バーサよりよろしく
エレベーター企画/EVKK
あうるすぽっと(東京都)
2019/11/02 (土) ~ 2019/11/04 (月)公演終了
満足度★★★★★
面白かったです!というと語弊があるかもしれませんが、演出ってこんなに自由なんだと思いました。テネシーさんに見てもらって感想が聞きたいです。
MimitoMetoAo
劇団フェリーちゃん
インディペンデントシアターOji(東京都)
2019/10/31 (木) ~ 2019/11/04 (月)公演終了
鑑賞日2019/11/02 (土) 14:00
価格3,800円
海チーム観劇。画で魅せる演劇。なので撮影可能回を設けることが可能となるのは必然でありその点は興味深い。そしてストーリーや人間関係を追うのはさして得策ではないようだ。アオの効用なのか、見えているものが現実ではないようなのだから
燃えつきる荒野
ピープルシアター
シアターX(東京都)
2019/10/30 (水) ~ 2019/11/04 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
船戸与一原作「満州国演義」…揺れ動く時代の奔流の中、無残に歴史のはざまに棄てられていく若者たちを描く3部作」の完結編。満州の地を舞台にした壮大な叙事詩。戦時下、そんな深刻な状況の中における1人ひとりの人間の生き様をダイナミックに描いた物語。
公演は「虚像の人間」「事実の歴史」という虚実をうまく構築し、ある意味、観(魅)せる虚実史―野心的な作品として楽しめた。ただ、物語は日本国内・満州という地を交錯させる展開で、登場人物も多く、観ている者が置き去りにされそうになるのが難点。
(上演時間2時間)
ネタバレBOX
セットは満州の壮大さ荒野をイメージさせるものであろうか、段差を設けた草原風景。所々に小スペースがあり、日本国内や満州の某施設や飲み屋になり、時の経過や場所を示す。
物語は敷島四兄弟の生き様を中心に展開。描き方は同時・並行的に日本国内と満州の地-別の場所を交錯させ時代を立体的に構成しようとする。しかし、逆に話が断続的になり繋がりを持てなくなる。人物造形はある程度観せることが出来るが、それでも映画・映像と違って同一セットでは場所の違いを視覚で観せるには限界があり、観る者の想像力に負うところが大きい。
梗概…満州事変から第二次世界大戦終結までの満州国の興亡を、敷島四兄弟と関東軍特務将校・間垣徳蔵を軸に描く。大局観として、国の軍事的思惑によって多くの人々の血が流れる。国家間の政治的思想、軍事的戦略は相対的なもので、何が正しく間違いなのか、時代の只中にあって正否が判断できるのか。船戸作品は硬質な歴史観によって支えられていると思うが、戦争という悲惨さの中にあっても まだある程度のロマンの様相を帯びている。戦争(殺戮)は屍しか残さない。善も悪もなく、悠久の大義も私怨も関係なく同列にある。物語はフィクションであるが、ここにある(歴史)事実の観点からすればノンフィクション、現実のディスポティズムの殺戮と重なるイメージを持つ。だから事実の路傍に打ち棄てられた人々の叛史が突き付けられることによって、ロマンと同時に重苦しさに圧倒されるのだ。
敷島四兄弟は、異なった立場と役割が与えられている。それに伴って人間性は、時代背景とその任務・立場が強烈に描かれているため、人間ドラマではなく”虚実史”としての色彩が濃い。完結編として、敷島兄弟は通化の地に集う。満州国はわずか13年で理想の欠片さえ失い、重い鉄鎖と化した。昭和20年にソ連軍が侵攻を開始し崩壊してゆく「王道楽土」。日本そして満州、二つの帝国が破れ残ったものは何か、を考えさせる。満州という地は、日本の時代史・地域史においてどのような存在であったのだろうか。
日本国内と満州を交錯させ、国内は耽々と不穏な空気が流れ、一方満州における修羅現場と化した対比、そして人物は相貌を変え動き回る。日本海を挟んで昔からの深い関係にあった大陸と日本の近代史が人々にもたらした不幸。不条理は、兄弟の生き様に投影させ、社会の底辺にまで浸透してしまった強者・弱者の構図として浮き彫りにする。といっても当時の社会のヒエラルキー構図が直接に対峙して映し出される訳ではない。そこには閉塞・緊迫という状況、時代という大きなうねりが立ちはだかっているという表現である。時代に個々人が翻弄され、抗し難い状況が重層的に立ち上がる。満州国演義3部作の完結編は悲劇的な結末へ…。
