jokermanの観てきた!クチコミ一覧

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オスカーの教室

オスカーの教室

電動夏子安置システム

駅前劇場(東京都)

2023/10/12 (木) ~ 2023/10/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/10/12 (木) 19:30

ベテラン劇団の怒涛のコメディ。笑った、笑った。118分。
 商工会議所っぽい組織が市に政策提言をするのに、演劇でプレゼンしようということになり、元高校の演劇部顧問だった女性に依頼するが…、ということで起こるドタバタ。皆ちょっとずつ変なところがあって、勘違いや行き違いでドタバタが起こる、というのは3作目となった教室シリーズに共通するパターンで、大笑いも起こるが苦笑も少なくない。それぞれが考える「芝居」のズレを扱う場面もあり、演劇そのものへの勘違いも扱っているように思う。電夏初だと思う澄華あまね、岡崎桃子が頑張っているが、演劇部顧問を演じた下平の振り切りぶりもなかなかのものだ。

セルフカバーvol.1

セルフカバーvol.1

♯Q

新宿眼科画廊(東京都)

2023/10/07 (土) ~ 2023/10/10 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/10/07 (土) 19:30

作・演出の久保磨介が他団体に書いた作品を上演。巧妙な作品が並び、力量ある役者陣がしっかりと上演した。(1分押し)イントロ4分、31分、18分、28分。
『high-end soda』は人魚に異常な興味を見せるカレシを持つアリエルというキラキラネームの女子が怪我した人魚を助ける…、な話。ありえない設定だが、そこから発生する様々な細かい展開が面白い。
『superman』は小学校から友達である、ある意味正反対の行き方の男2人の物語。なんか良く分からないが、感触が残る。
『dog tag』は、猫を飼っているのかいないのか、よく分かっていない女子と周囲の男女。なんか定義に拘っているのが非常に面白いが、物語はいいハナシとして展開されて、いい気分になる。
役者陣は皆見事だが、沈ゆう子が特に素晴らしい。

明後日のガラパゴス

明後日のガラパゴス

ホチキス

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2023/10/04 (水) ~ 2023/10/09 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/10/05 (木) 19:00

久々に観たホチキスは、やっぱりホチキスだった!114分。
 日曜の夕方で30年放送されているアニメの脚本グループに入った若手脚本家が、打ち切りを要求するスポンサーに立ち向かう…、な物語。リアルな登場人物が途中からアニメの人物に扮する、という展開が一種の無茶振りで、一層の笑いを誘う。荒唐無稽でマンガチックな展開を、説得力を持たせる演技力で展開し、最後はいい話にする、というホチキスの芝居そのものだった。冒頭から小玉久仁子がアニメの主人公に扮して出てくるのだが、そのブッ飛び振りで一気に入り込んでしまった。とにかく楽しい舞台です。

デイジー

デイジー

SHEDDING

王子小劇場(東京都)

2023/09/27 (水) ~ 2023/10/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/09/29 (金) 14:00

旗揚げだと言う若いユニットのパフォーマンス芝居。若さを感じるし、楽しく観ることはできる。110分。
 30年前に作られたパフォーマンスシティ「六六(ろくろく)」では、町のいたるところで歌・ダンス・アクション等のパフォーマンスが行なわれているが、ある日歌い終わった歌手が刺される事件が起こり、アクション集団の「デイジー」が犯人ではないかと疑われ…、の物語。展開はややありふれたモノだが、時折入るパフォーマンスは楽しく、最後まで観ていられる。セリフが残念な役者が何人かと、冒頭のダンスが残念な人が数名いて、ちょっと気が削がれる印象はある。客入れ段階からパフォーマンスをするのは、物語の世界観を作ろうということだと思うが、効果的かどうかはやや疑問。

ヒトラーを画家にする話

ヒトラーを画家にする話

タカハ劇団

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2023/09/28 (木) ~ 2023/10/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/09/28 (木) 18:00

