最新の観てきた!クチコミ一覧

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たとえばあの日のこと

たとえばあの日のこと

演劇プロデュース『螺旋階段』

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2026/07/02 (木) ~ 2026/07/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

最近足を運ぶようになった緑氏作舞台、HIKARIでは三度目だったか。最も心を開かれた舞台であった。
少し捻りを効かせた家族の物語が今回も展開。実家の母の様子を見に娘が通っている現在、認知症の母との交わりそうで交わらない会話が簡素で静かな台所に響く。ガヤガヤと賑やかに展開するのがその15年前、母には姉がおり、危うい橋を渡っての商売に妹を利用しもするが、妹は独自な性格、人を放っておけない、頼まれれば断れない。一方の主人公である漫画家の青年(家賃を貯め借金で後がないが辛うじて連載の話が出ている)が、粗野だが人情に厚い(とは最初は判らないが)大家を通じて「姉」からの漫画のオファーを受ける、という形でこのファミリーと接点を持つ。一話完結のヒーロー物風な漫画の場面がいきなり挿入、度肝を抜くが、これに青年の高校の同級生や編集担当らもキャラを担って登場し、同じパターンで毎回終結。ここでの「妹」のキャラが実際のデフォルメである筋が徐々に見えて来る。過去を意表を突く形で再現し、苦労を舐めた娘と、認知症の母との和解の予感へと繋がる。
神奈川界隈の個性的役者も目に馴染んで、役を体現する様相を見て取る事もできた。

マクガフィンを待ちながら

マクガフィンを待ちながら

ゴセキカク

水性(東京都)

2026/06/30 (火) ~ 2026/07/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

近未来の不思議な物語、しかしその奥には人の複雑な思いが見え隠れする。本人とクローン、<記憶>まで受け継いだら そんな複雑で微妙な思いが静かに揺れる。捉え方によっては、クローンを通じて記憶の中にある思(想)い=確執の氷解どころを探しているようだ。案外それが〈マクガフィン〉だったりして。

人の心は得てして多面的で、時々の心境の変化で異なった思いをする。本作は、記憶に謎を絡ませており、登場人物の繋がりに深みを持たせている。この謎が分かったようで分からない、そんな曖昧さが記憶に重なる。

現実には、まだクローンを身近に受け入れていないが、物語では日常の延長として描いている。書類上の手続き等も描かれているが、あくまで〈心情〉を抱きしめた公演。観応えあり。
(上演時間1時間30分)

ネタバレBOX

舞台美術は、会場の特徴である正面のカウンターを活かしたカフェ。カウンターの上にあるミニ本箱に置かれている絵本。中央にテーブルと椅子、上手に机と椅子。下手に飾り棚。シンプルな作りだが物語を紡ぐには十分。時間の流れは、照明の諧調や衣裳替えで表現する。

カホ(祖母)、里佳子(母)、美生(孫)の三世代の女性が紡ぐ記憶の話。カホの葬儀のため実家に戻ってきた里佳子と美生の親子。そこへクローンを扱う団体の若林が訪ねてくる。カホはクローンを嫌っており、何かの間違いではと訝る2人。そんな2人の前にカホを名乗る若い女がやってくる。今度は戸惑う2人を尻目にカホと名乗る女が居つく。女の正体を探るため思い出話をするが、いつの間にか懐かしさがこみあげ 親近感を抱き始める。

カホは人が亡くなっても クローンによって それまでと変わらぬ日々が耐えられない。不遜のように思え、人のアイデンティファイはどうなるのか、といった素朴な疑問を持っている。一方この店の常連客 大塚広大は亡くなって 今は彼のクローンがやってくる。大塚は死ぬのが怖くクローン生成を行ったと。人の思いや考え方は千差万別、もちろん記憶もそうなのだがクローンによって記憶まで共有できてしまう。カホと里佳子の長い間の確執はクローンを巡っての対立。里佳子はクローン生成に携わっており、若林との会話から それとなく分かる。何故 カホがクローンを受け入れたのか、そしてカホと里佳子がいずれ美生にも話さなければ といった意味深な会話が関心を引く。

