満足度★★★
たしかに会話はリアルなんだけど…
切り取られた断片それぞれのドラマ性が低く、またなぜその断片を繋げて見せたかのストーリー性もあまり感じられず物足りなさが。94分。
ネタバレBOX
前回のBarみたいな店内と比べたら、一人暮らしの女性の部屋ということでなにかありそうな予感はするんだけど、何を語りたかったのかがいまひとつ伝わらず。一回だけ時間軸をズラして、過去に飛ぶ手法は面白いんだけど、そこだけというのがあまり効果的でないように感じたし。
最後に部屋を訪れる中沢智(畑雅之)の純で一途な片想いの話だったのか、部屋の来客は多いが結局一人の森下春香(林弥生)の話なのか、彼女が留学が決まってる中でのツーショットはその先の二人の展開もあるわけもなく、結局落とし処が分からずじまいで。
満足度★★★★
心配は杞憂に終わったみたい。
再演1本+新作5本の構成。大爆笑こそないものの、風刺を混ぜつつ、話同士も緩く繋げつつ、のいつものテイストで展開。119分。
ネタバレBOX
ストーリーの長さもほぼ均等だし、全部ちゃんと2人芝居だし、前回6月頭の公演よりはクオリティあがってるしと安心して観られる内容に。1作品だけ街を出てるけど、それはそれ目の保養的要素もありの、ということで^^;;
特にメインキャラの拓ちゃんとカンちゃんの話が面白い。彼らが時間と共に歳を重ねたことを見事にネタにしてうまく作っている。
満足度★★★
前作からの期待が過大だったか。
設定や展開自体もかなり無茶がある上に、過剰なキャラもいるため、本筋の話にそんなに求心力がある訳ではないのが残念。90分。
ネタバレBOX
進行する話からズレて、各キャラに因る話に脱線する部分はなかなか面白いだけにもう少しストーリーと整合をとってもよかった気が。
外界と切り離された空間から、テレビや喚声だけで外の様子を表現し、広がりを持たせるのは手法的には○だが、同じ早稲田の北京蝶々の春の公演の「ドラマ進化論」とダブって見えてしまったのはちょっとマイナス要素。マネてはいないと思うんだけど。
満足度★★★★
中里さんのやりたいこと三昧。
中野の隠れ家的なサブカル臭漂うカフェでショートフィルム+演劇+レビューショーの三本立て。限定25席の狭い空間で濃密な時間。101分。
ネタバレBOX
時間はそれぞれ映画8分、芝居15分、ショー29分。間に設営時間こみの休憩を挟んで。オリジナルのドリンクやフードも用意して、この時間のこの空間を自分達のものにする工夫がしっかり。
芝居の体当たり具合もよかったが、やっぱりレビューが面白い。昭和な音楽に乗せて曲毎に衣装を変えて歌って踊って。バックダンサーズをうまく使ったフォーメーションは切れ目なく楽しませてくれて◎。
満足度★★
描くテーマが結果的にズレてない?
