満足度★★★
ネタばれ
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ネタバレBOX
刈馬演劇設計社の【クラッシュ・ワルツ】を観劇。
交通事故があった交差点で、何年にもわたって花が添えられている。
それは家族ではなく、加害者が行っているのである。
そしてその事故現場前にマンションを建てようとしている住民が、
風評被害でマンションの売れ行きが良くないと、花を添えるのを止めさせようとしている。
そして加害者、被害者の家族、そして住民が一同に会した瞬間、
それぞれの事情と思いが爆発していくのである。
事故によって影響を受けた被害者と加害者だけに収めず、
あえてその風評被害を受けた住民を加えて、物語を司るのが注目する点であろう。
観客の視点をそこから始めて、家族の心情へ入っていく手法はなかなかであった。
が、あまりにも被害者、加害者間の直接的なやり取りには全くの余白がなく、虚構と曖昧さと妄想の劇を期待している観客は、
ただただうなずくしかないのである。
満足度★★★
ネタばれなし
すっかり前作の事を忘れていたが、前作はかなり面白かった。
そして今作も期待通り。
三鷹は期待大だな。
満足度★★★★
ネタばれ
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つかこうへいの未完の戯曲【引退屋リリー】を観劇。
今作は世間で言われていたあの幻の美空ひばりの物語だ。
犬島で父を殺したと疑われたリリーは、二階堂刑事に捕まる。
犬島に渡った者は決して生きて帰って来れない?という噂のある恐ろしい島である。
だが、何故リリーだけが帰ってこれたのか?
刑事の疑問と共に、そのリリーの美貌と犬島の謎を下に、映画を撮ろうと画策する落ちぶれた映画監督の村川。
そして刑事がリリーの過去を探るうちに、彼女は美空ひばりとマッカーサー元帥の落し後だという事が判明する。
そしてマッカーサーが日本を離れる際に放った
「I shall return.」と謎の暗号。
その意味を紐解いていくうちに、とんでもない秘密が露わにされていくのである.....。
今作はつかこうへいがリリー役をオディ―ションしたのだが、演じられる女優が居ない為に中止になった公演だ。
本来の戯曲はもう少し美空ひばりが全面に出ていたらしい?と噂があるのだが、その辺りは分からずじまいで、残された資料を下に改定をしているようだ。
今作もつかこうへいらしい二重構造で話は進んでいく。
二階堂刑事が事件の解決とリリーの過去を探っていく謎解きと、それを同時進行で映画化していく村川監督。
その二つの話が同時に進んでいくに、戦後の日本と被爆国としての日本について問題定義をしていくのである。
あまりにも荒唐無稽すぎる話も、物語の面白さと展開のスピード、そして連射攻撃の俳優の台詞に圧倒されまくりである。
つかこうへいの弟子がやっていようが、やはり面白さとそれに込められる重いメッセージは余韻を引くのである。
今作は決してつかこうへいには及ばないかもしれないが、これほどまでの二重構造の構成で、メッセージ性の強い面白い物語を書けるのは今や野田秀樹ぐらいしかいないのでは?と思えてしまう。役者に物足りなさを感じるのは致し方ないが、馬場徹、山崎銀之丞、吉田智則のお陰で、つかこうへいらしは保たれていたようだ。
お勧めである。
満足度★
ネタばれなし
どんな状況で演劇を見せようが、演劇そのものを変えようと試みても、観客が何も感じられないのは失敗作と言っても良いだろう。
アフタートークで余計な事は語らない方が良い。
それより美術家の毛利さんの発想の方がよっぽど面白い。
満足度★★★
ネタばれ
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ネタバレBOX
うさぎストライプスの【セブンスター】を観劇。
宇宙飛行士を夢見る少年の話し。
「おいおいこの狭い劇場で、宇宙空間を表現しながら、自転車を組み立てるのかい?」という度肝も抜く出だしは素晴らしく、このままいけば傑作になるぞ?という予感もあっさりと青春物に落し込んでいったのはやや残念であった。
ただこの劇団を観はじめた頃は、全くの嫌悪感でしかなかったのが、今や観賞するのが至福の瞬間でもある。
短い上演時間ながら、中味は濃く、良い出来である。
満足度★★★
ネタばれなし
中年女性とボクシングとはお見事!
