天の敵
イキウメ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2017/05/16 (火) ~ 2017/06/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/05/24 (水) 14:00
座席1階H列11番
このストーリーの舞台は、以前にも観た記憶がありますが、大幅に改変され、たぶん、作者の訴えたいテーマも、変質したように感じました。
最近の、世界情勢や、日本の政治の変容などを、体験した前川さんの、作家としての、変容が垣間見えた気がする上質な演劇作品でした。
初舞台から拝見している、大窪さんが、小技の利く、良い演技者に成長されていて、この劇団を、10年以上観ているファンとして、嬉しい発見がありました。
浜田さんの役者としてのオーラにも、更に磨きが掛かっていました。
一度、足を踏み入れてしまった、闇の世界から足を抜くことの困難さを痛感させられる、舞台です。
グレート・ギャツビー
東宝
日生劇場(東京都)
2017/05/08 (月) ~ 2017/05/29 (月)公演終了
満足度★★
鑑賞日2017/05/14 (日) 12:00
座席GC階A列31番
宝塚で上演したものと同じ演出のようですが、もう少し、人間ドラマとして再構築してほしかったような気がします。
数年前に観た、別バージョンの作品の方が、心に残る深さがあったような気がしています。
結末を先に見せてしまうしまう演出も、「エリザベート」のような実在の人物を主人公にした舞台ではないので、違和感を感じました。結末を知らない観客の興味を殺ぐと思い、残念でした。
城塞
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2017/04/13 (木) ~ 2017/04/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/04/26 (水) 13:00
座席1階B3列2番
上村さんの演出は、作品への取り組み方が、いつも丁寧で、どこかの有名無実な演出家とは違って、作品への愛を感じるので、大好きです。
安倍公房は、若かりし日に、読んだり、観たりしましたが、どうにも難解で、それ以来、食わず嫌いで過ごしましたが、今の時代にも、似通ったストーリー展開に、目が離せず、やっと、理解できる公房に巡り合えた感覚で、興奮しました。
山西さんの、朗々とした台詞回しに、感激しました。どなたも、適役で、中身の濃い、佳作舞台を堪能させて頂きました。
紳士のための愛と殺人の手引き
東宝
日生劇場(東京都)
2017/04/08 (土) ~ 2017/04/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/04/27 (木) 13:30
座席1階XC列14番
ウエンツさんのモンティで観劇。
市村さんは、主役ではなく、こういう重要な役柄で拝見する方が、力が抜けて、いいなと、改めて感じてしまいました。
ウエンツさんの演技が、明るいので、殺人の話なのに、何故か、終始楽しんで観劇できました。
シルビアさん、宮澤さん、春風さんも、適役で、市村さんの8人の被害者役も、それぞれの役に味わいがあり、とても楽しめる舞台に仕上がっていました。
不信 ~彼女が嘘をつく理由
パルコ・プロデュース
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2017/03/04 (土) ~ 2017/04/30 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/04/13 (木) 19:00
座席1階O列3番
優香さんがとても魅力的でした。
いつもながらの段田さんの好演。怪しい女の不気味な壊れ方を、戸田さんが、絶妙なさじ加減で、演じ、「真田丸で、ファンになった栗原さんの存在感も、素晴らしく、久々に大満足できる三谷作品でした。
近所の住人は、選ぶことができないから、人生においての最大の問題かもしれません。
常識人の隣人に囲まれて、一生暮らせる人は、幸せものです。
わが兄の弟
劇団青年座
紀伊國屋ホール(東京都)
2017/04/07 (金) ~ 2017/04/16 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/04/16 (日) 13:30
座席1階E列10番
マキノさんと青年座の相性は良く、今回も、ベストマッチングの舞台でした。
チェーホフの伝記ものとしては、井上ひさしさんの「ロマンス」が、記憶にありますが、これは、まだチェーホフが作家として、大成する前のエピソードが中心で、一幕は、やや冗長な部分もありましたが、2幕は俄然面白くなりました。
主役の横堀さんは、もちろんのこと、青年座の演技派が集結した舞台で、見応えがありました。養成所時代から拝見している、安藤さんが、益々輝く名女優に成長されて、感無量の思いでした。
ラストシーンは、ニーナ役の安藤さんと農夫役の大矢さんの好演も手伝い、涙を禁じ得ない場面でした。
是非また再演してほしい作品です。
ハムレット
東京芸術劇場
