最新の観てきた!クチコミ一覧

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二死のマジョがタヒ「ぬ」

二死のマジョがタヒ「ぬ」

創作団体「曇りのち」

インディペンデントシアターOji(東京都)

2025/05/02 (金) ~ 2025/05/06 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

演劇に特に興味があるわけではなく、紹介で足を運びました。拝見したのはゲネプロ公演でした。舞台設営そのものはシンプルでしたが、練り上げられた脚本に、思いがけずクスっと笑ってしまう場面もちりばめられ、熱意溢れる、あっという間の150分でした。ユーモアの中に社会風刺のメッセージも感じられ、観るタイミングによって、感じることもまた、違うのかな?とも思いました。公演中、もう一度、観に行きたいと思っています。

六道追分(ろくどうおいわけ)~第二期~

六道追分(ろくどうおいわけ)~第二期~

片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2025/04/30 (水) ~ 2025/05/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

“剣”を拝見。

ネタバレBOX


 出捌けは上手奥と手前の二か所。タイトルに含まれる六道の輪廻に合わせるかのように大方奥から出て手前に抜けるが、逆も時にはあり。何れにせよ出捌け迄凡そタイトルに沿っているのは粋ではないか? 妓楼に纏わる話であるからその筋の単語も頻出する。中でも“亡八”は、今作を象徴するに相応しい単語として一語で廓の内情を示し、劇中この単語を発する花魁たちや禿迄含めて苦々しげに軽蔑をも込めて発語されている点に注目したい。一応亡八の意味を説明しておくと江戸時代の支配哲学・儒教の基本倫理であったヒトが人として備えるべき八つの徳(仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌)総てを亡くした者を指す。転じて遊郭の主、其処に通う者等を指すようになったのである。
 作中、本来妓楼の主役たる太夫を含む花魁から禿に至る娘たち迄が廓の掟に背けば科される酷い仕打ちが描かれ今作の極めて深い暗所を形成していることと、鬼薊一門の義賊としての恰好良さが明所を為して対比されている中で太夫・お菊の気風が鬼薊の頭・清吉の度量と感応し幾世にも亘る輪廻転生の縁として紡がれ、また新たな純愛を形作るラストに昇華してゆく展開も見事である。
 脇を支える灸次郎、伊助ら清吉の子分、岡っ引き・章衛門、与力・徳三らのキャラも人間的な魅力と厚い人情を際立たせたシナリオの明所部分を照らし九次は体制護持派の冷酷を見せつけて暗所を際立たせ自由ならざる人間の酷薄を明示して作品をダイナミックなものにしている。無論、清吉のもう一人の子分・三吉は夢を実現して医者となった。彼は義賊の心即ち“医は仁術”を体現しこのような魂が作る未来を暗示する手本となった。今作が人々の心を撃つのは、このような真っ当な生き方こそが世界を照らす光であること。今作の願いが素直に観客に伝わるからであろう。
 

オールライト

オールライト

ポッキリくれよんズ

上野ストアハウス(東京都)

2025/05/01 (木) ~ 2025/05/05 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/05/02 (金) 14:00

130分休無

熱海殺人事件

熱海殺人事件

Uncle Cinnamon

新宿シアタートップス(東京都)

2025/04/30 (水) ~ 2025/05/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

今となっては舞台でしか観れないハラスメントの塊の芝居。今回のヴァージョンは上演時間が長めで、ディテールにこだわっていましたね。テンポもよくて、ダレませんでした。お見事です。個人的には、水野朋子役の松村彩永さんに釘付けでした。

熱海殺人事件

熱海殺人事件

Uncle Cinnamon

新宿シアタートップス(東京都)

2025/04/30 (水) ~ 2025/05/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

たたみかけるセリフと熱気はすさまじかったです。

ネタバレBOX

緊張感のようなもの、笑いもあり、中身のとっても濃い時間でした。部長刑事、富山から来た刑事、犯人大山金太郎ら、登場人物の声色が似ているので、ややあっさりとしたように感じました。みな、優しすぎるような、もっと凄みのある風貌や声質であれば、さらなる印象的な展開になったのではないかと考えます。
熱海殺人事件

熱海殺人事件

Uncle Cinnamon

新宿シアタートップス(東京都)