昨年に上演する予定が、コロナで延期され1年越しで上演。シリアスとコメディのバランスがとれていて、とても楽しく、しかも考えさせられる舞台だった。(3分押し)68分(10分休み)88分。
 美大4年の3人が、教授が作ったタイムマシーンで1908年のウィーンにタイムトリップする。そこで美術アカデミーへの入学を希望する19歳のヒトラーに会い、虐殺をさせないためにヒトラーをアカデミーに合格させようとするが…、の物語。ありえない設定だが、そこの説得力を一定程度持たせる筋を考えるあたりが流石のタカハだと、まず思った。実はテーマは重いのだが、それを若干の笑いとともに展開させる巧さもしっかりある。エンディングは特に良い。

沼の中の淑女たち

沼の中の淑女たち

トム・プロジェクト

赤坂RED/THEATER(東京都)

2023/09/27 (水) ~ 2023/10/03 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/09/27 (水) 19:00

ONEOR8の田村孝裕がトム・プロジェクトに書き下ろした作品を、5人の個性ある女優が演じて、楽しい舞台になっている。97分。
 大金持ちの「まおまお」(羽田美智子)の家でシェアハウスをしながら暮らす「オカピ」(柴田理恵)・「あいちん」(阿知波悟美)・「ちっち」(長尾純子)は4人ともK-POPアイドルのRIONの沼にはまっているが、そこに新人の「オダマキ」(森川由樹)が住もうとする…、の物語。ちょっとありえない設定だが、推し活あるあるなエピソードが満載で、微笑ましく観ていられる。ちょっといい気分で帰れる作品だった。

柔らかく搖れる

柔らかく搖れる

ぱぷりか

こまばアゴラ劇場(東京都)

2023/09/20 (水) ~ 2023/10/04 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/09/27 (水) 14:00

2021年に上演されて岸田戯曲賞を取った作品の再演で、初演も観てるが、ちょっと違った感触を持った。面白い、とは言える。96分。
 広島らしい家の家族の物語。母・長男・その嫁・長女・次女・従妹・その娘などが展開する普通の生活を描く。それぞれ悪い人ではないが、それぞれの持つ感覚のズレが他の家族を傷つける。セリフにもあるが、他人なら距離を置くことができるが家族はそうはいかない、という現状から、幸せになり切れない家族の話が紡がれる。興味深くは観たが、なぜこんな芝居を、とも思う。
 暗転が多いが、闇を効果的に使い、エンディングも巧い。ただし、その大切なエンディングのタイミングでスマホを光らせる客がいて(芝居中しばしば光る)、何考えてるんだと思う。劇団のせいではないが…。

救いの猫ロリータはいま……

救いの猫ロリータはいま……

ぼっくすおふぃす

南青山MANDALA (東京都)

2023/09/25 (月) ~ 2023/09/26 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/09/26 (火) 19:00

清水邦夫が演劇集団円に書いた1985年の作品だが、演出や場所も含めて面白い作品になっている。(5分押し)75分。
 とある図書館に迷い込んだ旅行者のカップル(大谷優衣・柳生拓哉)に、図書館の女性(佐藤直子)と使用人の男(永野和宏)が声を掛ける。カップルが泊まるのをためらった民宿の女主人(松岡洋子)が追ってくるが…、の物語。リアルな物語が突然幻想的な展開になり、現実に戻りつつ幻想的に終わる。清水邦夫らしい、とは言えるのだろうか。飲食をしながら見るライブ・スタジオ(初めて行った)での公演で、それなりの制限がありそうだが、それを逆手に取った演出も巧い。効果音を使わずト書きを読む「黒子」(上野恵佳)に語らせるというのも味がある。以前観た『火のようにさみしい姉がいて』を思い出した。

ジャングルジャングル9

ジャングルジャングル9

アイビス・プラネット

王子小劇場(東京都)

2023/09/20 (水) ~ 2023/09/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/09/21 (木) 19:30

