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MOON 全公演終了しました、ご来場ありがとうございました!

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KUROGOKU

シアターシャイン(東京都)

2025/11/19 (水) ~ 2025/11/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 素直に観るとタイトルから想像されるような詩的作品という解釈が成り立ちそれはそれで極めて印象的な作品である。先ずはこの自然に導かれる解釈からゆく。

ネタバレBOX


 板上のレイアウトは板中央に2段の階段、2段目を上がった処は踊り場になっている。踊り場には4つ箱馬が点在し、この階段を挟み込むようにハの字型に衝立が置かれている。階段1段目下手に木製の塵箱、その下手に箱馬2つ。上手の階段1段目横にも箱馬1つ。因みに踊り場スペースは基本的に主人公及び妻の暮らすマンションの1室として機能する。
 物語はある事件が起こったことを主人公が説明するシーンから始まるが、内容的には要を得ない。無論、態と焦点をぼかした説明をしている訳だ。この辺りはリアルタイムで理解できる創りだし、流石如月小春の脚本ということができる。無論、このある種の怠さを抱えたシナリオは観客の集中を途切れさせ易い。その辺りの事情は如月自身よく分かっていたのは確実だから可成り多くのブラックユーモアが埋め込まれ香辛料が気付け役を果たすように機能している。
 ところで、この作品の特徴である焦点をぼかす手法即ち曖昧化は物語が終盤に入っても未だ続く。無論、伏線は巧みに織り込まれている。夫の母が居候を始めていたのだがその母が妻の不可解な行動について次のような証言をしていたのだ。愛しい夫を会社に送り出す前、トースターで焼くパンにさえ心情を転移している妻が不可解にも新たな男を“夫”と呼び生活し始め、遂には居候していた母を可燃ゴミとして廃棄した後、元々の夫であった息子に発見され助け出された際に述べた台詞である。妻が“夫”を送り出した後一日中トースターを抱いている時、不思議な穴が開いていた、と証言していたのがそれである。今作は、終盤のラスト2~3分で総ての要素が収斂してゆき、その収斂の様が余りに見事で感激の頂点に達するが、オープニングで語られた台詞の中で語られていたキノコ雲の話と総てが収斂するラストの話はそのまま連続していない。時空の歪が介在してくるからである。これを解決する為には、今作を不条理劇として解釈するのではなくSFとして解釈すべきなのである。そうすれば今作の捻れが解けると思われる。如月小春はこの辺りまで考慮していたのだとすれば? そんなことまで考えさせる作品だ。役者陣の演技は、皆さんしっかりしている、演出も良いし舞台美術の勘所を捉えてグー。お勧めである。それにしてもラストシーンで妻の抱えていたトースターから妻が取り出したモノは衝撃!
再生ミセスフィクションズ3

再生ミセスフィクションズ3

Mrs.fictions

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2025/11/13 (木) ~ 2025/11/17 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

どのお話も面白かったです。前説の時にいた怪人には笑わせていただきました。何だったんだ…バックに流れていた曲も気になりました(笑)

喜劇王暗殺

喜劇王暗殺

トツゲキ倶楽部

「劇」小劇場(東京都)

2025/11/19 (水) ~ 2025/11/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ラストがとても安心感に包まれるお話しで素敵です!

【急募】20 代⼥性限定/短時間⾼収⼊/髪⾊ネイル⾃由/未経験可/容姿端麗な⽅歓迎/誰にでもできる簡単なお仕事です

【急募】20 代⼥性限定/短時間⾼収⼊/髪⾊ネイル⾃由/未経験可/容姿端麗な⽅歓迎/誰にでもできる簡単なお仕事です

人間嫌い

Paperback Studio(東京都)

2025/11/14 (金) ~ 2025/11/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても見た感じ可愛らしくて共感を覚えるお話しでした!

星の流れに

星の流れに

羽原組

赤坂RED/THEATER(東京都)

2025/11/18 (火) ~ 2025/11/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

観てきました。戦時中のもっと重たい内容と思ったのですが、歌ありダンスありの楽しい舞台でした。

喜劇王暗殺

喜劇王暗殺

トツゲキ倶楽部

「劇」小劇場(東京都)

2025/11/19 (水) ~ 2025/11/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

実際の史実と想像を織り交ぜた舞台。五・一五事件の前日から当日を、ひとつのカフェを中心に描き、当時の人々のさまざまな想いが絡み合っていきます。時代背景はシリアスでありながら、随所にユーモアもあり、見応えがあって楽しめました。
最後が、この劇団らしい前向きな終わり方だったのも良かったです。

