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おーい、 救けてくれ!

おーい、 救けてくれ!

鈴木製作所

雑遊(東京都)

2025/07/30 (水) ~ 2025/08/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

Dチームの回。この作品、他の劇団の公演を今年観ているが、それとは少し異なる雰囲気もあって面白い。やはり見事な戯曲だと思った。

おーい、 救けてくれ!

おーい、 救けてくれ!

鈴木製作所

雑遊(東京都)

2025/07/30 (水) ~ 2025/08/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

刑務所からの脱出を試みはうまくいくのか、興味深かったです。

ネタバレBOX

おーい、という呼びかけから始まる、緊迫感がいいですね。そして恋物語になっていく、過程がまた、熱気が感じられとてもおもしろいです。
記憶の欠片達

記憶の欠片達

株式会社GROW

シアター・アルファ東京(東京都)

2025/07/30 (水) ~ 2025/08/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

最高でした。これは名作ですね。あっという間の2時間でした。緩急のあるつくりになっていてまったく退屈しませんでした。話の展開も自然でふつうにどの役にも感情移入できました。これはほんと傑作ですね。脚本も演出も役者もすべて三位一体化したすばらしい作品だと思います。最高の時間をありがとうございました。

vol.41 「廃墟」、vol.42 「そぞろの民」

vol.41 「廃墟」、vol.42 「そぞろの民」

TRASHMASTERS

駅前劇場(東京都)

2025/07/25 (金) ~ 2025/08/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

この劇団としては珍しく、中津留章仁の作品ではなく、随分前に亡くなった昭和の劇作家・三好十郎の、しかも、あまり知られていない戯曲を再演した。この企画が、意外に時代との響き合いがよく面白い。芝居はやってみないと分らないものである。
この公演の成功は、この作品をやってみようとした演出者の時局を見る眼に尽きる。
中身は、終戦直後の時局性の強い世相劇である。敗戦直後、心ならずも時の風潮に迎合した歴史学者の一家は戦災で家を焼かれ知人の一家の一隅に一部屋を借りて明日の食糧の配給を待ちながら細々と暮らしている.今劇場を埋める観客の全ての人(年齢を考えるとそうなる)は、ドラマ的設定と思うだろうが、私は十才たらずながらこの現実を実体験しているただ一人の観客(市民)だったのかも知れない。
舞台で繰り広げられる戸主である老碩学の実直に見えて、無責任、そこで育てられた子供たちの時局便乗、長男は共産主義新聞のお先棒を担ぎ、よくできた次男は市内のヤ指南や指南役になる。女たちは、それぞれの特技では暮らせず、そうなれば、当然の道しか残っていない。隣近所の市民生活の契約した金は必ず払わなければならぬというごく普通のルールも今夜の食の前にたちまち破壊する。家族の連帯も叔父、叔母程度にも遠くなれば、何ほどの役に立たない。
その時代を生きた者もしばらくは忘れていたが、こういう現実は昭和20年の敗戦後一二年にはどこにもあった.誰も経験があるし、責められないファクトである。
三好十郎はこの時代を生きて、そのままに書いた.それがこの戯曲である。少し後に書いた「夜の道連れ」は今年、新国立が贅沢に金をかけて新人の演出で上演した.この演出家は二三本見ているが、篤実な演出家とは思うが知らない世界を演出して全く違う人種になった今の日本人に提示できるほどには本の読み込みは出来ない.終戦ファッションの新国立的歴史修正のドラマになってしまっていた。経営はともかくそこは本人の責任ではないと言いたいだろう。その欺瞞を中津留は許さない。三好の筆力もある。
そこを、中津留のトラッシュマスターズは、PITの3分の1の高さもない天井のビルの仮設といってもいいような劇場で三好の戯曲をそのまま上演した。それが、図らずも、新国立の欺瞞を暴くことになった.演劇はそういうところがいいのである

おーい、 救けてくれ!

おーい、 救けてくれ!

