KAEの観てきた!クチコミ一覧

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天の敵

天の敵

イキウメ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2017/05/16 (火) ~ 2017/06/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/05/24 (水) 14:00

座席1階H列11番

このストーリーの舞台は、以前にも観た記憶がありますが、大幅に改変され、たぶん、作者の訴えたいテーマも、変質したように感じました。
最近の、世界情勢や、日本の政治の変容などを、体験した前川さんの、作家としての、変容が垣間見えた気がする上質な演劇作品でした。

初舞台から拝見している、大窪さんが、小技の利く、良い演技者に成長されていて、この劇団を、10年以上観ているファンとして、嬉しい発見がありました。
浜田さんの役者としてのオーラにも、更に磨きが掛かっていました。

一度、足を踏み入れてしまった、闇の世界から足を抜くことの困難さを痛感させられる、舞台です。

ネタバレBOX

以前観た、飲血を描いた作品は、もっと、おどろおどろしい展開だったと記憶していますが、今回の舞台は、取材記者と、取材される側の食育プロデューサーとの、対談形式で、話が進む展開で、舞台進行も、静かに経緯しました。

そのせいか、あまり、息を呑んで見守るという、客席のスタンスがなく、イキウメの舞台では体験したことのない、客席のざわつきは、ちょっと観劇の気分を殺いで、残念ではありました。

ですが、浜田さんの口から語られる、事の経緯は、静かな語り口だからこそ、余計に、胸に響き、混迷を極める世界情勢や、国民の命や人権を軽視する政府のやり方に、改めて、沸々と、不安や憤りを覚えました。
若いやくざのキャラクターを、創意工夫で、見事に、演じ切った大窪さんの役者振りには、目を見張りました。

益々、熟成したイキウメの今後が、とても楽しみでなりません。
グレート・ギャツビー

グレート・ギャツビー

東宝

日生劇場(東京都)

2017/05/08 (月) ~ 2017/05/29 (月)公演終了

満足度★★

鑑賞日2017/05/14 (日) 12:00

座席GC階A列31番

宝塚で上演したものと同じ演出のようですが、もう少し、人間ドラマとして再構築してほしかったような気がします。

数年前に観た、別バージョンの作品の方が、心に残る深さがあったような気がしています。

結末を先に見せてしまうしまう演出も、「エリザベート」のような実在の人物を主人公にした舞台ではないので、違和感を感じました。結末を知らない観客の興味を殺ぐと思い、残念でした。

ネタバレBOX

どうも、演出が平板で、観る者を惹きつける魅力に欠けた舞台でした。

キャスティングは、とてもいいだけに、もったいなさを感じます。
井上さんのギャッツビーは、とてもお似合いなのに、開幕直後の、あのカッコウは、はっきり言って、あまり似合わないし…。
最初に結末がわかってしまうのも、この芝居の場合には、その後の興味を失わせて、効果半減だと思いました。

妻に裏切られる、ジョージ・ウイルソンの悲劇など、人間描写に、もっと深みがほしかったように思いました。
城塞

城塞

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2017/04/13 (木) ~ 2017/04/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/04/26 (水) 13:00

座席1階B3列2番

上村さんの演出は、作品への取り組み方が、いつも丁寧で、どこかの有名無実な演出家とは違って、作品への愛を感じるので、大好きです。

安倍公房は、若かりし日に、読んだり、観たりしましたが、どうにも難解で、それ以来、食わず嫌いで過ごしましたが、今の時代にも、似通ったストーリー展開に、目が離せず、やっと、理解できる公房に巡り合えた感覚で、興奮しました。

山西さんの、朗々とした台詞回しに、感激しました。どなたも、適役で、中身の濃い、佳作舞台を堪能させて頂きました。

ネタバレBOX

舞台セットも秀逸でした。

窓を開けると、見える東京タワーが蜃気楼のようで、戦後の高度経済成長は、日本国民の目に映った、幻影だったのだろうなと、感慨深い思いを抱きました。
紳士のための愛と殺人の手引き

紳士のための愛と殺人の手引き

東宝

日生劇場(東京都)