観客はこんな題材を望んでいるのだ。
満足度★★★★
ネタばれ
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NODA・MAPの【逆鱗】を観劇。
先週の【リトル・マーメイド】に続いて、今作も人魚の話し。
水族館では新たなる見世物の人魚の補獲に大忙しだ。
捕獲の為の潜水浮の訓練、偽者の人魚のオーディションなどでだ。
そしてそこに来た電報配達人がオーディションに来ていた本物の人魚に出会い、海底の世界へ導かれ、人魚の世界を垣間見てしまうのである。
そして実在しない妄想の生き物と戦争で実在した人間魚雷、
妄想と現実が交差した瞬間から日本の悲しい歴史が始まっていくのである。
顔が人間で、身体が魚で人魚が作れるという話しから、言葉遊び、歴史観など、それを利用しようとする人間と人魚の関係で話しが進んでいく。
そして寓話的に描かれていく人魚の生態が大きな伏線を孕んでいくのだが、それを微塵も見せずに進んでいくので、「今作は妄想と寓話がキーワードになるのかい?」と思いながらも、やや物足りなさを感じてしまう。
「まぁ、でもそんな訳ないよな~?」と思った瞬間から、一気に散らばった話しのパズルが組み合わさっていくように、人魚と人間魚雷の関係、戦争とは?そして戦争で散った若者達のレクイエムとして、物語は海の底深く沈んでいくのである.....。
もう誰も越える事の出来ない野田秀樹の新たなる傑作である。
お勧めである。
満足度★★
ネタばれなし
単なるドタバタ感で終わった感じで残念。
満足度★★★★
ネタばれ
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玉田企画の【怪童がゆく】を観劇。
毎回飽きずに観ている劇団であり、年間二本の新作を継続して発表している。
至って地味で、目立たない若者達の会話劇が多く、今作は恋愛物。
大学のある日本古典研究科の合宿での顛末。
一人息子を連れてきている教授とセクハラの疑いがある助手と三人の生徒達。
明日の予定について皆で協議しているのだが、教授の一人息子をほっとくのは可哀想という生徒の意見で、予定を変更して、遊園地に行こうという事になるのだが、フランス人生徒の意見により考えは真っ二つに割れる。
そこでは教授と生徒、フランス人と日本人、同級生への片思いの一人息子、そしてセクハラ助手とそれぞれの恋愛事情が噛み合いながら、
西洋と日本の考え方の違いなどをちりばめていく。
玉田企画の面白い箇所は、「あるあるそういう感じ?」とまるで己が外国人になった気分で、島国日本を俯瞰しながら観れるところが興味深く、ほぼそれの連発といっても良いだろう。
ただそれは台詞の繊細さ、演技の間、上手さなどが重要で、作・演出の力が問われる芝居であるが、その中には物語性などなく、平田オリザのように何かを示唆している箇所がないのが、この劇団の特徴だ。
だからこそ日本一人畜無害な劇団といっても過言ではない。
でも毎回外すこともなく、何時間でも観ていたくなるのは間違いない。
そんな芝居を作れる人はなかなかいないよなぁ~。
傑作ではないけど、面白いのでお勧めである。
満足度★★★
ネタばれなし
数式と言葉を応用して、演劇を作るなんて....、
何て凄いのだ!
もう一度観たかったんだが、千秋楽に観に行ってしまったのが残念でならない。
満足度★★
不条理?
今作が不条理演劇とうたっていたので、そこに別役実的な何かを期待しすぎたのがそもそもの間違いだったのか?
満足度★★★
ネタばれ
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青年団リンク・ホエイの【珈琲法要】を観劇。
1800年代頃に蝦夷の斜里で、津軽藩兵はロシアの侵略に向けて警備に当たっていた。
だが慣れない寒さと栄養失調(ビタミン不足)により、兵士達は警備すら出来ずに死んでいき、幕府は万病の薬として珈琲を配っていくのだが......。
幕府がひた隠しにした実話である。
それは兵士達が何もせずに死んでいく事態になり、幕府がその事を隠蔽したのだが、その状況を書いていた兵士の日記が、100年後に発見されて、明るみに出たそうだ。
ただ今作で描かれるのは、幕府の当時の失態や批判ではなく、日本人とは?を描いている作品である。
そしてこの事件のあらましを見ていくと、グローバル化とはいえ、やはり島国の我々の民族性は、諸外国とは全く異なるのだなぁ~と感じてしまう。
満足度★
ネタばれなし
この二つの事件は詳しく知っていただけにかなり期待したが、作家が何を狙っていたのかが全く分からず。
満足度★★★
ネタばれなし
高校生演劇を観劇。
最近何気に映画の影響か?高校生演劇がブームのようだ。
高校生大会には時間制限などがあるようだが、今作も1時間限定である。
オリジナル、既存など様々な戯曲を使用しているようだが、既存の戯曲も1時間以内にまとめなければいけないので、その辺りの作業も大変だ。
そして戯曲を作るのは先生であったり、生徒であったりと様々だが、作品の良しあしを決めるのは戯曲ではなく、上演された芝居で判断されるので、やはり演じると言う事が作品の出来を決めている感じだ。僅か1時間ながら、生徒たちが全てを注ぎ込むので、密度が濃すぎて、起承転結すら簡単に凌駕してしまい、2時間近く感じてしまうほどだ。
そして世の中の演劇をまだそれほど知らないからか、何事においても枠がなく、生で生じる演劇特有の偶然性の連打で、新たなる表現方法が生まれてきているのは確かである。
多ハズレがないほどレベルの高い高校生演劇であった。
満足度★★★
ネタばれなし
