
大勇者伝〜大勇者への道〜 / 大勇者内伝〜大勇者として〜
あ
シアターブラッツ(東京都)
2017/02/16 (木) ~ 2017/02/20 (月)公演終了
満足度★★★★
大勇者伝を観劇。
どんな大勇者のバトルが繰り広げられるのかと思ったら、そっちか~っ!
でもなかなか面白かったぞ。
勇者モノがとことんスットコドッコイに脚色され、余す所なく 楽しめました。
こういう2,5次元世界を独自にディスった作品を好む人は多いはず。
(2,5次元にあまり詳しくなくても楽しめましたが)
ちょっと勿体ないのは宣伝として、このシチュエーションがうまく伝わっていないと思える所。
ミニPVでいいので、あればすごく参考になると思うのだけれど。

ギンノベースボール
ラビット番長
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2017/02/15 (水) ~ 2017/02/19 (日)公演終了
満足度★★★★
気概があっても体は思うようについてこない。
こうと言ったらなかなか折れない武骨な性格。
何だか田舎の父親の姿が重なって熱いものがこみ上げてきました。
どこにでもありそうな家族。そして起こり得る老後の障害。
この物語の後にもさらに人生は続いてゆき、どういう方向へ転がっていくのか分からない余白の部分が残りました。
ともあれ誰にもいずれは訪れる老いという不自由も全てひっくるめての人生を堪能。
どうせなら最後まで有意義に生きようとする姿勢から、色々と学べる所が多い作品でした。

七本の色鉛筆
玉川大学芸術学部パフォーミング・アーツ学科
玉川大学 大学3号館(東京都)
2017/02/15 (水) ~ 2017/02/19 (日)公演終了
満足度★★★★
公開に向けて然るべき指導者のもと多くの時間を費やし練習を重ねてきた公演である事がヒシヒシ伝わってきます。
楽しませることを充分に意識された演出は、3時間強退屈知らずで大したものだなーと思いました。
この卒業公演に関わる全ての学生さんの、もてなし精神に徹した温かい想いが会場全体を包み込み、ラストの挨拶では目頭が熱くなってきます。
玉川大学の水と緑が豊かなキャンパス、美しい校舎、様々に恵まれた環境の中で教育を受けてきた学生さんの幸福感がデコレーションされ、それが独自のカラーとなって、いつもの観劇とは趣の異なる楽しい時間を過ごさせていただきました。

帝都天籟
劇団熱点
千本桜ホール(東京都)
2017/02/11 (土) ~ 2017/02/12 (日)公演終了
満足度★★★★
同じ女性を狂おしいほどに愛した3人の男性。
3人それぞれが彼女と過ごした激動の日々の中に、様々な謎や矛盾が浮かび上がってきます。
昔、十朱幸代主演で舞台化された「悪女について」を彷彿させ、ストーリーの行方に目が離せません。
男女のドロドロ劇の枠を超えた顛末もダイナミックで面白かったです。
熱い芝居を自認するだけに劇場の大きさを遥かに超えたエネルギーが炸裂していました。
欲を言えばもう少しゆるーい場面も設けて抑揚があった方が、終盤の迫真の演技がより際立った様な気がします。
そのゆるさの中に情緒が加われば、もう完璧!
とは言え、あえて旗揚げ公演にハードルの高い作品を創り上げ、これを全員若手の役者さん達が堂々と演じ切ったわけですから、その自信に満ちた熱いエネルギーに感服いたします。
あと劇作家役の宇都宮さんの演技が印象的でした。
芝居中に観客をしっかり見据える演技はとても珍しく迫力が俄然アップします。
これって集中力いるだろうなー

Melody
TEAM 6g
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2017/02/08 (水) ~ 2017/02/12 (日)公演終了
満足度★★★★★
「涙活」というイベントがある様ですが、この公演は2時間たっぷりと笑って、泣けて、元気がもらえて、ズバリ涙活に必要な要素が全て揃っています。
人に好かれやすい人がいるように、人に好かれやすい演劇があるとすれば、このような公演なのではないかと思いました。

オセロ王
劇団鋼鉄村松
インディペンデントシアターOji(東京都)
2017/02/01 (水) ~ 2017/02/05 (日)公演終了
満足度★★★★
1999年人類滅亡。
いわゆるアダムとイブ、生き残りのキャラクター性がその後を引き継ぐ人類に色濃く影響を与える。
浅い文明社会、ちょっとお間抜けな世界観の中、結構シリアスに人権問題が絡んだオセロトーナメント戦が展開。
いつもの王子小劇場より客席を多く(満員御礼!)設けてオセロスタジアムにしたセットや、名物MC、体型凸凹スナイパー等アイデア盛り沢山のパラレルワールドでした。

