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迷光、あるいは、残照。

迷光、あるいは、残照。

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「大人の鑑賞に堪えうる上質な洒落た切ないサイコサスペンス」という言葉どおり、落ち着いた雰囲気の中に緊張感が続く舞台でした。
役者さんたちの演技がとにかく丁寧で、登場人物達の内面が少しずつ見えてくる感じに引き込まれます。
多重人格の名前を『源氏物語』から取っているところも、個人的には洒落ていて印象に残りました。
驚きの展開よりも、人の心の奥にある痛みや孤独を丁寧に描いていて、観終わったあと、静かに余韻が残る舞台でした。

「夜の横顔」

「夜の横顔」

劇団ジャブジャブサーキット

サンモールスタジオ(東京都)

2026/01/16 (金) ~ 2026/01/18 (日)公演終了

実演鑑賞

岐阜の劇団、ジャブジャブサーキットが創立40周年、(東京などへの)ツアーとしてはファイナル、という区切りと次への一歩の公演。 100分。三重からスタートし1月18日までサンモールスタジオ、そのあと2月に大阪。

https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2026/02/post-f9420c.html

眠レ、巴里

眠レ、巴里

華翔

中野スタジオあくとれ(東京都)

2026/02/12 (木) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2026/02/13 (金) 19:00

実話ベースの物語を手慣れた役者陣が演じる。面白いけど切ない。(前説で2分押し)69分。
 初見のユニットだが、松岡洋子が出るので観に行った。1985年の板橋姉妹餓死事件をベースに竹内銃一郎が書いた戯曲で、いろいろなところで上演されていて、別ユニットで2022年にも観たことがある。パリの三つ星ホテルで姉妹があれこれ浮かれて取り留めもない会話を続けているが…、の物語。実は切ない物語だと知っているのを、華やかに、特にエンディングを華やかにする演出で、余計に切なさが目立つ。役者陣はベテランでしっかりした演技。背景の「窓の外」の美術が美しい。

film 9

film 9

パフォーマンスユニットcoin

シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)

2026/02/13 (金) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い。
表情と身体表現のダンスパフォーマンスだけだが、そこに自分なりの物語性を想像することが出来る、そこが魅力の公演。自分の内で物語が自由に膨らんでいく心地良さ。まさに「踊りで物語を紡ぐイマーシブ・ダンスショー」の謳い文句にふさわしい。前作「東京夜行」が素晴らしかったが、今作も観応え十分。

チラシとタイトルから映像(記憶や記録等)をモチーフにしたイマーシブ・ダンスショーを思い描いていた。確かにその通りのような気がするが、さらにダンスの形態そのものが物語に組み込まれている、いわば劇中劇のような表現になっている と感じた。
(上演時間1時間15分 休憩なし)

ネタバレBOX

会場入口側が正面、その左右にも客席を配した三面客席。正面奥には平台、上手奥にも別平台を設え、中央にアクティングスペース。正面右側にテーブル、収納BOXや飾棚があり、至る所にポストカードが吊るされている。下手の壁に「ナイン座」のプレート。
全体的に昏いが ダンサーの衣裳はデザイン違いの白色系で統一。人によってはグレー系格子状のワンポイント飾りを着けている。前作も色彩に拘っていたが、本作も同様。ラスト、この配色によって或る世界観を連想したが…。

始めは6人での群舞、お披露目的な意味合いもあるだろう。それから単独もしくは複数人によるダンスだが、それがクラシックバレエ・ソーシャルダンス・ダップダンスそしてコンテンポラリーダンス等といった多彩な形態で踊る。その度 衣裳を変えるが、基本は白・黒・灰の3色彩。

