penalty killing
風琴工房
穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース(愛知県)
2017/07/29 (土) ~ 2017/07/30 (日)公演終了
満足度★★★★
アクション演劇を想像していました。いや、実際に颯爽たる偉丈夫たちが舞台にひしめき、アイスホッケーアクションを見せてくれますが、それは芝居後半…シーズン最終戦が始まるまで大胆にもお預けです。
しかし、そこに至るまでに延々と連ねる…氷上以外で見せる選手達の「激しい対話」が非常に濃密。
これこそが本作の核心に他ならない。
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ネタバレBOX
(続く)
プレーの技術論、精神論の壮絶な衝突。いや、精神論では…何か無理難題を精神だけで何とかしようとする暴論に聞こえるかな。鍛えられた肉体があり、スケーティングやスティック操作の物理的な技術があり、…その上でそれを支え、礎となる「精神」の在り方、心構えの技術論…と言うべきか。
猛烈なスピードと肉体の激突に耐える、氷上の格闘技と呼ばれるスポーツならではの深刻さと説得力。
DFトラのメンタルの話が一番グッと来た。苦悩し涙する役者の顔が印象的。
会話劇と評してもいいんじゃないかと思うぐらい、詰め込まれた監督・選手たちが交わす一連の言葉たちは、各々が一つの独立した話の山場…名シーンに匹敵する重みと盛り上がりがあり、…全体としては、一本の芝居というよりは長期連載・連続ドラマの総集編の趣きがありました。
試合への切替りのダンスは、本来は一つの見せ場なんだと思うのだけど、私としては、そこでやっと「ふぅ~」って息をつけた…ぐらいの、それまでの濃密な会話群でした。
試合が始まると、そこからは…各選手のそれまでの積み重ねの総括として、それまでの苦悩と想いをプレーに表す形式となり、これがまた全選手分あるというのが、選手への愛を感じる構成でした。
若干、難を感じたのは、この試合が終盤まで0-3で負けてて、…それを一気にひっくり返す展開になること。
もちろん、その契機となる采配(試合中で異例のセット変更)あっての展開なんだけど、あまりに短時間でアッサリ追いついたかに見えたので…折角のここぞという場面なのに…かえって安っぽさを感じてしまった。…ゲームは点を交互に取る方が盛り上がる気がするし、その度ごとに采配の妙があった方が面白いのに…と、その場では思った。
ただ、0-3からの追い上げは…実話をモデルにしている節があり、アイスホッケーファンには堪えられない展開なんだろう…と後で納得。作意を楽しみ尽くすには、受け手も相応の背景知識が必要なんだねぇ…と改めて思ったよ。
何気ないところに、実はホッケーファンなら唸る細工が、もっとあったかもね。
そういう意味では、特有の基礎知識を、前説でしっかり与えてくれる構成は重要だった。
荒人神 -Arabitokami-【2018年6-7月wordless殺陣芝居シリーズで東名阪ツアー決定!】
壱劇屋
HEP HALL(大阪府)
2017/12/22 (金) ~ 2017/12/25 (月)公演終了
満足度★★★★★
5ヶ月の集大成でした。
楽しかったー!!
