沼田宏の場合。 公演情報 グワィニャオン「沼田宏の場合。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    「12人の怒れる男」へのオマージュ、日本にも陪審員制度があったらという架空設定の法廷劇「優しき12人の日本人」(三谷幸喜作)を連想したが、本公演はさらに時空間をも操作した秀作。
    (上演時間1時間50分)

    ネタバレBOX

    セットは横に並べられた陪審員席、その中央上部に白布で覆われた十字架。下手側に飲み物が置かれた小机というシンプルな作り。
    物語は沼田宏(享年34歳)という男が事故死し、彼の逝き先を天国にするか地獄にするか、死者の国の陪審員が評決する冥界奇譚の物語。ここは死者(天国)であることから同時代の陪審員ではなく、時代に隔たりがあり其々の人生を生き逝きてきた人々である。その背負った人生訓のようなものが、沼田宏の人生を吟味・議論していく。

    先に記した「12人の怒れる男」や「優しき12人の日本人」のように陪審員は全員合意による評決が求められている。当初、天国逝きのような雰囲気であったが、冒頭失神した男の「地獄逝き」(メモ)が発端で評決が不一致になるという緩さ。さらに男が復帰し「メモ」を書いた動機を聞いたところ曖昧のようだ。議論が二転三転する中で、陪審員1人ひとりの人生が明らかになり、公正が求められる陪審員としての立場の難しさが露呈していく。また真摯に議論しているか、それを監視する裏陪審員が紛れているのではという疑心暗鬼も持ち込む重層な作り。

    現代の裁判員制度における対応の難しさのようなものを思わせる。物語は喜劇的だが、そこに潜む人が人を裁く過程に関わる難しさを考えさせられる深い内容。それは時代(公演では幕末志士、有名作家も登場)や亡くなった状況等で考え方も異なる。その人達をどうまとめて評決するか、そこに生前の人間性(優柔不断や理路整然など)を描き、緩急ある会話劇を紡ぐ上手さ。その典型が陪審員6号(平塚純子サン)であり、その演技は迫真あるもの。

    さらに会話だけではなく、沼田宏の死の真相に迫る実証動作。陪審員室を縦横に動き、時に某映画のアイテムを使用し小難しくなる実証シーンを笑劇にすることで物語に集中させる巧みさ。そして地獄か天国か二転三転するシーンで、白布の十字架が赤・白に変わる照明も見事な演出であった。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2018/06/16 17:34

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  • タッキー様

    この度はご来場頂き、誠にありがとうございます。
    今更のコメントで申し訳ありません。

    最初に私の事について、嬉しいご感想をありがとうございます。
    陪審員6号は私のとても大切な役となり、それをおほめ頂いて感無量です。

    本当にありがとうございます。

    「優しき12人の日本人」は私も大好きです。
    舞台では見られなかったのですが、昔テレビで放送されたのを観た衝撃は凄まじかったです。

    「沼田宏の場合。」は生きている人間に向けられたあたたかな目が大好きなのです。
    霊界の話なので、実際はもう死んでるのですが。

    今後ともグワィニャオンをよろしくお願い致します。

    2018/07/30 22:47

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