コナンの観てきた!クチコミ一覧

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新宿羅生門

新宿羅生門

舞台新宿羅生門製作委員会

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2023/09/22 (金) ~ 2023/10/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

幕末転生奇譚、先祖の記憶から覚醒した若者達の戦い というストーリーゆえ殺陣シーンがたっぷり用意された舞台
どの殺陣シーンにもドラマが存在するので、それぞれに趣が違って楽しめるのだけれど、とにかく終盤に向かっての演出が素晴らしい!
ここってファンの方には萌ポイントなんだろうなぁ、などという楽しみ方をしていたけれど、もう笑っちゃうくらいカッコいい
より妖しく変貌した新宿、緊張感をほぐす笑いを織り交ぜながらも美意識は徹底して高く、覚醒の物語が収束していくエンディングにはただもう圧倒されました

ジャングルジャングル9

ジャングルジャングル9

アイビス・プラネット

王子小劇場(東京都)

2023/09/20 (水) ~ 2023/09/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「戯曲と即興のハイブリッド演劇」という謳い文句ですが
「真剣と遊び心のハイブリッド演劇」とも言える企画公演

スタートは野口オリジナルさんの一人芝居「異界の魚」
演劇に賭ける情熱は人一倍、なのにこれまで一度も報われることの無かった劇団員、これってデフォルメされているにしても実際モデルになっている役者さんがいるのかもなぁと
彼にとって最後の通し稽古
コメディーのカテゴリーには収まりきらない涙ぐましい笑いと突き抜け感
こちら客席に語りかけてくる熱量が凄すぎる
生の迫力ですっかり熱くなっている状態から、第2部の演目「尋問」に移行する流れが巧い

「尋問」
この演目は他の誰でもない明日以降の6号役で出演される役者さんに全く情報が入らぬよう徹底されているのでネタバレに繋がる事は一切書けない
日替わりで演じられる6号役が事前に知らされているのは共演する9号役 高田淳さんと2号役 星璃さんから尋問されるらしいという事だけ
観客も6号と同じ状況ではあるけれど、反応のしかたは十人十色
6号を演じる役者さんの個性が絶対出てくる、もう直ぐに“”らしさ”が滲み出てくるのだから面白い
9号、2号を演じる役者さんは6号の行動パターンを幾つも想定したうえで挑まれているのだけれど想定から外れた場合、いやでもアドリブで対処しなければならないという
戯曲と即興、演技の裏で駆け巡っているであろう心理も想像しながら観るということで2倍楽しめるのでした
その駆け引きの確認という意味でもアフタートークは必見

ネタバレBOX

観た回の6号役は演劇ユニット*pnish*の主要メンバー森山栄治さん
個人的には何度か劇団外のプロデュース公演での“気の良い兄ちゃん”っぷりを記憶していたので、すっかりダンディーな雰囲気になっていたのも感慨深かったけれど、何と言うかクイズ!ヘキサゴン‼的な面白味がある役者さん
そのギャップが面白い!

ガクヤ

ガクヤ

ナミプロ

劇場HOPE(東京都)

2023/09/12 (火) ~ 2023/09/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

Teamルージュ千秋楽を観劇
登場人物は皆タイプこそ違いますが、そう人気があるとは言えない女優さん達
なけなしのプライドを糧に、なにかにつけてはマウントの応酬
何だか見てはいけないものを見てしまっている様な背徳感があってか、笑いを噛み殺しどうにか頑張っていたけれど、似たような思いをしているお客さんがほとんどだった様で、やがては我慢しきれずに会場全体で噴き出してしまう事に 
同時に本当に大変な業界なのだと感じ入ってしまいます

観終わった後に残る感慨深さには元祖「楽屋」を観た時の感覚と共通した部分あり
そこは狙い通りなのでしょう
巧くツボを押さえた面白さで充実の1時間、トリプルコール

福寿庵【再演】

福寿庵【再演】

演劇企画アクタージュ

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2023/09/14 (木) ~ 2023/09/18 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「福寿庵」しっとり情緒ある人情物語をイメージしていたところ、アクタージュ恐るべし、そう単純ではなかった、超カオスな面白さでした
ベースが人情劇 という事で違いないのだけれど、サンドイッチで言えばそれはパンの部分で、中には色んな具材がてんこ盛りに挟まれていた感じ