ネタバレBOX

チャップリン暗殺未遂事件の史実は知っていたので、「あ、ここに繋がるのか」と思いながら観ていましたが、知らずに観たほうが先行きの読めなさをより楽しめたかもしれません(笑)

そしてアフタートークで語られていた「喜劇王、暗殺」なのか「喜劇、王暗殺」なのかという言葉の二重性には思わず感嘆。この作品の「笑い」と「時代の闇」の両方を凝縮しているようで、タイトルの奥深さを改めて感じました。
Too Young

Too Young

ワタナベエンターテインメント

紀伊國屋ホール(東京都)

2025/11/13 (木) ~ 2025/11/24 (月)公演終了

実演鑑賞

 心に何かしら屈折したものを抱え身動き出来ずにいた登場人物たちが
調査に関わっていくことをきっかけに自分の内面を掘り起こし向き合うことで
前向きに一歩を踏み出し始める物語。

 終盤、短時間ながら、90度程回転し横顔を覗かせ、存在感と象徴性で
観る者に訴えかけてくる廻り舞台のセットも効果的で秀逸。

星の流れに

星の流れに

羽原組

赤坂RED/THEATER(東京都)

2025/11/18 (火) ~ 2025/11/24 (月)公演終了

実演鑑賞

良かったです。

PINK THUNDER

PINK THUNDER

Superb Sick Squad

萬劇場(東京都)

2025/11/19 (水) ~ 2025/11/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

昨年の公演が面白く、そのときに出ていたご贔屓の役者が今回も出演するというので拝見。昨年以上に踊りまくるエネルギッシュな舞台。

星の流れに

星の流れに

羽原組

赤坂RED/THEATER(東京都)

2025/11/18 (火) ~ 2025/11/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

太平洋戦争後の昭和23年の東京上野での物語
底辺から成り上がり 自分の夢を掴もうとして
もがき這い上がろうとする話でありました
レトロな昭和歌謡と当時に合わせた衣装で
レビューをするミュージカル調の芝居で
ありながらも 戦争の悲惨さも
とても伝わってくる話となっていた
2時間の長尺ながらも
その長さを感じ取らせない 熱量があった♫

ネタバレBOX

舞台は基本素舞台でライトと効果音 等で
情景等うまく出しており
服装は その当時を再現していたかしら
服飾歴史はあまり詳しくないですので
レトロな感じが
また目に新鮮に感じられました

レビューから始まって
そのセンターの女性が自分がどうして
この場で歌やダンスを披露しているのか
ここに至るまでの経緯
3年前からの物語を語って
回想を語っていくという話である
その話の主人公は
プロローグで語った女性の姉で
戦争で父が戦地で死亡し
母が 東京大空襲で亡くなり
食べていくため 東京に出てくるも
仕事も無くて 自らの体を
切り売りするしかなかったという
底辺の生活から
妹の目指していたキャバレーをやろうと
夢見るも結局はうまくいかず
姉の夢は叶わなかったが
姉が妹のために という気持ちは
妹に伝わり 妹は 戦後 舞台に立ち
歌を披露できるほどになったと
エピローグで綺麗に歌ってくれるのでした
その姉は自らの希望であった
教師になれたようで
教壇から生徒の出席を取るシーンで
終演となります

舞台の最後は撮影 OK なタイムがあり
なかなかゴージャスなシーンが撮れました

回想の主人公である姉が語る
東京大空襲での母との別れや
妹の世話になってるドクターの語る
戦争の悲惨さはなかなか胸にくるものがあり8月の終戦記念日とかに合わせていたら
なんか 周囲 的にも
もっと盛り上がったかなー とか思いました
メアリーという名の姉

メアリーという名の姉

劇団かに座

横浜関内ホール(神奈川県)

2025/11/15 (土) ~ 2025/11/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

舞台設定は 昭和55年であり
黒電話など小道具も配して
舞台セットも木の柱に土壁の居間を
再現してました
とても丁寧に作り込まれていた
そして説明からも分かる通り
昭和の人情物であり
家族間の確執や思いやり等
様々な感情の方向を上手に
舞台上で見せていました
休憩を含めて2時間10分の長作品で
見応えありました

ネタバレBOX

父親の葬儀にも帰国しなかった長女が
その父の13回忌に28年ぶりに来日し
テキサスの大牧場の奥様ということで
お金持ちというので
饅頭屋の長男も借金を立て替えてもらおうと長女の財産をあてにすることにしたり
家族が姉をいいように
使おうとするのを厭い
それを知った弟が姉に忠告し
姉は実は借金を抱えているということにし
反省を促すも
結局姉は長男の借金を立て替えてくれて
家族が姉に感謝し丸く納まります