『追加公演決定!5日19時』キャバレーの男たち
ゴツプロ!
駅前劇場(東京都)
2017/01/26 (木) ~ 2017/02/06 (月)公演終了
満足度★★★★★
小劇場に行くと受付けや場内の熱気、目の前に広がるセット、それだけで開演前なのに早くも「あっ、この公演アタリだっ」と確信できてしまう事が、たまにありますが今回がまさにそれでした。
舞台は昭和39年のキャバレー。
リアルとか生々しいというよりも、その時代・場所が持つ古き良きエッセンスを抽出した感じの演出で、何とも居心地がよくその空間に身を置くことが出来る幸せを感じます。
ひとりの歌姫に惹かれた男達が働くキャバレーは、猥雑ながらも彼女への愛情で結束され、すごく楽しそう。
楽しさと哀しさの入り混じったストーリーは難しく考える必要もなく、いくらでも観てられるわー。という感じでした。
時々、舞台から懐かしいようなイイ香り(お香?)がフワ~ッと漂ってくるのも良かったです。

銀髪
アマヤドリ
本多劇場(東京都)
2017/01/26 (木) ~ 2017/01/31 (火)公演終了
満足度★★★★
個人の集合体である企業がひとつの生き物の様に、成長し変形していく様子が面白い。
集合体(企業)としての物語と、個々の構成人物の物語が小気味よく切り替わり3時間が流れるように過ぎていきました。
スキャンダラスな毒気が媚薬のように効いてきます。

『エンジェル・フォール騎士 ANGEL FALL KNIGHT』
無頼組合
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2017/01/27 (金) ~ 2017/01/30 (月)公演終了
満足度★★★★
小劇場で出来得るエンターテイメントを大人達が真剣に取り組んだ結果の、極上のB級ハードボイルド活劇でした。
黒が基調の舞台にカラフルで毒々しい衣装が鮮やかに映ります。
賄賂疑惑の解明を軸にストーリーは進みますが、怪しい職業の人があちこちから登場して、段々しっちゃかめっちゃかになって、あぁもはやストーリー大爆発っ! かと思ったら、しっかり物語の整理がされて収束へと向かう構成が絶妙です。
最大の魅力は、このしっちゃかめっちゃかさで、これはもう生でしか体感できない劇団の持ち味と言っていいのでしょう。
この体感する面白さの醍醐味に心情的深みがさらに加われば最強だと思いますが、そうなるとB級の冠がA級に変わってしまうかも。

花園RED / 花園BLUE
20歳の国
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2017/01/19 (木) ~ 2017/01/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
REDを観劇。
圧巻のラグビーパフォーマンスで一気に期待感が高まります。
ページをめくる様に移り変わるシーンの積み重ねは、ストーリーというより部員達の日常の集大成。
そこではラグビーの上手い・ヘタ、女にモテる・モテない等のヒエラルキーが発生します。(私の高校時代は学力ヒエラルキーが最強でちょっと辛かったが)
強者にも苦悩があるし、弱者にだって主張がある。
高校時代、誰もが感じるであろう、満たされる事の無い「飢餓感」に懐かしさがこみ上げてきました。

SIMPLY BECAUSE IMITATION -偽物だからこそ-
SECOND・N PRODUCE
高田馬場ラビネスト(東京都)
2017/01/24 (火) ~ 2017/01/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
あらすじとタイトルからひょっとして!と予想していた「彼女の秘密」がピッタリ合っていました。
「笑わせる」ことに相当熟練した劇団で、ちょっとしたトラブルも素早く笑いに取り込みます。
笑いのツボに一度ハマると次々とやって来るオモシロの波に、ただただ笑い転げてしまいました。
そこらじゅうで笑いが起こっているので変な遠慮をする必要も無く、とても良かった。
このイイ感じまでは、あらすじからはとても読みきれるものではありません。
台詞が逐一面白く、滑舌と絶妙な間合いが必須ですが森脇和成さんも堂々の主演っぷりで舞台にすっかり溶け込んでいました。
終盤では場内からすすり泣きがあちこちから聞こえてきます。
私としては「もうあと一層ほど深ければ完璧なんだけど」などと思いましたが「終始笑い転げておいて何を言っておる!」と天の声がツッコミをいれてきそうです。
公言どおり息もつかせぬ公演でした。