複数回観たのですが、話が分かっていても叫びそうになるし、泣いていました。
殺陣も凄かったです。アクションモブの方達の動きも凄かった。
楽しい5ヶ月を過ごせました。
つぐない
劇団あおきりみかん
G/PIT(愛知県)
2017/07/06 (木) ~ 2017/07/17 (月)公演終了
満足度★★★★★
久し振りに…涙をこぼした。涙ぐむことはよくある。ボロボロ泣いた芝居もあった。
でも、今回は… つーっと一雫落ちた。この意味を考えてみたいと思った。
とりあえず、あおきりみかんのマイベスト更新。
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ネタバレBOX
償わなければならない女が…すがる様に訪れた教会で出会った男。直感に導かれ始まった対話が本作の主軸。
彼女は…自らを「罪悪感のない女」と悪びれずに称し、生い立ちを語り、ロジカルに罪悪感と償いの必然性を探る…陽気で求道的なサイコパスを思わせた。
むしろ無理解に「償い」を迫る周囲に嫌悪感を覚えたこともあり、この序盤の展開で「おおおっ、どこへ向かって行くんだ、この話は…」ってワクワクが止まらなかったのを覚えています。(周りの感想を聞く限り、ここがツボにハマった人は少ない様ですが笑)
ところがどっこい本作は、私がそこまでで感じた期待感とは異なる…意外な方向に舵を切った。
「サイコミステリー」だと思っています…それもかなり洗練された。
仕組まれる数多のミスリード…その最たるものが「彼女自身の全ての記憶と発言」という大胆さ。
事実に反して、彼女の発言・行動の全てに掛かっていた自己否定のバイアス。
その果てに、逆に周囲に「罪悪感がない」と映る構図が巧妙。
実際、元彼・貴大は「美和の罪悪感」を最初から主張していたのにも関わらず、私にはそれが思い込みにしか見えない…そのくらいギャップがあったのに、登場人物と起こる事象のピースを必然性を伴ってキッチリ嵌め込んでいくミステリーとしての心地良さがありました。
「やられた~」という意外性と納得感。
そして、本作が只のミステリーで終わらなかったところが、…その話のピースたちの接着剤に、…「罪の意識」、自滅に誘う「過剰な献身」等の人間の根源的な命題を使ったところ。
ミステリーが、とても深淵な人間ドラマになっていった。
最終的に、同じく深い罪悪感に苛まれていた男の物語を糾合して、…話は「ミステリーの謎解き」から「真に罪を償う方法とは…」という命題に昇華していく。
安易な免罪符たる「償いへの誘惑」に抗う葛藤を…みっともない人間臭さで体現してみせた男と神父の対峙… あそこの男・松井真人さんの芝居がホント好きです。
総じて、巨大な罪悪感が「本音のぶつけ合い」を妨げた悪循環の悲劇。その末に「贖罪の献身」ではなく、「徹底的な対話」こそが真の償いであると感じさせました。
…そこだけ言うと、ごくありきたりのことなんだけど、結局、人の関係はそこに尽きるのね。
…普通のことこそが難しい。
至った結論ではなく、そこに至るまでの2人の苦悩と過程こそ、本作の核心なんでしょう。
凄まじい苦難を伴うことは想像に難くないですが、彼女の…これから始まる「真の償い」を予感させるエンディングが胸を熱くさせました。
人形の家
第七劇場
三重県文化会館(三重県)
2017/07/16 (日) ~ 2017/07/17 (月)公演終了
満足度★★★★
海外の名作戯曲を今、新たに観せてくれる機会がありがたい。
しかも、現代の空気もほのかに感じさせる演出。
たいへん耳の痛い後味のお話でした。
Table Talk
試験管ベビー
千種文化小劇場(愛知県)
2017/07/07 (金) ~ 2017/07/09 (日)公演終了
満足度★★★★
タイトルから硬派な討論芝居を想像していましたが…ゴメンなさい、嘘付きました…試験管ベビーでそんなことあり得ないですね(笑
でも、円卓会議なんてホンのちょっぴりで、ほぼ井戸端会議ってのは想像できなかったです(笑)
ま、会議は下準備と根回しがあってこそ…という側面もありますがね。
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ネタバレBOX
さて「革命で活躍した英雄達」の後日談的な構成は、ちょっとニヤリ。大学生の頃に銀英伝とかハマったクチなもんで。
