上海ブギウギ
劇団黒テント
イワト劇場(東京都)
2007/12/05 (水) ~ 2007/12/16 (日)公演終了
音楽劇。ミュージカルでなく。
服部良一氏次男、服部吉次氏が黒テント創設メンバーであったなどとは寡聞にして知らず。その吉次氏が父親(に擬せた人物)を演じます。休憩(半分は演奏)込みの3時間弱、歌と踊りと演奏が半分を占める素敵な一本でした。みんな芸達者だよねー
客席のレベルの高さがややもったいないか。服部良一ソングは近年唄う人が増えてきた?こともあって、ちょっとロックにも飽きたかなーなんて若人層が観ても存分に楽しめる作品だったと思うのだが。
黒テントのレパートリーとしていく予定だそうなので、また機会がありますれば。
「審判」「失踪者」
世田谷パブリックシアター
シアタートラム(東京都)
2007/11/15 (木) ~ 2007/12/08 (土)公演終了
演劇という道草、それが演劇欲
「アメリカ」「城」「変身」そして今回の「審判」と。
一貫して見えるのは、不条理の権化ともいうべきカフカの原作を、如何にして舞台という仮構の世界の中に築き上げてゆくか、その過程―道行きの豊潤さなのであり、
それが「寄り道が多い」「主人公が道草を食う」原作自体の大いなる魅力と絶妙に重なり合うことになって、
演劇という道草を食うことの楽しさを存分に味わわせてくれる作品になっている。
パンフに書かれているところの「舞台化の欲求」、…それは、舞台欲、演技欲、観劇欲、、、そんな言葉の生み出る基となる舞台に対する根源的な憧れをすごくよく表した言葉なのだと思った。
職員会議
studio salt
相鉄本多劇場(神奈川県)
2007/11/15 (木) ~ 2007/11/25 (日)公演終了
タイトルに偽り無し
と書けば、興味を持つ人種の方、いらっしゃるんじゃありませんか?
はい、そこのあなた!おそらくご期待に沿えると思いますよ。職員会議+αで90分。それはだらりとした教師達の日常でもなく、しかし議論ばかりが続いていくわけでもなく。議事進行の合間に各々の人間関係が仄見えてくるのは基本とはいえそこを手堅く。
小劇場の劇団によくあるように同年代の役者だけで出演者を固めてしまうのではなく、年齢の幅が広いキャスティングによりさらに場の真実味というか、臨場感が増していたと思います。東横特急に乗って行った甲斐がありました。。
雨の一瞬前
ユニークポイント
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2007/10/11 (木) ~ 2007/10/14 (日)公演終了
作品そのものが答えだ
韓国人俳優を招いて、1945年3月10日の直前の日々を描く。
しかしそれは歴史の概説でもなければ、作者が自らの世界観を展開する場でもない。
特設サイトでの作者の言葉が集約的である。
“どうしても何処へもいかないというか、答えを出すのは出来るけど、答えを出すのは嘘っぽいと思うからね、”
本当に特異な点を描く集団による、誰しもが知る時代を舞台設定にした、特異な描き方の作品だと言えるだろう。
しかし結局は、以下の一語に尽きるのか。
“演劇は人間を描く芸術ですから。”
FABRICA[12.0.1]
FABRICA(企画・製作ROBOT)
新宿シアタートップス(東京都)
2007/10/04 (木) ~ 2007/10/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
地に足を着けて、道先を選ぶ
「踊る大捜査線」も見たことがないのに、なぜかこの企画は前回に続き気になって観に来てしまった自分。
前回との関連はあるもののそれは薄く、全く独立した物語として観ることが出来る。
あまりにも淡淡とした導入部にするやかな劇世界への没入を阻まれたけれども、そしてあまりにも朴訥とした息子役の演技に最初は苛立ったけれども。
それが。
いつしか。
近江谷太朗の繊細な父親役とのコンビネーションに、演技であることを忘れさせるほど、二人の関係がするりと腑に落ちてゆくのを感じていた。父子関係が存在していた。
ハナシとしては、40代を迎えて、子供がとにかく人生において自分よりも重要な位置を占めるようになってきたそのターニングポイントに起こるあれやこれやを、、と乱暴に纏めても良いだろうか。その周辺で起こってくる諸問題が、いちいち地に足が着いていてまるで我が身のハネっ返りのようにすら感じられてくるのである。
少し迷ったけど、今年3本目の五ッ星を。
FLOWERS
経済とH
青山円形劇場(東京都)
2007/10/05 (金) ~ 2007/10/08 (月)公演終了
目に見えない冒険
20人を超える膨大な登場人物を混乱させずにきっちりと描き分け、1時間半をダレずに纏めた脚本&演出に感歎の声を上げる。密かにだけど。凄いとは感じさせないところがスゴイのだ。多分だけど。
それを成立させるための脚本上の冒険も随所に見られ、それが悉く首尾よくいっている。
「表現として出させない」という冒険も、演劇の場合はあるのだ。