2025/04/30 (水) ~ 2025/05/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

"一流の" 犯人として仕立て上げていく・・どうして一流にするのかが この戯曲の肝。今まで観てきた「熱海殺人事件」の視点(人間の尊厳をかけた戦い)とは異なり、敢えて表層的に”愛情”を中心に据えた、いわゆる痴情のもつれを原因にしたように思えた。どちらかと言えば、木村伝兵衛部長刑事の諸々のハラスメントを通して、(現代)組織と人間関係の奇妙で面白い構図を観せたかったような。

今の時代ではNGワードばかりであるが、そこに生身の本音が透けて見える。建前と本音の探り合いを経て、本音と本音のぶつかり合いの中に人間(信頼)関係が構築される。事件の奥にある差別や偏見といった、今でも色褪せないテーマが薄まっているが それでも面白い。部長刑事部屋という 狭い空間で織りなす人間模様を生き活きと描き、それを生歌あり楽器演奏ありと楽しませる。

少しネタバレするが、犯人 大山金太郎は客席通路を歌いながら、時に観客と握手をしたりして登場。全体的に楽しませて観(魅)せるといったサービス精神旺盛な公演。そして定番である大音量の音楽や多彩な照明の諧調など印象付けが巧い。大音と言えば 大山金太郎が、この劇は大声だけが取り柄といった台詞があるが、苦笑、失笑も含め笑いの多い公演でもある。
(上演時間2時間10分 休憩なし) 追記予定

オールライト

オールライト

ポッキリくれよんズ

上野ストアハウス(東京都)

2025/05/01 (木) ~ 2025/05/05 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初日を拝見、とにかく面白かったです。普段観ているだけでは気付かされることの少ないクリエイティブの熱と狂気に震えました。

はなしづか

はなしづか

ラッパ屋

紀伊國屋ホール(東京都)

2025/04/16 (水) ~ 2025/04/23 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/04/22 (火) 14:00

3人の噺家が住んでいる長屋を舞台に長屋の人々やその関係者たちの戦中から戦後にかけての物語。
喜劇でありながらも厭戦/反戦を唱える内容に井上ひさし作品(「きらめく星座」「闇に咲く花」など)に通ずるものを感じ、特に終盤の空襲の場の「哀しさ」と終戦1年後(だっけ?)を描く最終場の「こんなことは二度とあって欲しくない」という台詞が心に染みる。
また、噺家役の御三方と鈴木主宰のアフタートークでの芝居と落語(とコント)の違いなども興味深かった。

逆光が聞こえる

逆光が聞こえる

かるがも団地

新宿シアタートップス(東京都)

2025/04/24 (木) ~ 2025/04/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/04/25 (金) 19:15

見ないようにしていた心の穴を埋めるような、じわじわと過去を想いそして未来を想うものでした。
その中でもホッとしたり、笑っちゃったり、演劇っていいなぁとも再見しました!

熱海殺人事件

熱海殺人事件

Uncle Cinnamon

新宿シアタートップス(東京都)

2025/04/30 (水) ~ 2025/05/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

相変わらずの激しい熱海殺人事件を素晴らしい演出で楽しませていただきました。演者さん達の熱気が伝わって来てあっという間の観劇でした。

アルカの板

アルカの板

9-States

駅前劇場(東京都)

2025/04/25 (金) ~ 2025/04/29 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白かったですがモニターで忙しかったです。AIを使った方が良い事の利便性などの具体的な例などを盛り込んでいただけたら人物への感情移入し易かったと思われます。

幸せのかたち

幸せのかたち

+ new Company

調布市せんがわ劇場(東京都)

2025/04/23 (水) ~ 2025/04/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても感動しました。自分や他人にとっての幸せを考えさせられました。観れて良かったです!

熱海殺人事件

熱海殺人事件

Uncle Cinnamon

新宿シアタートップス(東京都)

2025/04/30 (水) ~ 2025/05/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白かったです。
役者さん達は怒涛の台詞をこなし、その熱演も素晴らしかったです。
パワハラ、モラハラ満載で、台詞の中に笑えるネタを挟み、エンタメ性も感じる演出でした。
目が釘付けになり、愛を感じる素敵な舞台でした。

あるアルル

あるアルル

やみ・あがりシアター

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2025/04/30 (水) ~ 2025/05/06 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/05/01 (木) 19:00

お気に入り劇団の新作は奇妙で独特の味。125分。
 「あるある」を語れ、というシーンから始まり、数々の「あるある」を扱いつつ、不思議な展開の物語。いろいろな登場人物が抱える問題を明らかにするが、軸になるのは6年前に妻を亡くした「あるある仙人」。いつも通りの「アタマおかしい」(誉めています)笠浦だが、役者陣も役割を熱演して、独特の感触を残す。劇団員の加藤はアンカー、常連のさんなぎが飛び道具的ポジションだが、ベテランの川田希が渋い。

