あーぶくたった、にいたった
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2021/12/07 (火) ~ 2021/12/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2021/12/07 (火) 19:00
別役実の戯曲で、例によって、わからないけど面白い(笑)。100分強。
10分前後の10場で構成され、とある夫婦の話が展開される。
わたくしたち、人中短ガールズです!!
東京E-Do motions.
新宿眼科画廊(東京都)
2021/12/03 (金) ~ 2021/12/08 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/12/06 (月) 19:00
初見のユニットだが、若手の女優のみ7人というので、思わず行ってしまった(^_^;)。学園モノのコメディだが、大いに笑い、そして、いい話だった。観るべし!100分。
今年度いっぱいで廃校になる学校の職員室が舞台。手違いで取り壊し工事が始まり、てんやわんやの教員たちが不平を言いつつ授業やあれやこれやを扱うが…、の物語。ありえない展開だが、そこはコメディということで許容されるギリギリかと思う。女優陣が巧みで、無理筋な展開を、なるほどと思わせる説得力がある。子育て中の主婦で急遽副理事長になったという設定の池田恵子の終始の笑顔からは、知らない世界に入ったワクワク感を見て取れて好感を持った。先月のJACROWでハードな政治劇を演じてた福田真夕の落差にはビックリ。人中短という聞き慣れないキーワードは、あまり活きていなかったと思う。
生配信の回だったのだが、開始して何故か音声が3秒ほどディレイして会場に流れ、23分経ったところで主宰が止め、調整して45分遅れで最初からやり直すアクシデント。それでも面白く観せてもらったし、ストレスだっただろうに、きっちりやり直してくれた女優陣に感心させられた。
ただし、学校関係者として見ると、教育実習を2ヵ月もやらないよ、「新任教育」って何だよ、今は「歴史の先生」っていないんだぜ…、と、突っ込みたくなるところもあった。ご愛嬌か。
BABEL
演劇企画 heart more need
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2021/12/01 (水) ~ 2021/12/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/12/03 (金) 18:30
初演のユニットだが、いつもよく観る芝居屋風雷紡の吉水恭子が作・演出する。関東大震災の後の朝鮮人虐殺を扱って、重いが面白い。80分。
タイトルにあるのは聖書のバベルの塔だが、オープニングとエンディングで一節を読み、大震災と繋げた。とある集落の若者が作る自警団の様子から虐殺の話題に繋ぐのだが、言葉が通じないことを扱っているようで、現代にもつながる言説の断絶がもたらす悲劇を題材にしたものだと言えよう。役者もほとんど初見だが、元X-QUESTの清水を初めとした役者陣の熱演もあって、しっかりした作劇になっていた。
太陽は飛び去って
Ammo
サンモールスタジオ(東京都)
2021/12/02 (木) ~ 2021/12/08 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/12/02 (木) 19:00
歴史的題材を扱うAmmoが、大正デモクラシーその後、的な作品を上演。130分。面白い。
昭和4年のある1日の出来事(にしては、かなり「濃い」1日)を描く。1場から動きがあり、興味を持って舞台を観ていられるのと同時に、女性解放運動と現実の女性のあり方を見せるともに、現代にも思いをはせる作りになっているのは巧い。女性解放運動を扱うということで、豪華な客演を得て8人の女優が舞台に上がる。女優・男優問わず熱演だが、松本寛子の貫禄に、時の流れを感じてしまった(8人の中で最も古くから観ている女優さん)。使用人を演じた田中千佳子・福永理未の2人が流れを見つめる役割を担っているようにも感じた。
スペキュレイティブ・フィクション!
