住み込みの女の観てきた!クチコミ一覧

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止まらない子供たちが轢かれてゆく

止まらない子供たちが轢かれてゆく

Cui?

アトリエ春風舎(東京都)

2014/09/03 (水) ~ 2014/09/16 (火)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

Cui?(キュイ)の【止まらない子供たちが轢かれてゆく】を観劇。

小学校のいじめ問題、先生による体罰などで生じる親の過剰反応をよそに、子供達は自分達の社会があるが如く、大人との対立をものともせずに恒例行事の学級裁判を行っていく。

え、小学生たちがそんな事をするのかい?これは宮部みゆきの【ソロモンの偽装】だな?と思うかも知れないが、それとは全くで別で、成長過程の子供たちの未熟な視点には成らずに、一個人の視点として描いている点が興味深いところだ。
それに今作は学級裁判を物語のクライマックスに持っていかずに、
いじめをする側とされる側、親の視点、教育者側の視点などを描きつつ、大人と子供が対等に罵倒し、罵りあって、事の過程を暴露していく辺りが非常に面白い。
そして今作の最大の長所は、台詞回しが口語ではなく、一言一言が独立している辺りが戯曲の良さを際立たせている。まるで唐十郎、つかこうへいを想起させるようだ。
でも口語演劇に慣れしたしんでいる観客にはちょっと違和感があるかも。

妥協点P

妥協点P

劇団うりんこ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/08/27 (水) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

劇団うりんこの【妥協点P】を観劇。
作・演出は【ままごと】の柴幸男。
高校の文化祭で催す演劇で、戯曲を書いた高校生に先生達が内容について訂正を求めていく先生VS生徒の戦いの様な物語。
すったもんだの挙句、皆の妥協点を掏り合わせていった結果は、最初に戻っていくという展開にはどうしても腑に落ちないのだが、それよりもそこまでに至る先生の言葉による攻撃、生徒の文章による反撃という武器を違えども、妥協というP点に向かっていく道筋は、観客をも険しさを感じさせるほどであった。

只今公演中の作・演出の柴幸男【わたしの星】とは全くの別の作風だ。
わたしの星

わたしの星

ままごと

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2014/08/21 (木) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
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ネタバレBOX

ままごとの【わたしの星】を観劇。

作・演出・柴幸男の待ちに待った新作。
高校生俳優、スタッフによる芝居だ。

人類の殆どが火星に移住してしまい、まだ僅かに地球に残っている高校生たちの文化祭(演劇発表会)の話。
9人の学生しかいない高校達は、文化祭への準備に余念がない。
そんな最中、発表の当日に火星への転校が決まったスピカは仲間に告白が出来ない状態だ。そんな時に火星から転校してきたヒカリを代役に得て、難を得る。
そしてスピカとの悲しい別れと共に高校生達の文化祭が始まっていく。

見事なまでに期待を裏切らない出来であった。
文化祭の準備で起こる数々の仲間同士のいざこざ、恋愛模様などがたっぷりに盛り込まれた内容だ。10人が常に登場している群像劇だが、それぞれのキャラクターの作り方、見せ場などを毎回出してきて、登場人物ひとりひとりに感情移入させてしまう演出力と高校生俳優の力量は大したものだ。
そして10人のキャラクターが結集したラストのクライマックスは当然の如く、【わが星】(柴幸男の代表作)で締めくくっていくのである。
兎に角、高校生俳優たちがものすごく良いのである。上手い下手というレベルではなく、それぞれが己の役をしっかり掴んでいて、自分の青春時代とダブってしまうほどだ。
もし【わが星】を観ていたら面白さ倍増だが、観ていなくても満足出来る芝居である。

だから今作はすごくお勧めである。
ヒューマンエラー

ヒューマンエラー

青年団若手自主企画田上企画

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/08/20 (水) ~ 2014/08/24 (日)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

田上企画のヒューマンエラーを観劇。

建設現場での起きた顛末を描いた作品。

新築マンションの内覧会に来たお客さんが、部屋のど真ん中でうんこの固まりを発見してしまう。思わず卒倒してしまうお客さんだが、現場は大慌てで、犯人探しに躍起になってしまう。
その犯人探しだが、うんこの中身を解析したり、うんこの形状を分析したりと色々可能性を探していくのだが、いっこうに犯人は見つからず、身内を犯人に仕立てようとするのだが、どうも無理があり、混乱していく。
そしてある時、以外な出来事によって犯人は見つかるのだが、そこには悲しい過去が隠されていたのだが……。

