終夜
風姿花伝プロデュース
シアター風姿花伝(東京都)
2019/09/29 (日) ~ 2019/10/27 (日)公演終了
満足度★★★★
1日2公演の日がない理由が観てみてわかった気がした。3時間40分の長尺だから、というのももちろんだが、なんていうか感情の振り幅の大きい、エネルギーの必要な芝居だ。4人それぞれの歪みや、やり場のない鬱屈が言葉となって迸る。ガッツリと見応えがあった。
ナイゲン 暴力団版
日本のラジオ
王子小劇場(東京都)
2019/10/23 (水) ~ 2019/10/28 (月)公演終了
満足度★★★★★
開場時間ギリギリに到着し、入場順を決める抽選で07番をゲット。3年生チーム(元のナイゲン的にいえば)の対面の席へ。序盤は予想以上にナイゲン。しだいに日本のラジオ色が強まってラストの落とし方も見事。面白かった!
新版 オグリ
松竹
新橋演舞場(東京都)
2019/10/06 (日) ~ 2019/11/25 (月)公演終了
満足度★★★★★
いろんな意味でボリュームたっぷりのエンターテイメントで、4時間20分という長尺なのに終わるのが寂しく感じられた。扉座勢のご活躍も堪能。杉原さん演出だっけ……とうなずける場面もあり、会場を出てから(そういえば歌舞伎だった)と思い出すなど。
『獅子の見た夢~戦禍に生きた演劇人たち』
劇団東演
東演パラータ(東京都)
2019/11/16 (土) ~ 2019/11/28 (木)公演終了
満足度★★★★★
昭和19年から20年にかけて三好十郎の『獅子』を上演しようとする苦楽座=桜隊の苦闘と悲劇を描く。重い題材を誠実に取り上げ現代への警鐘を鳴らす。個性豊かな登場人物と劇中劇の生かし方が見事。
最後の伝令 菊谷栄物語
劇団扉座
紀伊國屋ホール(東京都)
2019/11/27 (水) ~ 2019/12/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
さまざまな場面からしだいに浮き上がってくるのは、人がなぜ舞台を必要とするのか、ということ。過酷な人生を歩んできた少女が、ふと立ち寄った劇場で見つけた何か。誰かの人生に輝くような瞬間を生み出す魔法の時間。そんな、舞台への希望を描く物語でもあったかもしれない。
『傷だらけのカバディ』
楽団鹿殺し
あうるすぽっと(東京都)
2019/11/21 (木) ~ 2019/12/01 (日)公演終了
満足度★★★★
パワフルでエネルギッシュで、馬鹿馬鹿しさと切実さが同居する不思議な舞台。なぜだか中盤から涙が出てしまってしかたなかった。濃過ぎる登場人物たちが愛しくなるような物語。
新浄瑠璃 百鬼丸~手塚治虫『どろろ』より~
劇団扉座
座・高円寺1(東京都)
2019/05/11 (土) ~ 2019/05/19 (日)公演終了
満足度★★★★★
じっとしていられなくてつい劇場に駆けつけてしまうやうな感じを久しぶり味わった。
再々演ながらキャストも大きく変わり、より力強く心を揺さぶる作品となっていた。
月がとっても睨むから
Mrs.fictions
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2019/08/03 (土) ~ 2019/08/12 (月)公演終了
満足度★★★★★
少年に対する性的犯罪というデリケートな題材を、この団体らしい軽やかさと誠実さで描き出し、罪を償うこと、赦すことあるいは赦さないことについての物語に昇華させて魅力的だった。
しだれ咲き サマーストーム
あやめ十八番
吉祥寺シアター(東京都)
2019/07/19 (金) ~ 2019/07/24 (水)公演終了
満足度★★★★★
江戸風俗が現代まで続く架空の日本で、落語家の跡目争いから始まる色と欲との物語。
趣向が盛りだくさんで、舞台の面白さの大盤振る舞い、という印象だった。
殊類と成る
劇団肋骨蜜柑同好会
Geki地下Liberty(東京都)
2019/12/05 (木) ~ 2019/12/10 (火)公演終了
満足度★★★★
面白かった。いや面白いというか、だいぶ迷子になりつつ観ていた。エピソードと寓意の森林を歩きながら自分がいま(物語の中の)どこにいるのか見失い、進むうちに来た道と行く道が見えてきた気がした。帰りの電車の中で登場人物一覧を眺め、なるほど、と思ったり。
最後まで観て登場人物の人となりや関係がわかった上で、もう一度観てみたかった。もろもろの都合でリピートできないのが残念。でも、その代わりというわけではないけどとりあえず台本を予約した。
少女都市からの呼び声
流山児★事務所
Space早稲田(東京都)
2019/12/06 (金) ~ 2019/12/18 (水)公演終了
満足度★★★★
アングラ感満載の、奇妙で猥雑で詩的で切ない物語。
手術中の男の腹から見つかったのは、生まれなかった少女の黒髪。眠りの中で男は少女の生きる街へと旅立つ……。
田口を演じた井村さんの透明感のある雰囲気が虚構と現実を行き来する役柄によく似合った。雪子役の山丸さんはあどけなさの中に奔放さと脆さを感じさせる。フランケ役の伊藤さんの存在感、有沢役の山下さんの誠実な印象、他のキャストもそれぞれに個性的で魅力的だった。
義経千本桜
花組芝居
あうるすぽっと(東京都)
2019/12/13 (金) ~ 2019/12/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
花組芝居『義経千本桜』全段通し。場面ごとエピソードごとのメリハリとテンポの良さで長いはずの物語がいつのまにか終わっていた。
役者陣の所作の美しさ台詞の確かさにいまさらながら目を引かれる。特に源九郎狐を演じた谷山さんの凛々しさとユーモアのバランスが絶妙だった。