鈴木製作所

雑遊(東京都)

2025/07/30 (水) ~ 2025/08/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

未見の作品。1ヶ月のワークショップ/稽古を経ての公演で、基本的に2人芝居。この公演では5組が挑戦している。自分が観たのは、赤松真治さん、勝谷涼子さん のD回。

物語としては、薄幸な若い男と女が牢獄の内と外という特殊な状況の中で芽生えさせた幻想的な恋物語といった内容。その切っ掛けは、男の「おーい、助けてくれ」という孤独と絶望の淵から出た言葉。それに呼応した女、彼女もまた孤独で世間知らず。いつしか儚い恋物語のような…。

自分が勝手に思い描いていた状況ではないことから、その世界へ没入出来なかったのが悔やまれる。舞台で先入観は禁物、知ってるつもりだったが…。
(上演時間55分)【D】

ネタバレBOX

舞台美術は 全体的に薄暗く、正面の壁は薄汚れたレンガ。上手には鉄格子窓から月明りが差し込んでいる。上手と下手を遮るように斜めの線、それが鉄格子。上手が独房内でベットと便器、下手が外の世界。天井には裸電球が吊るされている。外は強風が吹き、その音が寂寥感を漂わす。

テキサスの田舎町にある刑務所の独房。若い男が床にスプーンを叩きつけている。そして誰にともなく「おーい、救けてくれ!」と叫ぶ。その刑務所で働く女が物陰から「淋しいの」と声をかける。男は、女を騙し脱獄しようと企てる。世間知らずの女は騙されていくのだが…。初めこそ騙しているような感じだが、男は女に向かって 君と出会えた幸運を生かして、サンフランシスコでギャンブルで勝てば、金持ちになって幸せになれる。胡散臭くも 夢物語に酔いしれている様子。

女は、男が婦女暴行の罪で投獄されたことを知っている。彼は殴られて意識を失っている間に、遠く離れた町の刑務所に収監された。女は、刑務所の料理人として働き、彼女の父親は働かず、ある怪我によって政府から金をもらっている。男は片方の靴の中に隠し持っていた80ドルを女に渡し、この町を出てサンフランシスコで落ち合おうと言う。そして 男に頼まれて 女が父親の銃を家に取りに行っている間に、男は暴行した女の亭主に銃で撃たれて死ぬ。その女は男を誘惑し金を要求する。亭主はそれがバレ、世間に醜聞が広まるのが嫌だった。男にそれを指摘されて、亭主は思わず銃を撃った。男は、死を目前にしながら自分の不幸を嘆かず、料理人 女の幸せを願う。亭主や女房たちは男の遺体を刑務所から持ち去って どこかへ。

長々とあらすじ らしきことを記したが、この物語には2人の設定が殆どない。かろうじてあるのは、1940年代初頭。女がこの田舎町の生まれ育ちで、父が働かず娘の給料を当てにしていること。年代的には戦時中で緊張感と閉塞感が漂っていたと思うのだが…。そんな時の奇跡のような出会いで、今その瞬間だけを切り取って語る。男の孤独と女の不自由、そして2人に共通した寂しさが犇々と伝わる。勿論、事情を確かめずに投獄したことが偏見、差別になるのだろう。

先にも記したが、男と女の過去や性格付などは無くに等しく、その瞬間だけの出会いと別れである。その意味では1ヶ月のワークショップ/稽古で行うのに適した戯曲で、その演技力は見事だった。ただ、自分は女が10代で男が20代後半といったイメージを持っていた。その年齢差ー人生(辛苦の)経験の違いが、「男の騙して脱獄」と 「女の初々しい興味」といったものが、<ささやかで神話的な恋物語>になると想像していた。それが同年代もしくは女の方が年上なのが、自分のイメージと違ったので…。
次回公演も楽しみにしております。
廃グランド・ホテル別館

廃グランド・ホテル別館

システム個人

小劇場 楽園(東京都)

