蜜季の観てきた!クチコミ一覧

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ミュージカル 『SPY×FAMILY』

ミュージカル 『SPY×FAMILY』

東宝

博多座(福岡県)

2023/05/03 (水) ~ 2023/05/21 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

配信で鑑賞しました。

美術・場面転換・演出が非常に良かったです。
ロイド役ヨル役の歌唱力が少し惜しく感じました。他のキャストの歌や美術や演出が分厚かったために浮いて見えただけかもしれませんが…。Wキャストが別パターンだと違ったのかもしれません。

内容は忙しい人向けのスパイファミリーという感じで、結構駆け足ながら「ここにこれだけ時間を割くならこっちをじっくりやってほしい」みたいなストレスはなく、バランスは良かったと思いました。ただ、原作漫画もしくはアニメを見ていない人が着いていけるか微妙なスピード感ではありました。

モニターやマッピングなど映像の使い方にがっかりすることもあるのですが、こちらの作品は文字で見た方がわかりやすい言葉を表示したり部分的に使うような感じで、大変効果的だったと思います。

ロミオ&ジュリエット

ロミオ&ジュリエット

ロミオ&ジュリエット製作委員会

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2023/01/28 (土) ~ 2023/02/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

シェイクスピア作品の経験値が低めで、小説で読んだことはありますが舞台としては10年以上前にDVDで1本見たことがあるのみでした。ロミオとジュリエットはざっくりストーリーの流れを知っていた程度です。

全体的に原作よりは現代風な雰囲気になっているのに、セリフは"シェイクスピア"なので耳を滑るというか理解に時間を要しました。表現が詩的すぎ・文章も硬すぎで、すごく「セリフを言ってる」感が強く、浮いていたように感じました。更にそういう台詞を言うのが恐らく大変なので早口で遠くに届かない、目の前の人に話すような声で捲し立ててる感じになっている出演者が多くて惜しかったです。
そういう硬くて回りくどいような台詞こそがシェイクスピアなのだ、と言われればそれまでなのですが、出演者の顔ぶれ的に客層は若い女性が多く、聞きなれない言葉のリスニングに必死で内容に入り込めなかったのは多分私だけではなかったと思います。セリフももっと現代に寄せてアレンジしていても良かったんじゃないかなと思いました。舞台美術は良かったと思いました。

幾つの大罪

幾つの大罪

TEAM NACS

森ノ宮ピロティホール(大阪府)

2023/04/28 (金) ~ 2023/04/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

名前に散りばめられた「七つの大罪」がただのモチーフではなくストーリーの要素として意味を持つなら、事前の情報では役名を伏せておいたり苗字のみ開示しておくなりしておいて欲しかったのが正直なところ。キャラ名が公開された段階で気づいてしまい、ある程度の予想をつけられてしまったので、ネタバラシパートで退屈してしまった。ラストにもうひと展開あったのは良かったが、釈然としない後味であまり好みではなかった。

舞台『刀剣乱舞』山姥切国広単独行 -日本刀史-

舞台『刀剣乱舞』山姥切国広単独行 -日本刀史-

舞台『刀剣乱舞』製作委員会

京都劇場(京都府)

2023/10/26 (木) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

これまで映像で数本観ていましたが、今回初めて劇場で刀ステを観ました。おそらく刀ステの中では特に珍しいタイプの作品を引いてしまったらしいな…と思いました。シリーズでいきなりこれだけ観る人も少ないと思いますが、シリーズを追っているファン向けディスクといった印象。

ネタバレBOX

前半は歴史の授業のようで正直少し退屈に感じましたが、後半の三日月宗近に思いを馳せるシーンで「おそらくここまでの全てが"これ"をやるための流れだったんだな」と腑に落ちました。陳腐な言葉ですがめちゃくちゃエモくて素直に鳥肌が立ちました。
LILIUM -リリウム 新約少女純潔歌劇-

LILIUM -リリウム 新約少女純潔歌劇-

ワタナベエンターテインメント

梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(大阪府)

2023/04/28 (金) ~ 2023/05/03 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

初演版はDVDで観ていたのですが、ストーリーの本筋は変わらないながら全く新しく生まれ変わっていて良かった。
『二輪咲き』や『マリーゴールド 』など、後続作品の要素が足されている部分は、少し継ぎ目が荒いように感じた。

