沼田宏の場合。
グワィニャオン
シアター1010稽古場1(ミニシアター)(東京都)
2018/06/15 (金) ~ 2018/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
あの世での陪審員裁判というシュールな設定ではあるが、これは見事な群像劇。陪審員一人一人のキャラが実に立っていて、話にグングン引き込まれましたね。笑って泣けて大いに楽しめました。SWネタにも感涙。
空き家のグラフィティ
立体再生ロロネッツ
北池袋 新生館シアター(東京都)
2018/06/13 (水) ~ 2018/06/17 (日)公演終了
満足度★★★
ユルユルでシニカルで違和感アリアリの何とも言い難い雰囲気のファンタジー・コメディーでしたが、それなりに楽しめました。
ピース
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2018/06/13 (水) ~ 2018/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★
毎回見事な舞台セットを組む劇団との印象が強いが、今回はかなりシンプルなセット。話の方もいつもより笑いの要素が多い気がしましたが、やはりグッとくるヒューマンドラマでしたね。ただ国家プロジェクトという設定には何となく違和感を感じましたが。
S u m a k o
劇団太陽族
AI・HALL(兵庫県)
2018/06/15 (金) ~ 2018/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★
とても良かった!!コーラスも綺麗で、内容も良かった!!笑いもあり、大変満足させて頂きました!!また拝見させて頂ければと思います!!
物の所有を学ぶ庭
The end of company ジエン社
北千住BUoY(東京都)
2018/02/28 (水) ~ 2018/03/11 (日)公演終了
満足度★★★★
題名通り、さまざまな“所有”について考えを巡らせられる刺激的なお芝居でした。脚本・演出の山本健介さんは“所有”について広く、深く研究・考察されたのではないでしょうか。セリフにはカール・マルクス著「資本論」の言及もあり、土地、家、物、ヒトといった目で見て手で触れられるものだけでなく、いつの間にか姿を変えている心や、私たちを取り巻く世界そのものについても果敢に探求されていました。
登場人物らは木々に囲まれた庭のテーブルで会話をします。舞台の周囲は財産なのかゴミなのか判別できない物たちであふれており、客席を分断する通路の先(会場の出入り口方面)には森がある設定です。倉庫のような広い会場の柱を生かし、舞台中央奥には鳥居のような出入り口がありました。文明と自然が混ざり合う空間は、結界が貼られた神妙な聖域、もしくは決して立ち入ってはいけない禁忌の異界のようにも受け取れました。“所有”という概念を問うためにあらゆる境界を曖昧にし、定義不能な間(あわい)において出来事を起こしていく、戯曲の仕掛けが見事だと思います。
感情を動かさないようにする演技は東京の現代口語の会話劇によく見られるもので、この作品もそのうちの1つに数えられるのではないでしょうか。慈善団体のリーダー仁王役を演じた寺内淳志さんは、感情の変化込みでその場、その瞬間を生きるタイプの演技をされており、澄んだ声もまっすぐに届いて、個人的に好印象でした。
当日配布のパンフレットの文章が面白く、開場時間が楽しかったです。終演後に戯曲本を購入しました。
ネタバレBOX
