満足度★★★
ヨハネ・パウロⅡ世
飽きないがちょっと長い。あと開演までも長い。130分。
ネタバレBOX
1999年。ノストラダムスの大予言に沸く日本。大予言の解釈者・岡部と池尻の前に、ノストラダムスと助手が現れる。嘘つき呼ばわりされ立腹しているノスは、時間を戻す手段を得て、二人の協力の元、大予言成就を目指し、何度も1999年をやり直す。何度も試行するうちに、人々の願いが結果になるという現状が起こり、世界は混乱、池尻も狂信的になるが、ノスと岡部は世界を元に戻す。そして岡部は現実と向き合い、登校拒否な息子のため戦う。
岡部や池尻はじめ、バイト先の先輩から蔑まれる木下、いじめられDBの世界へ逃避する裕也、一向売れない漫才コンビの石緒と尾田など、理解されず上手くいかない人間の、内に秘めた破滅思想を表現し、その次をみせる作品。テーマは好きだし、マイナスパワーな表現が上手い。そのためか、長いなと思いつつ飽きはしなかった。
ただ、散漫な気もする。ゴチャっとしたシーンもいいけど、全体的にもうちょいスリムな感じに仕上げて、岡部の息子との想いが輝くような感覚がほしかった。
満足度★★★★
占い
面白い。80分。
ネタバレBOX
仮出所中の勇作(中尾達也)を車で運び、奥さんの家の近くまできた欽也(田内康介)とあけみ(吉田愛)。待っててくれるならベランダに黄色いハンカチを干しといてと、ムショから手紙を送った勇作がそれを確認しにきたのだが、あれやこれや理由をつけて見に行こうとしないでいる…。
見に行こうとしないどころか、部屋まで借りて、通行人を殺害し監禁しって、人格破綻者な勇作を中心にしたストーリー。穏やかな欽也とイライラつっこむあけみとのバランスがいい。ヘンテコでいながら妙なまとまりがあって面白い。
終盤の理屈へ理屈はそこまで魅力的には思えなかったけど、短めな時間で面白い会話劇を堪能できたという充実感があった。
満足度★★★★
天才
面白い。
ネタバレBOX
本郷(山崎雅志)…高校生刑事。天才高校の争いを止めるべくやってきた。類まれな読解力で小野寺から慕われる。
リリー(小玉久仁子)…特訓の天才と偽る、裏切りの天才。本郷へ通報し、争いを止めようとした。
二宮(林修司)…生徒会長の天才。元々孤独だったけど、リリーや磐梯と親友になった。音無が好きだったけどフラレて抗争に踏み切る。
磐梯(加藤敦)…番長の天才。リリーや二宮の友人だった。番長らしくあくどいこともやるけど、猫をかわいがる優しい男。
小野寺(ウチクリ内倉)…あいまいな天才。アレというフレーズを多用するため発言がよくわからん。本郷とともに抗争をとめた。
早乙女(斉藤陽介)…ライバルの天才。いかにもライバルな男。
音無(斉藤美和子)…思わせぶりな天才。副生徒会長。色々かわいい。
蓮美華(木内文香)…妹の天才。リリーには通じなかったが、強力スキル持ち。
時枝(山本洋輔)…ハッカーの天才。黒幕からの指令で色々悪事を働く。自分のために能力を使うようになり、早乙女に認められる。
吉沢(松本理史)…長老の天才。実は天才高校のプログラムで、才能を押し付け学力アップを図った。廃校が決まりすべてを壊そうと画策する。
はやし(林弘二)…吉沢の付き人。何の天才かは不明。
90分。漫画なキャラクターたちばっかで非常に濃い。ニヤニヤしちゃう作品。クセのあるコミカルさで進めて、ちょっとだけミステリーな感じとか友情のふくらみとか盛り込んで、短めながらもボリューミーな舞台。
終盤の、吉沢がロボット化?する展開と演出は流石。しっかり巨大ロボットな感覚になってた。なんだかんだ楽しめるようになってるのがいい。
シーン毎に入る(なんていうのか)決めポーズがとても好き。あと、女性の衣装の生地も素敵。
満足度★★★
おいなりさん
チケットプレゼントにて鑑賞。
ネタバレBOX
いなり寿司をバカにした男・三四郎(井上裕朗)が、その報復として、いなり寿司になる呪いをかけられるというスタート。バーの地下に呪い屋があって、エンジェル(入山法子)が呪いを請け負っていて、彼女が浮気しまくっているので呪いをかけてほしいという青年・又一(古原靖久)が訪れる…。