NICE STALKER
ザ・スズナリ(東京都)
2021/12/01 (水) ~ 2021/12/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2021/12/01 (水) 19:00
「理系に強い」同ユニットらしい、SF愛に溢れた面白い作品だった。観るべし!120分。
とある高校のSF部の1年男子が同部の2年女子を好きになって、毎日SF話をするのだが、妹や友人や先輩や先生を巻き込んで…、な展開。SFはサイエンス・フィクション、の時代のチョイSFファンとしては、時折混ざるSF話に反応してしまうし、全体がSF調で展開されるのも面白い。役者陣が高校生を演じてフツーなのはよくあるのだが、妹の中学生役を演じた藤本海咲の佇まいが何とも言えず良い。とにかく、いい気分で120分を過ごして、いい気分で帰れる舞台だった。
みんなしねばいいのにII
うさぎストライプ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2021/11/26 (金) ~ 2021/12/07 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/11/27 (土) 18:00
不条理な設定をリアルに演じる、というのが作風だと思う同劇団だが、2016年初演の作品を大きく改作しての上演で、初演は観てない。面白い。95分。
ゴミ屋敷だったところに建った女性専用マンションに住む3人の女性と絡む2名の男性、そして、その一人の死んだ母親の物語。ハロウィーンが誕生日だが誰も気づいてくれない女性が家に帰ると、屋根裏に住む(?)死んだ母親が祝ってくれる、というあたりから、不条理な状況に入り、ハロウィーンが終わらないことになって…、な展開。初演の評判は今イチだったようだが、本作は本当に面白い。どう変えたんだろうな、と思う。母親役の小瀧万梨子がニコニコしているのが、とても可愛く、不気味にも思う。
嫉妬深子の嫉妬深い日々
U-33project
王子小劇場(東京都)
2021/11/26 (金) ~ 2021/11/30 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2021/11/26 (金) 18:00
この劇団を観るのは3作目だが、王道のコメディタッチで面白い。95分。
高校卒業後初めての同窓会に集まる女子たち。それぞれのキャラクターを紹介する序盤の回想シーンでは、軸である嫉妬深子が体操服で現われ、興味深いキャラクターを見せる。嫉妬深いと言うより子供っぽい、自己中心的と言った方がいいように思うのだけど、そんなこんなの誇張されたキャラクターの女子たちが紡ぐ物語。高校生時代の回想と現在が激しく飛ぶ展開だが、ストーリーテラーのメイ子を深子だけ仇名で呼ばれるのだが…、の仕掛けが巧い。
この劇団は『むむちゃん』『コロス県自殺市呪い村四丁目』と2作観たが、演技はいいのに脚本がダメだと思ってた。今回は脚本も良く、演技は更にいい。興味深い劇団だと思った。
深子を演じた平安は、ほぼ全編回想シーンでの登場で体操服。本当にお疲れ様でした。劇団route(C)の主宰だそうだが、そこも王子スタジオで観て(『戯れ、ゴト』)、可能性を感じた。次にやるとき、観てみたいな。
月の記憶
下北澤姉妹社
シアター711(東京都)
2021/11/24 (水) ~ 2021/11/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/11/25 (木) 19:00
過去の記憶と未来への希望を見せる芝居。良かった。105分。
食堂をやってた母がコロナ感染症で亡くなり、同居してた長女のその娘の所に、さまざまな事情で家を離れた次女・三女が戻って来るが…、の物語。幼馴染みのボート屋と葬儀屋の2人の男を加えた6人の芝居だが、ミステリー的な要素もあり、興味深く観ることができる。記憶に捕らわれてしまう中年(?)の5人に比べ、若さ故の強さを見せる娘の凛々しさに、特に希望を感じた。オープニングや場面転換時に見せるジェストダンスの美しさは格別。
イモンドの勝負
キューブ
本多劇場(東京都)
2021/11/20 (土) ~ 2021/12/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2021/11/23 (火) 13:00
久々のナイロンで、ケラ本人は今回はナンセンス・コメディと言うが、不条理コメディとでも言った方がいいような奇妙な笑いに満ちた作品。何かを訴えるということでもなく、笑ってオシマイ、みたいな作品だった。
客演陣が強力で、特に池谷のぶえの声の良さとパワーが目立った。役者陣は全体に、いい感じで歳を取ったなぁ、と思った。
ガラクタ
TRASHMASTERS
駅前劇場(東京都)
2021/11/19 (金) ~ 2021/11/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2021/11/22 (月) 19:00
社会派として知られるトラッシュが、今回は、核のゴミ最終処分場の受け入れを巡って分断される町を描いた。面白い。観るべし!65分(休憩10分)78分。
北海道寿都町をモデルに描かれたフィクション。核のゴミを受け入れるのかでモメル町の人々、調査だけやって実際は作らないと言う町長、町を出て記者として戻ってきた反対派夫婦の娘、等々、わずか7人の役者で9人の登場人物を演じ、描かれるのは壮大なドラマなのである。核のゴミの問題を扱っているようで、実は、大きな力(例えば、国)で分断される小社会を描いているのだと思う。同じことは、ここだけでなく、例えば沖縄・辺野古などにも起こっていると言えそう。いつもながら笑える場面は少なく、緊張がほぐれる場面で思わず笑いが起こるが、途中から笑ってる場合じゃないな、と思った。2時間半が全く長く感じない。
