
零れ落ちて、朝
世界劇団
三重県文化会館(三重県)
2025/04/12 (土) ~ 2025/04/13 (日)公演終了

驟雨(Syuuu )
劇団芝居屋
中野スタジオあくとれ(東京都)
2025/05/20 (火) ~ 2025/05/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
劇団芝居屋の公演は、さすがの安定感と余韻付け(照明・音響効果)。説明から、喪われた者と決して失わないものが 温かく優しく描かれている。
ヘラ絞りを専門とした霧島製作所の社長 霧島旭が亡くなり、四十九日の喪が明け 形見分けをする日を描いた珠玉作。亡くなっているから旭は登場しないが、集まった人々によって その存在感を示す会話が紡がれる。大きな事件や出来事は起きないが、確かに そこに家族を思う父親の姿が立ち上がる。
物語は、霧島製作所というヘラ絞りを専門とした会社、そしてタイトルになっている「驟雨」という設定と天候が肝。日本の産業は、多くの中小企業・零細企業で成り立っている。霧島製作所は、旭が大手の下請けから独立した経営方針を打ち出し、何とか事業を続けてきた。自分の家族はもちろん、従業員とその家族の暮らしを守るため必死に働いてきた。しかし その結果…。
初夏、形見分けの日(夕方迄)の 数時間の話。少しネタバレするが、旭の長女 板倉竹子の父への恨み辛み、それが物語を動かす。親の心子知らず、逆に子の心親知らず たとえ親子であっても本当のところは解らないかも…。そんな微妙な心の襞をなでるような、言葉に表し難い感情を描いており上手い。
(上演時間1時間25分 休憩なし)

チョコレイト
キルハトッテ
小劇場 楽園(東京都)
2025/05/21 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
(笑えた度)4(今感)5(完成度)5
POPにしてドパンク。ダサおしゃれカッコいい。メチャ古臭くて最先端。
愛についての抽象演劇。作品そのものが安易に尻尾を掴ませないファムファタル。

ずれる
イキウメ
シアタートラム(東京都)
2025/05/11 (日) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

お歌とお芝居 「髑髏沼の女」
たすいち
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2025/04/30 (水) ~ 2025/05/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/05/02 (金) 13:00
幼い頃に父を亡くした主人公が失踪した母を探すことから始まる「マンガチックなアドベンチャー」。
(初演を観ていたからとは別の意味での)既視感満載なのは漂いまくる「昭和感」ゆえか?(大友克洋「AKIRA」っぽさもあったし)
そして配役と衣装が特筆モノな素晴らしさ。荒唐無稽な物語に妙な(演劇的)説得力を与えているんだよなぁ。
なお、前述の如く初演を観ていたが記憶に残っていたのはいかにも「あの3人組」っぽい楽曲のみ(爆)。ま、11年も前のことだしね。

穴熊の戯言は金色の鉄錆
MCR
ザ・スズナリ(東京都)
2025/05/21 (水) ~ 2025/05/28 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
面白い。
自分の殻の中にいる男の戯言ー可笑しみ 悲しみ そして淋しさ、それを現実とフィクションを行き来するように描いた物語。タイトルは 何を意味しているのか 観終わっても分からないが、何の変哲もない時間が愛おしくなる。毎日同じことの繰り返し、自分がやりたかったことは、こんなことだったのか?そんな足掻きと諦めの灰色の日々。その鬱屈した思いも、後から思い返してみれば…そんな味わい深さが感じられる。
表層的には荒唐無稽のような描き方だが、気が付くと多幸感と喪失感の波に攫われている。それは脚本・演出の櫻井智也 氏の(作劇)思考の中に吞み込まれたかのような。少しネタバレするが、説明の「わたしはつくりばなしで」は 高校時代に遡り、当時からの純情と現在という時間の中で 一途な「思い」を鮮やかに記憶しているようだ。
フライヤーにあった説明が「ひらがな」だけなのは、「あぁ そういう事情だったのか」と納得と同時に少し怖くなる。人は皆 孤独だが、それでも自分のことを全力で愛し支えてくれる人がいる。不格好のようで 実は格好よく、儚いようで尊い 色んな思いや感情が綯交ぜになる、そんな不思議感覚だ。
なお、舞台装置はシンプルだが 場景描写は分かり易く、巧く独特の世界を立ち上げている。
(上演時間1時間45分 休憩なし)

