満足度★★★★
【小栗判官役:市川猿之助 遊行上人役:中村隼人】の回観劇
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仲間が略奪してきた照手姫とは出会いはいびつでしたが、自分に正直に生きる意志を持つ共通点に惹かれ小栗判官は結婚を約束しましたが、照手姫の一族に毒矢で殺され、地獄で大暴れし、閻魔大王から天然痘で外見が醜くなったような感じの餓鬼阿弥にされて娑婆に戻され、偶然遭遇した照手姫を含む善意の人たちに助けられ熊野まで辿り着き、薬師如来の力で完治しました。事の顛末を帝に話したところ感動した帝は小栗を国司に任じ、照手姫のいる美濃を赴任地として選んだ小栗は照手姫と再会し、これまで自分中心に生きてきた生き方から、みんなのことを考える生き方に変える旨を閻魔大王に感謝しつつ誓うのでした。
老妻が若い女に嫉妬して夫婦関係が壊れるエピソードなども織り交ぜ、さながら縁起絵巻のようでした。
満足度★★★★★
演出面に驚かされました。
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精神を病んで寝込んでいる売春婦バーサが置屋から追い出されそうになり、昔の恋人に手紙を出そうとして、女主人や売春婦仲間に代筆を依頼するも適当にあしらわれる様を描いた話。
45分と短く、テネシー・ウィリアムズって精神を病むのが好きなんだなって程度のたわいもない話でしたが、頭上のゆったりしたオフホワイトのカーテンに赤い塗料が流れ、少しずつカーテンが赤くなり、役者にも垂れて、役者の衣装も赤くなるという演出に魅了されました。
最初はプロジェクションマッピングかと思ったのですが、それが液体だと知ったときには本当に驚きました。洗えばすぐ落ちるのでしょうか。大きなカーテンは洗うのも大変です。一公演ずつ新しいものを使うのでしょうか。お客様もそれほど多そうでなく、費用面も大変だろうと他人事ながら心配してしまいした。
満足度★★★★
意外と忠実に演じられました。
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古典の竹取物語を、立体落語風に仕立てたもの。
地球では、ああでもないこうでもないと悩むため、脳内に第二・第三のかぐや姫がいましたが、月からの使者の羽衣を纏うと雑念が払われ悩むこともなくなり、第二・第三のかぐや姫は姿を消しました。素敵なシーンでした。
かぐや姫本人は美少女でしたが、三倍お得とは言えず、本当の三倍お得にしてほしかったです。前説をした主宰の人のとぼけた雰囲気は絶妙でした。
満足度★★★
【海】の回観劇
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火山島で、生贄にされそうになっている王女を助けようとするみたいな冒険メルヘン。
プレミアムシートには、各推しメンを持ったような人がいました。それなら、歌の上手い女優さんだけをフライヤーに載せるのではなく、若い女優さんたちを全面に出したらどうかと思いました。
満足度★★★★
戦慄を覚えました。
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隣国に寝返って殺された兄を弔おうとして捕らえられた妹アンティゴネが拷問を受ける様を描いた話。
爪を剥がして治療する、耳をそぎ落として治療するには、背筋が寒くなりました。
自分のクローンに対する拷問が、自分を苦しめるかについては少し疑問に感じました。というか、大量のクローンが自分と同じ年齢になっていること自体不思議です。
赤い服の女性の声が、やや中性的で清らかで、聞いていて心地良く素晴らしかったのが印象的でした。
満足度★★★★
蛇尾
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妻から離婚を求められている劇作家が、実は外ではモテているという内容の話かと思いきや、妻から離婚を求められている劇作家が実生活とは裏腹にモテていることにした作品を作り、役者に演出中ということが分かり、明日本番なのに内容に辻褄が合わないところがあったりして大変な上に、ゾンビが出てくるなど支離滅裂になりつつ、最後は夢オチだったというような感じの話。
何層にもなってはいましたが、結局は何でもありのやり過ぎパラレルワールド物で、夢オチで終わらせる安直な結末でした。
満足度★★★★
等身大の世代ってこんな感じかなと思いました。
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2014年3月に卒業した高校生の恋愛事情等を描き、彼らの2020年10月の現況を描いた話。