時代は現在の日本、場所は埼玉。地獄の悪魔に追われて人間界に逃げ込んできた“妖精さん”たちは、人間が吸うと死ぬホウシ(胞子?)が充満する森に住み着きました。“妖精さん”には“所有”の概念がないため、その森に隣接する庭で、慈善団体の人々が人間社会のルールを教えています。まずは女性の“妖精さん”に「チロル」(鶴田理紗)、男性の“妖精さん”に「鈴守」(上村聡)と名付けることから始まりました。現代の移民・難民問題と重なります。名付けという行為そのものが“妖精さん”の文化の破壊ではないかという懸念も示されました。
女性教師のハリツメ(湯口光穂)は7年前に故郷から失踪しマイナンバーを持っていません。何かと自分の体に触れてくる鈴守との間にほのかな恋が生まれそうな気配あり。慈善団体リーダーの仁王(寺内淳志)は「マイナンバーもゲットできるし僕と結婚しよう」等とハリツメに迫りますが、報われなさそうです。
この庭は自分の父のものだと主張するクルツ(蒲池柚番)の元夫エムオカ(伊神忠聡)は、致死の森に入り転がる死体の持ち物を採集し、焼却炉で焼いたり、土に埋めたりしています。エムオカの現在の妻ヤノベ(中野あき)は夫を探し求め庭にたどり着きます。男女の三角関係や、持ち主が消え部屋に残された荷物の行方も“所有”の問題提起です。
皆が集う庭はホウシをまき散らし繁殖する木々に浸食されていきます。北関東から北が日本でなくなり、人間の居住区がどんどんと縮小されるなか、“妖精さん”保護区は法律で広げられていきました。“妖精さん”は定められた区域から出ることが禁止されており、人間の街で見つかると殺されます。慈善団体や庭を提供して“妖精さん”と寄り添おうとする人々がいても、残念ながら、越えられない線を引いて、お互いを隔離するしかないんですね。
チロルは貨幣という何とでも交換可能な道具を知り、エムオカからお金をもらって街へと出て行きました。欲望をエンジンに法の穴をかいくぐり、容赦なく広まっていくグローバル経済を想起させます。チロルが陶器のカップの“所有”について学んだのがスタバだったことも象徴的です。
慈善団体のメンバー当麻(善積元)は何にでも意義を唱えたがるシニカルな性格で、仁王に「反対意見ばかり言ってると生きていけない」などと指摘されます。彼の言動から考えされられることが多く、批判精神の重要さが伝わりました。特に私は下記セリフが好きでした。
当麻:わかったらダメなんだって思ってますけどね。人の気持ちなんてわかったら、終わりだ……
ジエン社といえば同時多発の現代口語会話が特徴のひとつだと思います。今作で特に面白かったのは、違う場所、時間で行われているはずの会話が、同じ空間で、同時に行われることです。するりと会話の相手が変わり、どこで誰と話しているのかをわからなくしたり、話者が突然その場から立ち去ったりします。境界線がない状態を持続させ、空気が変容し続けるのがとてもスリリングでした。庭、森、スタバが重なる場面が楽しかったですね。
浮遊するホウシを吸うと死ぬ森は「風の谷のナウシカ」の腐界のようですね。一度でも森に入って庭に帰ってきた人間(エムオカ、ヤノベ、当麻ら)は、既に死んでいたのかもしれません。最終的には人間社会と森との面積が逆転していくようでした。
「私的財産制の矛盾と公共の福祉との折り合いのつけ方」「物の来歴は可視化できない」「尊重が伝わっているなら、(身体に)触ってもいい」など、非常に興味深い指摘が多々あり、異なる座組みでの上演も観てみたいと思いました。
【大阪公演】劇団壱劇屋「独鬼〜hitorioni〜」
壱劇屋
ABCホール (大阪府)
2018/06/15 (金) ~ 2018/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
本来、千秋楽をみる予定でしたが
こちらの都合で観劇できない事を相談させていただき6/16に変更していただきありがとうございました。
冒頭から、泣きそうになり
闘いのシーンになれば、圧倒的な殺陣に魅いいられました
死なない鬼の愛の物語
自分の語彙力では語り尽くせません!
