皇国のダンサー
劇団黒テント
ザ・スズナリ(東京都)
2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
主演のダンサーが天才作曲家・服部良一氏の次男、服部吉次(よしつぐ)氏78歳!ジャニー喜多川から70年前に受けた性加害の告発で話題となった。「如何に沈黙することが恐ろしいことか。」は余りにも重い言葉。
前作『亡国のダンサー』から6年目、同テーマのリブートなのか、前作を観ていないので判断はつかない。
「大化の改新」と「システムとしての天皇制」がテーマのようにも。
スクリーンに投影される膨大な文章、映像、写真。地下鉄、コンクリート、灰色、雑踏。
「雨が降っていた」「ダンサーはどこへ」
謎の部屋で目を覚ます片岡哲也氏。ずっと倒れていたようだ。そこを管理する者達から極薄スマホのような端末を渡される。「自分の情報を登録するように」と。だが何度名前を入れてみても入力されない。閉ざされた部屋で何も出来ずじっとするのみ。
ある日、渡されたゴーグルを掛けると部屋の隅に女性(岡薫さん)が倒れている姿が見える。ずっとこの部屋にいたらしい。女性は更にもう一人の人物の気配を感じると言う。その老人こそ、服部吉次氏。フレッド・アステアのムードで軽やかに舞台を彩るステップ。
どうやらここは地下もある巨大なビルらしい。長い坂を登り切った先にある。窓から見える風景が妙に懐かしい。
別役実っぽく、押井守の『イノセンス』や大友克洋の『AKIRA』のようでもある。『アルファヴィル』や『未来世紀ブラジル』を連想させる近未来ディストピアの管理社会、無数に続く質問攻め。
問い掛けのされない答がそこらの床に雑然と転がっているが、誰もそんなものには見向きもしない。答ではなく、質問にしか人は興味を示さないからだ。
吉良屋敷
遊戯空間
シアターX(東京都)
2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了
『屋上庭園』『soloplay ある親子の問答』
研技術研究所
サブテレニアン(東京都)
2023/10/31 (火) ~ 2023/11/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/11/01 (水) 19:00
初見のユニット。百花亜季出演というので観に行ったが、アットホームな印象のすがすがしい舞台だった。70分(=前説3分+34分+場面転換3分+30分)。
岸田國士の短編戯曲を2本。
まず『ある親子の問答』で、3バージョンあるそうだが、主宰で演出の大原研二が母親の立場での戯曲を読む一人芝居。時折、観客にセリフを読むよう促す等の演出も巧く、物語がスーッと入ってくるように思った。
続いての『屋上庭園』だが、いろいろな所で何回も上演されている戯曲で、どこかで観た気がするのだが思い出せない。登場人物は4人だが、ほとんどの時間を夫役の2人が会話する。本作を観て、面白いのは、妻役の2人が退場する場面と登場する場面だと思ったりもした。本作もスッキリと物語が入って来る上演だった。
終演後に「アフターフィードバック」というものを30分ほど。役者陣が集まって、上演に関して気づいたことを話すそうだが、普段の稽古もそのような形でやってるそうで、アットホームな印象を強く持った。
エゴ・サーチ【Mura.画】
Mura.画
劇場MOMO(東京都)
2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
αチーム観劇。鴻上尚史氏演出の大きな劇場で何回か観た作品であるが、今回のヴァージョンも素晴らしい。コンパクトな舞台に合わせて、テンポよくメリハリが効いている。最前列に座ったので、役者さんの表情がハッキリと見えたのも良かった。
エゴ・サーチ【Mura.画】
Mura.画
劇場MOMO(東京都)
2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了
エゴ・サーチ【Mura.画】
Mura.画
劇場MOMO(東京都)
2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了
エゴ・サーチ【Mura.画】
Mura.画
劇場MOMO(東京都)
2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
野田さんの演出で紀伊国屋で観た作品
小劇場での公演ということでどうなるのか期待でいっぱいだったが、とても良かった!いいものを観たに尽きる。
テンポのいい転換と小劇場ならではの各演者の距離感を活かして、濃密な感情の動きが渦巻く空間に仕上がっていた!
