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零れ落ちて、朝

零れ落ちて、朝

世界劇団

三重県文化会館(三重県)

2025/04/12 (土) ~ 2025/04/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

罪の意識から「潔癖」を問い直す

ネタバレBOX

外科医の青髭、GHQの影、九州大学生体解剖事件。それぞれのテーマがとぐろを巻いて舞台上で蠢くような臨場感あふれる作劇であった。白い砂を降らせ、舞台面を水浸しにし、客電が意味ありげに明滅する中で、音圧の強い音楽とリフレインを多用する戯曲の言葉が客席の身体的な緊張を高めていた。戦時下で「死んでいいとされる命はあるのか」と激しく問い続ける3人の俳優の説得力のある身体は、挑戦的な本テーマを扱う表現の骨子となっていた。

強い身体の説得力を持つ一方で、モノローグを多用し客席とのインタラクションが少ない構成上、作劇としては第四の壁を強く意識させられる劇構造ではあった。場面転換に差し挟まれる3人の老婆のシーンは、舞台を客観視して離れようとする観客を繋ぎとめる手として有効に作用していたものの、抽象的な台詞で綴られるシーンが続くがゆえの浮遊感がうまく客席側の姿勢と接続している個所とそうでない個所があったように思う。いっそ完全に台詞を排して、ダンス作品として上演できるのではないかと夢想した。

(以下、ゆるいつぶやき)
「戦時下のような特殊環境で命の処遇を決めるとき、そこには白黒つけられないダイナミズムが働いている。しかし、人としての正義を失ってはいけない」というメッセ―ジは圧倒的に正しい。ただ、個人的に、演劇は正しさを描くのがあまり得意でないメディウムなのではないかと思っている。それは、正しさを描くにはあまりに演劇が遠回りをしたがる性格ゆえなのだが、今回の演目に関してもその難しさを感じた。青髭に名前があり、背景が描かれ、娘との結婚に際した葛藤が描かれていれば正義が色付いてみえたのかもしれない。登場人物の個別具体性を極力排したのは台詞を減らしたいという演出目的上あえてであったと思うが、演劇という媒体で正しさを語るバランス感覚について考える上演だった。
驟雨(Syuuu )

驟雨(Syuuu )

劇団芝居屋

中野スタジオあくとれ(東京都)

2025/05/20 (火) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

劇団芝居屋の公演は、さすがの安定感と余韻付け(照明・音響効果)。説明から、喪われた者と決して失わないものが 温かく優しく描かれている。
ヘラ絞りを専門とした霧島製作所の社長 霧島旭が亡くなり、四十九日の喪が明け 形見分けをする日を描いた珠玉作。亡くなっているから旭は登場しないが、集まった人々によって その存在感を示す会話が紡がれる。大きな事件や出来事は起きないが、確かに そこに家族を思う父親の姿が立ち上がる。

物語は、霧島製作所というヘラ絞りを専門とした会社、そしてタイトルになっている「驟雨」という設定と天候が肝。日本の産業は、多くの中小企業・零細企業で成り立っている。霧島製作所は、旭が大手の下請けから独立した経営方針を打ち出し、何とか事業を続けてきた。自分の家族はもちろん、従業員とその家族の暮らしを守るため必死に働いてきた。しかし その結果…。

初夏、形見分けの日(夕方迄)の 数時間の話。少しネタバレするが、旭の長女 板倉竹子の父への恨み辛み、それが物語を動かす。親の心子知らず、逆に子の心親知らず たとえ親子であっても本当のところは解らないかも…。そんな微妙な心の襞をなでるような、言葉に表し難い感情を描いており上手い。
(上演時間1時間25分 休憩なし) 

ネタバレBOX

舞台美術は、霧島製作所の工具置き場兼休憩室といった所。上手に長テーブル その上にポットや茶碗セット、下の床には工具箱等。下手は工場へ通じる硝子戸。中央に折り畳みのテーブル2つと いくつかの丸椅子。全体的に剝き出しのコンクリートで味気ない。しかし タイトルにある「驟雨」、照明を諧調して 瞬時に上手の硝子戸を暗くし、音響で雷鳴と豪雨を表すといった効果。

