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そして、死んでくれ

そして、死んでくれ

ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)

2021/10/13 (水) ~ 2021/10/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

重厚・端正といった印象の公演。
物語は、昭和11(1936)年に起きた二・二六事件の当日とその前・後日を青年将校の視点で描いたもの。丁寧な作りだと思うが、説明にあった「コロナ禍を生きる全ての人に問う。私たちが目指す未来とは?」に直結する描きではなく、史実と思われることを順々に展開し、そこから観客が各々想像を膨らませてほしいと…。上演前から流れている放送は、事件の半年後に開催されたベルリン・オリンピックの競泳実況「前畑ガンバレ!」が、何となく現代に繋がってくるが…。
(上演時間1時間40分)

ネタバレBOX

舞台美術、雰囲気は中央に大きな両袖机、上手・下手側奥に別(独白)スペース、奥は壁に沿って少し高くした通路のようなもの。全体的に薄暗く、机や色調から重厚さを漂わす。もちろん、物語も要人殺害というクーデター(未遂)であり笑いといった緩める場面は皆無。冒頭、登場人物が横一列に並びピン照明に浮かぶ姿は神々しい。

梗概…昭和恐慌により拡大する貧富の差に皇道派の青年将校は大臣・官僚を抹殺し天皇を中心とした政権を作ろうと2月26日、雪の降りしきる夜にクーデターを実行。総理、内大臣、侍従長等を暗殺。一時軍部は彼らの行動に理解を示し、クーデターは成功したかに見えたが、それは事態を収拾しようと画策した政府による時間稼ぎ。舞台では、真崎甚三郎大将(軍事参議官)にその役どころを担わせている。さらに総理が生きていた事がわかると事態は一変する。政府は天皇の勅命により原隊に戻るよう呼びかけ軍に戻ろうとする。しかし当初から消極的で、やるからには逆賊になる覚悟だった安藤大尉は…。この話は映画「226」と同じで、何となく映画の舞台化といった感じだ。主人公と言ってもよい安藤大尉の態度や行動も同じ。この事件の背景にある貧しき人々、特に東北地方の農村部の事情が語られる。Wikipedia他、多くの本やネット情報(内容の濃淡や真偽不明も含め)に概要が記されており、さして目新しい情報ではない。

翻って現代をみると、コロナ禍によって既に日本社会にあった問題、すなわち労働問題や経済格差(貧困)などが鮮明になった。コロナ禍によって非正規雇用、自営業、サービス業を営む人たちが職を失ったり派遣切りにあう。社会的弱者に対する政治(社会)の底が抜けた瞬間を見たのだ。そして2020東京オリンピックの開催を巡って右往左往する政府。政治(不信)に目を向ければ森友学園問題やキャリア官僚によるコロナに係る給付金詐欺事件等、解決すべきこと。さらにコロナ不況への対応等、問題は山積している。二・二六事件当時と時代や状況の違いがあり、一概には論じられない。しかし、今起きていることは足元だけではなく、先々を考えなければいけない。二・二六事件の半年後のオリンピックで日本中が沸いたらしいが、その足元では軍靴の音が大きくなり始めていた。現代の足元に忍び寄る不気味な事とは…しっかり自分で状況を見極め、考えることが必要になっている、そんなことを思わせる公演。

舞台は、薄暗いだけに照明効果(個人への青白いスポット、全体への暖色といった使い分けや階調)は印象的。また天井や床から人物への垂直照射はシルエットを作り哀愁が漂う。登場人物は9名(うち女性2名)だが、女性は将校の妻役ということもあり、登場場面が少ないのが残念。それだけに重苦しい状況が続く中で、妻との会話でホッとさせたり惜別といった感情で揺さぶる。男優の軍人役は髪を短く刈り込み、将校の兄役だけ少し長髪。そして軍服姿が凛々しく、姿勢や立ち居振る舞いもそれらしい。女優2人は着物姿で楚々としており、夫を支えるという健気さ。外見からの役作りに好感。そして役者陣のバランスの良さ、演技は熱演でとても旗揚げ公演とは思えない。小道具も軍刀や「尊皇討奸」と書かれた日の丸旗などによって状況説明する。音響は暗転時のピアノの単音と劇中で将校たちが歌う「昭和維新の歌」が印象的。先にも記したが、全体的に丁寧な作り。
ただ、直截的には「二.・二六事件」という史実の狭い世界を描いているようで、勿体なかった。

次回公演も楽しみにしております。
友達

友達

シス・カンパニー

サンケイホールブリーゼ(大阪府)