事実上初見のプロデュースユニット。西田シャトナーが書いた短編を2本。どちらも再演らしい。とーーーーーっても面白い!25分,46分(3分休んで)アフタートーク17分。
 『異界の魚』は野口オリジナルが自身で演出する一人芝居。面白い物語だが、ちょっと叫び過ぎな印象は勿体ない。
 『尋問』は「9号」(高田淳)と「2号」(星瑠)が「6号」(大野清志:日替わりゲスト)を尋問する物語だが、6号を演じる役者は全く展開を知らされていなくて、反応を見て9号と2号が対応する、という展開が非常に面白い。日々新しい作品が生まれているとも言える。その意味でアフタートークが必須で、展開の理由を聞くのも面白い。6号は生涯で1度しか演じられないというのもスゴイ。

チョークで描く夢

チョークで描く夢

TRASHMASTERS

駅前劇場(東京都)

2023/09/07 (木) ~ 2023/09/18 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/09/18 (月) 14:00

初日に観て、あまりにも良くて楽日に滑り込んで2度目の観劇。やはり素晴らしい。心が痛くなる部分と安らかになる部分がある。奇麗事を実行する。障がいは個性。話せば分かる。85分(11分休み)71分。
 実在するチョーク会社を舞台にした作品だが、綿密な取材を経て書かれたのがよく分かる。1幕は障害者を雇用するまで、と、雇用し始めた頃をちょっとだけ描く。昭和30年代で戦争の爪痕も残り、差別的な発言も今より多かった時代で、心が痛くなるセリフもいっぱいある。国鉄、というセリフにはチョットばかりドキッとしたが、穏やかに落ち着く展開でホッとする。これだけならば、よくある話とも言えるが、問題は2幕。現在の同社で障がい者が7割いるという現状で起こり得る健常者と障がい者のぶつかり合いを描き、ハラハラするけれども穏やかに終わる。本作がいいのは、「障がい者」と呼ばれていない人も同じ悩みを持つことを大事に扱っていることで、1幕の菅井と2幕の今岡の存在が大きい。 初日に観て、若干ぎごちないと思ってた部分がなくなり、スムーズに展開されていた。2度観て良かった。
 アフタートークで同社の社長が「奇麗事だと言うかもしれないけど、それをやるんです」と言ったとか…。なかなか言えないことだと思う。

 同劇団を初めて観たのが2003年8月の『トラッシュマストラント2003』だからもう観て20年になる。吉田羊という女優を知ったのも同劇団。最初は独特のコメディをやっていたのが、いつの頃からか社会派と呼ばれるようになった。いつもだと2つ(以上)の対立する意見を双方が述べて、白黒付けるわけでもなく終わる、という心が痛くなる舞台をすることが多い。前作『入管収容所』はその最たるモノだったが、本作では当パンで中津留も言っているが、心がホッとするような物語になっているのが何よりも良い。

リビング・ダイニング・キッチン

リビング・ダイニング・キッチン

ウンゲツィーファ

アトリエ春風舎(東京都)

2023/09/14 (木) ~ 2023/09/18 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/09/17 (日) 17:00

永くやってるらしいが個人的には初見のユニット。(3分押し)75分。
 あるLDKで若い夫婦が泣きやまない赤ちゃんに悩まされてる。喧嘩や協力をする内に、夫の兄が来て、…の展開。終盤はファンタジーになったりして良く分からないところもあるが、とにかくタイトル通りのLDKの物語、とでも言おうか。アフタートークを聞くと、手慣れたメンバーと楽しく作ってる様子が分かる。Bluetooth スピーカーから泣き声を流して赤ちゃんに見立てるという発想は見事。

絡め取りプリンセス投げ

絡め取りプリンセス投げ

MCR

劇場MOMO(東京都)

2023/09/13 (水) ~ 2023/09/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/09/16 (土) 18:00

