園田喬しの観てきた!クチコミ一覧

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水彩画

水彩画

劇団普通

すみだパークギャラリーささや(東京都)

2024/06/17 (月) ~ 2024/06/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

会場は「すみだパークギャラリーささや」。隣のカフェは入ったことあるけれど、個人的にギャラリーは初。地続きの空間のため、カフェ同様もの静かで落ち着いた雰囲気があります。物語の設定も「洗練されたカフェ」でした。絵画の個展を見に行った帰りにカフェに寄った老夫婦とその娘夫婦。近くの席には4人と面識のない若いカップル。2つのテーブルの会話は基本的に交わることなく、それぞれ別の話題が進行する。とても静かな会話劇で全編茨城弁。この団体の特徴をしっかり反映した一作でした。

ネタバレBOX

まず何より、場所から受ける影響が作品の基盤となっています。カフェ公演と劇場公演の丁度中間のような空間になったのでは。観客は、この空間に馴染みながら、出演者6名の静かな会話に集中するのみ。「日常的な他愛のない会話から、時折見せる人間関係の機微」を感じとれる、この団体らしいテキストだと感じました。直接的な描写はほぼないものの、認知症や高齢者介護に関する物語でもあると想像。親世代、子世代、双方にスポットを当てた描き方も、石黒さんの筆の魅力だと感じました。
消しゴム山

消しゴム山

チェルフィッチュ

世田谷パブリックシアター(東京都)

2024/06/07 (金) ~ 2024/06/09 (日)公演終了

実演鑑賞

創作の根底にあるコンセプトや着眼点がかなり未来的かつ独自性が高い。公演資料には「人間とモノ、それらを取り巻く環境とがフラットな関係で存在する世界を生み出すことはできるだろうか」とある。僕は、ロボット社会とその未来、みたいなことを連想したが、おそらくそれも的確ではないように感じる(内包されているだろうけど)。人間と物品(人工物?)の新しい関係性の考察及び実証実験、みたいな感じかも?

ネタバレBOX

舞台上には大小様々な物品が並べられ、色合いもカラフル。ビジュアル的なポップさも感じました。インスタレーションに近い舞台美術と言えます。俳優が出てきて、それら物品と並行的に立ったり座ったり交わったりする。視覚的な意味での「ヒトとモノのフラットな関係」かもしれない。やがてモノローグが始まり、壊れた家電品に関する「ヒトとモノの関係性」が語られる。様々な角度から、創作における実験上演が積み重なり、「このシーンは何を表現している?」と想像する楽しみがあった。実験の要素が強いこともあり、難解と評される上演だと思うが、観劇体験としては刺激の多い上演。体験型とも言えるし、チェルフィッチュの既存作品と比較しても、意欲作であり新しい試みであると感じました。
破壊された女

破壊された女

お布団

サブテレニアン(東京都)

2024/05/23 (木) ~ 2024/06/02 (日)公演終了

実演鑑賞

俳優による一人芝居のWキャスト公演。出演俳優によって観客の印象が結構変わる作品では…と思います。残念ながら僕はA公演のみ観劇。初演は2019年で5年ぶりの再演、とのこと。

一人の「女」が、見聞きしたこと、体験したこと、自身のこと、頭の中に流れる感情、などを交えて語る、「現在の社会」と「破壊」について。空気感は徹底的にドライ、そして、虚無と絶望に溢れている。ブラックボックスのコンパクトな空間で、俳優一人、映像、照明というシンプルな構成。そこに圧縮されていたのは、今日の日本が抱える「停滞」だと感じた。

ネタバレBOX

まず、空気感がとても好きです。虚無、そして絶望。真面目に、全うに生きていたらこうなりますよ…という、社会に対する諦念。個人的見解も含むが、現代日本人として共感できる空気が場内にあった。このドライな視点、社会や作品の見つめ方が、いかにも演出家っぽいし、得地弘基さんらしいテキストだと思う。その上で、社会や現代に関する怒りの感情が、爆発するでもなく、他者に差し水されるでもなく、自分の中で暴発するでもなく、ひたすら自然鎮火に近い形で消えていく様が、とてもはかなく、複数の感情が心に浮かんだ。
ピテカントロプス・エレクトス

