満足度★★★★★
予想を上回る面白さにびっくり。
戦場で戦争絵画(どうやら油絵!)を描きたい欲望を行動にうつす美術女子、モヨコ。
彼女を守るべく戦地に向かう気のいい青年、後藤。
ツッコミどころ満載のカップルですが、この役柄のイメージを役者さんがガッツリ掴んで物語の説得力はかなりUP。
他の役者さんもあの手、この手で好演。
もともと作・演出家が10年前、大学の卒業制作として執筆し、受賞までされていたのに今まで上演されていなかった作品だそうです。
大事に温めていただけあって、大学生が思い描く戦争・大人・責任・恋愛像そして非力の嘆きはそっくりそのままに、時を重ね洗練されプロフェッショナルな形で表現されており、温存していたかいがあったというものでしょう。
学生時代の戯曲としては、めちゃくちゃレベルが高く、含有された若者特有の青臭さ、あざとさがこの作品の大きな魅力のひとつだと思います。
「戦場」をどうやって表現するのかが見どころのひとつでしたが巧みな美術、そして爆音が大迫力の音響等、演劇的手法を駆使して「リアルな戦争」というより「学生のイメージするリアルな戦争」を具現化していた印象です。
ただそこには「おもちゃのナイフなんだけど人を刺せちゃった」みたいな気味悪さが存在します。
観終わった後、学生時代の作者さんの脳内旅行を満喫してきたーッという気分になりました。
今回の公演で大劇場は前の数列をステージでつぶして、ヘタな小劇場よりず~っと好環境で観やすいつくりになっています。
なので空席が本当に本当にもったいない!と思いました。