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金曜はダメよ♡

金曜はダメよ♡

トツゲキ倶楽部

「劇」小劇場(東京都)

2025/06/25 (水) ~ 2025/06/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

テンポの良い舞台を楽しく観させていただきました!

役者さんの台詞のかけ合い(お稽古の時は団体戦というそうです)素晴らしかったです。

アフタートークでは波多野貴文監督と役者さんで貴重なお話をしてくださいました。
波多野貴文監督といえば、SPなどが有名ですが、お話を生で聞かせていただけることは無いのでとても楽しかったです。

監督が影響を受けた映画はバックトゥザフューチャー!私も大好きです!と手を挙げたかったです笑

劇団の裏話なども良かったです。

コラボレーターズ

コラボレーターズ

劇団青年座

吉祥寺シアター(東京都)

2025/06/19 (木) ~ 2025/06/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

発想が型破りで面白い台本の作品。秘密の地下室で、スターリンと劇作家をあんな風に入れ替えてしまうとは。それが作家にさらなる葛藤を生み、やがてそれが・・・。
コメディが基調でも、笑えないシリアスなストーリーだし、青年座の名優たちがやるとさすがに引き締まる。横堀悦夫氏のスターリンが威厳はあるが気さくな人柄にふるまってみせて、でもやはり独裁者の不気味な冷たさを宿している感じに見えるのも素晴らしい。

紅鬼物語

紅鬼物語

劇団☆新感線

シアターH(東京都)

2025/06/24 (火) ~ 2025/07/17 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

期待しすぎたかなあ・・・と
友人が行けなくなってチケットを譲ってもらい急遽行けることになりました。なんたら先行抽選はもちろん、追加席抽選も尽く外れていたのですごく嬉しかったんですが。
中央通路より後ろでしたが、私的にはとても良い席だったのですが。

ネタバレBOX

2幕目からの思いがけない展開にしては1幕は冗長な感じがしてしまった。こんなお話かなという想像の域を脱していなかったというか。
歌が入ることでスピード感が削がれてしまったように感じた場面もありましたし、笑わせることで緊張感が失せていいのだろうかとも思いました。
開演前「キャストがひんぱんに通路を通りますので・・・」というアナウンスがひんぱんに流れ、通路側の席だったので楽しみにしていたのでしたが残念なことに中央通路から後ろには来なかったのでした。
通路側(それも通路外側)の席だったので舞台がよく見えて良かったですが、以前行った時も感じたように、中央寄りの席で前にちょっとでも自分より座高の高い人がいたらものすごくストレスだろうなと思うシアターHです。
6月27日、本日より公開のゲキシネ「バサラオ」を見ました。こちらを見てしまうと「紅鬼物語」がとても地味に思えてしまうのでした。
センスセンスセンス・オブ・ワンダー

センスセンスセンス・オブ・ワンダー

三月倶楽部

OFF OFFシアター(東京都)

2025/06/20 (金) ~ 2025/06/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

小さな舞台が、一人暮らしのワンルーム、電車の中、海辺の図書室、田舎のコンビニとくるくる変化していった。

夢と現実の境目があいまいで、普通ならそこにいるはずのない人が急に現れたりするのが、ライトの変化や窓の開閉で表現されてて面白かった。
一人三役やってる人もいたのに全然別人に見えた。役者さんってすごい。

主人公が、電話、ボイスレコーダー、拡声器、古いラジオと、色んな機械を通して話す演出が好きだった。

セリフの内容が難しいことが結構あって、センスオブワンダーを読むともう少し理解ができるのかもと思った。

なんかの味

なんかの味

ムシラセ

OFF OFFシアター(東京都)

2025/04/02 (水) ~ 2025/04/09 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

仕事終わりに、あるいは友人と、誰とでも楽しめる一杯

ネタバレBOX

会話の余白や少しの間、そこに想いを馳せたくなるような、丁寧に仕立てられた会話劇。
娘と父、そして「ママ」とバイトの女性。たった4人の登場人物によるやり取りの中で、家族とは何か、血縁とは何か、そしてわかりあえなさの切なさとおかしみが、にじむように浮かび上がっていきます。

