
2016 音楽劇「赤毛のアン」
DGC/NGO 国連クラシックライブ協会
東京国際フォーラム ホールC(東京都)
2016/10/21 (金) ~ 2016/10/23 (日)公演終了
満足度★★★★
元祖サクセスストーリー
「華やかなミュージカル」とはいえ帝劇のそれとは違って、かなり気楽に楽しめる雰囲気。
「赤毛のアン」のストーリーに沿って歌唱を沢山盛り込んだ流れで、繊細な心理表現は難しいにしろ2時間半強は、あれよあれよと終わってしまった感じでした。
お約束である、マシンガントークのアン、最初は嫌味ったらしいマリラ、気のいいマシュウの掛け合いは面白おかしく、子役の芸達者ぶりには感心します。
5時に夢中、黒船特派員のガウがリードをとったアンコールショーは隠し玉だったかのように弾けて華やか。 クライマックスにふさわしいラストでした。

新宿カンタータ(聖歌)
ピープルシアター
シアターX(東京都)
2016/10/19 (水) ~ 2016/10/23 (日)公演終了
満足度★★★★
予想は裏切られるから面白い
セットは猥雑で狭苦しい店をイメージしていたのですがステージショー感溢れる広々とした舞台。
ストレートプレイというよりミュージカルを観ている様な感覚でした。
ミュージカルほど頻繁に歌が展開されるわけではないのですが、私には台詞回しが翻訳されたものの様な独特な感じを受けました。
歌舞伎町というよりはダウンタウン。
カフェバーに集う男女は日本人の悪党というよりウエストサイド物語の不良達のイメージに近い印象。
何故だかシアタークリエでブロードウェイ日本人公演を観ている様な錯覚すら起こしそうでした。
ただ特徴的なのは、すごく臨場感溢れるシーンがいくつもあったこと。
台詞での表現より、様々なパフォーマンス的アプローチがとても優れている演出だった様に思います。
ちょっと気になったのは舞台両端に設置された観客席。
せっかくの世界観が観客も視界に入ってくる事で興醒めしてしまいます。
意識的に見ない様にしていましたが、デメリットの方が多い気がします。
なんとその席で結構大きな声で喋り出すカップルのお客さんがいて、そばにいた役者さんが芝居の延長線上の上手い感じで睨みをきかし、黙らせてくれたのには、さすがっ!プロだねーと思いました。

フェス
ゆうめい
スタジオ空洞(東京都)
2016/10/19 (水) ~ 2016/10/23 (日)公演終了
満足度★★★★
思惑が交差するヌード教室
気になるヌードモデルは男性の方でした(笑)
突拍子もない遺言書に振り回される遺族達を描いたストーリーの妙もさることながら、主人公男性の大人になりきれない劣等感、恋心、嫉妬など心情表現が全面的に引き立った作品でした。
こちらの劇団は、“ちょっとこじれてしまった男”の内面に関しての表現力が、かなり秀でていると思います。
女性陣はキャラで好演している印象でした。
主人公が一人っきりでいるシーンでは、その仕草、行動だけで、今何を考えているのかがバシバシ伝わってきて面白く、シ~ンと観客の集中力が高まる中、役者の息づかいのはっきり聞こえる間近な距離で、まるで自分が透明人間になって人間観察しているみたいで奇妙な感じでした。
本当にこの演出は面白いので「あっ、今ここで大笑いしたら、このリアルな空気を壊してしまうっ。」と笑いを堪えるのに一苦労です。
ちなみに複数の役者さんが出ているシーンでは心置きなく笑えます。
あとラストがメチャクチャいい感じでセンスあるなーと思いました。
名ラストシーン大賞の公募があれば私はここに一票入れたいくらいです。

