
劇的
ポッキリくれよんズ
浅草九劇(東京都)
2026/05/01 (金) ~ 2026/05/05 (火)上演中
予約受付中実演鑑賞
満足度★★★★
観る前に人物関係図をよく見ていても、名前までは覚えられず名前と人物が一致しないまま観ていたが、親族+闖入者の間でいろいろあってワチャワチャやっているという認識で観ていれば支障はない。たしかに覚えにくい人間関係や簡単でない過去のいきさつが重要となるストーリーなので、「脚本家」なる人物が登場して部外者の立場で曖昧な点を「内部者」に質問したり彼らの説明を受けたりする場面が挟まれるのは、ストーリーを理解する手助けになって良い。ストーリーは巧みに構成されている印象で深みもある。手堅い丁寧な演技と非常に聞き取りやすい発音で演じられ、演出も無駄がなくシンプルでよくまとめられている印象。

軋み
Nana Produce
テアトルBONBON(東京都)
2026/04/23 (木) ~ 2026/04/29 (水)公演終了

メアリー・ステュアート
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2026/04/08 (水) ~ 2026/05/01 (金)公演終了

8hのメビウス(深化版)
ウンゲツィーファ
北千住BUoY(東京都)
2026/04/15 (水) ~ 2026/04/20 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
台詞まわしや題材はコンテンポラリーだがストーリー展開はしっかりしている。こんな仕事の給料で一家4人が食べていけるはずがないなと思っていたら、家賃半分だのクレジットカードだの、というエピソードが出てきて意外にリアリティもおさえている。俳優たちの演技も十分水準に達していて見応えあり。舞台空間の使い方も興味深い。芝居として楽しめるので、休憩なしの2時間20分でもつらくない。

ガールズ&ボーイズ
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2026/04/09 (木) ~ 2026/04/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
真飛聖板を観たが、非常に良かった。2時間通してテンション高めでしゃべりまくり、聞き手に向かって語る場面とわんぱくな子どもの世話を焼く場面が交互に現れ、俳優に要求される技量と負担は相当なものと思われるが、見事にこなしている。この手の一人芝居の場合、往々にして展開が抽象的で前衛的であったりナンセンスだったりするという印象があるが、この作品はそうではなく筋が通った展開があり、前述2つの場面も強く関連していて統一感がある。その統一感を、一人の俳優のパフォーマンスのみで創り出しており、その演技の実力は賛嘆せざるをえない。

ロスメルスホルム
ハツビロコウ
シアター711(東京都)
2026/03/24 (火) ~ 2026/03/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
なかなか良質な公演。当日パンフレットには、イプセンの中では「最も複雑で、多面的で、難解な作品」とあり、たしかに観念的・抽象的な台詞が少なからずあるが、今回の台本や演出では、複雑や難解というより、よく整理され受容しやすい印象があった。現代日本の観客に対して上演するには、イプセンの原作を紐解き何かに焦点を当てて現代化・構造化する工程が必須なのだろう。この作品は登場人物間の強い緊張を孕むストーリーであるが、本公演は緊張の中に繊細さを強く感じさせる演出・演技で感銘を受けた。その繊細さは主人公のキャラクターの反映や抑制された丁寧な演技、簡潔な舞台、場のつなぎで流れるラヴェルの静かなピアノ曲、演者の呼吸や間が観客にダイレクトに伝わる小劇場のアットホームな空間などから総合的に醸し出された効果だろう。この繊細な雰囲気があるから、最後の結末も「おいおい、どうしてそうなっちゃうの?」とならずに自然に受け入れ可能になった気がする。

ビッグ・フェラー
劇団俳小
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2026/03/22 (日) ~ 2026/03/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
中東紛争に匹敵する長く複雑な歴史がある北アイルランド紛争を題材にした作品だが、原作が原因なのか翻訳が原因なのか、今ひとつ活かしきれていないというか、ストーリーとしてまとまっておらず単に各エピソードが年代順に並べられているだけに感じられた。その間の時間間隔が長いので各エピソードが繋がっている感じは薄い。人間ドラマというにも少々弱く、淡々と進行していく印象。群像劇風で、タイトルロールの言動や内面にもっと焦点が当たって欲しい気がした。しかし、俳優たちはそのキャラクタを良く演じているし、日本人には縁遠い北アイルランド紛争に絡む本作を見つけてきて上演する意欲は評価したい。