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2017/04/07 (金) ~ 2017/04/28 (金)公演終了
満足度★
鑑賞日2017/04/15 (土) 13:00
座席2階C列31番
こんなお粗末な「ハムレット」は生まれて初めて観ました。
ケアードさんの演出で、内野さん主演で…と、楽しみにしていたのに、ガッカリ。
俳優さん達の台詞覚えの良さには、感服しますが、それ以上に、何も心に残るものがありませんでした。
ハムレットと、他の登場人物の関係性も、希薄だし、一言で言えば、「血の通わないハムレット劇」。
良かったのは、村井さんぐらいかなあ。
髑髏城の七人 Season花
TBS/ヴィレッヂ/劇団☆新感線
IHIステージアラウンド東京(東京都)
2017/03/30 (木) ~ 2017/06/12 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/04/20 (木) 14:00
座席1階2列17番
10年以上も昔から、アンケートに、山本耕史さんに出演してほしいと書き続けていたので、念願叶って、感無量でした。
360度回転する劇場ということで、ガタガタ揺れたりしないかとハラハラでしたが、意外と、不快感はなく、落ち着いて舞台に集中することができました。
作品と、舞台機構がベストマッチングして、今までのどの髑髏城より、ワクワクとした公演でした。
小栗さんが、初演の時より、格段に腕を上げていて、時代劇役者として、進化されていたことに、目を見張りました。
古田さんの贋鉄斎、最高に愉快で、何度も観たくなります。
清野さんは、溌剌として、輝いていたし、青木さんの兵庫も適役で、全体的に、ベストキャストだったように思います。
まさに、新感線には打ってつけの劇場で、いつにも勝る高揚感でした。
それにしても、こんなハードな舞台を、3か月も、続けるなんて、役者さんのスタミナに敬意を表します。どうか、どなたも、お怪我なさいませんようにと、祈るばかりです。
空と雲とバラバラの奥さま
クロムモリブデン
吉祥寺シアター(東京都)
2017/04/20 (木) ~ 2017/04/30 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/04/22 (土) 14:00
座席1階E列5番
とてもシュールな雰囲気でした。
いつものようなエンタメ性には欠けていましたが、古今東西、人間の営みの不条理さを、象徴したような内容に、心の奥底が共鳴する感覚で、舞台を観ていました。
落ち着いた雰囲気の演技で、統一感があり、クロムの舞台にしては、穏やかに拝見することができる作品世界でした。
怒りの旅団-アングリー・ブリゲード-
ワンツーワークス
赤坂RED/THEATER(東京都)
2017/03/16 (木) ~ 2017/03/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/03/25 (土) 19:00
座席1階E列4番
今の時代だからこそ観るべき芝居で、いつもの劇団カラーを払拭した、意欲的な上演でした。
以前にも、拝見した、林田さんは、この劇団にしては、逸材の華のある俳優さんで、脚立のあしらいひとつ取っても、役者としての仕草に目が離せませんでした。
競泳水着などの小劇場で活躍されていた岡田あがささんの初参加も、新風を感じさせて、成功していました。
長丁場の上演時間でしたが、前半の警察チームのシーンは、もう少し、整理できたのではと思います。
古城さんの翻訳で、「メリケン粉」の表現は、語彙からしても、少し、違和感を感じました。
オリジナル作品なら、絶対目にしないような、シーンがあり、ちょっと、ドギマギもしましたが、うまく処理されていたように、思います。
自分の、連合赤軍事件の記憶をダブらせて、最近の世界事情も、思い、複雑な心境で、舞台を注視した、2時間40分でした。
アガサの人間として、一般の女性としての、心理描写に、胸が熱くなる瞬間もありました。
大変高尚な問題作だったと感じます。
umami
サスペンデッズ
【閉館】SPACE 梟門(東京都)
2017/03/18 (土) ~ 2017/03/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/03/22 (水) 14:00
前回に引き続き、劇団員3人だけの公演。
とても、早船さんらしい作品で、毒もなく、心から楽しめる舞台でした。
随所に、人情を感じられて、清涼感のある作品でした。
女性がいないのは、ちょっと寂しい気もしますが、3人のチームワークが抜群で、この劇団の十年来のフアンとして、とても清々しい居心地の良い、観劇タイムとなりました。
エッグ・スタンド
Studio Life(スタジオライフ)
シアターサンモール(東京都)
2017/03/01 (水) ~ 2017/03/20 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/03/11 (土) 13:00
座席1階L列7番
Rougeチームを観劇。いつもながら、山本さんの少年役のリアルさに、驚嘆します。
物腰からして、どう見ても、少年そのもの!