舞台上では直に飲み食いが
リアルにされており
お饅頭がとても美味しそうでありました

勘の良い母に言われた 姉が
自身の体調の不備を知り
日本の家族の会いたかったという
望郷の念からの帰郷であった
そして姉も米国に帰り
しばらくして その姉の息子からの
エアメールが 饅頭屋に届く
その内容は姉が癌で亡くなったという話で
姉の本当の帰国目的が
自分が死ぬ前にもう一度家族に
会ってみたかったという事が分かるのでした

まぁ脚本的に落涙誘導された感があるが
なかなか琴線に触れた物語であり
淡々とした演技といい
リアルなセット といい
良い作品に仕上がっておりました
星の流れに

星の流れに

羽原組

赤坂RED/THEATER(東京都)

2025/11/18 (火) ~ 2025/11/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
1948(昭和23)年の東京 上野を舞台にした群像劇。公演の魅力は、表層的には 戦争による荒廃とそこから立ち上がろうとする人々の姿を 昭和歌謡とダンスで観(魅)せる。その奥には戦争という最悪の不条理が描かれている。登場する人物の1人ひとりに戦争がもたらした精神・肉体などの苦悩や痛みを点描させ、劇中の言葉にある「戦争は理不尽な怪物」を表していく。

説明にある「この焼け跡にアタシらの為のアタシらの国、独立国を作ろう!」と、そこには国の言うことを信じてばかりではダメ。物語の核心でもある自主/自立の精神が芽生え、戦後の混乱期を生き抜いてやろうという気概が立ち上がる。歌とダンスシーンを支えているのが音響/音楽と照明効果で、素舞台にも関わらずエンターテインメントの魅力を存分に発揮している。重厚な内容を軽妙な展開で という不思議なアンバランスが見所の1つ。
(上演時間2時間 休憩なし)

ネタバレBOX

舞台奥に集合写真を撮るような平行3段。舞台前方は、群舞を観(魅)せるため広いスペースを確保している。物語は昭和23年であり、モガ風の衣裳で軽快に踊るところから始まる。物語は、惣田紗莉渚さんと伊藤わこ さん演じる姉妹が中心で、2人は戦災孤児。そして何故か 惣田さんには亡き母が見えてしまう。そこに彼女の悲しみが秘められている。母の口癖「ズルしても幸せにはなれない」は、物語の底流にある思い。

戦時中 軍需工場で知り合った仲間とダンスホールを開く、そこが自分たちの独立国。惣田さんは工場で班長をしており、今もその通称で呼ばれている。GHQの倉庫から武器を盗み転売して資金調達をしようと企む。その直前になって 仲間が脱落していく。その1人ひとりの事情ー出征した夫の安否確認、広島原爆の二次被爆による破談等ーが戦争の傷跡そのもの。そして妹 伊藤わこ さんも浅草の歌舞団で踊っていたが、戦時中の慰問公演に自分の代わりに行った友人が爆死。いわゆるサバイバーズ・ギルトのようで、罪滅ぼしのように診療所で働いている。また 医師も特攻隊員へヒロポンを注射していたことへの罪悪感に苦しんでいた。そこに通院している外科患者、コメディ・リリーフのようだが、上野という場所や白地の衣裳を考えると傷痍軍人を現しているよう。

惣田さんは、東京大空襲の時 母と一諸に逃げたが母が瓦礫の下敷きになり助けることが出来なかった。その時のことが悔やまれ、今でも亡き母が見える。姉妹は戦災孤児になり親戚に身を寄せたが居心地が悪い。1人上京し上野で佇んでいたが…。強がりな言葉は、自分自身を奮い立たせ、仲間を心配させない虚勢のようでもある。この1人ひとりの戦災事情を描くことによって、戦争の愚かさを浮き彫りにしていく。同時に社会(国)に対峙する見方も考えさせる。ちなみに、刑事の「文句があるならマッカーサーに言ってくれ」は 当時の統治能力の無さを皮肉った台詞。

群舞で華やかさを演出するが、その魅せる世界の裏に潜む悲惨な世界 その落差が物語を牽引していく。ダンスは情景や状況が変化するといった場転換を表す。また多彩で強烈な照明も場転換を促す。
タイトル「星の流れに」は 戦後の流行歌…焼け野原で家族もすべて失われたため、「娼婦」として生きるしかないわが身を嘆いた。戦争への怒りや、遣る瀬無い気持ち、そして こみ上げてくる憤りを叩きつけた哀歌。その思いは時間で断つ事はできない。暗転/明転ではなく、別の方法を用いているのは、時間の断絶を防ぐためであろうか。
次回公演も楽しみにしております。
星の流れに