みづうみ×吉野翼企画 音樂LIVE「恋は修羅、命は炎、遥かな唄」
吉野翼企画
パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)
2025/05/21 (水) ~ 2025/05/22 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
凄く良かった。浅井健一の「OVER HEAD POP TOUR 」ぐらい魅力的。二人とも才能あるんで自信持って売れて欲しい。
吉野翼企画の寺山修司・岸田理生作品の作曲をずっと担当してきたギターのなすひろし氏とピアノの秋桜子(あさこ)さんによるユニット「みづうみ」。吉野翼氏演出によるLIVEは歴代アングラの名場面を切り取るかのよう。第一部は俳優達と合唱、第二部は舞踏家達が舞う。第三部はオリジナルを叩き付けた。
白塗り舞踏家の由佳さんが気になった。柴奏花さんは細過ぎて動くマネキンのよう。
秋桜子さんの世界は寺山修司よりもつげ義春の気がする。古川琴音系の美人。
ナゴムレコードだよな。たまを竹中労が絶賛していた頃を思い出した。筋肉少女帯や特撮に三柴理が参加した曲のようなアバンギャルド。日本古来の民謡、童謡に通ずる美しく懐かしいメロディーに乗せられた歌詞は「キチガイ地獄外道祭文」。
この優しい空間はブルーハーツ「パンク・ロック」みたいな気分。「パンク・ロック」が「アングラ芝居」にだぶる。
吐き気がするだろ?皆嫌いだろ?あーあーあーあーあー
真面目に考えた 僕の好きなもの あーあーあーあーあー(中略)
僕、パンク・ロックが好きだ 中途半端な気持ちじゃなくて ああ優しいから好きなんだ 僕、パンク・ロックが好きだ
寺山修司好きなら絶対引っ掛かる筈。
是非観に行って頂きたい。

驟雨(Syuuu )
劇団芝居屋
中野スタジオあくとれ(東京都)
2025/05/20 (火) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

驟雨(Syuuu )
劇団芝居屋
中野スタジオあくとれ(東京都)
2025/05/20 (火) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

チョコレイト
キルハトッテ
小劇場 楽園(東京都)
2025/05/21 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
キルハトッテ、初めて鑑賞しました。結婚に関して、ふだん言えないことや思っていることをリアルに表現してくれて、スカッとしました。
一見普通の結婚直前のカップルと少女漫画から出てきたカップルに主治医の歯科医や妹が加わった人間の絡み合いが面白かったです。今時ありえない設定の歯科医さんのキャラが立っていて、舞台上で追いかけてしまいました。舞台の様々な場面を一瞬でも今の自分に置き換えることで、家族や人間関係を立ち止まって考えることができました。
最後のフィナーレの挨拶が2方向に分かれてしまったので、半分の役者しか対面できなかったのはちょっとだけ残念でした。

穴熊の戯言は金色の鉄錆
MCR
ザ・スズナリ(東京都)
2025/05/21 (水) ~ 2025/05/28 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
なかなかシュールな舞台でちょっと話をフォローするのにきつかったかな…と。あと、途中挿入される音楽の音量がデカすぎるかな…と。いきなりロックなライブハウスに変わった感じでちょっとアレだったかなと… あと、殺し屋の役の方、いい味だしてますね^^

奇譚 地獄たられば
グワィニャオン
萬劇場(東京都)
2025/05/16 (金) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

入試現代文必勝法
劇団森
早稲田大学学生会館(東京都)
2025/05/16 (金) ~ 2025/05/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/05/18 (日) 12:00
哲学劇。入試問題の本文の表現が面白かった。主人公が入試問題にアプローチすることで、自己と他者の関係性をじっくり考察し、人間的に成長しているところがいい。入試問題って結構、我々の人格形成に影響を与えてるんじゃないかな。特に国語。

たぶん、宇宙人を拾った
劇団あおきりみかん
G/Pit(愛知県)
2025/05/21 (水) ~ 2025/05/22 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2025/05/21 (水) 19:30
30分ほどの短編なんで、拾ってきたところははぶいたのかな?
宇宙人の世界では1人が5人だということで、蝶野はあたふた………………。
そんな設定は笑える!
最終的には蝶野が宇宙人を拾ったというより、宇宙人が蝶野を拾った???
終わった後はアフターイベントがあって、トークと体験コーナーがあり、観客の中から1人舞台に上がって、宇宙人の妹が登場するところを体験するという………………。
上手にできてました。

再演 みやこほたる
劇団匂組
アトリエ第Q藝術(東京都)
2025/05/14 (水) ~ 2025/05/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
二人芝居、見応えがありました
ただ事件をトレースするのではなく、加害者とそれを綴るルポライター、二人の人物像をうかびあがらせて事件を見せる構成、良かったです!