久しぶりに拝見した笠原さんも、素敵な演技をされていて、改めて、この劇団の底力を見た思いがします。
戦争ものというより、人間の不条理さを描いた、悲劇のような気がしました。
名古屋の女子大生の事件や、少年Aの事件や、いろいろな少年犯罪の闇を想起したりしました。
悲惨なストーリーながら、どこかに、人間愛を感じる作品でした。
ミュージカル「ビッグ・フィッシュ」
東宝
日生劇場(東京都)
2017/02/07 (火) ~ 2017/02/28 (火)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/02/25 (土)
座席GC階B列1番
映画も素晴らしかったそうですが、私は未見で、ストーリーも知らずに、拝見しました。
川平さんの代表作になりそうな素敵な舞台。まさに、当たり役を手に入れられたと感じます。浦井さんの息子役も、好演でした。
ファンタジーのようでいて、家族の在り方を提示している、含蓄のある作品でした。
久しぶりに、心がほっこり温かくなるステージで、カーテンコールでの、客席の拍手が、それを証明しているようでした。
皆さん、ベストキャストだったので、また定期的に、再演していただけたらなあと思います。
ただ、子供にも見せたいようなファミリーミュージカルなので、できれば、もう少し、割安な料金設定を希望します。
陥没
Bunkamura/キューブ
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2017/02/04 (土) ~ 2017/02/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/02/15 (水)
座席1階M列14番
前2作に比べると、ケラさん流毒気がほとんどない、一般的な、ファンタジーコメディの印象でした。
これは、やはり、ミュージカル界の貴公子を主人公に据えたから、上品な仕上がりを狙ってのことでしょうか?
とても、面白く拝見しましたが、ケラファンとしては、ちょっぴり期待外れだったかもしれません。
井上さんが、役として演じている時は、歩き方とか工夫して、演じ切っているのに、台詞がない時に、傍観者として、舞台上に入る時、ついついいつもの癖で、立ち姿がカッコよすぎて、個人的に受けました。
声のみの出演の御二人、早替りで、別の役を演じる皆さんの、名優ぶりを堪能させて頂きました。
ノートルダムの鐘【1月6日~8日公演中止】
劇団四季
四季劇場 [秋](東京都)
2016/12/11 (日) ~ 2017/06/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/01/21 (土)
座席1階18列7番
海宝さんの日に当たって、ラッキーでした。
昔、フランスミュージカルの来日公演を観ましたが、それよりも、深く考えさせられる舞台構成になっていました。
人間の業や性が顕著に描かれた舞台で、観ていて、心に突き刺さる瞬間が何度もありました。
お気に召すまま
東宝
シアタークリエ(東京都)
2017/01/04 (水) ~ 2017/02/04 (土)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/01/26 (木)
座席1階8列16番
先日観た時より、席が近かったせいか、今日の方が楽しめました。
ただ、いつも思うのですが、シェークスピアを現代に置き換える有益性に、疑問を感じてなりません。
兄弟の確執や、険悪な親同士とは異なり、いとこ同士は仲が良いなど、現代でもよくある状況。
シェークスピアの芝居を観る度に、いつの世も、人間の営みは不変だなあと感じるのには、むしろ、シェークスピアの書いた時代の世界を上演する方が、芝居を身近に感じることができるのではと、思うのです。
この舞台でも、時代と場所の設定を変えた意図が、理解できませんでした。
マイコさんのチャーミングな演技が大変魅力的な舞台でした。
世界
Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2017/01/14 (土) ~ 2017/01/28 (土)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/01/19 (木)
座席中2階ML列11番
赤堀作品、本当に大好き!