熱海殺人事件

熱海殺人事件

Uncle Cinnamon

新宿シアタートップス(東京都)

2025/04/30 (水) ~ 2025/05/04 (日)公演終了

実演鑑賞

良かったです。

音楽劇 『PHANTOM of the SHOGIKAIKAN』

音楽劇 『PHANTOM of the SHOGIKAIKAN』

E-Stage Topia

上野ストアハウス(東京都)

2025/04/23 (水) ~ 2025/04/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

真田林佳さん出演。
25日のマチネと27日の大千秋楽を観劇。

E-Stageさんの詰将棋シリーズ。一昨年の「煙詰」、昨年の「ヴァンパイア」に続く第3弾は、なんとミュージカル。すごかったです。数日経った今も音楽と歌が頭の中でリフレインしてます。

傾斜の盤上に駒が置かれている、不安定な足場。演者さんはその上で激しく動き回り、踊ります。駒はズレたり別のマスに蹴とばされたり。「駒の化身」の皆さんがタイミングを見計らって直すところも、このシリーズの見どころだったりします。

怪人の要求が書かれた手紙。地下水路と船。仮面。落ちるシャンデリア。あらゆるシーンが映画「オペラ座の怪人」を思い起こさせ、楽しかったです。アマプラで映画を予習しておいたことで、より深く楽しめました。

3作連続で参加となった真田さん。存分にご自分のキャラクター、特長を発揮されてました。どんな役でも役以上の存在感があります。年齢不詳のマダム・ケイは原作のマダム・ジリーでしょうか。

駒の化身の皆さんがどんな役割をするのかも、楽しみのひとつです。今回は政田圭敬さんの「銀沙」など、かっこいい名前がつきましたね。将棋会館の対局室の名前なのですね。

ネタバレBOX

冒頭で、と金が「会長」という偉い人なことにまず驚きました。なにしろ前作「ヴァンパイア」では出番が1回しかない「と金の精」でしたから。自分はあえて棋譜を知らずに観劇したので と金がたくさん登場することを知らず、そこから驚くことができました。

オープニングパフォーマンス。玉将の力強い歌声。駒を裏返して血のような赤を表現。最後、次々に駒を盤上に打ち付けるところなど鳥肌が立ちました。撮影した動画を何度も見てます。

金将の「ぶっころニフ!」は最高でした。カルロッタのように声に細工をされたわけですね。

怪人の王将はクリスティーヌの角行に強く執着。角行は怪人に舟で連れていかれ、意識を失う。追いかける幼馴染の飛車はラウルですね。

舟のシーンは映画さながら。どうやって進んでるかと思ったら化身の戸嶋陽さんが押してました。なるほど船長と呼ばれるわけですね。
舟の進路に置いてある持ち駒を政田さんが退避させて、あとから戻すところ。目の前で見れて楽しかったです。
熱海殺人事件

熱海殺人事件

Uncle Cinnamon

新宿シアタートップス(東京都)

2025/04/30 (水) ~ 2025/05/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

何度も見てきた「熱海殺人事件」、今までに見たことがない演出でこちらの舞台が一番好きです。
会話が今風になっていて、テンポ良く笑えて楽しめました。

あるアルル

あるアルル

やみ・あがりシアター

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2025/04/30 (水) ~ 2025/05/06 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

冒頭、高校の教室の教壇、ニカブを被った女(梶川七海さん)が生徒達に拳銃を突きつけている。「『学校あるある』を言え!」と。パニックで怯えながら一人ひとり『あるある』を言っていく。だがすぐに射殺される。一体何を言えば助かるのか?分からないまま殺されていく生徒達。

あるある仙人の部屋、梶川七海さんはあるある仙人(大宮二郎氏)に「どんな『あるある』を言ってもすぐに殺してしまえばそれなりに面白く感じるから」とそれを説明している。あるある仙人はジャンプして「バッカモーン!」と決めポーズで叱りながら正しい『あるある』を授けていく。大宮二郎氏はムロツヨシの斎藤工風味。