結婚することになったり、別れていたり、夢を諦めたり、そもそも安きに流れていたり、ちょっと切なくなります。
大きな夢を追っ掛けるわけでもなく、流されている感がありますが、今後は分かりません。卒業してからそれほど経ってはいません。さらに5年後の姿を描いてほしいと思いました。
満足度★★★★★
迫力ありました。
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藤道会の指示により内藤ゲンシロウを傘下のどの組が殺すかを決める空蝉組内での会議の様子を描いた話。
子供のために足を洗おうと考えていた男が会議に参加していた藤堂会の幹部を殺し、藤道会との抗争の道を選択してしまいました。空蝉組を離れる組も多数あり、命の懸かったやくざの世界では全員一致という訳にはいきませんでした。
また、全員が堅気になる決意をするといった方向に進んだら凄いなと思っていましたが、そんなことはありませんでした。
満足度★★★
所詮幽霊物
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劇作家・演出家であった男が亡くなり、若くして死んだ妻や先に死んだ俳優仲間が迎えに来る話。
変てこな袈裟で、学芸会なら仕方がないと思ったのですが、喪主の娘の喪服などは普通でそれだけに変でした。夏でもないのに、あんなに薄い衣は着ません。輪袈裟も小さ過ぎました。自動でお茶が出る機器があるのを知っているはずなので、他人の茶碗の残りを集めて飲むといった吐き気を催すような行為をするはずもありません。
次元の低いお芝居でした。
満足度★★★★★
真面目で頭のいい人が陥るような話で良く分かります。
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ノストラダムスの予言が当たらず、7月中をさぼったことにより夏休みの自由研究をしそこなった15の少年が、完璧な自由研究をしようとするあまり、結局35歳の今まで引きこもりを続けることになり、最後思わぬ悲惨な結末を迎えるという話。
そこそこ適当が一番です。良く分かります。
世間は中年引きこもり男の犯罪として大きく報道することでしょう。
満足度★★★★★
しばらく観ないうちに随分パワーアップしたように感じられました。
ネタバレBOX
前半のごたごたがパワーアップしていました。
その後、演劇シナリオの許諾を得ていなかったという理由で一クラスがあっさりとエコの催し物を受け入れましたが、生徒会自治原理主義者がそもそも論を展開して再度紛糾。学校側からの押し付けではなく、当初目論んだ演劇に取り込むことで昇華するという形をとり、原理主義者も渋々納得して決着。
色恋沙汰、浮気、天然ボケ、トイレの我慢等々、本当に面白かったです。
満足度★★★★★
『日本演劇総理大臣賞』観劇
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戦時下、最終選考に選ばれた演劇シナリオ5作品のうち、5人の審査員が推した「紙吹雪」と一人の審査員が推した「残り火」の2作品から全員一致で日本演劇総理大臣賞を決定すべく議論を戦わせる話。
芸術とは人間が失ったものを取り戻すことと定義して論を尽くし、劇中劇で「残り火」の要点を伝えてくれたり、警官が立ち会う当時の状況を見せてくれたり、とても熱く、重厚で素晴らしかったです。
最終的には、文部省の役人が総理大臣に忖度する形で覆りましたが、議論を尽くして結論に至る過程は『ナイゲン』のようであり、次週から始まる『ナイゲン』、『ナイゲン 暴力団版』へと続くナイゲン三連発といった感じがしました。
不自由、忖度などのキーワードがたくさんあり、今現在を映す鏡のような作品でした。
満足度★★★★
上質でした。
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シェイクスピアの恋愛物を毛嫌いしていたシェイクスピア研究者が恋に落ちるコメディ。
ああ結局ダメだったかぁ、からの逆転劇など工夫がなされていたとは思いますが、全体に上品過ぎて、今一つ物足りないコメディでした。
玉を転がすような声は素晴らしかったです。
満足度★★★★★
発想が素晴らしいと思いました。
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鬱の患者にワーニャ伯父さん役を演じさせ、病院スタッフが他の役を演じる演劇療法を施しているという体を通して『ワーニャ伯父さん』を一気通貫にて上演させたもの。
一番最初の、おいおい!何やってんだ的なシーンが、時空が歪んだように見えて面白かったです。
