最新の観てきた!クチコミ一覧

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執着の泡

執着の泡

good morning N°5

ザ・スズナリ(東京都)

2025/07/17 (木) ~ 2025/07/30 (水)公演終了

夏場所八番勝負-後半戦-

夏場所八番勝負-後半戦-

STAR☆JACKS

STAR☆JACKS Studio(大阪府)

2025/07/12 (土) ~ 2025/07/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

夏場所八番勝負、後半のみの参戦でしたが、6月末から2週間ごとにS☆Jファミリーの皆さんの熱演に触れられる幸せに浸った約1ヶ月、いよいよ今日、赤松英実さんの卒業公演を見届けての終了となりました。
英実さんの卒業公演「角をかくす」はタカラヅカのサヨナラ公演さながらの、英実さん退団を匂わせる台詞を散りばめつつも、ファミリーの面々当て書き⁇と思わせる温かさと明るさに満ちた作品で、ほっこり温かい気持ちになりました。英実さんの今後にも幸多かれと願います。
さてここからは私の妄想、今後のファミリーの皆さんへの勝手な思いですが。
悠里&結子ダブルでヘレン、薫&和柯ダブルでアニー(サリバン)で「奇跡の人」とか。
あと、私がS☆Jファミリーに初めて遭遇した時からずっと思ってた事、「深川安楽亭(いのちぼうにふろう物語)」をいつかS☆Jファミリーで観てみたい…とか。
色々思いを巡らせつつ、これからも楽しませていただきます。そして全力で応援させていただきます。
千秋楽まで頑張って駆け抜けて下さい。

vol.41 「廃墟」、vol.42 「そぞろの民」

vol.41 「廃墟」、vol.42 「そぞろの民」

TRASHMASTERS

駅前劇場(東京都)

2025/07/25 (金) ~ 2025/08/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「廃墟」

完全にイカれてる。昔、スタークラブが「RADICAL RADICAL RADICAL REAL ROCK!」と歌ったがまさにそんな舞台。
敗戦の玉音放送、家族を疎開させ自宅で独り聴いた三好十郎。訳も分からず声を上げて泣いた。しかしその理由がどうにも言語化できない。自分の根源で瞑想するが如く問い掛けては1946年11月に書き上げた戯曲が今作。日本人のことが好きで好きで堪らない自分に気付いて驚いたと言う。

家の主、北直樹氏。休職願を出している歴史学者の大学教授。自らの戦争責任に対して思い悩み近代日本の成り立ちをもう一度検証しようと考える。

長男、長谷川景氏。新聞社勤務の共産党員。戦中、特高に検挙されて終戦まで刑務所に入れられていた。

長女、登場せず。有望な女医だったが敗戦を知って自害。

次男、倉貫匡弘氏。真面目で一本気、優秀な学生だったが召集のち特攻隊に取られ、敗戦を迎える。信じるに足るものを全て失ったアプレゲール(戦後派)。命知らずの愚連隊として全ての価値観に唾を吐いて回る。1936年発売、「HERMES DRY GIN(ヘルメス・ドライ・ジン)」をガブ飲み。度数は37度。飲み過ぎだろ。

次女、小崎実希子さん。顔の右半分を覆うケロイド。イスラム教を信仰しようとしているのか?

亡き妻の弟、吉田祐健氏。ブラジルなどの海外移民ゴロであろう。

焼け出され家事を賄う住み込みの女性、川﨑初夏さん。今作のキーパーソン。実に色っぽい。水を汲んでお茶を淹れ、茶碗を洗い布巾で拭く。

大工の棟梁の娘、小谷佳加さん。自宅建築費用の未払い金の催促に訪れる。この役は演りたかったろう。実に生き生きとしていた。

自殺した長女の学友、今はパンパンの下池沙知さん。

北直樹氏は演劇歴36年、「こんなに難しい台本とは初めて出会いました!」と書かれていた。北大路欣也風メイクでこの戯曲を我が物とする。無論MVP。
隻腕の学生、星野卓誠(たかのぶ)氏は中村勘九郎っぽい。
倉貫匡弘氏は中山一也や北村一輝のイケメン犯罪者の系譜。
小崎実希子さんは役の幅が膨れ上がった。

中津留章仁氏のもと、狂気の討論劇(ディスカッション・アクト)に身を投ず劇団員と客演達。これこそアングラだと思う。映画として公開された『三島由紀夫vs東大全共闘〜50年目の真実〜』なんかに興奮した連中は絶対観るべき。『日本の夜と霧』のような緊迫感。今作の凄さは三好十郎の戯曲ではなく、それを全身全霊込めて肉体化し憑依させた役者達にこそある。令和に誇るべきアングラ芝居。

ネタバレBOX

この世には二つの立場の人間しかいない。資本家(ブルジョワジー)と労働者(プロレタリアート)だ。資本家を打倒した後に労働者による平等な世界が訪れる。共産主義=平等主義。人間に貴賤貧富の差のない平等な社会の実現。だが果たして人間はそんな生物だろうか?

