
母の人生、ガブリと食らう
劇団道学先生
吉祥寺シアター(東京都)
2026/04/04 (土) ~ 2026/04/13 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2026/04/04 (土) 15:00
座席1階
初日の吉祥寺シアターは満席だった。深井邦彦の新作で、道学先生として比較的広いこの劇場は初めてだったという。いつもの道学先生とは舞台から受ける印象は少し違って新鮮だが、この劇団らしい人間ドラマはたっぷり楽しめる。
風呂場で孤独死した母親の葬儀に、3人姉妹が奔走する場面から始まる。物語は母と3人の関わりを紐解く形で展開し、さらに3人それぞれの家族とともにあるドラマが織りなしていく。そのどれもが印象づけられ、客席を楽しませる。
歌あり踊りありドタバタあり。道学先生のテイストを保ちながら、今回の特徴は、天井の高さ吉祥寺シアターを生かした演出だ。回転舞台をうまく使った舞台転換がとてもうまくいっていると思う。
何が良かったかと言われれば、長女役を演じたかんのひとみのさすがの演技。この人なくしては道学先生は成立しない。出て行った母の代わりに家族を支え、還暦を迎える長女の胸の内を鮮やかに演じている。
平日はまだ、チケットが取れるようだ。吉祥寺まで行って損することはない。

ドドドド・どんふぃあざっでい・ドドド
劇団テアトルジュンヌ
立教大学 池袋キャンパス・ウィリアムズホール(東京都)
2026/04/04 (土) ~ 2026/04/07 (火)公演終了

劇団狼少年第十五回公演「晩カラ学校」大阪公演
ravencompany
インディペンデンントシアター2nd(大阪府)
2026/04/02 (木) ~ 2026/04/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
初日拝見
及川奈央 年取ったけど良い感じでした✨
映画化されるようで、内容もそれなりも、次がよめてしまうのは…
満足できました✨

天照と倭姫命
人間の条件
高田馬場ラビネスト(東京都)
2026/04/01 (水) ~ 2026/04/07 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ラビネットは過去一度だけの記憶(肋骨蜜柑を観に・・渋い)。さて初観劇の劇団。
私の先入観は、社会的視点〜コンセプトから上演を立ち上げる劇団、というもの(学んだ手法に依拠して、ではなく方法そのものを探るといった創造への関心を・・コロナ期の頃読んだHPの文章か何かで勝手に想像)。
ゆえに、天照(アマテラス)と倭姫命(ヤマトヒメノミコト)と題して何を見せてくれるか、謎掛けがどう解かれるかを見届けるべく、凝視した。
古事記物語だろうか、両脇に三名ずつが座して楽器を鳴らせるエリアを据え(開演時には種々の楽器がおかれている)、幾種類もの打楽器や音階楽器の合奏。そして衣裳、美術、台詞も相まって神話世界を具現していた。
天照を祀るのに相応しい土地を探すよう大君に命じられ、旅に出た倭姫命。奈良、京都、滋賀といった土地土地を訪れ、民と彼らの祀る神に遭遇していく。「相応しい土地」とは何かも分からぬままの放浪。天照は神がかった存在。ナレーションは折節に「20年が経っていた」「30年が・・」と語る。倭姫の顔に年輪が刻まれて行く。
やがて伊勢の地に辿り着くと、実に40年が経っているが、その土地の者と神に歓迎を受け、そこで二人に同道してきた家臣の男とは離れる運命となる。祀られる場所には入れぬからと言う。
冒頭よりそれなりに興味深い物語叙述がしばらく(と言うか最後まで)続くのだが中盤、作り手の視点が如実に(私の感覚としては)海底生物が巨体を海面に現わす如く現れ、愛おしき物語として立ち上がった。
本作では出演者に外国の人が2名(英語と片言日本語を話す女性、クルド語?と片言日本語を話す男性)の参加があるのが特徴的。
神代における「約束の地」への放浪は旧約の民の放浪にどこか似ているが、島国日本=単一民族を定義する以前に、多様なアイデンティティを持つ民、土地を巡り、ある意味「平定した」天照による倭国成立の物語は、多民族の習合の末に為し得たワザと叙述される。天照は土地の神を排除する事なく、寛容を旨とした事など。そこへ来て現代性を帯びる演劇として立ち上がるのを見届け、自分なりの納得を胸に劇場を後にした。ここでしか観られなかった演劇。

