jokermanの観てきた!クチコミ一覧

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分岐点

分岐点

秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場

紀伊國屋ホール(東京都)

2018/05/18 (金) ~ 2018/05/27 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/05/18 (金) 19:00

 トラッシュマスターズの中津留と青年劇場のコラボも第3弾となったが、今回はやや盛り過ぎに思う。2008年、リーマンショックで証券会社を追われることになる2人の男。一人は投資コンサルタントとして都会で働き、一人は田舎で農業をベースに地域を発展させようとする。物語は、2014年、2027年と進み、その2人の家族を巻き込んでいくが…。いつもの中津留風味で、社会問題を個人の(家族の)問題にする巧さは確実に観られるし、役者陣も長いスパンの物語を見事に演じているが、取り込んだ題材がやや多過ぎて、消化しきれていない印象はある。

iaku演劇作品集

iaku演劇作品集

iaku

こまばアゴラ劇場(東京都)

2018/05/16 (水) ~ 2018/05/28 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/05/17 (木) 19:30

 「人の気も知らないで」を観た。何度もいろいろなところで上演されているそうだが、初めて観た。良い芝居だった。とあるカフェで、小さな雑誌社の女子社員3人のトークが展開される。同僚の結婚式の出し物や、別の同僚の事故の話から始まって、徐々に秘密にされているエピソードが展開される。横山らしい巧妙な会話劇で、適度な伏線の張り方も優れているし、少し明るく終わるエンディングも良い。何より役者の選択と好演が印象的。

健康への第一歩

健康への第一歩

制作「山口ちはる」プロデュース

「劇」小劇場(東京都)

2018/05/11 (金) ~ 2018/05/20 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/05/16 (水) 19:30

 女子版を観た。興味深い脚本だが、演出が過剰に思えた。第27班の深谷晃成による、ある大会社の健康診断でひっかかった10人が再再再々検査に集められるが、どうも様子がオカシイ。徐々に明らかになる事情とは…、という展開は面白いし、伏線の張り方もなかなかなのだけれど、薛朋花が演じるアオキという人物像が鬱陶しく演じられるなど、おそらく、演出の畑田哲大(東京ジャンクZ)が過剰に演出しているのだろう。セリフのないときにアオキにやらせる行為も納得ができない。折角の脚本と俳優陣なのだから、もっと素直に上演すればよいと思うのだけれど…。

図書館的人生Vol.4 襲ってくるもの

図書館的人生Vol.4 襲ってくるもの

イキウメ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2018/05/15 (火) ~ 2018/06/03 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/05/15 (火) 19:00

 イキウメの短篇集シリーズのvol.4。3話構成の1本目は、2036年、進行性の脳の病気にかかった脳科学者が、脳の機能をPCに移す話。2本目は、以前トラムで公演した長編を、エッセンスだけ取り出した短篇。3本目は周囲の優しさに違和感を感じる女子大生の物語。どれも巧く書けているし、3話が緩く連結しているように作られているが、何かいつものイキウメらしくない不満が残った。

2043年の銀婚式

2043年の銀婚式

激嬢ユニットバス

ステージカフェ下北沢亭(東京都)

2018/05/11 (金) ~ 2018/05/13 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/05/11 (金) 19:00

 この公演を最後に、関根麻帆と日和佐美香がユニットを卒業するのだと言う。最初で最後の、メンバー8人だけの公演だとは思わなかった。55分と短いながらも、8人の個性を際立たせて、卒業式っぽい感触の舞台になっていた。

Y FUTAMATA vol.2

Y FUTAMATA vol.2

ロ字ック

小劇場B1(東京都)

2018/05/09 (水) ~ 2018/05/13 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/05/10 (木) 19:30

