住み込みの女の観てきた!クチコミ一覧

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血と暴力の星(くに)

血と暴力の星(くに)

架空畳

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2014/01/22 (水) ~ 2014/01/26 (日)公演終了

満足度★★

種子を演じた女優は誰だ?
架空畳の【血と暴力の星】を観劇。

全く知らない劇団だが、縁あって観劇を決意。

つかこうへいの早口連射攻撃、唐十郎の観念的、妄想的な台詞を思わせる始まりには「おっ!」としたのだが、時間と共に物語不在の戯曲が明らかになっていき、時計ばかりを見てしまう。
唐十郎だって観念的ながら、しっかりとした物語はあるのだが・・・・。
つかこうへいのように俳優を大事にしている演出はうなずけるのだが、どの俳優も似たような芝居ばかり。それは皆同じ劇団員だからだろうか?
ただ唯一人女性で、種子という役を演じた女性が、唐十郎の特権的肉体論の見本と言わんばかりの舞台でしか出来ない芝居をしていた。
明らかに彼女は劇団員ではないという感じだ。すごく個性的で、繊細な芝居をしながら、なお且つエネルギッシュだ。
何者か分からないが、何れは世に出てくる俳優であるのは間違いないだろう!

夢も希望もなく。

夢も希望もなく。

月刊「根本宗子」

駅前劇場(東京都)

2014/01/10 (金) ~ 2014/01/19 (日)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
完全ネタばれ

ネタバレBOX

【月刊 根元宗子】を観劇。

全く知らない劇団なのだが、やや気になったので観劇を決意。
観劇前の期待値はかなり低かったのだが・・・。

客席に入るとシングルベット、テレビ、炬燵、台所のセットが組まれており、それが真ん中の境目を基準に、左と右に二つ組まれている。僅かに飾り込みは変えているが、同じ部屋が二つあるという面白いセットの作り方だ。

俳優として夢を追い求めるちひろは、少しづつではあるが成功への階段を上っている。
そして彼氏も小説家志望で、互いに切磋琢磨しあいながら付き合っている理想のカップルだ。
しかしそんな芸術家同士のカップルも片方が上手くいき始めると、嫉妬や妬みでお互いの関係が悪化してしまう。
そして成功の夢を掴みかけたちひろは、彼氏との関係が悪化するのを恐れてしまい、自分の夢を捨てて、彼氏との幸せを選んでしまう。
そして十年後、夢を捨てたちひろはOLとして働いているのだが、小説家になれなかった彼氏は、働きもせずにひも状態だ。そんなちひろは、夢を捨てた十年前を後悔しながら、辛い日々を送って生きている・・・。

夢と希望に生きていた十年前の日々を左側のセットで行い、夢と希望に破れた十年後を右側のセットで行うという画期的な舞台だ。場面によっては同時進行で芝居が行われるので、夢と希望を追っていた昔、そして夢破れた現実を嫌というほど見せつけてくる演出法はなかなかだ。
人生の選択、親友の進言と人は迷いながらも、常に何かを選択しなければ生きてはいけないという事をまざまざと感じさせてくれる芝居だ。
決して目新しい内容ではないのだが、生の舞台でしか出来ない表現方法を用いているので、作家のメッセージが的確に伝わってきている出来の良い芝居だ。



 
プラトニック・ギャグ

プラトニック・ギャグ

INUTOKUSHI

駅前劇場(東京都)

2013/12/25 (水) ~ 2013/12/29 (日)公演終了

満足度★★★

今作の俳優の熱量は?
犬と串の【プラトニック・ギャグ】を観劇。

毎作の事ながら、今作も大まかな物語だけで構成されていて、笑いと俳優の熱量だけで見せていく劇団。
殆ど物語にテーマや作家性らしい物が一切ないのが長所でもあるのだが、
笑いにスピード感と新鮮さがある時は、傑作が生まれるのだが、今作は外れ!作品に安定性がないのがこの劇団の欠点か?
でも毎作必ず観てしまうのが、ヒロイン・鈴木アメリのお陰だ。

何度も書くが、鈴木アメリは良い!