櫻井智也久々の新作は新境地と言えるか。(3分押し)80分。
 太宰治の「女生徒」をベースにしているそうだが、小説を読んでいないので、どのくらい使っているか分からん。女子高生・捺月が朝起きると何だかいつもと違う感じがして…、の物語。他の女子高生4人と男子3人(いつものおじさんメンバー)を加えてファンタジーが展開される。櫻井は新作が書けなくなったのかな、と思っていたそうだが、いつもとはちょっとテイストが違った新作が書けた。女子高生5人のキャラクターがしっかり描き分けられているのは見事。『アカデミック・チェインソウ』でも思ったが、櫻井はこの分野に新たな方向を見いだしたのか/進んでほしい。

ホテル・イミグレーション

ホテル・イミグレーション

名取事務所

新宿シアタートップス(東京都)

2023/09/15 (金) ~ 2023/09/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/09/16 (土) 14:00

ハードな題材を日常に落とし込みつつ問題提起する秀作。(3分押し)114分(7分の休みの後、アフタートーク49分)。
 serialnumberの詩森ろばが名取事務所に初めて書き下ろす。入管というハードなテーマだが、舞台はある家のリビング。離婚して実家に戻った春江は入管から仮放免されたカンボジア人ヤンを自宅に下宿させている。夫に引き取られた息子が家出して突然やってくる所から物語は始まり、ヤンを預るな、と迫る町内会長や、幼馴染みの主婦、支援団体の関係者らを巻き込んで…、の展開。問題はシリアスだし不正義な出来事がバンバン出てくるのだが、それを生むのは誰なのか、という問題提起でもあるだろう。終盤の展開はちょっと一気かな、と思うのだけど、役者陣の(穏やかな)熱演もあり、見応えある舞台になっている。

ガクヤ

ガクヤ

ナミプロ

劇場HOPE(東京都)

2023/09/12 (火) ~ 2023/09/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/09/15 (金) 14:00

シャッフルⅡを観た。楽屋を舞台に展開される女優4人の物語。とても面白い。57分。
 清水邦夫の超有名作品『楽屋』と同じ響きの『ガクヤ』という作品。とある公演前の楽屋という設定で女優4人が語り合うスタイルを借りつつ、現代的な物語になっていて興味深く最後まで観ていられる。女優A役の設定が今風過ぎてちょっと跳ね過ぎ、と思わせておいて、終盤の展開に逆に重みを持たせるところもいい。4人のカラーでさまざまに変わるらしいのは確かに分かる。『楽屋』はいろいろな所で上演されるのを何回も観たが、本作もいろいろな所でいろいろな女優で上演されるところを観てみたいと思う。

濫吹

濫吹

やみ・あがりシアター

新宿シアタートップス(東京都)

2023/09/07 (木) ~ 2023/09/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/09/10 (日) 17:00

いつもながら巧妙で緻密な作劇。111分。
 ある小学校ではコロナ下に活動を縮小したのだが、それを進める者・反対する者、さらに、協力しつつ商売を盛り上げようとする地元商店街、などが入り交じり、さまざまな事件が…、の物語。中国の故事に基く漢語をベースに、故事の物語をちょっとやりつつ、展開される辺りは面白い。どの人にも理解できるところがありつつも賛成できないところもあり、なワケだが、謎の部外者を演じた加藤睦望の存在が大きい。と同時に、ちょっと事情を俯瞰するポジションのカナ(チカナガチサト)とナツ(端栞里)がいい。作・演出の笠浦は小学校事情に詳しいと思えないのだが、こんなに「ありそうな」物語を描けるというのはスゴイ。

いつぞやは【8月27日公演中止】

いつぞやは【8月27日公演中止】

シス・カンパニー

シアタートラム(東京都)

2023/08/26 (土) ~ 2023/10/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/09/09 (土) 18:30

観終えて切ない感触が残る作品だが、丁寧に作られていることは確か。102分。
 劇団の主宰のところに、かつて一緒に芝居をしていた男がやってきて、自分は病気だと言うが…、の物語。展開はある程度読めるが、扱い方はやや独特。演出も含めて独自性はあるのだが、それが物語をふくらましているかと言うと、疑問もないではない。鈴木杏の使い方にも特徴があるのだが、それはそれで成功しているとは思う。公演の1週間前に窪田正孝が怪我で降板して平原テツに変わったのだが、窪田を想定して書かれた脚本だと思うし、平原の演技も窪田に寄せてる感じがあって、不思議な気持で観た。実話、というウワサもあるのだが、どうなのだろう。

