カバと結婚
望ノ社 with ヤノミ
阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)
2017/09/22 (金) ~ 2017/09/24 (日)公演終了
望ノ社「宇宙カバ」は人形操作を舞台面側で行う影絵劇。とても良かった。インドネシアのワヤンクリッの裏を見せてくれる趣向。戯曲は半年がかりで仕上げ、人形や背景含む220枚の手作り影絵は製作に1ヶ月半かけたという愛情こもった力作。可愛らしくてコミカルだけど泣ける物語は「アルヴィン・スプートニクの深海探検」に少し似てる。上演時間は約50分。
ヤノミさんのスタンダップコメディは結婚式あるあるネタ。数百組の司会経験者ならではの貫禄。
東京公演は9/24まで。四日市、香川、広島、米子、姫路、京都公演あり。京都公演はKyoto Experiment フリンジ企画参加。
僕の東京日記
富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ
富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ(埼玉県)
2017/09/15 (金) ~ 2017/09/19 (火)公演終了
田上豊版「僕の東京日記」になっていたと思う。ぶつかって取っ組み合ってコケて転がって…今のツイッター上での匿名の罵倒合戦が、俳優たちの心身によって目の前に引きずり出されたみたい。70年代の日本人は顔を見合わせてケンカしたし、成り行き任せだとしても、お互いに向き合って和解もしてきたんだなと思った。わがまま邦題で責任を取らず「お母さん」に甘えっぱなしでぬるりと開き直る男性像が、題名の「僕」に象徴されているように感じた。建て込まれた装置が嬉しい。戯曲本は持っていたけど上演を観たのは初めてで、とてもいい機会だった。上演時間は約2時間10分休憩なし。
同郷同年
公益社団法人日本劇団協議会
恵比寿・エコー劇場(東京都)
2017/09/13 (水) ~ 2017/09/18 (月)公演終了
核廃棄物の最終処分場の誘致がテーマの男性三人芝居だから、気を引き締めて劇場に行ったんだけど、すごくよくできた90分の会話劇でとっても面白かった!
「反吐が出る」と言っていいぐらいの醜悪さにムカムカするんだけど(笑)、俳優さんに愛嬌があり、宮田慶子さんの演出でコミカルにも見せてくれる。場面ごとの変化にわくわくする。
劇作家のくるみざわしんさんは色んな戯曲賞を受賞されている現役の精神科医。今回の劇作家協会新人戯曲賞の一次審査も通過されている。
ひとつの言葉の意味が意図的に変えられ、何度も利用される様に胸が苦しくなる。今の日本の報道、政治家の発言とぴったり重なった。
悪について
小田尚稔の演劇
新宿眼科画廊(東京都)
2017/09/08 (金) ~ 2017/09/12 (火)公演終了
カジュアルな服装の若い俳優が客席に直接話しかけ、独白で進行していったので、第一印象はチェルフィッチュの『三月の5日間』でした。今の若者たちの言葉を、姿を受け取りました。皆、弱くて、優しいです。
作・演出の小田さんは長らく哲学を学んでこられたそうで、劇中に哲学書などを朗読する場面があります。小田さんご自身が今見て、聞いて、感じ取っている身近な世界を、哲学のあるテーマに即して演劇の形に表されたのだと思いました。
アンネの日
風琴工房
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2017/09/08 (金) ~ 2017/09/18 (月)公演終了
いわば「ヴァギナ・モノローグス」の生理版で、法廷劇のようなスリルもある会議ものの群像劇。初潮から閉経までを当事者視点で赤裸々に語ってくれるから、何もかも自分のことのように感じて、「そうなの、そうなのよ!」と脳内で激しく頷きながら、なぜか涙をポロポロ流しながら観た。女性の生理は今も“隠されたもの”なのだ。
