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マライア・マーティンの物語

マライア・マーティンの物語

On7

サンモールスタジオ(東京都)

2025/05/17 (土) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/05/19 (月) 19:00

On7ならではの、戯曲選びからスタッフ等好きな方々が好きなお芝居を作っている感がすごく、だから伝わってくるものも半端なく良い。
とてもつらい内容なんだけど、マライアの物語を知ることによって「ひとりじゃない」ことを知り、怯えているだけでは変わらない!からのラストがまた良い!!

ネタバレBOX

後ろに座っていた男性の「ふっ」的な笑いが、あぁそこで笑っちゃうんだ。女はそんなところで笑うことはないよ。
なんて思ってしまったり。…
彼女たちの断片

彼女たちの断片

東京演劇アンサンブル

あうるすぽっと(東京都)

2025/05/16 (金) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/05/16 (金) 19:00

初演は配信で観劇そして戯曲も読みました。
「自分の体は自分のもの」本当にそう思う。
「中絶」ということについても考える。
日本と他の国との違い、宗教的な事…
幅広い年代の女性たちの想いを聞くことによって自分のことを見つめなおせる作品でした。

トランス

トランス

表現ユニットえんぶる

前橋市芸術文化れんが蔵(群馬県)

2025/05/17 (土) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/05/17 (土) 18:00

 フリーライターで解離性同一症に悩む立原雅人、その立原を患者として相手する精神科医の紅谷礼子、ゲイバーに勤め、ひょんなことから立原に付き添い、時に励ます後藤参三、この3人の再開を基軸に、解離性同一症の立原を通常生活が遅れる程度に復帰させる話かと途中まではそういうふうな感じで話が進む。
 しかし途中から、果たして立原が解離性同一症だったのか、患者は実は自身を精神科医と思っているだけの紅谷やゲイバーに勤めて、甲斐甲斐しく立原に付き添い、時に励ましていると思っている後藤なのかもしれないという疑惑が劇の終盤にかけて強くなってくる。
 そもそも3人の職業も、それぞれ本当にその職業で合っていたのかどうかさえ、あやふやになってくる。
 劇の終盤、3人それぞれのアイデンティティーが崩れ去り、確固たる自分が無くなり、妄想と真実の境界の線引きが非常に曖昧になっていくといった終わり方が、非常に現代でも通用する内容だと感じた。
 現代社会では、生き辛さや孤独を抱え、没個性化し、他人が見えづらくなって久しいこの頃、更に不穏で世知辛い世の中だからこそ、この劇は、今の人たちの精神を体現していると感じた。
 他人事でなく、今の私たち一人一人が解離性同一症か、そこまではっきりした精神病でないまでも、多かれ少なかれ、今回の劇に出てくる登場人物たちのように悩みを一人で抱え込む人が多いのではないかと感じた。

 今回の作品『トランス』は、現代演劇を代表する寺山修司や唐十郎と鈴木忠志、佐藤信、別役実や清水邦夫、岸田理生やつかこうへいといった人たちよりかは後の鴻上尚史の作品だが、良い意味で全然古びず、古典化せず、取っつきづらくなく、元の脚本を読んでなくても、大いに笑い、十分楽しむことができた。
 また、今の時代でも、時代とか関係なく刺さる話だと感じた。
 勿論、演出家の上田裕之さんの演出力、役者の演技力あってこその作品だとは思うが。
 役者の演技力や白熱した感じと静かに淡々と独白を語りだす場面との自然な使い分け、さり気なく笑える場面を導入するなど、演技力において熟練しており、目を見張るものがあった。
 
 閉鎖された精神病院の中や精神病院の屋上、アパートの中などの狭くてじめっとして、居心地の悪さや不気味さ、不穏さをも感じさせるのに、前橋市にある芸術文化れんが蔵はという空間は、劇の世界観に観客を引き込むことにおいて、普通の小劇場より適しており、空間を上手く使いこなしていると感じ、感心させられてしまった。

牧神の星

牧神の星

劇団UZ

アトリエhaco(愛媛県)

2025/05/10 (土) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

過去、現在、そして未来と一つの事件を描かれた作品で、笑いあり涙ありの傑作でした。しかし、時間軸が交差するため、やや難解なところもあり、それがためにもう一度観に行きたいと思わせられました。
劇場も非常に距離感が近かったため、役者様の息遣いまで聞こえるようで、まさに五感で楽しめました。