これだけダイナミックに揺れた時代と場所―日本と満州―を3部作とは言え、小説の醍醐味を十分に表現することは難しい。下手をすれば、急ぎ足で表面的な事実経過だけを羅列する、そんな勿体ない公演に思えてしまう。もう少し事(焦点)を絞るか、興行的に可能であれば4部作へ増編してもよかったのでは…。
次回公演も楽しみにしております。
街の下で
今泉力哉と玉田企画
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/10/24 (木) ~ 2019/11/04 (月)公演終了
満足度★★★★
作・演出家が2名。
異なる2つの感性から成る演劇的化学反応系作品。
前半の男女間をはじめとする人間関係の機微の描き方は結構好きな作風。
それが一旦リセットされて別の作品に変身してしまったかの様。
変身とはいってもやっぱりひとつの作品、その駆け引きめいたせめぎ合いがとても新鮮でした。
前半でせっかく積み上げてきた繊細な空気感が崩れていく感じは快感にも似て、コインの裏表みたいな面白さだったけれども、ヤンチャが過ぎていたかカタルシスまでには至らなかった部分にはちょっと惜しかった感あり。
何よりこの斬新な演出に上手く乗っかれる役者さん達の演技力あってこその完成度。
その役者さんも何名か出演にて来年映画化、公開されるそう。
主演は演技の振り幅も大きい若葉竜也さん、う~ん何だか面白くなりそう。
バーサよりよろしく
エレベーター企画/EVKK
あうるすぽっと(東京都)
2019/11/02 (土) ~ 2019/11/04 (月)公演終了
満足度★★
白が徐々に赤く染まっていく様は視覚的にはおおっと思いましたが、個人的にはちょっとハイブローでした。
音楽劇ヨルハ Ver 1.2
舞台ヨルハ製作委員会
THEATRE1010(東京都)
2018/02/09 (金) ~ 2018/02/13 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
持田千妃来さん出演。
この再演はシアター1010という広いステージ、生演奏での盛り上げもあって、前回より壮大なイメージが広がりました。冷静になってみると前回と内容は変わらないわけですが、効果は抜群だったと思います。
殺陣が得意な持田さん、十六号「ガンナー」役で、銃が武器。剣の殺陣はよく拝見してましたが、銃は新鮮でした。良かったです。
巨大な敵と戦うときの映像を使った演出、大迫力でよかったです。大きな会場の大きなスクリーンだからこそですね。
ネタバレBOX
救いが無いストーリーとも言えますが、納得感は十分で、個人的には満足度高いです。
二号だけが生き残って続きを期待させる終わり方、良いと思います。
ヨルハ部隊の4人のうち、二号、四号、二十一号はソロ歌唱があるのですが、持田さんの十六号だけは無かったです。お歌を聴きたかったですね。
猩獣-shoju- <東京公演>
壱劇屋
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2019/10/11 (金) ~ 2019/10/14 (月)公演終了
満足度★★★★★
猩獣は再演から観ました。再再演で1番驚いたのは梯子を使った殺陣でした。再演と違いすぎて釘付けになっていました。
上演時間65分とは思えない程の内容の濃さでした。
ネタバレBOX
再再演なのに出演者や役者が違うとこんなにも違うのか、とびっくりするほど全てが新しかったです。
幼馴染みのみんな愛せるなぁと思ったし悪の四天王かっこよすぎてどっちを応援すれば…!?としょっちゅう混乱してました(笑)
庄屋は初演とも再演とも違う憎さがあって猩獣は動きが綺麗でアクションモブの皆さんは細かい演技を舞台の端から端までしているので本当に目が足りなかったです…。
幸せな時間過ごせました!ありがとうございましたお疲れ様でした!