物語は説明にある通り、故霧島旭の財産分与前の形見分けで 家族が集まるところから始まる。この霧島製作所がヘラ絞り専門の零細企業というところが妙。そして亡くなった旭が大手企業の下請けから自立した ということが物語の背景にある。
登場人物は6人…亡くなった旭の実妹 立岡公枝、旭の長男 松夫、その妻 佐知、旭の長女 板倉竹子、その長男 圭太、そして家族同然で技術顧問の高城遼平。

長女 竹子は亡き父を嫌っており、高校も全寮制で早いうちに家を出ていた。小学生の時に母が亡くなり、男手ひとつで育てていた。その頃 父は、下請けから独立した経営方針を打ち出し、昼夜を問わず働いていた。そのため娘の学校行事などに行く余裕はなかった。一方、竹子は親が来てくれる友達が羨ましかった。その思いを吐露し慟哭する場面が圧巻。そして高専(全寮制)に通っている圭太が、霧島製作所へ入社したいと言ったことから怒りだす。勿論 竹子には内緒だった。帰ろうとする竹子を驟雨が足止めする。先にも記したが、親の心子知らず、逆に子の心親知らず である。父が残した形見分けの品は 段ボール箱1つで、中にはカメラ、アルバムそしてタブレット等。唯一の趣味が写真撮影で、タブレットには竹子の写真が多く収められていた。ちなみに 竹子が選んだ形見分けの品は老眼鏡(生活の必需品となり肌身離せない)、ここでグッときた。

へら絞り、それは熟練した技術が必要で、劇中でも人材育成には何年もかかると言う台詞がある。さて 芝居屋のコンセプトを読むと、「役者に対しても、表現に対する新たな開拓を・・その努力や視線こそが 演劇が見世物に立ち帰るための原点である」と。その意味では、役者という人材育成に努めているといった姿勢が、この劇団の安定した芝居であり安心して観られる のだと思う。
次回公演も楽しみにしております。
チョコレイト

チョコレイト

キルハトッテ

小劇場 楽園(東京都)

2025/05/21 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

(笑えた度)4(今感)5(完成度)5

POPにしてドパンク。ダサおしゃれカッコいい。メチャ古臭くて最先端。
愛についての抽象演劇。作品そのものが安易に尻尾を掴ませないファムファタル。

ネタバレBOX

何がいいと言って、すべてが少しずつ足りないところが
たまらなくいい。

愛を扱うなら、もちろん寸止めが一番効くのを狙って演っていて、
すっかり術中にハマっている。

基調はシュルレアリスム。マグリットの絵画のように、具象に見えるシーンの組み合わせで抽象を表現する。
ヒッチコックを想起するようなシーンもあり、かなり古典的な骨格なのだが、表層の部分は
微妙な時代感でイケてるレトロPOP、
セーラー服と詰襟学生服、チョコレイトディスコ、いきものがかり、カラオケで歌うマッキー、
ラウンドワンのスポッチャ、メンタルバランスチョコレートGABA、などなど。

そのキラキラ(?)表層の裏側で、現代商業資本主義が呪文のようにナラティブナラティブ言うせいですっかり胡散臭くなってしまった「ナラティブ」依存の表現を強烈にディスっているように見えるパンクさがどうにもこうにもツボすぎる。

歌も、笑いも、セットも、衣装も、音響も、照明も、演技も、突然のキャラ変も、
「王道中の王道」をカッコで括って100乗したようなマンガ設定も、役者のイケメン度カワイイ度も、歯の浮くようなセリフも、
観覧車も、キスシーン(?)も、歯のオブジェも、天使の輪も、あらゆる要素が寸止めだから、
否が応でももっと観たくてたまらなくなる。
楽園で演っているのもいいね。配置が特殊だから物理的に見えなかったりして、
抽象感が30%くらいアップする。
ラストが輪をかけて最高にミニマムでこれまた、たまらない。
ああ何ということ。次回も絶対行きます。
ずれる

ずれる

イキウメ

シアタートラム(東京都)

