りやすい音楽だろう。
さて、ソロル役の速水はこの役でのデビューとの事だったが、無難に乗り切った感じ。ニキヤとガムザッティに対する対応に、もう少し差があっても良いのでは無かったろうか。
柴山は、まぁ無難なところ。ソロルに対する表情が豊かであってほしかった気はする。
ガムザッティの木村、こう言う気の強い女性もしっかり踊れるのには感心した。こうなると、小野や米沢のニキヤを観てみたくなった。
フィクショナル香港IBM
やみ・あがりシアター
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2024/05/01 (水) ~ 2024/05/06 (月)公演終了
どつぼ
ナイスコンプレックス
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2024/04/26 (金) ~ 2024/05/06 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
なかなか面白かったし楽しかったです。
街歩きで新郎のことを少しだけ分かった気になり、劇場での前半はそれまでの経緯を単純に笑い(「ゾンビ禍」というのも突拍子もない設定では無くて)、後半は参列者の気分で楽しみました。
カタブイ、1995
名取事務所
小劇場B1(東京都)
2024/03/15 (金) ~ 2024/03/18 (月)公演終了
映像鑑賞
満足度★★★★★
米兵による少女暴行事件とその後の抗議運動の盛り上がり——「何かが変わるのかもしれない」と思わせた1995年の沖縄を舞台に、反戦地主でもある祖母、娘、孫娘の三代にわたる女性たち、本土から訪れた娘の元彼、沖縄防衛局の女性職員……それぞれの葛藤や決意が描かれる。
3世代の女性の姿から立ち上がってくる傷、傷ついたものがつながる共感の生々しさはいわずもがなだが、いわゆる”当事者”のみを描くのではなく、県外出身の登場人物にも光をあてたことで、このドラマに立ち会う観客すべてに、基地の問題、沖縄が抱えこまされている矛盾を問う作品になっていたと思う。時折挟まれる法律の条文も、人々の暮らし、その現実との繋がり、あるいは乖離を実感させるものとして機能していて、耳に残った。
「東京からしたら沖縄のことは向こう側の、遠い土砂降り」
シリーズ前作にあたる「カタブイ、1972」から引き継がれているこの台詞は、あまりにも胸に迫る。ましてや、今の私たちは「何かが変わりそう」と思えた県民総決起集会の後の20数年を知っているのだから。
フィクショナル香港IBM
やみ・あがりシアター
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2024/05/01 (水) ~ 2024/05/06 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/05/01 (水) 19:00
頭オカシイとしか思えない(褒めています)傑作。観るべし!観るべし!!観るべし!!!120分。
何を書いてもネタバレになるのだが、「IBMが作ったフィクショナルな香港の話」くらいなら書いてもいいかな、の感じ。とにかくスゴイ。見事。繰り返しや断片的なシーンの連絡が最後にまとまると泣く。
なかなか失われない30年
Aga-risk Entertainment
新宿シアタートップス(東京都)
2024/04/27 (土) ~ 2024/05/06 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
去年惜しまれつつ閉館した小劇場シアター・ミラクルがあったのは新宿歌舞伎町のカイダ第3ジャストビル4階。今作はそこをカワダビル4階と変えた。2024年4月30日、ビルを相続した男(伊藤圭太氏)が売却の手続きをする為、不動産屋を待っている。数十年、このビルの電気設備管理を担当してきた淺越岳人(あさこしたけと)氏が点検に来る。一度ブレーカーを落としたところ、部屋が暗転と共に時空間の混線に巻き込まれ、過去のその部屋の時空と重なり合ってしまうハプニングが。全く訳が判らないまま、伊藤圭太氏と淺越岳人氏はこのSF的難問にどうにか対処しなければならない。果たして不動産屋が来る2時間後までにこのトラブルを解決できるのか?
MVPは北川竜二氏。この人のキャラ設定、台詞が最高。
雛形羽衣(うい)さんも可愛かった。
榎並夕起さんの長い美脚、鹿島ゆきこさん、兼行凜さんと脚でキャスティングしてるのか?と勘ぐる程。
江益凛(えますりん)さんは相変わらず華がある。
次の冨坂友作品は2024年7月三越劇場の『逃奔政走-嘘つきは政治家のはじまり?-』。主演鈴木保奈美さんでチケットは一万円と強気。しかも今から手配しないと即完売っぽい雰囲気。
どちらも是非観に行って頂きたい。
なかなか失われない30年
Aga-risk Entertainment
新宿シアタートップス(東京都)
2024/04/27 (土) ~ 2024/05/06 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
すごかった。ずっとワクワクしてた、時代毎の設定が納得しかなく、普段は買わない台本まで買ってしまいました。面白かったです。
絶望という名のカナリア
甲斐ファクトリー
小劇場 楽園(東京都)
2024/04/23 (火) ~ 2024/04/28 (日)公演終了
へなちょこヴィーナス
“STRAYDOG”
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2024/04/25 (木) ~ 2024/04/29 (月)公演終了
どつぼ
ナイスコンプレックス
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2024/04/26 (金) ~ 2024/05/06 (月)公演終了
へなちょこヴィーナス
“STRAYDOG”
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2024/04/25 (木) ~ 2024/04/29 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
実は2回目の観劇でして、役者の方々の生の芝居に熱量に圧倒されました。掛け合いが多く、面白く感じました。どちらか片方がもう一人に言い聞かせることで表現するわけでなく、その場にいる全員が一つのことを表現していると感じました。人物が刺激を受けて、トラウマを乗り越えざるおえない感じが青春の甘酸っぱさと合わさって感情移入できました。そして何よりダンスのダイナミックさと、一人一人の役者の方々の元気あふれる感じ。またコメディとして面白かったです!素敵な方々だなと思いました!
