長谷トオルの観てきた!クチコミ一覧

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メメント・モリ

メメント・モリ

ウンプテンプ・カンパニー

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2013/05/16 (木) ~ 2013/05/27 (月)公演終了

満足度★★★★★

冒頭の歌から鳥肌が
あの傑作「ベルナルダ・アルバの家」と、ほぼ同じキャストだったと思いますが、今回は、ガラリと違うテイスト(方法論)とアイデア豊富な舞台の使い方に驚きました。
若い俳優がとても生き生きとして、新井純さんや中川安奈さんの安定した演技とはまた違った、勢いを感じました。演出の長谷氏は、世界に奥行きを持たせる作りがとても上手いなと敬服した次第いです。南米文学特有の不条理感を歌で綴るアイデアは秀逸で、俳優も全身全霊で躍動していたのが実にラディカルで有無もいわせずにただ魅入って、いや聞き入っていました。場面展開のうまさで物語の展開にぐいぐいと引き込まれていきました。生半可の俳優には、とてもじゃないが今回のような劇世界を出入りするような演技は出来ないのだろうと思いました。

ネタバレBOX

シエルバ・マリア役の森勢ちひろさんの、最後の死の蒲萄をを食べる下りでは胸を掻きむしられました。そして眞藤ヒロシさん演じた神父カエターノの愛に落ちていく様は迫力があり、まさに悪霊にでも取り憑かれたような狂気じみた表情は哀れでした。底流に流れている文化の違いがもたらす悲劇として観れば、とても今日的でもある気がしました。200年前との違いは神の不在と言う事なのでしょうか。
 新譚サロメ   (改訂版) 

 新譚サロメ   (改訂版) 

ウンプテンプ・カンパニー

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2012/10/29 (月) ~ 2012/11/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

胸を掻きむしられた。
この芝居は死んだ者への弔いの話なのだと感じた。それは島崎藤村の歌が胸に響いたからだ。また生演奏は実に効果的だった。複雑に展開する場面は物語を越え一人一人の人の在り方を魅せてくれた気がする。この芝居は安徳天皇の落人伝説と歌舞伎の俊寬の流刑地のあの島を想定しているのだろうか?そしてウズの花がウズメが脱ぎ捨てた烏帽子とは驚いた、アメノウズメ神話と結びつく。悠久の神話を巧みに取り入れ、今回の和風サロメは知的好奇心と、切ない情感とで頭が混乱して、胸まで掻きむしられた。

「ベルナルダ・アルバの家」

「ベルナルダ・アルバの家」

ウンプテンプ・カンパニー

シアターX(東京都)

2011/09/01 (木) ~ 2011/09/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

これからも応援したい気持ちです。
前回に増してパーワーUPした感がありました。

久々に観る本格的な芝居でした。観ていて長さを感じさせない演技が実に見事でした。

新井純さんのベルナルダ役は、怖さと孤独感が出ていて、引き込まれます。ポンシア役の坪井美香さんとのやりとりの丁々発止はベテランの味ですね。

生演奏は効果音として上手く芝居に組み込まれていて、芝居をくっきりと浮かび上がらせて、実に贅沢な演奏ですね。

演技と音楽の緊張間が絶妙で良かった。

細かく計算されて作ったのでしょう。
本物の鳥の鳴き声も芝居に上手く嵌っていてびっくりしました。本当に良い芝居でした。

これからも是非頑張って貰いたい。

牡丹江非恋歌

牡丹江非恋歌

ウンプテンプ・カンパニー

d-倉庫(東京都)

2010/11/11 (木) ~ 2010/11/16 (火)公演終了

満足度★★★★★

とても良かった。
満州建国当時を時代背景にした演劇。
不思議な世界感が全体を覆い、切なくてとても味わい深い作品でした。
正直、感動しました。
全編を流れるピアノ演奏もすばらしく、音楽が芝居と溶けあい何度も胸の奥が熱くなりました。
命と心、そして倖せとは何かを考えずにはいられなくなりました。

ウンプテンプ、カンパニーの芝居は毎回、描く世界に驚かされます。

おすすめです。是非、ご覧あれ。

血の婚礼

血の婚礼

ウンプテンプ・カンパニー

シアターX(東京都)

2010/01/22 (金) ~ 2010/01/25 (月)公演終了

満足度★★★★★

大変すばらしかった。
ウンプテンプ・カンパニーの「血の婚礼」を観てきたが、生演奏の迫力と細かい演出に魅了された三時間だった。
ベテランの役者陣も若手も、この独特の世界を醸し出す演技には目を見張った。
舞台は闘牛場を思わせる手の込んだもので、そこで繰り広げられる、血を巡る話は、重層的に語られシンボリックに描かれていく死への暗示は、詩的でもあった。そして若い小劇場の芝居にはない重厚感は、交響曲でも聴いているように感じられた。
この手の芝居は今やお客を選ぶだろうと思うが、軽くお手軽なデート気分で観る演劇では決してない事だけは確かだ。
そうした芝居が多い中で、ウンプテンプ・カンパニーにはがんばって欲しい。
歌声がもう少し客席に迫ってくるとなお良かった。
「贅沢な芝居」と銘打っていたが、その言葉には偽りはなかった。

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