政治的に右派=維持、左派=解体と考えれば解り易い。左派の方向性は何もかも解体して意味を無くしてしまおうという考え方。その結果として国がメチャメチャになるパターンが多発する。家父長制、歴史、伝統、家族、性別、国籍、ゆくゆくは国家すら解体しようと企む。国がなくなってしまえば世界はいずれ一つになるという妄想か?性善説を盲信する余り、全く人間の本質を掴めていない。本能的に左派に忌避感を抱く人間は仕方なく右派を支持することとなる。

吉田祐健氏の登場から何か自分的には話が停滞した。どうもうまくない流れ。理由は判然としない。キャラの設定に違和感を覚えたのか。台詞のリズムが合わなかったのか。妙に引っ掛かった。

何となく黒澤明の『どん底』っぽさを感じ、「折角の踊りをぶち壊しやがって」と浮浪者が吐き捨てて締めるのかと思いきや、観客にペコペコと御辞儀。実は配役表を見るまで星野卓誠氏の二役だと思っていた。浮浪者は寺中寿之氏だったとは。

※観劇中に思い出したのは昔読んだ、とある宗教小説。ヤクザの若者が指を詰めて改心を示すラスト。今回の舞台の登場人物達もまるで信仰者のように見える。信仰によって世界は間違いなく変えられると信じている熱気。今の時代にないものはそれかも知れない。信じるに足る希望。世界をきっと正せると、全ての人間を導けると。
銀河ホテルへ

銀河ホテルへ

MMS エンターテインメント ミュージカル

クレオ大阪中央(大阪府)

2025/07/26 (土) ~ 2025/07/26 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

最高の出来
時間軸をとても上手く活用して、家族愛をとても上手く表現してました 2度位涙が溢れました…
制作(受付💁)対応以外は、満点です

唯一者とその喪失

唯一者とその喪失

dracom

ウイングフィールド(大阪府)

2025/07/25 (金) ~ 2025/07/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

うーん🤔
題材となった事件すら知らないし…
これを観ても、何が主張したいのか全くとして…
なんとなく生きてきた自分の人生と、目的を持って日本に来たベトナム人に嫉妬したのが動機なんだろうか?

パビリオンをください

パビリオンをください

電動夏子安置システム

赤坂RED/THEATER(東京都)

2025/07/25 (金) ~ 2025/07/29 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

いままさに大阪で万博やっていることもありジャストタイミングなテーマでめちゃくちゃ楽しめました。大阪でも今回の舞台のようなドタバタが裏ではあったりして…と思いながら観劇しました。あと、どうでもいいことですが、前説というかMCがすばらしかったです^^ トカラ列島の旅行の話、舞台の最後でオチを聞きたかったですw それと、実は劇場熱くて眠気に襲われました… 思いっきり暑いサインを送っていましたが気づいてもらえませんでしたw←当たり前かw

パラサイト・パラダイス

パラサイト・パラダイス

ワンツーワークス

新宿シアタートップス(東京都)

2025/07/23 (水) ~ 2025/07/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

久しぶりの観劇で安定の匠の技を堪能した。
平凡な中年夫婦の家で起こる家族間トラブルを描いた程よいドタバタ感のあるコメディ。
2003年初演のせいか題材に今更感があるのが少し残念。扱われている諸問題は22年が経過しても解決してはいないが、コロナ禍、物価高、外国人問題などの大波に覆い隠されてしまった。

銀河ホテルへ

銀河ホテルへ

MMS エンターテインメント ミュージカル

クレオ大阪中央(大阪府)

2025/07/26 (土) ~ 2025/07/26 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

今を大事に生きるということ、命の大切さについて改めて考えさせられる内容、キャストも多く、皆さんの躍動感が会場を包み込み、素晴らしかったです!