建設現場で起こった事実に基づいて脚色しているらしいのだが、工事現場のあり方、職人さんの人間性など、3Kと言われている工事現場こそが一番のネタの宝庫だ!といわんばかりに様々な出来事を巧みに利用しつつ、うんこと悲しい過去をつなぎ合わせるなんて何て上手いんだ。
ブラボー!これぞ快作!と叫びたくなるような作品であった。

今作は面白いのである。
インザマッド(ただし太陽の下)

インザマッド(ただし太陽の下)

範宙遊泳

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/08/09 (土) ~ 2014/08/17 (日)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

範宙遊泳の【インザマッド(ただし太陽の下)】を観劇。

マームとジプシー、ロロなどと並ぶ20代の劇団で、若手の中では先頭を走っている劇団。

ある試合で63-0の大敗を喫した日本代表。
そこに関わっていた関係者、選手、観客などはそれを機に堕落してしまう。それは国そのものを、いや全世界の環境さえも変えてしまうほど落ちて行ってしまうのである。

今ある日本の姿を描いていると言っても過言ではないほど、現実を直視した芝居である。落ちてしまった愚かな人間が行う行為とは何か?と問いかけながらも、結局の処、人間の根底はそんなに変わらないのではないか?
というふたつの疑問符を投げかけてくるのだが、それの表現たるや舞台に写された映像内での記号や台詞とその前で演じる生身の俳優との対比によって、観客自身が今作に堕落するのかしないのかと投げかけてくるようでもあった。メッセージ性が強い部分はあるにはあるのだが、それ以上にそれを如何に受け取るかどうかが問われる内容になっている。

傑作である。
キープレス

キープレス

劇団森キリン

アトリエ春風舎(東京都)

2014/08/02 (土) ~ 2014/08/07 (木)公演終了

満足度★★

ネタばれ
不満

ネタバレBOX

劇団森キリンの『キープレス』を観劇。

個人の記憶、思い出、郷愁などがキーワード即座に出てきそうな個人の昔の日常の出来事を題材にした芝居。
今の若手にありがちな着眼点だが、到達点をどこに持っていくかが作家の資質が問われるとこだが、そこは全くと言っていいほど何もなく、ただ単に観客に投げかけているだけあり、作品の余白を作っているように見せかけているだけで、演出家の描きたい事は何?と疑問符を投げかけたくなる。
まだ20代の作・演出の若者がついこないだの過去を振り返るより、未来を描く事が先決だろ!と言いたくなってしまった。
それは秘密です。

それは秘密です。

劇団チャリT企画

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/07/24 (木) ~ 2014/08/03 (日)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
前作は失敗作であったが、今作は何時もの見応えのあるチャリT企画であった。
やっぱりこれだよねチャリT企画の魅力は。

ネタバレBOX

チャリT企画の【それは秘密です】を観劇。

ある日突然、アラフォー芸人の小島圭が公安に連行される。
逮捕の説明がないまま取り調べが始まるのだが、小島圭にとっては身の覚えのない事なので、終わりのない尋問が始まる。
そして小島圭とコンビを組んでいる仲間たちも彼の逮捕に慌てふためき、原因を追求し始める。
そしてそれを境に小島圭を小島健さんと勘違いして訪ねてくる主婦、ジャーナリストたちの出現によって、実は小島健は小島圭の弟であり、元自衛官であったのだが、自殺して今はいない。じゃ、何故自殺をしたのか?という事の真相を探っていくうちに、自衛隊後方支援活動の時にあった衝撃の事実にたどりついて行くのである。

特定秘密保護法を題材にして、国家が世間に隠蔽していた事実を追求していくドラマである。反国家主義を掲げている訳ではなく、一市民が理由も分からずに逮捕され、釈放され、理由は何?それは秘密です!という国家の答えに釈然としなまま進む展開を市井の視点で描いていて、見終わって改めて、国が行った行為について言及したくなるような理想的な社会派ドラマであった。
何時もながら見応えのある芝居を作る劇団である。
五反田の夜