MOLOK
劇団メリケンギョウル
明石スタジオ(東京都)
2016/10/14 (金) ~ 2016/10/16 (日)公演終了
満足度★★★★
予想外のマクベス像
マクベスは幾つかの公演で観たことがありますが、公演の印象は、かなり主演のマクベス役にかかってきます。
私にとって今回、初の小劇場でのマクベスでしたが、起用された役者さんはその重要な役割を充分に果たされていたと思います。
そして本作で何より特徴的なのは史実に近いマクベス(本名マクベタッド)を描いた作品だという事です。
史実に近いといっても、結構盛ってる内容なのですが、シェイクスピア版とは登場人物の人物像、志向性が全然違っいて、そのあまりの違いっぷりに驚いてしまいました。
ひとつ挙げるならマクベスってかなりの名君だったということ。
ヒーロー感すらあるマクベスでした。
実はどんだけマクベスを悪い人格に書いていたんだというシェイクスピアの脚色っぷりという事になりますが、やはりこちらの方が面白さ的には勝ってしまうんですよねー。
とは言え、本作のタイトルにもなっている「モロク」という魔人の登場や、意外すぎる人間関係がドラマを生み、とても楽しめる内容になっていました。
ちょっと残念なのは若手の役者さんに笑いで少し話を軽くしようと試みるも、笑いも結構技術が必要なんですよね。 ベテラン役者さんの取る笑いとの実力差がはっきりしていました。

理想の不幸
HIGHcolors
「劇」小劇場(東京都)
2016/10/05 (水) ~ 2016/10/11 (火)公演終了
満足度★★★
万人受けではなく勝負に出たところは好感
主人公の心の闇に浮かび上がり一生付きまとう白い魔物。
視覚的なこだわりを強く感じました。
主演女優さんは、しなやかな西洋猫の様でつかみどころがなく魅力的です。
ただ、この女性の性格、思考面においては、理解が到底及ばず、この作品の要となる部分を楽しめなくて残念な思いが残りました。
価値観が周りと違う焦燥感は解らなくもないのですが、あまりにもこじれすぎていて病的。
主人公以外の人物は理解の範疇内で、共感したり、滑稽だったり、とても面白い。 凡人の私にとっては見所ポイントでした。
主人公のどこかに共鳴し、彼女の最期のシーンにメッセージを受け取れるか否かが感想の分かれ目ではないかと思いました。

「66~ロクロク~」
円盤ライダー
シダックス カルチャービレッジ6階(東京都)
2016/10/08 (土) ~ 2016/10/10 (月)公演終了
満足度★★★★★
演劇を超えた演劇
過去にはカフェやホテルラウンジで公演しているそうで、その場合、店の雰囲気や装飾品がそのまんまリアル舞台美術として機能するだろうが、今回はこの場所、非常に不利ではないだろうか。
入室して、まずそう思った。
無機質だし、特に舞台照明もなく、天井のLEDが部屋全体をまんべんなく照らしている。当然音楽も無し。
近代オフィスのお洒落さはあるが、あまりにもリアルな空間すぎて、とても演劇を鑑賞する雰囲気ではない。
ステージ予定スペースにはテーブルも無いのだから会議モノじゃなさそうだし。
結論から言うと円盤ライダーはこの不利な状況を、全て身体ひとつで覆してくれた。
開演。ドヤドヤと入ってきた役者さん達。
どうやら男達は、協力し合って会社を設立し、このオフィスを手に入れるところまで漕ぎ着けたようである。
全員が達成感で高揚しハイテンションである。
私は冒頭からハイテンションの芝居はちょっと苦手で、どうしても一歩引いてしまうクセがある。(世界観に入れた後なら全然OKだが)
たとえ最前列であっても座席と舞台の境界は明確で、距離を勝手に感じてしまう。
なのに本作では距離など意識することは無かった(できなかった)。
舞台と客席の境界は存在せず目の前、後方の夜景、ガラスパーティション、倉庫、とにかく会場のすべてを味方にして役者のパッションが炸裂する。
客イジリなど一切無いのだが役者熱が力づくで演技の世界へ巻き込み、そして完全に引きずり込んでいく。
よく体感型というが、これもまさに体感型である。
ストーリーは当然存在するが、それよりも役者ひとり一人の生きざま、人間そのものを観てくれと言わんばかりのガチ魂。
こういう演劇を何歩か超えたようなスタイルは何と表現すれば良いのだろうか。
企画力+実現力+演技力そして熱い役者魂。すべてが揃わなければ不可能な公演。お薦めするしかありません。
あっ、あとすいません。この公演コメディーです。