『アネモネ、誰の為に咲く?』

『アネモネ、誰の為に咲く?』

シーリア企画

GALLERY工+with(東京都)

2025/07/25 (金) ~ 2025/07/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

劇団初見。会場も初めて。窓から緑が見えていいロケーションですね。芝居の方は前半が観客との交流会のようなメルヘンチックな世界。自分には場違いかなと思った。衝撃音とともに始まる後半ではああそういうことなのかと。かなりシリアスで、前半とのギャップが大きいな。

宮澤賢治・宛名のない手紙

宮澤賢治・宛名のない手紙

劇団昴

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2025/07/24 (木) ~ 2025/07/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

メイン三人のセリフの長々しいこと、そして三人とも詰まることもないしゃべりでさすがと感じ。
脇役の役者達のダンスパフォーマンスも素晴らしく見応えあり有り。
エレクトーンの演奏もストーリーにマッチしていてとても良かったです。

インプロバトルショー「アクサガ2025」

インプロバトルショー「アクサガ2025」

インプロカンパニーPlatform

高円寺K'sスタジオ【本館】(東京都)

2025/07/25 (金) ~ 2025/07/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

前半は2人または3人による即興によるお芝居でお題はお客様から投票等で決めるみたい、後半は女性3人がカードを引いて役柄を決め、男性がその3人に迫るというお芝居で、どちらもどんな展開になるのか、その都度変化するみたいで、なかなか面白かったです。1度だけではなく、何回も観てみたいですね。

君の夏則

君の夏則

Oji中高生演劇スクール実行委員会

インディペンデントシアターOji(東京都)

2025/07/25 (金) ~ 2025/07/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

構成・演出は笠浦静花さん。出演者4人のはずが、今日は1人体調不良で休みとなり、急遽3人用に練り直したのだそう。とても瑞々しく、気持ちのいい舞台だった。

『アネモネ、誰の為に咲く?』

『アネモネ、誰の為に咲く?』

シーリア企画

GALLERY工+with(東京都)

2025/07/25 (金) ~ 2025/07/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

少女が人形遊びに夢中になる理由。ヌイグルミとして、がっつり観客参加型。おっさんには少々ガーリーが過ぎる。話しかけられても、世界観を壊さない受け答えができず難儀する。

『アネモネ、誰の為に咲く?』

『アネモネ、誰の為に咲く?』

シーリア企画

GALLERY工+with(東京都)

2025/07/25 (金) ~ 2025/07/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 初日を拝見。

ネタバレBOX

 Galleryでの公演なので演じられる空間は、通常の床を観客用の椅子で囲んだほぼ楕円形。楕円形の上手下方に電子ピアノ。フライヤーに記されているように“映画でもない、演劇でもない、気がつけば隣人”と言い得るような内容である。表現としてはほぼ一人芝居。演者は独りの少女。小ぶりで白い熊のぬいぐるみが唯一の友達。ぬいぐるみは名前を持つが古武士のような名である。他に恐らく病を患っている母。生演奏をしているピアニストに誘われて少女がピアノを弾くシーンがある。印象的なのは少女が裸足であること。
 フライヤーに記されている“映画でもない、・・・云々”のコピー通り通常のストーリーテリングな展開は排除されており、少女の暮らしについての独白、たった独りの生活の中で繰り返されるぬいぐるみとの自作自演「対話」、観客を巻き込んだしりとりや記憶力ゲーム、独白、動物の形態模写等がランダムを装って演じられる。かなり抽象度の高い作品なので上に挙げた様々なアクションがどのように繋がり、何を示唆しているのかについては様々な解釈が可能な作品であると言えようが、フライヤーに記されていたコピーのラスト“気がつけば隣人”は確かに現在日本人の多くが陥っている或る精神状態或いは精神疾患と無縁ではないと解釈した。またアネモネの花言葉も顧慮する必要があろう。一応おさらいをしておくとアネモネの花言葉に哀しいものが多いのはアフロディテが恋したアドニスが不慮の事故で亡くなりアフロディテが流した涙やアドニスの流した血からアネモネが咲いたとされる話が人口に膾炙したからではあるが、花の色によって花言葉が異なるので自分は、この説を重視し哀しみに纏わる花言葉を選んでいる。
 今作の本質的メッセージが最も濃く表れるのは、動物の形態模写場面からであろう。兎や蛙など幾種類もの動物を演じていた少女は、突然起こった銃撃に倒れる。自分はこのシーンで「ごんぎつね」を想起した。新見南吉の有名な作品だから内容はご存じだろう、省略する。ごんの哀れな末期に深い哀しみを覚えるのである。今作ではこの動物形態模写とどうやら病んでいると思しき母の登場、母から身を隠す“かくれんぼ”によって自らのアイデンティティー不成立の根拠からも、母という自らの創造者との二人称関係からの脱却にもチャレンジし得ない結果抱えたアンヴィヴァレンツからも、逃げてばかりいる少女の、非主体的生き方の齎した諸状況を感得した。
 このような精神状態を持つ日本人が増加しているという意味で“気がつけば隣人”即ちSome one like youなのである。父の不在とぬいぐるみの名からは、第三者性の欠如があからさまに見え、結果、実存レベルで己を客観化し得ない主体のamorphousが自ずと見えてくる。
六道追分(ろくどうおいわけ)~第八期~