2017/04/08 (土) ~ 2017/04/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/04/27 (木) 13:30

座席1階XC列14番

ウエンツさんのモンティで観劇。

市村さんは、主役ではなく、こういう重要な役柄で拝見する方が、力が抜けて、いいなと、改めて感じてしまいました。
ウエンツさんの演技が、明るいので、殺人の話なのに、何故か、終始楽しんで観劇できました。
シルビアさん、宮澤さん、春風さんも、適役で、市村さんの8人の被害者役も、それぞれの役に味わいがあり、とても楽しめる舞台に仕上がっていました。

ネタバレBOX

最後が、そう来たか!と意外性があり、とても、上出来の芝居だなあと感じ入りました。

もう少し、狭い劇場なら、更に楽しめる作品ではないかと思います。

ウエンツさんも、バラエティ番組だけではなく、こうして、舞台役者として、腕を上げて下さっていることが、昔からのファンとして、とても嬉しくてなりません。
いつか、小池さんと、舞台で共演して下さる日を楽しみにしています。

伯爵家の肖像画に、篠原涼子さん似の、夫人の御顔をみつけましたが、サプライズプレゼントでしょうか?
不信 ~彼女が嘘をつく理由

不信 ~彼女が嘘をつく理由

パルコ・プロデュース

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2017/03/04 (土) ~ 2017/04/30 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/04/13 (木) 19:00

座席1階O列3番

優香さんがとても魅力的でした。

いつもながらの段田さんの好演。怪しい女の不気味な壊れ方を、戸田さんが、絶妙なさじ加減で、演じ、「真田丸で、ファンになった栗原さんの存在感も、素晴らしく、久々に大満足できる三谷作品でした。

近所の住人は、選ぶことができないから、人生においての最大の問題かもしれません。
常識人の隣人に囲まれて、一生暮らせる人は、幸せものです。

ネタバレBOX

老衰の犬が死ぬエピソードが出てきて、この日の観劇は、ちょっと堪えましたが、不条理コメディというような、珍しい作風の芝居だったので、面白く拝見することができました。

三谷さんの芝居は、たくさんの登場人物が出る芝居より、このぐらいの人数の役者で見せる芝居の方が、本質的に、成功するのではと感じました。
わが兄の弟

わが兄の弟

劇団青年座

紀伊國屋ホール(東京都)

2017/04/07 (金) ~ 2017/04/16 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/04/16 (日) 13:30

座席1階E列10番

マキノさんと青年座の相性は良く、今回も、ベストマッチングの舞台でした。

チェーホフの伝記ものとしては、井上ひさしさんの「ロマンス」が、記憶にありますが、これは、まだチェーホフが作家として、大成する前のエピソードが中心で、一幕は、やや冗長な部分もありましたが、2幕は俄然面白くなりました。

主役の横堀さんは、もちろんのこと、青年座の演技派が集結した舞台で、見応えがありました。養成所時代から拝見している、安藤さんが、益々輝く名女優に成長されて、感無量の思いでした。
ラストシーンは、ニーナ役の安藤さんと農夫役の大矢さんの好演も手伝い、涙を禁じ得ない場面でした。

是非また再演してほしい作品です。

ネタバレBOX

チェーホフの作品に登場する人物のモデルになったのだろう、実際の人達の描き方が絶妙で、マキノさんの脚本力に脱帽しました。

中でも、慈愛心に満ちたナターシャは、とても素敵な女性で、それを演じた女優さんの好演も光り、私の長い観劇人生の中でも、忘れ難い登場人物の一人になりました。
ハムレット

ハムレット

東京芸術劇場

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2017/04/07 (金) ~ 2017/04/28 (金)公演終了

満足度

鑑賞日2017/04/15 (土) 13:00

座席2階C列31番

こんなお粗末な「ハムレット」は生まれて初めて観ました。

ケアードさんの演出で、内野さん主演で…と、楽しみにしていたのに、ガッカリ。

俳優さん達の台詞覚えの良さには、感服しますが、それ以上に、何も心に残るものがありませんでした。
ハムレットと、他の登場人物の関係性も、希薄だし、一言で言えば、「血の通わないハムレット劇」。