100分位。後半になるにつれ、人物のつながりで展開されていき、ちょっと真面目な感じもしてって話。
エンジェルが話したある夫婦の話がエンジェル自体だったというのもベタではあるし、大団円的なラストもいかにもな気にさせる。呪いをかけるってちょっと特殊でフィクションなものが、あんまり印象的でないのも残念(その大元にある人物の思いの描き方にシャープな感じがあるというワケでもなく)。話のテンポもゆるく、回想を7日間やったのも、ややたるいという感じ。OPのおどろおどろしいBGMもなんか長い。
役者の演技は総じて悪くはなかったと思う。警官役の野仲イサオとか。よかった。女優陣はきれいな人ばかりだったし。及川奈央の舞台は初めてみたけど、チャーミングな表情が素敵だった。
満足度★★★
ソウキセイ
一、二幕観劇。
ネタバレBOX
一幕目がちょっと退屈に感じた。二幕目のほうのお岩(黒岩三佳)と伊右衛門(亀島一徳)が動き出してからが面白い。
あんまり話知らずに見たけど、怨念めいた空気はそこまで感じなかった。
満足度★★★★★
水風船
面白い。
ネタバレBOX
脱獄囚3人がある島に漂流し、マッツに連れられ、市長の元でアーティストとして生活する。そこで、マッツから島からの脱走話を持ちかけられるが、マッツの目的は兄の体を取り戻すことにあった…。
マッツ(長澤まさみ)…兄の体を取り戻すため、脱獄犯3人を使い一計を案じる。3年後、別の兄を救うべく3人に計画を持ちかける。
アクロ(高橋一生)…脱獄犯。頭悪いけど人がいい。カーマニア。詩人になった。
バイス(片桐仁)…脱獄犯。一番合理的でちょっと嫌われ者。彫刻家になった。
リオ(塚地武雄)…脱獄犯。マフィアの息子。音楽家になった。
スラー(川口覚)…市長の息子。町の平和と市長の更生を願いつつ死んだ後、市長の妹に魂を戻してもらったという体。実は戻ってなく、マッツの兄その人だった。
チュラビ(竹口龍茶)…市長の部下。心臓が小さい。リオに雑魚扱いされる。
ボーク(吉川純広)…警官。マッツに恋心を利用されている。
ザポット(銀粉蝶)…市長。天然記念物のBHGの密輸をしている。妹と対立し、反市長組織にマシンガン乱射する。スラーの次はアクロに入れ込んでいる。
市長の妹(銀粉蝶)…魂を操れる的なふれこみだったけど、全然違った。
マッツの兄(川口覚)…スラーの遺言を成就すべく、スラーに成りすます。
素直に笑える。登場人物全員に笑えるポイントがあって、上手いなと思う。とても楽しい作品だった。
素で悪役がいないストーリーで、大団円を経て、4人の活躍が目に浮かぶようなラストも後味スッキリで好感。
長澤まさみが光ってた。3人を引きずりこむお姫様な性質と見た目がいいブレンド。「ぶっ殺せ~」の時のかわいさは抜群だった。
満足度★★★★
クレヨン
いい感じ。90分位。
ネタバレBOX
画材メーカーの営業・岩井七世が営業ミスって異動となるが、そこは商品性能チェックのため絵本を作成する部署だった…。
ゆるめで柔らかな空気を醸しつつ、ピリリっと辛い感覚も味わえる作品。人とズレてる七世とそんな七世についていけないという友人のエビちゃん、これから自殺するという過去の私と、私からもらった絵本。断片的な事柄に、音楽や照明効果、パフォーマンスで色づけして作品世界を構築する。好み。
嘆く七世が地面の幕を引き裂くと、そこには色鮮やかな世界が広がっていたというラスト。ここらへんさっぱりとしてたのはいいけど、開放感とか爽やかさとか、もう一工夫あってもよかったかなと思う。
音楽よかった。
営業の岩井を演じた岩井七世はモデルさんと知らなかったけど、体全体が美人だなって感じ。商品チェック課のメガネ3人衆(西平せれな・藍屋奈々子・山田由梨)が、性格表情含めてかわいかった。
満足度★★★★
呪い
面白い。
ネタバレBOX