百聞は一見にしかず
感涙の渦の中に是非
バクステ
エヌオーフォー No.4
赤坂RED/THEATER(東京都)
2018/06/13 (水) ~ 2018/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★
応援している福永マリカさんが出ているのと、ツイ友の推しもあり観てきました。普段は見ることの出来ない芝居のバックステージで、こうやって作品が作られているんだということがよく理解出来ました。
そんな中で立場は違えど「良い作品」を最後まで作りたいという役者を含む全てのメンバーの強い気持ちが伝わってきて後半は特に盛り上がりましたね。
こういう作品大好きです。
シリウスに向かって撃て! / POPCORN BABY
劇団赤鬼
神戸アートビレッジセンター(兵庫県)
2018/06/15 (金) ~ 2018/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★
【シリウスに向かって撃て!】を拝見しました☆赤鬼らしいハートフルで熱く暖かい気持ちになる作品でした☆野球がテーマになっててユニフォーム着て大人数でワーワーやるとやもすればコントや学芸会のノリっぽくなる恐れあると思うんやけど、赤鬼の劇団力とチームワークによってある意味ミュージカルのようなエンターテイメントに仕上がってました☆サスガだなと感銘受けました!ラスト切ないと見せかけての大どんでん返しは胸がすく感動を頂きました♪
【大阪公演】劇団壱劇屋「独鬼〜hitorioni〜」
壱劇屋
ABCホール (大阪府)
2018/06/15 (金) ~ 2018/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
再演とはいえ出演者が変わってる方がいたり演出が大幅に変更されてたんで個人的には【新・独鬼】を観劇した気分です♪そして感動のあまり後半は涙が溢れて止まらないくらい感動しました☆竹村さんの作品は【命を悲劇的に扱わない】んで【別れ】も素直に受け入れる事が出来る愛情に満ちたお話でした☆そしてただ【綺麗事】のみを見せるんじゃなく鬼への【差別】や【いじめ】もキチンと描きます☆そういう嘘がない正直なとこが観る者を魅了するんですね♪鬼を追いやるのが人間なら鬼を救うのも人間。【自分はどっちの人間か?】自問自答する毎日です☆
そんなただ感動するだけじゃない深く心に突き刺さる作品を作り上げた竹村晋太朗さんと出演者の皆さんに敬意を表しますm(__)m
The Manpower
劇団スクランブル
シアター711(東京都)
2018/06/13 (水) ~ 2018/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★
好きな劇団で最近の舞台はみんな見ていますが、今回も最高の暇つぶしでした。自分勝手な人たちのそれぞれのお話し 楽しめました 次回作も期待です
悲しみよ、消えないでくれ
モダンスイマーズ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2018/06/07 (木) ~ 2018/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
初演も観てるけど、良い作品はやっぱり面白い。モダンスイマーズのメンバーに今藤洋子さんも見れたし、客演陣も良かった。でんでんさんは最高だった。
沼田宏の場合。
グワィニャオン
シアター1010稽古場1(ミニシアター)(東京都)
2018/06/15 (金) ~ 2018/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
「12人の怒れる男」へのオマージュ、日本にも陪審員制度があったらという架空設定の法廷劇「優しき12人の日本人」(三谷幸喜作)を連想したが、本公演はさらに時空間をも操作した秀作。
(上演時間1時間50分)
ネタバレBOX
セットは横に並べられた陪審員席、その中央上部に白布で覆われた十字架。下手側に飲み物が置かれた小机というシンプルな作り。
物語は沼田宏(享年34歳)という男が事故死し、彼の逝き先を天国にするか地獄にするか、死者の国の陪審員が評決する冥界奇譚の物語。ここは死者(天国)であることから同時代の陪審員ではなく、時代に隔たりがあり其々の人生を生き逝きてきた人々である。その背負った人生訓のようなものが、沼田宏の人生を吟味・議論していく。
先に記した「12人の怒れる男」や「優しき12人の日本人」のように陪審員は全員合意による評決が求められている。当初、天国逝きのような雰囲気であったが、冒頭失神した男の「地獄逝き」(メモ)が発端で評決が不一致になるという緩さ。さらに男が復帰し「メモ」を書いた動機を聞いたところ曖昧のようだ。議論が二転三転する中で、陪審員1人ひとりの人生が明らかになり、公正が求められる陪審員としての立場の難しさが露呈していく。また真摯に議論しているか、それを監視する裏陪審員が紛れているのではという疑心暗鬼も持ち込む重層な作り。