あるアルル

あるアルル

やみ・あがりシアター

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2025/04/30 (水) ~ 2025/05/06 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/05/01 (木) 14:00

特殊能力を持つ男と歴史的遺物(?)をめぐる「奇譚」。
しかしよくもまぁこんなブッ跳んだ話を思いつくもんだ。
思うに笠浦さんはまず「あるある」から「アルル(地名)」を発想してその関連事項も加えて物語を練り上げたのではあるまいか?
なので観劇中に気になった事項(地名とか画家とか)をネット検索するのもまた楽しからずや。

ネタバレBOX

終演後にネット検索した項目は
・アルル(地名)
・フィンセント・ファン・ゴッホ
・ゴッホの切り落とした耳の行方
湿ったインテリア

湿ったインテリア

ウンゲツィーファ

早稲田小劇場どらま館(東京都)

2025/05/19 (月) ~ 2025/05/27 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とっても良かった...110分ずっと良かった。殆ど何も動かさずとも見事にどんどんとそこ/その時になっていく舞台上から眼を離す機会は無くて、親子/家族/或いは/の人々を巡り織り成される愛と生に散発的に涙腺も崩れる。結構笑わされる。ニコニコにもなる。唸る。切なくもなる。ウンゲいつメンの黒澤さん/豊島さん/藤家さんに加えて根本江理さん/松田弘子さんと世代の離れた二人が居て、ときどき多世代の出演陣でこそ生まれる良さに唸っていた(願っていた)ところ大好きなウンゲツィーファでそれを体験体感出来たのも凄く嬉しかった。好きだなぁこの役者さん達と改めて思う。

マライア・マーティンの物語

マライア・マーティンの物語

On7

サンモールスタジオ(東京都)

2025/05/17 (土) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/05/19 (月) 14:00

200年前のイギリスで実際に起こったセンセーショナルな殺人事件を舞台化した作品。
虐げられた女たちの、泥にまみれたエネルギーに圧倒されまくった120分。
理不尽な社会に対するささやかな復讐が、この理不尽な手段で何が悪い?!
社会や戦争、そして男どもを羽交い絞めにするような作品を紡ぎ出すOn7に相応しい
愛と怒りに満ちた舞台だった。

ネタバレBOX

冒頭から、血にまみれたマライアが客席に向かって訴える。
「私が死んでからもう1年になりますが、まだ誰も私を見つけていません」
そして自分を騙した男が拳銃で自分を撃ち、まだ息のあった自分をさらにスコップで
殴ってとどめを刺したのだと語る。
そんな衝撃的な最期を遂げたマライアにも、貧しいながら明るい少女時代があった・・・。

領主と、その土地を借りている農場主、彼らの権力の下で食うや食わずの暮らしを
している村が舞台。
仲良し5人娘は夢を見ながらも現実に流され受け容れて、食べるために売春まがいのこと
をして不本意な妊娠を繰り返したりしている。
その中でマライアは農場主の息子トマスと恋に落ち、妊娠するも赤ん坊は死んでしまい、
トマスも不慮の事故で死んでしまう。
次の恋の相手はその死んだトマスの弟ウィリアム。
結局このウィリアムが、自分の子どもを産んだマライアを騙して納屋に呼び出し、
殺してしまうのだ。

貧困から抜け出すには金持ちとの結婚しかないという選択肢の無さ、その結婚を
周囲の誰も認めないという行き止まりの中で、信じた男に裏切られたマライア。

彼女の人生の中で救いとなったのは父親の再婚相手アンだ。
ふたりが初めて顔を合わせるシーンは、よくある継母と娘の凡庸なぶつかり合いでは
なく、緊張しつつも互いを尊重して素直に認め合う、この作品の中で一番温かく安心
できるシーンだった。
この継母アンが「夢にマライアが出てきてここにいると言った」と赤い納屋を訪れる。
何度も同じ夢をみて、ついにアンは変り果てたマライアを発見する。

そして残された仲良し4人と継母アンは、意を決して復讐を果たす。
客席のすぐ近くで、ゆらゆらと明々と彼女らの顔を照らし出す炎。
自分たちの正義を信じ「こんなのおかしい!」と行動を起こした5人の表情が清々しい。
有頂天でも、絶望しても、彼女たちのエネルギーの凄まじさは、令和のひ弱な人間を
圧倒する。
あれは豊かな暮らしの中では決して生まれないエネルギーだ。