役者陣は充実しており、今回も、みやなおこの壮絶な演技がすごくいい。指定席なので、席は選べないが、下手に座った人は2幕1場のみやなおこの演技に注目すべき。彼女と長谷川景の、駄目な感じが特にいい。ただ、漁師の松下と原子力機関の矢口を同じ長谷川景が演じたのは、やや残念。この時期、多くの役者を使いたくないのは分かるが、連続する場で同じ役者が演じるのはちょっと…。また、今回トラッシュ初登場の岩井七世の感じが新鮮。
この長さだと初心者にはお薦めしにくいのだが、あえてオススメする。
カナリヤ
日本のラジオ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2021/11/18 (木) ~ 2021/11/23 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/11/21 (日) 18:00
2015年に初演の作品の再演だが、初演は観てない。オウム真理教事件をベースにしたフィクション。面白い。80分。
登場人物のほとんどが何か異状性(誤字ではない)を持っていて、そこで交される会話も只事ではなかったりするのだが、それが普通に会話となる状況を描く。サリン事件の実行犯の前日譚と言った趣きの物語だが、普通じゃない人が普通に会話する怖さ、みたいなのを感じた。教祖が登場しないところがミソだと思う。
どうしよう 孤独だ 困ったな
第27班
王子小劇場(東京都)
2021/11/18 (木) ~ 2021/11/23 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2021/11/21 (日) 12:30
2018年初演の再演で、名前は前から知っていたが初見の劇団。いろいろと考えさせられる舞台だった。139分。
見知った役者は何人か出ているが、全く初めての劇団。誰もが一度はつぶやいたであろうタイトルをキーに、ゆるやかに繋がった10人の登場人物が、あれこれと悩みつつ騙しつつ信じつつ展開する群像劇。テキストも演技も見事にリアルだし、所々に、ありえねぇ、的な笑いも入り、巧妙な物語の進行も悪くはないのだが、なぜか納得できない気分が自分の中に沸き上がる。どうしてだろうか、と、いろいろ考えさせられた。
IN HER THIRTIES 2021
TOKYO PLAYERS COLLECTION
サンモールスタジオ(東京都)
2021/11/17 (水) ~ 2021/11/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2021/11/17 (水) 19:00
ある女性の30代の10年間を10人の女優が描く会話劇。面白い。観るべし!
同じ企画の20代版『IN HER TWENTIES』を2011年に上演し、2013年・2020年に再演した上野が、同初演で20歳の役を演じた榊の求めに応じて30代版を上演。『…TWENTIES』は全バージョン観てるが、2014年に大阪で上演された30代版は初めて観る。20代版の女性の30代を描くということになっているようだが、大学と社会人を描いた20代版とは違って、社会に出て役割をもらって…、という30代ならではの話題を同じようにして紡ぐ「技」は見事なもの。静かな会話劇だが、起伏もあり、葛藤もあり、演者の個性によってさまざまに変わるだろう作品をジックリ楽しんだ。
上野の女優の選球眼は私にピッタリはまるのだが、本作も個性ある女優が揃い、見応えありマス。中でも、石井舞は2006年から観ていて、今38歳、と思うと感慨もひとしお。
イロアセル
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2021/11/07 (日) ~ 2021/11/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/11/11 (木) 19:00
倉持裕の2011年初演作品の再演だが、初演は観てない。奇妙な味の面白い作品だった。
とある島の人々の言葉は、口から発したものも文字に書いたものも固有の色が付き、その色を視る機械を通して、誰が何を言ったか分かるために、慎重に発言するという態度になる。あるとき、本土から看守と囚人がやってきて、島に作られた檻に囚人が入れられるが、そこでだけは島の人の言葉に色がつかないことが分かる。そこで島の人たちは、その檻に来て、今まで話せなかった本音を語り始める…、という物語。このワンアイデアで書かれた物語は、発言の顕名性と匿名性による違いを描いて、興味深く展開する。
フルオーディションでキャストが選ばれ、2020年に上演する予定だったものを同じキャストで1年を経て上演された。アイデアの特性がちょっと分かりにくく、物語に入り込むのに時間がかかるのだが、面白い視点を与えてくれる。
目当ての山下容莉枝が冒頭からセレブ感いっぱいで登場し満足。
The Kitchen
TABACCHI
駅前劇場(東京都)
2021/11/10 (水) ~ 2021/11/15 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/11/10 (水) 19:00
初見のユニットだが、見知った役者がいっぱい出ていた。面白い。予想外の重い芝居。80分。