五反田の夜

五反田団

アトリエヘリコプター(東京都)

2014/07/22 (火) ~ 2014/07/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

西田麻耶万歳!
ネタばれ

ネタバレBOX

五反田団の【五反田の夜】を観劇。

3.11の震災後のボランティ活動の話。
五反田に住む住人たちは、震災について何が出来るのか?と仲間たちと協議しながら、真剣に活動について話しあっている。
がしかし、そんな話し合いの中で、個人のエゴなどで組織が簡単に分裂してしまい、ボランティをするという目的から外れていってしまう。

前田司郎が描く震災についての考察でもあるのだが、かなりシニカルに描いている。ここで描かれる人たちにとっての震災は、他人事ではないと思いつつも、彼らの行動は、ただの暇つぶしでしかないのか?とも解釈する事が出来る。そんな風に観客を仕向けていくのが、今作の面白さでもあるのだが、前田司郎が描く世界は、常に99%がおふざけであり、わずか1%でしか作品の狙いを提示してこないのが毎回の常なのだが、批判精神たっぷりの毒舌感はたまらない。
そして今作は本当に面白い。
西田役を演じた西田麻耶は観るだけでも一見の価値あり。

お勧めである。
母に欲す

母に欲す

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2014/07/10 (木) ~ 2014/07/29 (火)公演終了

満足度★★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

三浦大輔の【母に欲す】をパルコ劇場にて観劇。

前作の【おしまいのとき】で三浦大輔の新境地をラストに垣間見えたが、今作では見事までに自身の過去の作風を封印?いや全否定して新しい表現方法で攻めてきた。
過去の自分自身との決別ともいえる作家の新たなる始まりでもある。

六畳一間で、家賃、電話代滞納、ゴミための様な部屋、親に嘘をつき金を無心して女を買うという人間失格の若者の日々で始まる。過去の作品で描かれた【人間失格】というキャラクターと全く同じである。そんな若者のもとに実家の弟から母の危篤の連絡があり、帰郷するのだが、母の死に目に会えず、弟から罵倒される。そんな兄も母親の死を正面から受け止め、自身の懺悔の始まりである。
そして父も妻を失った悲しみから、新しい女性を受け入れるのだが、兄弟は母の思いからかなかなか受け入れられないでいるのだが、やはり寝食を共にしていくうちに馴染んでいく。
そして父と新妻、兄弟の関係がまさしシェイクスピアの様な関係に発展していき、そこで兄弟と義母との近親相姦という展開にいくだろうと観客に思い込ませながら、二転三転していくうちに、息子にとっての母親とは?という究極のテーマにたどりついて行くのである。

ポツドールファンなら誰しも兄弟と義母との近親相姦というエグイ展開を期待してしまうのだが、今作ではシェイクスピアすら行き着けなかった終着駅にたどりついたという感じだ。
過去に描いたどうしようもない若者たちのたどり着いた先にあったものは何なんだったのか?その答えは今作で出したのである。
そして三浦大輔にして初めてのメッセージ付きの作品であった。
明らかに演劇史に残る大傑作であり、永遠に残る作品である。

お勧めである。




朝日を抱きしめてトゥナイト

朝日を抱きしめてトゥナイト

ロロ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/07/11 (金) ~ 2014/07/21 (月)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

ロロの【朝日を抱きしめてトゥナイト】を観劇。

若者に人気で、評価の高い劇団。

地方の街での町子ちゃんと周辺の人々の話し。
以前なら混沌?、今で言うならごった煮?という感じの劇団だ。
学生演劇的なお遊戯的な見せ方、痺れるセリフ回し、郷愁を感じさせるシーンの数々、役者の熱量など数々の表現の良い箇所を全てミックスさせていく辺りは自分としては全く受け付けないが、決して悪くない表現方法だ。
長く演劇を観ていると、自分にとっての最良の方法で表現されて、満足いくものが面白いと解釈してしまいがちだが、20代の若手演出家は、そんな観客の思惑をあえて外していきながら、独自の世界観を築いているようだ。

女優・島田桃子の存在感は何時もながら刺激的だ。
映画

映画

ワワフラミンゴ

王子スタジオ1(東京都)