Le Fils 息子
東京芸術劇場
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2024/04/09 (火) ~ 2024/04/30 (火)公演終了
実演鑑賞
引きこもりの息子(岡本圭人)と、どうにかして彼を立ち直らせようとする父(岡本健一)を軸に展開する家庭劇。
社会的地位もあり、若い妻との新生活も楽しむ父の、「息子をどうにかしてやろう」とする傲慢さ、愚かさ、そして犯す間違いの数々……。言ってしまえば父親の「凡庸なクズ」ぶりを描くきめ細やかな筆致、演技に引き込まれる。息子を演じる岡本圭人の不安定(不気味にも見える)さ、現在の妻(伊勢佳代)と前妻(若村麻由美)の抱く不安や焦燥も鮮やかに立ち上がり、俳優の演技、そのやりとりを楽しむという意味では充実した時間だった。
多少ドラマティックにすぎる物語とはいえ、「家族」という舞台なればこそ、浮き彫りになる間違い、すれ違いそれ自体は特別なものではなく、共感、共振する人も多いかもしれない。
SEXY女優事変ー人妻死闘篇ー
劇団ドガドガプラス
浅草東洋館(浅草フランス座演芸場)(東京都)
2024/04/24 (水) ~ 2024/04/30 (火)公演終了
前髪(あなたに全て捧げるけど前髪だけは触るな)
MCR
ザ・スズナリ(東京都)
2024/04/24 (水) ~ 2024/04/30 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
MCR歴3作目。
今回はどうにも消化しきれず…
堀さんや荒波さんをはじめ、役者さんたちのパフォーマンスには納得も物語の軸を掴み切れなかった。
絶望の先にあるものって何なのだろうか?そんなことを考えた2時間。
熱海殺人事件「4作品同時公演」2024
カガミ想馬プロデュース
サンモールスタジオ(東京都)
2024/04/17 (水) ~ 2024/04/30 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ストーリーは結構矛盾をはらんでるし代名詞の早口でがなる台詞回しは聞き取れないところもあるし…
ダメな人はダメかもしれない。が、自分はそれらを凌駕する熱量の芝居が好き。
初アスナさんだったが、とにかく引き込まれた。
全編、歪な愛の物語に胸を打たれた。
いのうえ歌舞伎『偽義経冥界歌』 【大阪・東京 休演(2月28日~3月17日) / 福岡全公演中止 】
劇団☆新感線
赤坂ACTシアター(東京都)
2020/02/15 (土) ~ 2020/03/24 (火)公演終了
映像鑑賞
満足度★★★★★
2024年4月30日16時50分 ゲキシネ ブルク13
私のゲキシネ第2弾!なんか見たことあるような・・・と思ってこちらのページに今日の感想書きにきたら確かに舞台で実演観劇しているではないですか!!自分の記憶力が危ういのは確かですが、劇場では後ろから数えた方がいいような席だったので、見え方が全然違うのだから仕方ないと思うことにしよう。
殺陣のシーンのカメラが近すぎると思うのと、そんなにアップにしなくても・・・というのは今回も感じましたが、DVDで見る分にはいいのかな。
ストレスのない映画館席で見られるのはとてもいいです。改めて、面白かったし。
ピーチボーイズ
Peachboys
シアター711(東京都)
2024/04/23 (火) ~ 2024/04/29 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
初でラスト…
とにかく大笑いの2時間。大の大人が大真面目に下ネタ、モノマネ、パロディを繰り広げる姿に12年の歴史を感じたのか不思議と胸が熱くなった。
カテコダブルではもらい泣き。
こんな楽しさと感動はきっと小劇場ならでは。
これで見納めって切なすぎ。
朗読か?群唱か?「残酷な天使のテーゼ」からのパロ、めっちゃ好き。
瀧山と180度ちがう生粋万鈴さんの綾波なみ?脳裏から離れない笑
世界名作劇場、森口美樹さんの足プルプル、泣いた笑
夢落ち…だし
カテコで「また会いましょう!」…だし
なんか期待してしまう…
なかなか失われない30年
Aga-risk Entertainment
新宿シアタートップス(東京都)
2024/04/27 (土) ~ 2024/05/06 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
いやもう凄いとしか。
設定が面白すぎるし理屈がリアルにしか感じない。
なるほどなのセットチェンジも注目。
そう来たか!のラスト、感動して胸が熱くなった。
これはもう一度観たいと心から思える素晴らしい作品。
めちゃくちゃ面白かった。
夜会行
動物自殺倶楽部
「劇」小劇場(東京都)
2024/04/24 (水) ~ 2024/04/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
決して多くはない台詞に込められた繊細な思いが胸を突き刺す。
心情の破裂を表現するかのような演出がたまらなく切ない。
あんなこと自分は絶対に言わないと思いながらも深層ではどうなのか?と問われているよう。
今観るべき芝居であることは疑うべくもない。良かった。
デカローグ1~4
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2024/04/13 (土) ~ 2024/05/06 (月)公演終了
実演鑑賞
プログラムAを鑑賞。デカローグ1&3はどちらも普遍的な物語だとは思うものの、プログラムAだけを観た現時点では 1980 年代のポーランド・ワルシャワを描いた映画をなぜわざわざ2024年の日本の国立の劇場がしかも演劇でやるのかが全く見えなかった。特に、なぜ演劇でこれをやるのかという点については大いに疑問。プログラムAについては団地の一部を模した舞台美術が全く機能しておらず(機能するように使えておらず)、単に見づらいだけでなく空間の使い方があまりにルーズで(どこまでが部屋でどこに壁があるのかなどが不明瞭)それがいちいち引っかかる。観客の想像力に都合よく甘えるべきではない。