広い舞台に大きく作られた、3段の高さの抽象的なセット、それはピンポイントで描かれた話とあまりにギャップがありすぎ。114分。
ネタバレBOX
入れ子構造での話の構成が活きていない。大外枠である現代の、社会の姿勢に対する警鐘、主人公の自責の念が一番の核心なのに、内側の離島での沖縄戦の現実?が物語の大半を占めてしまっているために、肝心の外枠が蛇足気味。せっかく最近のニュースとテーマがかぶっているだけにこの点はもったいない。
現代の若手の作家が第二次世界大戦のことについて描くことを否定はしないが、さもこれがリアルだと思わせるように振りかざして提示するのは、作家の思考上・思想上のリアルを押しつけられたようで受け入れ難い。
冒頭の彷徨う魂達の求めた真実、これについてもちゃんと落とし前がついたとは思えないのだが…。
役者、大きな劇場+極限状態の設定だからとはいえ声張り上げすぎ。特に男優陣が聞き取りづらい。
満足度★★★
『LOVE』:身体の持つ説得力。
エチュードから立ち上げた舞台。役者の動き、そして彼女達のかく汗が何よりも勝るという作りは今のデスロック的な演劇なのか。55分。
ネタバレBOX
ゲーム的・ストレッチ的な前半、ひたすら踊りまくる中盤、そして他者と向かい合う終盤とパートがはっきり別れている。終盤以外は言葉や台詞はなく、この面から見ると本作品では多田さんは演出家ではあるけれども脚本家ではない感じ。
全体的に3月の公演のunlock#1と似た印象。コミュニケーションの多様化の中では現代口語というスタイルも演劇という形も捉え方、表現方法も変化しているということなのかなぁ。
満足度★★★
『3人いる!』:演劇らしい作品。
映像では実現できない表現方法を、舞台で表現。立場やキャラクターが錯綜する展開は脳みそフル回転で追いかけて楽しめる。53分。
ネタバレBOX
机周りだけのシンプルなセット。自室で電話し、パソコンしてると誰かが入ってくる。ヤツは俺だと言い張るのだが…
複雑なキャラクターの移り変わりを観客の思考回路に委ね、その上で成立することを前提として書かれた脚本が見事。終演後の作品解説では台本を回覧されたが、見ただけでは到底理解しがたい割り振り。
すごくトリッキーな作品で、とても面白かったのだが、狭い空間で満員の客席の中、空調を止められたため、場内が暑くなり、集中力を少し欠いてしまうような状況だったのでその分★-1。
満足度★★★
『社会』:全部を語らない口語劇
少ない情報の微妙なニュアンスの交点から生じる勘違い、そこから転がる展開が面白い。観客も徐々に全体が分かる構成も◎。57分。
ネタバレBOX
近年の現代口語劇の手法を上手にパッケージングした作品。社会の中での個と集団の在り方もちゃんと描かれてる。
満足度★★★
それぞれのおかしさが可笑しい
話の焦点がズレていたり、噛み合わせなさ加減が微妙に面白く。前半はテンポもよく○だったが、後半が少し冗長で△。60分。
ネタバレBOX
瞬間瞬間の面白さはそれなりにあるんだけど、その積み重ねだけでは観る方も限界があって。設定とかシーンの繋がりとかもそれなりに大事にしてくれるともう少し広がりがあったんじゃないかという気がして。
中村智弓さん演じるキャラの天然っぽいボケ加減がとてもよい感じ。他のキャラがちょっと作りすぎ感が漂ってただけに特に。あと、唯一の男性キャラの大塚さんも風格あるけど大人げない感じが◎。
満足度★★★
様々な手段を取り入れて挑戦的。
QRコードでメアド登録して、劇中でのメール配信&書込み依頼、入場時に渡されたFMラジオで劇中で放送と、新アプローチが盛り沢山。78分。
ネタバレBOX
ネット社会に対して敷居が低くなり、、危険性を感じなくなっている今の時代を描いた作品。チャチャ入れのキャラの存在といい、ボーダーがあいまいな世界を、色々な道具も使って余計に混沌とさせて。でも少し本筋の話が弱いかなぁ。
僕が観たのは2日目夜。残念ながら登録作業はしたもののメールは届かず、またラジオのシーンも短くと用意した仕掛けは決してうまくいった感じではなく。芝居の構造からして楽日に向けてもっと変化していくとは思うのだけれど、如何に?