2021/10/02 (土) ~ 2021/10/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度

鑑賞日2021/10/05 (火)

不条理劇らしいと聞いて、ちょっと嫌な予感がしたのを覚えている。一度も舞台を観たことがない演出家だった。

案の定、客席の私は最初から沈没した。
9人の闖入者があったら、私なら、過呼吸になるくらい驚愕するだろう。9人なのだ、衝撃は半端ない筈だ。あんなに安易に受け入れてしまうものだろうか。
この、リアル感のなさに思いっきり退いた。

もうダメね。ちっとも芝居に入り込めない。
かつていろいろ観た、別役さんの不条理劇。けっこう笑えちゃう部分もあって、面白かった覚えがある。

浅野和之(祖母)、キムラ緑子(母)、鷲尾真知子・・。
この豪華なキャストに期待しない演劇ファンはないだろう。その彼らが端役を演じたのだ。
この「無駄に豪華」な配役陣で1時間30分の舞台だった。

床に設置された、どこでもドアみたいなところから、男以外のいろいろな登場人物が出現する。男と闖入者9人以外の登場人物が、太い綱でつながれている。だから何だって訳じゃないけど。繋がれた奴のとこにはアイツらはこないってことのようだ。

少しずつ追い詰められていく男(鈴木浩介)がちっとも気の毒に思えない。
最後に男は、布で覆われた牢屋の中で毒入り葡萄酒を呑まされ、吐血して死ぬ。流れ出た血が徐々に広がっていく終幕部。
吐血ってあんなに血が出るものだろうかと思わずツッコミを入れたくなった。

サスペンスドラマだって2時間は楽しめる。1時間半の芝居に、私は何を期待して来たのだろうか。
そんな私が何よりも、不条理・・!

そして、死んでくれ

そして、死んでくれ

ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)

2021/10/13 (水) ~ 2021/10/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/10/13 (水) 19:00

100分。休憩なし。

HELI-X Ⅱ

HELI-X Ⅱ

High-position

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2021/10/07 (木) ~ 2021/10/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

今回も殺陣シーン満載でカッコ良かったです。「HELI-X」として生きる彼らの痛みが切なかった。次回もあるようなので、みんな幸せになれるよう祈っています。

ネタバレBOX

大志くんが全部かっさらって行った〜と言う印象(笑)
「PUZZLE~HUGALIVE2021~」「天穹の雫」

「PUZZLE~HUGALIVE2021~」「天穹の雫」

ハグハグ共和国

萬劇場(東京都)

2021/10/07 (木) ~ 2021/10/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「Your CHOICE」観劇
面白い企画、選択の時間の1分は少し長いかな⁉︎と、感じましたが、
その最中のアドリブも楽しかったです!

大人のメルヘン絵本シリーズ 『霧野仙子』

大人のメルヘン絵本シリーズ 『霧野仙子』

Project Nyx

満天星Cafe(東京都)

2018/11/20 (火) ~ 2018/12/11 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

座席1階

2021年10月8日から17日にかけての公演を拝見した。
これまでに5回?公演があったというが、今回はニクス15周年記念公演と銘打ち、新宿梁山泊の芝居小屋満点星で行われた。

霧野仙子とヤルセナカスが4組。それぞれバージョンが違う。拝見したのは、霧野仙子役に吉田直子、ヤルセナカス役にジャン・裕一という大人の風格漂う「ジュテーム」組だ。前振りや舞台回しを受け持つ「ラズベリー隊」に、ニクス率いる水嶋カンナを筆頭に20,30,40代女性のトリオで舞台を仕切った。

そもそも、漫画家やなせたかしとイラストレーター宇野亞喜良が組んだ最初で最後の絵本のオマージュ作品だ。だが、リーディングのスタイルでなく、絵本をベースに宇野亞喜良の絵をふんだんにつかった、1時間余りのニクスらしい妖艶な舞台が展開する。
自分が見た「ジュテーム」組は、霧野仙子の何とも言えない色っぽさが物語を支配する。吉田直子のゾクッと来るような美しさに見入ってしまう。一方のラズベリー隊は、前振りですべるところもあったが、やなせたかしの歌詞を奏でるコーラスは満足できる。バックのギター演奏もよかった。そのメロディーに「天国への階段」があったのにはとても感動した。

新宿梁山泊は12月に、李麗仙追悼公演と銘打って「少女仮面」を上演する。水嶋カンナの熱演をここでも期待したい。

ラ・ラ・ラジオ物語

ラ・ラ・ラジオ物語

劇団暴創族

劇場MOMO(東京都)