THE BELL

THE BELL

CHAiroiPLIN

神楽坂セッションハウス(東京都)

2013/12/21 (土) ~ 2013/12/23 (月)公演終了

満足度★★★

感想なし
チャイロンプリンの【THE BELL】を観劇。

最近話題になりつつあるらしい?ダンスユニットだ。
踊り関係は【黒田育世】他数名しか知らないし、あまり観ないので今作の感想はナシ。

「死ンデ、イル。」

「死ンデ、イル。」

モダンスイマーズ

ザ・スズナリ(東京都)

2013/12/12 (木) ~ 2013/12/22 (日)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
劇場が暑いので要注意。

ネタバレBOX

モダンスイマーズの【死ンデ、イル。】を観劇。

久しぶりの新作である。

福島原発の影響で、浪江町から二本松市の叔母の家に避難している少女が突然の失踪。その原因は何か?それを探るジャーナリストと家族の苦悩の物語。

ほぼ少女視点で話は進行していき、原因と結果という因果関係でなく、少女の心情を中心に描いているので、理解しずらい部分が多々あるようだ。ただ家族とそれを取り囲む周りの人々との葛藤を通して眺めていくと、多感な時期の少女だから失踪したという訳ではなく、その場所に閉じ込められてしまっている浪江町の人達も生活を投げうって、失踪してしまいたくなるのではないか?と思ってしまうところだ。その辺りは作・演出の蓬莱竜太が得意とする、ある特定の場所から閉じ込められてしまった人達がどのように苦悩して、新たなる道を探るか?という構成は抜群だ。
そして瞬時に時間と場所が変わってしまう演出法は相変わらず上手い。
城山羊の会『身の引きしまる思い』

城山羊の会『身の引きしまる思い』

城山羊の会

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2013/11/29 (金) ~ 2013/12/08 (日)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

城山羊の会の【身の引きしまる思い】を観劇。

今年で二本目の新作であり、六作品連続での観劇だ。

毎度の事ながら内容をどのように説明したら良いかが悩みどこだが、
今作は、母親を男に盗られた娘の仕返しというところか?
あの傑作舞台【あの山の稜線が崩れてゆく】では、妻を刑務所帰りの元夫に盗られてしまう男の顛末を描いていたが、今作はそれの焼き直しという感じが否めなく消化不良だ。そのように感じてしまうのは、何時もの世界観を期待するワクワク感と、毎回似たような展開にやや飽きが来てしまう観客の傲慢さではあるのだが・・・・。
しかし描いているはかなり繊細な娘の心情を描いているのは間違いない。
そして消化不良と言っておきながら、ラストの終わり方の解釈次第では、
その消化不良が簡単に消化されてしまう魔法が隠されているとは観客の誰もが思いもよらなかっただろう。

毎作品観ていると作家が変わっていく様が手に取るように分かっていくのが、同じ劇団に通いつめる面白さだろう。
そして世間では微妙な山内ケンジワールド?と言っているようだが、それは大きな見せかけで、観客をかなり深い部分にはめ込んでいく事に快感を覚えているのが作家・山内ケンジの狙いだろう。

あ、それから三鷹芸術劇場の名物おじさんは、森元さんという方らしい。


モモノパノラマ

モモノパノラマ

マームとジプシー

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2013/11/21 (木) ~ 2013/12/01 (日)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

マームとジプシーの【モモノパノラマ】を観劇。

今年で既に4本目の新作公演だ。
内容は、一匹の子猫を飼い始めた姉妹が成長していく話。
最近の尖がった作風から一転して、初期の作風に近いセンチメンタルな内容だ。
前作のひめゆり学徒隊の悲惨な話から、また原点に戻ったのか?と思いきや、演出家の精神そのものが、前作から同じ様に続いているようで、思わず続編かと?思ってしまった。それは現代社会で少女達が生きていく中で、社会の血なまぐさい事件や友人の自殺などを背景に同じ過程を辿っている点だ。以前の様な作風だと思って観ていたので、大目玉をくらってしまうようだ。 作・演出の藤田貴大の表現方法は相変わらずだが、明らかに変わっていっているのが手に取るように分かる新作だ。
そして今作では、野田秀樹超え?と思えるほど小道具の使い方は巧みだった。