- 愛が枯れている -
COoMOoNO
キッドアイラックアートホール5階(東京都)
2016/10/06 (木) ~ 2016/10/10 (月)公演終了
満足度★★★★
舞台と役者が溶け合った瞬間
いい感じに使い込まれたツヤのあるフローリングの部屋には丸形クッションひとつと電球スタンド1脚。目の前には空へとつづくベランダが大きく開放され、灯りのついたランプがふたつ。めちゃくちゃオシャレじゃ~ん。
観客席が並べられ、それは実質舞台上で観劇するのと同じ状況。
自分の来た回では観客数10人。(元々大人数を収容できるハコではない)
この場所で10人のために5人の役者さんが演じてくれる。めちゃくちゃ贅沢。贅沢すぎるっ!
始まる前からこんなゲスなことを考えてしまう自分はもしかして場違いなのではと少しソワソワしてきます。
開演。観客と同じ出入り口から入ってきた役者さんたちの醸し出す声、立ち振る舞い、台詞のなんと美しいことか。
社会に上手く迎合できないガラス細工の様な登場人物たちは、寄り添うように言葉を紡ぎます。
実際の会場であるキッドアイラックアートホールが今回で最後となる特別な想いも作品に織り込まれ、何だかやり切れない気持ちになりました。
所々、目の前の光景が美しい絵画のようでハッとしてしまいます。
この場所に決して「足が酸っぱくなるまで働けー」という輩を立ち入れてはいけないっ。
少女を登校させるよう説得に来た教師の声が、紳士的ですごくまともな事を言っているのに残酷な力量を帯び、野太く聞こえたのが興味深かったです。
ラストシーンもとても美しかった。
貴重な空間に身を置かせてもらえて感謝です。

Regulation's High!
BLACK JAM
上野ストアハウス(東京都)
2016/10/06 (木) ~ 2016/10/10 (月)公演終了
満足度★★★★
初日ストロベリーチーム観劇
体育会ものと演劇はとても相性が良いと認識できる作品でした。
スポーツエリート校で烙印を押されてしまい監獄入り(!)となった選手達と、同窓生なのに彼らを管理する看守部との脱出攻防劇。
想像より大きな劇場で舞台スペースはしっかり確保されています。
まず沢山の俳優陣なので、ちゃんと登場人物の区別ができるか心配でしたが、全員部活の種目が違うのと、濃口キャラで何ら問題ありませんでした。
ただ人数が多い分、個々の抱える心情部分が薄口になった印象。
学校サイドの陰謀、しごきの筋トレ、脱出作戦、何かと見せ場が多いのだから残念ではあるけれど仕方ないかとも思います。
地獄の筋トレはもっと観たかったくらいですから。
終演後、役者さん達が客席にやってくると、もうお祭り状態に。
アンケートをおちおち書いている状況ではありませんです。でも楽し~っ!
他にツッコミどころはいくつかあるのですが、一々挙げるのは本質から離れてしまうかと。何より後印象がすこぶる良かったので。