極秘出産したのち、次第に理性を失っていくマライアがリアルで怖いほど。
復讐するのだ、と皆を説得するセアラには、舞台全体を揺さぶる強さがあった。
アンは、たとえ憎まれ口をきいているときでも、その表情は慈愛に満ちている。

200年経って、私たちの時代はマライアの生きた頃から変わっただろうか。
厳然と残る階級や因習や誰が作ったのかわからない”常識”に縛られる社会は、
進化どころかますます縛りがきつくなっているように感じる。
友達だって、極秘出産を助けに来てくれたり、復讐してくれたりはしないだろう。
そしてもちろん、私の死体を見つけてくれる人もいない。
それだけは、マライア良かったね、と思う。

湿ったインテリア

湿ったインテリア

ウンゲツィーファ

早稲田小劇場どらま館(東京都)

2025/05/19 (月) ~ 2025/05/27 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

劇団名ウンゲツィーファはカフカの『変身』が由来、ドイツ語の“害虫”的な意味らしい。そしてタイトルの『湿ったインテリア』、スカした純文学風。本来なら絶対自分が観ないだろう作品、何故かチケット買ってしまった。多分小難しいハイソな討論とか訳の分からないメタファーとか自意識過剰な自分語りを延々する馬鹿女とか勝手に想像してげんなりしていたが···。

いや全然面白かった。マチルダアパルトマンをシリアス寄りにした感じ。
凝りに凝った舞台美術。下手はゴミが散乱、上手はベビー用品が干されている。中央にソファーと貝殻が刺さった灰皿。全く意図が読めない。
語り口が現代文学っぽいな、と思っていたら松田弘子さんの登場から話がぶっ飛ぶ。全くこの話の全体像を掴ませない。かなり個々の家族観の暗部に入り込む。心の奥深く痛いところに深く深く。照明が凝ってる。
「母親に愛されていることがずっと重荷だった 。」
家族から逃げて逃げて逃げて辿り着いた場所にも家族がいる。いや実は自分は逃げているつもりが家族を追っ掛けていたのか?ソラと名付けた赤ん坊がけたたましく泣いている。絶対に幸せにしてやる。そして父親である俺も母親であるお前もとんでもなく幸せにならなくてはならない定めなのだ。俺達が辿ってきた軌跡は間違いなくそれを要求している。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

赤ん坊をBluetoothスピーカーにしたアイディアが効いている。一発ネタかと思いきや、そうでなくてはならない作劇。
豊島晴香さんはいいね。ぐるぐるぐるぐる歩き回る。藤家矢麻刀氏は知ってる人に似た感じ。皆にそんな感じに思われる存在。黒澤多生氏の分かりにくそうで普遍的な痛み。根本江理さんの生活感。松田弘子さんの「人生をやり直す」感覚が作品の芯となる。子供を育てる行為とは人生を生き直す行為なんだろう。

2019年5月7日に5ちゃんねるに投稿された『息子(3歳)が前世の話をしてきたんだが』。多分、これは本物だと思う。興味ある方は「不思議.net」を検索して頂きたい。
マライア・マーティンの物語

マライア・マーティンの物語

On7

サンモールスタジオ(東京都)

2025/05/17 (土) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

遊び心無しのガチ作品。全体的に照明を落として繰り広げられるこの作品は自分好みかな。個人の好き嫌いはあるにせよ、いままで観てきた作品と類似するものが無い為、一度は観てみないと。

奇譚 地獄たられば

奇譚 地獄たられば

グワィニャオン

萬劇場(東京都)

2025/05/16 (金) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

近松門左衛門の歌舞伎のような節回しとテンポが聞いててとても心地よく、また迫力のある動きや圧倒的な存在感にとても惹きつけられました✨

みなさんか何役もやっているように見えて、実は…!
物語も面白くて、朗読×牢読×殺陣×突然の歌い出しという斬新な展開にビックリ!!