ピテカントロプス・エレクトス

劇団あはひ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2024/05/24 (金) ~ 2024/06/02 (日)公演終了

実演鑑賞

会場に入ると、アクティングエリアの中央に穴(奈落)が開いていて、その四方をカラーコーンで囲っている。客席はその穴から距離をとり四方に設置され、穴を取り囲むような状況に。ゴリラっぽい着ぐるみを着た人が場内にいるが、作品タイトルから演出の一部と想像。この穴がタイムホールのように時間を繋ぐ存在となっており、穴を通して前時代(と言っても何万年単位だけれど)の「祖先」と対話する。類人猿からヒトへの時間を辿りつつ、その進化の過程から「知的生命における、生物的、あるいは社会的進化とは?」を見つめ直す…ような作品に、僕には見えました。

ネタバレBOX

穴を中心に、時間軸が「層」になっているイメージ。舞台上(地表?)が現在として、その上下が未来/過去。時間軸や時代を超えた対話に、その時代ごとの価値観やギャップが反映されて興味深いのは、歴史ドキュメンタリーや歴史ものの創作物が証明しているところ。物語は終盤で急展開し、2024年現在の社会批判を色濃く見せます。そこが団体が力を入れて創作したポイントであることは理解でき、その内容の是非は観客個々人によって異なるでしょう。

ただ、視覚的な意味で、今作に惹かれたか? と問われたら、僕は首を横に振ります。音声ドラマでもある程度成立してしまう?と思えるほど、視覚的な意味は少なかったと思う。穴のアイディアなど、創意工夫していることは理解できますし、テキストは鋭いものが多かった。それだけに、視覚的な意味合いでも観客を魅了して欲しかった。音声ドラマ、あるいは朗読劇のように、視覚情報を限定してしまった方が、より想像力が働く内容だと感じました。
演劇作品集『ちがう形』

演劇作品集『ちがう形』

中野成樹+フランケンズ

新宿シアタートップス(東京都)

2024/05/22 (水) ~ 2024/05/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ナカフラ久々の劇場公演。特に東京公演は8年ぶりとか。新宿シアタートップスは舞台エリアがブラックボックスに近く、ナカフラ上演の多かった横浜のSTスポットを連想させます。初ナカフラがSTだった僕には、色々なことを思い出させてくれる公演でした。AプログラムとBプログラムの二本立て。若手日本人作家の戯曲、中野さん書き下ろし、ハムレット、誤意訳、等々、新旧ナカフラファンにとって嬉しいラインナップ。あらゆる意味で「ナカフラの現在地」を感じ取れる有意義な公演でした。

ネタバレBOX

ナカフラが複数回上演しているワイルダー戯曲や、20年かけて『ハムレット』を上演するプロジェクト『EP』シリーズなど、ナカフラらしい上演もありつつ、若い日本人作家の戯曲も積極的に手掛けている。出演者のキャリアにも幅があり、良い座組だと感じました。土日公演にはカンパニーメンバーのお子さんなども出演し、年齢幅は更に広がります。「いま日本で劇団公演を行うこと」の、モデルケースのひとつになりうると言えるでしょう。軽妙な現代口語と鋭い見立て演出、高品質な演技、絶妙の間、etc。ポップ&ハイセンスと評されるナカフラらしさ全開のプログラムでした。
Deep in the woods

Deep in the woods

終のすみか

調布市せんがわ劇場(東京都)

2024/05/24 (金) ~ 2024/05/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

第13回せんがわ劇場演劇コンクールでオーディエンス賞を受賞した団体「終のすみか」の公演。僕自身は、劇場でしっかり公演を観るのは初。男女3名による60分の会話劇。劇中に流れる時間は大体1泊2日くらい。会話はほぼ途切れることなく、お互い距離感に気を遣い合いながら交わされる。静かで、けれど情報量多めの物語。