月の剥がれる
アマヤドリ
吉祥寺シアター(東京都)
2016/09/23 (金) ~ 2016/10/03 (月)公演終了
満足度★★★★
騙されたくないなー
一番興味深かったのは、誤った思想であっても、そのプロデュース力によって世間に通用させてしまうプロセスの描き方でした。
ドラマチックに印象付けられてしまうと「正義」と勘違いしてしまう怖さ。
そしてドラマチックとは程遠い、薄汚い内情。
今のマスコミはあっさり騙されてしまうほどバカじゃないと思うけど・・ちょっと心配。
今作を完成させるにあたり、どれだけ沢山のエネルギーが注がれているのかと思うと頭が下がります。
思ったより理解しやすいストーリーで良かったですが、この2時間30分の力作に対しては、こちらも相応な気合で挑まなければ負けてしまうのではないかと思いました。(観劇に勝ち負けとは何を言っているんだか)

かえってきた不死身のお兄さんー赤城写真館編ー
演劇企画ハッピー圏外
Route Theater/ルートシアター(東京都)
2016/09/26 (月) ~ 2016/10/02 (日)公演終了
満足度★★★★
【定説】人情派公演の劇団は受付・案内も人情派である
破天荒なお兄さんが帰ってきて、気さくな家族や町人を混乱させ、最後には泣けてしまう。そんな感じを想定していました。
いや、大枠の筋道は違っていないのですが、事前のイメージとはかなり違った公演でした。
やはり初めての劇団さんの場合、そう単純に想像通りで無いところが面白いです。
まず福山雅治の物まねが得意そうなお兄さんは当然やんちゃ系で、これは想定内なのですが、それを上回る厄介な登場人物が次々と現れ、そして色々とやらかし、見事にドッカンドッカンと話を炎上させていきます。
声帯の頑丈な役者さんが多く、騒然たるドタバタの るつぼに思わず笑ってしまいました。
好き嫌いが分かれる作風だと思いますが2時間の公演時間の中で、まあいろんな事が起こります。
最後はもちろん、お兄さんに帰結していきますが。
舞台スペースが広めで役者さんが何人いても伸び伸びしており、且つ観やすかったです。
帰りに役者さんの写真入り当日パンフレットを眺めながら「まーいろんなキャラの人がいたなー」とニヤけてきました。

『ニュー俺ラップ~韻フンデミル?~』/『心優しき野郎ども』
すわいつ企画
テアトルBONBON(東京都)
2016/09/21 (水) ~ 2016/10/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
まさかの・・
ラップを聴いているとムズムズしてきて、やがてこっ恥ずかしくなってくる。
つまり苦手なのですが、演劇の中に取り込むとなると話は別で新機軸な意欲作を観ようと行ってきました。
ただ、出掛ける前に見たレビュー評価が意外にも低めだったので、ちょっとハードルを下げた方がいいのかも・・・とも。
さえない中年の父親と若者ラッパーとの本来混わらないはずの交流が面白く、テンション高めで攻めてくる笑いも良いけど、こういうすっとぼけた笑いもすごく好きだなーと思いました。
内容は荒削りなところもありますが、中途半端に整っているよりも、とにかく面白い方へ展開していくのならアリでしょ、とそんな感じで見入っていました。
そして見入っていると、突然ポロポロと涙が・・
ちょっと自分でもビックリしてしまいました。
演劇で泣いてしまうなんて、ほとんど数える程しか無いのに。
父親の家族を想う心情が一気に伝わってきて、めちゃくちゃ心を揺さぶってきます。
ベタと言えばベタなのですが、何とも心地の良いベタでした。
公演を観終えてラップが好きになったとまでは言いませんが、とてもうまくラップが取り入れられていたと思います。いい公演でした。グスン