今作も必見である。
片鱗

片鱗

イキウメ

青山円形劇場(東京都)

2013/11/08 (金) ~ 2013/11/24 (日)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

イキウメの【片鱗】を観劇。

ある地方の住宅街で、不審者がうろついていると目撃情報が寄せられる。
その不審者の影響かどうか分からないが、近所の男性が突然「許さない!」と言葉を連発して、精神に異常をきたしてしまう。そして段々と周りの人達も同じ様な状態になっていき、街の風景が少しづつ変わって行ってしまう。

平和な日常が、ちょっとした出来事が起きた事によって、個人のアイディンティティーが少しづつ崩壊していく様がゆっくりと描かれていく。特別な事件があったわけではなく、各個人の思い込みから発した事で己自身を崩壊させていき、更に社会そのものを壊してしまうという恐ろしい現代社会の縮図を描いている。その人間が崩壊していく様をややホラー仕立てで描いているせいかゾッとしてしまう。
今作で感じられた事は、個人が他人との間に必ずある相いれない部分こそが、全ての出来事の発端だと言っているようにも感じられる。たがそこまでは明確に戯曲には書かれてはいないが、そんな事を考えながら登場人物の関係性を観てしまう事で、己の普段の日常生活に寒気を感じてしまう事が今作の狙いではないだろうか。
そしてこれこそが作・演出の前川知大の得意とする非日常へ誘ってくれる上手さであろう。

前作同様、見応えがある作品だ。

唐版 滝の白糸

唐版 滝の白糸

劇団唐ゼミ☆

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2013/11/09 (土) ~ 2013/11/17 (日)公演終了

満足度★★

唐ゼミの演出法とは?
唐ゼミの【唐版・滝の白糸】を観劇。

唐ゼミとは、唐十郎が横浜国大で教えていた時の生徒が立ち上げた劇団で、唐十郎の戯曲だけを青テントで公演を行っている。ちょうど同時期に【蜷川版・滝の白糸】の公演があったのだが、あえてこちらの選んだのだが・・・・。

特権的肉体論を前面に押し出してくる戯曲、一言一言が詩のような台詞の数々、物語らしい展開もない矛盾だらけの戯曲をストレートプレイばりの演出法では、あの大久保鷹が出演していてもやはり歯が立たなかったようだ。
蜷川幸雄はスペクタクルで、第七病棟の石橋蓮司は環境で、そして唐十郎自身も目まぐるしい舞台展開で攻めてくるので、それを正統派で描こうとしても無理なのである。以前に観た【下谷万年町物語】もその様な趣があったが、今作も変わらずという感じだ。
まぁ、ただこのような感想を述べてしまうのは、過去に観た唐十郎の芝居があまりにも衝撃的だったので、その興奮を超えさせてくれるのは、全く違う方法論で唐十郎の戯曲に挑まないかぎり不可能に思える。
ただこの劇団は、あくまでも唐十郎の世界観を忠実に再現するという事に挑んでいるので、何れは紅テントの興奮を得られる日が来るのであろう。

カンロ 【ご来場いただきまして、誠にありがとうございました!】

カンロ 【ご来場いただきまして、誠にありがとうございました!】

鳥公園

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2013/10/25 (金) ~ 2013/11/02 (土)公演終了

満足度★★★

う~ん
鳥公園【カンロ】を観劇。

見事に撃沈してしまった。
前作の短編は分からないなりにどうにか観れたのだが、長編になると全く理解が出来ず?というより、理解しようとして観る事自体が間違いの様な感じの現代劇。
ただポツドールの覗き見的な感じではないのだが、途中で自分が俳優と同じ場所にいるような錯覚を起こしてしまったので、それが狙いかも?と思ってしまったのだが......。
もしかしたら寺山修司の参加型演劇かもしれない。



ニッポンヲトリモロス

ニッポンヲトリモロス

劇団チャリT企画

インディペンデントシアターOji(東京都)