初演から継がれた楽曲もブラッシュアップされ、新曲も好きでした。どうにかCDなり配信なりで音源も買わせて欲しかったです。

チェンソーマン ザ・ステージ

チェンソーマン ザ・ステージ

「チェンソーマン」ザ・ステージ製作委員会

京都劇場(京都府)

2023/10/06 (金) ~ 2023/10/09 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

めちゃくちゃよかったです。
2.5舞台はたまに見る程度で自分にとってメインのジャンルじゃないのですが、今まで観た2.5舞台で一番良かったと思いました。

映像投影と実物を用いる演出のバランスの良さ。個人的に舞台で映像に頼りすぎていると冷めてしまうのですが、大きい悪魔との戦闘シーンですら映像はあくまで表現を補う役割で、実態があるものは殆ど人力で表現するという選択が効いていました。

また、各悪魔の顔の造形が非常に似ていて、再現度がとても高かったです。幽霊の悪魔なんかは特に不気味でよかった。チェンソーマンやサムライソードはどこに覗き穴があるのか分からないくらいのマスクなのに激しめのアクションシーンがあり、かなり興奮しました。

一番嬉しかったのは、ストーリーが上手にカットされていたこと。アニメで言うと1〜12話の300分くらいで描いた尺が180分程度でまとめられていましたが、シーンの取捨選択が良かったと感じました。原作アリの2.5舞台で「ここじっくり見たいのに全体的に駆け足すぎて薄味…」「原作履修してなかったらついていけないのでは?」と思うことが個人的に多いのですが、チェンステはその辺りが気になりませんでした。切るとこは切って、端折れるところは端折って、じっくり見せるところはじっくり…の塩梅がとても良かったと思います。

2.5系作品の一つの正解・理想のかたちが見れた感触で、大満足でした。

SQUARE AREA

SQUARE AREA

壱劇屋

近鉄アート館(大阪府)

2023/11/04 (土) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ずっと生で観てみたかった作品!
以前映像で見た事があったのでストーリーは知っていましたが、復習せずにうろ覚えの状態で観劇しました。

ずんずん響くライブのような音響の心地よさは現地ならでは。演出もパワーアップしていました。
ストーリーも、キャラクターそれぞれのバラバラのような経緯が一本に繋がっていくところが気持ちいい。
ただ、ゲスト以降の後半シーンあたりは風呂敷を畳む段階が少し駆け足すぎるように感じたので、もう少しストーリーを咀嚼する時間が欲しかったかも。

gagap

gagap

ENG

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2023/11/22 (水) ~ 2023/11/26 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★

配信で視聴しました。

最初の演出から印象的で、グッと惹きつけられました。
魅力的なキャラクターがどんどん出てきて、切なさもあるストーリーながら非常に楽しい作品だと感じました。
ただ、キャラクターが多すぎて、それぞれの個性や関係性を掘り下げきれなかったような印象がありました。

W/E

W/E

壱劇屋

扇町ミュージアムキューブ・CUBE01(大阪府)

2023/12/29 (金) ~ 2023/12/30 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

同じ根幹を感じることもありながら全く違う作風の東西壱劇屋。

二つに分かれてから数年経ち、どちらか片方の作品しか見たことがないファンも増えてきたなかで、短編でどちらの特徴も味わえる貴重な機会でとても楽しめました。

約30分ずつ×3本というかたちでしたが、どれも物足りなさや不完全燃焼感がなかったし、別作品の使い回しで茶を濁すのではなく、それぞれ今回のための新しい表現や演出が見られたのがとても良かったです。

煙突もりの隠れ竜

煙突もりの隠れ竜

壱劇屋

ABCホール (大阪府)

2023/08/18 (金) ~ 2023/08/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

壱劇屋さんの舞台は今まで何作か観てきましたが、今回は新作かつ珍しい雰囲気の作品でとても楽しめました。

約150分と長めの作品でしたが、普段の壱劇屋東京支部の作品に比べて笑いどころやほっこりとした場面も多く、適度にリラックスして見られたこともあり最後まで飽きたり退屈さを感じることなく楽しめました。
これ以上短くするのが難しそうだということは理解できる一方、この辺がお尻の限界ラインなので休憩あり形式でもいいのかも。

今回BGMとの相性や音量、会場の座席差などによってか、声が聞こえにくい箇所があるなど惜しい部分もありましたが、それを差し引いても個人的にかなり満足できました。

子ども向けアニメのようなファンタジーな世界観でもありつつ、決して子どもだましではなく、それぞれのキャラクターの抱く思いや葛藤に心動かされました。
衣装もさまざまで、キャラクターがどういった立場なのかよく表れていて良かったです。