星の流れに

羽原組

赤坂RED/THEATER(東京都)

2025/11/18 (火) ~ 2025/11/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても感銘しました。すばらしい劇でした。

ネタバレBOX

戦争中、戦後の生々しい苦悩には、衝撃ですが、過去は変えられない、前を向いて未来をしっかりと生きていくことが大切である旨のメッセージが胸に響きました。ダンスがいいタイミングでありましたね。役者の迫真の演技で、緊張感が漂っていたように感じ、ぐいぐいと引き込まれました。
星の流れに

星の流れに

羽原組

赤坂RED/THEATER(東京都)

2025/11/18 (火) ~ 2025/11/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

思いの詰まった素敵な舞台でした。皆さんの演技力も素晴らしいですが、演者さんのセリフの聞きやすさにも感激です。
少し気になったのは、BGMの切れ目です。ぷつっと切れてしまったことが何度かあり、もったいなく感じました。
戦争で失ったもの、それぞれの過去を慰めながら、それでも前を向いて生きていく。幸せになる努力をする。そのメッセージはこれからもとても大切な指針となりますね。
観劇することができて良かったです。ありがとうございました。

密夜譚

密夜譚

feblaboプロデュース

RAFT(東京都)

2025/11/19 (水) ~ 2025/11/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

『金の惑星』」。軌道を外れた銀河鉄道。4人の乗客の内、生き残れるのは一人。で、その後の肝心の話し合いが、人間らしさとか、自分らしさとか、独りよがりな内容で、安易な結末も含め、自分の好みとは違ったなぁ。

『人の香り』『他人』

『人の香り』『他人』

Pカンパニー

西池袋・スタジオP(東京都)

2025/11/20 (木) ~ 2025/11/26 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/11/02 (日) 19:00

座席1階

Pカンパニーに初登場という気鋭の劇作家、竹田モモコの「他人」を見た。結論から言うと、非常に面白い。特にラスト10分間の展開は見逃せない。現実と理想のはざまで揺れる登場人物たちが現実に絶望を決めた矢先の展開だ。

役者は全員が女性だ。演出もシンプルで分かりやすい。とあるマンションのリビングに最初に登場するのは、この部屋に住む若い女性。ルームメイトの女性が入院したと聞きつけて、彼女の故郷から母親がやってくる。もちろん、他意はなく娘の着替えなどを病院に持っていくのが目的だが「病院周辺のホテルが満室で、この部屋が病院に近いからここにいる間は止めてほしい」と母親は言う。その申し出に狼狽したのは部屋の主。ルームメイトとの本当の関係は実は、秘密だったからだ。
竹田モモコのうまいところは、突然の闖入者に最終的な物語を動かす力を与えたところだ。この母親は娘の都会での生活をチェックしようという意図など何もない。だが、そのストレートな「いい人」が一番最も近い親族でありながら「他人」のようなクールさをもって、二人の同居人の生活に影響を与える。こんな人間関係を構想した竹田のアイデアは、とても演劇的で素晴らしいと思う。iakuの横山拓也の書く群像劇をほうふつとさせるような展開だった。約1時間半というコンパクトにまとめた切れ味の良い舞台だ。

Pカンパニーの自主公演企画と銘打っている。Pカンパニーの「罪と罰」シリーズもすごいのだが、竹田モモコを呼んできて行った演劇的冒険は、見事に成功している。今シリーズのもう一作は、やはり力のある石原燃が書いている。これも楽しみである。

喜劇王暗殺

喜劇王暗殺

トツゲキ倶楽部

「劇」小劇場(東京都)

2025/11/19 (水) ~ 2025/11/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
1932(昭和7)年の五・一五事件と喜劇王チャップリン暗殺未遂、それを虚実綯交ぜにして描いた喜劇であり反戦劇。声高に反戦を訴えているわけではなく、舞台となる「カフェ ハル」の店主 春(ハル)の言葉が当時の空気感に対する警鐘に聞こえる。公演はコメディタッチだが、鏤められたチャップリンの映画のワンシーンや名言による揶揄や皮肉、さらに春の重石のような言葉が物語を引き締める。

公演には出てこなかったが、「人生は近くで見ると悲劇だが 遠くから見れば喜劇である」といった旨の言葉も残している。昭和7年といえば軍靴が高く鳴り響き始めた頃、近くの足元どころか 遠い将来も危ぶまれていた。今も、世界のどこかで紛争や戦争が起きている。けっして他人事ではないのだ。この公演には 喜劇の底に悲劇が見え隠れしており、観応え十分。