主に人情劇の部分を担うのは「福寿庵」の店主と亡き妻、そしてかつてお店で働いていた訳あり女性
問題の(笑)具材となるカオスドラマは、店を閉めちゃいそうな店主を引き止めようと奮闘する常連さん達
(狸と一緒にお酒を飲みたい女性とか、全員を列挙しきれないけれど何て摩訶不思議な発想力、是非アフタートークとかでキャラ誕生秘話を伺いたい)
その両者を繋いでいるのが店主の妹夫婦と現店員男性といったところだろうか

観終わった直後は、いっそのことはっちゃけ作品というカタチではっちゃけても良かったのでは・・・と思ったのですが、愛妻を失った店主の心情、このミスマッチとも思えた哀しみが後々になって妙に沁みてくるのでした

加えて
よく考えれば大所帯17人の役者さんひとりひとりの個性を輝かせるのは至難の業
カオスなどという表現をしましたが、なんやかんやとひとりひとりの個性を輝かせる構造になっていたのだなぁと、これも後々になって思い出し笑いとなって沁みてくるのでした

チョークで描く夢

チョークで描く夢

TRASHMASTERS

駅前劇場(東京都)

2023/09/07 (木) ~ 2023/09/18 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

あまりに胸がいっぱいに、感動に包まれ終演後しばらく席を立てなかったです
長きに渡って知的障害者雇用を続けてきた企業の物語ではありますが、社会生活を営むうえで、全ての人に共通する大切な考え方がギッシリ詰まった公演であったと強く思いました
できるだけ多くの方々が、可能であれば一緒に働く会社の人達と(学生さんであればクラスメイト達と)観劇して感想を共有することが出来たのなら、かなり貴重な体験になるのではないかと願いにも似た気持ちになりました

TRASHMASTERSさんの公演であるから徹底した取材をもとにリアルな迫力をもって訴えかけてくる作品であろう事は過去の公演で実証済
なので障害者雇用に伴う問題点やその会社の奮闘ぶりを部外者の立ち位置からドキュメンタリー的な観点で堪能するつもりだったのですが、いつの間にか一緒になって解決の糸口を見つけだそうと躍起になっている
登場人物それぞれの想いを噛みしめてはどうすればいいのかと困り果て、どっぷり作中にハマり込んでいました

障害者と健常者、いやそれだけでなく色んな立場の人間が己の利益や尊厳をかけてぶつかり合うのは至って自然な事
現実にはもっと自己中心的な人間(他者の事情を一切気にかけない人間)がいて、ただでさえ難しいコミュニケーションを修復不可能にしてしまう事もあり得るわけで、その方がよりリアルかと一瞬思ったりしましたが、あえてそこまでの配置をしなかったは見事な英断
全ての事には意味がある
とことん他者を理解しようという意義と難しさ
その先に待ち受けている「幸福」がテーマであったと思えました
力強く とことん深い、素晴らしかったです

俺たちはどう生きるか!

俺たちはどう生きるか!

株式会社L4

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2023/09/06 (水) ~ 2023/09/12 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

★魅惑のロマンスチーム★を観劇
イカれた博士っていうのはてっきりモジャ頭でチョビ髭の御爺さんかと思っていたら若くて長身のイケメン博士、そして傍らには可愛い助手が
そのクールなマッドサイエンティストっぷりと無邪気にヤバい助手娘の組み合わせが、ちょいブラックに皆をかき回してくれる、面白かった!

困窮した登場人物がスペシャルなアイテムや能力を手渡されて思わぬ騒動を巻き起こす展開部分は「ドラえもん」や「笑ウせぇるすまん」なんかも彷彿させるのだけれど、手塚治虫だとかどこか懐かしい漫画のテイストが随所に感じられ不思議に惹きつけられてしまう
全編に渡って“生きている意味”や“正義vs悪の立ち位置”などなど、角度を変えてどこか固定化してしまっている概念を揺さぶってくるのは、普通のコメディーとはまたひと味違った面白さ

悪魔が願いを叶えるパートは、博士たちではなく悪魔(この悪魔もヤバい(笑))が運命の案内人となる異色パート(どれも異色のパートと言えるが)
ここで前のパートに起きたおもしろトラブルをちゃっかりアドリブで組み込んでしまうチームワークの良さ
その俊敏さに笑いながらも感心してしまったのだけれど後で確認してみたら仕掛けたのは本公演の演出家さんでもありました、さすが柔軟にして大胆!