多彩なキャラクターたちが皆いとおしく、大好きな作品になりました。

ネタバレBOX

大きな竜の人力CG演出、非常に迫力がありかっこよかったです!こう来たか…!と興奮しました。
Pickaroon! -ピカルーン-

Pickaroon! -ピカルーン-

壱劇屋

すみだパークシアター倉(東京都)

2023/06/24 (土) ~ 2023/07/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

今回再再演となる作品。
初演のみ観たことがありましたが、言うまでもなくパワーアップしていて、改めて好きな作品となりました。

今回はWキャストになっていたこともあり、全然違った面を見ることができ、面白かったです。
ストーリーは同じでも演じる役者によって味が変わることはこれまでも再演もので感じてきたことでしたが、今回は男性の俳優と女性の俳優がWキャストとして回替わりで同じキャラクターを演じることもあり、非常に新鮮でした。そのどちらのキャストでも魅力的に仕上がっていたと感じました。

135分と聞いた時は正直長いかなと思いましたが、実際観てみると70分くらいに感じるほど退屈する間もなく惹きつけられました。

後半はあるシーン以降泣き続けていたように思います。泣かせる舞台イコール素晴らしいということはないですが、アツくて切なく、それでいて清々しい気持ちにさせてくれる作品でした。

マッシュル-MASHLE- THE STAGE

マッシュル-MASHLE- THE STAGE

「マッシュル-MASHLE-」THE STAGE製作委員会

AiiA 2.5 Theater Kobe(兵庫県)

2023/07/15 (土) ~ 2023/07/17 (月)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

配信で鑑賞。

これに限らず2.5系舞台の作品に対してよく思うことですが、スピードが早すぎるなと思いました。
私は事前にアニメを見ていたのでさほど問題なかったですが、漫画なりアニメなりで原作の流れを知っていないと着いていくのが大変なのではないかと思いました。もっとじっくり見たいと思うシーンが一瞬で終わってしまうのが物足りなく感じた。

とはいえ、限られた時間の中で工夫されていることはわかり、ストーリーに影響がない程度にカットされていて良かったと思う。

魔法を使えるキャラクターは歌唱で表現する工夫も面白かったですし、映像投影も効果的に使われていて、映像に頼りすぎていないところが好きでした。

カタカナのキャラクター名や用語が多いため、映像を投影して文字で見せていたのがとても良かった。聞き取りがあまり得意ではないので補助として大変役立ちました。

ネタバレBOX

戦闘シーンの矢印や泥などが人力で演出されていて面白かった。
ラスボスである大きな敵を映像投影で済ませず、再現度の高い演出がされていて迫力があり素晴らしかった。
だからこそもっと戦闘シーンをじっくり見られたらなと思いました。
6人の悩める観客

6人の悩める観客

壱劇屋

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2023/03/03 (金) ~ 2023/03/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

小劇場のあるあるというか「メタ」が沢山詰まっている舞台だった。

正直少し不快に感じたり見ていられないようなシーンも実際にあったのだが、身内ノリも、このご時世でやると不快に思う人が出そうな攻め方もコミコミで「小劇場演劇の(良くないところの)あるある」としてわざと描かれているのだと思った。

演出と構成の面白さで、それらも多少飲み込みやすく感じた。(少なくとも、見終わった後に「つまらなかった・不快だった」というような感想には個人的にはならなかった)

荒人神 -Arabitokami-

荒人神 -Arabitokami-

壱劇屋

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2022/12/21 (水) ~ 2022/12/27 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初演上演当時に鑑賞した時も素晴らしかったので期待値高めで再演を観劇しましたが、更に期待を超えてくれました。

大まかなストーリー自体は変わりませんが、初演からの演出の変更点が衝撃的で、初演鑑賞済でも新鮮に興奮しました。

そして、このご時世下で五ヶ月連続上演というリスキーな企画を完遂してくれたこと。色んな方にとって希望となったことと思います。
本当に素晴らしい観劇経験をありがとうございました。

定位

定位

StarMachineProject

KAVCシアター(兵庫県)

2022/09/01 (木) ~ 2022/09/03 (土)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★