野田のところどころ気をてらった演出のアクセントのところが、よりモデラートで角ばっていないイメージ
より登場人物同士の心の動きの濃密さが、小気味よいテンポの転換で紡がれていく。
野田演出を観たひとも、この公演観てより満足を得られるだろう より濃密になった人間ドラマをご覧になっていただきたい
ガレキの城のこどもたち
JOEcompany
新宿シアタートップス(東京都)
2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
登場する子どもたちが皆、二つの人格を持っていてひょんなことから一堂に会する。このあらすじからは想像できないくらいかなり緻密な物語展開、そして創意工夫を感じる場面転換、なによりもシリアスな内容でありながらコメディ要素が盛りたされているという見応え抜群の舞台でした。
舞台観劇自体、数える程度の人間でしたがさながら本当にその風景が眼前に広がっているかのような演出や出演者皆様方の演技に感動いたしました。
複雑な登場人物関係でありながら、すぐに物語に惹き込まれるので理解するまでそこまで時間は要しません。緻密なストーリーでありながら、観ている側への配慮も感じられる構成で素晴らしいです。
これから観劇される方はぜひ次の展開を想像しながら、そして笑って泣いていただきたい作品です。繰り返し観ることで見えてくる部分もあると思うので、次回以降が非常に楽しみになっています!
アメリカの怒れる父
ワンツーワークス
駅前劇場(東京都)
2023/10/26 (木) ~ 2023/11/05 (日)公演終了
未踏
wonder×works
座・高円寺1(東京都)
2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
面白かったです。役者さん1人1人の実力を感じました。
時間は長い方だと思いますが時間を忘れました。砂アートも素晴らしい
未踏
wonder×works
座・高円寺1(東京都)
2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了
GIRLS TALK TO THE END vol.4
藤原たまえプロデュース
OFF OFFシアター(東京都)
2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
vol.3を観て凡その展開は分かっているはずなのに、今日もあちこちでドキッとさせられた。充実の80分。
GIRLS TALK TO THE END vol.4
藤原たまえプロデュース
OFF OFFシアター(東京都)
2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
お世辞抜きで最高でした。ほんと素晴らしかったです。これは必見ですね。都内在住の人はみんな見るべきかと。演者のみなさん、ほんとうに格好よかったです。最高の時間をありがとうございました。
フートボールの時間
(公財)可児市文化芸術振興財団
吉祥寺シアター(東京都)
2023/10/26 (木) ~ 2023/11/01 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/11/01 (水) 14:00
いい舞台だった。女性に良妻賢母という役割が求められていた時代、校長の示唆もあってフートボール(サッカー)を始めた女子学生たちと先生の物語。香川県の丸亀高等女学校が舞台となっている。
役者たちはいずれも、いい演技だった。特に、フートボールをめぐって後任の校長と対立し、ボールに穴を開けて処分するよう命じられる体操の教師を演じた堺小春、冒頭から登場する女学校を顧客に持つ写真館の娘を演じた井上向日葵の熱演が光った。恐らく台本にも相当関与したと思われる瀬戸山美咲の力量が後押ししていると思われる。
特に、ラストシーンは感動的であると共に示唆的だ。今でも女性の社会進出という点ではガラスの天井があるのが現実だが、それでも当時と比較してこのようなラストシーンを設定したのは素直に客席の胸を打った。理屈ではない感動。これはやはり舞台の力だと思う。これを味わうだけでもこの舞台は見る価値がある。
振り袖姿の女子生徒たちがボールを蹴るシーンが後段などにある。ダンスなども交えてうまく演出してあったとは思うが、本音を言えばやはり、本当にボールを蹴ってほしい。台本通りにボールが転がらなくてもいい。ボールを蹴ることは彼女たちにとって、自由へのキックなのだから。
未開の議場 2023
萩島商店街青年部
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2023/10/31 (火) ~ 2023/11/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
「ロックオンドアテンドサイド(?)」