2013/10/25 (金) ~ 2013/10/30 (水)公演終了

満足度★★

作家及び日本が迷走中?
ネタばれだが、読んでも影響なし

ネタバレBOX

チャリT企画の【ニッポンヲトリモロス】を観劇。

時事ネタや社会問題を扱う劇団で、過去に鉢呂大臣の失言問題や光市母子殺人事件などを真面目か?不真面目か?の境界線を漂いながら、見応えのある内容で迫ってくる劇団なのだが・・・・。

だが今作はあまりにも酷い出来であった。
7年後の東京オリンピック開催中のとあるホテルでの出来事を描いていて、
それに伴う問題を提起しようとしているのだが、何を問題提起をしているのかが見えてこず、劇作家の迷走中?としか捉えられない様な展開になってしまったようだ。
今作は失敗作。
お勧めではない。
飛龍伝21 ~殺戮の秋<いつの日か、白き翼に乗りて>

飛龍伝21 ~殺戮の秋<いつの日か、白き翼に乗りて>

RUP

青山劇場(東京都)

2013/10/05 (土) ~ 2013/10/20 (日)公演終了

満足度★★★★

ネタばれなし
つかこうへいの【飛龍伝21】を観劇。

今作の神林美智子役は桐谷美玲で、山崎一平役が神尾祐だ。
因みに桐谷美玲が七代目らしい。
今作は勿論、つかこうへい演出ではないのだが、弟子が演出しているので、
ほぼつか版を継承していたようだ。


過去に富田靖子、黒木メイサのバージョンを観ているので、桐谷美玲と比較するのはどうかと思われるが、これがなかなか良いのである。つかこうへいの戯曲を俳優が演じるとはどういうことか?の答えが出ていたようだ。
それは舞台で如何に俳優が唾を!汗を!観客に飛ばす事が出来るか?所謂熱量の問題だ。それが最高潮に出ていれば完璧なのである。決して技術ではなく、魂で観客を魅了出来るかが鍵で、それを桐谷美玲はやってのけたようだ。
過去のつかこうへいのヒロインたちと比較しても上位クラスだと思われる。

だからあえて言ってしまおう。桐谷美玲は上手くない。

神尾祐も筧利夫に近づいてきたな。

念の為、神林美智子とは樺美智子である。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%BA%E7%BE%8E%E6%99%BA%E5%AD%90

MIWA

MIWA

NODA・MAP

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2013/10/04 (金) ~ 2013/11/24 (日)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
かなりネタばれ

ネタバレBOX

野田地図の【MIWA】を観劇。

あの美輪明宏の愛の物語である。
野田秀樹にしては珍しく架空の物語ではなく、実在している人物の生涯を描いている。果たしてそれはどういうことなのか?が興味の焦点である。


美輪明宏が長崎で生まれ、少年時代から美少年と周りから揶揄されながらも人並みに成長していく。その中で長崎の原発を体験をしながら、自分の中にいるもう一つの存在(安藤牛乳)を発見する。その安藤牛乳と共に成長していく中で、 歌に目覚めながらも自分がゲイである事に苦悩しながら、歌手として大成していく。そしてゲイという反社会的な存在ながらも成功を収めるのだが、その一方で大事な友人・赤城圭一郎、三島由紀夫たちを失い、失意の果てながらも自分はどんな事があろうとも必ず生きて行くという決意を固めるのである。

今作は何時もながらの野田ワールドはやや抑えられていながらも健在だ。
美輪明宏がゲイという立場ながらも世間と戦うという過程では、島原の乱の天草史郎を登場させて、天草史郎と徳川家光との戦い、キリストの踏み絵とダブらせていく辺りなどの二重構造の展開の上手さは抜群だ。そして原爆による表現方法などは息を呑んでしまう。と、ここまでは過去に観た野田作品と比べるとそれほど変わり映えせずに特別目新しい物は感じられない。
では、何故?今作では実在した人物を描いたのか?そして何故?愛の物語にしたのか?
それは美輪明宏と共に生きたもう一つの存在で(安藤牛乳)である。彼が美輪明宏にとって誰だったのか?イコールそれは野田秀樹にとって誰だったのか?が
今作のテーマであり、その存在こそが重要なのである。
野田秀樹は美輪明宏の姿を借りながら、実は自分が失ったもうひとつの存在の事が未だに忘れられずに、今作を描いていたのである。だから今作は美輪明宏の愛の物語と思いきや、実は野田秀樹の自身の愛の物語を描いていたのである。
果たしてそれは誰なのか?