タイトルから 既成の8㍉filmとは違った「9film」という独自の世界を描いているのだろうか。「ナイン座」というホールもしくはショークラブといった所が舞台。始めの群舞は賑やかな頃のイメージ、それから各自のダンスはそれぞれがショーで踊っていた頃の想いを込める。何となくウエスト・サイド・ストーリーを連想させるようなダンスもある。すべてのダンスシーンに音楽/音響が寄り添うように奏でられる。全24曲「閃光少女(東京事変)、少年時代(井上陽水)、Fit As a Fiddle(映画 雨に唄えば)等」。活躍は 今は昔、寂れ廃れた追憶に過ぎない。吹き荒ぶ風のような音、それが荒涼感を表している。

ラスト、7人目のダンサー(演出兼任の阿部さくらサン)が現れ 夜空に見えない星があることも忘れないでほしい といった言葉。ちなみにダンサーはノンバーバルコミュニケーションであるが、時々 詩の朗読が挿入される。衣裳の白は生、黒は死、灰は生死の狭間をイメージ。昏い中で白衣裳で等間隔に横並びすると鯨幕のよう。

物語は 踊っていた若かりし頃、それがfilmに刻まれた記録と追憶になっている。皆が灰色のワンポイント飾りを外し舞台に置く、その行為はこの世(未練)と決別し昇華していくような清々しさ。人や物に永遠はなく、いずれ死や廃がくるが、他の人の中に思い出として生きる。それが見えない星のことを忘れないでに繋がるのでは…。舞台という視覚に訴える物語(虚構性)とは違ってダンスを通して、想像するという楽しみを味合わせてくれた好公演。
次回公演も楽しみにしております。
ヂャスヴュラ

ヂャスヴュラ

おぼんろ

本多劇場(東京都)

2026/02/12 (木) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

稽古場開錠(平たく言えば稽古場見学?)と言うのに参加した私は、冒頭「どうした?ザビギジン!タミッケル!!何があった?」と言う気分でした・・・

ヘカベ/ドゥロイケティス

ヘカベ/ドゥロイケティス

お布団

アトリエ春風舎(東京都)

2026/02/12 (木) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

ステージには小さい箱馬が4個ずつ4列並べられている。炎のように光が揺らめくキャンドル型LEDライトがその中に入っている。奥に定型の箱馬が椅子として6脚並び、背景に白い幕が掛かっている。下手に置かれた2脚の箱馬、様々な用途に使用。

まず中野志保実さんが現れ観客に説明を始める。劇の始まる前に既に死んでいる少年ポリュドロスの亡霊として。

十年続いたトロイア戦争にて到頭ギリシア連合軍がトロイアを討ち破る。トロイア人の男はほぼ全員惨殺され、女だけが奴隷として連れて行かれる。老いた王妃ヘカベ(新田佑梨さん)、侍女のムネーサ(永瀬安美さん)。娘の王女ポリュクセネは想像を絶する性暴力を受け正気を失ったまま。
ギリシア連合軍司令官のアガメムノン(宇都有里紗さん)、参謀オデュッセウス(大関愛さん)、伝令タルテュビオス(中野志保実さん)。
海が荒れて航海がままならず、途中の小国トラキアに停泊させて貰うことに。トラキア王はポリュメストル(渚まな美さん)。実はヘカベはこの国に王子ポリュドロスを金塊と共に預けていた。戦争で全ての子供達は殺され残る希望は彼だけに。

何の情報も入れずに観たので随分とイメージが違った。ルックスの良い若い女性ばかりの劇団?服装もカジュアルで等身大。頭でっかちの観念系ではなく普通に面白い。

大関愛さんは「国境なき朗読者たち」の『朗読劇 The Message from Gaza ガザ 希望のメッセージ』で観た。
宇都有里紗さんは連合赤軍にいそうな雰囲気。眼鏡を掛けるとハンジっぽくもある。
中野志保実さんは妙に不穏な雰囲気。
渚まな美さんはちょっと松本典子っぽい。
新田佑梨さんはイントネーションに独特のものがあり、顔立ちからハーフ?とも思った。
永瀬安美さんは品の良い美人でやたら気になった。
これは大塚英志の『「彼女たち」の連合赤軍』を演るべき面子だろう。

