満足度★★
緩やかな曲線に包まれた劇場
出入りもエレベーターからと普段のアゴラではないよう。でも異なる空間ではなく、題材も現代的なのでトリップ感は低め。77分。
ネタバレBOX
普段着っぽい服装で、ありがちな写真講座の一幕はドラマ性も低く、前半は冗長にも感じる。遅刻者が入ってきた一瞬に空気が変わり、話は動くがそれきりで。後半の、撮った写真の話で少し語りたい世界は見えてくるが、ラストは言葉のインパクトよりも蛇足感の方が強く。
満足度★★★
秒単位の出捌けやタイミング
10近くもの出入りする場所にフロアと時間軸の違いを加えたより複雑なワンシチュエーションもの。役者の負担はかなり大?。115分。
ネタバレBOX
ホテルの上下3フロアと2007年、2002年、1992年、そして1991年と時間まで超え、構造はまさに4次元的。時空の飛び方のルールはさほど難しくないし、照明の変化でわかりやすくはしているものの、見えない部屋の設定がわかりにくく、考えてると次のシーンに移ってしまうほどのめまぐるしさ。ここまで散々過去を行き来してて、最後の結末はこれまでの顛末に対してあまりにけりをつけなさ過ぎの感が。笹野鈴々音嬢を効果的に使ったのは◎。
満足度★★★★
なんだかちゃんとまとまって
ボケ側キャラの揺るがない意志と突き進む方向性のおバカさ加減がすばらしい。ひとつの物語としても成立してるし。65分。
ネタバレBOX
売れないミュージシャンを抱える音楽事務所とバーの店内の二景。それぞれに突っこみ代表根津氏とボケ代表黒岩嬢を配し、組合せのパターンを増やしてることが幅を広げ、微妙に違うズレの度合いも良い塩梅に強弱をつけている。二つの話が交差し、緩く関係性を築きつつ、最初にフラッシュバックするような構成は普通に良くできてると思う。総ボケ状態から一歩進んで、ぬるさにキレが出てきたか。
満足度★★★
歌って、走って、踊って。
女優ばかり9人が身体能力を試すがごとく春風舎の中を動き回る。動きが中心のハズなのに静寂が空間を支配。72分。
ネタバレBOX
歌とか、台詞とか、物語もあるんだろうけど、僕には繋げられず。それよりも汗をほとばしる女優陣の動きを自分の好きに見るように視点を変えた方が楽しめるかも。バラバラのようでアドリブはないそうだし、ダンスがシンクロしていく様とかはなんかすごいし。岩城さんの照明もこの場の空気を作り上げるのに大きく作用。
満足度★★★★
導入から抜群の求心力。
なんだろうと思って観始めると、話が転がりに巻き込まれて最後まで。役者陣のアクの強さと力量は超小劇場級。150分。
ネタバレBOX
劇場に上がる階段からして赤色に色彩を変えてしまう、目先の変化に驚きながら場内へ。
部落問題のような差別を抱える地に変化の波が押し寄せる中で、自分の街への愛と誇りを製造していた最下級の酒とアイドルの楽曲の歌詞に託すという歪みを納得させてしまう物語力に感服。
長塚作品では常に飄々としたキャラの中山祐一朗氏が今回も絶妙な味わいを加えていて◎。
アイドルソングはパンパパンヒューの入るメロを排除した上で作り上げた努力に拍手。
真実を知り、普通の考えが働き、革命が徒労に終わった結末、そして意気揚々と歌い上げた幕引きの後、劇場から降りる階段の赤にはなにか虚しさを感じた。
満足度★★★★
タイトルに預けられた結末
大きな謎に対して関係性の提示の前半、そして事態が動きだす後半へと緊張感切れることなく見せる力は◎。117分。
ネタバレBOX
元の住民全員が消える謎からして、大きすぎて解明できるわけはなく、だからといって小さい謎がわかって安心すればよいものでもなく。どこかにあるパターンに重ね合わせて明解な物語を求めたりせずに、解明されないモノはそのまま霧の中、そんな受け取り方でよいのだと思った。だって最後まで観ている時間は楽しめたのだから。
満足度★★★
音楽とダンスに主眼を置いて
ストレートプレイというよりも楽しむエッセンスを沢山ちりばめて。でも物語自体を全く知らないとわかりにくいかも。185分。