里佳子と美生は既に亡く、今いるのは彼女たちのクローンでは?と想像した。大切な人にもう一度会いたい。カホは今までの考えを翻し2人のクローンを望んだ。人としてのカホと里佳子はクローンの在り方で対立したが、クローンの2体は記憶の中での対立はあるが、今の在り様から受容は早い。曖昧な感情は、その時々で変容する そんなシュールさを思わせる公演。
次回公演も楽しみにしております。
「筋肉少女26」「筋肉少年・改」

「筋肉少女26」「筋肉少年・改」

石原正一ショー

扇町ミュージアムキューブ・CUBE01(大阪府)

2026/07/01 (水) ~ 2026/07/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

感想遅くなりました。とにかく元気いっぱい、キン肉マン知ってると分かりやすい。無条件に楽しめました。ゲストの方のアドリブ感も、良かったですね。熱演とはまさにこの舞台のことですね。本当に力を抜いてただただ楽しめました。

HUG!!!

HUG!!!

ギギ

早稲田小劇場どらま館(東京都)

2026/07/02 (木) ~ 2026/07/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

観る者に媚びを売らず、それでいて飽きさせない 力 のある公演。一瞬 パンクロックのような印象を受けたが、描かれているのは 時の流れに身をゆだねながらも 懸命に生きている若者像。若気の中にチラッと見える気恥ずかしさ、真っ直ぐな情熱の迸りが綯交ぜになったよう。会場に入ると、そこはクラブ(自分世代だとディスコ)の空間、天井には大きなミラーボール、演奏ブースにはDJらしき人物が円盤を回す(ターンテーブル)。重低音が響き、会場が振動しているような錯覚。スモークの中に照明の強烈な明滅、その光景は幻想的でもある。

登場人物は2人、若い俳優の瑞々しさが 観ていて気持ち良い。色々な話を断片的に繋ぎ脈絡があるのか否か、そんな不思議な物語を展開していく。妙なリアリズムが観客の心を捉え、観終わってみればエッジの効いた物語だ。よく動き回るかと思えば、並んで立って接客しているだけ。メリハリのある動/静演技、そしてモノローグ的な表現によって伝える。もう病みつきになる公演。
(上演時間1時間15分 途中休憩3分)

ネタバレBOX

舞台は正面奥にスクリーン、真ん中に演奏ブース。その前に学校のスチール机と椅子1つ。客席は半円形にして囲むような配置。ここは東京の渋谷 道玄坂にあるクラブという設定。出演は川合凛さん、笹川幹太さんの2人、狭い空間だがワイヤレスマイクを使う。

●このクラブでボーイをやっている幹太サン、卓球界では知られた存在。場転して後景にスクリーンに真っすぐな道の映像。そして凛サンは二卵性双生児の幹太サンを探していると。2人は交わらず それぞれモノローグで話は進む。
●上から制服(上着)が投げ入れられ、着替える2人。今度は2人並んでコンビニで接客している。そのうち名前を始め、自分自身のことが分からなくなって戸惑う。何者にもなっていない若者の不安や焦燥といった気持を表しているよう。
●突然 舞台中央に円形を組み 2人+他のメンバーを加え合奏。優しく心地良い音色、そのしっかり聴かせる上手さ。

色々な観せ方、パフォーマンスは試行錯誤の実験的な公演といった印象。ジャンル問わずの表現、そこに怖いもの知らずといった若者の特権を見るよう。実にアグレッシブな。チラシにある「月面に行きたい」は未知への挑戦であり、公演の表現そのもの。
次回公演も楽しみにしております。
マクガフィンを待ちながら

マクガフィンを待ちながら

ゴセキカク

水性(東京都)

2026/06/30 (火) ~ 2026/07/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

三世代の女性たちを中心の少しフシギな会話劇でした。

プライマ・フェイシィ

プライマ・フェイシィ

シス・カンパニー

ザ・スズナリ(東京都)

2026/07/01 (水) ~ 2026/07/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2026/07/04 (土) 17:00