一昨年、清流劇場の『へカベ、海を渡る』を観て、こんな暗い話に何故人は惹かれるのか?と思った。今作のアプローチは現在進行系の戦争と通じるように作られている。やはりガザ地区の嘆きにリンクする人が多いだろう。遠い昔の伝説ではなく、今現在起きている事実。そしてそれをよく知る自分達は無力でほぼ何も出来ない。ただ呆然と立ち尽くすのみ。その怖ろしさ。今作を眺める観客と全く同じ。ただ黙ってソレを眺めている。怯えながら。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

「ドゥロイケティス」とはギリシャ語の「奴隷」と「家」を組み合わせた言葉らしい。奴隷の家?

一番の見所は悲鳴の合唱。オデュッセウスが生み出した禁忌の化け物にポリュクセネは凌辱される。その最中、不意に宇都有里紗さんが奇声を上げる。獣のような悲痛な唸り声に何人もが声を重ね奏でるのは地獄のメロディ。気付くといつしか誰もが悲鳴を上げていた。世界中の誰も彼もが。何だこの声は?一体誰の声なんだ?ああ、これは。これは俺の声だ。俺が叫ぶ声だ。『もはや、自分は、完全に、人間で無くなりました。』

オデュッセウスのキャラクターが練られている。戦争中捕らえられ処刑されるところを泣き叫びながら惨めに命乞いをする。憐れに思ったヘカベが処刑を止め逃がしてやる。その恩は感じつつ現実には何も出来ないオデュッセウス。兵士の不満を治める為だけに、ただの宗教儀礼と知っていながらポリュクセネを生贄に捧げる。全てが計算尽く、下の者を統率する為の方便、最早それにがんじがらめ、自由意志なんて何処にもない。統治する為の最適解に血塗られていく。

禁忌の化け物には核兵器や生物兵器などのタブーを重ねた。
ハッピーハードラック

ハッピーハードラック

sitcomLab

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

T2の彼女・ユッコ役の日永麗が体調不良ということで、先週の『幻のイントルーダー』に出ていた天野麻菜が代役に。相変わらず、ややこしくて面白い状況を作るなあというホンだが、ここはBGMを入れなくても、役者の技量と演出でドカンといけるんじゃないの?と思える箇所もあったりして、その辺がちょっと勿体ないなあと。

黒百合

黒百合

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2026/02/04 (水) ~ 2026/02/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

幻想文学の泉鏡花原作とのことだが、ストーリーは面白かったし、演出も、現代的でありながら古風な台詞回しや衣装で違和感なく楽しめる。魔所に入ってからもっと不気味な雰囲気や仕掛けがあったら良かったと思うが。

The Wedding Day ~とぅわにとぅもに~

The Wedding Day ~とぅわにとぅもに~

宇津木ドッグノーズ

下北沢 スターダスト(東京都)

2026/02/13 (金) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

これ、面白かった。バカバカしいSFは大好物。
おバカだけど1時間の本、かなり良く出来てる。
役者もみな素敵だった。
そして、きちんとタイムリープSFだと言って良い。あと青春。
1時間3,000円(予約なら)は、観やすいパッケージング。

迷光、あるいは、残照。

迷光、あるいは、残照。

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

観てて、凄い懐かしさをおぼえた。
世紀末のころ、こういう精神世界を扱った作品が凄く多かったんだ。
精神分析医が花形ってのも、あのころのテイストそのままだって。
でも、初演は2022年なのか……テイストとしては25年くらい前に流行った感じで。

充実した力作だと思います。
最近のスピーディなドラマと比べると、ゆったりとしたテンポに感じたけど。
丁寧に事件の真相を、分析していく展開。
結果、事件にかかわった人たちの内面も描かれていきます。
セリフ回しやキャラ設定が時代がかってる印象は持ちましたね。今風では無いかな。