ネタバレBOX

幼稚園からの幼馴染みである男女3名。学校で同じクラスになったことは1度しかないが、大学卒業程度までそれなりに交流があった。そのうちの男性の一人が、祖父の別荘へ移住して一年が過ぎ、残り二人の男女が別荘へ遊びに行く。これまで定期的に交流を重ねてはいるが、決して親友と呼べる距離感ではない。一人は結婚し、一人は結婚したが離婚秒読み、もう一人は独身。うっすらと恋情の空気感も流れるーー。ドラマの隆起を連想させつつ、あまり沸騰し過ぎず、穏やかな時間と気遣いの心が交錯する。終点はどこだろう?と興味をもちながら観劇できた。自身の感情を明確に表現するのではなく、どこか配慮を伴いながら交わされる現代口語会話劇は見応えがありました。世の中が激動し、社会的な問題提起をしようにも目移りしてしまいそうになる現代において、自身の生活と自分自身を見つめようとする内省的な創作が、僕には好印象でした。
湯を沸かすほどの熱い愛

湯を沸かすほどの熱い愛

ナッポス・ユナイテッド

サンシャイン劇場(東京都)

2024/05/18 (土) ~ 2024/05/26 (日)公演終了

実演鑑賞

ステージ上でキャラメルボックスの岡内美喜子さんを観るのはいつ以来だろう…と考えていました。数年振りに観る岡内さんは以前と変わらぬ存在感で観客を魅了します。この物語は、主人公・幸野双葉の奮闘ぶりが見所のひとつであり、双葉役の岡内さんには相応の重責がかかる訳ですが、それを見事に全うしているように見えました。また、双葉の娘役・瀧野由美子さんも、物語の鍵となる重要な役柄をしっかり務めあげていました。

ネタバレBOX

ストーリーは原作映画に準じています。主人公・双葉が「二ヶ月」の余命宣告を受け、娘や夫との生活を立て直し、人生の心残りと向き合うべく奮闘する。自分のことは二の次で、大切な人たちの為に残りの時間を捧げる…。そんな双葉の「熱い愛」を、生の表現である演劇でどこまで放射できるか!? という挑戦だと感じました。
若き日の詩人たちの肖像

若き日の詩人たちの肖像

平泳ぎ本店/Hiraoyogi Co.

戸山公園(箱根山地区)陸軍戸山学校軍楽隊 野外演奏場跡(東京都)

2024/05/17 (金) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

新宿区にある「戸山公園」にて上演された野外劇。近隣には学習院女子大学、早稲田大学、都立戸山高校などがあり、学校に囲まれた、緑豊かで人々の行き交いも多い公園でした。18時30分開演、上演時間60分。ゆっくり日が暮れていき、闇が広がり、表現が街へ伝播していく。野外劇の醍醐味のひとつに「街との一体感」があるけれど、今作は「ステージを基点に想像力をどこまで広げられるか?」という、表現の能動的な営みを感じることができました。

ネタバレBOX

森の中に佇む野外特設ステージ。夕景から夜景に変わる自然を背景に上演する。これらの環境要因に強いこだわりを持って企画されたことがよく伝わってきます。正直、この上演環境であれば、何を上演しても観客の満足度は高いと思う。それを踏まえて、どのようなテキストを乗せるか? についても熟考し、迷いながら、悩みながら、でも信念を持って上演に至ったのだと想像します。戦争に翻弄された時代、若き芸術家たちの苦悩、不安定な社会状況など、カンパニーの実存と重なる内容だと感じました。反戦に対する想いは勿論ですが、芸術家たち自身の自我、葛藤、絶望などを描いている点も印象深かったです。
略式:ハワイ

略式:ハワイ

劇団スポーツ

OFF OFFシアター(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

まだ学生劇団だった「劇団スポーツ」が7年前に上演した作品の、リクリエイション版だとか。タイトルは一緒ですが、内容は新作に近いのかも。当日パンフに記載されたキャラクター解説が劇中より詳細に設定されており、大幅な加筆修正が想像できます。

ネタバレBOX

17歳の高校生たちによる学園青春ドラマ。体罰に近いハードな練習を課す剣道部に所属する主人公。残りの高校生活をこのまま剣道部に捧げるべきか? について悩み、クラスメイトに誘われるまま高校生バンドへ加入。剣道からバンド活動にシフトチェンジしようとしたその時、「10年後の自分」を名乗る青年が現れ、剣道部を辞めないよう提言する…。

ネタバレOK欄ですが、ネタバレしない方が観劇を楽しめると思うので、大きなネタバレは避けます。僕の感想は、昨年内田さんがヨーロッパ企画へ客演した影響が、今作に濃く出ているなぁ…というもの。勿論悪い意味ではなく、吸収力があり意欲的な若手劇団として目に写りました。
こどもの一生