現代の裁判員制度における対応の難しさのようなものを思わせる。物語は喜劇的だが、そこに潜む人が人を裁く過程に関わる難しさを考えさせられる深い内容。それは時代(公演では幕末志士、有名作家も登場)や亡くなった状況等で考え方も異なる。その人達をどうまとめて評決するか、そこに生前の人間性(優柔不断や理路整然など)を描き、緩急ある会話劇を紡ぐ上手さ。その典型が陪審員6号(平塚純子サン)であり、その演技は迫真あるもの。
さらに会話だけではなく、沼田宏の死の真相に迫る実証動作。陪審員室を縦横に動き、時に某映画のアイテムを使用し小難しくなる実証シーンを笑劇にすることで物語に集中させる巧みさ。そして地獄か天国か二転三転するシーンで、白布の十字架が赤・白に変わる照明も見事な演出であった。
次回公演も楽しみにしております。
希望のホシ2018
ものづくり計画
あうるすぽっと(東京都)
2018/06/13 (水) ~ 2018/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★
刑事事件を推理し解決するというよりは、回想劇といった印象が強い。希望の”ホシ”は犯人を示しているのであろうか。内容と照らし合わせると意味深でもある。刑事物語にしては派手なアクションがなく、むしろ情緒豊かなヒューマンドラマといった感じである。
しっかり作り込んだ美術に比べると、演技はポップでコミカルな感じもするが…。物語は特別な設定で展開する訳ではなく、どちらかと言えば時間を順々に経過させるような分り易いもの。
(上演時間2時間)
ネタバレBOX
舞台は民宿「ふるさと」の広間・談話室と帳場のような場所。上手に2階への階段か。あうるすぽっと という劇場スペースにしては、少し簡素の造作のような気もする。それでも民宿ということはしっかり分かるし動線を意識したであろう舞台・美術設営は見事。
梗概…7年前、男性二人が銃撃される事件が起こった。犯人と見られる人物は逃走。被害者のうち、一人は死亡。もう一人、沢木純也(野村宏伸サン)は一命を取り留めたもの、過去の記憶を失った。沢木の記憶は戻らないまま時が過ぎ、事件は未解決のまま。その沢木、民宿で働き平穏な日々を送っていた。
しかし2018年、事件が新しい展開しだした時、沢木の元に刑事がやってきて...事件の裏に隠された物語に正義が揺れる!刑事はブレる。
刑事ドラマのようなサスペンスものと思っていたが、どちらかと言えば、地方の民宿を舞台にした庶民的な人情ドラマのような仕上がりになっている。登場人物24名中、民宿の従業員(沢木を除く)、宿泊客、そして宿泊の自主映画撮影隊で14名と半数以上が事件とは関係なさそう。もっと言えば警察関係は、新たに発生した事件担当(中原・上條)と前の事件を担当していた国東、そして井口(石渡署)だけである。
7年前の事件の記憶回復は事件解決のカギ、同時にこの地で平穏な日々を送る男の思い、この2つの心の葛藤? その個人的な追想と民宿の繁忙が対比・同調しながら展開するが、その観せ方は群像劇らしくポップのように思える。
やはり人間描写とその場の情調演出は上手い。その演出を上手く表現する役者陣、しっかり楽しませてもらった。
次回公演も楽しみにしております。
しずかミラクル
コトリ会議
こまばアゴラ劇場(東京都)
2018/06/13 (水) ~ 2018/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
賛否両論ある作品とのことですが、私はとても好きな作品です。静かで暗い世界の中で、かすかにやりとりされるコミュニケーションが、届いていたり、いなかったりと曖昧になっている作品のおもしろさだけでなく、静かでかすかな光や佇まい、空気を含めた世界が儚くて美しくて、思わず予定にない二回目の観劇をしたほどでした。
かみんぐすーん
北海道学生演劇祭
サンピアザ劇場(北海道)
2018/06/16 (土) ~ 2018/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
学生劇団による演劇祭、なかなか期待以上の作品で楽しかったですね!Aブロックを見ましたが、四作品とも違った作風で良かった!見に来た甲斐がありました。
妖怪博士
キッズシアター~ボクとキミの秘密基地~
文学座アトリエ(東京都)
2018/06/09 (土) ~ 2018/06/17 (日)公演終了
だんだーんだんだん少年団!子供たちを楽しませようといい大人が本気で演技し、道化になり、歌って踊る。見立ても仕掛けも楽しく、子供たちの笑い声が響く幸せな劇場空間でした。
ネタバレBOX
上手の壁が開いて明智が登場し、現実(外)と虚構(内)をうまく接続させていました。演劇的な懐の深さがあってよかったです。続編予告もあり。
ゆとりアルバイター山田くん
劇団おおたけ産業
RAFT(東京都)
2018/06/15 (金) ~ 2018/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
所謂ゆとり世代と所謂団塊の世代ジュニアの相克話であるが、(追記2018.6.18)
ネタバレBOX
他にサトリ世代や団塊世代も何気に包含されており、遠く離れた歴史とは思わないが、何故、こんなにラップが選挙演説にピッタリなのか? 不平をいうのにピッタリなのは、その発生からもあきらかであるが、実演されてあまりに嵌っているので、ホントに驚かされた!?