登場人物たちの人生と罪を通して、「私にも罪があるのでは…?」と自分の生き方を見つめ直すきっかけになりました。
徳を積むのことの難しさをエンタメとして考えさせられる、深くて面白い作品でした🤔

ずれる

ずれる

イキウメ

シアタートラム(東京都)

2025/05/11 (日) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/05/18 (日) 13:00

価格7,500円

実演鑑賞をし始めたイキウメって、とても緊張感があって、静寂を遮ってはいけない(もちろんユーモアはあるけれど)、そんな印象がある。
今作もそれに倣えで、物語はやはり不可思議なんだけれど、もう違和感を感じないくらい自然
家族、兄弟というものの呪縛に、観進めるほど苦しく、同じような思いになってくる。観たあとのスッキリしなさはなんともいえず、いっそのことと思ってしまう。

ネタバレBOX

肩はスッキリしても心はバレず、もう、、いいよ、
アンドロイドはアイを知る

アンドロイドはアイを知る

名城大学劇団「獅子」

G/Pit(愛知県)

2025/05/17 (土) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/05/18 (日) 15:00

博士と助手ロータスの思いを受けて
喜怒哀楽を持たないアンドロイドがどうやって
その感情を得てその後どう生きていくのかの
過程の描かれ方が素晴らしかった。
《アイ》を知った二体のアンドロイドが
たどり着いた境地とは?
全編《愛》と《やさしさ》に包まれた逸品でした。
役になりきったキャストさんたちの演技もとてもよかったです。
私、結構辛口のコメントが多いのですが
この作品は、本当に自信をもってお薦めしたいです。
70分という短い小品でしたが
私的には、今年の演劇脚本賞あげてもいいくらいの良いお芝居でした。

今、気がつきました。
アンドロイドの一体の名が「アイン」というのも
タイトルの「アイ」に掛けていたんですね!?

なんかの味

なんかの味

ムシラセ

OFF OFFシアター(東京都)

2025/04/02 (水) ~ 2025/04/09 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ひとつの家族をめぐる結婚譚

ネタバレBOX

4人の俳優の間に揺蕩う台詞の隙間を縫って、濃密に展開される家族会話劇。実は本当の親子なのに互いに知ってか知らずか、という設定自体は王道ではあるのだが、大阪弁の薫と璃の少しだけ踏み込みすぎる親切心とのバランスで、シリアスになりすぎず、最後まで落ち着いて物語の行方を追うことができた。戯曲展開、情報量のコントロールが巧みであり、観客を最後まで惹きこみ引っ張る骨太な上演であった。

親子の間のわかりあえなさが切ない。「せめてここまでは分かり合えると思っていたのに」と期待したラインを超えて、相手のことが理解できなくなるときにどうしようもない寂しさを感じるのだと思った。どこまでも嫌知らずする父親にとうとう拒否する力もなくなって途方に暮れ、諦めるシーンの切なさは、誰もが似たシーンをかつて経験したことがあるからこそ、客席に深いため息が漏れていた。「相手の嫌がることを強行するな」は当たり前に思えるけれど、大抵の場合、それらは「自分がやらないでいることがストレスフルで落ち着かない」という事象の裏返しであり、父親はいつも最後は自分自身の方が大事であり、父親の気持ちが優先されるべきだというメッセージを発し続けている。このどうしようもない袋小路に、ギターは無力なのだ。

観劇中、取り留めなく過去の家族の思い出が想起される(観客として、一見本編とは全く関係のないシーンが脳裏に浮かぶのはいい上演だと思っている)。集中しているが、意識はどこかに彷徨うような緊張感の上演であった。完全暗転にせず、青光だけを残して逆光の中でゆるやかにシーン展開する照明演出は見事で、家族は嫌でも続き、縁は簡単に切れず、時空も歪まない、すべてが地続きでありそこで生き続けていくのだというしんどさを、身体感覚として舞台と客席一同に共有できていたように思う。登場人物が少なく、集中しやすい会話劇なので、小劇場演劇をあまり観たことない知人・友人も誘いやすい演目だと思った。

(以下、ゆるいつぶやき)
家族を扱う作品の難しさに、多様化しすぎた家族像を背景に共感ポイントを作りにくい点があげられ、作家自身が書きあぐねているのではと、現代作品を観ていると特に感じることがある。『なんかの味』では『秋刀魚の味』を下敷きにしたという公演前情報もあり、関係性が事前にある程度予測できた点がよかったように思う。離婚、離別、死別、虐待、介護など少なからず辛い記憶と結び付きがちな家族の課題について、過度に一般化せず、「それはさすがにないやろ」と突っ込んでしまいそうなくらい離れたところから徐々にフィクションの力を借りて深部に潜っていく作り方が、観客として見ている一個人として心理的に楽であった。
舞台『祈りの幕が下りる時』