三浦透子渾身の一人芝居はシビアでタイトで緊張感ある舞台。凄い。110分。
 2019年にイギリスで書かれた作品が日本に初上陸、舞台・映像で活躍する三浦透子が初めて一人芝居に挑戦した。女性弁護士が被害者になり、立場が変わったことで…、の物語。個人の物語であると同時に、男性優位的な制度への問いかけという気がした。一人芝居なので、全てを一人で背負うので、シビアでタイトなセリフに心を削られるんじゃないかと心配するほどの熱演だった。トリプルコールも当然か。

月が廻るのは誰のため

月が廻るのは誰のため

学園座

関西大学・千里山キャンパス内KUシンフォニーホール(大阪府)

2026/07/03 (金) ~ 2026/07/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初日拝見
流石学園座ですね〜 オリジナルデスがよく出来てました(人狼ゲームからの…

次回も楽しみです😊

たとえばあの日のこと

たとえばあの日のこと

演劇プロデュース『螺旋階段』

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2026/07/02 (木) ~ 2026/07/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

必見! タイゼツべし観る。華5つ☆
 板上は下手にキッチン、中央にダイニングテーブルと椅子。上手に玄関。場面によってカーテンで仕切られた空間が開かれホリゾントには漫画家の仕事場が拵えられている。尺は110分予定。

ネタバレBOX

 認知症を患った母と娘の半生を伯母の起こした会社と、その企業の実態とを売れない漫画家が描く一種の伝記的作品として描いた秀作。
 凄いのは、設定が在り得ないような要素を組んだ処から始まり、中段迄は入念な仕込みでその設定を敷衍してゆき、これをどのように収斂させてゆくのか? いけるのか? との問いが観客自身の真剣な問いとして自問されつつ進行するように練られている点、而もその内容は姉が起こした企業の内実が実際に我々の暮らしてきた社会で起こった事件の内実を映し出している点、今後も起こり得るタイプの事件であることの本質を実に的確に暴き出している点、その深刻さを見事に描きつつ、同時に泥沼にまるで夢のように浮かぶシャボン玉が奇蹟の迷彩を放つようにひととひとの深く静かで微妙な繋がりを持つ終盤に繋げてゆくことのできる創造力の凄さ。
ディアマイドクター

ディアマイドクター

演劇ユニット「暇つぶしチェルトン」

萬劇場(東京都)

2026/07/01 (水) ~ 2026/07/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

A班を観劇。話が本当に面白い!実際の時代背景がありつつ、笑いあり、涙あり。役者さん達の素晴らしい演技に、あっという間の時間でした。着物でのダンスも素敵でした。

ラフカディオ・ハーン 琉球の夢

ラフカディオ・ハーン 琉球の夢

燐光群

新宿シアタートップス(東京都)

2026/07/03 (金) ~ 2026/07/14 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「現代を照射する群像劇」


 沖縄に憧れ続けていた小泉八雲が本当に沖縄を訪れていたら、という発想で坂手洋二が書き下ろした燐光群の新作である。

ネタバレBOX

 太平洋戦争前の沖縄を訪れている小泉八雲(Benjamin Beardsley)が現地でチェンバレン(大西孝洋)や伊波普猷(土屋良太)ら知識人との対話を通して沖縄への理解を深めていく。そこで起こる不思議な出来事から怪談の素地が育まれていく過程と、現代の沖縄をとりまく問題を浮き彫りにしていくという筋立てである。

 Beardsley以外の俳優が数役兼ねてさまざまに演じ分けながら、戦前と現代を行き交う自在な構成のなかで、現実と幻想が入り混じる摩訶不思議な作品である。なかでも森尾愛が演じた龍の女が、沖縄の人々の苦しみを引き受け慟哭するくだりは見ごたえがあった。

マクガフィンを待ちながら

マクガフィンを待ちながら

ゴセキカク

水性(東京都)

2026/06/30 (火) ~ 2026/07/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

いやー、よかったです。役者の皆さん演技うまく脚本家の世界観にスムースに入っていけました。どの役者さんもうまいですが、個人的には継承支援団体の方に勝手にMVPをあげたいと思います^^ あの役者さんの他の役の演技をめちゃくちゃ観たいです。あと、クローニングものの作品はこれまでいろいろ触れてきましたが(小説だとカズオ・イシグロのものとか映画だとアイランドとか)どれも臓器移植がその狙いだったりします。でも今回の舞台はその路線じゃなくそこもまた新鮮でした。ほんと、今回のメンバーによる他の舞台も観てみたいと思えるほどのクオリティでした^^