2025/06/25 (水) ~ 2025/06/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

チラシ、タイトル、そしてキャストを見た時から絶対観ようと思っていたシステム個人『廃グランド・ホテル別館』。こういう直感がバチーンっとハマる喜びもまた観劇の醍醐味。大好きな世界観でした。
怪異たちの暮らすホテルが舞台のコメディだけど全然それだけじゃなかった。自分とは何もかもが異なる他者、そんな誰かのことを好きになったり、恋しく思うこと。会いたいと思うことや、会えなくなりたくないと思うこと。この演劇はその瞬間を掬い上げ続けていたように私には見えた。だって今の私がもうそうなっている。あのホテルに暮らしていたみんなのこと好きになって、会いたくなって、恋しくなってる。そういう気持ちって、記憶ってなかなか消えない。25年くらい平気で消えないのかも。なんてことを思った。

私がもし幽霊になったら、なかなか成仏できない気がする。
好きな人に会いたいって気持ちがそうさせてしまう気がする。
そんなことも思った。友愛とか恋愛とか家族愛とかどれも違う気がするしでも全部当てはまる気もする。そんな名前のつけられない愛着や関係をそのまま抱きしめてくれるような作品でした。

可笑しく愛らしいキャラクターが出てくるコメディが観たい人はもちろん、お話としてうねりのあるドラマが観たい人も楽しめるのでは?と思いました。
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ネタバレBOX

アルバムを眺める八重子さんの慈悲深い眼差しと声色が忘れられないし、吸血鬼と狸のやりとりに泣いちゃったのはさすがに想定外!やられた!いずれも哀切の滲む美しいシーンだった。あと、ヒデキはあのビジュとパフォーマンスできっと平成令和の歌謡界でもバズれるし、豆腐小僧と凸凹デュオという道もあるのでは!とにもかくにも俳優がひとり残らず魅力的(だし技術もすごい)で、配役もぴったり、というか、ぴったりに魅せていることが本当に素晴らしくて、素敵なことなのだと思った。

あと、実はめっちゃ伏線ある。
観終わった時にもう一回最初から確かめたいと思うようなドラマ構成&展開...!
音楽がまためちゃくちゃいいなあと思ったら、やみ・あがりシアター『あるアルル』と同じく小山優梨さんだった。
小山さんの作る楽曲は劇中の風景が走馬灯のごとく駆け巡る音楽で、演劇の中にただ音楽があるのではなく、音楽の中でも演劇が上演されているのだ、としみじみ感じるのです。
センスセンスセンス・オブ・ワンダー

センスセンスセンス・オブ・ワンダー

三月倶楽部

OFF OFFシアター(東京都)

2025/06/20 (金) ~ 2025/06/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

窓のない、しかしそれそのものが窓である劇場でこの旅に立ち会えたことが嬉しかった。若くなくても、子どもを育てていても、私たちは遠くに行ける。冒険ができる。私もそう信じています。

(上演前に公式HPに稽古場日記をお寄せしました。後ほど劇評もお寄せします)

リトルサマー

リトルサマー

リトルビット

浅草九劇(東京都)

2025/06/25 (水) ~ 2025/06/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ありがちなAI対人間の構造に収めず、かと言って容易にその共存やAI礼賛にもしておらず、絶妙にありそうでなかった話だった。

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ネタバレBOX

それでいて痛烈なのがAIの効果音が人間の呼吸と声でアテレコされる点。あれはもう発明。テクノロジーの最先端に挑むボイパ格好よすぎるし、最後はもはや文字通り花火師技...。あそこで無闇に映像やカラフル照明使わないのも演劇に託した、ひいては人間を信じた演出に感じて示唆的で結構グッときちゃったな。私は音がする方に耳をすませるし、光れば目で追いかけるし、夏はあなたと落ち合って一緒に花火を見たいんだけど、ねえChatGPTはどう思う?
みどりの栞、挟んでおく

みどりの栞、挟んでおく

宝宝(bǎo・bǎo)

水性(東京都)

