15 Minutes Made Volume14
Mrs.fictions
王子小劇場(東京都)
2016/08/10 (水) ~ 2016/08/16 (火)公演終了
満足度★★★
ショーケース公演だから
6劇団が15分ずつ上演するという型式で、東京の小劇場を紹介し続けているという努力は敬服する。しかし、それは質が常に保たれていることを保証しない。
今回の5劇団(主催のMrs.fictionsは必ず出るから)は一定の質はあるのだが、一つでも面白くないところがあると、それが気になってしまうのは、私の悪い癖なんだろうなと思う。「かわいいコンビニ店員飯田さん」は面白かった。それと、主催の「Mrs.fictions」も2通りの解釈の余地を残した舞台は巧みだったと思う。
庚申待の夜に
風雷紡
小劇場 楽園(東京都)
2016/08/10 (水) ~ 2016/08/14 (日)公演終了
満足度★★★
何故今、谷中村か
社会派とは言っていないが、社会的な話題を取り上げることが多い同劇団だが、本作は足尾鉱毒事件の谷中村を舞台に、最後まで残った家族の一夜の物語を舞台化した。おどろおどろしい展開の中、秘密が少しずつ露になってくる状況は面白いし、楽園という小空間でスケールある展開をしているのは巧い。ただ、なぜ今、谷中村を扱うのか、疑問は残る。
フローズン・ビーチ
別れの始まり
スタジオ空洞(東京都)
2016/08/11 (木) ~ 2016/08/14 (日)公演終了
満足度★★★★
面白い!
言わずと知れたケラリーノ・サンドロヴィッチの岸田戯曲賞受賞作を、この小空間で、女優陣の企画で上演するという。だが、スケールやら拙さやらはあるものの、原作の不気味な面白さを再現することには成功していると思う。特に、市子役の今城は、犬山イヌコとは違った意味での狂気を巧く表現できている。2年ほど前にシブゲキで上演されたプロデュース公演よりは数段良い。
宣伝が不十分なのか、観客が少ないのが何とも勿体ない。
同じ夢
世田谷パブリックシアター
シアタートラム(東京都)
2016/02/05 (金) ~ 2016/02/21 (日)公演終了
満足度★★★★
何も起こらないけど
少しずつ何かを抱えた人たちが、さびれた商店街のパッとしない肉屋の奥の居間とキッチンで様々に絡み合う。物語は細かく展開しているのだけれど、実は何も確かな出来事は起こらず、ある種淡々と芝居が進む。この感触が赤堀の最近の芝居の特徴なのだなぁと改めて思った。役者陣は皆達者で、あまり舞台に出ない麻生久美子や大森南朋も確実に存在感を示しているあたり、キャスティングも旨いと思った。
ファンファーレサーカス
ねもしゅー企画
新宿FACE(東京都)
2016/02/11 (木) ~ 2016/02/14 (日)公演終了
満足度★★★★
確かにおとぎ話
バンド「おとぎ話」とのコラボと聞いて、昨年の「ねもしゅーせいこ」を思い出し不安になったが、今回はファンタジーに徹してバンドの使い方も割り切っていたので、エンターテインメントとして楽しむことができた。いつものねもしゅーのような強烈なヒネリはないけれど、分かりやすい物語を楽しむと観る側も割り切れば、楽しい舞台だと思う。それにしても、根本は梨木智香というストーリーテラーとして優れた劇団員を得たことは実に貴重なことだと思う。
ありがとねえ!
梅舟惟永企画
早稲田小劇場どらま館(東京都)
2016/02/11 (木) ~ 2016/02/14 (日)公演終了
満足度★★★★
楽しい
企画者の梅舟が3人の女優と3本の2人芝居を演じた後、4人芝居を1本、という計4本で構成される。それぞれの作者が梅舟を大事に思っているのが分かる楽しい作品群で、客演陣のキャラクターの違いも存分に味わえる。
逆鱗
NODA・MAP
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2016/01/29 (金) ~ 2016/03/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
やられた!