パンフに濃密に籠められた設定…促されるまま開演前に…読んで本当に良かった。設定の仕込み無しに芝居だけ見てしまうと、正直、バカばっかだから(笑
過去の活躍の実績に裏打ちされてこそ、このバカぶりが活きるし、微笑ましい。どんなに偉業を成しても、仲間内じゃ、やっぱバカやるものなのよね。…同人誌的な楽しみを味わいました。
笑いとしては、ボッテガ王のなんちゃって言語のあれこれ…、ハイランダー・スミスの炸裂する下ネタの数々が痛快。
そして、情けなさを極めつくしたガリガリ君こと宰相モンクオーレが一推しでした。
これが、後世の歴史家にこそ評価された"偉人"というギャップが素晴らしい、大絶賛。
そんな風にひたすら政治をコケにしまくったコメディ展開の中、最後の最後に、革命の暗部が首をもたげたのは良い仕込みでしたね。伏線もあったし。
そこで、素人に勢い余って本質を諭されるとこまでは良い…うん。
でも、最後はミッソーニ王の思い付きで大役を若者に丸投げした様にしか見えなくて。実際には、もっと周りがケアするんだろう…と想像はできるんだけど、それをもっと匂わすように描いて欲しかったかな。
そこすら風刺であるなら、それはそれでも良いかもしれないけど、それじゃパンフで積み重ねた設定が台無しなので、それはきっと無いよね、うん。そう信じたい。
画龍点睛を欠いた感が最後の最後に出ちゃったのが惜しかった。
踊る!惑星歌謡ショー
右脳中島オーボラの本妻
七ツ寺共同スタジオ(愛知県)
2017/07/08 (土) ~ 2017/07/09 (日)公演終了
満足度★★★★
これを「歌謡ショー」と表したセンスに脱帽。本劇団の特徴でもある「意味を問わず、音の関連だけで無限に繋がる言葉の連鎖」…この雨の様に降り注ぐ言葉たちには、まずは…まさしく音楽でも聴くかの様に、素直に身を委ねてみるのが良いね。
そして、湧き出てくる無意味なセリフが不意にツボを突いてきたりする。それに出会えたら、ここに相性が良い証拠だ。観てると不思議にニヤニヤしてきちゃうんだ、どうしたことだ(笑
そうして身を委ねつつ、もし何か思い浮かぶ「解釈」が頭に浮かべば、それもまた良し。
無作為の様に降り注ぐ言葉の奔流は、観客の脳内に独自の創作性を呼び起こす。
ゲームの様に意味を構築できるか楽しむのもよし。こんなに鑑賞自由度のある芝居は、東海地方ではココでしか観れないと思う。
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ネタバレBOX
(続き)
今回も言葉遊びの趣向が冴えて、意味不明の命名(メイド探偵メビウス6ミリロング、部屋干し探偵…)や、物理的な行為に転用された「臍で茶を湧かす」とか堪らん。
ネタもふんだん、シベリアン超特急とか、特撮系CMアイキャッチとか、Jリーグカレーとか…体当たり感が強くて好きだなぁ。
犬?からロボットへ変形したものの、次第に負け犬に堕ちていくいばさんとかも愉快。
仕込みなのかトラブルなのか分からないけど、山本さんの「ハガキが読めません」もツボでした。
さて迷走タイムに入ろう(笑
今回「太陽系」と「家族」を掛けてますが…、太陽系は一体の様でいて運行(公転周期は)はバラバラ…、でも引力という絆で繋がってる。太陽(母)には決して近づけず、必要すら実感できないこともあるが、…結局は熱と光で常に恩恵を受けている。
この家族・親子にもなぞらえた感じが、個と全の有機的な関係、半独立・半従属な繋がりを思い起こさせました。皆が互いの部分であり、そして環境でもある… との趣旨のセリフが印象的。…ここら辺は、まだいつものよりイメージ湧きやすい。
でも、正しい終焉、終焉を止める、輪廻、再生、好奇心の弊害(?)辺りになってくると、お?お?お?…ってなもんで、終盤の「かごめかごめ」も元々が多義性の塊みたいなもんだし…
…そして何度となく使われる相川七瀬の「夢見る少女じゃいられない」とのリンクまで考えると、散発的に浮かぶイメージを頭の中で統括しきれず…
今回も降参orz
…ですね、やっぱり(笑)
台本を読み込んでみたい劇団の筆頭だよねぇ。
散歩する侵略者
イキウメ
ABCホール (大阪府)
2017/11/23 (木) ~ 2017/11/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