Littele Basters
聖学院大学演劇部わがままスナイパー
聖学院大学 4302教室(埼玉県)
2019/11/01 (金) ~ 2019/11/02 (土)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/11/02 (土) 15:00
価格0円
無事、公演が終了致しました。
今年は昨年を超える50名近いお客様にお越しいただき、
昨年以上の賑わいがありました。
来年も今年を超えられるよう精進して参ります!
燃えつきる荒野
ピープルシアター
シアターX(東京都)
2019/10/30 (水) ~ 2019/11/04 (月)公演終了
満足度★★
完結編観てきました。
正直な感想は
一部、二部と観てきて…今回
期待値が高かったのかもしれませんが、尻窄み、右肩下がりに感じました。
数年前原作を読み、これが舞台化されるんだ!ってウキウキしてました。
ネタバレBOX
セットは変わらずススキが一面
時代が進んでない様に見えました。
…10年以上時代が動いてるのに。
脚本?台本?
省略しすぎてて、完全に観る側を置いてきぼり。
もっと細かく時代に呑まれていく、翻弄されていく姿を観たかったです。
出演してる俳優さん達の力量の差がありすぎて
最初のシーンからため息がでました。
四兄弟と間垣は三郎を除いて続投だけあって、魂こもってるなぁって、本当に生きる人に見えました。
映画化するなら絶対に演じて欲しい
この人達以外に考えられません。
四郎以外の人は死んでしまうけれど
シーンが凄く雑に描かれていてションボリ
俳優さんは凄いのに、、、引き込まれたのに!
太郎は時代に翻弄される
次郎は満州を馬賊として生きて死ぬ
四郎は時代や人に呑まれながらももがき苦しみ生きる
本当に魅力的に演じてました。
間垣も血の繋がりがある敷島家を放っておけなかったんですよね
あと犬役の人も続投
この物語には欠かせない人物?だと思って一部の時に人間が演じるってビックリしましたが、身体能力と表現力が凄くて次郎の事大好きが伝わってきて素敵でしたが
死の場面はもっと次郎とのやりとりを観たかった
次郎はここから少しずつ壊れていく大切な場面なのに
あと続投してた
敷島太郎なんで売ったー
って叫んでた人、太郎の家の隣の人(今回は奥様しか出てなかった)
この人も七変化?色々な役を生きていて、素敵でした。
太郎の奥さん役の人も続投していましたが
ごめんなさい、年齢的に(実年齢はわかりませんが)無理があったかな太郎のお父さんの後妻の妹ですよね…
好き放題書いてしまいましたが
魅力的な俳優さんが多く、それでなんとか終えた作品に感じてしまいました。
一部、二部が凄く素敵だったので
四部作にするとか、1つ1つをもう少し長く上演するとか方法はあったのかなって(休憩は欲しいです♪)
三年間お疲れ様でした。
原作でも舞台でも次郎が好きです。
『花と爆弾~恋と革命の伝説~』
劇団匂組
OFF・OFFシアター(東京都)
2019/10/23 (水) ~ 2019/10/27 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/10/23 (水) 19:00
価格4,000円
明治のジャーナリスト、文筆家、婦人運動家・社会主義運動家である菅野スガの半生。
テーブルと4脚の丸椅子、それに黒い戸板(?)1枚というシンプルな装置と各場面の「時と場所」の示し方、そして場に応じて語り手(複数)をも使った立板に水の如き流暢な語り口が何とも見事。
なので音楽面とある小道具でちょっとひっかかったモノもあるが(そこも含めて)愉しく観ることができて満足。
なお、主人公たちの「運動」は「国民に主権を!」的な内容と言えよう。
漢字も正しく読めず原稿を使い回す史上最悪の主席宰相とその一派が国民から主権を奪う改憲を目論んでいる今、タイムリーな演目かも、とも思った。
ネタバレBOX
音楽面での引っかかりはキング・クリムゾンの楽曲の多用。M0の「エピタフ」で客入れBGM(泉谷しげるだったか?)とのギャップに頬が弛んだが「墓碑銘」ということで本編を暗示するものとして納得。
しかしそれ以降も個性が強いクリムゾンの楽曲(ほとんど「クリムゾン・キングの宮殿」からのもの)が劇中で流れ、時として芝居が音楽に「喰われた」感があったことは否めない。
また、ガンマニアとして使われたリボルバー拳銃が357マグナム級口径のもの(コルトパイソン?)だったのに違和感。「記号としての拳銃」とはいえ当時にはなかった大口径拳銃を使うのはいかがなものか?