まあ、実質完全植民地なのに、宗主国にスリスリして喜んでいる連中が多いのだから、選挙など茶番である。そのことに異を唱えるということが、ゆとり世代からのメッセージだとすれば、ラップが此処までピッタリくるのは、当然なのかも知れないが。
何れにせよ、コンビニ店員達の仕事状況を描くことで、日本の現状を炙り出し笑いに紛れさせながら、とても大切なことを訴え掛けてくる今作、大いに楽しめる。
役者さん達の演技も良い。
作品内容
24時間営業のコンビニ。人手不足で店長は、17時間労働などが結構あり、へとへとの状況、そこで新たに募集を掛けた。応募して来たのはまともな履歴書も提出せず、而も履歴書を封筒にも入れず折り畳んでポケットから出し、面接に遅れて事前連絡もしなかった山田くん。
だが、疲れ切っていた店長は彼を採用した。然し、採用後も彼の遅刻癖は直らず、言葉遣いも良くない。当日のシフトキャンセルや、その為の嘘等が重なり終に堪忍袋の緒を切らした店長は、解雇を申し渡す。だが、24時間営業のコンビニを営業し続けるのは体力的にキツイ。おまけにずっと働いてくれていた女性が結婚の為に退職した。そんなこんなが重なって青息吐息の所へ、未精算の給料を受け取りに山田君が来店したのは1か月後、彼が定職につかなかったのは、小劇場演劇の役者として一旗揚げるべく上京してきたからだったが、諦めて実家へ帰るという。この店に迷惑を掛けた理由も説明した。
それによると他にも仕事をし、睡眠不足やオーバーワークになっても安い時給で生活は苦しく、稽古時間を取る為に借金を重ねた結果、返済に追われ、芝居に総てを賭けるような生活ができなり、遂には夢を諦めざるを得なくなったとのことだった。
事情を素直に説明し、キチンとした詫びを入れた山田くんに、店長は言う。夢を諦めない方が良い、と。その為には彼を再雇用し、チャンと仕事をすれば、時給も上げる、と。山田くんに、再始動のチャンスが与えられて幕。
今作には、チェーンだフランチャイズだのと大手に旗を振られ、グローバリゼイションの波に揉まれながら悪戦苦闘する中小個人商店などが、傘下に入り、収奪される有様が如実に描かれている。最低賃金しか出せないような劣悪な就労環境の中で、それでもバイトをするしかないような、協調性ばかり仕込まれ起業などの発想に至りつかないか、至っても実現する為のノウハウを獲得し得ないような人々が、それでも夢を追い、四苦八苦している我々自身の似姿が、ゆとり世代VS団塊世代ジュニアの相克を軸に描かれているのだが、この対決にサトリ世代の論理が楔を打ち込むことで、社会の歪を見事に炙り出す構造になっている。ただ、これだけでは、余りにも荒い展開になってしまうから、ゆとり世代ではあっても、ただ、生活する為に淡々と仕事をこなすキャラを入れたり、ありがちなパートさんを入れたりすることで、自然な感じを醸し出している。
一方、新たに選挙戦に打って出た若い女性が、このコンビニのアルバイトの主戦力である淡々と仕事をこなす人物の同級生であることを通じて、ゆとり世代の持つ価値観の新たな可能性を開示して見せてもいる所がミソ。
沼田宏の場合。
グワィニャオン
シアター1010稽古場1(ミニシアター)(東京都)
2018/06/15 (金) ~ 2018/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
沼田 宏が撥ねられて死んだ。(追記2018.6.26華5つ☆)
ネタバレBOX