劇中のダンスはスピード感もありかっこよく。でももっと動く芝居を観たかったかも。
満足度★★★★★
絶妙なバランスのせつない話。
彼について、一人一人が話す思い出。語られていく毎に全体が見えていく構成の妙、笑いとしんみりのさじ加減が素晴らしい。118分。
ネタバレBOX
関係ないように見えるキャラクター達が、本心で彼のことを語り出したときに繋がって見えてくる物語。それは彼女の気持ちと呼応するように大事だった彼の姿、そして彼女にとっての彼の存在が浮き彫りに。
最初にテーマのように歌われる歌、そしてみんなで奏でる歌、佐藤みえこさんの歌は物語にぴったりハマりすぎるくらい。500円で売られてるCDは買い!だと思います。
…そして見終わって、すぐに家に帰らなきゃと思った。
家で用意されてたカレーライスはいつもよりもおいしかった。
満足度★★
静かに紡がれるアングラテイスト。
上野の山に集い、住まう人達の物語。様々な過去を持つ彼ら、それでも今を自分達なりに活きる姿を描く。91分。
ネタバレBOX
繋がりあるストーリーというよりも個々のエピソードを重ねて成り立たせている。ラストの舟はホームレスの夢や希望を具現化したものか。
分かりづらいからといって、集中が欠けるわけではなく。でも、ところどころで大声出したり絶叫されるのはちょっと苦手だったかなぁ。
満足度★★
考える余地を与えない話の作り。
説明過多になっているため、演劇というよりも状況の語りに終始して、物語としての起伏に乏しい構成になってしまっている。124分。
ネタバレBOX
舞台はあくまでもアインシュタイン来日当時の京大学生控え室。この場を使って、周辺の人間達の盛り上がりを描きたかったのか、アインシュタインの足跡・軌跡を語りたかったのか、アインシュタイン自身の人物像を描きたかったのかがあまりに分散しすぎてわかりにくい。周囲の教授・学生の話が一番長いがもたつきが多く、まとまりもない。学問に関しては手を広げすぎの感が。入れ子構造での講義~結果としての原爆に繋がる大枠はこれで括らなくても、と思うし。
せっかくアインシュタインをキャラクターで出したのだったら、そこをもっと活かしてほしかった気がする。
満足度★★
独自のスタイルにこだわりすぎ?
喋り口調に節をつけたり、型みたいな動きが怪談話に必要な話の強弱を奪ってしまったようで全体的に平坦な印象。74分。
ネタバレBOX
全員がその独自の口調や動作をするわけでもなく、普通に喋り、動いている人もいてそこのところは統一感が欠けてる気が。歌舞伎的までもいかず、現代口語的でもない演技は、ゆっくりとした動き、中途半端で耳障りな節付きの口調も含め、そのスタイルに疑問を感じるばかり。歌舞伎座での怪談だってもっと様々な工夫がされて怖がるようにできてるというのに。
満足度★★★★
きちんと作られたよい話。
タイトルのとおり上演中のバックステージ、明かりを漏らせないトコで奮闘する舞監を描いた暗闇演劇。真っ暗でも十分に楽しめる。88分。
ネタバレBOX
大川興業の名前から笑い中心かと思われるかも知れないが、実は話はかっちり作られており、下手な劇団よりはずっと芝居に対して真面目に取り組んでいる。今回は子役の起用がとても活きたつくりになっている。
視覚を奪った分、嗅覚に訴えることで芝居中のアクセントをつけている。闇の中で本当に臭いを出す努力をしているのがよい。
見える部分でも映像にとても凝っていたりと、ここにもこだわりが感じられる。
得意の時事ネタもちゃんとワンコーナー設けて、茶化しまくってるのも大川興業らしくて◎。
満足度★★★
信念をもった異形の愛のカタチ
守るモノのためだったら何でもするという姿勢が、逆に守られるモノを傷つけていたり。背景も提示ももう少し丁寧なら…。
ネタバレBOX
弟に残るトラウマの影、姉の行き着いた職業等もう少しわかりやすく描いてくれてもよかったかなぁ、と。登場人物についても書きっぱなしのキャラが多く、もう少し本筋に絡ませたり、推測しなくても理解できるように描いてほしかったなぁ。
喋り方に難のある弟のために自分達も同じ話し方をする、最初は演技か本気かわからなかったり。演技であるなら、最後の弟の台詞だけはちゃんとした言葉で伝えてくれないと弟が何に怯え、何に憤っていたのかが不明確になってしまってたような。