怪獣は襲ってくれない

怪獣は襲ってくれない

株式会社スタイルオフィス

新宿シアタートップス(東京都)

2023/08/30 (水) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

歌舞伎町、あの混沌とした磁場みたいなものが世間とは全く異なった社会を生み出していっても全くおかしくない
殺人や自殺、売春問題などトー横キッズにまつわる事件の数々
これまで頻繁に報道されてきたような部分も作中では描かれ、もうせっかくの若さをむやみに切り売りしているとしか思えない、狂気さえはらんでいる
この子達の将来はどうなってしまうのだろうと思っていたところ、まるで観客につかみかかってくる様な勢いで迫ってくるという・・・えっ!?と驚いたけれど、抜け殻になってしまう様な結末よりはずっと良かったのかもしれない
良識ある大人が手を差し伸べたとしても、中々簡単にはその手を握ってはくれない、ここに集う若者の繊細で強烈な拒絶を感じる舞台でした

ロリコンとうさん

ロリコンとうさん

NICE STALKER

ザ・スズナリ(東京都)

2023/08/30 (水) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

何という可愛いロリコンとうさんだ(笑)
これは観た人なら分かってもらえる
取材で得られたという実際の「ロリコンの方々」の貴重データ(数多くの心情)がうまい具合にロリコンとうさん他、ロリコンである登場人物達に落とし込まれていたと思う
がっつり「性」を扱っているというのにポップな感性が加わってめっちゃ面白い仕上がりに
その面白いの中にはもちろん笑える面白さもあるが、決して満たされる事のない嗜好を持ってしまった者の哀しみや畏れ、恋人や妻といった周りの人間の思惑など色んな要素が入り混じった面白さで、これなら2時間10分の長尺になっても仕方ない、むしろ納得

子供に性的被害を与える=犯罪 であって
ロリコン=犯罪 ではない
この犯罪と犯罪ではない との間にどれだけのせめぎ合いがあるのだろうと思うと何だか切なくもなってくるのでした

ネタバレBOX

ロリコンの方は一生の片想いみたいで何だか切ないと思ったけれど
「少女への凌辱」が好物という流れもあって、あ~そっちもあるのかと
性というのは本当に多種多様で厄介
First Love

First Love

アーティストジャパン

あうるすぽっと(東京都)

2023/08/28 (月) ~ 2023/08/30 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

別荘地、お隣に住む令嬢に対する少年の初恋
「初恋」といえば瑞々しさを連想するものだけれどみんな大好きドロドロ系
少年時代からの回想というカタチで藤本隆宏さんが作品の大部分を担っておられ、恋と嫉妬の間を揺れ動く多感期な少年の心の内を熱演
そして彼の恋愛対象となる年上の令嬢を中村壱太郎さんが演じられるという異色のキャスティング
とても集中できる環境で生演奏も雰囲気を盛り上げてくれたのはとても良かった

その一方で台本を前にした朗読劇とはいえ、エンターテイメントとしての様々な工夫を凝らした公演をこれまで幾つも観てきたせいか、心のどこかでちょっと物足りなさを感じてしまったのは贅沢というものだろうか

あいつをクビにするか

あいつをクビにするか

ぽこぽこクラブ

新宿シアタートップス(東京都)

2023/08/17 (木) ~ 2023/08/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

サイコパスが家族の中にいたら・・・中々にゾッとする話でしたが、エンターテイメントを意識した盛り沢山な内容
最初は3時間もあった脚本を2/3に縮めた作品と言うのだから、もともとはどれだけボリューミーな内容だったのだろうか

サイコパスの少女 という歪みが周りの人間をどの様に捻じ曲げていくのか、含みを持たせながら徐々に惹きつけられていく展開
印象的なシーンが多く、どのシーンにも「怖いな、怖いな、何かいやだな~」という雰囲気が漂っていて、その正体はオバケでも何でもなく、人の心に棲むモンスターなのだろうというのは予想できるのだけれど、その実体をひとつひとつ紐解いていくという面白味
オバケは出てこないけれど、ちょっとお化け屋敷にも似たスリルがあった様に思う