自作農経営の地道な生活感に対して、元教授の生活感のなさと身勝手さには本当に腹が立ちます。
満足度★★★★
南へ向かううら悲しい北帰行。
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組を裏切って漫才をしながら逃げる二人、不治の病の夫とその妻、女子高生などが、沖縄の海を目指して旅するロードムービー。
フライヤーと異なる白いスーツ、小道具に可動性のあるボックスを使い、スピード感ある展開で様々な役を演じ分け素晴らしかったのですが、中年のおじさんの汗はあまり見たくありませんでした。
満足度★★★★
人の振り見て我が振り直せです。
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暴力悪と警察でバランスが取れていた時代から、義賊の活躍でそのバランスが崩れ始めたとき、恐怖で秩序を保とうと切り裂きジャックが現れ、切り裂き魔である友人を助けようと義賊だったジャックが汚名を被ったとする話。
奇想天外なストーリーは歌舞伎的でした。
セリフを忘れた役者をさんざんいじった役者が、別の役者のセリフに被せてしまうというシーンがありました。
満足度★★★★★
それぞれにはそれぞれの事情がありました。
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舞台左は53歳の漁船の船長が一人暮らしをする部屋で、長年相も変わらず帰港後に乗組員たちと魚をさばいて食ったりしている毎日ですが、乗組員にも事情があって去る者来る者少しばかりは変化します。舞台右はずっと空き部屋だったものの、海が見たいと言った認知症の母親のために借りた部屋で息子と息子の娘が世話をし始めましたが、所詮認知症の人が言うことですから別に海が見たかったわけでもなかったようで、また世話は大変で、結局は引っ越していきました。そんな二部屋の様子を客席から遠望する作品。
手前がアパートの裏庭になっていたこともあって、役者は結構舞台奥の方にいる感じがして細かい表情が分かりませんでしたが、それがまた良く、まさに遠くから二部屋の他人の生活を覗いている気がしました。
隣通しで何か事件でも起こるのかと思っていましたが、それぞれはそれぞれで、さほど絡むことはありませんでした。
機嫌の悪そうな娘さんでしたが、舞台挨拶のときは明るく爽やかでスタイルのいい女優さんで嬉しくなりました。
満足度★★★★★
【第一部】観劇
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心中天網島(しんじゅうてんのあみじま)
北新地河庄の段
天満紙屋内の段
大和屋の段
道行名残の橋づくし
紙屋治兵衛28歳と紀伊国屋小春19歳の心中話。
治兵衛が炬燵で泣いたのは、小春が廓所でのライバルである太兵衛に身請けされることになり、男の面目がつぶされたからというのが本人の弁でした。この時点では小春が裏切っていたと治兵衛は思っていたわけです。その後、治兵衛は妻おさんから真相を聞かされます。
最後は、治兵衛が小春を刺し、治兵衛は小春の帯というのか腰紐というのかやや幅広の帯状の物を木造施設のようなところに固定して首をくくりました。
満足度★★★★
【Aブロック】観劇
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くじらシティ(早稲田大学) 『端-Edge-』
戦時中の徴用工の話。
朝鮮半島からの徴用工、長崎の原爆を組み合わせれば何とかなるといった考えで作られたと思われる作品。8点。
名前はない劇団(埼玉大学) 『濃藍』
頼まれたら断れない優柔不断な男の恋愛話的な話。
ラストで、男に自主性が芽生えたようですが、そこが何とも予定調和的で盛り下がりました。9点。
はりねずみのパジャマ(日本大学) 『楽しみましょう』
近くで交通事故が起きるなどして古い洋館に集められた人々が一人ずつ消えていくといったホラー系ナンセンスコメディ。
Aブロックの中で一番面白かったです。10点。
満足度★★★★★
とても面白かったです。
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悪者に殺されそうになる150年前の娘さんを助けるために、時空を操れる男が婚活ハロウィンパーティに集まる男女の衣装をカウボーイ姿に誘導し、カウボーイ力を高めて悪者を退治する顛末を描くナンセンスSFコメディ。
本来のカウボーイをカーボーイと表現したのは、JUNKのファンだからかと思われます。
とぼけたナンセンス感覚は素晴らしかったです。時空をいじくったことによるペナルティは地球の滅亡でしたが、投げ縄で隕石を追い返し無事助かりました。壮大なめでたしめでたしでした。