その一方、「真っ黒になって働いても白い飯は食えない」という鮮やかな対比を含む台詞を筆頭として随所に巧みな言葉がちりばめられていたのも印象に残った。
雪解け
劇団三日月
ウイングフィールド(大阪府)
2019/11/03 (日) ~ 2019/11/04 (月)公演終了
満足度★★★★
良かったです。何が一番守りたいのか、改めて考えさせられたり、複雑な思いです。見て損はない。
のけもの
ナントカ世代
THEATRE E9 KYOTO(京都府)
2019/11/02 (土) ~ 2019/11/03 (日)公演終了
満足度★★★★
良かったです。笑えます。現実も上手く表現されていました。よく勉強してると思いました❗
花町オペラ
ギリギリCUBE
in→dependent theatre 1st(大阪府)
2019/11/03 (日) ~ 2019/11/04 (月)公演終了
満足度★★★★★
とても良かったです。歴史に疎い私でも楽しめました❗泣けます❗見るかいありです。
NAGOYA 演劇 SEKIGAHARA 弐
右脳中島オーボラの本妻
三楽座(愛知県)
2019/11/02 (土) ~ 2019/11/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
1劇当たり、およそ30分の短編。
5つの劇団による。
短くも、密度の濃い劇だった。
本当に楽しめた。
同じような企画が有れば、また観に行きたい。
蛙よ、海へ行け
立教大学演劇研究会
立教大学 池袋キャンパス・ウィリアムズホール(東京都)
2019/10/30 (水) ~ 2019/11/04 (月)公演終了
離島に暮らす少女の悩みや苦しみを描いた作品でしたが、私には難しかったです。同じ台詞の繰り返しや、必要なのかな?と思える場面もあり、上演時間が長かったので、少し退屈さを感じました。が、演出は工夫されていて、波の音などの音響も良く、どんよりした雰囲気を醸し出していて、役者さん達の一生懸命さも伝わってきました。主人公の少女と同じように、今を生きる若者達の悶々とした気持ちを表現したかったのかな?と、自分なりに解釈しました。
ノート
ティーファクトリー
吉祥寺シアター(東京都)
2019/10/24 (木) ~ 2019/11/04 (月)公演終了
満足度★★★★
狂信的なテロを起こす集団も、個々の人はちょっとした社会とのずれをきっかけで居場所を求めてきただけで、心の揺れを内包しつつも、嫉妬や同調圧力、慣れといったどの組織にもある要因で行動が過激化してしまう。その流れ、セリフが一つ一つ説得的で巧みでした。
ネタバレBOX
Tを演じる主演の役者さんは演技にやや固さがあるように感じましたが、かえって役柄にはマッチしているのかもしれません。幕切れ近く、牧師に思いを託す場面ではウルっと来てしまいました。
選挙運動に出くわした友人がTを説得するシーン、確かにバブルに浮かれていた俗世間も一種の狂気だったわけで、どちらが「あっち側」だったのか考えさせられました。
水晶の国にお別れを
京都市立芸術大学ミュージカルグループ2019
京都市立芸術大学 講堂(京都府)
2019/11/02 (土) ~ 2019/11/03 (日)公演終了
満足度★★★★
とても楽しく拝見させて頂きました!遠距離でしたが見に行って良かったです♪
演出って何?