マクガフィンを待ちながら

マクガフィンを待ちながら

ゴセキカク

水性(東京都)

2026/06/30 (火) ~ 2026/07/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

うーん なかなか考えさせられるお話しでした。
深い

「筋肉少女26」「筋肉少年・改」

「筋肉少女26」「筋肉少年・改」

石原正一ショー

扇町ミュージアムキューブ・CUBE01(大阪府)

2026/07/01 (水) ~ 2026/07/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

僕の神芝居【筋肉少女13】👼26版も神がかってアホらしく最高でした‼️でもキチンとブラッシュアップされててラストひろみvs紗理奈の対決は素敵な衣装で登場してさながらスターダムの女子プロレスを見るかのような華やかさがありました🎵なのでいつもよりバトルシーンが印象に残る筋肉少女でした☆
「あの役をあの女優が🩷」という楽しみが筋肉少女の醍醐味🎵今回も皆さんキャラクターにドハマりしてて最高でした👏ステカセキングなど新たなキャラの登場も楽しかったし個人的には日替わりゲストで13年版高野ひろみを演じた丹下真寿美さんがひろみ役で登場したのが胸熱過ぎました😭あの昭和のセーラー服の感じとか最高やったなー🎵竜崎だいちさんのミートとのツーショットが見れたのも一生の思い出になります🙌あと全員がMVPの活躍でしたが途中からの登場でどデカイ爪痕残しまくった南役の佐藤みかさんにノックアウト喰らいました😉次の筋肉少女まで頑張って生きて行きます✌️ありがとー🙆

「筋肉少女26」「筋肉少年・改」

「筋肉少女26」「筋肉少年・改」

石原正一ショー

扇町ミュージアムキューブ・CUBE01(大阪府)

2026/07/01 (水) ~ 2026/07/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

タイトル通りキン肉マンを愛する作者が
オマージュしながら学園モノに書き上げた感じ!
もうー!役者さんが熱すぎる!パワフル過ぎる!作品でした。
小ネタ満載のドタバタ劇降臨!

スペシャルゲストのミサイルマン岩部さんと
エル・ニンジャさんも
場の空気を変える面白さがあった。

最初から最後までノンストップのお芝居に
ずっとニヤニヤしたりクスッとしたりしながら観てましまた!
ズバリ!この作品は何も考えずに楽しむ!ただそれだけ!
明日からの活力になります!

 杏仁豆腐のココロ

杏仁豆腐のココロ

演劇ユニット「みそじん」

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2026/06/30 (火) ~ 2026/07/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
タイトルにある 杏仁豆腐のような柔らかく甘いといった内容ではなく、けっこうシビアでヒリヒリするような印象。説明にもあるようにクリスマス・イヴ、離婚を決めた2人の漂流するような会話劇。物語はどこに辿りつくのか分からないが、離婚する原因が切ない。

脚本の面白さ、演出の巧さ、役者の演技(体現) その総合力が観客の関心を惹き 飽きさせない。最後の夜、思い出すのはどうでもいいことばかり。日常の些細なことから旅行先での出来事、そして身の上話からだんだんと身の下話へ変化し…。会話の流れに 離婚する理由が見え隠れしてくる。
ちなみに 前説が面白い仕掛け。
(上演時間1時間25分)🟠橙チーム

ネタバレBOX

舞台美術は引っ越し間近の居間。中央に炬燵とソファ。周りに多くの段ボール箱。後景の窓/カーテンが斜めになっており、半円形の舞台と相俟って何となくゲルの中といった感じ。下手の置台に電話、時々鳴るが留守番電話に設定。そこに吹き込まれるメッセージが前説になっており、既に物語は始まっているよう。寒風吹きすさぶ音や犬の遠吠えが聞こえ、深々とした静けさが伝わる。