チョコレイト
キルハトッテ
小劇場 楽園(東京都)
2025/05/21 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
婚約破棄寸前のカップルと少女漫画の世界から抜け出してきたカップル。公演に関する顛末も、物語の結末も、口外禁止(口内だけに)。

シャンパンタワーが立てられない
劇団シアターザロケッツ
ザ・ポケット(東京都)
2025/05/21 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/05/21 (水) 14:00
座席1階
ご配慮をいただき、初日の昼にあったゲネプロを拝見した。8年ぶりの再演という今作、地方都市のつぶれかけのホストクラブが舞台だ。
開演前の舞台中央にはシャンパンタワーがしつらえてあり、どのような展開になるのかとわくわくムードが高まる。「地方都市」という設定もあって、どこかあか抜けない雰囲気もある。暗転後の冒頭場面から事件が起きる。
登場するホストたちはイケメンばかりではない。何でこの人がホストなの?みたいなキャラクターも。店長が「ホストの数が多い方がいいだろ」みたいなことを言うのだが、体験入店の落語家のおじさんまで登場するのはぶっとぶ。
一方で客の女性たちも一部は怪しい。そういう女性客も実際にいるのかもしれない(いないと思うが)が、舞台ではその一人ひとりに物語が設定されている。
シアターザロケッツの舞台の楽しみ方の一つは、前段で仕込まれた伏線がどのような形で結実するかを見ることにあるという。きちんと見ていないと伏線を見逃してしまう、と感じた。このような楽しみ方を満喫するには、何回も劇場に通うしかないのかも。

コーヒーとカレーと見田さんと
夏の川企画
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2025/05/14 (水) ~ 2025/05/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
途中まで感情移入が出来かけていたのですが⋯きっと面白いお芝居です。感受性や創造性の足りない私です。万全ならきっと素晴らしいお芝居だったはず。

六道追分(ろくどうおいわけ)~第三期~
片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2025/05/14 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
面白い。楽しんで観てもらう、そんなサービス精神(遊び心)に溢れたエンターテインメント作品。
無宿として生まれた男と苦界に生まれ育った女の逃避行を描いた悲恋物語。どちらも不幸・不遇な身の上、その2人がひょんなことから一緒に旅をすることになる。旅の途中で出会った僧から「六道」の話を聞き、人の世の儚さと尊さを知る といった人情味ある内容。タイトルにある「六道」を物語に巧みに織り込んで、人の心の在り様 を考えさせる。自らが生み出した世界で生きているが、その現世は因果の道理に…。
現世では悲恋であるが…公演全体は、笑いも交え小気味よく展開していく。少しネタバレするが、旅は江戸(吉原)から大井川までの東海道、その短い旅路が2人にとっての幸せな時間。華やかな雰囲気と非情な成り行きの中で、情感豊かに描き 観客の心を揺さぶる。また場面転換や心情表現にダンスを挿入するなど、観(魅)せる工夫も好かった。
(上演時間1時間40分 休憩なし) 【第三期 剣】

マライア・マーティンの物語
On7
サンモールスタジオ(東京都)
2025/05/17 (土) ~ 2025/05/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
On7らしい、小声で言えばえげつない公演だが、最近珍しくなった熱演・力演・の女優大競演の奮闘公演である。
19世紀初頭のイングランドの田舎の下層農民社会の女たちの物語である。先年も「ウエルキン」という面白い作品を見たが、こちらは純農村社会だから暗黒度も半端でない。大きくは男女差別、社会層差別だか、全く救いがない。そこに絞って、納屋で殺され、埋められて何ヶ月も発見されなかった若い農婦(吉田久美)の生涯の一部始終が死者の語りで語られる。
On7のメンバーに客演の有川まことが一人男優。すべて女優の役をメンバー代わり合って演じる。
いいところ。まず、演出の寺十吾。この人の作品はアイルランドの芝居を幾つか見たが、お得意の暗黒ものである。原題がマライア・マーティンのバラードとなっているように、マライアを巡る被虐・加虐の短いシーンを集めて一本にしている、もう少し明かりが欲しいと思う暗い照明の舞台でギリギリ展開する。幼なじみという五人の女どもの友情や、相互援助や妊娠心得、男どもへの愛情や信頼などはたちまち吹き飛ばされる。テンポはこういう暗い話を粘ることも笑いでごまかすこともなく、ものすごく早い。民藝だったら3時間は越えようかという物語を二時間に納める。押さえるところは上手く押さえていて、陰惨な一本調子の時代物の農村実話を持たせてしまう。それが、この話、今のジェンダー騒ぎや就労問題に繋がっていることも思い出させる。考えてある
次ぎ、俳優陣は競い合って熱演だが、これをオン7でやるというだけで意図は出てしまう。ちょっと作品選択がミエミエだったのが残念。
背景音楽は電子音楽を選曲で使っていて、それはそれで似合っているのだが、せっかくなら作曲して貰ったら?あるいは使えなかったのかも知れないが、見る方は安易さを感じた。
昨晩は満席だったが、後は空席多いとのこと。これが50席の劇場で見られるならお得。