ネタバレBOX
基本的に役者が体を使いまくってる感じ。特に森のセットはそうさせるような構造で。チョウソンハ氏はさすがに怪我のため、右手をがっちり固定しての演技。それでも奔放さを感じたということは自由に出来たらどれだけ伸び伸びと動いたんだろうという気が。
対比するモノが全て白と黒で色分けされて、そのモノトーンのコントラストは綺麗だが、キャラの区別がつきにくいのが少し難点。
最後の職人達の余興芝居に予想以上に長々と時間を使うのにビックリ。最後、本当の舞台裏を見せて、パックの口上に舞台という夢を重ねてるのも粋な演出。
満足度★★
スタイリッシュだったけど、
モノトーンのコントラストに動かない2人、そして言葉だけ空間を越え飛び交う演出は自分の想像力では追いきれなかった。60分。
ネタバレBOX
繰り返される言葉や歌以外に、二人の出会いの背景、住んでいる街並、惹かれ合う想いをもう少し具体的にイメージできるなにかが欲しかった気がする。僕にはアメリカとフランスは遠すぎた。
満足度★★★
役者の力量が顕著に。
過去の秀作からの抜粋なので基本的には面白いんだけど、役者の違いで印象がかなり変化。工藤さんが好演。115分。
ネタバレBOX
オスカープロの山川紗弥ちゃんはもうひと頑張りほしいところ。最後に持ってきた「その節は・・」はかつての惑星ピスタチオのパワーマイムが復活。吉久直志さんと工藤良輔さんの熱演に思わず笑いと懐かしさが。
満足度★★★
ラインナップに変化あり。
出演者が一人降板になったのか、一部変更に。そのためか1本1本の長さにバラつきが出て、全体がアンバランスにも。100分。
ネタバレBOX
1つのラインナップの中で、同じ組合せがあるのも街の広がりが出ないのでマイナス要素。変更後なら「天使喫茶」の店内のシナリオがほしかったなぁ。
今回新作2つは窪田×広田組の飛び道具を持ってきているが、ここだけ単独で成立させちゃうのもメトロらしくなく思えて。このVol.21でも本気でプロレス技かけたりしちゃうのは面白いんだけど。
満足度★★★
思いもよらない展開が終盤に
中盤、物語がちょっと冗長になったかなぁ、というところから一気に想像外の物語に変貌。ちょっと昔のシベ少的?105分。
ネタバレBOX
タイトル含め大オチから逆算して話を構成してる感ありあり。ただ、変化はある点から新事実を積み上げただけで成立させて前フリがないため、そのバカバカしさは笑えるものの鮮やかさや驚きは見られない。
前半の進学塾の生徒の物語、中盤の先生達の話、そして終盤とあまり繋がりがなく、分かれちゃっているのが残念。会話のズレ方とかテンポとかカラオケしちゃういさぎよさなんかは面白いんだけどなぁ。
満足度★★★
さすがに難しい空間だったか
広い舞台の大きなセットは逆に空間を埋めきれなかった感が。内面的なことを描く芝居なだけに特にそう思えた。110分。
ネタバレBOX
描かれる話は歪んだ世界には違いないのだけど、女性達の歪み方に比べ、男達の歪み方に違和感があり、いま一歩物語に入り込めなかった。女性達も人数分の抱えてる背景があまり浮彫りになってこなかったのも残念。
展開としては、ユクの正体を明かすまでが少し冗長か。わかってからの立ち回りは面白いが、遊園地の維持の話からトシローの実像が見えるまでがちょっと力ずく。最後、台詞による立場逆転が鮮やかなだけに惜しい気が。
満足度★★★★★
β版を活かし、プラスに変化
物語としての図式がスッキリ見える構成になり、作品としての完成度は大幅アップ。企画としても十分成立。68分。
ネタバレBOX
無理に書き込まずに話の核を明確にすることで女優二人の対立の図式や多数派の行動原理もよりわかりやすく。追加された映像やテレビの使い方も効果的に。
さらにはβ版のアンケートを元にしたはずの本公演は、アンケートや作家としてのスタンスに対してもある形の答えというか意思表示を提示している。