小夜子の実家/稼業は廃業し、年明けには引き払う予定。同居している達郎とも離婚し新たな生活を始めようと…。小夜子は弁当屋で働き、達郎は仕事を辞め2年、今では 立派な主夫。性格も違いルーズな小夜子、ストリクトな達郎、引っ越しの手際にも表れている。そんな2人だが、いざ別れるとなると名残惜しい。

小夜子の実家は ちんどん屋、しかし父の放蕩等で廃業、母は父を見限り若い時に家を出て再婚。そんな母が認知症になり徘徊を始めた。一方、達郎は再就職が儘ならないことなど、それぞれの近況を話す。しかし 離婚する決定的な理由は語られない。そのうちセックスレスという身の下話へ。実は小夜子は死産を経験しており、妊娠することが怖い。達郎は死産した子の葬儀を執り行う。死産を通して それぞれが違った辛さ悲しみを抱えていた。自分も達郎の悲しみ、そして遣る瀬無さが何となく解る。

物語に明確な前・後半があるわけではないが、始めはコミカルに飄々とした語りだが、セックスレスあたりから様子が一変し、2人の激情がぶつかる。それまでの建前的な会話から本音が…そこに劇的な要素が仕込まれており 観応えある物語になる。何と言っても 大石ともこサン、菊池豪サン、2人の熱演がみごと。
次回公演も楽しみにしております。
ディアマイドクター

ディアマイドクター

演劇ユニット「暇つぶしチェルトン」

萬劇場(東京都)

2026/07/01 (水) ~ 2026/07/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白い、お薦め。
脚本・演出は勿論、ミュージカルと謳っているから歌も見事。
公演は、当時(明治期)の状況や風潮を背景に 初めて医師免許を取得した3人の女性たちが、どうして医師免許を目指したのかを描いた 虚実綯交ぜのフィクション。物語は、3番目に医師免許を取得した高橋瑞をモデルにした高水せい を中心に、彼女たちの生い立ちや性格などを描き、女性にとっての閉塞感を浮き彫りにする。誰もがそれぞれの事情を抱えながら今を必死に生きている。無情な不条理に叫ばずにはいられない。

彼女たちが受けた体験や仕打ちが、医療(対象患者)に対する違いを鮮明にする。それでも台詞にある「道は違えども、すべては患者さんのために」、その精神は現代に通じるもの。現代といえば、3人が医師になってから起きた感染症の大流行、それをコロナ禍と重ねることで、いつの世の人の心の在り方を巧みに織り込む。
(上演時間2時間15分 途中休憩10分)【B】

ネタバレBOX

舞台美術は、段差を設え 左右非対称の壁。それが古色蒼然としており当時の雰囲気を漂わせている。また 衣裳やサーベル等の道具にも時代を感じさせる拘り、その丁寧な作りに好感。舞台技術の照明も柔らかく、丸みを帯びた光の中で人物が生き生きと映る。そして無人のときは美しい光景として印象付ける。

没落士族の家に生まれた 高水せい(一役2人〈青年期・中年期〉)、子供の頃から好奇心が旺盛で知識欲もあった。しかし 女に学問は不要で 早く良縁に巡り合い嫁になること。そんな時代閉塞に不満を募らせる。いつしか 人の命の大切さ、それを出産の手伝いをすることによって知る。同時に医療行為は出来ないという現実にぶつかる。

荻野 吟子(女医1番)モデルの萩原ギン子は、夫のせいで不妊になった。当時は男の医者しかおらず辱めを受けるようで受診しなかった。彼女が対象にした患者は女性や子供といった弱き者。生沢 クノ(女医2番)役の吉沢クノは、精神疾患の患者を死なせてしまい医療行為に自信を失っていた。高水せい は、性別や年齢に関わらず困っている人。3人の生き様と医療への考え方の違い、それでも互いを認め合う。そんな高く深め合う姿が尊い。

男社会や家制度、今でいうパワハラ・セクハラといったハラスメント問題を点描する。その生き難い時代にあって、人間らしく生きたい、人の役に立ちたい といった熱い思いを歌で表現する。台詞という直接的な言葉ではなく、歌の歌詞にのせて しなやかに 強かに しかも情感豊かに表現する。そこにミュージカル劇としての真骨頂がある。