良かったのは、村井さんぐらいかなあ。

ネタバレBOX

あまりにも引き込まれない舞台で、ほとんど寝てしまいました。

ケアードさんが、この芝居で、何を描きたかったのか、皆目見当がつかない舞台でした。
髑髏城の七人 Season花

髑髏城の七人 Season花

TBS/ヴィレッヂ/劇団☆新感線

IHIステージアラウンド東京(東京都)

2017/03/30 (木) ~ 2017/06/12 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/04/20 (木) 14:00

座席1階2列17番

10年以上も昔から、アンケートに、山本耕史さんに出演してほしいと書き続けていたので、念願叶って、感無量でした。

360度回転する劇場ということで、ガタガタ揺れたりしないかとハラハラでしたが、意外と、不快感はなく、落ち着いて舞台に集中することができました。

作品と、舞台機構がベストマッチングして、今までのどの髑髏城より、ワクワクとした公演でした。

小栗さんが、初演の時より、格段に腕を上げていて、時代劇役者として、進化されていたことに、目を見張りました。
古田さんの贋鉄斎、最高に愉快で、何度も観たくなります。
清野さんは、溌剌として、輝いていたし、青木さんの兵庫も適役で、全体的に、ベストキャストだったように思います。
まさに、新感線には打ってつけの劇場で、いつにも勝る高揚感でした。

それにしても、こんなハードな舞台を、3か月も、続けるなんて、役者さんのスタミナに敬意を表します。どうか、どなたも、お怪我なさいませんようにと、祈るばかりです。

ネタバレBOX

少しづつ、客席が動いて行くので、幕間に、出口や、トイレの位置が違うことに、戸惑いました。何か、とにかく、不思議体験。

新しい舞台劇場なのに、スタッフの、舞台を扱う技術が卓越していて、見事に、舞台機構を有効活用している様に、感動しました。
舞台面積も、内容に合わせて、狭く使ったり、広く使ったり、髑髏城の場面では、奥行きも使って、城の様子がリアルだったり、匠の技をふんだんに見せて頂きました。

空と雲とバラバラの奥さま

空と雲とバラバラの奥さま

クロムモリブデン

吉祥寺シアター(東京都)

2017/04/20 (木) ~ 2017/04/30 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/04/22 (土) 14:00

座席1階E列5番

とてもシュールな雰囲気でした。

いつものようなエンタメ性には欠けていましたが、古今東西、人間の営みの不条理さを、象徴したような内容に、心の奥底が共鳴する感覚で、舞台を観ていました。
落ち着いた雰囲気の演技で、統一感があり、クロムの舞台にしては、穏やかに拝見することができる作品世界でした。

ネタバレBOX

宮沢賢治の「雨にも負けず…」のような、詩のような台詞に、受けました。

いつの間にか、我が家の周りにも、イオンが増えていて…。

政界のスキャンダルがあったばかりなので、重婚の話も、グッドタイミングでした。
怒りの旅団-アングリー・ブリゲード-

怒りの旅団-アングリー・ブリゲード-

ワンツーワークス

赤坂RED/THEATER(東京都)

2017/03/16 (木) ~ 2017/03/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/03/25 (土) 19:00

座席1階E列4番

今の時代だからこそ観るべき芝居で、いつもの劇団カラーを払拭した、意欲的な上演でした。

以前にも、拝見した、林田さんは、この劇団にしては、逸材の華のある俳優さんで、脚立のあしらいひとつ取っても、役者としての仕草に目が離せませんでした。

競泳水着などの小劇場で活躍されていた岡田あがささんの初参加も、新風を感じさせて、成功していました。

長丁場の上演時間でしたが、前半の警察チームのシーンは、もう少し、整理できたのではと思います。
古城さんの翻訳で、「メリケン粉」の表現は、語彙からしても、少し、違和感を感じました。
オリジナル作品なら、絶対目にしないような、シーンがあり、ちょっと、ドギマギもしましたが、うまく処理されていたように、思います。