彼が天国へ迎え入れられるか、地獄へ落とされるかは、死者達の園に暮らす12名の陪審員に任された。偶々選ばれた陪審員達は随分個性的だ。その元職は、ヤンキーもヤクザも地獄帰りの人斬りもいる。生きていた時代も様々だ。この他、看護師、教師、作家、革命家、ホステス、ホテルマン、オタク、社長、半死半生(中々明らかにならないのでここでも伏せておく)の12名。評決は全員一致制を採る。
脚本は、如何にもグワィニャオンの脚本らしく、単に完成度が高いというレベルではない。実に落ち着いたそして説得力のある科白の応酬に満ちたシナリオである。この優れた作風が、科白を極めて自然に観客に届けてくれる。無論、今作の風合いを着実に観客に届ける演出、役者さん達のキャラの立った演技、照明と音響の効果とシンプルだが無駄の無い舞台美術や裏方さん達の活躍があって初めて、これだけ優れた作品が紡ぎ出される。
「明日見た笑顔」「ココロノカタチ」
しみくれ
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2018/06/13 (水) ~ 2018/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
[ココロノカタチ]を拝見。追記2018.6.26
ネタバレBOX
或る意味タイトル通りであり、頗る素直、素直すぎるほどに素直な作品である。だから一般の人には分かりずらい。何故なら一般の人はもの・ことを真っ直ぐ見る術を知らないからである。今作は、真っ直ぐもの・ことを観る人の作だと考える。善悪ではない。唯、バイアスをかけず、見たものをそれとして提示できるだけのノウハウを持っている人が書いた作品だと感じるのであり、それ以上でも以下でも無論ない。
正解があるという見解も無いという見解も成り立つ作品である。というのもヴァーチャルが現実にどこまで食い込んでいると見るかで判断が変わってくるからである。これは、今作が以下に述べるような認識論に基づいているように思われる点から自分が類推した結果である。即ちこの認識論成立の根拠が、認識することによってしかヒトは何かを意識することさえ出来ない、ということだとすれば、存在を意識出来ない時に存在は無いと判断されるか、せいぜいが感覚によって捉えられたある種の“分からないXが在るかも知れない”とぼんやり類推することができるのみなのであり、この認識論的根拠は無いことになってしまうだろうからである。
こんな不可知論に陥りそうな思考を刺激してくれた点が、自分には面白かった。
The Manpower
劇団スクランブル
シアター711(東京都)
2018/06/13 (水) ~ 2018/06/17 (日)公演終了
満足度★★★★
いわゆる街で見かける喫茶店で会話する人々。
何を話しているのかはうかがい知れないものの会社の愚痴だったり恋愛話だったり十人十色のコミュニケーション活動。
そんなやり取りが次から次へと目の前で生々しく繰り広げられ、ついでに喫茶店の内情まで露わになる、まさに人間ウオッチング満載状態でのスタート。
多彩な人間関係、のっぴきならない迷惑男がその点と点を結んでいったり、勝手に繋がったりしていくも、それらはストーリーというより個と個が接触して必然的に巻き起こる化学反応の様。
あっという間の2時間でしたが10分ほど休憩して、またその先が始まってもおかしくないくらい。
まだまだ彼等の生活は続くのだから物語は死ぬまで終わり無し。
創り手の意地悪な観察眼もなかなかですが、それを観て笑ってしまうごとに「そんな自分も下世話でゴメンなさい」と思ってしまう面白さでした。