チャップリンの名作『独裁者』に登場する架空の国トメニア。王子駅近くにある居酒屋「和奏酒 集っこ」ではそのトメニアの名物料理、タリッパを期間限定で食べることが出来る。ボルシチ系の長時間煮込んだ鍋料理、ローズマリーとレモンの風味。ポトフのように野菜の香りがムンとする。開演前からハマカワフミエさんが実際に作っていて、本当に匂いから美味そう。討論よりそっちにばかり気を取られる。
視覚障碍者の観客への試みとして、上演前に出演者による舞台の配置、服装や髪型の説明が入る。ラジオ・ドラマとして聴いても楽しめる作品のようだ。感想を聞いてみたい。
演出家の降板により、途中から演出協力として参加したのが須貝英氏。
架空の地方都市にある萩島町で、商店街青年部が主催する「萩島フェスタ」。トメニア人労働者が多数暮らすこの町で友好親善を深める為のイベントにしようと目論む面々。町役場の商工観光課は町おこしとして成功させたい。だがトメニア人のボランティアをスタッフに入れるかどうかで会議は揉め出し、雲行きは怪しくなる。更にメンバーの誰かがTwitter(X)に会議の悪口を書き込んでいるらしい。
トメニア人の設定には埼玉県川口市に2000人以上居住しているクルド人を想起。外国人との共生という近い将来日本に立ちはだかる大きなテーマ。もう他人ごとではなく、実際に日本人の意識改革が問われることになるのだろう。
NPO法人代表の原啓太氏はトメニア人に肩入れするばかりに感情的に喚き散らす男をリアルに肉付け。発達障害っぽい。自分だけが正しいと信じるが故、違う意見をヒステリックに否定して回る。全く会話が進まない。
地元のケーブルテレビ局から情報を発信するディレクター、コロブチカさん。森達也っぽい雰囲気で女子プロレスラーのようなガタイ。冷徹な目線。
MVPはカフェを経営しているハマカワフミエさん。今作で観るのは4作目だが、どの役にも同一性がなく、未だにどういう女優なのか全く掴めない。今作では辻希美みたいにひたすら可愛らしかった。
トメニアのことわざ、「ロックオンドアテンドサイド(?)」。「なるようになるさ」。
是非観に行って頂きたい。
未開の議場 2023
萩島商店街青年部
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2023/10/31 (火) ~ 2023/11/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/10/31 (火) 19:00
2014年に初演された作品が、いろいろな所での上演を経て上演。優れた会話劇で会議劇。(1分押し)126分(前説13分含む、プレビュー公演)。
トメニア人が多く住む萩島、という架空の町で、商店街の若手がフェスタをやろうとして、準備のため会議をするのだが…、の物語。笑いの部分もあるものの真剣にやりあう場面も多く、会議メンバー13人の描き分けも巧く役者陣もしっかりしていて、見応えある舞台になっていた。さまざまなどんでん返しがいっぱいあるが、エンディングは特に印象に残る。2014年の初演も観てるが、印象に残るのはコロナ禍の2020年に行なわれたオンライン版で、オンライン会議でのやり取り、というアイデアが見事だった。今回は行こうかどうしようか悩んでいたが、10年以上も観ている女優4人が出るので急遽観に行った。行ってよかった(^_^)v。
HOUNDS! ~#002 少女誘拐犯の顔を探せ!~
ステージタイガー
SPACE9(大阪府)
2023/10/28 (土) ~ 2023/10/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
今回、激富の和泉有真さんが出られるとの事で観劇!
前日譚になる1話の台本や映像を見て楽しみに行って来ました!
ステタイにしては小さな箱やけど、役者は全員実力派なので熱量凄いわけですよ!
HOUNDS!は、アキラちゃんと白木がいいコンビな話やけど、途中、白木が怪我したり入院したりで別々やけど、やっぱり2人でおもしろコンビ改めHOUNDSや!ってなるのがめっちゃいいわけですよ!
アキラちゃんの回替わりネタコーナーが、え⁈笑ってカンジでめっちゃおもしろかった!笑
新人くんも2話目なので周りと馴染みながらもしっかりしてるところしっかりしてたし、なんといっても伊月ユウマくんがとてもいいヤツだった!笑
道産子男闘呼倶楽部『きのう下田のハーバーライトで』
モダンスイマーズ
OFF OFFシアター(東京都)
2023/10/24 (火) ~ 2023/10/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
笑えて笑えて ちょっとほろ苦い大人のコミュニティです ツムラが 一方的に突っ走る危ない男 を演じ 、犬飼がそれに振り回される 大人しい男を演じる。 大学で犬飼が落とした君 消しゴムを キリスト教の家に生まれた津村が拾って親しくなるところから始まり、津村の思い込みで非公認の応援団を作る。最初はドン引きだった犬飼も破れかぶれでコールする。それが注目集めて、学内の有名人になったのに、津村は公認されないなら意味ないと退学…
一方的にやめてしまった津村がいつのまにか実演販売家に。つまらない仕事でくすぶっていた犬飼が、「応援団の演技をしたら」と言った一言を、実行したら大ブレイク!