2025/05/11 (日) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ネタバレ

ネタバレBOX

イキウメ『ずれる』を観劇。

 親の会社を継いで財をなしている輝の下に、精神疾患で入院していた歳の離れた弟が自宅に戻ってくる。この辺りは豪雨災害の影響か、野生動物たちが街に下りてきているようだ。秘書兼家政婦と整体師を雇い、在宅勤務に変えたが、弟の怪しげな友人によって輝の様子が少しずつ変調していくのだった…。

 現実には起こり得ない事柄から、人間の精神に食い込んでいく作劇で観客を物語に没入させて戯曲は毎回驚かせるが、奇ッ怪シリーズを全て観ているか、現代版の奇ッ怪かと思ってしまうのが常だ。ここ最近の精神に深く踏み込んでいく様は、以前にも増して濃いようだ。
 非科学的な出来事と人間の魂のぶつかり合いはギリシャ悲劇とは似て非なるものだが、決して精神論を謳ってはいないのがイキウメの魅力で、あり得ない出来事があり得てしまう?と思わせてしまう執筆力に観客の没入度はかなり高い。
 今作は劇団員のみで行なっているからか、全員の芝居に何かが降りてきていると思わせるほど、役柄に成りきっている。戯曲の出来と作家のメッセージを一段、いや二段ほど上げているのは間違いない。
現実に起きている出来事の根本を我々に問いつめ、追い詰められた観客は逃げ場を失い、終始緊張しながらの観劇体験であった。
 『イキウメ』はしばらく休むようなので、必ず観ておいた方が良いのである。
お歌とお芝居 「髑髏沼の女」

お歌とお芝居 「髑髏沼の女」

たすいち

ウエストエンドスタジオ(東京都)

2025/04/30 (水) ~ 2025/05/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/05/02 (金) 13:00

幼い頃に父を亡くした主人公が失踪した母を探すことから始まる「マンガチックなアドベンチャー」。
(初演を観ていたからとは別の意味での)既視感満載なのは漂いまくる「昭和感」ゆえか?(大友克洋「AKIRA」っぽさもあったし)
そして配役と衣装が特筆モノな素晴らしさ。荒唐無稽な物語に妙な(演劇的)説得力を与えているんだよなぁ。
なお、前述の如く初演を観ていたが記憶に残っていたのはいかにも「あの3人組」っぽい楽曲のみ(爆)。ま、11年も前のことだしね。

穴熊の戯言は金色の鉄錆

穴熊の戯言は金色の鉄錆

MCR

ザ・スズナリ(東京都)

2025/05/21 (水) ~ 2025/05/28 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い。
自分の殻の中にいる男の戯言ー可笑しみ 悲しみ そして淋しさ、それを現実とフィクションを行き来するように描いた物語。タイトルは 何を意味しているのか 観終わっても分からないが、何の変哲もない時間が愛おしくなる。毎日同じことの繰り返し、自分がやりたかったことは、こんなことだったのか?そんな足掻きと諦めの灰色の日々。その鬱屈した思いも、後から思い返してみれば…そんな味わい深さが感じられる。

表層的には荒唐無稽のような描き方だが、気が付くと多幸感と喪失感の波に攫われている。それは脚本・演出の櫻井智也 氏の(作劇)思考の中に吞み込まれたかのような。少しネタバレするが、説明の「わたしはつくりばなしで」は 高校時代に遡り、当時からの純情と現在という時間の中で 一途な「思い」を鮮やかに記憶しているようだ。

フライヤーにあった説明が「ひらがな」だけなのは、「あぁ そういう事情だったのか」と納得と同時に少し怖くなる。人は皆 孤独だが、それでも自分のことを全力で愛し支えてくれる人がいる。不格好のようで 実は格好よく、儚いようで尊い 色んな思いや感情が綯交ぜになる、そんな不思議感覚だ。
なお、舞台装置はシンプルだが 場景描写は分かり易く、巧く独特の世界を立ち上げている。
(上演時間1時間45分 休憩なし) 

ネタバレBOX

舞台美術は三段、左右に白い縁取りの黒い柱が不規則に立っている。それぞれの段に白い縁取りの黒い箱馬がいくつかあるだけのシンプルなもの。それぞれの段は、時代/状況を表しているよう。