この日のほか、2/20,2/26,3/11と計4回観た。とにかくやられた。
前半は遊眠社時代以上に言葉遊びをふんだんに使い、加えて特殊素材を使った舞台を非常に美しく使って、エンターテインメントなのかと思わせる。ところが、ある瞬間から、そのテイストが一変し、近年の野田らしいテーマ性が極めて分かりやすく提示される。題材は分からない人もいるのではないかと思われるのだが、それでも充分に考える材料は理解されるだろうと思う。松たか子が実に素晴らしいのだが、11年ぶりに出演という阿部サダヲが実に重要で見事だ。
漂流劇 ひょっこりひょうたん島
Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2016/02/03 (水) ~ 2016/02/11 (木)公演終了
満足度★★
ひょうたん島ではあるが…
人形劇のひょうたん島をリアルに見て育った世代なので、あの物語を生身の役者がやるのかと思っていたら、モチーフだけ使って、タイトル通り物語はあちこちに「漂流」してしまっている。ストーリーというほどの展開はなく、キャラクターの作り方もリアル世代にとっては納得できるものではなかった。豪華な役者陣が充分に使い切れていたとは思えない。
鈍色の水槽
ロデオ★座★ヘヴン
【閉館】SPACE 梟門(東京都)
2016/02/09 (火) ~ 2016/02/14 (日)公演終了
満足度★★★
ミステリアスだが
ミステリー仕立ての一種のファンタジーなのだけれど、何か冗長な感じがもったいないと思った。設定に少し無理を入れているのはかまわないし、個々の場面も丁寧に作られているとは思うのだけれど、これだけの長さが必要なのか、という疑問が湧く。ミステリーだからといって説明的にならずに、思い切ってしまっていたら、役者達の力演がもっともっと活かされるのではないかと思う。
春は夜来る
演劇ユニット ルソルナ
王子小劇場(東京都)
2016/02/04 (木) ~ 2016/02/08 (月)公演終了
満足度★★★★
大人のファンタジー
最初は、リアルな物語になるのかと思っていたが、これはファンタジーなんだ、と納得してからは、相当に楽しむことができた。4つの場所を巡る中で、同じ役者がさまざまな役を演じることを巧みに使い切っているのがいい。
ミルフィーユ
aibook
OFF OFFシアター(東京都)
2016/02/03 (水) ~ 2016/02/10 (水)公演終了
満足度★★★★
いらだちと希望と
今更だけど、書いておこうと思う。
ササミネは今まで女性の群像劇とか女性を軸にした芝居を書く事が多かったのだけれど、今回は男性を軸とした群像劇で、ちょっと珍しいなぁと感じた。それぞれが何かを抱えた人たちが、寄り添ったりぶつかったりしつつ、少し希望を見せて終わるというのは、多分「人」を信じているのだろうササミネらしい芝居だとは思え、楽しむことはできた。ただ、漁師に執着する主人公のコダワリが今一つ切実に感じられなかったのは惜しい。
しあわせな日々
双身機関
こまばアゴラ劇場(東京都)
2016/02/05 (金) ~ 2016/02/07 (日)公演終了
満足度★★★
丁寧な上演
ベケットの不条理劇を丁寧に上演したという感じ。老夫婦ウィニーとウィリーの物語なのだが、事実上は妻ウィニーの一人芝居で、夫ウィリーは時折後ろ姿で搭乗したり、見えないところからセリフを発したりするのみ。1幕70分は天井から吊るされたいくつかの小道具を使いながら、ある種平凡な日常を淡々とウィニーが語る。2幕20分では、吊るされているのは拳銃だけとなり、日常を語るというより、それに対する「思い」の語りに変化する。不条理ではあるが、そこに残る感触は悪くない。松本演劇祭でも見た同劇団だが、不条理の扱いに慣れているようには思った。
元禄港歌-千年の恋の森-
Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2016/01/07 (木) ~ 2016/01/31 (日)公演終了
満足度★★★
優れた商業演劇
秋元松代が蜷川幸雄のため80年に書き下ろした作品の上演。物語は一定程度壮大ながら、極めて分かり易く、ある意味でそれほど感動的ということではないのだが、これだけの達者な役者陣を集めて演じると、芝居として非常に完成度の高いものになる。商業演劇というのはこうあるべき、と思えるような作品であるとは言える。
罠
ジェットラグ
紀伊國屋ホール(東京都)
2016/01/08 (金) ~ 2016/01/11 (月)公演終了
満足度★★★
巧妙……なのはいいんだけど…
入籍を明日に控えたカップルが同棲する部屋へ、カレシの留守中にその友人と称する女が4人やってくる。結婚式でのカレシへのサプライズということで、カノジョにいろいろ話を聞きつつ皆で飲み始めるのだが、そのカノジョが苦しみ出して…、というところから始まり、次々と様々などんでん返しが続く、実に巧妙に作られた作品。元宝塚の緒月遠麻に、宝塚退団後初舞台の華耀きらり、舞台での活躍が続く井端珠里などを加えて、役者陣もしっかりしている。ただし、さまざまな場面で唐突に奇妙な言葉遊びが繰り出されているのは、やややり過ぎているように思える。物語だけでしっかり見せられる作品なのだから、そこを信頼しておけば良いのに、とも思う。とは言え、エンターテインメントとしては非常に良くできていると思う。