サムとハロルド
劇団東演
東演パラータ(東京都)
2026/03/13 (金) ~ 2026/03/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
しっかりしたプロの演技で、すべてがふさわしい。ハロルド役の俳優は童顔に見え、中二病の多感な少年そのものという印象。作品も良い。決してそう思っているわけではないのにどうして衝突が起きてしまうのか、考えされられる。最後には希望が示される。ところで、店を閉めると言っているのに机やテーブルを並べてテーブルクロスまでかけるのはどうしてなのだろう。

欲望という名の電車
吉住モータース
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2026/03/12 (木) ~ 2026/03/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
篠井英介氏がブランチ・デュボアを演じるのは19年ぶりだそうだが、これが最後かもしれない。さすがの存在感で、このタイミングでこの人の円熟した高い完成度の演技を観ることができたのは幸せである。スタンリーやステラなど他の俳優たちも、篠井氏のブランチを引き立てるような、抑制されたしっかりした演技でまとまっていて、見事なアンサンブルである。舞台をコの字型に囲む客席配置で、自分は舞台サイドの席で観たのだが、柱が演技者と重なって邪魔になることが何度もあって気になった。それ以外は、篠井氏の演技を間近で観ることができて満足度が高い。

鹿鳴館異聞
名取事務所
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2026/03/11 (水) ~ 2026/03/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
前半は、古風で小難しい華族的な台詞回しが結構な早口で発せられるのであまり聞き取れず、いったいどういう設定の話なのかわからず、また「奥様」の言動が不思議なので少々混乱させられたが、話が飲み込めてくるとその詩的で格調のある、三島戯曲みたいな台詞回しが面白くなってきた。終盤でストーリーが大きく展開するのも驚きの印象。しかし、俳優たちはあんな、現代の日常では決して話さないような、難しくて舌がもつれそうな台詞回しをよくスラスラと早口で発音できるものだと感心する。さすがプロ。ただ、聞き取っても頭の中を右から左に素通りしていく台詞がたくさんあり(速いんで)、心の動きも含め2度観ないと完全な理解は難しいか。ところで火が付くのはどうやるんだろう。

シン犯人
Pカンパニー
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2026/02/25 (水) ~ 2026/03/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
とある県で起こった夏祭りでの毒物混入事件から着想を得ている。あの事件もこうだったのかもな と思わせる。歳の差カップルのエピソードが挟まれているが、本筋に若干絡んでくる。喫茶店内にバリアフリー無視の段差がついているが、そのおかげで見やすくなり、人の動線が空間を使ったものになっている。

リゴレット
新国立劇場
新国立劇場 オペラ劇場(東京都)
2026/02/18 (水) ~ 2026/03/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
リゴレット役とジルダ役の主役2名が非常に素晴らしかった。前者ストヤノフ氏は幅の広い表現で時に迫力のある声、後者中村恵理氏は高音が可憐で美しく、役にぴったり。他の歌手たちも遜色なし。傾斜をつけたメイン舞台の中の通路のような所を登場人物が移動する演出は不思議な感じがするが、見かけは比較的抽象的でシンプルな舞台装置をいろいろ考え巧みに用いている印象。

鵺が疾る(ぬえがはしる)
劇団青年座
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2026/02/15 (日) ~ 2026/02/23 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
実在した二人のフィクサーがモデルになっていて、史実からフィクションを巧みに創造・構成していくこの作家の作劇術はさすが。きな臭い展開は近代史好きにはたまらない題材であるが、この作家の特徴とも言える登場人物間の複雑な関係やストーリー構成はかなり難しく、特に今回は短い場面が連なってどんどん話が展開していく感じだったので、観劇中は筋を追うのに必死にならざるを得なかった。ある程度歴史的事実を知っていると登場人物の台詞や行動の意味が捉えやすくなるが、その点では観る者に対する要求レベルが高い作品か。観終わってから、歴史をネットで調べたりしながら各場面をゆっくり思い出し、「ああ、あの場面はこういうことだったのか」とわかってあらためて芝居を味わうことになる。2回観れば、2回目は物語や演技・演出を真に楽しめると思われる。史実としては2人のフィクサーは戦後は生き方が対照的になるが、その伏線が劇中に張られていたり、各登場人物たちの風貌がそれぞれのモデルに似ているのは興味深い。青年座による上演であるが、作家自身の劇団とはまた異なる雰囲気があり、徹頭徹尾シリアスな芝居の中にカラッとしたスマートさのようなものがあった。

黒百合
世田谷パブリックシアター
世田谷パブリックシアター(東京都)
2026/02/04 (水) ~ 2026/02/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
幻想文学の泉鏡花原作とのことだが、ストーリーは面白かったし、演出も、現代的でありながら古風な台詞回しや衣装で違和感なく楽しめる。魔所に入ってからもっと不気味な雰囲気や仕掛けがあったら良かったと思うが。