シンプルな舞台装置のワンシチュエーション、そこに集う人々の思いと優しさが きな臭い社会情勢の対比として描かれている。勿論、喜劇王を助けたい思いが中心だが、同じように傍にいる大切な人への思い遣りも しっかり描く。当日パンフにも記されているが、この物語は あくまでフィクションで人物や事件などとは無関係のコメディだと…。笑いと胸に迫るシーン、その感情の揺さぶりが みごと。
(上演時間1時間50分 休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術は、中央に衝立2つ、その間を店の出入り口に見立て 上手/下手に丸テーブルと丸椅子がいくつか。また下手客席寄りに別スペース。シンプルな装置で「カフェ ハル」の店内を現す。上演前には格子状の照明が斜めに射し抒情的な雰囲気を漂わせている。

物語は1932年5月。銀座に店を構えるカフェが舞台。この小さな店に世界的スターの喜劇王が来るという噂に湧きたっていた。実は同じく銀座にある「サロン ハル」と間違えたらしいが、それが喜劇王にとっては幸いした。日本は、だんだん きな臭い情勢になってきており、日米の戦争が実しやかに言われていた(事実そうなる)。国(軍)はその嚆矢となる口実を探していた。そんな時、アメリカから喜劇王が来日する。そこで喜劇王の暗殺が…。社会的には史実、そこに集う人々の思いを虚構として絡ませ、見応えのある舞台を立ち上げている。

喜劇王は、当時の首相 犬養毅から官邸での歓迎会に呼ばれていた。カフェの人々は暗殺の噂を聞きつけ、なんとか官邸に行かないよう画策する。喜劇王は「行くな」と言えば「行く」ような変人のような性格として描く。当日パンフには「(喜劇王=チャップリンの)実際の出来事をベースにしているが、あくまでフィクション」とある。それでも劇中、彼の映画の名場面ー例えば「街の灯」や名言「下を向いていたら 虹は見つからない」等を鏤めて 彼の人柄なりを垣間見せる。劇中ではチャーリーと呼ばれているが、その容姿/風貌はチャップリンそのもの。

カフェには、お見合いをするため占い師が来店していた。本人曰く「占い」ではなく「ご神託」らしいが、その話の中で「鑑定が良くない」が「官邸が良くない」といった言葉遊び(誤解)や、登場している人物が同時多発的に台詞を発する。そこに混乱と戸惑いといった騒動が巧く表現されている。また少し先は「右傾化」といったご神託。その後を知っている者には胸を突き刺されるような思いだ。
次回公演も楽しみにしております。
星の流れに

星の流れに

羽原組

赤坂RED/THEATER(東京都)

2025/11/18 (火) ~ 2025/11/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

最高!すばらしかったです。ちょい長尺の2時間の舞台も短く感じられたほどです。素舞台ではありますが、演技と演出、そして脚本がしっかりしているので何もない舞台にいろんなものが見えました。ときおり始まるダンスも最高でした。ほんと最高の舞台を観させていただき充実の2時間でした。戦後間もない上野の話は漫画や小説でいろいろ知っていますが今回の舞台は非常にリアルで観ていて引き込まれました。最高の時間をありがとうございました。

第41回公演『テセウスの宇宙船』  第42回公演  『果てなしランデブー』

第41回公演『テセウスの宇宙船』 第42回公演 『果てなしランデブー』

たすいち

スタジオ空洞(東京都)

2025/11/08 (土) ~ 2025/11/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/11/10 (月) 14:00

【テセウスの宇宙船】
懇意な知人たちが「どこか違う」ように感じ始めた主人公の顛末、一言で表現すれば「ハートウォーミングなボディ・スナッチャー」で、ちゃんとSFでちゃんとたすいち。
コミカルな表現の中に主人公の不安を描き「果たして真相は?」と観客に思わせるのが巧み
また、冒頭の会話の中の問いかけに「もしや自己アイデンティティがテーマ?(←これもたすいちは得意だし)」と思ったが、それが全編を通して通奏低音のように流れているような気もした。

MOON 全公演終了しました、ご来場ありがとうございました!

MOON 全公演終了しました、ご来場ありがとうございました!

KUROGOKU

シアターシャイン(東京都)

2025/11/19 (水) ~ 2025/11/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

良い意味でメンヘラ的というか中二病っぽい脚本ですね。結構好きです。満月の演出がとてもきれいでした。

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