物語は、小野が病室で医師や看護師と話しているところから始まる。小野の目に、医師はおじさんに見えるが、実際は若い女性だと 何となく会話が ちぐはぐ しており冒頭から面白い。話は 小野の高校時代に遡り、授業中にも関わらず ゆかり が小野に自分が描いた漫画の感想を求めている。ゆかりは 小野のことが好きで何でも受け入れてくれる。卒業後、2人は結婚し小野はコンビニでバイトをしている。仕事は あまり長続きせず、コンビニでも客とトラブルを起こし辞めてしまう。そんな小野を ゆかり は健気に支える。ゆかり の心が弱っている時、怪しいセミナー(新興宗教?)の勧誘といった、日常に潜む狂気が迫る。

物語は病室内と外。病室の外では、さらに現在と過去が交差して展開する。過去は、高校時代の ゆかり を始め個性豊かな級友たちの面白会話。現在はバイトや喫茶店での憩い。ひょんなことから怪しいバイト(殺人)に関わり、闇社会へ…。病室では、医師が二人三人と重なって見え、混乱・混沌とした世界が広がっていく。現実であり ゆかり の漫画の世界といった虚実綯交ぜの印象。しかし 小野は、手術出来ないところに脳腫瘍ができ、放射線と薬物療法をしている、そんな男の妄想。

役者陣の飄々にしてコミカルな演技が秀逸。それによって、物語全体がユーモラスな雰囲気を漂わす。小野は 何者にもなれず もがき、いつかは と思って日々生きてきたが…。何気ない日常の中に、小さな理不尽が重なり現実逃避したくなる。それでも自分(小野)を好いてくれる女(ゆかり)がいる。日々の暮らしは苦しく悩ましいが、後から振り返ってみれば楽しかった と。真意は的を射ているか分からないが 「人生は近くから見れば悲劇だが、遠くから見れば喜劇だ」といったチャップリンの言葉を思い出す。
次回公演も楽しみにしております。
みづうみ×吉野翼企画 音樂LIVE「恋は修羅、命は炎、遥かな唄」

みづうみ×吉野翼企画 音樂LIVE「恋は修羅、命は炎、遥かな唄」

吉野翼企画

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2025/05/21 (水) ~ 2025/05/22 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

凄く良かった。浅井健一の「OVER HEAD POP TOUR 」ぐらい魅力的。二人とも才能あるんで自信持って売れて欲しい。
吉野翼企画の寺山修司・岸田理生作品の作曲をずっと担当してきたギターのなすひろし氏とピアノの秋桜子(あさこ)さんによるユニット「みづうみ」。吉野翼氏演出によるLIVEは歴代アングラの名場面を切り取るかのよう。第一部は俳優達と合唱、第二部は舞踏家達が舞う。第三部はオリジナルを叩き付けた。
白塗り舞踏家の由佳さんが気になった。柴奏花さんは細過ぎて動くマネキンのよう。
秋桜子さんの世界は寺山修司よりもつげ義春の気がする。古川琴音系の美人。

ナゴムレコードだよな。たまを竹中労が絶賛していた頃を思い出した。筋肉少女帯や特撮に三柴理が参加した曲のようなアバンギャルド。日本古来の民謡、童謡に通ずる美しく懐かしいメロディーに乗せられた歌詞は「キチガイ地獄外道祭文」。

この優しい空間はブルーハーツ「パンク・ロック」みたいな気分。「パンク・ロック」が「アングラ芝居」にだぶる。

吐き気がするだろ?皆嫌いだろ?あーあーあーあーあー
真面目に考えた 僕の好きなもの あーあーあーあーあー(中略)

僕、パンク・ロックが好きだ 中途半端な気持ちじゃなくて ああ優しいから好きなんだ 僕、パンク・ロックが好きだ

寺山修司好きなら絶対引っ掛かる筈。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

更に多くを望むなら、メロディーとリフに強烈な記憶を残したい。凄く気持ちの良い曲の流れはイージーリスニングでもある。聴き易いが残りにくい。帰る道すがら口ずさみたくなるような引っ掛かる奴が欲しい。一番残ったのは「少年探偵団」だったりもする。
驟雨(Syuuu )