もしあなたが家族、友人、恋人を失った悲しみを未だに秘めているならば
今作はあなたにとって一生の宝物になる芝居だということは間違いないだろう。

野田秀樹が中村勘三郎との別れの際に述べた言葉である。

あったこととあることの距離はかぎりなく遠い。
あったこととないことの距離は限りなく近い。
高橋睦朗
ファニー・ガール

ファニー・ガール

シンクロ少女

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2013/10/04 (金) ~ 2013/10/14 (月)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

シンクロ少女の【ファニーガール】を観劇。

初見の劇団。

人が生きて行く上で必ず迫られる人生の選択。
その節目、節目の選択が良かったのか?悪かったのか?は本人すら分からないものだが、結果が良かろうが悪かろうが、どちらを取ってもその選択に後悔して、選択を洗濯して後悔を洗い流しながら、新たに生き直すという話である。

常にエロをテーマにする劇団だと聞いていたが、今作はその辺りには全く触れず、意外にまっとうな物語で構成している。だがその退屈感迫りくる普遍的な物語も、何の脈略もない突然のミュージカルシーンなどが入り込み、驚きを隠せないのだが、その安易さが天才か?大馬鹿者か?の選択をしながら簡単に心が揺れ動いてしまう観客がいたのは間違いないようだ。

今作も変な名前の女優・墨井鯨子が際立っていた。
『起て、飢えたる者よ』ご来場ありがとうございました!

『起て、飢えたる者よ』ご来場ありがとうございました!

劇団チョコレートケーキ

サンモールスタジオ(東京都)

2013/09/19 (木) ~ 2013/09/23 (月)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

劇団チョコレートケーキの【起て、飢えたる者よ】を観劇。

前作ではナチ収容所での生き残りの人達を描いていたが、今作では世間を騒がした連合赤軍の浅間山荘事件の山荘内部での出来事を描いている。その中で何が行われていたのか?一般で知られている史実に基づく実録ものとして描くのか?観賞前の興味深い点であった。

山荘に立てこもった革命家5人と人質に取られている山荘経営者の妻を含めて6人で物語は展開していく。革命家たちは国家の攻撃に備えて準備をしていくのだが、そんな最中でも自己批判を繰り返している。
そして人質の女性はあくまでも食事係として扱っているのだが、革命家たちは女性をオルグしようと提案する。そしてオルグされてしまった女性に自己批判しろと革命家たちは迫るのだが、彼女はそんな事に興味すら示さず、まるで可笑しな集団?と見ているようでもある。
しかしそんな緊張した状態が続いているからか、女性も過去の身近な事柄から自己批判を始めていくのである。
そして回数を重ねるうちに、女性も同士の一員になっていってしまう。
そして未だに国家の攻撃がないながらも緊迫した日々が過ぎ、革命家たちの決意と意識に少しづつ綻びが見え始めていく。だがそれとは反対に女性の革命に対する熱が帯びていき、少しづつあの永田洋子に変貌していくのである・・・。

今作の面白い点は、女性の変貌を通してあの当時の出来事を再現している点だ。最初は批判的に革命家たちを見ていた女性の視点というのが、あの当時のノンポリの視点でもあり、今だからやっと見えてくる時代の批判性でもある。そして女性が少しづつ革命家の考え方や国家の在り方を分かって行くと共に、観客も同時進行で理解していくのである。毎作ながらその世界観にゆっくりと誘導していく演出方法は見事の他、この上ない。
そして観客は聞きなれない言葉(オルグ、総括援助、殲滅戦、異議なし)を聞きながらも、女性がリーダーと変貌していく姿を目の当たりにした瞬間から、観客は座席から逃れられない状態、観客が同士になってしまったと錯覚してしまった状態、そして何故あのような事を起こしてしまったのか?という様々が疑問を観客自身が知らず知らずの内に自身の内面に問いかけ始めた瞬間から、劇的要素が一気に加速するのである。その加速に乗っかった観客のみが演劇という芸術にオルグされてしまい、国家すなわち演劇の世界に没入してしまうのである。