自分の、連合赤軍事件の記憶をダブらせて、最近の世界事情も、思い、複雑な心境で、舞台を注視した、2時間40分でした。

アガサの人間として、一般の女性としての、心理描写に、胸が熱くなる瞬間もありました。
大変高尚な問題作だったと感じます。

ネタバレBOX

ミスコンの優勝者が、「メリケン粉」を掛けられたと、話す台詞がありましたが、これは日本ならではの単語なのではと思い、イギリスが舞台の芝居で使われるのには、違和感を感じました。日本が、アメリカ(メリケン)から、輸入した小麦粉に付けた呼称なので、イギリスで、こう呼ぶのは、おかしい気がします。

アフタートークで、戯曲では、4人のみのキャストなのに、古城さんの演出工夫で、奥村さんと関谷さんの御二人が、登場人物に加わったことを知りましたが、それは、とても成功していたように、感じます。
umami

umami

サスペンデッズ

【閉館】SPACE 梟門(東京都)

2017/03/18 (土) ~ 2017/03/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/03/22 (水) 14:00

前回に引き続き、劇団員3人だけの公演。

とても、早船さんらしい作品で、毒もなく、心から楽しめる舞台でした。

随所に、人情を感じられて、清涼感のある作品でした。

女性がいないのは、ちょっと寂しい気もしますが、3人のチームワークが抜群で、この劇団の十年来のフアンとして、とても清々しい居心地の良い、観劇タイムとなりました。

ネタバレBOX

うまみ成分を発見した、池田菊苗の評伝劇を、劇中に、うまく織り込んで、舞台の見せ方が、最高でした。

早替りで、衣装や鬘の付け替えも、観客の目の前で、行う手法は、ある意味、コントの装いも呈していて、物語の進行に、良い味付けをしていました。
これは、ある意味、早船さんの作り出した、演劇のうまみなのかもしれません。
エッグ・スタンド

エッグ・スタンド

Studio Life(スタジオライフ)

シアターサンモール(東京都)

2017/03/01 (水) ~ 2017/03/20 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/03/11 (土) 13:00

座席1階L列7番

Rougeチームを観劇。いつもながら、山本さんの少年役のリアルさに、驚嘆します。

物腰からして、どう見ても、少年そのもの!

久しぶりに拝見した笠原さんも、素敵な演技をされていて、改めて、この劇団の底力を見た思いがします。

戦争ものというより、人間の不条理さを描いた、悲劇のような気がしました。

名古屋の女子大生の事件や、少年Aの事件や、いろいろな少年犯罪の闇を想起したりしました。

悲惨なストーリーながら、どこかに、人間愛を感じる作品でした。

ネタバレBOX

ルイーズが働く、酒場での、ダンスシーンがなかなかでした。

ラウルとルイーズとマルシャンの3人が、屋根に登るシーン、背景などないのに、そこから眺める景色を彷彿とさせる、素敵な場面でした。

ラストでも、この屋根が出て来るので、最初に3人で屋根に登ったシーンの僅かな幸せの頃を想起して、やるせない思いにさせられました。

久保さんのルィ―ズも、優しさに溢れて、素敵な女性でした。
ミュージカル「ビッグ・フィッシュ」

ミュージカル「ビッグ・フィッシュ」

東宝

日生劇場(東京都)

2017/02/07 (火) ~ 2017/02/28 (火)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/02/25 (土)

座席GC階B列1番

映画も素晴らしかったそうですが、私は未見で、ストーリーも知らずに、拝見しました。

川平さんの代表作になりそうな素敵な舞台。まさに、当たり役を手に入れられたと感じます。浦井さんの息子役も、好演でした。

ファンタジーのようでいて、家族の在り方を提示している、含蓄のある作品でした。

久しぶりに、心がほっこり温かくなるステージで、カーテンコールでの、客席の拍手が、それを証明しているようでした。

皆さん、ベストキャストだったので、また定期的に、再演していただけたらなあと思います。
ただ、子供にも見せたいようなファミリーミュージカルなので、できれば、もう少し、割安な料金設定を希望します。