劇場の楽園は、かなり癖の強い劇場なんですけど、Ⅼ字もあの太い柱も、なかなか良い感じで使ってるなって感心。
役者も充実してたけど、やはり、”下平久美子”さんの演じ分け、切り替えが圧巻でした。

※今回、チケットプレゼントで観劇しましたので、自分のポリシーとして星評価はつけません。
充実した力作で見応えありました。ありがとうございました。

宝島

宝島

Project Nyx

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2026/02/06 (金) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

作=寺山修司、構成=宇野亜喜良で、昔「ひとりぼっちのあなたに」や「さよならの城」など読んでた頃を思い出す。要所要所に「観客強制参加」のシーンがあるが、押し付けがましくなく微笑ましいレベルなので、「観劇中に演者が客に指示して何かをさせる」という構成があまり好きではない私でも無理なく参加できた。黒色すみれの生演奏も久しぶりに聞けて満足。原作が児童書ということもあり、時折お遊戯会を見せられているような気分になってしまうシーンもあった。しかし、私の席の後ろにいた見知らぬ子供たちは大いに楽しんでいたようで、休憩中も劇中に披露される宝島の歌を大声で歌っていて満足そうだったので、これはこれで正解なのかもな、と思った。

迷光、あるいは、残照。

迷光、あるいは、残照。

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

多重人格ものは小説でも映画でもいろいろ鑑賞していますが舞台は舞台でいいですね。演者のキャラもみな立っていてすごくよかったです。しかも、主役の人だけじゃなく脇役の人もみんな心に闇を抱えていて誰一人ハッピーじゃないのが人間臭くていいなーと思いました。あと、今回はサラウンドスピーカーを駆使されていたのかいつもの楽園より音響がすごくよかったです。

眠レ、巴里

眠レ、巴里

華翔

中野スタジオあくとれ(東京都)

2026/02/12 (木) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

あの悲しい事件をベースにしていることもありかなりシリアスなものかと思ったら真逆でしたね。現実逃避の妄想を全面に出したのはあえてリアリティを追求せず逆張りであの事件の核心に迫りたかったというのもあるかな…と思いました。個人的には同じテーマで今度はガチの社会派路線のものを観てみたいなと。具体的にはサラ金のとりたてのセリフを中心にした演出のものも観てみたいな…と。つまり、演者も観客も現実逃避せず事件のリアルに向き合う舞台ということですが。演ずるほうも観るもほうもかなりきつい舞台になるかと思いますが。

十年希望

十年希望

Nana Produce

テアトルBONBON(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2026/02/13 (金) 14:00

役者を変えて何度も再演している作品なのだとか。変わらない人間関係なんてない、修復可能なことから取り返しのつかないことまで、いろいろあるのが人生とはいうものの、ただ崩壊していくさまを描いているのではなく、許しあいたいというベクトルが常にどこかに存在するような、とにかく心にグッとくるステージでした。またいつか、この作品を見たいです。

ネタバレBOX

電気屋になった人、ムショに入ってた人を最後は雇ってあげてたみたい。着ている作業着が同じだったから。このシーン、良かったな。
ヂャスヴュラ

ヂャスヴュラ

おぼんろ

本多劇場(東京都)

2026/02/12 (木) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

別にこれまで避けていたつもりはないのに、多分今回がおぼんろ初観劇。達者な役者陣によって紡がれる寓話的な「物語」。それが刺さったかと言われると、ん?と思うところもあるのだが、最後まで楽しませてもらった。

ネタバレBOX

終盤のアレ、最前列の人とか大変そう。
アオイの花

アオイの花

“STRAYDOG”

サンモールスタジオ(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
理屈ではなく感情に強く訴える公演。内容的には重く苦しいが、舞台としては面白く観応え十分。物語は説明にある通り、いつもと変わらない日常が、突然1人の少年によって奪われる。「通り魔事件」に遭った女の子が娘・アオイ(=愛生)だった。生死を彷徨うアオイを家族は必死に看病するが、彼女は10年という短い人生に幕を閉じる というもの。