六道追分(ろくどうおいわけ)~第八期~

片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2025/07/24 (木) ~ 2025/08/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

#8くりロン
第三期、第七期に続いて3回目。やはり楽しんで観てもらう、そんなサービス精神に溢れたエンターテインメント作品。そして改めて、人と人の繋がりの大切さ、思いやりといった心情、それを優しく見つめるような劇作。今回は六道の内 人間道の在り様を強く感じた。毎期キャストや組み合わせが変わり、同じ脚本や演出、舞台装置にも関わらず違った印象の物語になる。まさに「舞台は生もの」を再認識した。
(上演時間1時間40分 休憩なし) 【第八期 剣】

ネタバレBOX

舞台美術は、中央に格子状の衝立2つ。それを可動させ 遊郭の格子戸(籬)を表す。上手は 場景に応じて遊郭の半円障子や道中の石垣など、柱状の装置を半回転させる。下手は 丘のような階段状、その奥に朽ちた平板を組み合わせ、ラストは磔 処刑場。吉原へ通じる場所は、観てのお楽しみ。小さい劇場(空間)を巧く使った演出が妙。

梗概…清吉(通称・鬼アザミ)は子分の粂次郎、伊助、三吉(妻が病弱でいつか医者になりたい)と共に世を騒がせる”義賊”。いつしか守銭奴達を懲らしめる清吉一味は、江戸庶民の憂さを晴らす存在になっていた。しかし奉行所の取り締まりは厳しくなり、これを潮時と 最後に選んだ場所が不夜城「吉原」である。特に悪どいやり方で暴利を貪る大店ばかりに忍び込む。
一方、呼出し花魁 お菊は 刃傷沙汰を起こし、足抜けを余儀なくされていた。そんな時、忍び込んだ鬼アザミ一家と出会い...。吉原と東海道(大井川)を舞台に、人情味溢れる逃亡劇が始まる。清吉とお菊は旅を通じて お互いが孤独を癒し心を通わせていく。華やかな雰囲気と非情な成り行きの中で、情感豊かに描き 観客の心を揺さぶる。

人別改帳にも記載されない、捨て子の無宿として生まれた男と吉原という苦界に生まれ育った女の逃避行を描いた悲恋。どちらも不幸・不遇な身の上、その2人が旅の途中で出会った僧から「六道」の話を聞き、人の世の儚さと尊さを知る といった人情味ある話。タイトルにある「六道」を物語に巧みに織り込んで、人の心の在り様 を考えさせる。人間道で生きているが、その現世は因果の道理に…。六道を彷徨う人達の、切なく儚い道中、場面転換や心情表現にダンスを挿入するなど、観(魅)せる工夫も好かった。

ラストは、六道の輪廻転生ー色々な世界を死んだり生きたりしながら、グルグル回るーといった内容を2人の覚悟・心情に重ねるようだ。第八(最終)期は、同心 章衛門の子 沢山の話ーこの世に生まれさせたからには、良い世の中を作らなきゃいけない。この世の法(定め)は、必ずしも弱い者を助けてはくれない。そんな不条理が浮き上がるような印象を受けた。

華やかな雰囲気、それは出演者(特に女性)が吉原という場所柄、花魁姿の艶やかさを出し、旅に出てからは町娘に扮しての可憐さなど、いずれにしてもその”艶技”であろう。そして同心の庶民感覚と、与力等では考え方が違う。キャスト1人ひとりに物語での役割を持たせ、その個性が色々な雰囲気や相乗効果といった<力>になっている。それが長きに亘って公演を支えた要因ではなかろうか。
消えていくなら朝

消えていくなら朝

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2025/07/10 (木) ~ 2025/07/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/07/25 (金) 19:00