学習院女子大学パフォーミングアーツフェスティバル実行員会
学習院女子大学 やわらぎホール(東京都)
2019/11/03 (日) ~ 2019/11/03 (日)公演終了
満足度★
2作品上演後のトークショー、舞台に出されたパイプイスに、足を組んで座る演出家と、大学教授。
それが観客からどのように見えるか、それをどのように感じるか、観客目線から見る事の出来ない演出家や教授の話なんて、聞く価値は無い。
ネタバレBOX
たしかに、自分(演出家)から見てどう見えるかが大切で、観客の事を考えていない演出家はたくさんいます。
自分達(演出家や、大学教授)は格上と考え、観客を見下す演出家の舞台は見たくありません。
終わりのない
世田谷パブリックシアター
世田谷パブリックシアター(東京都)
2019/10/29 (火) ~ 2019/11/17 (日)公演終了
満足度★★★★
ネタばれ
ネタバレBOX
イキウメの『終わりのない』を観劇。
家族と友人と一緒に湖畔にキャンプにきた少年・悠理が湖で溺れる。
そして気がつくと1000年後の世界に居て、そこは宇宙船の中だ。
温暖化によって地球が滅び、富裕層のみ生き長らえて、次なる住まいの惑星を探している。
そしてそれに愕然とし、宇宙空間に逃げ出した悠里は、今度は人類が神によって作られたばかりの惑星にいる。
そして再び現在の地球に戻って来るのだが…。
量子力学、世界温暖化への危機、そして少年が自我に目覚めいく話である。
今までの「奇ッ怪シリーズ」は、日本古来の話で、「昔ばなし」という馴染み易い言葉がキーワードであり、それによってすんなり嘘の世界に入って行く事が出来た。
だが今作は、想像がつかない未来、人類が生まれたばかりの惑星、と想像すら出来ない世界にどの様に誘っていくのかと思いきや、「量子論」という言葉をキーワードに、その論理を解りやすく噛み砕きながら、「これから必ず起こるであろう出来事」とし、その異世界にすんなり入って行けるのである。
何気ない日常の隙間から異世界に誘うのがイキウメの旨さだが、今作は論理を応用して、いつも通りに我々を異世界に連れて行ってくれたのである。
見事である!
妖異幻怪物語
月ねこ座
浅草九劇(東京都)
2019/11/01 (金) ~ 2019/11/03 (日)公演終了
満足度★★★★
脚本が素晴らしい。ニャン吉さんが脚本を書いているのだが、(追記2019.11.4・脚本華5つ☆全体華4つ☆)
ネタバレBOX
人間容認派(統領以外は殆ど弱い妖怪だがマジョリティーVS否認派妖怪(強く計算高い妖怪が結集・マイノリティー)を基本とした筋運び、各キャラクターの科白に込められた念の深さと人間などより遥かに長生きする妖怪の命を賭け、己以上の力を持つことが明らかな酒呑童子に挑み、姫を助け、守るべき者の危機にあっては己の命を的に助命嘆願する稲荷の純粋な念も素晴らしい。これらの行為総ての原動力こそ、女性の命である恋の力なのだが、千年にも及ぶ報われぬ恋の切なさの比類なさが我らの胸を撃つ、便乗神の起死回生の策略を成功に導く伏線ならしめた役割を担った雲外鏡は人間容認派を瓦解に導くスパイ役を果たすが、事情を十二分に理解した新統領・弾の赦しによってリーダーとしての彼の度量に打たれ、自ら信頼された者に成ろうと魂を入れ替える弱い存在の変化を演じて大事な役割を果たしている。この伏線があればこそ、便乗神の命を賭けての戦いと作戦の成功が有るのであり、恐らく彼女もまた、旧統領で弾の妻・妖子の父、九尾の狐を深く愛していたという含みがある。