グッド、バーニング
焚きびび
水性(東京都)
2026/04/03 (金) ~ 2026/04/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
2025年末に起きた事件を下敷きにした二人芝居。とても良かった。人間それぞれが持つ大切で大事なところだけで丁寧に誤解なく繋がり合えたならそれだけで良いのに、人間(世界)は難しいもんだいと思った。終盤は胸が痛くなる愛おしく哀しい美しさ。二人芝居で登場人物は八人。二人共がそれぞれの別人を見事に演じていて感嘆。別人に変わる様は客席から覗える所で行われているものの一人が惹きつけ今度はもう一人が惹きつけてで、気付けば別の人が見事現れていて正にマジック。わぁ凄い。とてもおすすめ。赤毛のアンに親しんでいるとなお良さそう。

GoldenDoubleDeluxe!!
GDDX製作委員会
新宿眼科画廊(東京都)
2026/04/03 (金) ~ 2026/04/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2026/04/03 (金) 19:30
おは✋️ #日曜日の朝☀
…そそ‼️昨日は #新宿眼科画廊スペース地下 で、2人芝居 #gddx2 を観て来ました🙆
…色合いの違う短編4作品を観る事が出来て、とても良い公演でした🙆
…オイラは #中西みなみ @minamismmm さん推しですが、応援する役者さんが出演しているよー🙋って人は、要必見ですヨ💯
#gddx2

早苗とみりん
さんらん
インディペンデントシアターOji(東京都)
2026/04/01 (水) ~ 2026/04/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
普通の恋ではない、同性に対する恋を描いています。この「普通の恋ではない」という言い方自体が既に差別なのですね。母親が戸惑い、直ぐに反対の説教を始めるのも分かります。祖父はオタオタするだけ。そうでしょう。。。この話の芝居、話のまとめ方が何となく分かってしまいます。一昔前と違い現代の考え方、意外な「着地点」にならないはずなので、物語にするのが難しいかなあ、と思いました。若い二人の女性の恋愛ですが、何処がどのように気に入ったのかは当人同士でないと分からないのが現実。男女関係も同様、他人の目からは感知出来ないでしょう。私はこの物語、もっと母親の目線で掘り下げた方が面白くなるのでは、と感じました。常識的な結論に達するにせよ、その方がもっとドラマが作れそう。確かに砂漠のラクダが登場したり、笑いを誘う工夫もありました。どの俳優も熱演なのですが、舞台美術や舞台転換には、もう一工夫欲しい。この芝居、みりんの母親、水野かりん役の古木杏子の好演が印象に残りました。

ソラを護る街
シャチキス(少年社中×ホチキス)
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2026/04/01 (水) ~ 2026/04/05 (日)公演終了

未だ名乗れない俺たちは
NOVA.company
シアターシャイン(東京都)
2026/04/01 (水) ~ 2026/04/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2026/04/02 (木) 18:30
全編通して熱い作品。
もしも映像化されたら観たいしもちろん楽しめると思うけど、この作品に関しては「生」「小劇場」がベストだと思います。
上演時間は80分ほど、静かなシーンはわずか、掛け合いも多く、観劇初心者の方にもおすすめです。
多少の脚色はあれど、役者のリアルな舞台裏が描かれています。
その点はたくさん観劇してきた方、応援している役者やアーティストがいる方ほどグッと来そう。
役者・演劇関係の人もそうでない人も、演劇に慣れている人も未知の人も、それぞれの視点で共感したり「そうなんだ〜」と思ったりしながら楽しめるはず。
なるべくたくさんの人が観たらいいな〜!観てほしい〜!