こどもの一生

あるいはエナメルの目をもつ乙女

インディペンデントシアターOji(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

出演俳優がとても良かった。このメンバーを集めた団体主宰・石澤希代子さんの熱意をひしひしと感じる。特別に目立つ奇異な存在…というより、気付いたら目で追っているような、落ち着いた狂気を放つ俳優たち。特に助川紗和子さんとムトコウヨウさんが印象的でした。

ネタバレBOX

原作は中島らも。複数回の上演歴を持つ人気作でもあります。ただし、今回の上演を観る限り、初演の1990年当時の時代背景や社会の空気をしっかり吸収した戯曲だと感じました(←そして、それは戯曲が優れている証明でもあります)。それらの要素を現代の内容に置き換えることは可能だろうけど、それでもどこか少し、2024年現在の日本の社会状況と融和しない世界観に、僕は感じました。原作自体も自ら「B級ホラー」と銘打っており、僕がホラー作品にやや疎いことも関係しているかもしれません。
TACT寄席

TACT寄席

東京芸術劇場

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2024/05/05 (日) ~ 2024/05/06 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

親子で鑑賞できる落語会。寄席や落語に関する丁寧な解説もあり、もちろん実演もあり、普段落語に触れない方が落語に触れる機会として、とても有意義な会だと思います。子どもたちも、ルールを守って上品に鑑賞していたと感じました。(もっとカオスな状況になってもおかしくないのに、良い観劇環境が保たれていました)。

ネタバレBOX

解説も丁寧でしたし、演目も「子どもが反応しやすい噺」を選んでいて、場内の雰囲気が良かったです。変わったフレーズや音へ反応が良かった印象です。落語上演を聴きながら、子どもたちの高い笑い声が響くのはとても良いなぁと思いました。やはり、寄席に来るお子さんは少ないので。紙切りは…、そりゃあ欲しいお子さんが多いですよね、大人でも欲しいし(笑)。
アリとキリギリスと

アリとキリギリスと

東京芸術劇場

ロワー広場(東京都)

2024/05/03 (金) ~ 2024/05/06 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

TACTフェス2024内のプログラム『TACTダンス』の公演。こちらは無料公演で、会場は劇場ロビー。天井が吹き抜けとなっており、屋内ですが開放感があります。この2点が、作品の広がりを、物理的にも心情的にも、拡張している印象を受けました。「アリとキリギリス〜♫」という振り付きのメインテーマがあり、何度も繰り返されることもあって、耳に残りやすかったです。

ネタバレBOX

ステージにポールが立ててあり、ポールダンスを取り込む構成でした。無料公演で多くの子どもたちが観る上演とポールダンスは相性が良いのかも。より伝わりやすかった気がします。ポール上から二階で鑑賞中のお客さんにアピールするなど、空間を立体的に活用している点も驚きました。童話をベースにしているからか、子どもたちの集中力も高かったです。
二人のアリス

二人のアリス

東京芸術劇場

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/05/05 (日) ~ 2024/05/06 (月)公演終了

実演鑑賞

TACTフェス2024内のプログラム『TACTダンス』の公演。衣装、小道具などは一貫してコンセプチュアルでキュート&ポップ。見た目の分かりやすさ、伝わりやすさなども考慮していると感じます。見ているだけで心踊る空気が会場内に流れていました。

ネタバレBOX

歌唱シーンなどもあり、音楽や声の要素で場内を盛り上げつつ、物語性も感じられる構成でした。若く自由奔放なエネルギー、作品性、そしてパフォーマーの特徴なども噛み合っている印象を受けました。
らくだ

らくだ

CHAiroiPLIN

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2024/04/12 (金) ~ 2024/05/05 (日)公演終了

実演鑑賞

小説、海外戯曲、落語など様々なジャンルを「ダンス公演」に仕立てて上演する「おどる」シリーズ。今回は古典落語『らくだ』に挑んでいます。長屋に迷惑ばかりかけるならず者の主人公・らくだ(これはあだ名で、人間です)をオクイシュージさんが演じています。CHAiroiPLINの他作品と比較すると、ダンス要素が少し薄めで、語り要素が少し多め。話芸である落語をリスペクトした構成バランスかもしれないし、あるいは、『らくだ』のドラマ性にスポットを当てたかったのかもしれません。