 ロ字ックのメンバーが気に入った作家と組んでの、短篇オムニバス公演。なかなかに面白かった。
 1つ目の『ぼんやりした話/セプテンバー』は、ワワフラミンゴの鳥山フキの作品。鳥山らしい不条理でシュールな作品。セリフの断片を繋いで感触を持たせようとするのだが、やや抽象的に過ぎるか。
 2つ目の『Re:』は世田谷シルクの堀川炎の作品。同じくシュールで不条理だが、バッドエンドの場面を見せて、同じ場面のハッピーエンドの場面を繰り返す展開や、ダンス/マイム系の動きを入れてきたのは、以前から世田谷シルクのファンである私にとっては、堀川らしい作品に思えた。
 最後の『カラオケの夜』は須貝英の作品で、これだけ会話劇。離婚を前にした夫婦がカラオケに来て、互いにイタイ歌を歌ったり…、という展開。カラオケという設定を活かした歌の数々が物語を進める。
 全体に、番街公演らしい感触を楽しめばよいのだと思う。

火遊び公演「焔の命--女優の卵がテロリストになった理由」

火遊び公演「焔の命--女優の卵がテロリストになった理由」

オフィス上の空

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2018/05/09 (水) ~ 2018/05/13 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/05/09 (水) 19:00

 役者の熱量は伝わってくる舞台だった。サブタイトルにあるように、女優の卵(福永エリカ)が所属する小劇団がテロリストになるという物語だが、集団が狂気に支配されていく過程を描きたいのか、「女優の卵」個人の苦悩を描きたいのかが、やや焦点が絞れていない印象が惜しい。そのために、終盤の福永の長台詞は見事だが、それが活きない気がする。最後のエンディングは、ちょっと…、という感じがないでもない。それでも、達者な役者を集めただけに、舞台は巧く成立しているという気がする。

1984

1984

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2018/04/12 (木) ~ 2018/05/13 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/05/05 (土) 17:30

 有名なディストピア小説の舞台化だが、まさか「付録」から入るとは思わなかった。2050年過ぎの時期、「1984」の付録に書かれている「ニュースピーク」の研究会で物語は始まる。そこで交される会話から、主人公ウィンストン(井上芳雄)は小説の世界の登場人物となって、小説通りの物語を体験する…、という構成は斬新で意欲的だ。元の研究会の場面に戻るが、それが一種の夢落ちなのだが、実は、その研究会のシーンこそがウィンストンの望んだ未来への希望なのだという解釈も成り立つ。興味深い舞台だった。
 なお、言ってもしょうがないし役者さんには大変に失礼なのだけれど、大杉漣で観たかったという気がする。

鉄とリボン

鉄とリボン

キコ qui-co.

座・高円寺2(東京都)

2018/05/02 (水) ~ 2018/05/03 (木)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/05/02 (水) 19:00

 壮大なファンタジーが徐々に種明かしされていく。「はなよめのまち」に来る男たちと町の人の物語と、現代の編集者の恋愛話など、複雑な構造が提示される前半の60分。5分の休憩を挟んで、そういった構造の種明かしがされていく後半の85分は興味深く展開される。タイトルは複合的な意味合いを持っているとか、面白い部分が多いのだが、いかんせん冗長に感じる。元々は200分あった作品を切って145分にまとめたそうだが、セリフの吟味がやや甘いのは小栗の特徴とも言える。生演奏/歌唱も雰囲気を出すのに効果的に働いているが、大人数のせいか、ボディクラッピングが合っていない瞬間があるのは勿体ない。

紛れもなく、私が真ん中の日

紛れもなく、私が真ん中の日

月刊「根本宗子」

浅草九劇(東京都)

2018/04/30 (月) ~ 2018/05/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/05/01 (火) 19:00

 根本宗子の新境地か。オーディションで選んだ21人の女優と話をしながら作ったという本作は、久々に根本本人が出ない。中1の金持ち女子が、誕生日パーティーにクラス全員を招待したのだが、そこで様々な人間関係が絡んだり、突然時間軸が動いたりしながら物語は展開する…。従来は、根本の分身的な数名の登場人物で「女子あるある」物語を書いていた根本が、21人のキャラクターを描き分けて90分でまとめたところは見事。エンディングは、アンビバレンツな状況で終わるあたりも興味深い。

ヘッダ・ガブラー

ヘッダ・ガブラー

シス・カンパニー

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2018/04/07 (土) ~ 2018/04/30 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/30 (月) 13:00