誤解
アルシェ提携公演
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2017/01/23 (月) ~ 2017/01/29 (日)公演終了
満足度★★★★
よくコメディーではそれぞれの誤解からお笑いの連鎖が展開されますが、本作では悲劇の連鎖が展開。
丁寧に翻訳されているので母・娘・長男とその嫁・召使、全員の性格や思惑の違いが理解しやすく、それぞれの思いの方向がズレまくっているのがよく分かります。
どれか一つの組み合わせでも、うまく合致していれば止められていたかもしれない悲劇はズレを修復できないまま悪い方へと転がっていく・・・。
登場人物の中で、ひと際強い意志を持ち一貫性のある行動をとる娘マルタ。
モンスターの様なキャラクターだが、彼女の「明るく自由な国」をひたすら渇望する気持ちには共感できる部分もあり何ともやり切れない。

カミサマの恋
ことのはbox
シアター風姿花伝(東京都)
2017/01/18 (水) ~ 2017/01/23 (月)公演終了
満足度★★★★★
お見事としか言いようがない人間賛歌。
神に救いを求めにやって来る人達の様子を傍観するのは不思議な気分でしたが、いろんな人生を垣間見る事ができて、とても面白いと思いました。
「神様」の概念については人それぞれだと思いますが、私には神様と人間の正しい関わり方のひとつを今回のカミサマを通じて見せてもらえた気がします。
そして観終わった後、カミサマから幸せを分けてもらった様で何とも爽快な気持になりました。

今、此処より、明るい夜をこえて
演劇企画ハッピー圏外
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2017/01/18 (水) ~ 2017/01/22 (日)公演終了
満足度★★★★
新兵器で世間を脅かすテロリスト追跡の顛末を描いたサスペンスエンターテイメント。
昨年公演「かえってきた不死身のお兄さん」に続いて2作目の観劇になりますが、前作と同じ劇団とは思えないくらいに振り幅の大きな作品でした。
どちらの方がいいとは一概に言えませんが、相当スケールアップの世界観。
元々は10年前の作品で今回3度目の公演となり、今現在から見た近未来に合わせて全書き直しされたとの事。
わかりやすくスピーディーな展開に加えて、様々な人物が雪だるま式に増えていきますが見事に捌かれており安心して楽しめました。
中盤からも新たに登場人物が増えて「まだニューキャラ出てくるかっ!」と笑えてきます。
犯人像に近づいていく緊迫した演技に時おり緩んだシーン(ここに前作の面影あり)を織り交ぜ、ラストの急展開においては全登場人物が入り乱れてもう必死で観ておりました。
キャラメルボックスが好きな方にはタイプの作品なのではないかと思います。

僕たちは、世界を変えることはできない
夕暮れ社 弱男ユニット
KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)
2017/01/14 (土) ~ 2017/01/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
予想を上回る面白さにびっくり。
戦場で戦争絵画(どうやら油絵!)を描きたい欲望を行動にうつす美術女子、モヨコ。
彼女を守るべく戦地に向かう気のいい青年、後藤。
ツッコミどころ満載のカップルですが、この役柄のイメージを役者さんがガッツリ掴んで物語の説得力はかなりUP。
他の役者さんもあの手、この手で好演。
もともと作・演出家が10年前、大学の卒業制作として執筆し、受賞までされていたのに今まで上演されていなかった作品だそうです。
大事に温めていただけあって、大学生が思い描く戦争・大人・責任・恋愛像そして非力の嘆きはそっくりそのままに、時を重ね洗練されプロフェッショナルな形で表現されており、温存していたかいがあったというものでしょう。
学生時代の戯曲としては、めちゃくちゃレベルが高く、含有された若者特有の青臭さ、あざとさがこの作品の大きな魅力のひとつだと思います。
「戦場」をどうやって表現するのかが見どころのひとつでしたが巧みな美術、そして爆音が大迫力の音響等、演劇的手法を駆使して「リアルな戦争」というより「学生のイメージするリアルな戦争」を具現化していた印象です。
ただそこには「おもちゃのナイフなんだけど人を刺せちゃった」みたいな気味悪さが存在します。
観終わった後、学生時代の作者さんの脳内旅行を満喫してきたーッという気分になりました。
今回の公演で大劇場は前の数列をステージでつぶして、ヘタな小劇場よりず~っと好環境で観やすいつくりになっています。
なので空席が本当に本当にもったいない!と思いました。

