オイル
NODA・MAP
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2003/04/11 (金) ~ 2003/05/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
衝撃的だった
「やられたらやりかえす」
そんな、生々しくて暴力的な感情を露にする松たか子の姿がとても切なかった。
どうしようもなくて、いないと判っててもカミサマにすがるしかなくて・・・楽しんだ反面、何かやりきれない気持ちになった。
ポルノ
阿佐ヶ谷スパイダース
TOKYO FM HALL(東京都)
2002/08/02 (金) ~ 2002/08/17 (土)公演終了
満足度★★★
初体験
学生時代、上京してきて初めて生で観た芝居。未知との遭遇。
高さのあるイビツに組まれた舞台が印象的。ちょっとブラックでラストはほんのり温かい、そんな雰囲気に完全に飲まれてしまった。
そんなこんなで芝居の世界に踏み込んでしまった。
思い出深い芝居。
贋作・罪と罰
NODA・MAP
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2005/12/06 (火) ~ 2006/01/29 (日)公演終了
満足度★★★★
梱包材に感動
前売りでチケットが取れずしぶしぶ立ち見に。けれども中央に舞台を組んでいたこともあり、A席やコクーンシートの端の方の席に比べると断然観やすかった。
梱包材を使った演出が驚くほど綺麗。
思いの外ゆったりとしたテンポとシンプルな転換にとまどいを覚えつつも、徐々に引き込まれる。松たか子の脆さと鋭さの紙一重ぶりに完全にやられてしまった。
月と牛の耳
いるかHotel
王子小劇場(東京都)
2006/12/26 (火) ~ 2006/12/30 (土)公演終了
満足度★★★★
“牛耳る”の語源に感動
特殊な病気と格闘一家。
普通に考えれば無茶苦茶な設定だけれども、何故か不思議と納得させられる。
使う言葉も変われば随分印象も変わるわけで、神戸弁による独特の人情味のようなものがとても強く出ていた。
クライマックスでは音響や色入りの照明等も入り、オリジナルと比較するとオーソドックスな印象。
照明や音響もきれいにハマっており、この戯曲の別の一面が垣間見えたような気がする。
俺の屍を越えていけ
花まる学習会王子小劇場
王子小劇場(東京都)
2006/12/20 (水) ~ 2006/12/24 (日)公演終了
満足度★★★★
聖なる夜、俺の屍を越えていけ
今まで渡辺源四郎商店と青年団自主企画(リーディング)で観たこの作品。前2作では抑えた芝居の中に浮かび上がる人間関係の機微が魅力だった。
今回の王子小劇場プロデュースはというと、特に抑えたという印象はなく、かといって過剰でもなく、若い俳優陣から滲み出る“鋭さ”や“熱さ”が、芝居をダイナミックな会話劇へと変化させていたように感じた。
キャストも若手で最近注目されている小劇場系劇団の人たちばかり。しかも普段は全く違うスタイルの芝居をやっている人も多いようで(全部の劇団を観たことはないけども)、まさにキャストのちゃんこ鍋状態。
しかし、思っていたほどバラバラな印象はなく、1つのちゃんこ鍋として美味〜く仕上がっていた。
やっぱりこれも戯曲の力かな〜。
シンプルだけれども力強いプロット。山田洋次作品のような暖かみ。畑澤聖悟さんの作品には、登場人物一人一人への愛情がとても感じられる。
メザスヒカリノサキニアルモノ若しくはパラダイス
劇団黒テント
イワト劇場(東京都)
2006/12/15 (金) ~ 2006/12/24 (日)公演終了
満足度★★
ミーハーですが
鉄コン筋クリートも公開したことだし、ということで観に行った。
松本大洋の世界観を演劇という媒体でやる場合、彼の世界観を成立させ得る要素、漫画でいえば画力に値するものが必要不可欠となる。
そこが、少し足りなかったような・・・。
そういった個人的なモヤモヤはあったものの、藤山(さとうこうじ)の居方には感動。松本大洋作品に必ず1人は登場する、意味不明だけれども不思議と強烈な存在感を放つキャラクター(今回でいえば藤山)を、作品の世界観を引き受けつつも個性が埋没することなく、魅力的な人物に作り上げていた。
ただやはり・・・松本大洋作品を演劇でやる意味という点ではよくわからないなぁ〜
バズノーツのマクベスPPR
バズノーツ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2006/12/27 (水) ~ 2007/01/07 (日)公演終了
満足度★★★
PPRってなんだろう?