 千秋楽に再度観た。初回観たときよりも、苦笑/爆笑が多い珍しいイプセンになっていた。それは主に登場人物のキャラクターを誇張する演出で出来上がっているように思うのだが、それでいて物語の骨格はしっかりとしていた。役者陣の豪華さも含めて、見事な舞台であるのだが、繰り返し観ると、メイド役の福井裕子が一種の「神」的なポジションにいることに気付く。高いフランス窓の美術も素敵。

じぶんさがし

じぶんさがし

RISU PRODUCE

赤坂RED/THEATER(東京都)

2018/04/25 (水) ~ 2018/04/30 (月)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/04/27 (金) 19:00

 相変わらずの「いい話」にまとめてあった。とある劇団がオーディションで出演者を募集するところから始まり、公演の初日を迎えるまでの展開を描く群像劇。「芝居についての芝居」や「芸術についての芝居」はしばしば自己肯定劇になりがちなのだが、本作もその傾向がやや見られる。しかし、それほど嫌な感じがしないのは、いつもは出演する作・演出の松本が、今回は出演せず演出に専念したことで、客観性が保てたのかと思う。ただ、最後の映像は賛否分かれるところではないか。それと、病人を登場させて、そのエピソードを拾わないのはやや勿体ない。場面転換が全て暗転というのも、やや工夫が欲しいところではある。

渦中の花

渦中の花

room42

王子小劇場(東京都)

2018/04/24 (火) ~ 2018/04/29 (日)公演終了

満足度★★★★

 母が失踪し家族が壊れていく物語を、烏丸棗が描く。実話ベースだそうだが、その実話は知らない。介護すべき祖母を抱えて、母が失踪するという状況の中では、いかにも起こりそうな出来事が次々に展開され、家族それぞれの立場は理解でき、それぞれに共感できる場面が続く。その辺の書き方と、役者陣の演技の質は高いが、終わって救いがないのはツライ。
 芝居とは関係ないが、このサイトでは「1時間30分」と書かれているが、実際には「1時間50分」というのは、予定を立てる上でややキツイ。Corichのシステムの限界か。

この暗闇を超えて、温泉へ行こう!

この暗闇を超えて、温泉へ行こう!

三栄町LIVE

フラワースタジオ(東京都)

2018/04/17 (火) ~ 2018/04/25 (水)公演終了

満足度★★★

 黒田勇樹の描く脚本は、トリッキーなプロットのシチュエーション・コメディという印象がある。本作も、プロットは面白い。ドジな兄弟が銀行強盗に入るが失敗。逃げるために銀行の奥の応接室で、難病で体が動かず、聞く・話すしかできない女性に出会う。音だけで温泉に連れていこう、というのがタイトルの意味。オノマトペ演劇と名乗っている。興味深いプロットで、多少の無理矢理感は否めないものの、コメディだから良いかな、というギリギリのところでやっている。惜しむらくは、スピード感を出すためか、高速でセリフをいわせるのだけれど、舞台経験が少なく滑舌の怪しい役者が出ていること。若い舞台なので、しょうがないのだが…。

新宿コントレックスVol.19

新宿コントレックスVol.19

Aga-risk Entertainment

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2018/04/20 (金) ~ 2018/04/21 (土)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/20 (金) 19:30

 5団体の短篇コントを上演する、アガリスクの定番公演だが、玉石混交とはこのことだと思った。エンニュイ,アガリスクは合格点(星3つ)、くによし組は上級(星4つ)だが、今回は、かつて、新宿眼科画廊で「受付芝居」という新ジャンルを開発した、なかないで、毒きのこちゃん、が白眉(星5つ)。なんと「スタッフ芝居」という新ジャンルを持ち出してきたのは凄い。これだけなら十分に星5つだが、劇想からまわりえっちゃん、の悪ふざけをお笑いと勘違いした作品がひどすぎた(星1つ)。

嗚呼いま、だから愛。

嗚呼いま、だから愛。

モダンスイマーズ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2018/04/19 (木) ~ 2018/04/29 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/19 (木) 19:00