生理用品の開発現場から現代の社会問題が浮かび上がる。日本人の“働き方”について考えせられ、原材料の生産にまつわる農薬、種の問題は特に興味深かった。企業内の“リケジョ”の活躍はエンタメ要素が多く、研究開発やコンペの行方にわくわくする。
男女問わずお薦め。カップルやご家族で観に行くといいのでは。笑顔を貼り付けたような演技がごくたまに気になったけれど、作・演出の詩森ろばさんと仕事をしたことのある女優さんばかりで、チームワークも上々。石村みかさんがはまり役、笹野鈴々音さん、熊坂理恵子さんはいつもながら柔軟で光っていた。約2時間10分。
冒した者
文学座
文学座アトリエ(東京都)
2017/09/06 (水) ~ 2017/09/22 (金)公演終了
10分休憩2回を含む3時間50分という大作。めちゃくちゃ面白かった。三好十郎戯曲を隅々まで読み込んだ上で、独自の解釈や遊びを加える上村聡史さんの演出に感服。終戦直後の話なのに、ヒリヒリするほど今だった。アトリエを活かした急勾配の抽象美術に、人間の本性を暴くような照明。突き放すような選曲のセンスも好き。神妙になり過ぎず意外な展開を生む演技も楽しかった。
CRIMES OF THE HEART ―心の罪―
シーエイティプロデュース
シアタートラム(東京都)
2017/09/02 (土) ~ 2017/09/19 (火)公演終了
満足度★★★★★
三姉妹とその周囲のごく平凡な人々が、必死で怒って笑って泣いて、食べて飲んで化粧して。俳優はころころ、くるくると気分も態度も変化させ、一瞬でどん底と絶頂を行き来する。
客席でドっと笑いが起きた時に自分は泣いていたり、舞台上で那須佐代子さんが怒り狂うのを観て大笑いしたり。舞台でも客席でもそれぞれの心が動き続ける。私はこういうストレートプレイが好き!
映画を含めこの物語を観るのは4度目。やはり素晴らしい戯曲。抜け感のある美術が新鮮。出演者は小川絵梨子さんと組んだことがある方々ばかり。『今は亡きヘンリー・モス』から約7年。舞台に中嶋しゅうさんがいらしたことが、最後にわかりました♪
19日まで。神奈川公演あり。上演時間は約2時間45分(途中15分含む)
ゴドーを待ちながら
シアターX(カイ)
シアターX(東京都)
2017/09/01 (金) ~ 2017/09/05 (火)公演終了
Touch the Dark(タッチ・ザ・ダーク)【観客体験型作品(日本初・本格的イマーシブシアター)】
DAZZLE
TtD特設会場/新宿に近い渋谷区(非公開)(東京都)
2017/08/25 (金) ~ 2017/09/03 (日)公演終了
英国のpunch drunkの噂で興味があった、観客回遊型パフォーマンス。すっごくちゃんとしていて感心!5000円は安いと思いました(8000円は特別扱いで、それも楽しそう)。
幸福な動物
温泉ドラゴン
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2017/08/23 (水) ~ 2017/09/03 (日)公演終了
鳥の名前
株式会社コムレイド
ザ・スズナリ(東京都)
2017/07/22 (土) ~ 2017/08/13 (日)公演終了
軽妙なやりとりが微笑ましく、観客サービスのお楽しみも多く、前売り指定席¥5,500は高くないと思いました。ただ演技の種類は私好みのど真ん中、というわけではなかったです。
おどる童話『まほうのゆび』
NPO法人アートネットワーク・ジャパン(ANJ)
あうるすぽっと(東京都)
2017/08/05 (土) ~ 2017/08/16 (水)公演終了
子供出演が効いてる、親子向けダンス作品♪ 振付・構成・演出のスズキ拓朗さん始めCHAiroiPURINもパワフル。大人二千円、中高生千円、小学生以下五百円という破格!お薦め!