驟雨(Syuuu )

劇団芝居屋

中野スタジオあくとれ(東京都)

2025/05/20 (火) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

4度目となる芝居屋の舞台はいつも「芝居」というに相応しく、そして温かい

ネタバレBOX

相変わらずベテランふたりはいい味出しているし、にじみ出てきた竹子(増田恵美)の涙は実に印象的だった
セットはここあくとれで観た中では一番作りこまれていたかな
工場の旋盤(?)や雷、驟雨の音を微妙に変化させる(例えばガラス戸の開け閉めに伴って)音響と、下手のガラス戸の向こうの自然光を細かく変化させて外の様子を表現し、最後はこの芝居に相応しい温かな色で終えた照明には👏👏👏
驟雨(Syuuu )

驟雨(Syuuu )

劇団芝居屋

中野スタジオあくとれ(東京都)

2025/05/20 (火) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

霧島製作所はあたたかな人間模様でした

ネタバレBOX

霧島旭は実際には登場しませんが、不器用であるものの、人間味のある人柄であることが、ほかの登場人物のセリフから感じられました。最後の場面、バックに雨の音がする中で、形見の写真が話題になる場面は、とても心に沁みました。
チョコレイト

チョコレイト

キルハトッテ

小劇場 楽園(東京都)

2025/05/21 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

キルハトッテ、初めて鑑賞しました。結婚に関して、ふだん言えないことや思っていることをリアルに表現してくれて、スカッとしました。
一見普通の結婚直前のカップルと少女漫画から出てきたカップルに主治医の歯科医や妹が加わった人間の絡み合いが面白かったです。今時ありえない設定の歯科医さんのキャラが立っていて、舞台上で追いかけてしまいました。舞台の様々な場面を一瞬でも今の自分に置き換えることで、家族や人間関係を立ち止まって考えることができました。
最後のフィナーレの挨拶が2方向に分かれてしまったので、半分の役者しか対面できなかったのはちょっとだけ残念でした。

穴熊の戯言は金色の鉄錆

穴熊の戯言は金色の鉄錆

MCR

ザ・スズナリ(東京都)

2025/05/21 (水) ~ 2025/05/28 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

なかなかシュールな舞台でちょっと話をフォローするのにきつかったかな…と。あと、途中挿入される音楽の音量がデカすぎるかな…と。いきなりロックなライブハウスに変わった感じでちょっとアレだったかなと… あと、殺し屋の役の方、いい味だしてますね^^

奇譚 地獄たられば

奇譚 地獄たられば

グワィニャオン

萬劇場(東京都)

2025/05/16 (金) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

エンタメ感を感じる芝居、楽しかったです!
ただ、なぜに朗読劇的になったのかが気になりました

入試現代文必勝法

入試現代文必勝法

劇団森

早稲田大学学生会館(東京都)

2025/05/16 (金) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/05/18 (日) 12:00

哲学劇。入試問題の本文の表現が面白かった。主人公が入試問題にアプローチすることで、自己と他者の関係性をじっくり考察し、人間的に成長しているところがいい。入試問題って結構、我々の人格形成に影響を与えてるんじゃないかな。特に国語。

たぶん、宇宙人を拾った

たぶん、宇宙人を拾った

劇団あおきりみかん

G/Pit(愛知県)

2025/05/21 (水) ~ 2025/05/22 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2025/05/21 (水) 19:30

30分ほどの短編なんで、拾ってきたところははぶいたのかな?
宇宙人の世界では1人が5人だということで、蝶野はあたふた………………。
そんな設定は笑える!
最終的には蝶野が宇宙人を拾ったというより、宇宙人が蝶野を拾った???