宮崎の演劇人の表現幅の広さに驚きを隠せません。
必見です。
満足度★★★★
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長塚圭史の【ツインズ】を観劇。
海沿いの家に離れ離れになっている家族が、余命幾ばくもない父親の遺言を聞きに集まっている。
そこでは、アル中の長男、父親の財産を目当てに暴れる次男と娘、父親の介護と称して面倒を見ている謎の女性と連れの遠い親戚、そして甥っ子と嫁と双子の息子達だ。
彼らは家族なのだが、どうも話が噛み合わない。遠い親戚が気を利かして、海で取れた魚介類を調理してふるまっているが、どうもしっくりこない。
それに必要なまでにその魚介類を食べようとしない甥っ子。そして遂には双子が何処かに消えてしまう有様だ。
観客は何かが変だ?と少しずつ気が点いていくのが、これはきっと家族の再生物語だなと思わずにはいられない。
そして何年ぶりの祭りの再開と共に、父の遺言を聞きに家族一同が料理を食べながら、父を待っているのだが、既に死んでしまっているようだ。
そして父の死と共に街の電気も送電されなくなってしまい、暗闇の中、最後の晩餐さながら食事をしていると、
その先には理解不可能な出来ごとが待ち受けていたのである。
長塚圭史の得意技である、とある瞬間にテーマや設定すら変えてしまう鮮やかな幕切れであった。
自ずと観客は海沿いの街、魚介類を必要なまでに食べない甥っ子を見ていると、この場所と時代背景が見えてくる。
そしてその事によって離れ離れになった家族の再生物語を希望の展開として持っていくのだが、その希望を打ち破ってしまう、
絶望しかない衝撃のラストには思わず口があんぐりだ。
凄い傑作であり、お勧めである。
満足度★★★
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マームとジプシーの【書を捨てよ、町へ出よう】を観劇。
時代も世代も感覚も全く違う作・演出の藤田貴大が、寺山修司とどのように対峙するかが興味の一点である。
始まりは前作と同じ様な眼球の解剖から始まり、背景ではパイプイントレを組んで、無機質な造形物が組まれて行く。
そしてライフルで人を虐殺する若者、虹郎の人生、妹の強姦、叔母の姥捨て、そして寺山の母親ハツとの確執など寺山修司色満載である。
だが決して藤田の表現方法はいつもと変わらず、反復であり、物語性すら求めない違和感を感じるスタイルは健在だ。
そして寺山が描く望郷感も藤田が描くととんでもない地獄絵図になってしまうのは、彼に対する反骨精神とも取れるが、
それはまるで寺山が藤田との出会い待っていたかのようでも思えるが、実の処、これは全くの偶然の出会いでしかない。
それは寺山修司のあの名言【出会いの偶然性を想像力によって組織する】を藤田がただ体現しただけだろう。
そして未だに分かるようで分からないアングラ演劇と寺山修司という奇妙な存在と今作は、結局誰もが分からずに終わってしまうと思いきや、
舞台で流れる映像の中で、作家・又吉直樹に答えを言わせるという何とも藤田らしい?いやいや寺山修司に対する尊敬の念を示した終わり方で幕を閉じるのである。
難解であり、苦痛であり、そして受け身で観劇しようものなら駄作であるが、
それを取り払う勇気があれば、とんでもない傑作なのである。
お勧めである。
満足度★★
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猫のホテルの【高学歴娼婦と一行のボードレール】を観劇。
東電OL事件の顛末を描いた作品。
事件に関わった犯人、OLを娼婦として買ったサラリーマン、
事件を追っているジャーナリスト、そして死んでしまって天国で彷徨っている本人などを様々な角度から事件を突き詰めていく。
誰もがこの事件で思ったのは、何故、高い賃金を得ている一流企業のOLが、安い端金で男性を買っていたのか?という疑問だ。
今作もやはりそこに焦点を当てていた様だが、さっぱり疑問は解けずという感じだ。
ただ飲みや屋の壁に貼ってあったボードレールの詩の一篇
【雪崩よ、崩れ落ちて来て、僕をさらって行かないか?
~虚無の味】
が謎を解く鍵としていたようだが、それはそれで分からないでもないが、それでは演出家の答えになっていないなぁ~というのが今作を不満に思うところである。
今作は観る必要がない。
満足度★★★★
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KAKUTAの【痕跡】を観劇。
大雨の深夜にバーテンダーが河川で目撃した交通事故、
ひき逃げしたドライバー、被害者の子供、その母親、そして子供を救出した人、
その人達のその後の人生を描いた作品。
息子をひき逃げ事故で失い、捜索の結果、遺体が上がらずに行方不明のままだ。だがそんな母親は、一旦諦めた息子捜しも、最近になってマスコミの協力のもと、少しづつ行方不明の息子に近づいていく。
そしてひき逃げをしたドライバーは、心にその事を残しつつ、平和な生活を送っている。更に行方不明になった子供は、救出された人に戸籍不明として育てられ、立派な大人になっている。
そしてこの先の展開は自ずと見えてくるのだが、まさしく観客の思う通りに話は進んでいく。
そこで何故、このようなありきたりの展開で話が進んでいくのだろうか?という疑問が湧いてくる。この展開の裏にか隠されているのではないだろうか?と観客はいやがでも思っていく。
そしてその疑問は、物語として決着をつけるのでなく、登場人物の感情の一面として物語の全てを納得させる手法は、大いに唸ってしまったのである。
傑作である。