見事な傑作である。

注釈 オルグ・・・自らの組織拡大のために、一般人を勧誘して構成員にすることを指す。
God save the Queen

God save the Queen

東京芸術劇場

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2013/09/12 (木) ~ 2013/09/16 (月)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

前作の【20年安泰】に続く、今後期待される若手劇団シリーズの短編集だ。

今作は、【うさぎストライプス】 【タカハ劇団】 【鳥公園】 【ワワフラミンゴ】 【Q】という女性主催の劇団のみで構成されている。


今作は、出来の良さと悪さが顕著に現れた劇団が多かったが、その中で、既に実力派のタカハ劇団 【クイズ君、最後の2日間】は見応えたっぷりだ。

2ちゃんねる好きのクイズ君の自殺までを描いているのだが、クイズ君が自殺を行った理由を問いただす物語ではなく、彼の社会との関わり方を描きながら、決して彼の内面には触れず、生きてきた外枠を描きつつ、後方では現代社会の情勢を描いている。決して自殺するとは思えない彼の生き方を見ながら、最後にはあっけなく自殺してしまう展開には衝撃を受けてしまう。
彼の自殺する原因が分からないから、彼の内側ではなく、生きてきた足跡を辿っていけば分かるのではないか?と作・演出家の高羽彩が自身に問いかけて作った様な気がする。
見応えのある、なかなかの傑作だ。

そして今回のとんでも劇団を発見。
それはワワフラミンゴの【どこ立っている】
物語や展開すらないのに等しいので、流行りの現代口語演劇かぁ?と思っていると、それすらもなく、殆ど4コマ漫画の様な感じだ。芝居を観ていると、たまに戯曲の出来の悪さに物語が破綻してしまい、観るに堪えない事があるのだが、意外にその後の展開が妙に面白いと思ってしまう時があり、まさしく今作は破綻してしまった後の面白さに似ている感じだ。ただ観終わった後には何も残らないというのは確実だが。
でも気になる劇団だ。

因みに、他の3つの劇団の出来の悪さには茫然とした。
そして全体的に若手女性作家は、物語を作るという事に興味はないのだろうか?(タカハ劇団は除く)という疑問を持った短編集であった。
臆病な町

臆病な町

玉田企画

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2013/08/30 (金) ~ 2013/09/08 (日)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

玉田企画の【臆病な町】を観劇。

青年団系列で、現代口語演劇を基本している劇団。

とある温泉宿で卓球部の合宿で来ている中学生たちは、厳しい監督の下、明日からのきつい練習が控えているにも関わらず、枕投げに興じたりして楽しい日々を過ごしている。
そして今回の合宿を最後に転勤してしまう監督にサプライズのお別れ会を催そうと部屋に行くと、そこには女性をナンパした監督が、したり顔で酒を飲んで騒いでいる姿を目撃してしまう・・・・。


玉田企画は、五反田団、城山羊の会の延長上にある劇団だな?と思っていたのだが、ややポツドールのお笑い版というところか。決してセミドキュメント的ではないのだが、誰もが今までに経験した出来事を再現している辺りや、俳優が演じているというより素に近い感じがして、共通点を感じてしまう。
ただ決してリアリティーを求めている訳ではなく、綿密に創作としての面白さを追求しているので、観客はまるで己の経験を体感してしまうが如く、物語の世界に入っていけるのである。
そして毎回感じるのは、始まった瞬間から終わりまで物語のつぼにハマってしまうので、この劇団の虜になってしまう。
そして毎度の事ながら、最後の終わり方がそれまでとは相対するで表現方法で攻めてくるので、更なる印象深さを醸し出してくれる。

お勧め!