すごかった。
言葉で言い表せない。
少しこわかった。
一度しか見れなかったので、もう一度見たかったです。
荒人神 -Arabitokami-【2018年6-7月wordless殺陣芝居シリーズで東名阪ツアー決定!】
壱劇屋
HEP HALL(大阪府)
2017/12/22 (金) ~ 2017/12/25 (月)公演終了
満足度★★★★★
過去5ヶ月のノンバーバル公演の集大成
ただただ、凄いと圧倒された
何より演者の情熱が伝わる
音響、証明、動き、衣装
全てに引き込まれました
また過去4作品を見ている人間にわかるサプライズな演出
もうありがとうございますって思わず言いそうになるくらい
驚かされたし感動した
作中頑張って生きた人たちを見て
私も頑張ろうって思えた
そんな作品です
STAR☆JACKS act#011「じんない」
STAR☆JACKS
ABCホール (大阪府)
2017/08/24 (木) ~ 2017/08/28 (月)公演終了
満足度★★★★★
熱くてカッコよくて笑って泣いて、感情が揺さぶられました。大人数だけど、それぞれ見せ場もあってとても楽しめました。
史実のじんないも気になります。
地獄
江古田のガールズ
小劇場 楽園(東京都)
2017/12/12 (火) ~ 2017/12/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/12/16 (土) 14:00
価格3,500円
端的に言えば「12人……ではなく11人の○○○○日本人ともう1人」的な。骨太に「生きろ!」というのも好きだけれど、本作のようにやんわりと「死んじゃダメだよ、生きてなくちゃダメだよ」(←ドラマ「わたしたちの教科書(坂元裕二脚本:2007年)」の名台詞)というのはもっと好きかも。
また、先に触れたように12人の怒れる男へのリスペクトが感じられる展開(大多数を占めていた意見が次第に覆ってゆく)や台詞(「話しましょう」とか)があって、アレが大好きな身としてタマらん♪ さらに終盤の「ある種明かし」からのオチも巧みで満足満足。
ステキなクリスマスプレゼントを一足はやく頂いたような。
ネタバレBOX
SNSで自殺志願者を集め……というのは座間の事件を想起させるが、内容的には真逆だしそもそも脚本執筆時にはまだあの事件は公になっていなかったのではないか?
声の温度
よこしまブロッコリー
七ツ寺共同スタジオ(愛知県)
2017/06/30 (金) ~ 2017/07/03 (月)公演終了
満足度★★★★★
むちゃくちゃ好みのお話でした。
コミュニケーションの研究者 ツバキの物言いにゾクゾクする。対比的な構成、役者の演技も効果的。
奇しくも1週前に…同じく「声」をタイトルに冠した空宙空地「声にならない」があり、それと合わせて観た身としては、「声」の扱い、視点の違いによる相乗効果で味わいが二乗増し。たくさん観劇すると偶にあるラッキーでした。
以降、詳細の感想をネタバレboxへ
ネタバレBOX
開演前から気になってしょうがなかった舞台美術。ほとんどは具体的な物体がなく、「そのモノが何であるか」を表現する言葉の「紙」が無造作に壁などに貼られている…。これが終盤で重要な意味を持つのだが、それを悟らせずに舞台上に示し続ける粋な趣向。
コミュニケーションの在り方がテーマだが、異彩を放つのはその科学的な切り口。知的好奇心を呼び起こす台詞たち。
その中心が研究者・ツバキ。魅力的な知性でロジカルに話を牽引する。悪く言えば常に上から目線、趣きはツンデレに近いがあくまで論客。切り捨て御免の非情な口調の中…端々に窺える誠意、欠陥を匂わす情感、それを自覚して苦しむ理性… 不思議なアンバランスさが魅力。
コンシェルジュ的AIメールサービス、フレンドロイドに取り組むが、そのフィールドワークは実は人の手による応答。世のビジュアル主体の潮流に逆らい、文字による意思疎通の新機軸を探る。
オペレーターで妹のマコトは失声症。まるでモデムの様にツーツー、ガチャガチャと発語する。当初はAIの擬人化表現も疑った。喋れない代わりに超人的な量の並行処理をこなす。この研究自体、彼女の能力を科学的に吸収・進化し、デバイス化を目指している節を感じる。彼女は道具として利用されているのか?