終わった後はアフターイベントがあって、トークと体験コーナーがあり、観客の中から1人舞台に上がって、宇宙人の妹が登場するところを体験するという………………。
上手にできてました。

再演 みやこほたる 

再演 みやこほたる 

劇団匂組

アトリエ第Q藝術(東京都)

2025/05/14 (水) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

二人芝居、見応えがありました
ただ事件をトレースするのではなく、加害者とそれを綴るルポライター、二人の人物像をうかびあがらせて事件を見せる構成、良かったです!

チョコレイト

チョコレイト

キルハトッテ

小劇場 楽園(東京都)

2025/05/21 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

婚約破棄寸前のカップルと少女漫画の世界から抜け出してきたカップル。公演に関する顛末も、物語の結末も、口外禁止(口内だけに)。

シャンパンタワーが立てられない

シャンパンタワーが立てられない

劇団シアターザロケッツ

ザ・ポケット(東京都)

2025/05/21 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/05/21 (水) 14:00

座席1階

ご配慮をいただき、初日の昼にあったゲネプロを拝見した。8年ぶりの再演という今作、地方都市のつぶれかけのホストクラブが舞台だ。

開演前の舞台中央にはシャンパンタワーがしつらえてあり、どのような展開になるのかとわくわくムードが高まる。「地方都市」という設定もあって、どこかあか抜けない雰囲気もある。暗転後の冒頭場面から事件が起きる。
登場するホストたちはイケメンばかりではない。何でこの人がホストなの?みたいなキャラクターも。店長が「ホストの数が多い方がいいだろ」みたいなことを言うのだが、体験入店の落語家のおじさんまで登場するのはぶっとぶ。
一方で客の女性たちも一部は怪しい。そういう女性客も実際にいるのかもしれない(いないと思うが)が、舞台ではその一人ひとりに物語が設定されている。

シアターザロケッツの舞台の楽しみ方の一つは、前段で仕込まれた伏線がどのような形で結実するかを見ることにあるという。きちんと見ていないと伏線を見逃してしまう、と感じた。このような楽しみ方を満喫するには、何回も劇場に通うしかないのかも。

コーヒーとカレーと見田さんと

コーヒーとカレーと見田さんと

夏の川企画

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2025/05/14 (水) ~ 2025/05/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

途中まで感情移入が出来かけていたのですが⋯きっと面白いお芝居です。感受性や創造性の足りない私です。万全ならきっと素晴らしいお芝居だったはず。

六道追分(ろくどうおいわけ)~第三期~

六道追分(ろくどうおいわけ)~第三期~

片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2025/05/14 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い。楽しんで観てもらう、そんなサービス精神(遊び心)に溢れたエンターテインメント作品。
無宿として生まれた男と苦界に生まれ育った女の逃避行を描いた悲恋物語。どちらも不幸・不遇な身の上、その2人がひょんなことから一緒に旅をすることになる。旅の途中で出会った僧から「六道」の話を聞き、人の世の儚さと尊さを知る といった人情味ある内容。タイトルにある「六道」を物語に巧みに織り込んで、人の心の在り様 を考えさせる。自らが生み出した世界で生きているが、その現世は因果の道理に…。

現世では悲恋であるが…公演全体は、笑いも交え小気味よく展開していく。少しネタバレするが、旅は江戸(吉原)から大井川までの東海道、その短い旅路が2人にとっての幸せな時間。華やかな雰囲気と非情な成り行きの中で、情感豊かに描き 観客の心を揺さぶる。また場面転換や心情表現にダンスを挿入するなど、観(魅)せる工夫も好かった。
(上演時間1時間40分 休憩なし) 【第三期 剣】

ネタバレBOX

舞台美術、上手は 場景に応じて遊郭の障子や道中の石垣など、柱状の装置を回転させる。下手は 階段状の丘のような、その奥に朽ちた平板を組み合わせ、ラストは磔 処刑場。吉原へ通じる場所は、観てのお楽しみ。

この演目は、2019年正月公演でシアターグリーン3館同時公演の1つとして観たことがある。その時は、BIG TREE THEATERの天井の高さを利用した2層舞台で、1階部はその場(土地)に足を着け、2階部は旅先を思わせるような時間・場所の空間の違い、その広がりを感じさせた。今回はBASE THEATERのため高さはないが、逆に 舞台と客席が近いため臨場感と迫力を感じた。