『サボテンの微笑み』
キューブ
シアタートラム(東京都)
2026/03/29 (日) ~ 2026/04/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
うーん、今回はいま一つかな。
演技の好みもあるんだろうけど、赤堀さんの怒鳴り声は、ハラッサーみたいに感じられて、観ていてビクッとなってしまう。瀬戸康史さんはいいんたけど。あと、岸田國士というより、チェーホフに感じられた

第23回かながわ演劇博覧会
神奈川県演劇連盟
スタジオ「HIKARI」(神奈川県)
2026/03/06 (金) ~ 2026/03/08 (日)公演終了
実演鑑賞
神奈川演劇連盟の博覧会企画。拝見できたもう一本。草野球ならぬ「草コント」と称して行っているワークショップからの参加者による創作コント集。それぞれの枠は45分ほど。スタジオHIKARI。

ポルノ
ゴーチ・ブラザーズ
本多劇場(東京都)
2026/04/02 (木) ~ 2026/04/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
坂のやたら多い坂上町、町会議員選挙に立候補した国旗耕二(玉置玲央氏)。弱者の為の政治を掲げ、老人や障害者の為の町作りを訴える。全ての坂をエスカレーターにするだの健常者に過度な負担を押し付ける歪んだ公約の数々。その異常さを感じ取った町民は離れて行き、焦る日々。家に閉じ籠もりっきりの妻の美和子(前田敦子さん)はそんなことより子供が欲しくて堪らない。ある日、国旗耕二はより弱者に寄り添う候補者になる為、一つのアイディアを思い付く。
着ぐるみショーで坂上町を盛り上げようとする地元の劇団(?)「坂上町ファンタスティックス」。
エース格の鳥越裕貴氏。
着ぐるみだけでなく、いろんなオーディションを受けて自分の可能性を試そうとしている藤谷理子さん。
鳥越裕貴氏の大ファンの小野寺ずるさん。
玉置玲央氏はカメレオン俳優。前観た時と同じ人間とは思えない。その尻尾を掴ませない。かなりの所まで成り上がるだろう。
前田敦子さんは161cmのスラッとしたスタイルの良さが際立つ。こういうキャラはお似合い。『町田くんの世界』のヤンキー女とか脇を固めるスパイスとして使うと魅力的。漬物石だとコミカルすぎてもっと視覚的に痛い小道具が良かった。
鳥越裕貴氏は風間俊介みたいに見えた。
藤谷理子さんはどの作品観ても最高。
小野寺ずるさんはシム・ウンギョンっぽい。
岩本晟夢(せいむ)氏は大窪人衛っぽく見えた。
うぇるとん東氏はタカアンドトシのタカ寄せ。胸板が厚くてガタイが良い。

脱法プードル♡KAWAIIエクスプロージョン
名古屋大学劇団新生
七ツ寺共同スタジオ(愛知県)
2026/03/28 (土) ~ 2026/03/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/03/28 (土) 11:00
少子化の原因が、「可愛い」が、世の中から
無くなってしまったからだという独善的視点で描かれた作品。
学生らしい感性でなかなか面白かったです。
皆さん、和気あいあいと楽しみながら作られた芝居だと感じました。
運転シーンの見せ方などもよかったです。

リコリス・夏水仙
東京ストーリーテラー
上野ストアハウス(東京都)
2026/04/01 (水) ~ 2026/04/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2026/04/02 (木) 19:00
昨夜のAキャストに続き、今夜はBキャストを観劇。演劇集団・東京ストーリーテラー 2026年春公演「リコリス・夏水仙」。上野ストアハウスにて。
昨夜、物販で購入した舞台台本を完読してからの観劇。
同じ舞台台本で、出演キャストが、ほぼ総入れ替えでの物語をあらためて味わう。
今夜は、深田早苗を演じる さかい蜜柑 さんに見入りました。もう、神尾昇ご本人にしか見えなかった。台詞回し、立ち居振る舞いがお見事でした。
昨夜のBキャスト、今夜のBキャスト、双方で演じられた皆さんおひとりお一人、ご自身の味があふれ出ていてとても素晴らしかったです。
ありがとうござます。

メリー・ポピンズ
ミュージカル『メリー・ポピンズ』製作委員会
東急シアターオーブ(東京都)
2026/03/21 (土) ~ 2026/05/09 (土)上演中

事故か、事件か、同窓会か
メトロンズ
赤坂RED/THEATER(東京都)
2026/03/11 (水) ~ 2026/03/29 (日)公演終了
映像鑑賞
満足度★★★★★
定点カメラじゃない3カメ撮りの有料配信で観劇
メトロンズの配信観てて初めて各々の顔をしっかり確認出来ました
前回で初めて客演迎えて今回も女性二人の客演迎えての芝居でした
ノンクライムサスペンスを目指したとの事で何だかギスギスした感じの事件ありきの話でした
客演ふたりは
川上友里さん風と関西弁ヤンキー風の前回と同じキャラ作りが気になりました
6日まで
興味ある方はぜひ