しかし、マコトにとってもこの活動は自分の存在意義となっており、芳しくない研究成果の中、ツバキも本研究に固執し、…あたかもこの研究自体が「マコトの存在価値を証明する為」にあるかの様だ。この姉妹、お互いが利己的にみえながらも、その実、互いの為に足掻いている空気が漂う。
争点となる文字コミュニケーション。
SNS等、とかく世の中では問題視されがち。意思疎通のための情報伝達に占める割合が、言語はわずか7%、残り93%が声のトーンや表情・態度…との解説がショッキング。
声が無いと意図は…気持ちは伝わらない?、
声が無いと人間性が見えない?、
声がないことが相手にも不安を与える?
声のない…言葉だけの意思疎通の限界を予感させながら、更に他者による人の評価にも話が拡がる。
任意の対象者に対する「形容・評価」とは、実は対象そのものの形質を表現しているのではなく、対象者と観察者の相対的な差異を表現しているに過ぎない。観察者次第で表現は変わる。決して対象者のみに依存しない。
観察者が対象者に貼る「レッテル」は、対象者の絶対を指し示していない。
「お前にはこれはどう見える?」
最終的に冒頭の舞台美術がそれを示唆していき、ゾクゾクしたシーンだった。
発言者が責を問われがちな文字コミュニケーションで、「受け手側の責」を示唆するのは、炎上しがちなSNS等を投影しているのだろうか。
コミュニケーションはあくまで双方向のもの。受け手の適切な姿勢があればこその難しさ…そして可能性か…。そして本作で、文字コミュニケーションに活路を見出そうとする姿勢は、劇作家の姿勢ならではかも。戯曲も、演出や演技次第で…さらに観客の受け取り次第で、演劇は変わっていくものね。
ところで、お話はツバキを初めとする「研究者側」と並行して、舞台のアパート住人…いわば「被験者側」でも進んでいく。
この研究者側と被験者側の対比の意味に悩んだ。
一見すると理論と実践の様な立ち位置だが、被験者側は研究者側のサービスは享受しているものの、特段、意識誘導をされている感じはない。
…一人、住人のミズカワが興味深い心理状態にある。機能的には、頭の中にまるでIF(Imaginary Friend)の様に「元彼」が宿っていて(性質的には全く友好的では無いが)、彼女に一々否定的な言葉を投げ掛け、自分の行動に釘を刺す。自己肯定感が極端に低く、フレンドロイドに「一方的に甘えて、申し訳ない気持ちにならないなんて、なんて贅沢なんだろう。」なんて言っている。
最終的に、研究者側の活動とは全く別のところで彼女はそれを乗り越え、新しい交際を育むのだが…。研究者側で示唆した「他人の貼るレッテル」に対し、被験者側では「自分で自らに貼ってしまったレッテル」を対比してたのかな。
「他人とのコミュニケーション」と対を成す「自分とのコミュニケーション」。後者が成り立ってこそ、前者も活きるのか。
最後に、奇しくも前週に公演のあった「空宙空地」と対比する。
「声にならない」で声とは「言葉」そのもの。言葉を外に出すのが声だったと思う。「声の温度」では言葉に「感情・真意」を乗せるのが声だ。共に不自由さに喘ぐ人たち。類似のキーワードで良い芝居を立て続けに観れて大満足。
モナカ
Co.山田うん
スパイラルホール(東京都)
2018/01/05 (金) ~ 2018/01/08 (月)公演終了
Co.山田うん「モナカ」約1時間。色とりどりの半袖Tシャツ+短パン+膝当て姿の16人の若い男女が、転がる走る跳ぶ!年明け早々に、何もない空間を何でもある世界にするダンスのパワーを実感。集団で同じ動きをピタリと決めるのは、新体操の団体競技のようにも見えた。
ネタバレBOX
パンフレットによると4部構成で、最後のスピードが爽快。
勝手にPV
制作「山口ちはる」プロデュース
OFF・OFFシアター(東京都)
2017/12/27 (水) ~ 2018/01/07 (日)公演終了
満足度★★★★
今年最初の観劇は多数の方が「観たい!」と書いているこれにしました。