ネタバレBOX

川平さんが、初老の父親から、思い出話で、瞬時に、青年時代に、変身する様が、御見事でした。一瞬で、若さを表現できる演技力に脱帽しました。

父親が亡くなった後の、命が繋がる様の描写が胸に熱く迫ります。
白井さんの愛情深い演出に、嬉しさを禁じ得ませんでした。

舞台美術も素晴らしく、1幕ラストの、若かりし、父母の出会いのシーンの水仙の花の美しさには、目を奪われました。ジョセフィーン役の赤根さん、ジェニー役の鈴木蘭々さん、母親役の霧矢さんも、それぞれ、適役で、物語の深みを増していました。
息子の子供時代は、りょうたさんの日でしたが、できれば、鈴木福君がどんな風に演じるのかも観てみたかった気がします。
陥没

陥没

Bunkamura/キューブ

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2017/02/04 (土) ~ 2017/02/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/02/15 (水)

座席1階M列14番

前2作に比べると、ケラさん流毒気がほとんどない、一般的な、ファンタジーコメディの印象でした。

これは、やはり、ミュージカル界の貴公子を主人公に据えたから、上品な仕上がりを狙ってのことでしょうか?

とても、面白く拝見しましたが、ケラファンとしては、ちょっぴり期待外れだったかもしれません。

井上さんが、役として演じている時は、歩き方とか工夫して、演じ切っているのに、台詞がない時に、傍観者として、舞台上に入る時、ついついいつもの癖で、立ち姿がカッコよすぎて、個人的に受けました。
声のみの出演の御二人、早替りで、別の役を演じる皆さんの、名優ぶりを堪能させて頂きました。

ネタバレBOX

シェークスピアの「真夏の夜の夢」のオマージュ的な、大人のファンタジーと言った趣でした。
丸山窓子役の、緒川たまきさん、儲け役過ぎて、存在感抜群の活躍でした。

「はるが来た」で、注目した、瀬戸さん、難解な役を愛嬌を持って、魅力的に演じられていました。
好舞台には、必須の、山崎さん、今回も、大活躍。
生瀬さん、高橋さん、達の乞食役などの早替り、舞台の趣向として最高でした。

久しぶりに、客席に笑いの絶えない舞台で、ケラさんのこういう作品も、たまにはいいなあと思いました。
ノートルダムの鐘【1月6日~8日公演中止】

ノートルダムの鐘【1月6日~8日公演中止】

劇団四季

四季劇場 [秋](東京都)

2016/12/11 (日) ~ 2017/06/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/01/21 (土)

座席1階18列7番

海宝さんの日に当たって、ラッキーでした。

昔、フランスミュージカルの来日公演を観ましたが、それよりも、深く考えさせられる舞台構成になっていました。
人間の業や性が顕著に描かれた舞台で、観ていて、心に突き刺さる瞬間が何度もありました。

ネタバレBOX

舞台セットが、シンプルで、描かれる世界観が鮮明になり、効果的でした。芝さんのフロローは、実に人間的で、世界の悲劇の根本を体現されて、それだけに、見守るのが辛い舞台でした。
海宝さんのカジモトは、とても哀切でした。たぶん、四季出身の俳優さんより、深い演技をされているのではと想像します。

アンサンブルが、鐘つき堂の、石を演じるのは、とても、刺激的で、素晴らしい演出だと感じました。
お気に召すまま

お気に召すまま

東宝

シアタークリエ(東京都)

2017/01/04 (水) ~ 2017/02/04 (土)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/01/26 (木)

座席1階8列16番

先日観た時より、席が近かったせいか、今日の方が楽しめました。
ただ、いつも思うのですが、シェークスピアを現代に置き換える有益性に、疑問を感じてなりません。
兄弟の確執や、険悪な親同士とは異なり、いとこ同士は仲が良いなど、現代でもよくある状況。
シェークスピアの芝居を観る度に、いつの世も、人間の営みは不変だなあと感じるのには、むしろ、シェークスピアの書いた時代の世界を上演する方が、芝居を身近に感じることができるのではと、思うのです。
この舞台でも、時代と場所の設定を変えた意図が、理解できませんでした。
マイコさんのチャーミングな演技が大変魅力的な舞台でした。