アンサンブルデイズ
Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2026/03/19 (木) ~ 2026/03/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
昨年の一期生公演では、松尾氏の本気度に少々当てられた所であった。
今回は演出がノゾエ氏。これで若干、否随分テイストが異なった気がするが、観進める内にストーリーを思い出し、見入った。昨年は上手側、今回は下手側からの観劇という事もあるのか、装置はだいぶ異なって見えた。力点や濃淡、緩急の施し方も異なり、ストーリーが同じでも違う物を観た感覚が残る。同じ山を別コースで登ればそれはもう全く別の体験、というのと同じか。自身のイメージを貫徹し、完結させるのが演出の仕事。批評が好きでその最大の武器であり楽しみが比較。今後アクターズスタジオではこの演目を当面卒業公演で打って行くそうである。
俳優で生きて行く夢を描く若者たち。あぶれた結果はやはりと言おうか、劇団を作る。そこからの悲喜交々、それぞれの敗北と分裂、逸脱が辛辣にリアルに描かれる。予算管理する担当がマルチ商法に取り込まれ、劇団の金を持ってトンズラする一幕ののち、ラスト、それぞれの「その後」がエンディングらしく紹介されるのだが、マルチ女子はその道を捨てるどころか邁進していて、彼女の背中を追って私も自己実現したい、と後輩に願望を語らせている。それも一つの道だと、君は送り出す方ができるか、と問われた気がしてハッとなる。
ルール違反や倫理違反を「裁きたがってる」ネット住民はこの芝居をどう思うだろう。とふと考えた。

誰かひとり/回復する人間
conSept
ザ・ポケット(東京都)
2026/03/05 (木) ~ 2026/03/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
conSept主催公演を以前観ようとして断念したがこの度の企画に関心あり観に行く事となった。同劇場で他の公演も予定されているが、料金設定が中々高く、感想の中に「その割にどうだった?」の要素が忍び入り、己の中の資本主義的人間のさもしさに忸怩とする。
二作品とも文学性の濃い作品で、舞台もその世界に即したものであった。演劇的工夫は装置などに窺えたがその部分は動的でもベースは静的といった印象。第一部のヨン・フォッセは劇作家だから演劇であるが、メタファーか強い。同じ衣裳を来た二人組が三組、どうやら「あちらの世界」の住人のよう。死に別れた相手が一方からは見え、他方からは見えないのか、無視してるのか・・「感じるが見えてない」らしいと後に判明するが、三番目に登場する組はどう関わるのだったか。。対の二人の関係もそれぞれ謎。対話する場面もある(あったと思う)。メタファーであるが台詞は生々しく、観た感じ一つずつ順序立てて進んでいく秩序のようなものがある。深読みを許容する作品でもある、その風格がある。だが抽象を抽象のまま受け止めて持ち帰らざるを得ない作品。休日の早い時刻でコンディション万全でなく読解に難ありだったか。戯曲を予習して観劇に臨むのが理想かもである。
もう一作がハン・ガン作短編小説の舞台化。ここは西本演出の動的な演出が駆使されていて(戯曲の制約がない..変な言い方だが)、抽象度はやはり高いが、人生に背を向けた「回復したくない」女性のアンビバレントな生への欲求を、最後まで「回復したくない」と本人が言い続けるという中にじんわりと立ち上がらせていた。その女性を豊田エリーが好演。
公演のコンセプトとしての「ノーベル賞作家作品」だが、そこに何らかの必然性(共通の時代性を表してる、といった)が明確という訳でもなく、私がそうであったように「知りたい(どちらも知らないので)」要求に応える「作品紹介」公演の域を、予想外に超えてくるものが無かったのはちょっと淋しかった。作品紹介公演にしては、これを言ってしまうがやはりお値段が高い。