とりわけ印象に残ったのは、ママ役・松永玲子の佇まい。少し押しの強い関西弁のテンションが、この空間にふっと風を入れ、停滞しがちな人間関係に微細なずれと変化をもたらしていた。彼女がいることで、物語がふいに裏返る瞬間があり、そのさじ加減が見事でした。

派手な展開や強烈メッセージがある訳ではないけど、小さな言葉や行き違いを丁寧に積み重ねる。そんな穏やかな舞台だからこそ、観客は自分の記憶や経験を静かに引き寄せながら観ることになるのでしょう。上演を通じて、穏やかに自分の感情の記憶を振り返るような時間でした。誰かを誘って終演後、一杯飲みながらも楽しめる芝居だと思います。
にんげんたち ~労働運動社始末記

にんげんたち ~労働運動社始末記

劇団文化座

俳優座劇場(東京都)

2025/02/21 (金) ~ 2025/03/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

マキノノゾミの新作、文化座『にんげんたち〜労働運動社始末記』(初演)を観た。

去年観た映画『風よ あらしよ』のおかげで、大杉栄が虐殺されるまでは何とか筋を追えたが、その後は、状況説明が全くないまま、場面展開が目まぐるしく、頭の中で漢字に変換できない台詞には、着いていくのが難しかった。

今回の『にんげんたち』では、大杉は決して主人公ではなく、どこか可愛げはあるものの、人間的な迫力には欠ける人物として描かれていた。彼の死に対して、和田や村木が命をかけて「仇を討とう」とまで思った動機が、舞台からはよく分からない。

大杉栄の唱えた無政府主義とは、いったいどんな思想だったのだろうか?
あの時代に若者たちが命を賭けるに足るほどの何かが確かにあったはずだ。けれど、その「何か」が、今の観客には見えづらいまま、舞台は進んでいく。

その中で、唯一、台詞が胸にストンと入ってきたのが、関西弁の和田久太郎(白幡大介)の言葉だった。登場のたびに、場の空気が柔らかくなり、芝居の温度が変わる。
この作品を他人に薦めるかどうかは別として――
白幡大介が、実に楽しげに和田久太郎を演じている姿は、一見の価値ありでした。

観劇後、気になって瀬戸内晴美の『諧調は偽りなり』を買ってきた。舞台では見えなかったあの頃の輪郭が少しでも見えるだろうか。

煮えきらない幽霊たち

煮えきらない幽霊たち

劇団民藝

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2025/05/10 (土) ~ 2025/05/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

劇団民藝『煮え切らない幽霊たち』(再演)を観劇。

30年以上前の戯曲を、なぜこのタイミングで再び上演するのか。観劇後、ずっとその問いが頭を離れなかった。

幽霊たちは次々と登場するが、セリフも存在感も薄く、舞台上でもまさに“煮えきらない”印象。 破天荒な人物として知られる平賀源内にこそ期待したが、鋭さは感じられず、どこか拍子抜けしてしまった。

特に気になったのは、全体のトーンに緊張感が乏しかったこと。 劇団内だけで配役を固めたことで、舞台に意外性や緊張感が生まれにくかったのではないかと思った。

ただ一つ、心に残った場面がある。 お藤を口説く杉田玄白(塩田泰久)と、枕元に座る姉・お仙(中地美佐子)のやりとり。 ここだけは民藝らしい呼吸の合ったアンサンブルで、しみじみと心に残った。

そして終盤。 死者たちと“翻訳の続きを”語る玄白のラストシーン。 「生き残った者は何をどう生きればよいのか」。 何を伝えたかったのか曖昧なまま幕が下りたように思えた。

若い頃の栄光も、老いと孤独の前では虚しい。 そんな皮肉がじんわりと残り、かえってつらさが募った。

観劇後に一番残ったのは、やはり「なぜ、この芝居を今上演するのか?」という強い疑問だった。

母

劇団文化座

JMSアステールプラザ 中ホール(広島県)