配信で視聴しました。配信といってもよくある配信用のサービスを利用してではなく、これ用の仮想空間が用意されており、実空間とはまた違った趣きがあり面白い試みでした。

かなり人を選ぶ作品ではあると思いますが、これはこれでと割り切ってしまう方が良いと感じました。(王道のラーメンが食べたくて足を運んだが創作料理屋でがっかりだった、のようなコメントが目立つので。)
この作品がこういった質感の作品であることは事前情報で提示されていた範囲内で充分察することができたと思うし、自分に向いているかどうかは予め判断出来たのではないかと。ふらっと立ち寄ったというならそれはそれで、向き不向き当たり外れにはある程度寛容になるものである気がする。
私自身王道のラーメン的作品が好みではありますが、たまにはこういった味わいも悪くないという受け止め方をしました。

バラバラに見えて一本のテーマから枝分かれしたようなパフォーマンスで、新鮮でした。

心踏音 -Shintouon-

心踏音 -Shintouon-

壱劇屋

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2022/10/19 (水) ~ 2022/10/25 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

初演時に観劇し思わずおかわりをした演目。
また観られるならと東京へ。

ストーリーの流れは知っていましたが、初演に比べてより理解しやすく演出を工夫されていたと思います。
再演で追加された時間が巻き戻る演出はなかなかの長尺で、それを実行してしまう挑戦的な所に魅力を感じるとともに、技術に対する感心が大きく、ストーリーから少し現実に戻されてしまった気がしたことが惜しく感じました。

盲人役の吉田青弘さんとフミ役の今中美里さんが初演と同じキャスティングで、キャラクターの関係性などからして、このお二人が続投だったことがとても嬉しかったです。

code:cure

code:cure

壱劇屋

ABCホール (大阪府)

2022/07/29 (金) ~ 2022/07/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

壱劇屋2年半ぶりの本公演ということで楽しみにしていました。1回しか観劇出来ませんでしたが、刺激のある舞台でした。

ストーリーは好みが分かれそうかなという印象です。
私自身は、好きな部分も複数あるけど、全体通してとても好きかと言われればそこまでかな…という感じでした。
題材である治験×ループものという点は面白かったですが、途中量子力学に関わるような内容が入った時、知識がないもので「難しい話だ…」と身構えてしまい、失敗しました。笑
この点を「理解しないと話がわからない」のか「ふんわり解ればオッケー」なのかがその時点では分からないので、理解が追いつかないことに焦ってしまいました。
観終わってみれば理解出来なければ楽しめないというわけではなく、また、台本を購入して読んだり、回を重ねれば解ることが増えて味が濃くなる内容だったので、ファンほど面白かったんじゃないかと思います。
個人的には1公演の上演時間内では捌ききれなかったなと思います。

ただ、それを差し引いても「パフォーマンス」「映像」「音響」「照明」「美術」など、演出面での満足感が非常に高く、総合的に見てとても楽しめました。

act#015『夢を盗みて』

act#015『夢を盗みて』

STAR☆JACKS

ABCホール (大阪府)

2022/06/17 (金) ~ 2022/06/19 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

日程調整が難しかったため、配信にて拝見しました。配信があること・日替わり部分も全て見られるようになっていること、非常にありがたかったです。

出演者の方も多く、殺陣シーンやダンスシーンが華やかでした。ABCホールでの上演なので人数がいても手狭に感じることもなかったです。
ごちゃまぜカーニバルと銘打たれている通りの、15周年記念のめでたい感じが楽しめました。

事前情報をほぼ全く入れずに見てしまい、公演情報にもある「難しいことは考えるな!感じろ!これは唯の超娯楽舞台!」を確認出来ていなかったので、正直ところどころ気になってしまう所はあったのですが、その文言を踏まえて見ていればあまり気にならなかったのかなと思いました。

以降ネタバレBOX。

ネタバレBOX

公演内容を含みます

・1番気になってしまったのは市と入れ替えられ身代わりになった赤子のことでした。どちらの両親にも大事に想われている描かれ方はしていたものの、それでもまだ、生まれたばかりの我が子を差し出している割には埋蔵金夫婦の手放し方があっさりしているように感じました。埋の私たち家族の命も差し出す、のようなセリフも、自分では拒否することが出来ない赤子を身代わりに出すむごさを必要以上に感じてしまい、かなしくてなかなか本筋のキャラクターに感情を向けることが難しかったです。