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マシュマロ・ウェーブ
赤坂RED/THEATER(東京都)
2007/09/26 (水) ~ 2007/10/03 (水)公演終了
「帰宅支援」を考える作品
12人の登場人物が震災後の東京から郊外に向けて歩いて帰ろうとする、その道行きの様々を、おそらくエチュードを主にして組み上げていった作品。
初マシュマロ・ウェーブ、再演となる埼玉バージョンを観劇。今回は京浜バージョンもあるとのこと。
会場入り口で「歩いて家に帰る地図 川越街道版」が無料配布される。劇中でも使われた、マシュマロ・ウェーブ企画協力によるジャバラ状の携帯地図。東上線沿線の書店で発売中とのこと。
震度4程度の地震でも首都圏の交通がマヒし、「帰宅支援」という言葉が一気に広まった昨今、そこをテーマに身近にある可能性を追求した意義ある一本である。出演者は初演時、実際に川越街道を歩ききったという。
ぎっちりと創り込んだ作品を期待する向きもあるかもしれないが、このようなテーマの作品において、主義思想を事細かに織り込んでも仕方ないかとも思う。
それにしてもお客さんが…やや勿体無いのでは…
PIAF ピアフ
TPT
ベニサン・ピット(東京都)
2007/09/24 (月) ~ 2007/10/08 (月)公演終了
人生にハサミが入る。
涙が出そうになるのをなんとか堪える。その必要もないのに。
おそらくその衝撃を安っぽい感動に換算させてしまいたくなかったからだろう。
華麗な男性遍歴が連なる中には、硬い男優陣もいるけどそれをがっちりと受け止めていく安奈淳の度量に魅了される。その演技をおそらく嫌いだという人もいるだろう。でもそれはたぶん、「二人ぶんの人生を生きたわ」というほどの激しい一生をとうてい受け容れられない護りの姿勢から発せられる個人的な感傷にすぎない。
伸びやかで深みのある歌声、そして凄腕のピアノ。
流転の人生をざくり、ざくりと巧みにカットしながらテンポ良く繋げてゆくクリアな演出が、シニカルな批評的視点も含み合わせておりトータル2時間半をクギ付けにさせられる。
贋作 春琴抄
劇団ドガドガプラス
アサヒ・アートスクエア(東京都)
2007/07/12 (木) ~ 2007/07/16 (月)公演終了
「役所辞めて役者に」
“49歳官僚が異例の転身”、と記事になった新人俳優・早坂実の初舞台となった公演。脚本・演出は映画監督・望月六郎。内藤陳の復帰公演としても記事になった。
アングラやテントにおける見世物芝居を基調としつつ、レビューにコント、さらには陳氏のフリートークまで差し挟む、やりたい放題やんちゃ真っ盛り、みたいな公演。男も女もみんなツラ構え、身体構え、心構えがよく、きりりとした輪郭がこちらの心を震わせる。
天国と地獄
東京オレンジ
駅前劇場(東京都)
2007/07/10 (火) ~ 2007/07/17 (火)公演終了
即興!!!
お馴染み、「シークレットゲスト」の回を偶さか観劇。観劇?インプロシアター。
回によってやはりバラつきは生じてしまうというものの、この回は観衆が完璧に味方について、そうなるとやはり演者はノッてくるというもの。
個人的には、酒でも嘗めながら窮屈に座ってるんじゃなく立ち上がって、そう、クラブのようなところで特設ステージを作って観てみたいと常々思っているのだけど。
人間♥失格
ポツドール
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2007/07/06 (金) ~ 2007/07/16 (月)公演終了
スキャンダラス太宰治
人間と失格のあいだにある♥マークのポップさは、欠片も無い。
太宰が生きていた時に当時の世間に振り撒いたセンセーショナルさと、
ポツドールの同じそれとは、時代精神というフレームを通して、根底で通じているのかもと、そんなことを考えた。
土曜の昼ということで、客席の2割を確実に占めていたご年配層が、どんな感想を持ったのか聴いてみたいと痛烈に思った。
神様の夜〜プログラムD「さようなら」
KAKUTA
ギャラリーSite(東京都)
2007/07/07 (土) ~ 2007/07/15 (日)公演終了
信頼と自信と余裕と。
純粋な語りの部分と芝居の部分が無理なく融け合っているように見えるが、これは並みの力量ではない。それをシンプルに見えさせてしまうのは、ひとえに自信を漲らせた役者陣から溢れ出た、余裕によるものなのだろうと思った。
鉄の纏足
東京タンバリン
山小屋シアター(広島県)
2007/11/17 (土) ~ 2007/11/18 (日)公演終了
事件が成立するまで
“多かれ少なかれ如何なる職場にも、人間関係におけるオリやヨドみといったものは沈潜している”
とは少し前に別の公演で書いたことなのだけど、それを馴染み易くありふれた設定において描いたものとも言えるし、また、
ファイナルファンタジックスーパーノーフラット
劇団、本谷有希子
吉祥寺シアター(東京都)
2007/06/04 (月) ~ 2007/06/24 (日)公演終了
“もっと飛び抜けてよ”?
