1
ダウト 〜疑いについての寓話
風姿花伝プロデュース
素晴らしい役者さんによる素晴らしい会話劇。絶対のおすすめ。
「CoRich舞台芸術アワード!2021」の一位はこれで決まり!
ヴォンフルーさんのあおりに乗せられて良かった。ヴォンフルーさんに感謝。
この劇は2004年に上演されました。その2年前の2002年に何があったかを「2002年 カトリック教会」で検索すると印象がかなり変わるかと思います。事態は校長が危惧したようにどんどん広がって行ったのです。
『欧州代表的カトリック教国の「汚点」』:長谷川良 2021/10/7 という記事を検索して読めば最近の調査結果が分かります。
誤解している人がいるようですがこれは神父による少年のレイプ事件であって、LGBTとは関係がありません。
2
12人の怒れる男・12人の怒れる女
江古田のガールズ
「12人の怒れる女」を観劇
元々男性ばかりなものを女性だけで演じるということでどういう方向に持って行くのだろうか、演出家の力量拝見となるのだが、小ネタで笑いをとりつつ高い緊迫感を保っていて見事なエンターテインメントに仕上げられていた。オリジナルにはない結構長めの場面があったりして色々と工夫が楽しめる。
正義の味方陪審員8号(丹下真寿美)と敵役の3号(釜野真希)は正統的にぐいぐい押して来て100%期待に応えている。理屈重視の冷静沈着な4号(堤千穂)は少しおっちょこちょいの味が付けられていて見た目と合わせてあの女優さんをモデルにしているのは明らかだ。彼女から苦情が来ないか心配になってくる(なわけはない)。この演出のグッジョブその1だ。陪審員2号(山田瑞紀)はこの舞台ではお笑い担当になっていて客の受けはすこぶる良かった。しかも重要な伏線を早い時期から妙に強調していてグッジョブその2だ。舞台上手の壁のドアを開けるとその向こうはすぐ外だった。コロナの換気も兼ねているのだが車の音も入ってきたりして臨場感があった。ニューヨークではなく下北沢だがグッジョブその3である。
*「評決」と言うべきところを「判決」としているところがいくつかあった。
3
罠
俳優座劇場
何度も上演されている舞台ミステリの傑作である。私もいつどこで観たのか、はたまた読んだのか定かではないが話が進むにつれ段々と思い出してきた。しかし先がある程度分かっていても面白さにはいささかも欠けるところはなかった。どなたも最後の最後まで楽しむことができるだろう。
昨年の公演が中止になった悔しさを吹き飛ばすような力のこもった快演であった。一度は観ておくべき古典…と煽っておいて言いにくいがチケットは完売している。
4
29万の雫-ウイルスと闘う-
ワンツーワークス
素晴らしいドキュメンタリーであるだけに観ているのが辛かった。何をどう書いたら良いのかと悩んでいたら、かずさんの見事な記述がすでにあったのでほっとした。
いつものストップアンドゴーのパフォーマンスは防護服を着て行われるものもあって、束の間の安らぎや楽しみを得ることができる。
5
かげきはたちのいるところ
Aga-risk Entertainment
久しぶりのアガリスク観劇。150分、換気のための中断が数分あり。
売り物の屁理屈は少な目で昭和のコントのよう。大いに笑えるが不満が残る。俳優を劇団員だけで固めていて味のあるベテランがいないせいか全体に単調だった。若い人ばかりでもナイゲンのように強烈なキャラ付けができていれば良いのだかそれも弱い。
お話はグローバル資本主義を打倒するために爆弾闘争を企図する過激派集団の2年間のシェアハウス生活。半世紀ぶりにこういうアジテーションを聞いた気がする。
珍しくキャッシュレス会計ができる。SUICAもpaypayもOK。
「現金のいらない小劇場演劇はアガリスクだけ!」
*初回のせいか俳優も観客も気まずくなる長い沈黙が2回ほどあった。
6
反応工程
新国立劇場
演劇としてはメリハリが効いていて長い時間を感じさせない素晴らしい舞台だった。
ただし2021年の現代に公演する意義はよく分からない。演劇界では古典という扱いなのだろうか。
講演後に演出の千葉さんと俳優6人によるアフタートークがあった。司会はこういうときにはお馴染みの中井美穂さん。とくに素晴らしいコメントをしたりすることはないが、なんとなく辻褄を合わせて進行させていくのはプロの技だと感心した。