2025/06/18 (水) ~ 2025/06/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

子どもが寝たらやろうと思ってたこと、話そうと思っていたこと、聞こうと思っていたこと...そうしてそれらをできないまま時が過ぎてしまうこと。

子育てってまさに、流れてく時間に栞を挟んでそのまま忘れちゃうことの連続だから、「挟んでおく」って言ってくれる人、そのことを一緒に思い出してくれる人に救われてばかりの12年だったってことに改めて気づいた。
気づかされる演劇だった。それと同時にその人が私にそうしてくれたことを私はその人にしていただろうか、ということも考えさせられる演劇だった。

圧倒的にちがうあなたとわたしが「互いにできるだけ傷つかずに一緒にいるためにしているはずのこと」が、少しずつあなたからわたしを、わたしからあなたを遠ざけてしまう。挟んでいたはずの栞はパラパラと落ちて、何を読んでいたのか、どこを読めばいいのかわからなくなる。
でもこの作品は、「もう一回一緒に読めばいい」を信じようとしていた。他者と生きることを自分なりのやり方で諦めない、不器用で懸命な人々の姿がそこにあった。

「出産や育児によって"失われる自分"がある」ということ、そして「子どもから離れてひとりになりたい」ということをはっきり言ってくれたことにも私は本当に救われた。12年ずっとこのことばかり考えている。
「子育てに没頭できず自分を優先してしまう罪悪感」と「子どもを産んだだけで私は私でしかないという祈り」の挟み撃ちで引き裂かれそうになる時「それでもやっぱり子どもが大事」という結末や感触をしばしば物語やドラマは用意したがる。最低のままでいさせてもらえない不自由と、最低じゃないよと誰かに言ってほしい切実の狭間で何度途方に暮れただろう。
だから、そのどちらでもない、そしてどちらにもとれる「いいじゃん」を聞いた時涙が止まらなかった。
「いいじゃん」も栞だった。私が私を適当に読み終わらないための栞だった。
そして、どこからでも「あなたのことが大好き」ってことから始めるための栞だった。

余談。かなた書店の選書と私の本棚の本の並びがあまりに似ていて他人には思えなかった!遠目でざっと数えただけで20は同じ本があった(笑)そして私はそのことがすごく嬉しかった。私も必ずあの本屋に行くだろう。きっとあの場にいるだろう。そう思える時間と空間、それから人々だった。
あともうひとつ。これは何度でも言わせて下さい。
「セルフ託児ありがと割」をありがとう。ずっと欲しかった言葉でした。そのことに気づかせてくれました。誰かの生活や支度を見つめる試みはやっぱりこの演劇そのものの魅力に通じていました。

サウナが身体に良いわけねぇだろうが(仮)

サウナが身体に良いわけねぇだろうが(仮)

劇団ドラマティックゆうや

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2025/06/12 (木) ~ 2025/06/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

劇団ドラマティックゆうや『サウナが身体にいいわけねえだろうが』(仮)改め『嘘の教育』。

「言ってくれた嘘」と「言わない本当」果たしてどちらが価値がある?
そんな世界の、人間のバカデカ命題に今日も今日とて男が二人きりで食らいつき、同時に食らわされ、皮肉のジャブと愛のハグを繰り返すサウナより熱い100分。今回の主題歌も最高だった。劇団の持ち味である、そんな愛と皮肉の絶妙配合によって、"教育における嘘"が暴かれる?なんて思っていたら、いい意味で裏切られた。

以下ネタバレBOXヘ

ネタバレBOX

社会との接点を失った息子の再起を願って、母が"処世術"として嘘を教育する。その嘘こそが演劇である、という入れ子構造含めて鮮やかな構成だった。演劇における「嘘」を舞台上で多分に活用しながら、しかしそれらと私たちの日常におけるあらゆる演技=嘘は一体何が違うのか、という提題をさらっと突き付けてくる。

"この世は舞台、人はみな役者"なんてシェイクスピアの名言をナラティブに挟み込みながらコミカルかつ真摯に。ドラマティックに。短編でありながらシームレスに接続する主題、多数の役に忍ばされる世界の解像度の高さも今作でまた一つ確かな強度を築いていた。