2025/06/11 (水) ~ 2025/06/13 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

文化座の『母』を観た。
多喜二の母・セキの姿に涙が止まらなかった。

ただ、その涙は、「無学でも立派な母」の姿に感動しただけではありません。
思ったのです。 どんな家族の選択も受け入れるような“献身的な母親像”が、 どれだけ多くの女性を縛ってきただろう、と。

自由な生き方を選び、求婚を断った“タミ”のような女性を、 真正面から受けとめる男性は、舞台にも現実にも、未だなかなか現れない。
涙を流した私は、その旧来の理想像に「負け」を認めたのかもしれない―― そんな複雑な気持ちが、観劇後もずっと残りました。

それともう一つ。 特に女性観客に対して、演出が甘く見ていないか?と感じたことです。
今は、女性の主体性や選択にとても敏感な時代です。 それなのに、あれだけ丁寧に描かれた“母”に比べて、 “タミ”は説明もなく姿を消し、受け身で言葉少なく生きる存在として描かれていた。
観客として、不可解だと思うのは、自然な反応ではないだろうか。

演劇は、時代の変化に応えているのか―― そんな思いが、私の中に強く残った作品でした。

ネタバレBOX

―― 多喜二の前から姿を消したタミについて――  

彼女は身体を売ったり水商売に落ちることなく、身寄りもいないこの時代にしっかり“まっとう”な仕事に就いている。にもかかわらず、彼女は「特高に詰問されても、何を話していいのかも分からない」と言い、不安げに求婚を断る。

① 時代背景とのズレ
戦前の女性にとって、身寄りがなく一人で堅気に生活するのは並大抵の苦労ではないはず。なのにタミはなんとか自立していて、しっかりとした女性だと想像できる。

② 人物造形の心理的不整合
特高に対し「何を話せばいいか分からない」と混乱しながら、自分のことになると、明確な意思で求婚を断る。説明も動機もないまま決断だけが唐突に示されるため、不自然さと説得力の欠如を感じた。

③ 結果としての「曖昧さ」
彼女の選択が“自覚的な行動”とは見えず、まるで不安定さや無力さの果ての偶然の選択のようにも見える。これは「戦前に生きる“最初の自覚的な女性”像」としては、あまりに不自然ではないだろうか。
シホウドウセキ

シホウドウセキ

日本のラジオ

インディペンデントシアターOji(東京都)

2025/06/04 (水) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/06/05 (木) 14:30

「ナイゲン 暴力団版(2019年)」の後日譚。警視庁暴力団対策課が抗争を続ける4つの組織の代表を集め極秘で手打ちさせようとするが……な会議劇。
題材にしても役になり切った出演者たちにしても一見いかついが、随所に笑いがあり、これ、日本のラジオ流のコメディだよね。とはいえそんな中に世相への皮肉・揶揄もあるのが巧いところ。
あと、台詞の中に前作の登場人物の名前も出てきて「あの人はそうなったのか」的な面白さもあった。(もちろん前作を知らなくても問題はない)

新宿梁山泊 若衆公演「愛の乞食/アリババ」

新宿梁山泊 若衆公演「愛の乞食/アリババ」

新宿梁山泊

花園神社(東京都)

2025/06/18 (水) ~ 2025/07/02 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

あえてジャニーズ出ない若衆のみのを観劇。迫力が有り、また紅テントとも違う魅力を感じた。また、観に行きたい。

紙芝居の絵の町で

紙芝居の絵の町で

劇団唐組

長野市城山公園 ふれあい広場(長野県)

2025/06/21 (土) ~ 2025/06/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初めて紅テントで観ました。衝撃でした!