ノブオ(久保井研)…マウスを使った研究者。母に犯されアイカの父となる。自分の目を潰した。
アイカ(野津あおい)…チヨコとノブオの子。キリコらの養子となるが、万引きして身を売る荒れた生活を送る。名前を捨てた。
チヨコ(羽場睦子)…ノブオの母。DVな夫を庇う、男好きな女。ワサビチューチュー。
キリコ(坂倉奈津子)…タケフミの圧迫感からか、意見を言えず生活してた。アイカを探す道中で犬になる。
タケフミ(古屋隆太)…キリコの夫。警官。きっちりな性格。家庭にルールを持ち込んだだけとキリコに責められる。アイカに会うため婦人警官になった。
ピーター(奥田洋平)…ノブオの研究するマウス。色んな動物のクウォーター。ビリビリが好き。自分の王国を見つける。
マネキン(稲継美保)…国道17号沿いの自販機で売ってたマネキン?。アイカの買われる。
桃太郎(坂口辰平)…花屋のチーフ。アイカの中の鬼退治に向かう。
荷台を3面舞台にした電気自動車、自転車、ローラースケート?とか、普通の劇場じゃ面倒な演出が面白い。にしすがも創造舎初めてだったけど、広くて出入り口も多くて高さも横も奥行きもあって、いいとこだった。しぼったライティングも不快でない。
あと、会話センスが抜群にいい。
ノブオサイドとアイカサイドの話が、終盤繋がるって展開。母の呪縛を断ち切れないノブオ、自分の存在や周囲の存在を否定するアイカとアイカの心を抱きしめようと「進化」する養父母たち。
ストレートな家族物とは言わないかもしれないし、妙なキャラ妙な展開なんだけど、自然惹きつけられた。てか、家族というか個別なヒトの話だったのか。120分位。
満足度★★★
小部屋
面白い。
ネタバレBOX
一時期ブレイクしたバンドマンで、メンバーのトウコ(松本みゆき)と結婚するもトウコが病んで離婚し、ファンでキャバ嬢なユリリ(成澤優子)のヒモになってるキョウスケ(内田龍)が、トウコと娘・カノンに会いに行くまでの、脳内的な司令室を描く。
サイバーな感じの服装とかギミックとかマフォーマンスとか、視覚的に面白い。指令を出して動いてってシンプルな構成だけども、過去回想や哲学話とか妄想とか入り混じって、妙な楽しさがある。
ただ、話的な面白さ(動き)がもうちょっとほしいかなと感じた。後半がちょっとだけダレた。
鵜沼ユカのアニメ調な声がハマってた。100分。
満足度★★★★
不吉
面白い。
ネタバレBOX
昭和初期の古い風習の残る村。山神に神隠しされると恐れる村人たち。そこに、長吉(近藤正臣)の妻で、山神業師・彦助(池下重大)の母であるカゲヨに似た娘・豆蜻蛉(大手忍)が突如現れる。神隠しにあったカゲヨが帰ってきたことを不吉と不安がり追い出そうとする村人たちに立ち向かう長吉と彦助。豆蜻蛉を山(異界)に返し、山が燃え、村の呪縛は解かれ、豆蜻蛉は紅小僧となった。
方言でかつしゃべりが早くて聞き取りにくいとこもあって、設定がきちんと飲み込めなかったけど、やはりのめり込める。帰ってくる(戻ってくる)ことを不吉と恐れる村人らは、老婆(鈴木めぐみ)が言ってたように、人間失ってくのが自然だということの裏返しなのかなと思った。
長吉に連れられ、異界に戻る豆蜻蛉のシーンは、いい演出効果。笑顔で去っていく豆蜻蛉と、失った空気の長吉(と笑顔の村人)を包み込む、燃えるような紅葉が美しい。
満足度★★★★
守り神
面白い。100分。
ネタバレBOX
土地の名士・喜瀬谷家の女三代話。
雅子(甘粕阿紗子)…喜瀬谷家に嫁ぎ、一時期不倫してた。老いて倒れ、不倫相手に想いを寄せる。色々大変な人生だったけど「解放」の後、逝く。
悦子(広正裕子)…負けん気の強そうな女。雅子の面倒や夫や兄らとのフラトスレーションから原と不倫に走る。
仁美(柴田薫)…悦子と信広の子。友達いない。喜瀬谷家の元座敷童子の姿が見える。自分も含め愛情に鈍感。
信広(鈴木歩巳)…悦子の夫。真面目でつまらないと貴雄に言われる。色々考えてはいる。
貴雄(島田雅之)…悦子の兄。地元で耳鼻科医師を勤める。独身。家のことに非協力的であった。