毎度ながら感嘆してしまうのは、喫緊の社会問題を盛り込みつつも、皮肉や批判に振り切りそうになったギリギリのところで愛や誠実がわずかに多い分量でまぶされる点。
例えば陰謀論を語る老人を描く時に「悪いのは社会だ」という一言が即座に発されるとか、「9000万の示談金」という言葉だけには首を縦には振らないだとか、誰かを闇雲に悪者や笑い者にしたり、誰かの傷口を軽く扱うことがない点においてドラマティックゆうやの演劇は鋭利であっても安心して観れる。広告というマスの世界で日々大衆に向けながら個人の心に刺さる表現と対峙しているドラマたけし(泉田岳)ならではのまなざし。その示したいスタイルをキャリアに裏打ちされた演技力で鮮やかに立ち上がらせてみせるドラマゆうや(田中佑弥)の胆力。
そんな二人が高校の同級生で、今もなお一年に一度、互いの仕事や生活の傍らともに演劇をやってるなんて、そんなのもうドラマティッカー以外何者でもないだろう。

「金木犀は日本では自生しない。つまりそこには必ず金木犀が好きだった人がいるってこと。世界にたった一人だけ自分を愛してくれる人がいたら、人は歴史に名を残せる」こんなグッとくるセリフが笑いと笑いの狭間から煌々と輝くのだから、やはりこの演劇はドラマティック以外何物でもないと思う。

「言ってくれた嘘」と「言わない本当」、この世界では果たしてどちらが価値がある?
どちらの経験も同じだけ重ねてきた気がして、その選択はやはり難しい。
だけど、「言ってくれた嘘」の中に少しでも本当があるかも、と信じてるから、信じたいから、私は演劇を観る今日を、人と出会う人生を選んでるのかもしれない。そしてその実感を綴る時には「言った本当」を無添加の言葉に託したいと思う。だから書く。
劇団ドラマティックゆうや『嘘の教育』は本当の演劇だった。

ちはみに後説によると「劇団ドラマティックゆうやのお客さんは大半が広告関係者」(それはそれで珍しい!)らしく、(その因果関係は定かでないが)「感想が全然あがらない」らしい。ちなみに現在の私の仕事はざっと広告1割、演劇9割...つまり1割だけ広告関係者とも言えるけどいつもの如くバリバリ感想書きました!
プレイ・モデュロール

プレイ・モデュロール

ハラサオリ

シアタートラム(東京都)

2025/06/13 (金) ~ 2025/06/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

テクノロジーの進化が与えた影響をリアルな身体を通じて受講する高密度なレクチャーパフォーマンス。
「携帯の電源お切り下さい」から即没入、幅と高さそして奥行きのある"振付"に高揚!
バレエとダンスを習う11歳の娘と、ハラサオリさんならではのユーモアとエッジの効いた構成とパフォーマンスを堪能しました。すごくいい時間だった。生まれて初めて「北海道」と叫んだ日!

燃える花嫁

燃える花嫁

名取事務所

吉祥寺シアター(東京都)

2025/06/11 (水) ~ 2025/06/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

"架空の日本"を舞台に描かれる、外見ではその"しゅつし"がわからない移民の生きる今、背負う過去、そして見えぬ未来...。あまりに自然に溶け込む「ザ行が濁らぬ関西弁」が現実の隣人の存在に、人生に、そしてそれらを透明化してしまうことに輪郭を持たせていく。ラストに立ち上がるタイトルの風景に震えるとともに、「花嫁」という言葉が意味する本当のところを考えさせられたりも。