2021/10/06 (水) ~ 2021/10/10 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★

全く初めて観る劇団さん。
今回ご縁があり配信にて観させて頂きました。

ネタバレBOX

ドタバタハプニングコメディ…からの、思いがけない心の闇への急展開。
別作品に変わったのかというくらいのエッジの利かせ方で、ちょっとそれぞれ別々の話で観たかったかなくらいの気持ちに。

設定には若干ん〜…となる部分も。
そういう精神疾患を抱えている人をラジオパーソナリティに起用するという点、承知の上で起用しているにも関わらず問題発生の際の対処があまりに非人道的だという点、ラジオ局がラジオパーソナリティ一本で活動しているようなタレントただひとりで回されているという点、殺人を犯した犯人の取り違えが暴かれなかった点、色々と首を傾げざるを得なくて。。。

とはいえ前半のコメディな部分は気楽に楽しく観られて面白かったですし。
終盤の闇落ちの部分は、その問題に的を絞って集中して観たくもありました。
落差狙いどんでん返し狙いもあったでしょうが、せっかくの楽しい前半部分の値打ちが損なわれる気持ち。

トラウマに起因する精神崩壊、記憶の入れ替わり。トラウマの内容が内容なだけに面白い…といえば不謹慎なようにも思いますが、あの精神世界の設定は、そりゃあありえないと言えばありえないですが、ありえないことはありえないと断定した時点でありえないことになるわけで、こういうことが起こり得る世界であると思えばそれは起こり得ることなのであり、わたしはここが一番興味深く面白かったです。
前半と終盤のバランスがもう少し…という印象でしょうか、難しい。。。

各役者さん皆さん達者で魅力的でした。
毎朝仕事行く前にラジオ聴いてるので、個人的にはラジオブースという舞台設定にも親しみを覚えました。

チラシデザインが可愛かった。素敵デザイン。
あとそういう対策方法があるというのは小耳には挟んでました、実際に舞台と客席の間にアクリル板の壁を設けているケースを初めて観ました。
生観劇だと反射とかどうなのだろう?興味深いです。
キルミーアゲイン'21

キルミーアゲイン'21

劇団鹿殺し

松下IMPホール(大阪府)

2021/10/15 (金) ~ 2021/10/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

最高だった

ピンク

ピンク

猫のホテル

ザ・スズナリ(東京都)

2021/10/06 (水) ~ 2021/10/13 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

良かったよ

いらないものだけ手に入る

いらないものだけ手に入る

兵庫県立ピッコロ劇団

ピッコロシアター (兵庫県)

2021/10/09 (土) ~ 2021/10/14 (木)公演終了

実演鑑賞

流石ピッコロ。舞台装置(大道具含む)は、値段の割にお得感ある。内容については、題目との繋がりが未だに見えないが、綺麗な時間がながれた。その中には差別・過去の歴史過程・シンボルに基づいた争い(今の世界でもある問題)が未来永劫続くのだが、和平もできるが結局は・・・。平日にも関わらず、かなりの人が入っており、楽しく拝見できました。

青年団「東京ノート」

青年団「東京ノート」

枚方市総合文化芸術センター指定管理者 アートシティひらかた共同事業体

枚方市総合文化芸術センター/関西医大・小ホール(大阪府)

2021/10/08 (金) ~ 2021/10/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/10/08 (金)

青年団はレパートリーを一定期間ごとに再演してくれるので、地方に住む平田オリザが言うところの「ボクのお客さん」たちは、安心して、好きな芝居の再演を待つことができる。
何年ぶりの「東京ノート」だろうか。
こけら落としの劇場で、久々の「東京ノート」だった。一新された舞台美術がとてもオシャレ。

通常、芝居で台詞が重なることはほぼないが、同時多発演劇の舞台に最初は慣れるまでちょっと戸惑う。
聞いて欲しい会話は巧妙にクローズアップされるので焦ることはないのだけれど。

遺産の絵を相続する問題や高校時代の家庭教師との火遊びやら平和運動をしていてその後堅実な仕事に就いた学芸員の意外な前歴やら・・。まるで人の噂話を立ち聞きするような舞台に観客は耳をひそめる。同じ舞台を観ても、その時の自分の関心事やら経験でハッとする場面が違うのが面白い。観客ひとりひとりの「東京ノート」である。