おっさん(森下雄貴)…喜瀬谷家の座敷童子をやってた。おっさんになるに連れ、そのチカラもなくなり、たて壊しになっても家に住んでた。
原佑(根津茂尚)…雅子の不倫相手の子。喜瀬谷家に混乱をもたらそうとからんできて、悦子と不倫した。
坂口学(森田ガンツ)…喜瀬谷家の隣に住む。じいさんや父も自分も喜瀬谷の人間からいやがらせを受けたとして、喜瀬谷家を恨み続ける。雅子のことは理解している。
女三人に焦点を当てた物語。田舎な感じと古風な感じと寂しさとニガニガしさが混合した作風が気に入った。座敷童子という不思議な存在を置きつつも、地に足ついたストーリーに惹かれた。
病(ボケ?)になって夫でなく不倫相手を想う雅子、家族を捨てる覚悟までして不倫した悦子、自分がいなくてもいいと言い切った仁美、皆魅力的だった。雅子の解放演出とか、悦子の追い込まれて不倫にたどり着く様とか、見ごたえあった。
(元座敷童子のチカラか)カレンダーで当時をみせる演出をラストにも持ってきたは良かった。喜瀬谷家を代々守ってきた座敷童子も老いていき、家自体も終焉を迎える。別れをつげにきた仁美にも見えなくなった(何も語らない)座敷童子と、奥からかかる声、暗転という絵とリズムがいい。
森田ガンツの、怨念めいた執念を燃やす男演技がとても上手い。
満足度★★★
ルール
チラシ裏の文章読まずに鑑賞した。面白い。
ネタバレBOX
仮面着用が義務付けられ、外すと罰則?(犯罪者となる)がある。それを監視したり、仮面作成したりと、そんな職業もある世界で、仮面の存在に疑問を持ち続ける人々を描く。105分。
一律笑顔な仮面を皆がつけることで衝突がなくなるというフレコミ。外すと犯罪者の烙印を押され、否定される。言いたいことも言えないような息苦しさを抱えながら生きる面々。そんな世にあって、素顔同盟の少女(吉持友佳梨)や中学生の三崎(井内友理恵)、婚約者の顔が見たかった和泉(中井萌)らは、仮面を外し笑顔を見せる。
仮面の下を想像すること、仮面をもって自己を確立する、心を決め仮面を外すこと、いずれも、この世界の有形無形のルール(強制力)に対抗する答えにように受け取った。なんにせよ受身でなく攻めの姿勢が必要というか。
序盤と終盤はもっとサラっとしてた方が飲み込みやすい気もする。あと、椅子に座る演技は見難いと感じることが多い。当日パンフの写真付キャスト紹介は○。三崎を責める際の村上先生(斉藤コータ)の演技が良かった。
満足度★★★★★
最低な女
面白い。95分。
ネタバレBOX
木村伝兵衛(野口かおる)…昔、熊田と恋し身篭るが流産してしまう。警視総監から言い寄られる。ストーカーな猿渡(芳賀晶)に刺される。趣味売春。
熊田留吉(なだぎ武)…府中から赴任。リータイゼンを尊敬している。木村のことが好きだが、勘弁してくださいと去る。子がいたことを知らなかった。
桂万平(植木潤)…木村の部下。ホモ。木村に愛想を尽かして地元に帰る決意。木村からアリランの花とエアチケット(BF春樹と二人分)を贈られる。
大山金太郎(宮下雄也)…熱海殺人事件の容疑者。五島出身で大関の地位を守る。アイコが五島の誇りを忘れてしまったことから殺害する。
野口かおるの目つきが最高にいい。あと口元も。
木村が自身を傷つけながら、寂しさを耐えながら、3人の男の心を解放する。そして、木村は生まれなかった娘の幻想を胸に倒れる…。独り戦い続ける木村の姿が圧倒的である。かっこよくて美しい。
構成、かわりにくそうなところを排除したのか、スピーディだった。ねちっこさが低いというか。90分程度の公演時間も嬉しい。
満足度★★★★
人魚姫
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。
ネタバレBOX
7~77歳のななこを7人で演じるスタイル(リーディング)。
07歳…おばあちゃんが死んで、絵本を読んでもらう。
17歳…ナナセ君との恋と別れ。
27歳…ごおくんとの間に子ができて結婚する。