確信犯的にミス(に見える行為)を犯し、それをリクープして芝居の中に取り込む。
不安をかき立てられる上にどれが真実かわからなくなる。そんな芝居。
芝居は虚構。それはわかるのだけれど、これほど複雑にくみ上げられた虚構を目の当たりにすると、もはやマクベスの内容は頭に入ってこなくなる。
方法論としては面白いけれども、マクベスでなくともよかったような・・・という気がしないでもない。
けれども、こういう“振り回される感覚”が好きな人は絶対ハマる。
LOVE~冬のサボテン/愛しのメディア
演劇集団HHG
サイスタジオ小茂根 Bスタジオ(東京都)
2006/12/19 (火) ~ 2006/12/30 (土)公演終了
満足度★★
作為的に・・・見える
イオルコスを目指すマラソンランナーの男とそれを助ける弟。そして男を見守る、4人の「メディア」と名付けられた女たち。
彼らの葛藤や苦悩が詩的な台詞と共に立ち上がってくる・・・
正直いうと、俺の好みじゃあない。
そんなことを言ってしまうと身もふたもないのだが、個人的な志向として、何かを俳優が戯曲を舞台に立ち上げていく際に、台詞にない部分を何かで埋めようとする作為が見えると一気にドン引きしてしまうのだ。
俳優のみなさん確かに魅力的で芸達者なのだけれども、俺にはどうしても“演技”というウソを巧く取り繕って固めてしまっている部分があるように見受けられた。
しっかし・・・サイスタジオはいい小屋だ。比較的自由な空間にカフェまで付いているなんて、贅沢にもほどがある。
金があったらゆっくりお茶でもしながら帰ったのもを・・・
虹
グリング
紀伊國屋ホール(東京都)
2006/12/20 (水) ~ 2006/12/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
人生を覗き見るような・・・
グリング一年ぶりの本公演。
そして私も約1年ぶりの東京での観劇。
当時1年間の活動休止を聞いたとき、次回公演はおそらく見られまいと諦めていたのに、まさか再びこの目で見ることが出来ようとは・・・ホント、人生何がどうなるかなんてわからんもんだ。
クライマックスの、聖美(荻原利映)と夫の広志(杉山文雄)のシーンで、聖美が広志に水を持って行こうとした瞬間。不意に涙が込み上げてきてどうしようもなくなった。
何気ない行為で、特に感動的な言葉があるわけでもない。けれどもその瞬間、彼らが共に過ごしてきた長い年月が突然私の中に生まれた気がしたのだ。そう感じたときには、もう涙が出てしまっていた。
エイズと共に生きることを余儀なくされた広志と、それでも強く生きていこうと励ます聖美。かれらが長い年月をかけて作り上げてきた絆が、“水を汲む”という些細な行為の1つに凝縮されているような気さえした。
グリングの舞台を見ていると、生きとし生けるものへの慈しみのようなものが感じられ、見た後に生きていることがとても素晴らしいことのように感じられてくる。
本当に魅力的な舞台だった。
ロープ
NODA・MAP
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2006/12/05 (火) ~ 2007/01/31 (水)公演終了
満足度★★★
リングの中に世界
チケットもままならないまま札幌から飛び出してきたが、滞在最終日にしてようやくチケットが取れた。ホントに嬉しい。
世界のメタファーとしてのリング。
リングの上に、人間の愚かさの歴史が集約されている。
今までのような言葉遊びは姿を消し、強い憤りや怒りといったものがリングの周りで展開される。
そんな印象を受けた。