ネタバレBOX


宝塚時代からの柚希ファンの方にとっては、ロザリンドの男装シーンが長いので、打ってつけの演目だったように思いました。
柚希さんも、愛くるしかったけれど、マイコさんが、実に魅力的で、口跡も良く、素敵な女優さんに成長されたなあと目を見張りました。
設定を、1967年のサンフランシスコに変えているそうで、ヒッピーとかが出てきますが、どうも、台詞は、原作のままでは?と思うところも随所にあり、保育園児を羊に見立てたり、あまり、設定変更の意味もわからないし、全体的に中途半端な印象でした。

小野さんが、二役の人間性を、表情だけで、演じ分けられたのが、御見事!
横田さんの、ライオンに襲われた時の、再現一人芝居が愉快でした。
伊礼さんの歌声にも、癒されました。
世界

世界

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2017/01/14 (土) ~ 2017/01/28 (土)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/01/19 (木)

座席中2階ML列11番

赤堀作品、本当に大好き!

どうして、こんなに、人間を描写する力があるのかと、いつも感心するばかり。

全ての登場人物が、丁寧に描かれ、演じられているので、誰もが、本当に、日常に存在する人物として、舞台上で生きていて、演劇ファンには、たまらない世界観でした。
きっと、観客の誰もが、自分や、周囲の人間と重ね合わせて、共感してこの「世界」を堪能できる舞台だと思います。
演劇を愛する全ての方に、深く味わってほしい、秀逸な舞台作品でした。

欲を言えば、最後のライトを落とすのを、後、3秒遅くしてほしかった。
風間さんの名演の余韻をもう少し、感じて、舞台を観終わりたいと思いました。

ネタバレBOX

63歳で、身勝手な夫に嫌気がさし、離婚を決意する妻に、心底、身につまされて、観てしまいました。
自己中夫に、「嫌い!本当に、あなた、大嫌い!」と思わず、心情を吐露する妻の気持ち、痛いほどわかります。
赤堀作品には、いつもパターンがあり、掃除機をかける冒頭シーンや、換気扇の下での気兼ねした喫煙、カラオケを歌いながら、日頃の憂さを細やかに、捨て去るシーンなど、誰もが、日常経験するシチュエーションを描くことで、登場人物の生きる世界が、自分の現実の世界に通じる実感を感じさせる手腕が素晴らしい!!
どこにでもいそうな、チャラい工員の早乙女さん、デリヘル嬢に、本気で恋心を抱く、気のいいバイト青年の和田さん、いろいろ思いを封印して生きている妻の青木さんなど、脇役も、それぞれ、的確な脚本を見事に、体現されていました。
赤堀さんの描く人物は、説明台詞などはほとんどないのに、その人物の考え方や習性を、物の見事に、舞台上に投影されるので、本当に、大好きです。

自分が好きな女性が、友人と恋愛関係に発展したことを知って、動揺する、和田さん演じる青年が、たまたま鋏を手にしていたことで、二人に、被害妄想で恐れられるシーン、挑発されて、本当に刺すかもしれないと、観客は一瞬、緊迫しますが、そのあとのシーンで、田舎の母親との優しい声の受け答えをする姿を見て、あー、この青年は、絶対に、他人に危害を与えるような行動はしないと、納得させられます。
口もききたくないと夫を疎ましく思っていた妻が、別れる決心をした後で、ふっと夫に見せる優しさ…。息子は、父親が平謝りすれば、母親の決心も鈍るだろうと、たかを括っていますが、そうではなく、妻の見せる優しさは、長く家族として暮らした夫への労りでしかなく、彼女の決意はぶれることはない筈です。
たった数時間、この「世界」の登場人物を、観ただけで、彼らの内心の気持ちが手に取るようにわかるのです。
こういう、巧みな作家はそうはいないと、赤堀作品を観る度に思います。
フランケンシュタイン

フランケンシュタイン

東宝

日生劇場(東京都)

2017/01/08 (日) ~ 2017/01/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/01/17 (火)

