FIGの観てきた!クチコミ一覧

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『いつものオーロラが割った夜』

『いつものオーロラが割った夜』

月波兎

ザ・ポケット(東京都)

2025/11/27 (木) ~ 2025/12/01 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

ギャグ漫画がテーマの一つになっているためか、演技や演出でかなりギャグ的な要素が強くなっていると感じる。ただ、少々うるさい。無理に大声を出すためか、俳優陣の中には声がかすれ気味で、大声・早口の場面など聞き取りにくくなっている人もいたよう。

飛び立つ前に

飛び立つ前に

東京芸術劇場

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2025/11/23 (日) ~ 2025/12/21 (日)上演中

実演鑑賞

満足度★★★

ミステリアスで繊細な心理劇と銘打たれているが、自分にはまるで不条理劇。設定が最後まで理解不能になっており、不条理劇と思って観たほうが良い。不条理劇と思って観たところで心に残るものはあまりない。何もこんな構成にしなくても、という気がする。この作品で全国を回るのか。起承転結の一貫したストーリーがあると思って観る人が多いのではないかと推測するが、そういう作品ではない。橋爪功さんの演技はさすが。本当に半分認知症に見えてしまう。

一九一四大非常

一九一四大非常

劇団桟敷童子

すみだパークシアター倉(東京都)

2025/11/25 (火) ~ 2025/12/07 (日)上演中

実演鑑賞

満足度★★★★★

よく毎度毎度これほど高水準のドラマ構想と舞台化、そして演技のパフォーマンスができるものだと感嘆する。それにしても、大混乱でてんてこ舞い状態の現場に下手に偉いさんが行ってはいけないな。

『人の香り』『他人』

『人の香り』『他人』

Pカンパニー

西池袋・スタジオP(東京都)

2025/11/20 (木) ~ 2025/11/26 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

いずれも現代的な作品で女性的な感性(今の時代はこういう表現も躊躇されるが)が煌めく佳作。タイトルが意味深。その意味は観てみないとわからない。むしろ、タイトルをキーワードにして作品を読み解いてみるという鑑賞スタンスが良いかも。
・洗濯物を畳む作業が全然進まない。あれだけ時間をかけてちゃんと畳んだのはバスタオル2枚?
・ダブルをわざわざクィーンと言い換えさせるところはリアリティの追求が妙に細かい。時計が落下したが、ああいう留め方だったのか。

THIS HOUSE

THIS HOUSE

JACROW

新宿シアタートップス(東京都)

2025/11/19 (水) ~ 2025/11/25 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

JACROWで翻訳物を初めて観たが、まるでJACROWオリジナルのようなテイストになっている。舞台設定はまさに今の日本の状況と見紛うほどだが、ストーリーはかなり面白いし、政治的駆け引きだけでなくちゃんと人間ドラマになっている。長大な歴史や政治の芝居は下手すると筋を追うだけの退屈な劇になりかねないものだが、本公演は字幕の使用や歌、俳優たちの動線など演出が良く考えられていて飽きさせない。こういう作品はJACROWが本当に巧い。

ヴォツェック

ヴォツェック

新国立劇場

新国立劇場 オペラ劇場(東京都)

2025/11/15 (土) ~ 2025/11/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

舞台の上に小舞台をのせて、場面転換時はそれを動かして舞台を入れ替える、という、国の劇場の恵まれた条件を利用した演出。それが効果を上げているとは言い難いと感じるが、しかし、この劇場の舞台横のスペースはどれだけ広いんだ?
やはりこの作品は演劇よりベルクのオペラのほうがいい。こんな退廃的なストーリーなのに、最後、児童合唱を登場させて無調音楽を歌わせるとは。本公演では、それが冒頭シーンと同一の状況になっていて繰り返しを暗示する演出は興味深い。

狩場の悲劇

狩場の悲劇

ニ兎社

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2025/11/07 (金) ~ 2025/11/19 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

チェーホフの珍しい作品の舞台化と思って行ったが、かなり脚色されているのか、おちゃらけとまではいかないがシリアスさもないかなり軽いユーモラスな台本と演出になっている。チェーホフも初期はユーモア小説をたくさん書いているらしいので、原作もこんな雰囲気なのかもしれない。

存在証明

存在証明

劇団俳優座

シアタートラム(東京都)

2025/11/08 (土) ~ 2025/11/15 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