「シスターフッド」と一口に呼ぶには憚られる複雑な憧れと思慕と共鳴...誤解を恐れず言うならば、私はそこに同性愛/同性婚を巡る問題をも見た気がしたのだった。男女二元論を前提とした結婚あるいは求婚や、女性同士という理由だけで連帯を余儀なくされる昨今のシスターフッドの汎用化に異を忍ばせる意味も含んでの「花嫁」だとしたならば...。そう考えたとき、現実に隣人を透明化してしまう実感がよりリアリティを持って身に迫ってくる。
移民問題を見つめると同時に、"移民"というラベルのみに個人を収めてしまう社会や世界の横暴をも見つめた作品だったのではないか。振り返れば振り返る程そんな気持ちになって仕方ない。
いずれにしても今を生きる私にとって、同じく今を生きる隣人の息づかいを切々と伝える作品、俳優陣の見事な緩急あってこそ辿り着けた実感だった。

ENCOUNTERS with TOO MICHI

ENCOUNTERS with TOO MICHI

THE ROB CARLTON

赤坂RED/THEATER(東京都)

2025/06/11 (水) ~ 2025/06/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

もう本当に「一体なにをみせられてるんだ」と笑いながら、「もっともっとみせてくれ」と思った80分のチャーミングな爆笑遭遇劇でした。
"未知すぎるもの"について議論を重ねると、その"未知すぎ"を凌駕する、"さらなる未知すぎ"が爆誕するのだと知りました。馬鹿馬鹿しいのに、俳優陣の突き抜けた姿がかっこよく、上質なコメディでした。

『bitter』

『bitter』

Ollegent

スタジオ空洞(東京都)

2025/06/05 (木) ~ 2025/06/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

一部衣裳をお貸出し(李そじんさん着用分)しました。
色々考えて選んで下さっただけあり、衣裳が劇の内側としっかり手を繋ぎあってて装いの意義を改めて実感。
彼女は自暴自棄と後ろめたさの狭間で過剰に装飾が施された服で武装し、麻痺させる様に乱世を生きていたのだな、と思うなどしました。コーヒーの苦さを消し去るために大量の砂糖入れちゃうみたいに。そうして溶けきらずじゃりじゃりと砂が歯に当たる様なあの感触は彼女の罪の暗喩だったのかもしれない。

面白く観ながら、この物語を面白く観てしまうことそのものにこの作品の本質があるのだと感じたりもしました。
過激化するインフルエンス、スキャンダラスな刺激を求める好奇心や欲求、そうしたものが潜在的にあるということが舞台から跳ね返って観客に向かうようでもあった。
あと、男性から男性への嫉妬や支配欲や征服欲ががっつり描かれていて、こうした場合、どちらかというと男→女あるいは女→女で描かれるパターンが多い気がするので、男性間の軋轢や破綻にズームがなされていたことにすごく意味があると思いました。これもまたホモソーシャルであり、トキシックマスキュリニティだなと。人が人を消費することについて考える帰路でした。

私は日頃から「女同士は怖い」、「女の揉め事はネチネチドロドロで嫌だ」といった言説や、(それに比べて)「男はさっぱりしたもんよ」的ムーブには断固否定派なので、男性間の嫉妬や軋轢、支配/征服欲が相応の粘度で描かれていたことがまずいいなと思ったのでした。

セザンヌによろしく!

セザンヌによろしく!

バストリオ

調布市せんがわ劇場(東京都)

2025/06/01 (日) ~ 2025/06/08 (日)公演終了

実演鑑賞

舞台が散らかる毎に鮮明になる心象風景。散らかった所から何かを探し出す必要がある事、流れるこの涙が水である事、叫ばれるその声が振動である事、海や山水平線や稜線がこの身体に在る事をバストリオの演劇は教えてくれる。潮騒や山彦の様に繊細で心強い応答だった。

作品から受け取ったテーマを鑑みたときに「満足度」をつけることが憚られたためお控えしますが、
今必要な演劇であったと痛感します。
(せんがわ劇場のHPに劇評をお寄せしました)

ARCHIVE

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END es PRODUCE

劇場HOPE(東京都)

2025/07/30 (水) ~ 2025/08/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 初日を拝見。尺115分。