2014/06/27 (金) ~ 2014/07/06 (日)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

ワワフラミンゴの【映画】を観劇。

以前に短編を観た時の衝撃度が強く、期待の新作をやっと観る事が出来た。

物語というか内容が全くない演劇。
女性たちがぬれ煎餅の話題について語り合ったり、毒キノコのエピソードなど
普段の日常から少し外れた事についての会話集という感じだ。
アバンギャルか?アングラか?現代口語演劇か?はたまた不条理か?とジャンル分けを考えてしまいそうだが、全く何にも当てはまらないが、ちょっとだけかじっているともいえる。
展開の面白さや俳優の熱演というのが皆無に等しくても、こんなに面白い物を簡単に作れてしまうのかと驚くばかりだ。
兎に角、面白くて面白くてしょうがないのである。
お勧めだが、今日まで。
臘月記

臘月記

虚飾集団廻天百眼

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/06/29 (日) ~ 2014/07/03 (木)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

虚飾集団廻天百眼の【臘日記】を観劇。

戯曲は岸田理生で、この劇団は寺山修司などのアングラを主に行っている劇団だ。
劇場に入るや否や、客席に血のりがかかるので要注意!と防御用にビニールシートを配ったり、前席を陣取っている熱狂的なコスプレギャルがいたりと、アングラがやや秋葉的なノリで変だが、劇場は熱気ムンムンだ。
そして久しぶりの小劇場で味わえる高揚感はたまらない。
がしかし........、岸田理生のアングラ感をただの奇妙な世界観としているのが解釈の間違いで、背景に描かれる政治的背景をお座成りにしている辺りが世界観を全く駄目にしている、いや理解していないのではないのかと感じてしまう。世代的には岸田理生には関係ない、観た事もない世代のようだが、現代口語演劇が演劇界を席巻しているなか、このような反逆精神は非常に交感が持てる。
次はオリジナルで勝負してもらいたいものだ。
でも二度と観ないと思う。
少年期の脳みそ

少年期の脳みそ

玉田企画

アトリエ春風舎(東京都)

2014/06/20 (金) ~ 2014/06/29 (日)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

田企画の【少年期の脳みそ】を観劇。

高校生の卓球部の合宿の話し。

多感な年頃の高校生は、部活よりやっぱり異性への興味が募るばかりだ。
自分の思いを好きな子にどのような言葉を使って告げるかが一番の問題なのだが、やはりまだ高校生には、日本語という言葉を駆使して告白するなんて到底無理な話で、そんなもどかしさを思い出し、感じながら楽しませてくれる作品である。
何時もながらこの劇団は、思春期の若者の青春劇を描く事が多いが、
その世代を描きつつ、日本語の表現の奥深さと多彩さを改めて感じさせてくれるのが玉田企画の毎作の面白いところだ。
もしかしたらこれこそが現代口語演劇の本質かもしれない。
誰もが観ても楽しめる作品である。
臭う女(黒)~におうひとノワール~

臭う女(黒)~におうひとノワール~

劇団野の上

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/06/20 (金) ~ 2014/06/23 (月)公演終了

満足度★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

劇団野の上の【臭う女 黒】を観劇。

青森の煙草畑で働くおばちゃん達は、将来の事、息子や孫の事、
そして男の話などの下ネタで盛り上がりながら、あくせくと働いている。
今作は女性のえげつない部分を描いている、いわゆるブス会の地方版的なのりの演劇なのだろうな?と軽い気持ちで観ていたのだが、それが大きな間違いと気付いた時には、とんでもない展開の序曲が始まっていたのである。
その煙草畑に大学のフィールドワークを兼ねた学生が訪れるのだが、そこでは秘密裡に大麻を栽培していて、学生に見つかってしまうのである。必死におばちゃん達は口封じを試みるのだが上手くいかず、その場に現れた大麻の売人に殺されてします。そして売人とおばちゃん達も学生を殺した口論のもつれから、互いに殺し合いになり、ほぼ全員が死んでしまうという恐ろしい展開で終わってしまうのである。