ROOM
劇団黒テント
ザ・スズナリ(東京都)
2026/03/18 (水) ~ 2026/03/22 (日)公演終了
実演鑑賞
黒テント、というだけで出向いてく客も結構居るだろうが、自分もその客層の一人になってしまっておる。芝居を習い性で観に行く事じゃ既に焼きが回ってるのかもだが、せめて評は厳しくである。
団員総出の舞台は感慨深いものがあるが(今回はプラス龍昇氏)、齢八十になんなんとす佐藤信氏の新作てのも然りで。全てを可能にする演劇という世界に無防備なまでに身を委ね、遊ぶ姿がある。文脈や繋がりが読めない箇所も多々。後々回収される伏線を見過ごすまじとの緊張はやがて手放し、さてこの奇妙な舞台をどう楽しもうか、楽しめるか、に関心が移っている。
既視感がある。昨年亡くなった福田善之氏が老境にしてサルメカンパニーに書下ろした作(上演は一昨年だったか)。中々厳しいシナリオだったが書き手一流の一筆入魂の勢いと詩的台詞で乗り切る技を駆使し、空中分解しかねない作品を繋ぎ止める。思うに、演劇人にとって演劇の価値即ち人生の価値と想定するなら、彼らには最早ストーリーの完結に心血を注ぐだけの意義を感じられず、人生といふものの何たるかを言い残したい欲求が勝るなんて事があるのかしらん、と勝手な想像を膨らませたりする。
ストーリー性の薄味と老境、で思い出すのは黒沢明監督の「夢」とか。我が人生を振り返って見え来る場面は夢の如し。
芝居に戻れば、こちらは演出も秀逸で楽しめたが別役氏が病床で書いたというエッセイのコラージュのような「背骨パキパキ」(名取事務所)もその部類のようにも。が別役氏はその後亡くなる前にガッツリな戯曲を書いている。
さて黒テントatスズナリは、舞台と客席をつないで「所詮作り物」の演劇だと吹聴する狂言回し(内沢氏)を配して、新聞の求人欄を見て応募し、面接に来た男(龍氏)を翻弄する不条理劇。求人欄には「潜水夫募集」とあった。町(村)に到着するなり、ままならないコミュニケーション困難に見舞われ、面接にこぎつけるも役所の発行する証明書が必要、それが届くまで待ちぼうけとなる。住み込みと聞いて身一つでやって来たのに...。カフカの審判みたい。海岸のある村で、、というとつげ義治の短編の一つにあったな。
しかし本作には他の軸もあって、どう絡むのか分からない。複数の着想を無理くりに織り物にしたと思しい。歌まである。意味深である。が断片的。かくして混迷の舞台は終幕を迎える。
黒テントというよりは佐藤信的世界。「メザスヒカリノ・・」が黒テント始めの自分には難渋であるが、何にせよこの集団が元気に何かやってるのは嬉しい。滝本女史も久々に目にした。平岡氏も。服部氏がやはり最後を締め、澱みないソプラノサックスを披露したが、健在振りを何時まで見せてくれるだろう。老獪な立ち姿をもっと観たい人は多いに違いないのだが。。

リコリス・夏水仙
東京ストーリーテラー
上野ストアハウス(東京都)
2026/04/01 (水) ~ 2026/04/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2026/04/01 (水) 19:00
雨が降る夜に舞台を観劇。演劇集団・東京ストーリーテラー 2026年春公演「リコリス・夏水仙」Aキャスト。上野ストアハウスにて。
物語は、まさに、豪雨の夜、喫茶店リコリスの近くで発生した轢き逃げ事故で動き出す。
今夜は、神尾昇を演じる神山克己さんに見入りました。もう、神尾昇ご本人にしか見えなかった。一挙手一投足、所作、表情、目の動き、科白、佇まい。1時間45分、神尾昇を見ていました。
地下の上野ストアハウスから地上階に上がり、外に出ると、やまずに降り続く雨。
帰宅後、会場でいただいた来場者向けパンフレットを読む。役者と役名。作・演出を手がける久間勝彦さんの寄稿文「物語の種」。そして、物販で販売していた本作「リコリス・夏水仙」の台本を読み、舞台で描かれた物語を文字で再び味わう。
ありがとうござます。