彗星はいつも一人
ことのはbox
武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)
2019/12/12 (木) ~ 2019/12/15 (日)公演終了
満足度★★★★
テンポの良い進行や少し不思議な設定で描かれるのは長い年月ある人を思い続けた1人の女性の物語だった。
笑い多めに進む前半から、様々なパーツがピタリとハマって積み上げてきた想いが明かされる後半へとストーリーに引き込まれ、観終わった後も温かい余韻が続く。
キレイ -神様と待ち合わせした女-
Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2019/12/04 (水) ~ 2019/12/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
めっちゃ面白かった。
いや、考えてみれば描かれているのはけっこう無惨なことなのだ、と思ったりもするけれど、作品そのものは音楽や笑いもたっぷりの、華やかな見せ場も多い楽しい舞台だ。
寓意や象徴めいたアイコンがたくさん登場して、リピートしてみてみたい作品だった。
『僕と死神くん』『KNOCK KNOCK KNOCK 或いは別れた記憶たち』
ポップンマッシュルームチキン野郎
シアターサンモール(東京都)
2019/12/18 (水) ~ 2019/12/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
僕と死神くん:シリアスな導入部からいきなりの死神くん&死神ガールズ乱入に度肝を抜かれ、すっかり物語のペースに巻き込まれてしまった。この劇団らしい突拍子もない登場人物やちょっと下世話な笑いも盛り込みつつ、家族の物語として収束させていく手際が見事。
『KNOCK KNOCK KNOCK 或いは別れた記憶たち』:人の記憶や思考を覗き見る技術で仕事を請け負う幹雄と一平が、老小説家の脳内で未発表のアイディアを探す……という枠組で描かれる、多彩な短編たち。そして幹雄自身の隠された過去。短編はさまざまなテイストながらそれぞれにクオリティが高く、軸となる幹雄の物語では、主演の野口オリジナルさんがとにかくカッコよくて、一平役のNPO法人さんとのバディ感や、弱さと強さの間を揺れ動く場面なども印象的。各短編と全体の物語それぞれの魅力があいまって、いろんな意味で面白かった。
貧乏が顔に出る。
MCR
OFF OFFシアター(東京都)
2019/12/26 (木) ~ 2019/12/30 (月)公演終了
満足度★★★★★
MCRの作品はどうしてこんなに刺さるんだろう。
ロクでもない奴らばかり出てくるのに他人事とは思えなくて、自分の弱いところにヤスリでもかけられたようにヒリヒリする。そのくせそいつらが馬鹿みたいに愛おしい。
特にあの役を書いて自分で演じる櫻井さんなんて、ズルいにもほどがある。
うるう
中京テレビ放送
東京グローブ座(東京都)
2019/12/28 (土) ~ 2019/12/30 (月)公演終了
満足度★★★★
ひとり芝居だということを忘れるほど多彩な表現と優しくてせつない世界観をチェロの響きが彩って、吸い込まれるような約2時間。
観ることができて本当によかった。
コンドーム0.01
serial number(風琴工房改め)
ザ・スズナリ(東京都)
2019/10/25 (金) ~ 2019/10/31 (木)公演終了
満足度★★★★★
面白かった。めっちゃ面白かった。
コンドーム新製品開発に取り組む開発部を中心に企画・広報・営業、それぞれの立場と個人としての想いを、序盤は笑い多めに、そしてしだいに切実に描いていく。
男性側から見た性の話だけれど、女性作家ならではの目線が感じられて心地よかった。
伯爵のおるすばん
Mrs.fictions
吉祥寺シアター(東京都)
2019/03/20 (水) ~ 2019/03/25 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/03/23 (土) 14:00
大切に思っていた物語が、スペース的にも時間的にも豊かに綴り直されて新しい作品として立ち上がっていた。
今回加わった場面や台詞は直接ストーリーを進めるものではないはずなのに冗長な印象にならないのはそれらがどれもしっかり面白かったからだろう。
キャストも皆さん素敵で、それぞれに美しかったり面白かったり哀しかったりして魅力的だった。 伯爵やそれぞれの時代の想いびとはもちろん、右足と左足のキャラが一目瞭然に違う感じとか、ひよ子の先輩たちのその後(!?)とか、未来ヤクザのとぼけ具合とか、各時代で振られる方々のチャーミングさとか、それぞれのキャラクターにそれぞれの人生があって、愛しい。
俺の骨をあげる(8/17(金)19:00開演 当日券ございます!)
劇団鹿殺し
サンシャイン劇場(東京都)
2018/08/15 (水) ~ 2018/08/19 (日)公演終了
満足度★★★★
チョビさんの歌声が、彼女の骨であった男たちと鳴り響く楽器たちに支えられて劇場を満たしていく。
舞台上を走り抜ける19人のテンション。パワフルな少女がひとつの時代を走り抜けていく。歌、卓球、プロレス。彼女の「願い」の向かう先は変わっても、「願い」の強さは変わらない。
意志のかたまりのような彼女の走り続ける生きざまを、小柄なチョビさんが文字通り体当たりで演じていく姿。
そして彼女を支えた男たちのそれぞれの強さと哀しみ。
ヒロインの「最初の骨」であった父を演じた高嶋政宏さんの熱い存在感が重低音のように物語を支えていた。