と、笑わせながらの人生かいこ。マネージャー
検察側の証人
俳優座劇場
俳優座劇場(東京都)
2023/10/22 (日) ~ 2023/10/28 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
観た後にこれが映画「情婦」の原作に当たる作品であり(アガサ・クリスティが最初に書いた短編を戯曲に書き改めたもので、映画はそれを元にしたものという)、あのマレーネ・ディートリヒが法廷で悪役ぶりを演じた後、愛に敗れた(って感じのストーリーの)やつ、と気づいた。
芝居を観ながら、既視感は全く覚えなかった。雰囲気が違った。法廷物の常道といった感じで、主役の青年(采澤)が殺人を「やったのか、やってないのか」で言えば最後に「やった」となるんだろうな、とは予想していたが、ミステリーの仕掛けにまんまと乗せられ舞台を凝視していた。
タネが分かってしまうとミステリーはつらいな、という大方の意見に対し、アフタートークで翻訳の小田島氏が、「結末が分かった上でディテイルがどう作られているかを見るのは一つの楽しみだ。マクベスもハムレットも結末が分かってるのに皆観に行く」と成る程な発言。
リアルで緻密で見せ場のあるドラマなら、「謎」だけに引っ張られて最後まで観る(これミステリーというジャンルに限らず演劇にそ「引っ張り」の手法は普通に使われている)タイプの演劇は後に残るものがあまり無い、という事は確かにある。
さて今作、終盤のどんでん返し一つ目は見事に騙され、それが痛快であった。だが最終的などんでん返しは非道な男という造形が、単に彼のそういう「素質」から来ている、という風にしか解釈の行き場がなく、きつい所がある。(どんでん返しの面白さは十分にもう味わっているのでその時点では文句はないが。)というのは、やはり芝居は時代を映すものでありたい願望がある。
男の造形の中に何か社会背景を思わせるものが書き込まれていれば、女性の悲劇が際立つだろうし、この出来事をより立体的に、彫刻のように眺めさせる事もできるのでは・・と。
スパイ云々の話は作り話で一旦チャラになった後、男の非道さだけが残る。外国人である妻(永宝)はこの国で男との一対一の濃い関係を育み、それゆえ物理的な意味では依存関係(男の側に圧倒的な強み)があったと言える。ドラマとしては、ナチスとの関係を疑われた彼女の逃亡を助け、利用して捨てた男がいた、という話である。
女の態度から、一計を案じて彼を殺人容疑から救ったのは彼女だと見える、という意味では男の「心変わり」は偶発的であった可能性もある(その線の方がドラマティックである)。
客観的には弁護士の心証として彼は無罪であったので、一計を案じなくとも推定無罪を勝ち取った可能性が大きい。そこにちょっとした隙間風がある。そこで際立たせなければならないのは女性の「愛」となる。
だが男の本質はサイコパス並に「人をだませる」特異な才能を持つ、という特別な設定に頼っている面もある。その本質は、妻でさえも見抜けなかった。問題が残るのはつまり男の存在だ、という事に(私の感覚では)なる。
従ってやはり最後に「本当の制裁」として妻が男を殺す、という結末は事を収めるためにも必要だった。法廷内とは言え閉廷した後は「普段の時間」、そこで女は男を殺した。とは言っても男が殊更に元妻を怒りに駆り立てる行為を取らなければ、また廷吏に取り押さえられていれば・・と、殺しが成就しなかった可能性が「現実」として広がる。もしそうであった場合でも、物語は成立するのか・・。物語は完結せず不当さへの恨みは燻り、その収めどころを探すしかない。復讐か。あるいは女のこれ以上の墜落をもってカタストロフを作るか・・。と考えると、やはりミステリーはリアリズムでないミステリーのルールに則っているので、「それを踏まえて楽しむ」のがミステリーを味わう弁え、という事になるだろうか。
日本演劇総理大臣賞・余話
ロデオ★座★ヘヴン
新宿眼科画廊(東京都)
2023/10/17 (火) ~ 2023/10/24 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
先日同じく新宿眼科画廊で観たリーディング「ファミリアー」では出演していた澤口渉氏は裏方進行に回り、ロデオ★座★ヘヴン・音野氏ともう一名との男二人組、女性二人組による二編の「余話」を観せてもらった。
戦前を舞台にした作品で、最初の女性編は、女優引退宣言をした、中小劇団の“五番手”女優に呼ばれた学生時代の級友である女性記者とのやり取り。必ずしも仲良しでなかった間柄だがズケズケと言い合う仲ではあった事が徐々に知れる。今も一つも変わらない女優“やちよ”の「女優を辞める本当の理由」に迫る。
二つ目は先輩作家(主に劇作?)の元を訪れた元弟子?の編集者との、戦時下という状況でのやり取り。かつてアグレッシブな作家活動をしていて芸術のためにはお上を恐れないと豪語していた作家が、著名作家となり、このところ日和見な作品ばかり出している事に失望を覚え、後輩はその事を伝えに来たと分かる。最後にこの先輩作家が考えを変え、危険な道を選択をするのがミソで、逆にその事で「今がどういう時代なのか」が目の前に立ち現れたのか、後輩の方がおののく。短い戯曲の中によくこの要素を織り込むものであるな・・と素朴に感心。
本編である「日本演劇総理大臣賞」とは一体何であるか、皆目不知であるが、どことなく楽しみ。