『from HOUSE to HOUSE』

『from HOUSE to HOUSE』

終のすみか

劇場HOPE(東京都)

2025/06/19 (木) ~ 2025/06/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

正に身につまされる想いでした。静かに流れていく分、悲壮感が有りました。考えさせられました。

黒いのは大抵、白いのよりほんの少し高い音で鳴く。

黒いのは大抵、白いのよりほんの少し高い音で鳴く。

空想実現集団TOY'sBOX

北池袋 新生館シアター(東京都)

2025/06/18 (水) ~ 2025/06/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

リピしたくなる面白さでした。テンポも良く、それぞれのキャラもピッタリでした!

ザ・ヒューマンズ ─人間たち

ザ・ヒューマンズ ─人間たち

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2025/06/12 (木) ~ 2025/06/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「母」に続いて観劇。今季はこの調子で三作とも観劇できそうである(三作観られる期は中々ない(一昨年は「レオポルト・シュタット」を見逃し残念な思いをした)。
と言っても今回は急遽時間枠が出来たお陰で観られたのだが..。つまり空席有り。公演はまだ序盤とは言え、集客に手こずる陣容だったか?と訝く思いながら後方席に座った。芝居は十分鑑賞に堪えた。毎度ながらキャストスタッフの事前チェックを忘れ、キャスト紹介のペラ1枚を一瞥して目に入った山崎静代(南海キャンディーズ)。変わり種の登場でどんな空気感が生まれるかも楽しみに開演を待った。

ネタバレBOX

しずちゃんの何度かの台詞発射で違和感は引っ込み、そのキャラが台本上求められた事も納得しつつ、サスペンスフルな舞台を観進めて行った。増子倭文江は何にでも化けられる人だと感心。認識に至らなかったキャストの一人、どこかで聞いた声の主は・・平田満。芝居は増子・平田の夫婦が田舎から出て来た日の、夜までの話である。感謝祭を祝う名目だが、次女(青山美鄕)とその彼氏(細川岳)が居を構えたので物見遊山に都会へ認知症の進んだ祖母(稲川実代子)も車椅子に乗せてやって来た。すでに近隣に住む長女(山崎静代)も顔を出している。
一家が揃い、料理の得意な次女の彼氏がホストの格好であるが、時折上階からのオッたまげる音量の震動音が鳴り、不穏なサインのように物語の行く末を暗示する。そして一つずつ(まずは観客に知らせながら)家族それぞれの不安の種が明らかになり、彼らの自認する家族の現在地は一段また一段と下がって行く。
客観的には特段変わった特徴があるわけでもない家族の直面する悲劇は、登場人物らそれぞれの主観において感受され、その生態を眺める位置に観客は置かれる。信仰とは距離を置いてきた家風らしい所へ、彼らにすれば如何わしい信仰の対象でしかないものが母の支えであるらしい事、それへの腫れ物感。弁護士事務所に勤めながら長年付合った同性愛の交際相手との破局が心を蝕んでいたり、生活レベルを規定する社会的地位へのこだわりや、父が言語化し具現化しそれに二人の子ども(姉妹)が呼応してきた「家族の紐帯(の素晴らしさ)」が、時に詩的に、時にあざとく語られながら、浮き彫りになるのは「尊いと思っていたもの」の危うさ。
本作が物足りない部分があるとすれば、「それ」に直面した家族たちが「それ」をどう乗り越えるかが描かれていない事。投げかけるのみで終る。個々の苦悩のエピソードは身につまされるが、家族が互いにそれを乗り越える力となり得ているのか、という問いがあり、「それは疑わしい」という現実が無造作に提示されている。堕ちる所まで堕ちたら、浮かんだ月でさえ希望の灯火のメタファーとなり得るが、不安、予兆のレベルで最後に見る煌々と照る月明かりは、それを増幅するかのようにも見える。
私は面白く見た。
そして観劇後に演出が桑原裕子女史であった事を認識。会話劇の緻密な構築はさすがと感服した。
月の兎

月の兎

miwa produce。

πTOKYO(東京都)

2025/06/19 (木) ~ 2025/06/22 (日)公演終了

実演鑑賞

こりゃあ、R15だわ。

ネタバレBOX

いやらしいね。
それと暗いね。

主人公の作家は、もしかしてえのもとさん自身が投影されている?
あの生活をしていたら、そりゃあ枯渇しますわなあ。
似たような暮らしをしていたので、焦燥感やら不安感が蘇りました。
零れ落ちて、朝