物語は、アオイが生きていた頃の平穏で幸せな日々と 亡くなってからの家族の悲しみ。さらに家族を取り巻く人々と(社会)状況、そのありがちなコトを点描し長い年月(12年、アオイの十三回忌迄)を紡ぐ。アオイが遺した思い、それを残された家族1人ひとりが、再び「真に生きること」に向かい合うまでを描いた感動作。それを“STRAYDOG”らしい歌(合唱等)やダンス、さらにヘルマン・ヘッセの名言を織り込んで、叙情豊かな仕上がりにしている。

少しネタバレするが、上演前から数名のキャストが舞台上におり、次々に客席通路を通ってメンバーが集まりだす。皆が揃った光景は稽古場(楽屋裏)---メタフィクションイメージ、そしてその場で配役等を決め本編へ といった演出で始まる。冗談を言い合う素顔から役者(プロ)の顔へ、その和気藹々とした雰囲気が変転していく驚き。その雰囲気の落差が そのまま感情の大きな振れ幅になっていくよう。
(上演時間1時間50分 休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術は中央に出捌け口、左右対称に半階段状の架台のような作り。ラストは上部からスクリーンが下りてくる。シンプルな造作だが、長い年月を紡ぐためセットは固定せず観客の想像力に委ねている。

物語は、平穏な日々から突然アオイが兇刃に襲われ しばらくの間 生死を彷徨うが、亡くなる。必死に生きようとした姿、それが家族のその後(生き様)を勇気づける。防ぎようがない悲劇、その突然の出来事に呆然とする家族(両親と兄)。しかし悲嘆に暮れてばかりもいられないことが家族を襲う。社会の反応を点描することで、家族の悲しみが一層深く印象付けられる。例えばマスコミの家族への容赦ない取材攻勢、何とか他社を出し抜いて記事にしたい。また殺人鬼を神戸連続殺傷事件の犯人 酒鬼薔薇聖斗をモデルにしていることから、彼の学校責任者の対応を描く。それは予想できない事件であり学校側も どうすることも出来ないといった責任逃れの発言。社会という常識の中でしか対応できない もどかしさ。

家族はアオイを喪った悲しみだけではなく、常識という名の理不尽さに心が疲弊していく。両親の耐える姿、一方 兄の犯人を絶対許さないという激情が、本人を荒ぶらせていく。犯罪被害者の悲しみ苦しみは想像できないが、その思いを象徴的に描いているのが兄の姿。理屈ではない感情が迸っている。さらに母が乳癌になり生きる気力が といった事情を描くことによってアオイの最期まで生きようとした姿に繋ぎ重ねる。物語では家族に寄り添って という役割を警察(刑事)に担わせている。勿論 刑事面だけで民事面の被害者救済は描かれていない。

重く苦しい内容だが、ダンスや歌を挿入し魅せる演出で和ませる。また亡くなったアオイを追憶として登場させることで、家族の心の中で生きているといった救い。アオイは居なかったわけではなく、確かに10年間生きた。その証がラストの映像に凝縮されている。見事な余韻付けである。
次回公演も楽しみにしております。
彼女の実家は富士そばの2F

彼女の実家は富士そばの2F

劇団武蔵野ハンバーグ

OFF OFFシアター(東京都)

2026/02/12 (木) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2026/02/13 (金) 15:00

95分。休憩なし、

ハッピーハードラック

ハッピーハードラック

sitcomLab

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ヒロイン役の日永麗さんが体調不良となり、急遽、作・演出の佐野瑞樹さんが台本片手にヒロイン役を務めるという、まさかのイベント公演に。
正直どうなることかと思いましたが、これが逆にハプニング感たっぷりで面白い。舞台ならではの ”生”の醍醐味を味わえる回となりました。