深沢ハイツ302~もう一つのニュートンの林檎~【ご来場有難うございました!】
Sun-mallstudio produce
サンモールスタジオ(東京都)
2016/01/07 (木) ~ 2016/01/11 (月)公演終了
満足度★★★★
よく考えられている
2009年に上演された作品の再演。タイムスリップとパラレルワールドを扱ったSFサスペンス的な作りだが、笑いあり、緊迫感ありで、非常によく考えられている。役者陣も皆しっかりしており、特にメインの今村美乃と、対する川添美和という、私好みの女優が大活躍しているのが嬉しい。部分的に無理に辻褄を合わせた感じもあるけれど、エンターテインメントとして優れた舞台になっている。
「遠い町 知らない町 でも、誰かの故郷」~浪江町と南相馬市、避難地域の今~朗読公演
tea for two
キッド・アイラック・アート・ホール 3Fギャラリー(東京都)
2016/01/09 (土) ~ 2016/01/12 (火)公演終了
満足度★★★★
写真の重みを演奏と朗読で
昨年の7月に、同劇団主宰の大根とカメラマン片倉が取材した浪江町・南相馬市の「情景」を、荒野愛子のピアノ演奏をバックに西尾早智子が朗読で浮かび上がらせる。演劇ではないが、見つめるべき状況の「生」を感じることができる。同種の企画は決して少なくはなく、それらはそれぞれに価値を持つのだろうと思うが、本作もそのようなものの一つの切り口として意味がある。今回の会場と写真と演奏と言葉と声のマッチングはステキだ。写真を確実に見せたい故に参加者をしぼった意図も評価できる。
背信 | ブルールーム
PLAY/GROUND Creation
シアター風姿花伝(東京都)
2016/01/07 (木) ~ 2016/01/10 (日)公演終了
満足度★★★
可愛らしい…すぎる
『背信』/昨年、葛河思潮社での同作品の上演を観たが、それにくらべれば、シンプルでストレートな演出は分かりやすい。時間軸が逆上る作品なのだけれど、そういった難しさも乗り越えているとは思う。ただ、如何せん役者陣(の見掛け)が若い。演技が下手とか、そういうことではなくて、芝居の設定に見合った視覚的印象がちょっと、と思ってしまった。オープニングは40がらみの男女の会話で始まるのだが、特にエマ役の松本みゆきがあまりにも「可愛らしい」のでそうは見えず、男女の奥深い関わりだとか紆余曲折とかの表現が難しかったと思う。時間軸が逆上った最終場での美しさ(いや、もう本当に美しいのだよ)は見事なのだけれど。
背信 | ブルールーム
PLAY/GROUND Creation
シアター風姿花伝(東京都)
2016/01/07 (木) ~ 2016/01/10 (日)公演終了
満足度★★★★
ワークショップから、らしい仕上がり
『ブルールーム』/何回かワークショップを繰り返した中での上演ということだそうだが、それらしい仕上がりになっていると思った。輪環的に男女の2人芝居が10場続く戯曲だが、男女各5人計10人の登場人物を男優と女優が1人ずつ演じ分けるという形が通常なのを、戯曲に指定がないということで、10役を男優5人女優5人に振り分け、ワークショップから積み上げた3チームで上演する。私が観たのはBチーム。通常の上演形だと男女は同じ役者が演じているのだが、それと同様の効果を10人の役者陣が見せられるだけ、それぞれがフラットに力を発揮していたと思う。これは『ブルールーム』か、という声が終演後の会場から聞こえたが、そういうことに拘らなければ、非常に面白く観せてもらった2時間5分だった。
idiot
青年団若手自主企画 vol.64 山内企画
アトリエ春風舎(東京都)
2016/01/05 (火) ~ 2016/01/10 (日)公演終了
満足度★★★★
不条理劇入門?
当日パンフにあるように、ゴドー的不条理劇をイマドキの女の子でやってみるという試みは興味深いし、一応は成功していると思える。2人の女の子がパーティに呼ばれるのを待っている、という状況の中で語られる会話は確かに今の女の子らしいものだし、電話という存在が待っていることの象徴としてしっかりと意味を持っている。ただ、終わり方はこれでよいのか、という気がしないでもない。ある感触を作りたくてやっているとは思えるけれど、もっとバッサリ終わってしまってよいような気もする。
藤松さんの身体性はなかなかの見応え。照明と音響(音楽)の使い方は見事だと思った。
新年工場見学会2016
五反田団
アトリエヘリコプター(東京都)
2016/01/02 (土) ~ 2016/01/05 (火)公演終了
満足度★★★
長過ぎる
5グループ、毎年のことながら、新年らしくユルーく面白いものをやってはいるのだが、いかんせん長過ぎる。休憩15分こみの、予定が3時間30分で実際は3時間45分は厳しい(^_^;)。昼の回にしてよかった。面白いんだけどね。