蓬莱竜太による家族ドラマは、面白いけど痛くもあって、緊張した作品だった。120分。
 蓬莱が2018年に書き下ろし宮田慶子・演出で初演した戯曲を、本人の演出で再演、だが初演は観てない。蓬莱の「私小説」的作品と話題だったが見逃してた作品をようやく観た。高校の卒業を機に東京に出てそこそこ売れている劇作家が彼女と久々に家に戻り家族が揃う。この家の事を書こうと思うというところから現われる、家族それぞれの抱える問題…。ありそうな展開ではあるが、時に痛い話題も出てくるものの客席に笑いも誘う。外部の視点、かと思ってた「彼女」も実は問題を抱えていることが分かり、どう終えるんだろうか、という展開が巧い。軸になる劇作家の造型が薄っぺらい印象を持ったが、どうだろうか。

テン9

テン9

ペキニーズ・ドットコム

OFF OFFシアター(東京都)

2025/07/15 (火) ~ 2025/07/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/07/17 (木) 14:00

会場に入ると新作公演に向けた稽古の休憩中らしき小芝居(笑)が既に演じられており、開演定刻に稽古再開、という出だしから「鳥皮節」全開だが、以前のようにアイデアが迸るのに任せた(暴言気味)というか制御しきれないというか、な感(それはそれで面白いのだが:為念)が薄れ、物語としてのまとまり(?)もある感じ。
特に終盤、実際の観客を劇中に取り込むという得意技(笑)や怪談風味も交えつつ「報われなかった公演の怨念」的なものをああいう形で描くのがまた巧い。

大塚ショートストーリー

大塚ショートストーリー

萬劇場

萬劇場(東京都)

2025/07/17 (木) ~ 2025/07/21 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

2回目は最終日の21日ソワレ。最初と最後を見たことになりますね。

(1) 演劇ユニットZANNEN座 「はなよははよ」
(2) どんぐり劇場 「かみの声」
(3) !ll nut up fam 「FruuÜuuit!」

初日とあわせて5作品を観劇しました。今回もテイストがバラバラ、お題に対するアプローチがさまざまで楽しかったです。

ネタバレBOX

(1) 演劇ユニットZANNEN座 「はなよははよ」
男性2人女性6人の8人構成。
主宰の方は「とある花屋のとある母娘の半世紀の記憶を辿る物語り」と表現されてます。素敵なお話でした。
シングルマザーになってしまった母との50年を、娘の視点で。娘の分身の語り部は男女4人が交互につとめるという。終盤「結婚式も、娘が生まれる時も、離婚したときも、ずっとそばについてくれた」。泣かせますねえ。
オイルショック時30才で今80才は年齢が2年ずれてると思ったのですが、2023年の再演なんですね。納得です。

(2) どんぐり劇場 「かみの声」
演者さん8人、みなさん澄んだ声で歌います。小学生かな、すがも児童合唱団の9人も何曲か参加してコーラスを。合わせて17人全員女性。
ミュージカルの中でもさらに歌に寄せたミュージカル、という印象でした。短編の中になんと11曲。
掛軸の表装という、あまり馴染みのないところを題材としたもの。保存としても芸術としても重要性があるのですね、勉強になります。
「スミ」には掛軸たちの声が聞こえてないとのこと。会話してたように見えましたが、実は聞こえるふりをして合わせてたということなのですね。気づきませんでした。
「フル」役の山﨑和香さんの歌声がとくにすごかったです。会場から拍手が湧きました。

(3) !ll nut up fam 「FruuÜuuit!」
初日に続いて2度目の拝見です。男性陣5人がイルナップファムさん、女性陣4人が姉妹団体のSuperb Sick Squadさん所属。さすがに息の合った掛け合いでした。他団体はいわゆるプロデュース公演が多いなか、この構成はむしろ珍しいのですね。
店頭に並ぶ桃を選ぶオーディション。8人の桃がそれぞれアピールするコメディ。それぞれが「選ばれなければならない理由がある!」と。
ピーチ姫はカラスに食べられた桃マリオのために。さくらももこは自分がなってた木トモゾウのために。桃太郎と桃三郎は芋虫に食べられた桃次郎のために。山口百恵はアピールの時間をもらえずひと節歌ってマイクを置きました。
思い返すとピーチ姫の太田彩佳さんは昨年の舞台「Spirit Seek Story」の「ブレイクザルール」でもお姫様のような役でした。舞踏会でフィーバーする淑女、だったかな。