<ネタバレへ>

私の場合、苦しい時に、女同士はこんなふうに助け合えるんだと、胸がキュンとした。舞台が、自分の生きてきた人生にスポットライトを当ててくれるようで、平田オリザの再演舞台は毎回楽しみにしている。

ネタバレBOX

義姉の由美(松田弘子)の美術館めぐりにつきあう次男の嫁の好恵(能島瑞穂)、あまり絵に詳しくない彼女は感心しきりなのだが、そのさりげない会話を重ねる中で、終演近く唐突に、夫に泣きながら「好きな女ができたから」と別れを切り出されたと打ち明ける。

どんなに親しく付き合っていても、離縁すると別れた妻は夫の親類とは通常付き合いが無くなる。
こっちが泣きたくなると白状した好恵に、由美が泣いた方が負けだという”逆にらめっこ”をする終幕部。
HELI-X Ⅱ

HELI-X Ⅱ

High-position

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2021/10/07 (木) ~ 2021/10/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

なんともカッケーSFダークファンタジーアクション。のめり込んでしまいました。次回作も楽しみだ。

いとしの儚

いとしの儚

る・ひまわり

六本木トリコロールシアター(東京都)

2021/10/06 (水) ~ 2021/10/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

儚くて、切ない、オトナの和風ダークファンタジー、グッときましたね。一人多役の多い役者さん達の熱演も見事でした。

クロノス

クロノス

LOGOTyPE

中目黒キンケロ・シアター(東京都)

2021/10/06 (水) ~ 2021/10/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

この演目初めての観劇。高密度で、スピーディーな展開に引き込まれました。役者さん達の熱演にもグッときましたね。

HELI-X Ⅱ

HELI-X Ⅱ

High-position

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2021/10/07 (木) ~ 2021/10/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/10/11 (月) 19:00

ステージの左右の上にはロックのコンサートに行くとあるようなスピーカーがあり、いつもより音響がくっきりはっきり&迫力。

ペーパーカンパニー ゴーストカンパニー

ペーパーカンパニー ゴーストカンパニー

BE WOOD LIVE

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2021/10/06 (水) ~ 2021/10/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

劇場は感染対策万全の環境で、楽しむ事が出来ました。締切前で修羅場な新聞編集室での…スラップスティックながらも…ハート温まる良い作品でした。
千秋楽も配信で鑑賞しました。

ファクトチェック

ファクトチェック

秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場

紀伊國屋ホール(東京都)

2021/09/17 (金) ~ 2021/09/26 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★★

重厚な会話劇。
政治問題を家族問題に上手くリンクさせた脚本が見事。
役者さん達の演技が素晴らしかった。
候補作の選考基準が良く分からないが今年の読売演劇大賞で
この作品が選ばれたら読売少し見直すかも。さて。

心は孤独なアトム

心は孤独なアトム

“STRAYDOG”

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2021/10/06 (水) ~ 2021/10/10 (日)公演終了

実演鑑賞

4年ぶりに “STRAYDOG“Produce公演。やっと初めて「心は孤独なアトム」観たわけで。期待していた以上に面白かったし 楽しかったし何が大切なのか考えさせられたり 人を思う大切な気持ち 後悔しない生き方が大事。何度も再演されてるわけがすごくわかり 今回 延期になりながらも上演されて本当に良かった!千秋楽しか 観てませんが 役者さん達 ひとり ひとり役にはまっていたし 熱い気持ちが伝わってきて感動❗️観に行く きっかけになった 安川さんに感謝! 機会があれば ぜひ また再演を。

ヌーのコインロッカーは使用禁止

ヌーのコインロッカーは使用禁止

映像劇団テンアンツ

「劇」小劇場(東京都)

2021/10/08 (金) ~ 2021/10/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白い! 
正直、「切なくて愛おしい 心温まる 笑いと涙の人情ファンタジー」という謳い文句以上の感動作。満席なのも頷ける。笑い声、啜り泣き、時に拍手と観客を巻き込んでの好公演。
前説、仮面をつけた上西雄大氏(映像劇団テンアンツ代表)の笑いの中にも優しさ溢れる話のまま本編へ。3時間40分(休憩15分含む)という大作だが、泣き笑いという感情を揺さぶり続ける。その振幅に酔いしれているため、体感時間はアッという間だ(大袈裟か)。
物語は、社会的なことを絡ませるわけでも、何かを比喩や暗喩するといった深い思考を巡らせる事(必要)も無く、ひたすら物語に感情をゆだねるだけ。それで満足だ。