居酒屋で高校の同窓会、幹事(佐藤昼寝氏)、脳外科医になった渋木耀太氏。お開きになりかけた時、左耳が血塗れの川鍋知記氏が駆け込んで来る。『あるある』の天才だった同級生を探していると。彼には予知能力があり、この世の全てが見渡せるらしい。佐藤昼寝氏は身重の妻(加藤睦望さん)がその男の元カノだった為、連絡を取ってやる。それを聞いている居酒屋の店員(大見祥太郎氏)。

MVPは加瀬澤拓未氏。彼を見てほっとした客が多かったと思う。

ネタバレBOX

あるある仙人の部屋、さんなぎさんや小林桃香さん等が信徒として仙人を崇拝している。(女性の殆どの登場人物が今後この役を兼ねていく)。顔に『あるある』の書かれた黄色いシール付き付箋を向日葵の花弁のように円形放射線に貼っている信徒達。あるある仙人はアルルの『あるある』を求めるが信徒達はアルム『あるある』を言ってしまう。アニメ『アルプスの少女ハイジ』のアルムとは高原の放牧地を意味する言葉。アルルとは何の関係もない。「ぴゃあ〜!」「どろん!」「授かった」。

加藤睦望さんの運転であるある仙人の家に向かう佐藤昼寝氏と川鍋知記氏。だが彼は居留守を決め込む。

売れないお笑い芸人シンパシーズ、シュールなネタで客を選ぶ。面白いんだが一般受けはしない。欲のない大見祥太郎氏と福原瑞穂さん。何とかこいつらを売ってやりたい熱血マネージャー、宮崎柊太氏。ザ・パンチのノーパンチ松尾っぽい。

渋木耀太氏のセフレ看護婦、小林桃香さんが異常に巨乳。そればかり気になった。a.k.a.観劇お姉さん。

ゴッホの耳の取引に関わる闇バイト軍団。リーダーの藤田頼奈さん、ツナギ姿のチンピラは谷口継夏氏。

ゴッホの耳を盗んだフリーター、さんなぎさんは美大生の妹(チカナガチサトさん)の為に金が必要。必死にバイトをするがすぐ辞めてしまう。

スナック「リュミエール」ではママ(川田希さん)とバイトのホステス(梶川七海さん)、ママに気のある常連客(加瀬澤拓未氏)の姿が。「しゃしゃんないで。」

前半、気の違った展開に興奮していたが後半が退屈。何かこの話に落とし込むにはパーツが足りない。長過ぎる気もする。要らないキャラ、要らないエピソードが多過ぎ。

ゴッホは南フランスのアルルに画家が共同生活出来る理想郷を築こうとした。だがすぐに破綻して盟友ゴーギャンは去って行く。混乱し狼狽錯乱したゴッホは自分の左耳を剃刀で削ぎ落とし馴染みの娼館の掃除婦に手渡した。精神病院に収容され、その後2年も経たず拳銃自殺。唐十郎の『黄金バット~幻想教師出現~』では「ゴッホは耳を切ったのではなく、ゴーギャンからの『サヨナラ』を切ったのだ。」とされる。

質量保存の法則、エネルギー保存の法則から、人間が死んでもこの世界の総量は決して変わりはしないことが真理。この世に存在するエネルギーの総量は決して変わらない。増えもしなければ減りもしない。死んだ人間の肉体は化学変化を起こすがそれは原子の組み合わせが変わるだけ。別の形態に変換されエネルギーとしてこの世に存在し続ける。意識や感情や思考も一種のエネルギーだとしたらそれもこの世に形を変えて存在し続ける。そういう意味からは生命は永遠なのだ。
アルカの板

アルカの板

9-States

駅前劇場(東京都)

2025/04/25 (金) ~ 2025/04/29 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/04/27 (日) 19:00

 今回観た劇『アルカの板』のあらすじをCoRichで読んだ段階だと、旧約聖書の創世記の中に出てくる、ノアの箱舟のエピソードと、古代ギリシアの哲学者カルネアデスが出したとされる倫理学上の思考実験であるカルネアデスの板、面白いことにこの2つの話とも、人類が窮地に追い込まれ、究極の選択をしなければならないという意味では同じで、さらに2つの話とも舟が重要な要素となっている共通点があるが、この2つの話と現実的な日本の漁協組合とそれに属している九海丸の船員たちと経営者の井上柚、経営者の母井上花楓が過労で倒れたことを気に地元に戻り、九海丸の経営改革をしようとする経営者の妹の井上杏子の話が混ざって、観念的で哲学的、かなりファンタジックな作品なのかと、あらすじの抽象的、詩的表現が多々散見される事からも感じた。また、CoRichに載っていたチラシの雰囲気を見ても、非常に抽象的で幻想的で謎めいた雰囲気だった事からも確信していた。