明治30年代に流行したペスト、その対応に奔走した女医たち。それを令和のコロナ禍に重ね、疫病に対する庶民の無理解が不安や不寛容を煽り増長させる。公演では、生き方や社会との向き合い方、それを 明治という150年ほど前の出来事を今に生きる我々にも分り易く伝える。その意味では一種の教育劇のようでもある。
次回公演も楽しみにしております。
 杏仁豆腐のココロ

杏仁豆腐のココロ

演劇ユニット「みそじん」

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2026/06/30 (火) ~ 2026/07/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2026/07/04 (土) 13:00

座席1階

久しぶりのみそじん、さらに鄭義信の本とあって、橙チームを見に行くことに。不勉強だったがこの本はかなり前に書かれ、あちこちで上演されてきたという。自分は初めて見るのだが、本の力もさることながら、夢が夢になってしまいそうな人生を、さまざまな事情を抱えて生きる中年女性を演じた大石ともこが特筆ものだった。この芝居、間違いなく面白い。

登場するのは二人だけ。数年間の同居生活にピリオドを打つことに決めた男女の、クリスマスイブの物語だ。
二人の会話劇は深まるごとに微妙な色合いを残して変化していく。ここが、この舞台の大きな注目ポイントだ。二人が別れを決めなければならなかったわけが、グラデーションのように変化していく。いや、男と女が別れる理由が一つであるはずがないのだが、物語に浸っていく中で客席は気付かされていく。「ひょっとして二人はやり直せるのではないか」と空想したりするのだが、やはり今宵は二人の最後なのだと。泣きたいような、笑いたいような。そんな微妙な心の糸の絡み合いが、この舞台の最大の見どころだ。

阿佐ヶ谷の地下にある小劇場の階段を上がったとき、背後から「いい芝居だった」との満足げな会話が聞こえてきた。もうその言葉に尽きる。

ネタバレBOX

前説が留守電の案内メッセージというのが面白い。芝居は既にここから始まっているので、ちゃんと構えていた方がいい。
ディアマイドクター

ディアマイドクター

演劇ユニット「暇つぶしチェルトン」

萬劇場(東京都)

2026/07/01 (水) ~ 2026/07/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

Bチームを観劇しました。とても良かったです!
志を持った女性が、困難に向き合いながら頑張る姿が素敵でした。
役者さん達の表情や演技、イキイキしていました。
ストーリーが良かったのは勿論、皆、歌が上手くて驚き!感動でした。
それに加え、ダンス等のパフォーマンスも良かったです。
とにかく、素晴らしいミュージカルでした!

シャープさんフラットさん

シャープさんフラットさん

キューブ

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2026/06/19 (金) ~ 2026/07/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2026/07/03 (金) 18:30

笑いとは何か、も考えさせられて、切ない舞台。いい。(2分押し)62分(14分休み)82分。
 ナイロン2008年の作品で、元々はホワイト/ブラックのダブルキャストで上演された作品を、マギー演出で上演する。物語は両方を混在しているような…。シュールな笑いの作品を書く劇作家・演出家のペンネーム辻/本名・田中(柄本時生)がある事情で隠れるように住む長野のサナトリウムを舞台に、さまざまな事情の入居者と関係者・職員の群像劇。徐々に、何故、が分かってくるプロセスと、シュールな笑いの数々が、最終的には切ない物語となってエンディングに向かう。初見の高梨臨はじめ役者陣も好演しているが、何と言っても松永玲子の存在感が凄い。

忘れかけてたのになぜ 忘れられないのはなぜ

忘れかけてたのになぜ 忘れられないのはなぜ

トツゲキ倶楽部

「劇」小劇場(東京都)

2026/05/27 (水) ~ 2026/05/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2026/05/28 (木) 19:00

AIに個人の記憶を複写する技術が開発された近未来の物語。
なのである意味「ハードSF」ではあるが、それを全く感じさせず(私見)「人間ドラマ」として描くのがいかにもトツゲキ俱楽部らしい。
たまたま観た日か前日に「中国ではAIを使って故人を再現することが禁じられた」という報を得たこともあり、科学技術(AI)と人間的なもの(記憶)のせめぎ合い(?)というテーマに哲学的なものを感じたりも。

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