ネタバレBOX

落語『らくだ』における登場人物の役割は劇中に落とし込んでいるが、登場するキャラクターの性格などはややオリジナル要素を含んでいる点が興味深かったです。平たく言うと、落語版とは異なる印象が残ります。物語の展開細部も異なり、その差異にこそ「カンパニーが今作で描きたかったもの」が凝縮されていると感じました。らくだのダメ人間ぶりの「裏側」を描きたかったのかもしれないし、社会から切り離されてしまった人々の絶望や孤独を描きたかったのかもしれません。立川談志師匠は落語を「人間の業の肯定」と説明したと言います。この言葉を思い出した観劇体験でした。
TYM Traveling your memory

TYM Traveling your memory

東京芸術劇場

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/05/03 (金) ~ 2024/05/04 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ひびのこづえさんの衣装が印象深く、カラフルかつ幻想的。パフォーマーの身体と組み合わさることで、力強さや「生命」が感じられ、見応えのあるシーンが多かった。CGや生成AIではなく、生の舞台表現で見られる「景色」として、こんな画が創れるのか!? という驚きもあった。

ネタバレBOX

初演が富山県のオーバード・ホールで、富山をモチーフに創作されたとのこと。海や大地など、自然を感じさせつつ、逆に都会的なイメージも含まれているような気がして、東京芸術劇場での上演もピッタリはまっている印象でした。
Rinne

Rinne

東京芸術劇場

ロワー広場(東京都)

2024/05/03 (金) ~ 2024/05/06 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

東京芸術劇場B1Fのロビーに特設会場を設けた公演。通りすがり(と言ってもあの空間に来る人は劇場を訪れた人だろうけど…)の人を巻き込める、キュート&ポップな一作でした。

ネタバレBOX

「海」がモチーフのひとつになっており、魚や海老などの衣装やオブジェを用いた上演。ひびのこづえさんの衣装が印象的で、ダンサーが身に纏うと一段を映える。音楽、ダンサー、衣装、そしてアイディアの数々。その掛け合わせがよかったです。コスチュームプレイっぽさもある海洋生物を模した衣装を、次々と着替えながらシーンを構成するため、お子さんも飽きずに観賞できたのでは…?と思います。衣装の可愛らしさ、人間の身体のなまめかしさ、どちらも堪能しました。
オロチカラ~なまぐさ天狗は龍を追う

オロチカラ~なまぐさ天狗は龍を追う

東京芸術劇場

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2024/05/03 (金) ~ 2024/05/04 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

日本国内では上演機会が少なめで、やや珍しいジャンル「影絵芝居」の公演。インドネシアの伝統芸能「ワヤン・クリッ」を学んだアーティストが独自のアレンジを加えつつ、オリジナリティのある上演に仕立てている。

ネタバレBOX

「こどもからおとなまで誰もが楽しめるフェス」のTACTフェスの演目で、会場には多くのお子さんが観に来ていた。まず、この状況がとてもいい。影絵なので場内は暗いまま上演されるのだが、お子さんたちにとってドキドキの観劇体験になってくれたら…。影絵の種類も多く、民話や伝承をベースにした物語も明快で、伝わりやすい上演だと感じました。
Lay Your Hands On Me

Lay Your Hands On Me

コンドルズ

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2024/04/06 (土) ~ 2024/04/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ハンドルズ(近藤良平と埼玉県内の障がい者が2009年に結成したダンスチーム)と、コンドルズ(主宰・近藤良平)によるコラボ公演。ハンドルズ8名+コンドルズ8名+近藤(両チームを兼ねる)の構成。プロデューサーは勝山康晴(コンドルズ)。オープニングシーンを見た瞬間、「素晴らしくサイコーじゃん!!」と思いました。8名×2チームなので、基本的にハンドルズ1名+コンドルズ1名のペア構成。全員がコンドルズの舞台衣装としてお馴染みの学ランを着用し、スタンディングで踊る人と車椅子で踊る人が入り混じる。何より圧倒的に「コンドルズのダンスシーン」になっている!! 舞台上はフラットで、参加者たちの関係性も極めてフラット。ひとつのダンス公演に関わることで、対等な立場で接しているチームに見えました。