舞台『祈りの幕が下りる時』

ナッポス・ユナイテッド

サンシャイン劇場(東京都)

2025/05/17 (土) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

東野圭吾作品の舞台化に挑む企画「東野圭吾シアター」の第一弾公演。あくまで僕の体感ですが、ここまで高濃度に「ミステリー(謎解き)」に特化した舞台作品は、かなり珍しいと感じます。そのミステリー演劇が終盤一気に「人間ドラマ」へと舵を切る展開は、今作の大きな特徴であり、魅力であると言えるでしょう。殺人事件に関与する登場人物など、かなり難しい役どころもありながら、出演俳優たちの献身的な貢献が作品世界全般を支え、より見所の多い上演に感じられました。

ネタバレBOX

原作小説の、ミステリーとしての魅力は舞台上でも健在で、原作ファンやミステリーファンも納得の上演だと思います。そして、演劇的な見どころとしては、出演俳優たちの「舞台俳優としてこの物語を支えよう」という、自分たちの特技を活かした献身性だと感じました。殺人事件の背景や動機、不幸な巡り合わせなどについて、説得力を伴う上演となったのは、俳優たちの力が大きいと感じています。
冥途遊山(めいどゆさん)

冥途遊山(めいどゆさん)

片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2025/01/03 (金) ~ 2025/01/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

すごい楽しい。観れて良かった。
お勧め出来る。

なべげん太宰まつり『散華』

なべげん太宰まつり『散華』

渡辺源四郎商店

ザ・スズナリ(東京都)

2025/04/29 (火) ~ 2025/05/02 (金)公演終了

実演鑑賞

東京でのナベゲンのGW祭りの二つ目。うさぎ庵の名義で。90分。5月2日まで。

https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2025/05/post-f51aa6.html

東スPO 2025

東スPO 2025

東葛スポーツ

シアター1010稽古場1(ミニシアター)(東京都)

2025/05/15 (木) ~ 2025/05/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

今回が初めての観劇だったので、
劇団特有の“お約束”や内輪的なネタには少しついていけない部分もあり、
ところどころ消化しきれなかった印象もありました。

でも、そうした世界観も、
何度か観るうちにきっとクセになっていくのかもしれませんね。

ラップのシーンはとても印象的で、リズムや言葉選びにセンスを感じました。
テンポよく気持ちを引き込んでくれて、舞台のアクセントとしてすごく効果的だったと思います。

ひとつだけ惜しかったのは、サングラスをかけたままだったため、
演者の表情が見えづらかったこと。表情が見えると、
より感情が伝わってくると思うので、
次の機会にはぜひそんな一面も観てみたいです。

メメントモリを忘れるな

メメントモリを忘れるな

うさぎの喘ギ

IRORIMURA・プチホール(大阪府)

2025/05/16 (金) ~ 2025/05/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/05/18 (日) 17:00

先日、観に行かせてもらいました!言葉がキーになる作品ということで、どのように進んでいくのか楽しみにしていました。
一番印象に残ったのは、部屋の暑さです。
っという、本音は置いといて。残ったのは、やさしくないな、ってところです。
今回の劇を観るに人には、割と「空白」的な部分を埋める感覚のある人が求められるのかな感じました。
物語や言葉に慣れていない方には、「何言っているの?」「屁理屈いっているだけかな?」っとなるのかな、と。

とはいえ、個人的には「言葉好き」な私としては、楽しかったです。
日常に転がっている、「なんとなく」を拾いながら、それっぽく話していく所。
話題の本質がそこでなくても、ひっかかるとそこを相手に言わないと気が済まなくなりますよね。

ぬいぐるみおじさんと夢みる鏡

ぬいぐるみおじさんと夢みる鏡

レティクル座

無名劇団アトリエ(大阪府)

2025/05/17 (土) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

僕もオジサンだが、オジサンの悲痛を上手く表現していたと思う
コスパは悪いけど、昔型技の熱量はある作品
30歳まで童貞だと、何か良い事有るんだろうか・・・ 都市伝説では?