うつくしい世界
こゆび侍
駅前劇場(東京都)
2016/09/21 (水) ~ 2016/09/25 (日)公演終了
満足度★★★★
気になる
これだけ質の高いダークファンタジー大作を小劇場で手ごろに観られるのはコストパフォーマンス良すぎでしょ。
政治が純愛に影響されるのはアニメっぽいかなと思いますが(アニメと同じニックネームを使っている自分が言うのもなんですが)その美醜隣り合わせの退廃的な世界観はたっぷり堪能できました。
こちらの劇団公演は3度目で前々作「たまには純情」は家族を描いたハートウォーミングな良作【お客さん少なかったー】。 前作「やぶれた虹のなおしかた」は映画「転校生」のアナザーストーリーの様で自分的には名作中の名作【満員御礼】で毎回アプローチが違うのにそのクオリティーはかなり高い所で安定しています。
なのに今回、席には結構余裕があり観客数が安定していないのが、すごく気になりました。(こちらは当日の観客数にあわせて席数を用意してくれます)
ゆったりとした空間で観る事ができ、ありがたいのですが、こんなに良質な公演なのに、なぜに?と、どうしても思ってしまいます。実際勿体ないですよ。

恋とか愛とか(仮)
広島ホームテレビ
ザ・ポケット(東京都)
2016/09/21 (水) ~ 2016/09/25 (日)公演終了
満足度★★★★
深夜のテレビ恋愛ドラマが舞台に
三十路の迷える女性達が織りなす4つのエピソード+α(厳密には男性主役が、そのうち1エピソード)
それぞれの女優さんが総じて都会風の美女揃いで「あっそれ、ありそー」な状況と、本音トークの応酬が面白い。
出ずっぱりの元戦隊ヒーローの役者さんもいい味だして貢献度大。
ストーリーの先を観客が決めるシステムは、観る前にはいらないんじゃないかと思っていたが、絶妙なタイミングでジャッジタイムが始まりMCも上手く、あって大正解。楽しぃーっ!
思いは同じようで小劇場では珍しいダブルコール。
自分なんかは客観的目線で、ただ笑い転げていたが、同年代女性には感情移入するところが多いのでは。

超家劇族
劇団冷たいかぼちゃスープ
APOCシアター(東京都)
2016/09/17 (土) ~ 2016/09/19 (月)公演終了
満足度★★★★
本日のスープ
これコンソメスープだよね、と飲んでみたらトムヤンクン味でびっくりしたーっていう感じの驚き。(ヘタクソかと思いつつも例えてみました)
家族の物語とあっても、既にフライヤーからはちょっと普通ではない香りが漂ってはおりました。が、ここまで異色だったとは。
結論的にはすごく美味しかった(面白かった)です。
【アットホームでバトルあり、涙あり、ホラーでサスペンスな、ただただ日常の家族のお話しです(フライヤーより抜粋)】は、なるほど上手く言い得ています。
笑いの中に狂気じみたスパイスが結構きいており大人計画のテイストかなと一瞬思ってみましたが、やはり全然違います。
これほどの世界観を創り上げる作、演出の力量に驚いてしまうと共に、その表現についていこうとする演者さんにも感心します。
結構な役者力を要求する演出だと思いました。
初見なので、どんなカラーの劇団さんか解らず、最初のうちこそ戸惑ってしまいましたが、もしも最初から一気に世界に引きずり込むほどの力量が付けば、とんでもない劇団に化けるのではないかと思います。

ハロウザディップ
演劇組織KIMYO
インディペンデントシアターOji(東京都)
2016/09/08 (木) ~ 2016/09/11 (日)公演終了
満足度★★★★
「殴り込み」感ある名古屋の劇団
近未来における「復讐代行屋」の話だが漫画の「怨み屋本舗」のような「怨み」ではなく「刺激」を目的とした復讐に特化している。
ブラックユーモアでありながらパワー全開のパフォーマンス。
野心溢れる肉食系劇団という印象。
男女問わず、どの役者さんも威勢が良く、バイオレンスシーンや歌、ダンス等、見どころが多い。
あと色気のある役者さん多いです。