手作りの安っぽいセット、陰影のない明るい照明、全編青森の南部弁で、会話の半分以上は聞き取れず、そして現代口語演劇の王道を行くには最高の設定で見せておきながら、ある瞬間を境に一気に加速していく物語には、口が開いたまま閉じないという状態だ。
それが決して加速する展開の面白さのみを追求しているではなく、やはり今の地方都市の抱えている諸問題などを背景に描き、前景では現実の残虐性が描いていく辺りの前と後ろのバランスが非常に良く出来ている。
寺山修司が描いた青森とは全く違う一面の見えてくる現実感たっぷりの世界観である。

お勧め。
東京原子核クラブ

東京原子核クラブ

conne-colle

Geki地下Liberty(東京都)

2014/06/12 (木) ~ 2014/06/15 (日)公演終了

満足度★★

ネタばれ
ネタばれというより不満

ネタバレBOX

上演時間3時間の長い芝居ながら、それほど長く感じられず観れたのは演出力か?と思いきや、やはりそれは戯曲の出来の良さだという事がはっきりと観劇後に分かってしまった。
現在に通ずるテーマを扱っているのだが、クライマックスの見せ方と緊張感のなさ、それは俳優の力量と演出力の問題だ。戯曲の出来が悪かったから?とは言い訳無用という感じである。
そしてラストに向かっていけばいくほど、戯曲はテーマを明確に打ち出していくのだが、演出力がそれに対して反比例していくのには残念、というより何故この芝居を現在行っているの?と問いかけたくなってきてしまった。
という訳で、この劇団は、マキノノゾミの傑作戯曲に太刀打ち出来ず!
ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと----------

ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと----------

マームとジプシー

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2014/06/08 (日) ~ 2014/06/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

マームとジプシーの【かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと】を観劇。

作・演出の藤田貴大は20代の演劇界のトップランナーだ。

何本もこの劇団の作品を観ていて、幾度となく感想を述べているので今更説明は不要だが、もう地球規模で家族の風景を描いているとしか思えないぐらい、作品ごとに大きさを増してきている。

長年住み慣れた我が家も拡張整理の為、家が取り壊され、家族がバラバラになりながらも、必死に繋がろうとする関係を反復、リフレインを多様しながら描いていく。肉体表現もさることながら、舞台装置や小道具を上手く多様しながらの表現は圧巻だ。
それに何時もの激しい肉体表現に加えて、新しい技を出してくる辺りなんかは憎いという感じだ。
そしてありえない表現方法を使用しながらも、描かれるのは誰もが持っている個人の郷愁であり、そこに観客の誰もが懐かしさや悲しみを感じてしまうので、観客は見事に涙の海に落ちてしまうのである。

演劇枠をいとも簡単に越えてしまった20代の作・演出の藤田貴大の才能には唖然とする。

絶対、必見!

平田オリザ・演劇展vol.4

平田オリザ・演劇展vol.4

青年団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/05/31 (土) ~ 2014/06/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

平田オリザの【演劇展】を観劇。

【働く私】【忠臣蔵・武士編】【忠臣蔵・OL編】【ヤルタ会談】の短編、中編を含む4本立て。

特に面白かったのは忠臣蔵シリーズだ。
武士編もOL編も設定が変わっているだけで、内容はほぼ一緒。

大石を含む侍たちが、吉良邸に討ち入りするか否かの顛末を描いている。
そこで大石たちは武士道精神に則って切腹するか?仕官になるか?
自分の保身を考えつつも吉良に対する復讐などを現代風に描いているのだが、彼ら、彼女らは自分が武士であるが所以の悩みを抱えてつつ、今の置かれた環境の中で必死にもがいていくのである。それは昔から現代に至ってもなにも変わらない何処かに所属しているサムライ=サラリーマン、OLという図式だ。
そして最後には一致団結して討ち入りをするのだが、そこで大石は名言を吐くのである。

【自分とは何なのか?誰なのか?】

現代口語演劇を武器に、現在の小劇場界の潮流を築いた平田オリザが、
アングラごときのセリフを平然と書く辺りに現代口語演劇の本質を発見したような気がする。

必見!
ゴーストシティ

ゴーストシティ

青年団リンク・RoMT

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/05/22 (木) ~ 2014/05/28 (水)公演終了

満足度★★

不満
不満

ネタバレBOX

どうしてこの戯曲を選んだのか?
数々のエピソード集は一体何だったのか?
この話の魅力的なところは何?

