砂漠のクリスマス 公演情報 劇団青年座「砂漠のクリスマス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    翻訳劇選択の難しさを感じる
    アメリカは、日本にとって、卑近な国ですが、アメリカの戯曲は、ともすると、ほとんど縁のない国の戯曲よりも、共感性の乏しさを感じる場合があります。

    この作品も、私にとっては、縁遠く感じられた芝居でした。

    そもそも、日本の一般家庭においては、政治の話題で、家族が論争するようなシチュエーションがほとんどないという現実。そういう国柄の違いのせいで、この戯曲には、普遍的テーマをみつけにくいと感じました。

    それがあってか、役者も、役の人生感を、体に落とし切れていないようなちぐはぐさを感じてしまいました。

    それに、この作者の、技量的にも、まだ発展途上の雰囲気を感じます。
    作者の頭で書いたセリフが多く、その登場人物の肉薄した言葉として、観客に伝わらないもどかしさを随所に感じました。

    一幕が、冗長に長く、2幕は、怒涛の展開を急ぎ、芝居構成の配分にも、まだ熟練さが不足して、中だるみを感じました。

    たぶん、キャストも、どこか腑に落ちていないのではと感じました。
    青年座のベテランの方々をもってしても、この戯曲を演じ切るのは、至難の業という印象でした。

    ネタバレBOX

    2幕は、サスペンス劇としてなら、意外な結末への導入がうまく行っていると感じますが、よくよく考えると、人物設定や、人物描写に、現実味が乏しい印象を受けました。

    特に、ポリーと、シルダの姉妹関係が、台詞として説明されるのみで、生身の人間の肉声として、観客に伝わりません。

    また後半で、作家である娘のブルックが、自分は母親のポリーとそっくりだと自白する台詞がありますが、これも、そういう母子の相似を芝居によって見せる部分は皆無です。

    だから、描かれているテーマは重いのに、どうも、この芝居のどこにも共感性が見いだせずにいました。

    それに、どうしてこうも、アメリカの戯曲って、登場人物が、平気でマリファナを吸うのかしら?
    政治の家庭内の浸食率とマリフアナ常用の日常が、どうにも、この芝居を、自らの人生に重ね合わせて観られない、ネックになっているように思いました。

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    2016/12/20 00:45

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