ビートバン・ゴー!ゴー!
ジグジグ・ストロングシープス・グランドロマン
上野ストアハウス(東京都)
2017/01/11 (水) ~ 2017/01/17 (火)公演終了
満足度★★★★★
全く異なる3つのオムニバス。
金子みすずじゃないけど「みんなちがって、みんないい」
オムニバスで全てが遜色なく面白いのは意外になかなか無い。
作品ごとにセットは素早く入れ替えられ、役者さんの使い回しは一切なく、何とも贅沢に楽しめました。
全ての役者さん各自に、最も得意とするキャラクターが与えられている様子で、生きたキャラクター陣は観ていて心地いいものです。
絶妙なシチュエーションの鉱脈を探し当てているのが3作品の共通点。

ぬるい体はかたくなる
深夜ガタンゴトン
インディペンデントシアターOji(東京都)
2017/01/05 (木) ~ 2017/01/09 (月)公演終了
満足度★★★★
作・演出の方が昔、霊安室でアルバイトをしていた経験を生かした作品だそう。
不謹慎ながら死体を扱うアルバイトは結構時給が高いと聞いた事がありますが、実に淡々としたもので待機がほとんど。
どうやら高収入ではなさそうです。
そこで働く30歳目前の一見悩みなど無さそうなアルバイターの、まだ何者にもなれていない焦燥感。
その焦燥感が仕事を通じて関わる人々や、グズグズ付き合っている彼女とのやり取りを通じて実にリアルに伝わってきました。
彼女を突き放したり、他人を恨んでみたり、肉欲に走ったり、ど~しよーもないなーという感じですが、なぜか憎めないナイスキャラ。
窮地に追い込まれている程ではないが、このままではいられない!でも面倒臭いのはちょっと・・・。
ガッツリ共感できてしまう若者は結構多いのでは。
さりげなく力作だと思います。

幸福のとき
立花座
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2017/01/06 (金) ~ 2017/01/09 (月)公演終了
満足度★★★★
盲目の少女を筆頭に子役が大活躍。
中年工員チャオは職人気質の武骨な男をイメージしていたが、とっつきやすそうでお人好しな兄ちゃん。
圧倒的に近所のおっちゃん、おばちゃん、兄ちゃん、姉ちゃんな感じの役者っぽくない役者さんばかりで何ともアットホーム、気を張らなくてもいい雰囲気です。
ひょんな経緯から生まれた、少女を思いやるほんのささやかな「幸せのとき」。
中国の貧困層が舞台でも生命力と優しさに溢れています。
少女を取り巻く家族関係やラストにおいて中国の戯曲らしさが滲み出ており、一概にハートウォーミングな話とは括れない、先々の厳しい哀しみも感じたのでした。

たたかうおとな
演劇企画アクタージュ
荻窪小劇場(東京都)
2017/01/06 (金) ~ 2017/01/09 (月)公演終了
満足度★★★★
2組の夫婦が繰り広げる、大人の会話(バトル)劇。
リビングルームの真っ赤な壁紙が、戦いの火蓋が切られるのを暗示するかの様。
やっぱり子供の喧嘩は事情をよく理解しないうちに親が出てきてもロクな事がない。
最初のうちは加害者側の親の態度がふてぶてしいなーと思って観ていたが最終的にはもう誰の味方にもなれねーっ。
織田裕二の「あぁ~醜いっ、醜いっ!」のフレーズが頭をよぎります。
ただ外国の戯曲なので日本人の持つ特性と異なる所が幾つもあり、日本の役者さんが演じ切るには結構ハードルが高い感じを受けました。
観に行く前はかなりヘビーな気持で帰る事を覚悟して向かいましたが、内容的に険悪ながらも陰湿では無いのと、終演後の素になった役者さんの顔を見たのと、受付や主宰さんの人柄等で足取り軽~く帰ってきたのでした。

世界に1人だけの草なぎ
宇宙論☆講座
ラ・グロット(東京都)
2016/12/27 (火) ~ 2016/12/30 (金)公演終了
満足度★★★★
巧さと稚拙さ、真剣と悪ふざけ、上がったかと思うとドスンと落とす。
相反するものがゴテゴテに混在し、もはや良いのか悪いのか、面白いのか面白く無いのかすら分からなくなってくる・・・いや面白かったのですけどね。
何をどう感想とすれば正解なのかは解らないが、凡庸でない事は確か。