 十分に共感できる芝居だった。2016年に初演した作品の再演だが、初演は見てない。売れない麻雀雑誌の4コマ漫画家の女性を川上友里が演じ、夫や姉との関係で、一種の被害妄想的な状況を語り出すのだが、それはそれで共感でき、一方で、夫や姉にも共感できる場面が多く、何とも言えない不思議な作品になっていた。エンディングは一種感動的だが、そんなに巧くいくかな、という気もさせられる。

革命日記【青年団・こまばアゴラ演劇学校“無隣館”】

革命日記【青年団・こまばアゴラ演劇学校“無隣館”】

こまばアゴラ演劇学校“無隣館”

こまばアゴラ劇場(東京都)

2018/04/14 (土) ~ 2018/04/30 (月)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/04/17 (火) 19:30

 時代に合わない芝居だった。2012年に初演だったというが、そのときには時代に合っていたのだろうか。世界同時革命を目指す過激派が、平凡な市民と偽って暮らす家に、テロの相談に集まるが、さまざまな人間関係や、隣人が邪魔になって話が全く進まない様子を描く。パンフレットでの平田オリザの発言を読むと、革命の話というより組織(の腐敗)の話を描いたという。そこは確かに描けているが、あまりにリアリティがないのは惜しい。唯一、坊薗初菜が各名論の演説をする部分は、古いタイプの活動家らしい印象が出ていた。

ネジ工場

ネジ工場

タカハ劇団

駅前劇場(東京都)

2018/04/11 (水) ~ 2018/04/15 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/13 (金) 19:30

 2012年初演の再演で、初演も観ているはずだが記憶がない。だが、いい芝居だった。何かおかしなことになっている近未来の日本で、家業のネジ工場を続ける3兄弟。決して巧くいっていない中に、妹を名乗る女性が現われ……、という展開。チラシにある「そのネジが何に使われているか…」はあまり強調されていないが、ある家族の群像劇として観ると、登場人物の造型も巧く、役者陣も熱演である。惜しむらくは、時間軸で最後のシーンから始まるため、オープニングで3兄弟の結末が分かってしまうこと。それと、時間経過を表わすのに暗転を多用するのはタカハの欠点と言ってもよいように思う。でも、いい芝居だった。

Farewell(フェアウェル)

Farewell(フェアウェル)

松本紀保プロデュース

サンモールスタジオ(東京都)

2018/04/06 (金) ~ 2018/04/15 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/04/09 (月) 19:30

 淋しい人達の物語、とでも言えばよいだろうか。中学の同級生であるマスターがやってる喫茶店を手伝いつつ、その妻のやってるスナックも手伝う松本。喫茶店には常連のAV女優がいるのだが、そこに松本から一方的に別れた夫が訊ねてくるところで、物語が動く。出てくる人は、皆、何かの弱点を持ち淋しさを抱えているが、それを覆い隠すように互いに寄り添おうとするが、不器用な人達は巧く寄り添えないものの、何とかやっている、…というような展開。落語のマクラに使われる「何で一緒にいるの?」「だって寒いんだもん」を思い出した。にもかかわらず、何か不満を感じるのは、松本をフィーチャーしようとし過ぎてるからではないだろうか。

ヘッダ・ガブラー

ヘッダ・ガブラー

シス・カンパニー

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2018/04/07 (土) ~ 2018/04/30 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/08 (日) 14:00

 イプセンの有名な作品だが、暗く悲しい物語になっていた。2009年、箱庭円舞曲の古川の演出、小沢真珠主演で赤坂RED/THEATERで観たことがあるが、我が儘な女性に翻弄される人々、という印象しか持てなかったことを思い出した。舞台の大きさも、出演者・演出も違うので、単純に比較することができないが、この古い時代の女性の生き方を考えさせる芝居として、寺島しのぶが演じてる印象を持った。水野美紀が弱気の女を演じるというのは、ちょっと外した感じを最初は持ったが、最後には芯の強さを出していたのは演出か、彼女の力か。

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