6年ぶりの劇団、本谷有希子観劇。
自意識の吐露がどこまで溢れ出るのかと思いきや、どうして。
もはやスタンダードとなったネット・メールを駆使した捩じれた出会いの世界を背景にして、関係における狂気をそれなりにそつなく纏めていたと思うのだが、
えんぺ含め辛めの意見が多いのは大いなる期待が寄せられていることの裏返しなのか。
見世物として成立してしまっているのが、逆に不満足の要因なのかとも思った。
ヒトガタ(再演)
グリング
新宿シアタートップス(東京都)
2007/06/06 (水) ~ 2007/06/18 (月)公演終了
この憂い多き人生
なかなかそうすぐには理解しきれない縁戚関係、
でもそれは現実の場合もまた似たようなこと。
そんな現実における渋みと切なさをほんのりじんわりと恙無く描いた佳作。
高橋理恵子ってほんとに美貌さん。。
チューブラルーム
双数姉妹
新宿シアタートップス(東京都)
2007/05/26 (土) ~ 2007/06/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
妥協なく、遊ぶ
新人大量加入後、初の公演ということで、どんなもんか…と思っていたら、これが大ヒットだった。
まず冒頭から目を眩ませられる舞台美術ひとつとっても、一見の価値がある。
(おそらく)エチュードを積み重ね、練り上げられていったであろう諸所のシーンは、
パンフの挨拶文にもある通り、新人達とのあいだで幾度も重ねられた膨大な遊戯の果ての賜物なのだろう。
そのようなニューパワーの中にあって、吉田麻紀子の他では見られないような激しい演技が炸裂していた。
ストーリー展開上で難があるとすれば、やや散漫で登場人物の誰を軸にして観ていいかわからないところかな…と思ってチラシを見たら、もともと3つの物語として構想されたものらしい。そう思うとここまで一本にまとまったのも役者の力量という気がする。
演劇という、言ってしまえばただの遊びとも言えるようなもののために、時間と命をかけている人たちの、決して光る汗を見せたりすることのない力の篭もった作品である。
7
studio salt
相鉄本多劇場(神奈川県)
2007/05/16 (水) ~ 2007/05/24 (木)公演終了
アラさえない舞台
多かれ少なかれ如何なる職場にも、人間関係におけるオリやヨドみといったものは沈潜しているもので、それらを具さに描いていても、
動物処分場というやり場のない想いが行ったり来たりしているような場所を舞台としたことによって、それらがそのような設定ゆえにこそ発せられているものに見えてきてしまうのが口惜しいところである。
作品自体のクオリティは高く客席も空気を共有するが、世界に色々な光を当て過ぎて白色になってしまっているような印象を受ける。
打ちっぱなしのコンクリートによって見せ付けられる、逼塞感をあらわす灰色とはまったく裏腹である。
アメリカをやっつける話
劇団チャリT企画
王子小劇場(東京都)
2007/05/17 (木) ~ 2007/05/21 (月)公演終了
アメリカの影
個人的に非常に馴染み易い設定で面白かったのだけど、やや一般性に欠けるかとも思った。心配し過ぎか。
コンビニを舞台に安部内閣に対するメタファーで固め、孤塁の傑作となった前回に比べて、構造が似通ってしまっているぶん、作品の意図するところが見え難くなっていたように思う。
想起させるアメリカのイメージが、あからさまな近年の姿ではなく、やや茫洋としてしまっていたのも一因かもしれない。
「ジョージは思いつきでものを言う」
なんて大傑作タイトルもかつてあったのになあ。。
ウェルカム・ホーム!
Msquare's company
ウッディシアター中目黒(東京都)
2007/04/17 (火) ~ 2007/04/22 (日)公演終了
舞台に笑いなどいらない
ヘタに笑いを取ろうとしているというか、はっきり言ってコメディ部分がどうにも好みに合わず、ずっとお尻がムズムズしていた。
表面的な面白味に顔はニヤけてもどんどん醒めていくばかりだったが、後半部、やっと邪魔な笑いがなくなってきたので「家族」というテーマが浮かび上がり、のめり込むように観られた。
硬いテーマは生硬なままで観たい。“オブラートに包む”必要などない。「家族」「国籍」「個人」「国家」という拡がり行くテーマと、舞台表現を通じて感覚的で肉感的な理解を深めていきたい、とも思うのだ。
外は白い春の雲
大人の麦茶
「劇」小劇場(東京都)
2007/04/12 (木) ~ 2007/04/22 (日)公演終了
舞台を楽しむ
出演者すべてが味わい深く、華があります。隅から隅まで、どこを見ても楽しみが充満している、そんな舞台。
力のある舞台というのはこういう作品のことだと、改めて感じさせてくれます。