数学者や物理学者を主人公にした演劇作品はいくつもあるが、これは日本人作家がイギリス人数学者の世界やその関係者を物語にして書いているので意外な印象。ゼータ関数の話はかなり難しいが聞き流せばよく、素数が何かさえ知っていれば硬派なストーリーの理解はそれほど難しくない。本筋から派生する患者ベリルに絡む話など謎解きの要素もあって楽しめる。この手の作品は時として哲学的・抽象的になりすぎることがあるが、これはそうではなく、十分芝居として楽しめる。タイトルの「証明」という言葉はこの作品全体を象徴していると感じられ、時に論理的、時に詩的な表現になる。舞台装置・背景そして演出がなかなか良く、名優揃いの劇団の実力が遺憾なく発揮され重厚な作品になっていると思う。特にハーディ教授の志村氏が秀逸。

ヴォイツェック【公演初日9月22日から23日に変更】

ヴォイツェック【公演初日9月22日から23日に変更】

パルコ・プロデュース

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2025/11/07 (金) ~ 2025/11/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

原作が未完なのでいろんな解釈・構成の脚本が存在するようで、本公演は近年ロンドンで上演された版の翻訳台本で、原作にはない場面や登場人物が加えられているようだ。
ベルクのオペラ版と比べると、本公演はどこが原因なのかわからないが心理的な内面の描写や不条理さの表現などが今ひとつ薄っぺらく感じられた。クライマックスに向けて狂気が緊張感を伴ってぐんぐん盛り上がっていくという印象は少なく、むしろ淡々としている。子どもと母親が絡む場面が複数回挿入され主人公の心の歪みの端緒が仄めかされているようだが脈絡がなくあまり効果は感じられない。個人的にはベルクによる十二音主義の濃厚で異様な音楽が付けられたオペラ版の構成・表現のほうが面白い。言葉を超える音楽の力か。

かもめ

かもめ

劇団 新人会

上野ストアハウス(東京都)

2025/10/29 (水) ~ 2025/11/03 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

実力ある俳優陣の優秀でオーソドックスな演技で安心して鑑賞できる。衣装はいささか違和感があるが、細かいところは気にしないほうがいいのだろう。生演奏が良い具合に視聴空間を埋める。本作品のクライマックス、ニーナがトレープレフに再会するシーンは、ふたりの内面を照らし出すかのような蝋燭ランプの明かりが効果的で印象に残る。

不愉快犯~別府三億円保険金殺人事件~

不愉快犯~別府三億円保険金殺人事件~

ハルベリーオフィス

小劇場B1(東京都)

2025/10/22 (水) ~ 2025/10/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

なかなか面白い巧みな台本と演出で、最後まで目が離せない。いしだ壱成さんは貫禄ある俳優になったもので、この作品では存在感というかキャラクター性が抜群。

白貝

白貝

やみ・あがりシアター

浅草九劇(東京都)

2025/10/08 (水) ~ 2025/10/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

謎解きのようなもので、かなり入り乱れた感じで類似の場面が何度も繰り返されながら少しずつストーリーが進んでいくが、設定が少々馬鹿げていても面白いし笑わされる。俳優たちは若く溌剌とした演技を見せてくれる。

マクベスに告げよー森の女たちの名前を

マクベスに告げよー森の女たちの名前を

MyrtleArts

劇場MOMO(東京都)

2025/10/09 (木) ~ 2025/10/13 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

台本が良くできていて面白い。このテーマにマクベスを絡める着想がなかなかのものだが、原作者の本当の実感なのだろう。桟敷童子の2人の俳優がそれぞれ個性を活かした演技で活躍しているなと思ったら、演出が東憲司氏だったか。

埋められた子供

埋められた子供

劇団昴

Pit昴/サイスタジオ大山第1(東京都)

2025/10/03 (金) ~ 2025/10/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

プログラムに書かれていたが、作者のサム・シェパードはベケットに傾倒した時期があったらしい。不条理で、暗くギスギスした、ショッキングな作品。
なんだか変で独特な登場人物たちを演じる俳優たちの演技は優れており、この作品のグロテスクな雰囲気を上手く伝えている。特に父親役は凄い。演出も独特で、家の中であるはずの舞台上には砂が敷きつめられ、その上で時に激しい演技をするので砂埃が舞い上がり、俳優たちは砂まみれになる。床が砂で埋まっている不自然さが汚らわしさや不気味さを高める。意図されたことと思うが、狙いどおりなのではないか。