満足度★
方向性を揃えて提示してほしい。
ちゃんとしたプロットを組んだ上で、最初から最後までの話の持って行き方、それぞれのキャラの在り方に統一感がほしい。105分。
ネタバレBOX
細かいことをいろいろ言います。
まず基本設定。娘が高校2年生というのだけははっきりしているけど、では父母、祖父母、叔父の年齢設定は何歳なのか?祖父が大戦時に政治家にかわいがられるぐらいの軍人だったとすると父母や叔父の年齢って?三世代の家族構成があまりに不自然。
舞台は杉並区和泉の旧家の家屋。その10畳の居間だけど、なぜ電話が黒電話で古い扇風機で呼び鈴までブザー?導入時は時代設定が昭和40年代とか思ったけど、デジカメは出てくるわ、ウエストポーチはでてくるわ、回転寿司はあるわとどうやら現代らしいし。ここら辺の違和感は最後まで物語に入り込む障壁に感じました。
そして演技。普通に祖母に向き合おうしとしている家族の普通の在り方、学生服姿で田舎から出てくた突拍子もない祖父母、ヤクザまがいの叔父、変態やストーカー的態度の教師、隣人、同級生の飛び道具さ加減、空想的シーンで柿を育てる兄弟のような二人、それぞれの演技がみんなてんで違う方向なので、ひとつの舞台に乗っけると、ゴチャゴチャしすぎて食傷気味。この舞台上で何をしたいのかが全然見えてきませんでした。
で、ストーリー。柿にまつわる思いや繋がりを見せたいのか、祖父母の生きざまを語りたいのか、娘の祖父母に対する気持ちを伝えたいのか焦点がボヤけ過ぎて何が一番言いたいのかサッパリ。かき回すだけかき回す家族以外の存在は出しっぱなしで収拾すらつけていないし。余計な部分はそぎ落としてでももっと話の中心部分を大事に描いた方がよいと思いました。
役者さん達は結構達者な面々が揃っているように見えただけに余計にその使い方にもったいなさを感じました。
満足度★★★★
気軽に楽しめる大衆向け娯楽作。
浅田次郎原作の幕末もの。落語かと思わせるような内容は面白く、テンポよく、そしてちょっと考えさせられ最後まで。183分。
ネタバレBOX
主人公の別所彦四郎の武士道と家を重んじる堅物というキャラクターが中村橋之助さんのイメージにピッタリ。升さんの貧乏神、コングさんの疫病神も好演しており、映画の配役では想像できないくらい役者がハマっている。
人を守るはずの"家"を守ることにこだわっている、そのねじれを3人の神々に会い、身の危険に直面することで考えるようになる。認めたくない変わりゆくある現実、それでも武士として生き、武士として死んで花を咲かせることに生き甲斐を見いだした主人公は共感はできないけどどこか愛おしくもある。
満足度★★★★
一皮むくと間違ってる人ばかり。
普通に見える人達、でもドコか思考のネジがハズれているようで、実はイカれた人達のオンパレード。愛おしくはないが目が離せない。100分。
ネタバレBOX
今までは提示されるコミュニティ自体が異質だったりしたのだが、今回は帰るトコのない個々が接し、他者を求めることで世界を形成している。繋がり方は似ているが、場所にこだわらず
外に向けて展開しているのが面白い。
セットは見た目はシンプルだが、小道具の出し方、現れ方が潔いくらい思い切ったことをしている。普通じゃ考えないような場転はこの話の"ヘン"な感じにはあまりに合っている。
満足度★★
テキストにかなり忠実に最後まで。
野田さんの作品をダイジェストに抽出しながら通して上演。衣装と光の使い方が本家とは違う美しさを表現。72分。
ネタバレBOX
解体、再構築というイメージはなく、圧縮して少し足したという印象。そのため、元の脚本の力が前面に出すぎて、追加したシーンがあまり生きていないように思えた。
台詞もかなり忠実に使っているせいか、言い回しや言葉遊び、言葉遣いが力を持ったままそのまま残り、新たに挿入された台詞とテンポも温度も全然違って、融合しきれてなかったみたい。
どうせなら、思いきり分解して、最後までやらずに好きなシーンの抽出や繰り返しなど使って、COLLOLらしさを押し出した作品に作り替えてもよかった気がする。