墨井鯨子という変わった名前の女優は何度か目撃しているが、今作でファンになってしまったようだ。
前向き!タイモン

前向き!タイモン

ミクニヤナイハラプロジェクト

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/08/22 (木) ~ 2013/09/02 (月)公演終了

満足度★★★★

やられた
ニブロールの【前向き!タイモン】を観劇。

昨年の岸田戯曲賞の受賞作品であり、傑作舞台である。
が、その舞台に感動出来ず、特異な世界観に入り込めず、更に理解も出来ず、お手上げ状態で劇場を後にしてしまったのである。


今作は、多重人格者タイモンの独り言を早口連射で喋りまくっているのだが、その喋っているセリフの羅列を観客自身の感性、創造性をフルスロットルに駆使して組み合わせていき、そして観客自身で世界観を構築しながら観て行くのが楽しい見かただと思われるが、それが全く出来ずに終わってしまったようだ。そのような行為を出来ない観客は、ニブロールの演劇は楽しめない?観客失格?という結果に終わるのである。

そう、だから僕は観客失格なのである。

でも、お勧め!

cocoon

cocoon

マームとジプシー

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2013/08/05 (月) ~ 2013/08/18 (日)公演終了

満足度★★★★

必見
ネバばれ

ネタバレBOX

マームとジプシーの新作【コクーン】を観劇。

この劇団は個人の記憶をつかさどる物語が概ね多いのだが、今作はこれまでの集大成なのか?それとも新しい世界観への挑戦なのか?とんでもない傑作を作ってしまったようだ。今年だけで既に2本も新作を発表しているが、毎回新しい事を試みようとしているのがハッキリと感じられる。
岸田戯曲賞を取っており、チケットが入手困難、若手演劇人ではほぼトップと言っても過言ではない。今作も追加公演が6回も出たとは驚きだ。

今作は沖縄戦争でのひめゆり学徒隊の少女たちを描いている。
http://www.himeyuri.or.jp/JP/war.html

ひめゆりでの出来事は説明するまでもないので割愛するが、少女たちの何気ない日常から始まり、国の命令による戦争への参加、負傷兵を看護、負傷兵からの暴行、米兵への恐怖、そして自決と少女たちに訪れる様々な運命を反復、リフレインという手法で、徹底的に深くえぐり出していく。
目を背けたくなるような場面ばかりの連続だが、反復、リフレインという技法が狂気の表現方法と思えるくらいに観ている観客を、演じている俳優をも追い込んでくる。今までならそこで主人公のセンチメンタル的な要素を感じられたのだが、今作に関しては、それを一切排除しているようだ。
あまりにも惨い少女たちの運命に涙している観客が多数いたようだが、作・演出の藤田貴大はそれを望んでいるのではなく、この出来事を直視せよ!という事を心の底から叫んでいるのである。だだそのような観客がいたのはまぎれもない事実である。
過去何本もこの劇団の作品を観ていて、毎作個人的要素が強い内容なので、もっと外へ、外へ向かった方が良いのになぁ?なんて思っていたら、全てはこの作品の諸準備の為の様だった気がする。
今作によって、作・演出の藤田貴大は大きく飛躍するだろう。

必見である。
タイム・アフター・タイム

タイム・アフター・タイム

天才劇団バカバッカ

ザ・ポケット(東京都)

2013/07/31 (水) ~ 2013/08/04 (日)公演終了

満足度★★

ハートフルコメディー
ネタばれ

ネタバレBOX

天才劇団バカバッカの【タイム・アフター・タイム】を観劇。

初見の劇団だ。

今作は現代社会の抱えている高齢者問題と政治の在り方を笑いを通して描いてく物語だ。
劇団自らが今作をハートフルコメディーと謳っており、その定義とは、分かりやすい内容、誰もが喜怒哀楽の感じられる芝居という事だが、今作は社会問題を言及しながら、そこを深く掘り下げず、浅く問題認識を観客に認識させて語っていく手法だ。勿論、そこを目指しているのであれば、観客を何かしらに感動させてくれる戯曲と劇的興奮を優先しなければいけないのだが、そこを観る限りだとその辺りの甘さを感じてしまった。
やはりこの手の芝居の王道、劇団・キャラメルボックスには及ばず?という一言で簡単に終始してしまうのが残念だが、ハートフルコメディーと謳っているので、これだけはしょうがない。

主役の木村昴という俳優は決して上手くはないが、舞台の枠を超えそうな勢いある芝居に圧倒されたのが唯一の救いだ。

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