零れ落ちて、朝

世界劇団

三重県文化会館(三重県)

2025/04/12 (土) ~ 2025/04/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

表現することと、表現する方法について

ネタバレBOX

『青ひげ』と九州大学生体解剖事件。寓話と歴史、記憶と倫理。その接続を試みた本作は、白砂と水に覆われた象徴的な舞台空間と、強い音圧の音響設計、リフレインを多用する演出によって、観客の身体そのものに訴えかけるような上演になっていました。

本田椋さんは、苛立ちや後悔を踏まえ、抑制された語りと佇まいの中に役の内面をしっかりと感じられ、作品全体のトーンを下支えしていたと思います。また、小林冴季子さん演じる娘も、台詞と動きを過不足なく繋げながら、彼女自身の身体の律動で役を立ち上げており、説得力のある存在でした。

一方で、語句の反復や抽象的な台詞を通して物語を展開しようとする意図は感じられたものの、登場人物の具体性が削ぎ落とされていたために、感情の推移や関係性の変化が劇の進行と噛み合わず、構造的な面白さと扱う内容が微妙にずれているのではと感じる部分もありました。とりわけ「正しさ」や「加害の倫理」といった重いテーマに触れるのであれば、物語構造や人物の厚みには、より慎重な設計が必要だったのではと感じます。

もちろん、前述の通り舞台美術、音響、照明といったスタッフワークは魅力的で、過剰な主張に走らず、空間としての強度を確保していた点は特筆されるべきです。
例えば、前言を否定しますが、ある種の美や劇的な表現が理屈を超えてテーマを伝えることもあります。それならば、その例えば殴りつけられるような衝撃を観客に与えるべく振り切る、といった選択肢も、このスタッフ、そして世界劇団でならあったのではと思います。

また、世界劇団は首都圏以外の地域で活動する劇団として、ツアー公演を実施するなど制作面でも評価される部分があると思います。この精力的な活動や、ある種のパワーは、劇団運営や自らの創作活動を継続させるという視点において他のアーティストも学ぶべき部分があると思います。
黒いのは大抵、白いのよりほんの少し高い音で鳴く。

黒いのは大抵、白いのよりほんの少し高い音で鳴く。

空想実現集団TOY'sBOX

北池袋 新生館シアター(東京都)

2025/06/18 (水) ~ 2025/06/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ミステリーで笑えて、ラストはびっくり!香りの演出も良い!ハイタッチでのお見送りも嬉しい。良い時間をありがとうございました

北欧神話の世界

北欧神話の世界

カプセル兵団

三鷹Ri劇場(旧 三鷹RIスタジオ)(東京都)

2025/06/20 (金) ~ 2025/06/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

演者の素晴らしさに感動。神話がコメディになって楽しく過ごせました。アドリブ一発芸面白すぎる〜

おかえりなさせませんなさい

おかえりなさせませんなさい

コトリ会議

なみきスクエア 大練習室(福岡県)

2025/03/14 (金) ~ 2025/03/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

失われる記憶、失われる場所

ネタバレBOX

コトリ会議『おかえりなさせませんなさい』は、伊丹アイホールでの初演時にも拝見していて、今回の再演では、作品そのものの強度はもちろん、受け取る自分の立ち位置が変化していることにも気づかされました。

初演時は、アイホールという空間の記憶と切実さが作品にあるような、まもなく閉館を迎える劇場で、「帰ってくる場所」が失われていくこと、家族がばらばらになり、ツバメが巣を離れ、二度と戻れないかもしれないという感覚。それは、これまで公演を重ねてきた劇場、これまで観劇してきた場が無くなっていくことへの切なさと、静かに重なっていたように思います。

再演では、台詞のテンポがやや速く感じられましたが、それは僕が伊丹に置いてかれていたのかもしれず、照明は相変わらず丁寧で、場面を象徴的に表現しながら、記憶と現実を行き来するような舞台世界に奥行きを与えていました。