梗概…清吉(通称・鬼アザミ)は子分の粂次郎、伊助、三吉(妻が病弱でいつか医者になりたい)と共に世を騒がせる”義賊”。いつしか守銭奴達を懲らしめる清吉一味は、江戸庶民の憂さを晴らす存在になっていた。しかし奉行所の取り締まりは厳しくなり、これを潮時と最後に選んだ場所が不夜城「吉原」である。特に悪どいやり方で暴利を貪る大店ばかりに忍び込む。一方、その店の花魁 お菊は 刃傷沙汰を起こし、足抜けを余儀なくされていた。そんな時、忍び込んだ鬼アザミ一家と出会い...。六道を彷徨う人達の、馬鹿馬鹿しくも切ない道中が始まる。吉原と東海道(大井川)を舞台に、人情味溢れる逃亡劇が始まる。清吉とお菊は旅を通じて、孤独を癒し凍った心が氷解していく、その過程を面白可笑しく描く。ラスト お互いを思いやる気持が 切なく感動を呼ぶ。

物語の展開は分かり易く、気楽に観ていられる。内容的には追われる身であり、この先どうなるのか気を揉むといった面白さがある。この旅モノの場面を動かしているのが、舞台美術であろう。上手の柱状の装置を回転させること、同時に格子状の可動する衝立2つで、吉原遊郭か道中先か瞬時に分からせる。また、下手の階段状の段差を上り下りすることで躍動感が生まれる。小さい劇場(空間)を巧く使った演出が妙。

華やかな雰囲気、それは出演者(特に女性)が吉原という場所柄、花魁姿の艶やかさを出し、旅に出てからは町娘に扮しての可憐さなど、いずれにしてもその”艶技”であろう。そして下っ端役人(岡っ引き等)の庶民感覚と、与力などの武士とでは考え方が違う。その意識の違いは、現代(農林水産大臣のコメ発言)にも通じるような…。
次回公演も楽しみにしております。
マライア・マーティンの物語

マライア・マーティンの物語

On7

サンモールスタジオ(東京都)

2025/05/17 (土) ~ 2025/05/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

On7らしい、小声で言えばえげつない公演だが、最近珍しくなった熱演・力演・の女優大競演の奮闘公演である。
19世紀初頭のイングランドの田舎の下層農民社会の女たちの物語である。先年も「ウエルキン」という面白い作品を見たが、こちらは純農村社会だから暗黒度も半端でない。大きくは男女差別、社会層差別だか、全く救いがない。そこに絞って、納屋で殺され、埋められて何ヶ月も発見されなかった若い農婦(吉田久美)の生涯の一部始終が死者の語りで語られる。
On7のメンバーに客演の有川まことが一人男優。すべて女優の役をメンバー代わり合って演じる。
いいところ。まず、演出の寺十吾。この人の作品はアイルランドの芝居を幾つか見たが、お得意の暗黒ものである。原題がマライア・マーティンのバラードとなっているように、マライアを巡る被虐・加虐の短いシーンを集めて一本にしている、もう少し明かりが欲しいと思う暗い照明の舞台でギリギリ展開する。幼なじみという五人の女どもの友情や、相互援助や妊娠心得、男どもへの愛情や信頼などはたちまち吹き飛ばされる。テンポはこういう暗い話を粘ることも笑いでごまかすこともなく、ものすごく早い。民藝だったら3時間は越えようかという物語を二時間に納める。押さえるところは上手く押さえていて、陰惨な一本調子の時代物の農村実話を持たせてしまう。それが、この話、今のジェンダー騒ぎや就労問題に繋がっていることも思い出させる。考えてある
次ぎ、俳優陣は競い合って熱演だが、これをオン7でやるというだけで意図は出てしまう。ちょっと作品選択がミエミエだったのが残念。
背景音楽は電子音楽を選曲で使っていて、それはそれで似合っているのだが、せっかくなら作曲して貰ったら?あるいは使えなかったのかも知れないが、見る方は安易さを感じた。
昨晩は満席だったが、後は空席多いとのこと。これが50席の劇場で見られるならお得。

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