わずか1ヶ月でここまでもってきたとしたらその構築力はすばらしいし、最初からこの着地点を決めていたとしてβ版を作ってたとすると作家の思考は恐るべし。
満足度★★★★
違った切り口がいろいろと、
オスカープロモーションの女優さんが入って雰囲気が変わった話も加わり。それ以上にズルい一本も混じってたけど。115分。
ネタバレBOX
最後の話、それまでの繋がりとか全部無視して窪田あつこ×広田さくらで20分弱のつか芝居を展開。そのいやぎよさとやり遂げる力強さにある意味感服。
満足度★★★★
猫への愛をとても感じる物語
本当に猫好きが作ったんだろうと思う、そんな気持ちが溢れてる物語。話やシーンの繋がりのゆるさもちょうどよい。87分。
ネタバレBOX
いきなりの説明にはとまどいを感じたが、猫たちの仕草がすごくそれらしい。自分は猫を飼ったことないけど、本当にこんな感じなんだろうなぁ、と思わせる。普段はどっちかというと強面系のリュカの池田ヒロユキ氏がたまらなくかわいく見えてしまった(^_^;)
満足度★★★★
間近に純な志賀ちゃんの姿が
現代風の大学生の中に少し古風でピュアな志賀ちゃんが。ハートは中学生のような志賀ちゃんから目が離せない。110分。
ネタバレBOX
奇病とはいえ、育ってきた時間は一緒なのだから、志賀ちゃんを懐かしい感じの学生にまでしなくてもよかった気はする。エキセントリックな演劇部顧問の古館さんとのやりあいは見応えあり。
満足度★★★★★
現実的な世界の中の狂気
出てくるキャラが皆ベクトルの大きさと向きが違えど狂ってる。その各々が持つ視点の描き方も含め見事なまとまり。92分。
ネタバレBOX
ただ新興宗教を扱っただけでなく、運営、依存、割切、利用と色々な立場から本音を持ちつつ世界を構築している、その危ういバランスが興味を切らさず。最後の兄弟の在り方が謎も秘めつつ、深読みすると二人ともある域を超えてるようでそこにも怖さが。
満足度★
期待とはかなり違ったかなぁ
初期の頃とはメンバーも一変し、作風も変わったか。今回は構造ではなく役者の頑張りを楽しむ芝居に。130分。
ネタバレBOX
シベ少といえば、前半のつたなかったり不自然だったり台詞や演技はすべて後半の大ネタのための前振りという、構造上全く予期しなかったものに変貌するその鮮やかかつバカバカしさが最大の見どころだと思ってたのだけれど…
今回の芝居はテンションが高くなって話が脱線していき、そのその脱線した話の小ネタを拾ってさらに脱線していくという、どんどんズレていってあらぬところに着地点をもっていく、かつての猫ニャーに近い構造になってた気がする。
しかしながら話にキレがあるわけではなく、役者の力量もあるわけじゃないので、このスパイラルに巻き込まれる篠塚茜の奮闘ぶりを楽しむだけになってしまったのが残念なトコ。ただズルズルとネタを長引かせてたのも減点。
客ももう過去の幻影を追ってはいけないのかもしれない。
満足度★★★★★
季節も変わると芝居も変化。
新緑の小竹向原の街は3月とは別の景色。再演とはいえ目につくものが違うとこうも印象まで変わるものか。約120分。
ネタバレBOX
パフォーマーの動きも暑いくらいの気候にあわせたようにかなり元気に。距離感も近めで動きが話の中に積極的に入ってくるように感じたり。同行の観客の反応さえ芝居の雰囲気を変える要因に。時間や景観の変化と共に動き続けるのがこのスタイルなのかもしれない。
満足度★★★
入り込みにくい状況設定。
関係性や設定の構造が明らかになる後半は求心力を持ってくるが、登場人物がバラバラに見える前半は少し冗長。130分。
ネタバレBOX
森から想起された話を描きたかったのか、平面のことについて語りたいのか、あまりに大風呂敷を広げすぎたために、終盤半ば強引なまでにエピソードは繋がりはするものの、話自体はそれこそ深みはなく、薄っぺらで。地元の地名を使った設定や笑いも小手先な感じが色濃く感じて△。役者は転球さんの力によるところが大きい。