リングに立つ者、試合を企画する者、それを観る者、実況する者、プロレスをめぐるさまざまな人たちの思惑が“戦い=暴力”の物語へと発展していく。
一見して今まで比べ圧倒的に地味な芝居なのだが、そこから次第に浮かび上がる思念の激しさは今までとは比べものにならないほど。
次々とタブーに踏み込み、自分たちもその中に含まれることを自覚しつつ糾弾する。この芝居を行うことはまさにそんな行為に他ならない。
こういったメッセージ性を盛り込むことについては賛否両論あるだろうし、私も懐疑的な立場ではあるのだが、これだけのものを見せられると「アリかな〜」なんて思ったりする。まぁ、演劇だってメディアの1つなわけだし、そこでジャーナリズムを語るのも、自己矛盾に対して無自覚な報道番組を観るよりかは有効だと思える。
最後のシーン、今までの野田芝居では観たことのないほど静かに、そして淡々とした様にあっけにとられてしまった。
すごく優しさに溢れたシーンだと思う。
「はえ」と云ふ名の店
FICTION
扇谷記念スタジオ・シアターZOO(北海道)
2006/12/07 (木) ~ 2006/12/10 (日)公演終了
満足度★★★
貧乏ゆすり貧乏ゆすり、だんだん楽しくなってくる
まさか札幌で市川しんぺーを観られるとは思わなかった。
欲をいえば猫ホテ本公演とかで観たかったが、それでも十分に魅力を堪能。
開演前、楽屋の様子がリアルタイムで映し出される。
後々の流れから考えても特に芝居そのものとの関連はなし。
けれどもなんとなく面白い。
スタンバってる役者さんたちの様子が後ろから映し出されているため、じぃ〜っと見つめているとだんだん“人間ではない何か”に見えてくるから不思議だ。
そうこうしてる内に、1人の貧乏ゆすりがなぜか隣の役者にもうつる。そしてさらに隣の役者にもうつり、楽屋内に奇妙なグルーヴ感が生まれる。まさに貧乏ゆすりのオーケストラ(音はないけれども)。
・・・人間って本当に不思議だ。
開演前の数十分で人間の神秘を垣間みた気がした。
芝居自体は賑やかで過激なスラップスティックスという印象。
芝居で笑わせる部分もあるのだが、全体的には即物的にキャラで笑いを取りにきたという感じ。安直ではあるが、それでも面白い。
破綻している部分は多々あるが、そういう破綻も含めて個人的には◎
B計画
劇団SKグループ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2007/02/20 (火) ~ 2007/02/25 (日)公演終了
満足度★★★★
気合い入れてバイキング食べるみたいな、そんな豪華さ
“笑い”と“シリアス”の落差! これに尽きる。
物語の序盤をはじめとして、ところどころに漫才ばりの笑いのシーンが散りばめられているのだが、そのパワフルさのすごいこと。
一方、物語が核心に迫るにつれ、次第に暴かれていく心の内。その、内面に迫っていくにつれみなぎってくる緊張感。
これほどのギャップを瞬時に切り替えてやってのける集団というのはなかなお目にかかれない。ホント、これには感服。
昔の第三舞台のような、激しく心の内面への切り込んでいくという話にもどこか懐かしさを感じる。
全体として荒っぽい感覚は残るものの、その荒さを補ってあまりあるほどの力に溢れる一作。
エンターテインメント色の強い作品ながらも、心理描写やサスペンス的な構成など、それだけにとどまらない魅力を持った芝居だった。
また、終演後にテーマ曲を提供(この公演のための書き下ろしらしい)しているSE-NOという2人組のユニットのミニライブもあり、1度で2度おいしい構成。
芝居に主題歌があるっていうのは、やっぱりずるい。
そして終演後にライブまでやってくれるのだからよりずるい。
「じ~ん」と来ないはずがない。