とあるフレンチ・レストランの厨房のみの舞台。そこで働く料理人や給仕達の群像劇。三々五々現われる登場人物達がランチに向かってただただ忙しく調理し給仕する様子が淡々と描かれる30分。昼の休憩からディナーに向かう50分で、さまざまな関係や事情が明らかになり、最後は…、がスゴイ。同ユニットのサイトにあるような「全国から集まった…」という感じがないのは勿体ないが、日頃コメディで観ている役者が多いので、笑わせながらもシリアスな展開は、ちょっとビックリした。久々に観る中田顕史郎と、本当に久しぶりに観た、せいのゆみ、の活躍にホッとする。エンディングは、暗転のタイミングが一瞬早い気がした。
僕らの爽やかな深爪
南京豆NAMENAME
王子小劇場(東京都)
2021/11/03 (水) ~ 2021/11/07 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2021/11/06 (土) 19:00
2度目の観劇となるユニット。若さを感じる芝居だった。時間があるなら観てほしいな。80分弱。
ダメ男に貢いで振られたテン子を巡る友人達、テン子に跳ねられた純情高校生とその友人、謎のテン子の同級生とその妹、などが絡み合って、ワケが分からん(誉めています)物語を展開する。ロジックで組み上げられた芝居ではないが、個々の場面は面白く、勢いある台詞回しに若さを感じた。「沁みついたものは離れられない」というのがテーマかなぁ。明るく終わるのもいい。最近観たものでは、強調するセリフを怒鳴る芝居が多かったので、そうではない演出は好感。
柔らかく搖れる
ぱぷりか
こまばアゴラ劇場(東京都)
2021/11/04 (木) ~ 2021/11/15 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2021/11/05 (金) 19:00
初見のユニット。不思議な感触の静かな演劇だった。90分。
父が亡くなっての葬儀の日。母・兄・姉(家を出て一人暮らし)・妹の家に、兄妹の従姉とその娘が一緒に住むことになる。その一年後の一周忌に向けての、この人たちと取り巻く何人かの、さまざまな出来事を淡々と描く。それぞれが問題を抱える人々だが、何となく普通に生きてる。何を言いたいのかが、何を描いているのか、よく分からないけど、感触は残る。久々に見た elePHANTMoon の菊池奈緒が健在なのが嬉しい。
廻る礎
JACROW
座・高円寺1(東京都)
2021/11/04 (木) ~ 2021/11/11 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/11/04 (木) 19:00
田中角栄3部作を上演したJACROWが、吉田茂(と日本国憲法)に挑む。いや、面白い!130分。
近過去の事実である政治的出来事の事実は活かして、こうだったんじゃないかな、と思わせる場面を芝居にする同劇団だが、田中角栄三部作はかろうじて生まれていたので記憶にあるものの、今回は私にとっても「歴史的事実」なので、興味深く観せてもらった。今の日本の骨格を作った吉田茂の判断の是非はともかく、そういうことなんだなぁと思いを深くした。吉田の娘の和子が麻生太郎の母であるというのは、事実としては知っていたが、芝居で具体的に提示されると、なんだかなぁ、の気持ちになる。序盤の松谷天光光の「生き残った私たちは死んではいけない」という演説には、今の時代だから思う深い意味も感じ取ってしまった。
フタマツヅキ
iaku
シアタートラム(東京都)
2021/10/28 (木) ~ 2021/11/07 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2021/11/02 (火) 19:00
iakuらしい、しみじみとした「いい話」だった。115分。空席があるのが勿体ない。観るべし!
iakuの芝居には、基本的に「悪い人」が出てこないのに、さまざまな行き違いでトラブルが起こるという物語が多い。本作もその流れで、休業中の売れない落語家とその妻を軸に、さまざまな人々のアレコレを描く。それぞれが相手を思いやっているのだが、それがストレートに出せなかったり、反発という形で表されていたりするあたりも、あーそーゆーことってあるよなぁ、と思って、横山拓也の作劇の妙が光る。3組のカップルが出てくるのだが、その収束の仕方が巧い。個人的にはザンヨウコの思いが切ない。
美術は4畳半二間続きの部屋を回転させて使うのだが、まっすぐにせず微妙な角度で見せるあたりも巧い。もちろん照明も見事。
THE BEE
NODA・MAP
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2021/11/01 (月) ~ 2021/12/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2021/11/01 (月) 19:00
何度も上演された作品が、新キャストで充実した。スゴイ。75分。
筒井康隆の小説「毟りあい」をベースにした「いやな話」だが、普通の人が悪人に変わる瞬間と、異常が日常になる瞬間は強烈である。夢の遊眠社・野田地図を通じて初めて野田が出演せず演出に徹した。
キャスティングが見事にはまっていたと思う。メインの安倍サダヲはピッタリな印象。何回か舞台を観ている長澤まさみだが、これが見事に役にハマリ、ちょっと美し過ぎるという感じもあるが(とにかく足が長い!)、無言での演技も強烈だ。これほど巧い人だったのかと驚いた面もある。川平慈英は軸になるいくつかの役を演じ分けるのだが、これが実に巧みで、瞬時に役が変わるあたりは巧さが見える。河内大和も独特の風貌を活かしつつも、周辺の役を巧くこなしている。身体能力を求められる戯曲なので、世代が少し変わったことで、新たな魅力を見せてくれたと思う。
客席の反応から、今回初めて見る人が予想外に多い気がした。初日ということもあって、拍手がなりやまずカーテンコール6回。もう1回観たいけれど、プラチナ・チケットで無理だろうなぁ(;/_;)。