38歳…ももこ(娘)の学芸会衣装にスパンコールを勝手につけて怒られる。
47歳…幼少時に出てった父の死に立ち会う。
57歳…物忘れが増え、ダンナとケンカする。
68歳…ロク(猫)とかの声が分かるようになる。春と出会う。
77歳…ダンナに見取られ逝く。
65分のいい作品。愛らしい調子の中に、ピリ辛さやニガさが滲んでて、ああ人生って感じ。音を意識した造りで耳障りも良かった。47歳時の浜辺の鳥声がとても上手い。
みな若い役者で、高齢者演技がオーバーでなかったのは、終盤の哀愁を控えめにするためなのかな。基本悪く見えなかった。
68歳時の春と出会うシーン。多幸感に溢れるさまがあたたかくて良かった。もっと溢れても良かったけど。好みだけど。
満足度★★★★
エルフ
面白い。80分。
ネタバレBOX
傷を負った独身たちの集まるシェアハウス。尊敬を集めるコウキ(望月雅行)の35歳の誕生日を祝うため準備を進める面々だったが、コウキはメイ(森山彩美)を連れてやってくる。結婚したという現実を受け止めらず、独身のマイナスパワーを撒き散らす4人に対して、説明をするコウキとメイだったが、受け入れてもらえず退出する。想いをこめた球で4人がキャッチボールをしているとこへ二人が戻ってくる。独身レベルの高いミズキ(久保)は、コウキに球を投げろと要求。結婚したコウキの威力に吹き飛びそうになるも、皆で支えきり、素直に祝福できるようになる。独身を超越した妖精という存在となり、コウキたちに触れていると溶けてしまうようになってしまったミズキらだったが、それでも祝福するためコウキとメイにハグすると、そこにはメイとタカヒロだけ残っていた…。
結婚できない(彼女もできない)男らの悲哀を賛美し嘲り笑い飛ばすような、一貫したテイストとセリフがとても上手い。クスクス笑えるところも豊富。いい台本と思う。ラストのメイが飯に誘い「×5でもいいですか」ってオチもいい。熱心なタカヒロが妖精になってなかったってのも王道ながら好き。
演技も良かった。キャッチボールの時の照明効果とか、ベタベタだけど舞台にハマってた。メイを演じた森山の表情がいい。オチのときもそうだし、独身どもと戦ってるとことか見下したとことか。
寂しく傷を舐めあい諦め負け犬な独身という、変な男たちを中心に据えた作品だったけど、晩婚化非婚化の世にあって、「家族」となろうとしている彼らは、ちょっとだけ輝かしいんじゃないかと錯覚してしまった。
満足度★★★★
ガム
楽しめた。110分。
ネタバレBOX
監督の手術成功を祈って?、圧倒的に格上な相手に勝つべく、ドラゴンライオンズの面々がジメっと奮闘する話。
前日ミーティングから、当日の野球場への場面転換の開放的な気持ちよさとか、サクサク進む試合展開のリズム感が素敵。野球自体の見せ方も、照明音響ダンスの複合効果でスタイリッシュなかっこよさがある。
転じて話はぐだぐだ8割でかっこ悪い。池添(小早島モル)の子供じみたいやがらせとか、不確かなシミュレーションにすがる様とか、拗ねるキャプテンとか、草野球っぽいっちゃぽいけど。
ダメでグズな男どもに反して、助っ人・武士沢(日高ゆい)やマネ・幸(石田依巳架)ら女性陣がかっこいい。前回マネージャー役だった奥山智恵野が監督だったが、おばあちゃん演技も上手かった。ベンチでの細かな動きも良かった。
後半になるにつれ、演技も良くなった感がある。まあ、動きのある後半のほうが面白くて当たり前かもだけど。武士沢の一喝から負け犬な自分らに勝つという転換、新人のデッドボール、そこでガムを噛めィ、新人の走塁ミス、という筋はいいと思う。メリハリがないから、もうちょい緊迫感(シリアスさ)があってもいいけど。
全体的な見せ方はいいが、会話(セリフ)の面白さにもっと磨きがかかればなお良いかなと。
満足度★★★★
さっぱりじっとり
面白い。
ネタバレBOX
とある田舎のホテルのテラス的なとこが舞台。
宏樹(井上幸太郎)…DVな彼氏。青年に捕まったら泣いてた。