内容は年の初めの街頭インタビューという設定で3人から今年の願いを聞き、寸劇と踊りで励まそうというものです。
踊りはなかなか良いのですが、登美丘高校や乃木坂46(年末に急に揃うようになった)を見たばかりなのでとくに感心するということはありませんでした。
寸劇で若い女性が体を張って頑張っているところは素直に喜びました。何それ?と思った方は劇場に足を運びましょう。
同郷同年
公益社団法人日本劇団協議会
恵比寿・エコー劇場(東京都)
2017/09/13 (水) ~ 2017/09/18 (月)公演終了
満足度★★★★★
日本の演劇人を育てるプロジェクト「日本の劇」2016年・戯曲賞受賞作品の上演。
(後はネタバレboxへ)
ネタバレBOX
核廃棄物の最終処分場の誘致を最初に手を挙げたが、住民投票で反対されてしまう。
それらを巡る「同郷同年」3人の男たちの話。
こういうテーマをこのような切り口と展開で見せる作品はなかったように思う。
人の怖さ……「根」から離れた人の怖さを感じた。
90分の3人芝居でここまで描けるとは!
作のくるみざわさんの他の作品も観たくなったし、次の2017年の受賞作品も観たくなった。
戯曲の配布あり、もうれしい。
円の吉見一豊さんの変貌ぶりがいい。
心の奥底では何を考えていたか、などが。
下に見られている、と言いながら実は、小作農家を見下していたことが明らかなる。
立場によって人は本心をさらけ出す。
表彰式でのくるみざわさんの話に興味深いことがあった。
くるみざわさんは、あるイベントで5分ぐらいの芝居(コント)を書いたという。
アノ籠池さんと大阪のおばちゃんの会話だと言う。笑える作品だが、そのイベントを後援していた東大阪市から「政治的な作品を扱っているので、今後後援は打ち切る」「作品の中で安倍首相を中傷した」と言ってきたという。
5分ぐらいのコントの中で安倍首相のことが少しだけ出てきたかららしい。
なんともな話である。
この件に関して、大阪に戻ってから「演劇とは」みたいな話を役所とするらしい。
これも「演劇」の材料になるのではないか、なんて他人事なので思ってしまった。
ふしぎな影
世田谷シルク
こまばアゴラ劇場(東京都)
2017/11/24 (金) ~ 2017/11/29 (水)公演終了
満足度★★★★
世田谷シルクとスウェーデンのTeater Sesamとの共同制作。
影絵+人形+ダンス+無言劇によって構成される作品。
(あとはネタバレboxへ)
ネタバレBOX
現実世界ではあまりいいことがない少年が、林の中で動物や昆虫、兵士など不思議な影たちと出会う。
そこで少年は「与える」ことを学んだのではないか。
「与える」ことを学んだ少年は、戦争や宗教対立などに苦しむ人々に「愛」を「与える」。
宗教も、最初は1つのものだったのだが、(教義の解釈により)分かれてしまった。そして(覇権)争い。
自らが持っているものを「与える」というところに宗教的な意味を感じた。
少年から「与えられた」人々は、「与えて」もらうことで「潤う」。
互いに「与え合う」わけでもなく、「救世主」のように誰かから「与えられる」ことで「癒やされる」人々。
そこがこの作品の問題点でもあるように思えた。
救いの神はどこにいるのか?
どうでもいいことだが、影絵で見せる戦闘機は、先尾翼とデルタ翼が印象的なスウェーデンのサーブ・グリペンか。
ロッキー・ホラー・ショー
パルコ・プロデュース
サンシャイン劇場(東京都)
2017/11/16 (木) ~ 2017/12/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
『ロッキー・ホラー・ショー』は、最初の藤木孝版から欠かさず観てきたが、今回のフランク古田版(笑)が一番「ショー度」が高い。
開演前から楽しい。
販売するグッズを使わせて観客を参加させ、劇場内の一体感も今回が一番強い。
演出を変えたのが功を奏したか。
予想以上に東京ゲゲゲイがいい! エンタメ感とインディーズ感が上手く共存している。ダンスも上手いし。
ソニン、小池徹平、ISSAもとても良かった!