ネタバレBOX

 金銭的に行き詰った人々をターゲットに社の近くでそれと思しき人々にぶつかる、ぶつかりそうになる等の行為を繰り返しては名刺を渡し“KO-SEIファイナンス”と名付けた更生プログラムを押し付け、高額賞金を餌に金持ちの視聴する秘密ゲームに参加させ生き残った者のみが出資者達が提供する賞金を受け取る仕組みを喧伝。男は語る。自らは次元の異なるパラレルワールドから来た、と。そして参加を募るのだ。当然の事ながら、男はターゲットの追い詰められた状況を事細かに調査済み。その上でこのようなアタック方で垂らし込み参加させるのである。まあ、ありきたりで安易な発想であるし、或る意味、退屈し退廃に埋もれた現代日本人の戯画である。実際には観客が観るという形式の芝居であるという点に多少のアイロニーも見えるかも知れぬが。然し例えばマルキ・ド・サドが描いた諸作品が当時世間に齎した程大きなインパクトは無論ない。世間そのものが、根本から当時より腐りきっているし人々の感受性そのものが既に麻痺しているからであり、倫理そのものが既に可成り壊れてしまっているからでもある。
 ゲームは誰でも知っている昔話や童話をベースにした筋書きに参加させられた債務者たちが命を的に各ゲームで指定された指示に従い指定内容を具現化することで進行する。指定内容を実行しなかったり、反する行為を続け警告にも従わなかった場合は始末される。賞金総額が生き残った参加者の人数で均等に配分される為、生き残り1人である場合に賞金は最大となる。参加者全員が多大の債務を抱え多くが多重債務者であるから参加者は皆「必死」である。出資者達(=観客)はその必死な生き残りの為の闘争を観て楽しんでいるのである。
 だが、意外にも追い詰められているハズのゲーム参加者達が命賭けの争闘故に極めて真っ当な人間性を露わにしたりもする。観ている観客の一人としては、この点に最も興味を惹かれた。ヒトを判断する際に孟子の説いた性善説と反対の性悪説があるが、そんなお伽噺でも聞くような感覚にすら襲われかねない。
 何れにせよ、このゲームの合間にゲーム参加者達が暮らしてきた世界での生活が再現されるシーンが挟み込まれそれらの生活と参加することになったゲーム世界での様々な対応が対比されることになる為、元々生活していた時空での因果関係や異空間での時空への輪廻転生やその逆も絡みつつ、個々の転変の在り様が描かれて物語が膨らむ点がグー。無論、エンタメの常として最終的に絶望の淵に観客を引き摺り込んで離さないというような残酷性はない。而も、恐らく脚本家も若いのであろう。心底悍ましい、凄みのあるキャラクターは1人も登場しない。演者達も皆若い。これらの上演条件が作品を明るいものにしている。
ARCHIVE

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END es PRODUCE

劇場HOPE(東京都)

2025/07/30 (水) ~ 2025/08/03 (日)公演終了

実演鑑賞

良かったです。

メイツ!〜ブラウン管の向こうへ〜

メイツ!〜ブラウン管の向こうへ〜

劇団6番シード

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2025/07/30 (水) ~ 2025/08/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

大好きな昭和テイスト
アイドルミュージカルが
キャストリフレッシュで
令和に再々演。
やはり懐かしく、泣けて
素晴らしかった。

ARCHIVE

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END es PRODUCE

劇場HOPE(東京都)

2025/07/30 (水) ~ 2025/08/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

7月30日観劇。良かった。

ネタバレBOX

こういう話は目当ての役者さんが早々に観れなくなる場合が多くてがっかりするんだけど、工夫されてました。
ARCHIVE

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END es PRODUCE

劇場HOPE(東京都)

2025/07/30 (水) ~ 2025/08/03 (日)公演終了

実演鑑賞

こりゃあ面白い。
見事な脚本だ。

ネタバレBOX

債務者達が金持ちの楽しみのために残酷ゲームをするってところは、確かに「カイジ」っぽい。

SFというか超現実的なところがオリジナリティってことですかね。

主人公が最後にああいう選択をしたところなんかは「ライアー・ゲーム」を想起させました。

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