Le Fils 息子 公演情報 東京芸術劇場「Le Fils 息子」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    引きこもりの息子(岡本圭人)と、どうにかして彼を立ち直らせようとする父(岡本健一)を軸に展開する家庭劇。

    社会的地位もあり、若い妻との新生活も楽しむ父の、「息子をどうにかしてやろう」とする傲慢さ、愚かさ、そして犯す間違いの数々……。言ってしまえば父親の「凡庸なクズ」ぶりを描くきめ細やかな筆致、演技に引き込まれる。息子を演じる岡本圭人の不安定(不気味にも見える)さ、現在の妻(伊勢佳代)と前妻(若村麻由美)の抱く不安や焦燥も鮮やかに立ち上がり、俳優の演技、そのやりとりを楽しむという意味では充実した時間だった。

    多少ドラマティックにすぎる物語とはいえ、「家族」という舞台なればこそ、浮き彫りになる間違い、すれ違いそれ自体は特別なものではなく、共感、共振する人も多いかもしれない。

    ネタバレBOX

    だが、そもそも息子の状態は、現代なら、素人目に見ても十分に(それも劇の序盤の段階で)医療や心理の専門家が入るべきだと判断できるもので、そのリアリティを放置したまま悲劇に向かう筋書きは、結局、「衝撃的な結末」ばかりを目的化しているように見えてしまう。
    音楽、転換などの効果も定型かつやや過剰に感じられた。

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    2024/05/01 06:41

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