砂漠のノーマ・ジーン

砂漠のノーマ・ジーン

名取事務所

「劇」小劇場(東京都)

2025/09/26 (金) ~ 2025/10/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

台本が非常に優れており、空想の会話で語られる物語の世界に引き込まれた。家族の複数の人物を演じる森尾舞氏の演技が実に素晴らしい。ほとんど一人芝居。この演技がなければ成り立たない作品だろう。

成り果て

成り果て

ラビット番長

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2025/09/24 (水) ~ 2025/09/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

物語がとても味があってしかも面白く、良くできている。舞台装置もよく考えられている。

霧ぬけて

霧ぬけて

劇団俳優座

俳優座スタジオ(東京都)

2025/09/19 (金) ~ 2025/09/30 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

群像劇風に少々変わった人たちやメンタル病んでいる人たちが出てきていろいろ発生し、その展開自体は面白い。ただ最初、人間関係がわかりにくいままストーリーが進んでいくので、事前に配布されるプログラムの登場人物に目を通しておいたほうが良い。

柿喰う客新作本公演2025『超音波』

柿喰う客新作本公演2025『超音波』

柿喰う客

ザ・スズナリ(東京都)

2025/09/19 (金) ~ 2025/09/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

この人気劇団を初めて鑑賞。自分の好みの演劇スタイルではないが、なるほど人気があるのがわかる。機関銃のように早口で連射される台詞、しかもなかなか面白い言い回し(速すぎて聞き取れないこともあったが)。活発な動きやシャープなダンスもあり、俳優たちは良く訓練されているな、という印象。90分あるかないかぐらいの時間だったと思うが、場面数が多くあれほど大量のあまり脈絡のない台詞やダンスをよく覚えられるものだと感心。

十二人の怒れる男

十二人の怒れる男

ハツビロコウ

小劇場B1(東京都)

2025/09/18 (木) ~ 2025/09/23 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

舞台版としては、この作品の設定を模した別作品を何度か観たことがあるが、オリジナルは初めて観た。ヘンリーフォンダ主演の映画も良いが、観客が視点を自由に選んで見たいキャラクターを見ることができる点で映画より演劇のほうが向いている作品と思う。B1独特の客席配置は、座席位置による見る角度の違いによる異なる印象を観客にもたらすだろうと思われ、この点も演劇の面白さと言える。原作についての知識がなく映画しか見たことがないが、本公演は奇を衒わないオーソドックスな台本と演出と思われる。幕切れのしかたは映画版よりこのハツビロコウ版のほうが明らかに良い。客演の桟敷童子の俳優さんは所属劇団でも性格俳優的というかあのような特徴的な役を演じられることが多い気がするが、本作でも重要な役に見事に塡まっている。

さまよえるオランダ人

さまよえるオランダ人

東京二期会

東京文化会館 大ホール(東京都)

2025/09/11 (木) ~ 2025/09/15 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

9/13(土)を鑑賞。音楽的には高水準だったと思う。ゼンタ鈴木氏の声・歌唱ともにすばらしいし、エリック、ダーランドもその役に絶妙なふさわしさ。マイクの助けもあるのだろうが、大規模なホールでの上演である以上、やむを得ない面がある。上岡指揮のオーケストラもきびきびした緊張感ある音楽を奏でる。
オペラでは非常にしばしば読み替えの演出が鑑賞の妨げとなるのだが、これはそういう変なのではない。しかし、いろいろ意図がわからない点はある。舞台後景は険しい岩場のような場所で、通常あるような海や船が見えなかった。これほど船や海を強調しない演出は初めて見た。オランダ人はこれまで見た中でもっとも不気味な風体というか、まるで幽霊船の怨霊のよう。ホラーであり、あんなのに惚れ込み救済しようとするゼンタはやはり頭がぶっ飛んでいると確信した(エリック助かった)。糸車のシーンでは、舞台上には糸車はなく女たちは舞台袖から延びたロープを引っ張るのだが、あれではオランダの風車のような巨大な糸車の化け物があることになる。オランダ人の船の乗組員とおぼしきカラフルなハイカーたちはあまりにも場違い。いったいなんでこんな恰好をさせたのだろう。終幕のシーンは、オランダ人とゼンタがめでたく結ばれ救済が成就した、とでも暗示しているのだろうか。

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