雲外鏡はその名前が示唆しているように、我らヒトを含めた生き物としての弱さと他者に信じられてこそ、強く逞しく正しく生き得ることの普遍性を顕しており、このことが伏線となって物語りの展開に因縁が絶妙なバランスを保ちつつ、結果として見事に呼応する様が描かれていることの見事さ、実際に起こるというか日々体験せざるを得ない、利害と命、最も大切な者を守る為、或いは目前の恐怖の為に曝け出される卑怯未練な振る舞い、とそのような行為に及んだ者に対するリーダーとしての対処に現れる度量の描き方、演じ方も見事である。また、妖怪同士の戦いの中での人間容認派と否定派の差異を人間との婚姻諾否の差で決定的に描いて見せる辺りの、的確にして的を射た世界把握と表現も素晴らしい。エンターテインメントという体裁を採りつつ基本をしっかり作っている。殺陣の際、酒呑童子側の刺客や雑兵として活躍するアンサンブルのメンバーの体術もキレがあって良い。
人間否定派リーダーの酒呑童子の副官、絡新婦がオープニング早々、演説をぶつのだが、両手を広げてまるでTVのワイドショーで仰々しくミエミエのパフォーマンスをするようで、自分にはチャラついて見えたのが残念、演じるのは身長も高くグラマラスな美形女優なのだから、自分なら観衆のざわめく音声を入れ、少し間をとって、配下の妖怪たちの鳴りが収まるのを見計らって科白を吐くという演出にする。オープニングには、若く美しい女優をヴィジュアルで見せようとの狙いが見える気がして自分の好みではなかった。もう一段、女優個々の個性や魅力の深みを見せる演出であると嬉しい。何れにせよ、脇がしっかりしているのと脚本の素晴らしさ、主要キャラクターが物語りの進展に連れてドンドン良い方向(即ち役を生きる演技)になってゆくので観ているこちらとしてもどんどん引き込まれて行き中盤以降は伏線とその回収も見事な展開で、満足できる内容であった。当初、キャピキャピ感のあった女優陣、新リーダーになった弾の表情の変化(ぽにょん~締まりのある顔へ)妖怪の総大将であった九尾の狐の娘、妖子のキャピキャピで純な少女~姫としてまた新リーダーの妻として物理的な弱さは保ったまま、芯の強さ・精神の成長を通して強さと気品を身に着けてゆく姿の変化もグー、無論、キュートな魅力はそのままだ。人間に味方する側では、大家役(見送り入道)の演技もこちらサイドの若手演技を支えてグー。無論、今作で最も大事なシーンで中核を担い己の術(自分の受けたダメージをそっくり相手に返す術)を九尾の狐を守る為に用いて亡くなる便乗神役も魂に沁みるし、何の秘術も持たないが兎に角、自分の信じたことに命を賭け殺され掛かるスマホ覗きも、ホントに戦う為の能力を何ら持たぬ身で痛い目に遭っている仲間を唯庇おうとすることしかできない無力が、彼の痛々しい献身を見事に浮き上がらせる。烏天狗は一度は言葉によって姫を傷つけた者だが、彼も姫を愛し、独占したいと望む本能故、道には外れるかも知れないが、単純に非難はできない。 酒呑童子(体が頑丈で多くの妖魔を葬った名刀で切り付けても妖怪がその刀で切りつけたのではかすり傷一つ負わせることができない。可能性があるのは、人間が名刀を用いる時のみだが、効果は定かならず)サイドは強者揃いだ。五人の強者、絡新婦・茨木童子(酒呑童子のような体・ほぼ不死身。怪力)・見殺し入道・百々目鬼・滝夜叉姫以下鬼の郎党、武闘派妖怪等、力と打算に満ちたグループであるが、こちらサイドでもリーダー酒呑童子を巡る絡新婦VS百々目鬼の血みどろの嫉妬絡みの恋の鞘当があると感じられた。(登場する総てのキャラクターに独自で深い意味を示唆している点も自分がこの脚本を高く評価する所以である。