超進化ステージ「デジモンアドベンチャー tri. ~ 8月1日の冒険 ~」
舞台「デジモンアドベンチャー tri.」製作委員会
Zeppブルーシアター六本木(東京都)
2017/08/05 (土) ~ 2017/08/13 (日)公演終了
操り人形、原作アニメ含む映像、原作声優の声の出演、煽る照明音響が大迫力。夢に引きこもる現代人の病がベースの普遍性ある物語で、デジモンの進化と少年たちの成長を重ねる。泣いたよ、驚いたよ!形劇、歌舞伎(文楽)、遊園地の戦隊ものアトラクション等が飛び出し少々頭が混乱(笑)。映画館も味わえる。入り混じる善悪、愛憎、虚実をカラッと明るく異化するオレノグラフィティさん素晴らしい。原作愛とサービス精神溢れるイベント。以上、原作を全く知らない観客の感想です。約2時間20分休憩込み。
朗読劇「ひめゆり」
新国立劇場演劇研修所
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2017/08/04 (金) ~ 2017/08/06 (日)公演終了
奇想の前提
鵺的(ぬえてき)
テアトルBONBON(東京都)
2017/07/21 (金) ~ 2017/07/30 (日)公演終了
現代が舞台の新作。どっしり舞台美術にガッツリ照明、音響、音楽で攻めに攻めて、しっかり江戸川乱歩風の狂気の世界を立ち上げる。家族代々の愛憎劇あり、耽美なホラーあり、トリックありの大盤振る舞い。光と音が激しいのは好みが分かれるかも。約1時間50分。
penalty killing
風琴工房
シアタートラム(東京都)
2017/07/14 (金) ~ 2017/07/23 (日)公演終了
約2時間10分。アイスホッケー愛、サポーター愛が本物。敵のダンス素敵。
ドンドコ遠慮なく盛り上げてくれるのが爽快で笑っちゃうほど。そして愚直さに泣けてくる。昔スポーツしてたから敗者の気持ちに共感。
敢えてカッコつける男子をノリノリで応援して試合に参加した者勝ち♪
7/23までシアタートラム、豊橋公演有。
カントリー〜THE COUNTRY〜
ゴーチ・ブラザーズ
DDD AOYAMA CROSS THEATER(東京都)
2017/07/12 (水) ~ 2017/07/17 (月)公演終了
小さな田舎町に越して来た夫婦のもとに身元不明の若い女性が。言葉の表面的な意味とは全然違う企みが隠されていて、演じるのが難しい戯曲。伊達暁さんは意図が逐一くっきりしていて、セリフの繰り返しを飽きさせない細かな工夫もされている。観客に意識も開かれていて、セクシーで良かった。
怒りをこめてふり返れ
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2017/07/12 (水) ~ 2017/07/30 (日)公演終了
前半のジミーのウザさ、マジぱねえ(笑)。それが後半にガツンと生きてくる。メロドラマの枠を借りて不条理を突きつける。後半は頭使いまくりで興奮。とても面白い演劇でした。セクシーだったのも良かった。約3時間強、休憩こみ。カーテンコールは3回。
ベルリンの東
名取事務所
「劇」小劇場(東京都)
2017/07/01 (土) ~ 2017/07/04 (火)公演終了
父がナチスの親衛隊だったことを知り、人生が激変してしまった青年の語りで進行する三人芝居。ドラマティックで残酷で官能的で、とても面白かった。子供時代の驚き、怒り、葛藤を経て、大人の恋を見せる流れが巧み。観客に話しかける演技と回想場面の切り替えが、ほぼシームレスでわくわく。佐川和正さんと森尾舞さんがセクシー。約1時間35分。
子午線の祀り
世田谷パブリックシアター
世田谷パブリックシアター(東京都)
2017/07/01 (土) ~ 2017/07/23 (日)公演終了
予想してたよりずっと面白かった。空の遥か彼方(天球)と、波の満ち引きを感じながら、源平合戦を見守る。遠くと近くを行ったり来たり。プラネタリウム、人形劇、紙芝居を想像。群読も力強くて楽しい。