7
TOKYO LIVING MONOLOGUES
DULL-COLORED POP
谷賢一さんの実験イベントである。
会場はビルの地下にあって降り口の扉に小さな張り紙がある。20分前になると出演者の一人が不動産の営業という設定でプラカードを持って案内に来るのでおとなしく地上で待っていよう。
地下の会場は小さな展覧会が開けるくらいの大きさで四つの角に2畳ほどの部屋があって住人がすでになにやら活動している。中央には20数席の客席がある。4つの部屋は以下のようにラベル付けされていて、最初の二つは一つのアパートの隣接した部屋だが他は離れた別のところのようだ。
「本だらけの部屋」伝統的な日本観の中年男性。陰謀論にもはまっている。
「女装部屋」若い男性、ブラック企業の重労働に疲れ、少女ヒーローのコスプレに癒しを求めている
「配信部屋」若い女性、セクシーボイスを立体音響で配信している(観客も途中で指示に従ってこれをイヤホンで聴くのだが会場の音と混じって効果はよく分からなかった→ASMR対応イアホンがおすすめだが普通のイアホンでも会場の音だけよりはまし)。
「ゴミ屋敷」別室で親の介護をしているが疲れて精神崩壊し、部屋もゴミだらけのアラフォーの女性。
これらの部屋で交互にあるいは同時に住人が行動を起こす。「ゴミ屋敷」ではビデオチャット系の配信を行うが乳首すら見せないので数人いた客も全員退室してしまう。「女装部屋」ではミシンで新しいコスチュームを作っている…。とかなんとか色々のちょっと変わったしかし大したことのない日常が展開される。
そんな部屋を観客がぞろぞろと動き回って覗きの快感を感じてもらおうというのがこのイベントの趣旨なのだろう。リアル「屋根裏の散歩者」か。さすがに初見の観客が動き回るはずもないので各部屋には複数のカメラを設置してZOOMで配信し、持ち込んだスマホやタブレットで自由に見て(覗いて)もらうという仕掛けになっている。
そんなわけで実験であって全体にストーリーがあるわけではない。現実に苦しんだ4人が最後にうっすらと連帯するような動きもあるが90分のパフォーマンスのエンディングを無理に作ったものだろう。強いて意義を考えると(単なる中継でない)配信による演劇の可能性を探ったとでもなるのだろうか。まあでも基本というか全部がエンタメだ!
入り口では目の周りだけの仮面が渡される。黒い服装が推奨されていたのと合わせて自分の好みで覗き回るときの匿名性を担保するためのものだろう。しかしもちろん普通の日本人は誰も自席から動かない。私も時々立ち上がって反対側を見るくらいだった。この仮面、覗きの気分を出す意味もあるのだろうが視野が狭められて不快である。しかし他の方が着けているのを見ると非日常的で中々良い感じなので結局最後までお付き合いした。
持ち込んだスマホやタブレットでZOOMの会議に参加するのだが、URLとパスワードは前日のメールで指定され開演と同時に開始される。皆さんちゃんとZOOMをインストールしてきていて画面にずらっと並ぶので驚いた(*)。観客は画面の場所が割り当てられるだけで顔が映ることはないのでご安心を。しかし画面が小さいと各部屋を見るのが難しいので10インチ以上のタブレットやノートパソコンを持って行こう。会場ではWiFiが提供されるのでモバイル通信までは必要ない。
以上評価は不可能、報告のみ。
*皆さんそんなに準備が良いというのは変ですね。自宅で配信を観ている人も一緒に並んでいたのでしょう。
8
疚しい理由2021
feblaboプロデュース
Team"K" を観劇。
始めの30分は「ああ、なんだかダルいのに来てしまったなあ」と後悔したが、それからの15分で「いいぞ、いいぞ」と引き込まれるも「どうやって終わらせるの?」と心配していたら、案の定ぐだぐだのエンディングとなった。まあ、こういうのに誰もが納得する結末をつけられたらノーベル賞ものだわね。話の展開はうまいものだと進むにつれ感心した。
9
トリツカレ男
ナッポス・ユナイテッド
王道の恋愛ファンタジー。一家で観に行ける安心の内容である。
ストーリー展開も役者さんの演技も「慣れている」感じだ。
しょうもない小ネタで笑いをとるのもうまい!