jokermanが投票した舞台芸術アワード!

2017年度 1-5位と総評
プライムたちの夜

1

プライムたちの夜

新国立劇場

 人間そっくりの会話もできるアンドロイドが発明された2062年という近未来を舞台に、人間であることの意味や、AIとの接し方、さらに存在意義を問う日本初演作。夫を母を妻を失った人々を救うためのアンドロイドが、かえって違和感をもたらしてしまうというのは起こりそうな話だが、それらの数々を経てのエンディングは秀逸。人間とアンドロイドを描き分ける役者に2人いるが、演出の力もあるのだろうけれど、見事だった。浅丘ルリ子恐るべし。

LOVE 第1話

2

LOVE 第1話

シンクロ少女

名嘉友美の描く物語は、基本的に性的な要素を含んでいるのだが、それを含みつつも、ドロドロしたものにせず、微妙に揺れる男女の関係を巧みに描いた作品で、名嘉史上最高作と呼んでもよいような芝居になっていた。とにかく面白い。80分。見るべし。

グランパと赤い塔

3

グランパと赤い塔

青☆組

 懐かしい芝居だった。昭和44年、祖父母の家が取り壊されるということで久々に訪ねた母娘達が、一緒に暮らしていた昭和33年を回想する。ボイラー会社を経営する三世代の家族と、従業員やら居候やら女中やらの群像劇だが、当時7歳だった長女(今泉舞)をヒロインのように描くのは、青☆組では珍しい。東京タワーが建っていくのに連れて、物語は進み、余韻を残して昭和44年に戻って終わる。135分という上演時間も本劇団にしては長いが、それが意味を持つ長さになっている。私自身が、同じような三世代が同居した家に育ち、東京タワーの完成を見ているので、何だか懐かしい感触にとらわれた。しかし、そうでない世代が見ても、人間を暖かい視線で見る同劇団の本作品は、暖かい気持ちになれるだろう。

学園恋愛バトル×3!

4

学園恋愛バトル×3!

劇団だるめしあん

坂本鈴が書いた短編が3本しかないとは驚いたが、その3本を上演する。どれも古典にプロットを得つつ、現代に振り替えた恋愛に関する作品だが、そのブッ飛びぶりには頭が下がる。そして、それを役者陣もしっかり意識して、あえて過剰に演技することで、大いに笑えるフィクションとして再生されている。実に見事。また明日から頑張ろう、という気にさせてくれる舞台だった。

ベチャロンドン

5

ベチャロンドン

くによし組

シュールで不条理な國吉のストーリーが、怪優・菊池美里を得て、新たな地平に進んだという印象の作品だった。いや、いつものヘタウマ感はいっぱいなんだけど、それでも何か不思議な感触を残してくれる。セリフのキレも素晴らしい。

総評

このページのQRコードです。

拡大