GIRLS(大好評終演御礼!次回MUは11月コメフェス、2018年2月下北沢駅前劇場・下北沢演劇祭へ参加!)
MU
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2017/05/24 (水) ~ 2017/05/30 (火)公演終了
満足度★★★★★
Aプログラム:『めんどくさい人』+『スーパーアニマル』
短編というと、やはり「オチ」ではないか、と思われがちではないか。
しかし、MUというか、脚・演のハセガワアユムさんが目指していめのは、ストーリーのオチではない。
一見、「面白」な構図に見えていてもその根底にあるテーマは、ハセガワアユムさんの「世界のとらえ方」が表れている。
センスある、というか極々個人的なセンス“のみ”(笑)に散りばめられた台詞は、あまりにも言葉の選択が鋭い。
そこがコメディ的でもあるのだが、その「笑い」と「歪んだ(笑)キャラクター」たちの背後には、彼から見える「世界」がある。
(以下ネタバレbox)
ネタバレBOX
MUを初めて観たのは、8年ぐらい前。ギャラリーLE DECO。
徐々にその世界(観)にハマっていったのだが、感じてきたのは、虚無感。
「愛」を語っても、なんだか背後に「虚無感」がチラチラ見え隠れしている。
そして、「徒党を組む」ことへの嫌悪感。
実はこれも「表面的なこと」ではなかったのかと思い始めていた。
今回の作品の1つ『めんどくさい人』にそれらが集約されているのではないかと思い当たったのだった。
人と人の付き合いは、基本「めんどくさい」。
その「めんどうくさい」のファクターを通して、恋愛も仲間も家族も見ていたのが、MUなのではないだろうか。
だから、「無表情」になるような、あるいは「未来を感じない」ような「虚無感」が、その表情にまとわりついている。
しかし、初演とは、相当印象が異なっている。
どの程度手が入ったのかはわからないが、「めんどうくさい」の意味合いが違って見えてきている。
今回再演の『めんどくさい人』を観ていて感じたのは、「“めんどうくさい”のファクターを通して見ていた」のではなく、それを突き抜けていたのではないかということだ。
わかりにくい話で申し訳ないのだが、「見ていた」と「突き抜けていた」の違いは、主体がどこにあるか、なのだ。
「突き抜けていた」ということで、そこに自らを置いたということ。
つまり、「めんどくさいけど、やってみた」な人が描かれているのではないか、と感じたのだ。
「めんどくさい」と言いながらも、「人」との関係は「アリだ」という感覚。
肯定感がヒシヒシとやってくる。
ハセガワアユムさんが変わったのか、あるいは無自覚のうちに、内面を吐露してしまったのかはわからないが(あるいは、今までの私の見方が間違っていて最初からそういう感覚だったのかも)。
ホワイトバンド(笑)は、初演のときにはタイムリーさがあったが、今この時点でもホワイトバンドは実はさらに面白くなっていた。
ニヤつきなながらも、その面白さが観客全員には伝わらないのかもしれないなーと、少し残念だったり、あるいはマニア的な喜びでもあったりと。
豪雪(ごうせつ)
good morning N°5
駅前劇場(東京都)
2017/09/14 (木) ~ 2017/09/25 (月)公演終了
満足度★★★★
確かに豪雪だったが、舞台の上は最初から最後までテンションが高すぎて熱い。客席も暑かったが……。
とにかく女優陣が凄すぎた。
藤田記子さんには「ええっ!!」となって、野口かおるさんの破壊力も相変わらず。
宮下今日子さんの衣装にも「ええっ!!」。
そこまでやるか! の応酬。
そんな舞台の上に高橋由美子さんもいるのが驚き。
すげー長台詞の掛け合いも面白い。
ネタバレBOX
(私)史上最高に面白い“前説”から大笑い。