白石礼を演じた原竹志さんも印象的でした。作品の理屈を語る人物でありながら、そこに生きている一人の人間としての寂しさや孤立が滲み出ていたように思います。微細な間の取り方に、誠実な俳優の姿勢が感じられました。

いけないと思いながらも初演と比較、混在する評になってしまう。それは本作が、あまり縁のなかった劇場と僕との数少ない思い出そのものだからだと思います。この作品について語る時、あの劇場で観たことを語るのです。

失われる記憶、失われる場所。それらが喫茶店という小さな場所に持ち込まれたとき、僕たちはある種の“日常”としてそれをどこまで引き受けられるのか。終演後にその空間を後にするとき、残っていたのは、滑稽さでも絶望でもなく、ほんの少しの寂しさと、やわらかな余韻でした。
北欧神話の世界

北欧神話の世界

カプセル兵団

三鷹Ri劇場(旧 三鷹RIスタジオ)(東京都)

2025/06/20 (金) ~ 2025/06/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/06/21 (土) 17:00

 カプセル兵団のベテラン実力派声優や中堅で味のある声優、若手で印象に残る声優などの男女の声優や役者が混ざり合い、更に毎回の如く恒例化しているゲストまで呼んでの、内容は毎回基本的には世界各国にある神話等を朗読する朗読劇ということで、私は過去にも何度かカプセル兵団の朗読劇を観たことがあるが、基本的に大いに笑えて、コンプラもクソもない発言が次々飛び出す自由さや、それぞれの神々や英雄、王、庶民等の登場人物の性格がしっかりと立っていて、また演じている声優や俳優たちによるアドリブや思い付きの小ネタ、一発ギャグも満載で、いつも神話を気軽に、肩の力を抜いて楽しめるところが、神話だからといって観客に集中して、常に緊迫感を伴うような朗読劇に仕立てていないところに、親しみやすさを感じていた。

 今回、カプセル兵団が朗読劇に選んだのは『北欧神話の世界 アスガルドの神々』ということで、8年ぶりの再演だと言う。
 しかも、今までのギリシア神話や中国神話以上に、またキリスト教の聖典『聖書』やイスラム教の聖典『コーラン』、インド神話の神々や仏教に出てくる観音や仏やブッダ、マヤ、アステカ、インカ神話、密教、エジプト神話、ケルト神話、トルストイの民話、ネイティブアメリカンの神話、イヌイットの神話、アボリジニの神話、シュメール神話、アフリカの土着信仰、ハイチのブードゥー教神話、そして日本神話に匹敵する程の知名度を誇り、アニメや映画、ドラマ、最近流行りの異世界転生ものの小説、漫画、演劇、幻想文学、ゲーム等において幅広く北欧神話は使われており、各分野において引っ張りだこで、北欧神話に出てくる神々等を1人も知らない人はいないと言っても過言ではないほど、目にしたり、耳にする事が当たり前すぎて、何の違和感も感じない程に、私達の中にすっかり浸透している。
 