どうして、こんなに、人間を描写する力があるのかと、いつも感心するばかり。
全ての登場人物が、丁寧に描かれ、演じられているので、誰もが、本当に、日常に存在する人物として、舞台上で生きていて、演劇ファンには、たまらない世界観でした。
きっと、観客の誰もが、自分や、周囲の人間と重ね合わせて、共感してこの「世界」を堪能できる舞台だと思います。
演劇を愛する全ての方に、深く味わってほしい、秀逸な舞台作品でした。
欲を言えば、最後のライトを落とすのを、後、3秒遅くしてほしかった。
風間さんの名演の余韻をもう少し、感じて、舞台を観終わりたいと思いました。
フランケンシュタイン
東宝
日生劇場(東京都)
2017/01/08 (日) ~ 2017/01/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/01/17 (火)
座席2階H列12番
ジキルとハイド」にも繋がるような切ないストーリーでした。
中川、小西ペアで、観劇。
主要な役を、一人二役で演じて、演じ手の手腕を堪能できる仕掛けがありました。
人間の愚かさと、切なさが、終盤に向けて、強く胸に迫る舞台でした。
曲調が、難解なメロディの曲が多かったのはやや残念。もう少し、耳馴染みの良い曲もあればと感じました。
プリシラ
東宝
日生劇場(東京都)
2016/12/08 (木) ~ 2016/12/29 (木)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/12/22 (木)
座席2階G列41番
衣裳が、とても素敵でした。
一幕は、客いじりが、2階席からは見えず、気分は蚊帳の外でしたが、二幕は、ストーリー展開も進み、陣内さんの好演が光り、楽しめました。
たまたま、プリシラナイトの日に当たって、最後は、客席も一丸となって、舞台をエンジョイできて、日頃の憂さが晴れて、楽しい観劇タイムとなりました。
砂漠のクリスマス
劇団青年座
青年座劇場(東京都)
2016/12/16 (金) ~ 2016/12/24 (土)公演終了
満足度★★★
翻訳劇選択の難しさを感じる
アメリカは、日本にとって、卑近な国ですが、アメリカの戯曲は、ともすると、ほとんど縁のない国の戯曲よりも、共感性の乏しさを感じる場合があります。
この作品も、私にとっては、縁遠く感じられた芝居でした。
そもそも、日本の一般家庭においては、政治の話題で、家族が論争するようなシチュエーションがほとんどないという現実。そういう国柄の違いのせいで、この戯曲には、普遍的テーマをみつけにくいと感じました。
それがあってか、役者も、役の人生感を、体に落とし切れていないようなちぐはぐさを感じてしまいました。
それに、この作者の、技量的にも、まだ発展途上の雰囲気を感じます。
作者の頭で書いたセリフが多く、その登場人物の肉薄した言葉として、観客に伝わらないもどかしさを随所に感じました。
一幕が、冗長に長く、2幕は、怒涛の展開を急ぎ、芝居構成の配分にも、まだ熟練さが不足して、中だるみを感じました。
たぶん、キャストも、どこか腑に落ちていないのではと感じました。
青年座のベテランの方々をもってしても、この戯曲を演じ切るのは、至難の業という印象でした。