 しかし、実際にこの『アルカの板』を観て見ると、良い意味で裏切られた。
 まぁ、確かに海難事故で漁に出たきり帰らぬ人となった九海丸経営者家族の井上家の父親の声が急に聞こえてきたりする多少の不思議はあるし、観念的で哲学的、詩的な言葉が舞台向かって右端、左端に備え付けられたモニター画面に移されたり、登場人物たちの独白も普通の劇より多い気がしなくはない。
 しかし全体としては、非常に現実的で、今の日本の漁協組合と組合から舟を貸してもらって漁をする漁師たちの切実で切羽詰まった問題と組合と漁師の絶妙に対等とは言い難い関係性、権威主義的で保守的な組合長と、それによって余計に前に進めなくなって、このままいくともろとも潰れかねない壊滅的な状況の弱小の漁師たちを束ねる九海丸経営者の井上柚とその母親で過労で倒れた井上花楓、その妹で東京から戻ってきた井上杏子を中心とした家族の絆と家族のような漁師たちとの関係性、組合長の娘の尾田レオナと杏子とのレズだけど、素直になれない関係性などが時にシリアスに、時にバカバカしく、時々笑いも交えながら描いていて、人間関係や家族のこと、今の漁業の悲惨な現状を何とか改善しようと組合長と対立しながらも変えようともがき、奮闘する話だが、その中で漁師たちを救おうと、井上杏子が提案する『ノアの箱舟計画』といったところでモチーフとして旧約聖書のノアの箱舟のエピソードを元にしつつも、漁師の救済計画といった別の形で導入されてきていて、幻想強めでは全然なかったが、非常に面白く、また感動する内容だった。
 また、この劇で井上杏子の『ノアの箱舟計画』に強力な助っ人になってくれる漁協組合副組合長の荒木康一が村を出ることが条件で、この計画が成功するという在り方は、まさにカルネアデスの板の意味と一致しており、哲学原理をこういった現実問題でさり気なく描く演出家の手腕が凄いと感じた。
 
 この劇をきっかけに、今まで以上にもっと日本の漁業の現状を正しく理解し、どうやったら物価も上がる中、漁師や農家等が将来に渡って生き残っていけるのか真剣に考えてみたいと感じた。

『フクロウガスム』

『フクロウガスム』

劇団サイエンスフィクション眼鏡

πTOKYO(東京都)

2025/04/29 (火) ~ 2025/05/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 Bチーム初日を拝見。面白い。夢中になって観ることができる。旗揚げおめでとう。

ネタバレBOX

 物語はグリム童話に記された梟の話と連続殺人事件捜査の進展・停滞の模様が幾重にも折り重なり、而も犯人と目される人物が精神障害を患う多重人格者であることから、犯人がほぼ特定されているハズでありながらその特定が正しいか否かを巡っての判断が極めて難しい推理をしなければならないように創られている。無論、実際に描かれる内容は更に輻輳している。実はこの多重人格が容疑者に認知されている4つのキャラクターに限定されるとは限らず意識されていない真のコントローラーが他に居る可能性が指摘され、その真のコントローラーが警察が使っている情報屋である可能性も示唆されることによって予想される事態を更に曖昧化している点があることである。
 観ている側としては作品のこれらの要素を勘案しつつ犯人を推理して行く面白さについ夢中になってしまうが、事件はどんどんエスカレートしてゆき被害者総数は最終的に36名を数える迄になる。而も総ての被害者にはある共通項があった。この共通項も実に早い段階から提示されているし而も何度も提示されているので見ている観客たちに刷り込むのは容易である分、原作者のシナリオ作成術の確かさが見て取れる。
 さて、以上のような状況を提示された観客と作家の実は一対一の知的勝負こそ、今作の眼目であるが、作家の目論見はもう一つある。つまり、とても大事な要件を隠す為に刷り込みを行っているということに気付くか否か。これが正解を得る為の唯一の方法である。
 舞台は暗転中に轟く雷鳴、明転しての初台詞という形で開けるが、この初台詞場面、演出の工夫が欲しい。女優に間を工夫させるなり台詞のトーンを工夫させるなり或いは音響・照明をもっと工夫して観客の箍を外し驚かせていきなり劇空間に引きずり込む工夫が欲しかった。

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