物語は、いくつもの思惑が絡み合うドタバタコメディ。
張り巡らされた伏線はしっかり回収され、登場人物たちの熱い思いも垣間見え、最後は何とか収まるべきところに収まる展開。
登場人物は皆個性的で、それでいてどこか愛すべき人たちばかりで、終演後には自然と温かい気持ちが残る作品でした。

2月の花火

2月の花火

ヒトトナリ

千本桜ホール(東京都)

2026/02/10 (火) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

Bチーム観劇。
脚本はよくできていて、伏線もきちんと回収される完成度の高い作品。
コメディを軸にしながらサスペンス要素も効いていて、素直に面白かったです。
ただ、観た回は会場の盛り上がりが思ったより控えめ。個人的には、もう少し笑いがあってもよかったかなと感じました。
終盤はやや駆け足気味ですが、80分という尺を考えれば納得。
ラストは今後の展開を期待させる終わり方で、余韻の残る締めくくりでした。

迷光、あるいは、残照。

迷光、あるいは、残照。

風雷紡

小劇場 楽園(東京都)

2026/02/11 (水) ~ 2026/02/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 板上センターに円形の白いカーペットを敷いてセンターを示し丸テーブルを置いてある。テーブル周りには椅子が4脚、観客から演技が見やすいように配置されている。コーナーの一角にスタンド式の衣文掛け。オープニング時点では白衣が掛けられている。精神科医療施設という設定だ。

ネタバレBOX

 今作で扱われるのは1人の人間の中に幾つものキャラクターが存在する解離性同一性障害である。この病の多くは、子供の頃に受けた虐待や耐え難い苦痛・苦難によって、未だ親元から逃げて自立できないという環境下、難を避ける方図も無く深く魂を傷つけられた経験により身体のみならずその心、魂に深く抜き去りがたい傷を負った経験に因って発症するケースが多い。今作は、幼少時飛び降り自殺してしまった母の体がクッションになり奇蹟的に生き残った少女が、この時のショックで解離性同一性障害を発症し成人後は娘を産んで現在は娘に面倒を見て貰いながら生活を営んでいるという状況の中で起こった不可解な連続事件で5歳の男児が死亡していた件を巡り捜査一課の刑事たちが動き出し幾つかの証言からこの解離性同一性障害の女性を容疑者として追い始め、精神障害の疑いもある為件の病院に勤務する天才精神科医師とされるひかるに、捜査協力を求めたことで展開してゆく。無論、医師には患者情報に対する守秘義務があるが、警察には、犯人と思しき者に関する情報を市民に提供して貰う権利もある。このような事情からこの病院でも可能な限り警察に必要な情報を提供することが現実となった。
 ところで、ひかるの天才性を示す場面は一場の取っ掛かりで描かれるが、シャーロック・ホームズシリーズの第一巻「緋色の研究」で有名な冒頭シーンそっくりな受け答えで少し鼻白んだ。無論、この点もひかるが警部に「殺人を犯している」旨指摘するシーンの解釈の仕方を上手く利用することで先に指摘した鼻白む印象は払拭された。流石に脚本化である。更に今作はホームズ以外の文学作品「源氏物語」に登場する光源氏ゆかりの女性が何人も登場する。無論、天才医師ひかるの名は光源氏に重ね合わされている。その為被疑者の多重な人格総てに源氏物語に登場する女人の性格が反映されている。源氏物語は読んでいて当たり前の書物だから誰しもその内容を可成り深く知っており、今作に深みを添えている。 
 但し、今作それだけでは終わらない。では、どのような展開を見せるのか? それは今作を観てのお愉しみだ。唯一つ指摘しておきたい点がある。今作で描かれる病院の院長の娘と婚約していたひかるは事件解決後、この病院を去ることになる。婚約者の妾腹の兄で副医院長を務めてきた医師が医院長に就任、ひかるは自分を捨てた母を探す旅に出る模様である。天才の抱えた自身の厳しい魂の傷が、彼の脱いで掛けた衣文掛けの白衣に憑依しているかのような感慨を齎すシーンは実に印象的である。

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