『ゴドーを待ちながら』『ゴドーを待ちながらを待ちながら』
アイオーン
赤坂RED/THEATER(東京都)
2026/01/30 (金) ~ 2026/02/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ゴドーを待ちながらを鑑賞。一部アドリブやセリフのアレンジを交えていたが、しっかりした演技と演出でこの作品の面白さや象徴的な意味合いを改めて感じ考えさせてくれる上質な舞台になっていると思う。ウラジミールの上着とエストラゴンのズボンが一セットなのは、死すら許されない二人が結局離れられないことの暗示なのか。佐藤氏のラッキーの悲痛な表情や動作が滑稽さと哀れさの強い印象を与え、一つの無意味な長広舌を除きセリフのない役であるが好演している。

『100歳の少年と12通の手紙』『ベイビーティース』
劇団俳優座
俳優座スタジオ(東京都)
2026/02/06 (金) ~ 2026/02/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ベイビーティースを鑑賞したが、なかなかつかみ所のない作品。一本のストーリーはあるのだが、薬がやたら出てきたり、心理的に不自然にしか思えない場面があったり、ストーリーにおける役割の不明な登場人物が現れて絡んできたりと、なんだかよくわからない。あの音楽教師は何?敢えてあっちこっち脱線するような作風の作家なのか?余計なことは考えず、純粋に演技のみを楽しむ観劇スタンスが良いのではないか。事実、俳優たちは演技に優れており、それが作品を鑑賞に耐え得るものにしている感がある。

The Weir~堰~
劇壇ガルバ
ザ・スズナリ(東京都)
2026/02/05 (木) ~ 2026/02/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
パブでいつもの仲間と新参者がいろいろ過去のことなど語る一晩のストーリーで特別何かが起こるわけではないのだが、手練れた俳優たちが演じているおかげで、味わいがあり、人生の哀愁や切なさを感じさせる。

エクウス
東京グローブ座
東京グローブ座(東京都)
2026/01/29 (木) ~ 2026/02/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
イマイチ感が否めない。主人公と馬との特殊な関係にもっと異様な強烈な印象がないと、結末がなんだか陳腐に感じてしまう。精神科医役が、医者という感じがあまりなく、頭でっかちなカウンセラーのお姉さん、あるいは新米医師という印象で、主人公との抉るような対決に全然ならない。脇が妙に重厚な布陣なのも違和感。精神科医役が千葉氏か津田氏だったらまたずいぶん違った芝居になっただろうな、と思ってしまう。主演のイケメン男優を見るための公演、ということなのか。
再現シーンと現在のシーンの対置や円環の演出は興味深い。

ある夜をめぐって
パンケーキの会
駅前劇場(東京都)
2026/01/29 (木) ~ 2026/02/04 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
「壊れたガラス」
初めて観たアーサー・ミラーの作だが、リアリティを感じにくい作品と思った。原作が悪いのか翻訳台本が悪いのか。セールスマンの死の劣化コピーという印象。難解というのとは違い、深みが感じられない。意味ありげのそれらしいセリフはたくさんあるが、核心の周りを無駄にグルグル廻るだけで突然話が飛んでしまい、深まらない。登場人物たちの言動も稚拙で、突然キレて怒りだしたり急に無関係な話に変わって明るくなったりと、感情の動きにリアリティを感じられない。医者も治療中にえらく個人的なことをやるものだ。
「エーリッヒ・ケストナー~消された名前~」
日本人作家が、ナチズム時代のドイツを舞台に実在の人物たちを描いているが、非常に優れた戯曲。ナチス台頭前から終戦までのドイツ社会の変化と登場人物たちの変化を緊密に描いた台本で、演出もそれを活かしている。登場人物たちの感情や心理の動きは単純ではないが自然なので、俳優たちの演技もリアルに見える。客席が舞台を挟む構造は、時に手が届くほどに俳優と観客を近づけ、演技を間近で堪能できる。俳優たちの演技はいずれも優れ、特にケストナー役とロッテ役は最高に素晴らしい。

MOTHER
Kingfisher
ザ・ポケット(東京都)
2026/01/21 (水) ~ 2026/01/27 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
誰かの死などをきっかけに親族・関係者だけでなく無関係な人まで集まってきてそこで過去の真実の暴露やら現在のゴタゴタの発展と解決やらがいろいろ目まぐるしく起こる、というよくあるパターンの芝居だが、うまく面白く作られている。チーム太陽で観たが、各俳優たちが適材適所という感じでよく填まっており、リアルさがあった。