ネタバレBOX

コンドルズ公演は、集団で踊る際に必ずしも振り付けが完璧に揃う訳ではありません(勿論ほぼ揃っていますが、多少ズレたりすることも)。振りが完璧に揃うこと以上に大切にしていることがあり、揃うことが最重要項目ではないのです。このことが「ハンドルズ×コンドルズ」コラボに大きく活かされている。集団群舞で動きが揃わない。それでもダンス表現は成立する。そのことを熟知する近藤良平さんだからこそできる公演だと感じました。オープニングシーン以降も、コンドルズらしいシーンの連続。笑いあり、スタイリッシュあり、音楽あり、参加者それぞれの個性あり。元々多様性の高い集団だったコンドルズだからこその、最高のコラボ公演だと感じました。
ナマリの銅像

ナマリの銅像

劇団身体ゲンゴロウ

新宿スターフィールド(東京都)

2024/03/27 (水) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

作品は再演ですが、僕は初見でした。この団体を観るのも初。団体名から「身体表現を活かした作風?」と想像しての観劇。15世紀に起きた、島原の乱、そして天草四郎をモチーフにした一作。時代物? と思ったけれど、パチンコ店などが登場し、時代をクロスオーバーさせた設定になっていました。パラレルワールド的と捉えられるかもしれないし、機械文明と魔法文明の融合のような、SF調の設定なのかも。

ネタバレBOX

箱馬(木箱)と木材を組み合わせたシンプルな舞台美術をブロックのように組み合わせてシーンを構成し、そこに俳優たちの身体表現を重ね合わせていく…という創作に、僕には見えました。ミュージカル調のシーンが挿入されていたり、「身体」を用いた表現への興味・関心が高い団体だと思います。ただし、ひとつひとつのシーンに粗さも見え、そこは今後の伸び代であり、課題かもしれません。今回は2時間ものでしたが、身体表現との相性という観点から、短編などもハマりそう。
Oh so shake it!

Oh so shake it!

TeXi’s

北とぴあ カナリアホール(東京都)

2024/03/20 (水) ~ 2024/03/24 (日)公演終了

実演鑑賞

上演会場は王子にある「北とぴあ カナリアホール」。ここは天井のシャンデリアが特徴的なんだよなぁ…と考えつつエレベーターで14階へ上がる。受付には喪服のスタッフさん、会場内も喪服のスタッフさんが。なんと客席も黒い服装が多め。客入れの音楽が静かに流れるなか、席に座り天井のシャンデリアを見上げ、このセレモニー感に「なるほど」と思う。タイトル通り、TeXi'sによる「擬似的葬儀」をモチーフにした一作。(上演が始まると、ステレオタイプな葬儀風景をあまり連想させないため、そのギャップも印象的でした)。

ネタバレBOX

主な登場人物は3人。オンラインゲーム内で出会った若者らしい。3人はお互い顔も本名も知らず、4年の長い年月をゲーム内で共にし、コミュニケーションを深めてきた。コロナ禍もあり、社会との接点を上手く作れずストレスを抱える3名は、ある者は引きこもり状態となり、またある者は社畜状態を連想させるなど、現代社会での「生きづらさ」と直面している。

発信上手の受信下手。幼少期からSNSに囲まれて育った世代の、自我や生きづらさを強烈に感じる…と書くと、世代間ギャップの論調に陥ってしまうかもしれないが、観劇しながら「…生きづらいのだろうなぁ」と感じてしまいます。人間は大なり小なり生きづらさを抱えるものです。でも、若い世代のそれは、世代特有の形をしているのだろうし、その姿を覗き込みたい衝動に駆られました。

ただ、物語全編に登場するオンラインゲームの描写が、ゲーム知識や経験の有無で理解しやすさ/しにくさが生じるなど、やや分かりにくい構造になっていたのは残念でした。時系列を組み替え、シーンを何度も反復させるなど、全体的に観劇難易度高めの「ハードモード」に感じられました。

生きづらさを抱える3名の若者が「直接会いたい」「いや会いたくない」と各々の意思を錯綜させ、その結果が「擬似的葬儀(=これまでの関係性を終わらせる)」であれば、それは3名にとって悪い結論ではないはず…と思いたい。個人アカウントを急に削除するような「死」であって欲しい。その先に、少しでも希望が見えることを望みます。

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