あえて途中で「トイレに行きたい」と言ってみたい気持ちを抑えながら、観劇。
実際にトイレに行く人がいて、お芝居をいったん止めた回もあったらしい(笑)。
11月歌舞伎公演「坂崎出羽守(さかざきでわのかみ)」「沓掛時次郎(くつかけときじろう)」
国立劇場
国立劇場 大劇場(東京都)
2017/11/03 (金) ~ 2017/11/26 (日)公演終了
満足度★★★★
「坂崎出羽守」作:山本有三。
とにかく全体的に暗くて重苦しい。
「沓掛時次郎」作:長谷川伸。
ご存じ長谷川伸の股旅物。
ネタバレBOX
「坂崎出羽守」作:山本有三。
とにかく全体的に暗くて重苦しい。
大坂夏の陣の際に、徳川家康から「千姫を大坂城を救い出せば、千姫を嫁がせる」と言われ、燃えさかる大坂城から千姫を救い出した坂崎出羽守が主人公。
しかし救い出された千姫は、坂崎の元には行きたくないと言い出してしまう。家康も可愛い孫娘には強く言うことができずに、策を弄する。家康側は、千姫は尼になると坂崎に告げる。しかし千姫は美男の本多平八郎に心を寄せてしまう。
坂崎にとって千姫は、初めて好きになった女であり、本多平八郎に対抗心を燃やすのだが、不器用さでいろいろと裏目に出てしまう。
千姫が自分を嫌うのは、千姫を大坂城から助け出したときに顔に負った醜いやけどのせいだと思っている。そこが彼の問題。
ラストは、坂崎が思い余って本多平八郎に嫁ぐ千姫の行列へ乱入してしまい、それにより切腹してしまうというもので、主人公の坂崎が、背中に悔しさを滲ませながら、客席に対して後ろ向きの姿で終わる。表情は見せない。後ろ姿で語る。
坂崎を演じる尾上松緑さんが、悔しさや後悔、嫉妬など様々な想いに、ただただ無言で立ち尽く姿が凄まじい。負のオーラをじわりとまき散らす。無言で長い時間立ち尽くすというのは、歌舞伎では珍しいのではないだろうか。
「沓掛時次郎」作:長谷川伸。
ご存じ長谷川伸の股旅物。
中村梅玉さんの体調が良くないのか、声に張りがなく、全体的に勢いがないのが少々残念。
新人シリーズ16
「ダンスがみたい!」実行委員会
d-倉庫(東京都)
2018/01/04 (木) ~ 2018/01/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/01/04 (木) 19:30
価格0円
19:30の回(晴、寒い)。通し券で
18:35会場着、受付は始まっていましたが、今回から整理券が配付されました。
受付順で番号順に入場です。
19:30前説、本シリーズや投票方法の説明、19:36開演~20:18、休憩、20:32~21:20終演。
(上演順) 約20分の作品
三谷真保さん「RED」
矢島みなみさん「composition」
(休憩)
砂と水玉「スクラップ・アンド・ビルド」
中村駿さん「サハラ」
後半の2組は観たことがあります。
砂と水玉(市松さん、甲斐美奈寿、根本和歌菜)以外はソロ
※確認すると根本和歌菜さんも甲斐さんと同じく「大型」に出ていらっしゃいました。
三谷さん:初めて。赤い糸と白い衣装、大きくあいた'背中'の表情は苦悩の表れだろうか、揺れる様子はオーロラのよう、祈り、幻想的な音。
矢島さん:初めて。動かない、終盤近くに音楽が入る。人形浄瑠璃、ロボットの(AI的)成長...「composition」とはどういう意味なのか..創作、作品、構図、合成、組成...いろいろなみかたができる?
砂と水玉:「birthday(2016/7)」「ランドスケープ(2017/4)」、市松さんは「リンドバークたちの飛行(2016/12,2017/10)」、甲斐さんと根本さんは「大型(2016/8)」。スピードとなめらかさ健在。
中村さん:ザ・ボーナストラック、悪童他 たくさん...。いつも骨太の振付、今回はセリフ付