卑小と思いつつも気になるところ。課題と言えるか分からないが…。
物語だけであれば、正味3時間程度もしくは切るかもしれない。本作は映画化されており、或る国際映画祭では最優秀作品賞(グランプリ)を受賞するなど評価されている。映像では容易に出来ることが、舞台では簡単に出来ない。場面転換のことである。映画ではカット割り・撮影後、編集でいかようにでも状況や情景を表現出来るが、舞台は場面転換が多くなる。その間、物語は足踏みしている。
一方、場面転換がないと泣き笑いの感情が置いて行かれ余韻に浸る時がない。完全暗転ではなく薄暗くすることで転換作業を観せ、効果的な音楽も流し観客の意識を離さない巧さもあった。
本作は、幅広い年代に愛されると思う。ただ上演時間が長いと年配者には(身体的に)辛いかもしれない。若い人も含め、途中休憩時には大半の人が劇場外に出て伸びをする姿があったのも事実。多くの人に観てほしい作品。ラストは感動!

(T徳竹・主人公ヌー役編)

ネタバレBOX

冒頭の舞台セットは、中央にタイトルにもなっているロッカー、上手側は安酒場・ベルサイユ、下手側にたばこ屋と占い机。ただし頻繁に場面転換し、時にヤクザ事務所、ラーメン店、病院、警察署内等へ変わる。変わらないのはロッカーだけだが、ラストの変形には驚かされる。場面転換に応じてテーブル、椅子、ベット、そして望遠鏡といった道具が搬入・搬出される。

梗概…主人公は発達障がい者の那須叶(なすかなえ)、通称ヌー(徳竹未夏サン)。26年前の12月ある寒い日、コインロッカーに捨てられた彼女は、そこが生家と思いコインロッカーを守りながら、毎日ロッカーの前で絵を描いていた。ある日、ヌーは刑務所から出所した黒迫和眞、通称カーブ(上西雄大サン)と出会う。黒迫は別れた妻子に金を送るため、ロッカー近くで覚醒剤売買をし金を稼いでいた。ある日 思い付きでヌーの絵をSNSにアップしたところ、あるバイヤーからヌーの絵を買いたいとの連絡が入り、何枚かを高額で売ってしまう。ヌーを利用しようとしていたが、彼女の純粋な心に触れる中で、彼の中に良心が生まれ出していた。そんな時、ヌーが白血病で倒れてしまうが…。

最大の魅力は、役者陣の演技とバランスの良さ。特にヌー役の徳竹未夏さんのピュアな愛らしさが、観客の心を鷲づかみにする。カーブのこれからはずっとそばに居て守ってやる、は納得の台詞。
情景や状況の変化に応じた場面転換、その時に流す音楽がシーンイメージに合致しており、選曲の上手さに感心。また後半の冒頭には、吉村ビソーさんが 流しの役でギターによる生演奏を聴かせ、そのまま物語の世界へ誘う。洒落た演出だ。
色々な場面(酒場での「ベルサイユのばら」寸劇、ラーメン店でのおやじコント、ホームレスの暮らし、障がい者施設での虐めなど)が挿入されるが、その場面全体を通してヌーが住んでいる街の風景を表す。そこに住んでいる人々の暮らしや様子を垣間見せている。そして怒涛のように繰り出される笑いと涙の場面、その情動が半端ない。思わず観ている時間感覚がマヒするくらい観入ってしまう。

この人々や街の紹介・説明そして案内をするのが、擬人化した着ぐるみ犬・ボッチ(ダメダメ人間の言葉は解る。弱き者の視点らしい)。実に愛嬌があって親しみやすいのだが、ヌーWキャストの古川藍さんが扮している。どうりで上手いわけだ。
ラスト、ヌーの慰め独り言とボッチの悲痛な叫び、その言葉に胸が締め付けられる。感動の嵐‼

次回公演も楽しみにしております。
ゆびさきと恋々

ゆびさきと恋々

ワタナベエンターテインメント

本多劇場(東京都)

2021/06/04 (金) ~ 2021/06/13 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★★

暫くぶりに全く悪意のない、悲劇のない、透明でピュアな恋の物語を観た。原作を知らないので、主人公の雪(雪の穢れのない素直な表情が愛おしい!)が傷つくことがないようにと半分ヒヤヒヤしながら観ていたが、とてもやさしい話の流れとハッピーエンドにほっとした。耳の聞こえない少女とバックパッカーで世界を回る青年の感覚のつながりがとても素敵だった。

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