複数の団体の短編集は楽しいです。1回で3度おいしい。来年もぜひ開催してほしいです。
宮澤賢治・宛名のない手紙

宮澤賢治・宛名のない手紙

劇団昴

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2025/07/24 (木) ~ 2025/07/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

超人気、流石来年50周年を迎える老舗劇団、風格がある。

「ケンタウルス、露を降らせ!」
ポランの広場、カラスウリの実をくり抜いて作った青い烏瓜のあかり。
イーハトーブオとは宮沢賢治が心の中に創った理想郷。岩手をもじったとされている。ある日、そこに暮らす山猫博士のもとに差出人不明、宛名のない手紙が届く。チュンセとポーセの兄妹の日々について書かれ、今もチュンセはポーセが何処に行ったのかを捜し続けている、と。それに非常に興味を持った山猫博士は手紙の中のヒントを辿り時空を越えて兄妹を捜す。それらしき兄妹が乗っていたのは銀河鉄道の客車だった。だが二人は否定する。けんじととし子だと。

山猫博士デステゥパーゴは金子由之氏、流石の名演。
けんじは音楽劇 『母さん』が記憶に残る町屋圭祐氏、少年役青年役を演らせたら無双。
とし子は『クリスマス・キャロル』で気になっていた上林未菜美さん、水を得た魚。
赤江隼平氏のかっこうの鳴き声。
聡鳥圭さんのキレのあるダンス。
森島美玖さんのほんわかした華。
江﨑泰介氏のたぬき。
洲本大輔氏のクールなヴァイオリニスト。
市川奈央子さんの三毛猫。

下手で生演奏のキーボード、佐藤拓馬氏。冨田勲を思わせるシンセサイザー交響楽が青白く光り有機交流電燈の電子幻想曲を奏でる。『どんぐりと山猫』の喧々諤々どんぐりギャグ、『よだかの星』の鳥達の歌が最高。

宮沢賢治の世界を丁寧に表現。選ばれた作品は人間と動物との関係性が強いもの。『よだかの星』が一際響いた。
宮沢賢治の作品は今では日本テレビの子会社となったスタジオジブリで全作アニメ化地上波TV放映して欲しい。
素晴らしい作品だった。

ネタバレBOX

第一幕『手紙 四』『銀河鉄道の夜』『どんぐりと山猫』『注文の多い料理店』。
第二幕『よだかの星』『セロ弾きのゴーシュ』『双子の星』『永訣の朝』『無声慟哭』。

『どんぐりと山猫』でジブリ調にスタート。
『注文の多い料理店』ではポールハンガーを役者達がこなす。ベネチアンマスクを被ったスタイリッシュな獣達。有名な話だが面白く観れる。
そして第二幕、『よだかの星』は凄まじい。生来の醜さ故に蔑まれ嫌われ侮蔑され罵倒されるよだか。残酷な鳥達はよだかを差別排除する。そして鷹からは殺すと予告される。どうしようもなく追い詰められたよだかは自分より弱い虫共を惨殺して気を晴らす。羽虫や甲虫が怯えて逃げ惑う様を高笑い。だがその自分の弱さ醜さに自分自身がいたたまれなくなって涙を零す。死のうと思う。何処までも空を飛んで行く。上林未菜美さんの名演。生きるものが業と向かい合う姿。
そこから牧歌的な『セロ弾きのゴーシュ』は無理があるだろうと思ったがなかなかの腕力で強引に引っ張る。楽隊の楽器をそれぞれの形に切り抜いた平面の板で表現。妙な味がある。

全ての存在を幸福にする論理。
ポーセのことを本当に想うのならば全ての生き物が本当に幸福になる方法を探し出すこと。

宮沢賢治作品の感動は自己犠牲の美しさにある。法華経に説かれる薬王菩薩の焼身供養、自らの身を焼いてこの世を照らした説話。だが他者の尊い犠牲の上に成立する歪んだ社会をセンチメンタリズムで昇華してみせてもこの歪み自体は変わらない。宮沢賢治はその先にある築くべき社会を銀河鉄道から下車したジョバンニに託した筈。まことのみんなの幸いを。皆の為に自分を殺して生きるのは御免だ。多数の幸福の為に少数の犠牲が強要されるような世の中はうんざりだ。それがどんなに感動的でも。
パラサイト・パラダイス

パラサイト・パラダイス

ワンツーワークス

新宿シアタートップス(東京都)

2025/07/23 (水) ~ 2025/07/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2025/07/25 (金) 19:00

120分。休憩なし。

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