彼女たちの断片

彼女たちの断片

東京演劇アンサンブル

あうるすぽっと(東京都)

2025/05/16 (金) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

話の流れが整理され過ぎていて初演の方が良かったような気もするが、演劇はナマモノ。水のように形を変えて生き延びるのが必定。初演時、ボロボロ泣いた記憶があった。永野愛理さんの酔って意に沿わぬ性交を強いられた話から一気に物語は核心へと進む。自分が自分であり続ける為に戦い守らなければならないもの。作家・石原燃さんは産むも堕ろすもその身体の持ち主の自由だ、と叫ぶ。他の何の概念も全く介入出来ない。その身体の持ち主こそが決定すべき自由。女達よ、生まれながらにお前達は自由だ。誰の話にも耳を貸すことはない。決定権はお前にこそある。
わたしの身体はわたしのもの。

本当にもう一度観ようとチケットを確認した程良かった。

中絶、堕胎は悪いことじゃない。決して恥ずかしいことじゃない。当然な女性の持つ権利だ。作家の叫びは強く、この作品の持つ意味は大きい。家父長制とは自分の心の中に住み着くブラックボックス。“伝統”という言葉を掲げ、日本人の精神文化を守り継承していく名目で数々の理不尽がまかり通っている。大事なものを守る為に筋の通らない歪んだ思想まで守る必要はない。

ネタバレBOX

初演(2022年)との配役の違い。
山﨑智子さん→永野愛理さん
永野愛理さん→林亜里子さん
仙石貴久江さん→彦坂紗里奈さん

大学生の彦坂紗里奈さんが妊娠。相談に乗った友達の林亜里子さんがネットで調べてカナダの「中絶薬」の存在を知る。購入するにはクレジットカードが必要なので母親のグラフィックデザイナー事務所で働く永野愛理さんにお願いする。永野愛理さんは「女性解放運動」のツイートをよくしていて信用できる人だと思っていたからだ。薬を飲んで堕胎するには安心して過ごせる場所も必要。同じく事務所の同僚、洪美玉(ほん・みお)さんの一軒家を借りることに。彼女は日仏翻訳家の母親(志賀澤子さん)と二人暮らしだった。いよいよという時、林亜里子さんの母親(原口久美子さん)が突然家に乗り込んで来る。事務所代表の彼女は娘の妊娠を疑っていた。駅前にある志賀澤子さん行きつけの喫茶店店員、奈須弘子さんも丁度惣菜の定期宅配に訪れる。

林亜里子さんが母親である原口久美子さんには心を開けず何でも秘密にしてしまう。自分よりも他人である事務所の同僚を信用して相談していることが母には納得いかない。このリアルな家族の心情が今作の隠し味。

少し不満を言うならば中絶薬を飲んだ彦坂紗里奈さんこそ、この夜の中心に居て欲しい。
水子供養の陰謀が面白い。当時「ムー」なんかで散々特集されていたのを思い出す。

1869年堕胎禁止令、1880年堕胎罪=中絶は犯罪であるという意識の植え付け。1948年優生保護法により例外として中絶が認められる。だが国が定める指定医師のみが中絶手術を行えるとした為、その後も経口中絶薬は認可されなかった。1973年アメリカ合衆国最高裁が妊娠中絶手術を禁止することは違憲であると判決。日本ではその流れに逆行して保守派の自民党議員から中絶は「胎児の虐殺」であるとのキャンペーンが張られる。「水子の祟り」、「水子供養」がブームとなり全国に水子地蔵が大量に建立された。

集団と個人の関係について考える。ある集団に属した時、そこの「普通」とされている価値観に従わざるを得ない感覚。それに異を唱えて「ああ、お前そういう奴なの?」と「差別」されたくないが為、苦笑いで皆に合わせる。同調圧力の苦しみ。家父長制も国レヴェルの同調圧力。そして今日もどこかでネットリンチ、一方的な断罪。晒し上げ過去をほじくり出しての個人攻撃。結局ただの憂さ晴らしでしかない。正義がアップデートされる訳でも何か真実に辿り着く訳でもない。どこまでも無意味。この無意味さこそが人間の歴史の大元。無意味の荒野を女達は黙々と意味の種を撒き耕していかねばならないのか。

孤独の荒野に咲き誇れ Destiny Rose
お前に逢えると信じてた

布袋寅泰「Destiny Rose」

いつかいつの間にかこの世の半分が悪魔だったとしても
そんなのに負けるな
この世生きてきて音に身を浸す そんな時が心綺麗

浅井健一「Calm Lula」

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