ばいびー、23区の恋人

ばいびー、23区の恋人

マチルダアパルトマン

王子スタジオ1(東京都)

2023/09/09 (土) ~ 2023/09/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/09/09 (土) 14:00

久々に観たが、面白さは変わらず。(2分押し)52分。
 貞操観念が緩い町子(早舩聖)は友人の明里(松本みゆき)に言われて、生活を建て直すため23区それぞれにいる恋人(葛生大雅が一人で演じる)と別れることに…、の展開。そもそもが一種のファンタジーなんだけど、別れる話が一定程度リアリティを持ってて(それでもファンタジー)、つい笑ってしまう。池亀の脚本が秀逸で、最も常識的と思える明里が発するセリフが時折非常識に触れて、苦笑の連続。前半の細かい展開、中盤の一気の展開、最終盤の3区の展開、と3パートに分かれる展開も巧い。

チョークで描く夢

チョークで描く夢

TRASHMASTERS

駅前劇場(東京都)

2023/09/07 (木) ~ 2023/09/18 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/09/07 (木) 19:00

実在のチョーク会社を舞台にした作品だが、心が痛くなるシーンもある。最後は人間を信じたくなる。88分(10分休み)69分。
 現時点で従業員の7割が障がい者という実在の会社を舞台に、最初の障がい者が入社する時代を描く昭和34年が1幕、2幕は令和の今、障がい者を雇用したことで起こる事件を描く。「障がいは個性である」とは良く言われることだが、それを頭で分かっても体現することは難しいと思う。それを如何に乗り越え、また、起こる事件にどう対応するのか、を、丁寧に描く。1幕はやや都合が良過ぎる気もするけど、演劇的に許容されるギリギリのレベルだろうか。2幕の事件は予想外だったが、確かにそういったことは起こりうると思った。1幕で登場した、他の従業員と対立する菅井の存在と受け入れられ方が、実は大きい出来事だと思う。演じた川崎初夏は、2年ぶりの出演となる劇団員だが、静かだが強いキャラクターを見事に演じた。川崎はじめ、手慣れた役者陣と若手の熱演が心地好い。2幕で上司に逆らって主張する社員の今岡を演じた小崎実希子がいい。

ロリコンとうさん

ロリコンとうさん

NICE STALKER

ザ・スズナリ(東京都)

2023/08/30 (水) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/09/02 (土) 19:00

恐らく旗揚げからほとんど観てるユニットの渾身の1作。面白いが考えさせられる。(3分押し)117分。
 冒頭、ランドセルを背負った少女が出て来て観客に語りかけるところから始まる。いわゆるロリコンという嗜好を持つ人々が次々に出て来るが、冒頭の少女の正体が徐々に分かるところが本作の真骨頂と言えるだろうか。個人的には、ロリコンの対象は小学生ではないと思っているので、若干の違和感があるのだが、それを越えて面白い。

台所のエレクトラ

台所のエレクトラ

清流劇場

こまばアゴラ劇場(東京都)

2023/08/31 (木) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/09/02 (土) 13:00

初見のユニット。ギリシャ悲劇を大阪弁で演じるが、キワモノではない面白さ。(10分押し)117分。
 長くやってるユニットらしいのだが、個人的には初見。古典劇を翻案することが多いようだが、大阪弁での生活感ある上演がしっかり馴染んでいるあたりがいい。役者陣もベテランが多く手慣れた感じ。
 開演の15分前から作・演出の田中孝弥による「前説」があるのだが、それが開演時間に4分ほど食い込んだ後、劇場の前でやってる工事がうるさいので止めてもらう、と言ってさらに6分。

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