観劇中に物語の魅力を少しづつ感じなくなると上記の事を考えながら観てしまうのだが、一向に何も分からないまま、いやそれすら提示されないまま終わってしまった。そこに観客が何も見いだせないと退屈というい言葉で浮かんできてしまう。それは自身の感性の無さなのか?と自問自答してしまうが、それは明らかに違う。今作は失敗作であると思う。

でも李そじんという女優は良かった。
関数ドミノ

関数ドミノ

イキウメ

シアタートラム(東京都)

2014/05/25 (日) ~ 2014/06/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

ネタばれ
かなりネバばれ

ネタバレBOX

イキウメの【関数ドミノ】を観劇。

ある交差点で車が青年を牽いてしまうのだが、青年は全くの無傷だが車は大破、そして助手席に乗っていた人は大怪我をしてしまうという奇妙な交通事故が起こる。その場所にいた当事者、目撃者、関係者を含めた各々に保険会社が聞き取りをするのだが、事故の真相は得られないまま終わってしまう。
そして関係者の一人が、もしかしたら側にいた兄が青年(弟)を助けたという思いから、車の前に突然透明な壁が現れて青年(弟)を救ったのではないか?いわゆるドミノ幻想が働いたのではないか?という仮説を打ち出してくる。
そしてその関係者の一人がその説を証明するために、HIV感染者とその兄との関係を意図的に作り上げた結果、そのHIV感染者は見事に治ってしまうのである。
じゃ、ドミノ幻想とは何か?神の力か?それとも超能力か?と追求して行く内に、実は仮説を打ち上げた関係者本人がドミノ幻想の持ち主だと判明して行くのだが........。
ドミノ幻想とは、人生で常に幸運を持っている人がいるという説で描かれている。不運に見舞われて人生を送っている人は、ドミノ幻想を持っている人が何時も側にいたからだと否定的に考えている。物事は捉え方によっては人間はいかようにでも自由にも不自由にも成れるし、否定的に考えてしまうと自由は獲得出来ないし、他人に対して嫉妬すらしてしまい、ドミノ幻想すら持てないという状況だ。
そして人間が生きていく上で感じる矛盾や不満をどのように扱うかのか?
そして人はドミノ幻想を持てるのか?持てないか?という疑問を大いに投げかけくる内容である。
あくまでもドミノ幻想という仮説を元に進行していくのだが、ドミノ幻想を通して、自分の人生について俯瞰しながら考えさせてくれる作品であった。
しかしドミノ幻想という言葉は本当にあるのだろうか?という疑問を帰りがてらネットで検索すると、そこで初めて作家の大きな罠に引っ掛かったのは自分自身だった!という答えが分かったのは驚きだった。
そして今作も精神疾患について言及している辺りは見逃せない。

かなりの傑作であり、お勧めである。
ガーデンgarden

ガーデンgarden

オフィスコットーネ

吉祥寺シアター(東京都)

2014/05/21 (水) ~ 2014/05/26 (月)公演終了

満足度★★★

ネタばれ
ネタばれ

ネタバレBOX

【ガーデン・garden】を観賞。

郊外のガソリンスタンドでの話。
そこで働く従業員、やる気のない店長、そこに出入りしているキャバ嬢、
訳ありの女とドラマらしいドラマもない普段のありふれた日常で展開していく物語!という触れ込みだったので、てっきり【ポツドール】の覗き見的なリアリズムか、【五反田団】の様な全く無駄だらけの展開か、はたまた【城山羊の会】の不条理たっぷりのドラマかと変なものを期待していたのが、作・田村孝裕(oneor8)だけあって、そこまで非日常的ではなく、まっとうな日常的なドラマであったようだ。

おおむね展開らしい展開はなく、スタンドで働く従業員を通して、各々の過去や未来への苦悩や悩みを描いている。
今作の良いところは、展開の殆どが登場人物の日常の無駄な会話だらけなのだが、その一瞬のちょっとした一言がその人物の抱えている問題を提起している辺りが魅力であろう。それも決して象徴的に描くのではなく、ほんの僅かな隙間を狙っているのが今作の戯曲の良さではないのだろうか。
流石、田村孝裕というところか?





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