美加(とみやまあゆみ)…林がいなくなればと告白したが、結局元に戻る。
志津夫(成川知也)…計伊子と別れたくないと、健らに相談する。計伊子しか女を知らない。
計伊子(渡辺詩子)…男を作って家を出た。志津夫の元へ戻る気はない、クールな女。
健(中田顕史郎)…家同士の結婚ってことで離婚できず、子もできずでストレスフルな男。
祥子(佐々木なふみ)…常識的な考えをもつ。堕胎したことを後悔している。
青年(酒巻誉洋)…殺人犯に触発された男。3組のやりとりを見ていて、男どもを殺そうと監禁。女らに殺してもいいかと確認する。
男に不満を持つ女らと、男らを監禁し殺そうとする青年とのやりとりが肝。やっていいとは言わず立ち去る計伊子、いなくなってと欲する美加、常識にとらわれ自身を後悔する祥子、カラーの違う三者の反応が楽しい。個人的な好みは計伊子だけど。
どんな関係にせよ、関係しているってことだけで意味が出来てしまう。それを断ち切ることが困難で、男女関係は特に(家族もだけど)。なんというかそんな楽しさがあった。変に暗くないのも良かったし。さっぱりしてたし。80分。
満足度★★★
4号
面白い。
ネタバレBOX
東京五輪開会まであと数日の都内ホテル・ジャパン。屋根裏?で水漏れがしているようだが、修理してもとまらず弱るホテルスタッフら。さらに、中国が五輪ボイコットで客が来ないというピンチに陥る。加えて、ニホンヲトリモロシ隊?という右翼なヤンキーたちが乱入するし、キキの格好した宅急便屋が、いないはずの客へ荷物を届けに来るし、従業員が白い化け物を見たというしで、支配人は困り果てるが…。
放射能漏れを続ける福島第一原発を暗示する、4号室の客人。爆発?して白い灰塵が現れ、皆逃げ惑う。
宅急便への水ぶっかけとか、ドリフな展開はよいけども、もうちょいスパっとしたキレ味を感じたかった。60分という短めな時間は良いし、ちょこちょこ笑える会話も好きだけど。
満足度★★★★★
男肉
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。120分。
ネタバレBOX
管理人さん(吉川莉早)が管理する一刻荘に団長が入居する話と魔界のルシファー?と戦う話。
笑える。面白い。パワフル。
ノリのいいBGMでダンスを繰り広げ、120分突っ走る。ジーパンに上半身裸な男たちのダンスがこんなにも熱いとは。ラップも聞き取りやすく、ストーリーやキャラもシンプルで(あとばかばかしくて)好感触。嘘っぱちでなく、エネルギッシュで高揚感に溢れた舞台。そして変にかっこいい。いいもの観れた。
あと、福井菜月の忍者ハットリ君?の笑顔が素敵。
満足度★★★
サイ選べません
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。
ネタバレBOX
OP
小玉久仁子の占い話。
一人芝居
天気予報のお姉さん。その道を示してくれた恩師のために奇抜な予報を続けるお姉さん。そして、恩師の死の知らせが入る…。
二人芝居
サンスターな女優。通販番組収録の合間、マネージャー(村上誠基)と台本の読み合わせをする。小さな仕事ばっかの女優にクビ宣告にきたマネージャーだったが、女優のパワーに可能性を見出す…。
一人芝居
女流画家。別居だが離婚だかした画家に、娘の運動会に来られるかと夫から電話が入るが、死にかけのばあさんの肖像画を描かなくてはいけないと、キャンバスに向かい、絵を描き始める…。
一人芝居
スーパーお母さん。自由の女神とのコント。女神の右腕がもげる…。
面白かった。
好みの作品は画家の話。顔芸や妙なアクションが魅力とも思うけど、動きの少ない作品で、トンがった女(母)を好演してたと思う。デスマスクは笑った。天気予報お姉さんの話は、恩師の死からの落差がもっと欲しかった。
村上誠基のヘラヘラっとしたマネージャー演技が上手い。作品としても一番笑えたし、アゲサゲが上手かった。
ATのケンタ話(部位選べません)は笑った。あと、仁久Qさんかわいい。80分。