座席2階H列12番

ジキルとハイド」にも繋がるような切ないストーリーでした。
中川、小西ペアで、観劇。
主要な役を、一人二役で演じて、演じ手の手腕を堪能できる仕掛けがありました。
人間の愚かさと、切なさが、終盤に向けて、強く胸に迫る舞台でした。
曲調が、難解なメロディの曲が多かったのはやや残念。もう少し、耳馴染みの良い曲もあればと感じました。

ネタバレBOX

清楚な役柄の、音月さんと、濱田さんが、二幕では一転、あばずれ女を好演され、御二人の力量に感服しました。
壮麻さんのイゴールなんて、配役を見るまで、気づきませんでした。
正反対の役柄を演じることで、役者さんも、張り合いがある作品ではと感じます。
小西さんの怪物には、悲哀が色濃く、最後のシーンの表情には、観終わった後も、余韻を感じます。
「ジキルとハイド」より以上に、人間の業が見事に表出されている作品の印象がありました。
プリシラ

プリシラ

東宝

日生劇場(東京都)

2016/12/08 (木) ~ 2016/12/29 (木)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/12/22 (木)

座席2階G列41番

衣裳が、とても素敵でした。

一幕は、客いじりが、2階席からは見えず、気分は蚊帳の外でしたが、二幕は、ストーリー展開も進み、陣内さんの好演が光り、楽しめました。

たまたま、プリシラナイトの日に当たって、最後は、客席も一丸となって、舞台をエンジョイできて、日頃の憂さが晴れて、楽しい観劇タイムとなりました。

ネタバレBOX

子役の陣君の着ぐるみが、とにかく可愛くて、最高でした。

パーナデットと、ボブの男性同士の恋愛成就のシーンに、ちょっとジーンとしてしまいました。

父親がドラァグクイーンだろうと、ちゃんと、父親の生き様を理解して好意的に迎える、子供の姿勢にも感銘を覚えます。
アダム役の古屋さんも、なかなかの熱演で、この先楽しみな役者さんだと感じました。
砂漠のクリスマス

砂漠のクリスマス

劇団青年座

青年座劇場(東京都)

2016/12/16 (金) ~ 2016/12/24 (土)公演終了

満足度★★★

翻訳劇選択の難しさを感じる
アメリカは、日本にとって、卑近な国ですが、アメリカの戯曲は、ともすると、ほとんど縁のない国の戯曲よりも、共感性の乏しさを感じる場合があります。

この作品も、私にとっては、縁遠く感じられた芝居でした。

そもそも、日本の一般家庭においては、政治の話題で、家族が論争するようなシチュエーションがほとんどないという現実。そういう国柄の違いのせいで、この戯曲には、普遍的テーマをみつけにくいと感じました。

それがあってか、役者も、役の人生感を、体に落とし切れていないようなちぐはぐさを感じてしまいました。

それに、この作者の、技量的にも、まだ発展途上の雰囲気を感じます。
作者の頭で書いたセリフが多く、その登場人物の肉薄した言葉として、観客に伝わらないもどかしさを随所に感じました。

一幕が、冗長に長く、2幕は、怒涛の展開を急ぎ、芝居構成の配分にも、まだ熟練さが不足して、中だるみを感じました。

たぶん、キャストも、どこか腑に落ちていないのではと感じました。
青年座のベテランの方々をもってしても、この戯曲を演じ切るのは、至難の業という印象でした。

ネタバレBOX

2幕は、サスペンス劇としてなら、意外な結末への導入がうまく行っていると感じますが、よくよく考えると、人物設定や、人物描写に、現実味が乏しい印象を受けました。

特に、ポリーと、シルダの姉妹関係が、台詞として説明されるのみで、生身の人間の肉声として、観客に伝わりません。

また後半で、作家である娘のブルックが、自分は母親のポリーとそっくりだと自白する台詞がありますが、これも、そういう母子の相似を芝居によって見せる部分は皆無です。

だから、描かれているテーマは重いのに、どうも、この芝居のどこにも共感性が見いだせずにいました。

それに、どうしてこうも、アメリカの戯曲って、登場人物が、平気でマリファナを吸うのかしら?
政治の家庭内の浸食率とマリフアナ常用の日常が、どうにも、この芝居を、自らの人生に重ね合わせて観られない、ネックになっているように思いました。

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