 北欧神話の中でも有名過ぎるが、傲慢で非常に我儘、冷徹で非常に冷酷、例え肉親、親や兄弟だとしても目的の為なら殺すことさえ躊躇しない、手段を選ばず、卑怯な手だって厭わない、騙すことに対して臆することが無い、温かみや人情などは欠片もなく、猜疑心が強く、仲間だろうと人間だろうと殆ど信用しない、過去に犯した過ちに対しても葛藤や反省の意が認められず、巨人や小人、人間を露骨に見下し、下に見ており(因みに北欧神話において、巨人や小人、人間等を下に見て蔑んでいるのは、基本的に神々全体としてそう)、更にどこか家父長的で、独裁的、大抵の場合魔法使いの老人のような不気味な姿で描かれる最強最悪の神オーディン、MAVER漫画や映画で有名な『マイティ·ソー』の元になった超有名人で怒りっぽく、すぐ武力で解決しようとするトール、その弟でお調子者で抜け目なく、こズルく、狡賢い、策士で同じくMAVERで有名なロキ、得体が知れず、その存在自体が恐怖でしかない大蛇のヨルムンガンド、フェンリル、冥界に君臨する神々でさえ逆らえない死を司る闇の女神ヘル、また神々1のアイドル女神のフレイヤ(但し赤ら様に醜いものに嫌悪感を覚え、神々の中でも1、2を争う程に巨人や小人を毛嫌いし、露骨に見下している。また、小人たちが造っていたブリージングの金の首飾り欲しさに、その欲望に負けて、4人の小人たちと、1日1夜、夜を共にしなければならないという条件を丸呑みしてしまったりと、強欲さと軽さ、性格の悪さを併せ持っている。但し、外面だけは良く、お洒落に気を使い、損得勘定で動く。しかし、フレイヤに関するエピソードのどこにも共感出来ず、人間味のなさが際立っていた)、それを噛じれば永遠に歳を取ることなく永久に生きることが出来るイドゥンの林檎のエピソードで有名な女神のイドゥン等、余りにも有名でアクが強く個性的で、超人的な能力を持つが、絶対的な存在感があり、一切共感することが出来ない登場人物たちが多く登場したが(中には共感しやすい巨人や人間等も数少ないけれども出てくる)、こういった登場人物たちを、今回声優やゲストの方がどういう風に演じるのだろうと、非常に興味深かった。

 実際観てみると、カプセル兵団のいつもの朗読劇と同じく、声優やゲストの方の衣装は私服で、アドリブあり、コンプラ無視の発言、無茶振りあり、思い付きの小ネタや一発芸あり、ネタが滑り過ぎてもはや痛い感じにしか見えないのに、度胸と勢い、その場鎬で何とかこの場を乗り切ろうとする必死過ぎるロキ役ゲストの池田航さんなど、ある意味印象に残った。
 しかし良い意味で、私が今までイメージしていた非常に美しく、幻想怪奇的で、ハイファンタジーな世界観、ユグドラシル(世界樹)のエピソードやイドゥンの林檎など北欧神話の核となるエピソードを抑え、高圧的で威嚇的、厳格で格調高く、どこか植民地主義的で、独裁的、傲慢で猜疑心が強く、家父長的で自分たち以外の種族を蔑み、下に見ており、人間味のない神々(全員ではないが)といった北欧神話のイメージは、朗読劇で声優やゲストの方が演じており、確かに元々の北欧神話よりかは大分堅苦しくなく、気軽に、時々笑えるようにはなっており、多少北欧神話のイメージを変えてはいたが、そうは言っても朗読劇全体としては、私がイメージしていた北欧神話のイメージ通りだった。
 また、北欧神話のいつか神も人もこの世に生を受ける何もかも滅び、この世界は1から再生されるという、まさに中二病的な終末論、今で言うところの陰謀論的な部分もしっかりと真面目に取り組んでおり、楽しめた。
 しかし、邪神や怪物、巨人や小人と神々、人同士が争い、戦い一旦は滅亡するという構図が、中二病的と一蹴して笑える程、実際に私達が生きているこの世界が到底平和とは言えず、世界各地では、ロシアによるウクライナ侵攻、ミャンマー紛争、ガザのハマスとイスラエルによる民間人を巻き込んだ紛争、アフリカ諸国での絶えない紛争、地球温暖化による異常気象、密猟などが起こっており、北欧神話の在り方がただのフィクションとも言えない状況となってきていることに気付き、ゾッと寒くなった。
 但し、北欧神話の朗読劇の最後では全てが滅びたあとに、僅かに生き残ったオーディンの子どもたちや一組だけ辛うじて生き残った人間の男女などを中心に、質素で貧しく、先行きが見通せない絶望的な世界ながらも、一歩を踏み出そうと努力する姿勢に心打たれ、そこに現実はどうか分からないが、少なくとも劇の中では希望を見出すことができた。

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