・本編前の字幕(あらすじというか舞台設定が投影される部分)が読みにくく感じました。流れが少し早く、漢字が多くなったりして文字数が詰まる文が入ると、理解するまで時間がかかり、読むのが間に合わない部分がありました。途中で読むのを諦めましたが本編だけでも充分理解が出来たので、もっと簡潔な内容に要約し、遅めのスピードで投影されていたら良かったと思いました。

・本筋でスポットのあたる親子関係の描かれ方は良かったと思います。実の親と育ての親の蹴りの付け方というか、この場合は育ての親の方に比重をかけて欲しかったので、そのようにまとまったことが嬉しく感じました。赤子の頃に別れ、実の親が石川五右衛門であったと知らずに育った市が、育ての親を差し置いて産みの親に執着しすぎると違和感ですし、実の親子に通う愛の方を描かれすぎてしまうと、どうしても埋と金蔵の身代わりになった子のことも過ってしまうのであの塩梅でまとまって良かったと思いました。徳川の親子関係もアツく、色んな家族像が描かれているのが良かったです。

・夢の中で盗みをする設定が面白かったです。時代劇のような雰囲気はあるものの、その設定によって真新しい印象が足されていました。最初は、その時代のひとの夢が現代的な内容なのを不思議に思ったのですが、時代がガラッと変わることによって夢の中と現実の差をくっきり分けられていたので理解しやすかったです。演出として有効だなと思いました。

・個人の好みに拠りますが、ギャグシーンが多く感じました。(多いというか、長いというか)娯楽に振った作品ということなのでギャグシーンが多くても楽しくていいのですが、私個人としては物語の流れを邪魔しない程度にギャグがあるほうが好みなので、流れが止まるたび少し現実に引き戻される感じがしてしまいました。

・日替わり部分は、過去公演に出演された役者さんがその時のキャラクターで登場し、パラレル的な交流をするという、周年記念ならではのファンへのご褒美要素ですね。「じんない」がはじめて観たSJ作品だったので、非常に楽しめました。夢の中での出来事なので、何が起こっても良いというか、はちゃめちゃなシーンになっても筋が通るなと思いました。

気になる所もありましたが、ファン感謝祭的な作品としては非常に楽しめる作品だと思いました。
猩獣 -shoju-

猩獣 -shoju-

壱劇屋

ザ・ポケット(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

大阪で2019年に上演された再演猩獣ぶりに壱劇屋のワードレス舞台を観てきました。

全編セリフなしの殺陣舞台ですが、セリフが無かったことを忘れるほど物語も登場人物の感情も伝わってきますし、むしろセリフが聞こえてくるような感覚さえあります。

上演時間80分くらいのうち、本当に8割くらいずっと殺陣アクションで構成されており、迫力満点でした。東京支部の作品は暫く配信や映像で観劇していましたが、目の前で繰り広げられる、こちらへ飛び出してくるかのような殺陣も、ライブのようなズンズン響く大きめの音響も、実演鑑賞ならではで興奮しました。

また、各キャラクターが衣装なども含め魅力的でした。ただ焼き直しで再演するだけでなく、演じるキャストによって演出を変えるなどして最大限の魅力を引き出していると感じました。

演出もチャレンジングで面白かったです。少し危なっかしく感じるところもありましたが、練度が低いというわけでなく、非常に難易度の高いことをされているためだと思いました。

「猩獣」は「独鬼」などの他のワードレス作品に比べてストーリーはシンプルですが、それでも殺陣・表情・動き・声から伝わってくるもので心が熱くなり、最後には泣いてしまいました。もう何度も観ていて展開も結末も知っているのに、それだけ心動かされる作品でした。

不思議の国のアリス

不思議の国のアリス

壱劇屋

門真市民文化会館ルミエールホール・小ホール(大阪府)

2022/03/24 (木) ~ 2022/03/25 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

題材は誰もが知っている『不思議の国のアリス』。所々にアリスを感じる・思わせる要素はあるものの、壱劇屋流のアレンジで全く新しい誰も観たことがない不思議な国(星)が表現されていました。

未開の星に棲むいきもの達は、形や動きで、気持ち悪さ・グロテスクな感じがありつつ、なんとなく愛おしく感じてしまったり色気を感じる瞬間もあったりして。アリスの大きさが変わる表現もとても面白かったです。

原作の不条理さや、夢を見ているような不思議で奇妙な世界という点で共通していて、観終わったあとも長い夢を見ていたような感覚でした。2回だけの公演なのが惜しいです。

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