Infinity
ハグハグ共和国
萬劇場(東京都)
2016/09/07 (水) ~ 2016/09/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
わずかな生命を前提に生きる人々
恋愛をした時、その瞬間から一気に世界が変わって見える。
いつもの風景が輝いて見えたり、自分が世界の主人公の様な気になったものです。
もし、死を宣告された場合も一気に世界が変わって見える。
ちょっと考えたら当たり前の事に今さら気づかされる、というかイメージして一緒に考えてしまう舞台でした。
落胆の先に見える世界が自分にはどんなものか、その時にならなければやはり解りませんが、劇中とても心に響く台詞があって、何だか救われる言葉だなーとお土産に持って帰ってきました。
なにより今、生かされている幸福をつくづく認識させてもらい心が洗われます。
案内時からすでに優しさが伝わってきて大好きになってしまう劇団。

きら星のごとく~おんな北斎藍色草紙~
蜂寅企画
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2016/09/07 (水) ~ 2016/09/11 (日)公演終了
満足度★★★
ちょっと勿体ない感じが
舞台美術、照明、特に衣装が大劇場でも充分に通用する高レベル。
そして役者さんのルックスも良くスタイリッシュな着物をかっこよく着こなして、チケット料金からは考えられないほどのゴージャス感あり。
で、芝居の中身ですが、大枠としては面白いのかもしれないが、なかなか物語の中に引き込まれることができずに困ってしまいました。
こっちも入り込みたくて、もっとグイッと引っ張って欲しいのに、その力が弱いというか。
どこから見ても美味しそうな料理なのに、食べてみると味がぼんやりして残念だったな。という感じです

「イヌジニ」
雀組ホエールズ
OFF OFFシアター(東京都)
2016/09/01 (木) ~ 2016/09/11 (日)公演終了
満足度★★★★
なるほどッの再演作
テーマがテーマだけに精神的疲労が予想され、特に体調を整えて行ってきました。
実際の殺処分所の雰囲気は、いたたまれないほどの悲壮感が漂う処だと思いますが、そこを犬たちのキャラクターでむしろ賑やかで面白く描かれていたので、なんと、楽しく観れてしまい予想外でした。
とはいえ、自分が不要な「モノ」として処分されゆく運命だと分かっている犬たちの抵抗、悲しみ、はかない希望、プライド等、様々に交錯した想いが盛り沢山に伝わってくるので、やはり体調を万全にしたのは正解でした。
とても観やすく飽きさせない様に、やさしく演出されているのでOFF OFFシアターには場違い感がありますが、子供たちに観せてあげたいという気持ちになる公演でした。

くたばれ!ロミオとジュリエット
新沼ゼミ公演
明治大学和泉キャンパス・第一校舎005教室(東京都)
2016/09/02 (金) ~ 2016/09/04 (日)公演終了
満足度★★★★
ちょい足しで美味しく調理された「ロミジュリ」
主観を変えた「ロミオとジュリエット」は発想だけにとどまらず、とても面白く演じられていました。
ロミオに心変わりされたロザラインは醜く嫉妬に狂うものの根はまっとうな人間。
悪くいえば凡人。
何の迷いもなく愛に突っ走ることができる自己中カップル、ロミジュリよりも、凡人である私はロザラインの方に感情移入ができ、何だかオリジナルよりも面白く感じられたのでした。
それにしても、かわいいロミジュリカップルだったなー。

ハジケル、
もぴプロジェクト
池袋GEKIBA(東京都)
2016/08/31 (水) ~ 2016/09/04 (日)公演終了
満足度★★★★
夏の3部作
フレッシュ感ある劇団でついつい微笑ましい目で観てしまいます。
1幕目「ハジケル、汗。」のオリジナル作品では若さ炸裂。
一番フライヤーに近いイメージで、狭いスペースにもかかわらず上手くスピード感を表現し最高です。
2幕目「ハジケル、血。」3幕目「ハジケル、涙」はどちらも文芸色が強く、ちょっと背伸びをしている感じが微笑ましい。
アフターライブは清涼感があって得した感じです。
私はオリジナルが一番よかったですが、色々なチャレンジを経て独自のカラーがでてくるのでしょうね。