前レビューの旗森さんの言われる通り焦点をどこに合わせれば良いのか戸惑う所もあったものの、どこか突き出た勢いを感じる舞台でした
劇団10周年と劇場復活から3周年の記念を合わせたアフタートークがあった回で、それも大変興味深かったので満足度プラス

イエスタデイランド

イエスタデイランド

青春事情

劇場MOMO(東京都)

2023/08/23 (水) ~ 2023/08/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

時代の流れに取り残された遊園地、そこで働く従業員たちの日常
この遊園地における日常的なやり取りだけでも わび・さび ある可笑しさと言えば良いのか、大変そうな中にも思わず笑みが
園内に一石を投じる出来事に至ってはもう大笑いしてしまったけれど
共感できたり、親近感を覚えたり、笑いをメインに狙ったコメディーとはまた違ってそれらの何気ないやり取りが何とも心地良い

“職業もの”としてもかなり面白いが、何より“人間”が素晴らしく魅力的に描かれた上質な舞台
不器用であっても全部ひっくるめて愛おしくなる人達、猛烈に胸が熱くなりました

アオハルがやりたくて

アオハルがやりたくて

リブレセン 劇団離風霊船

OFF OFFシアター(東京都)

2023/08/16 (水) ~ 2023/08/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

個人的には「ローマの休日と東京の仕事」から2年ぶり、2回目のリプレセンさんの公演
リプレセン2度目の観劇にして確信したのは、美術のこだわりと映画愛がめっちゃ深い劇団さん
開演前、小劇場には珍しく緞帳が
一体どんなセットが用意されているのか楽しみに待っていましたが、ジャ~ン!現れたのは期待通り、凄く丁寧に作り込まれたセット、役者さん達の演技も冴え渡って響いてきます
映画ネタがふんだんに盛り込まれ、それらがみな超有名作品ばかりゆえ一つたりとも取りこぼしは無かったと思う、これは楽しい!
加えてこれまで流行ってきた言葉を取り入れるのが妙に上手
前回は“草”の使い方にウケたものだけれど、今回はそれ以上、ふんだんにその手腕が発揮されていて大いに笑わせて頂きました

笑いだけでなく苦味も含んだ面白さ、こだわりがギュッと詰まった1時間5分
自己肯定感が著しく低い主人公”山田佳菜子”
例えが古くて恥ずかしいけれど歌謡曲「わたし心はお喋りだわ♪」のフレーズが思い浮かびました
そんな彼女の内面世界にどっぷり浸ってきた感じ、すっかり取り込まれました

マテリアルパレード

マテリアルパレード

LUCKUP

ザ・ポケット(東京都)

2023/08/09 (水) ~ 2023/08/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

舞台全体を彩るプロジェクションマッピングに動線豊かな高低差ある舞台、抜群のルックス揃いな役者陣、そしてストーリー的にもこれはまさしく2.5次元舞台の世界
しかし2.5次元舞台は漫画やアニメ等の原作あり の前提があって、もう当然内容は知っているでしょ的な原作を知らない場合の不安要素があるものだけれど、本作の場合はフライヤーのあらすじだけ読んでいればもう予習は充分

ハイスピードーでストーリーは一転も二転もしていくけれど、凄く分かりやすくて見事なほどにノーストレス
何よりアクション満載のエンターテイメントを臨場感たっぷりで楽しめたのが最高でした
そ、そこでぶち込む!?な笑いも嫌いじゃなかった

SWAN LAKE ON WATER~ついに、ほんとうの水を得た『白鳥の湖』

SWAN LAKE ON WATER~ついに、ほんとうの水を得た『白鳥の湖』

DISK GARAGE

東京国際フォーラム ホールA(東京都)

2023/08/10 (木) ~ 2023/08/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

舞台一面に水を張った演劇は今までいくつか見た事はありましたが勿論バレエ公演では初めて
シーンに合わせて湖を出現させたり、消したりの全4幕
ステップと共に水飛沫が音を立て表情豊かに舞い上がって凄く綺麗
登場人物の個性によっても変わってくるし、群舞となるとこれがまた迫力あり、水飛沫を活かした独自の振り付けシーンは大いに盛り上がりました
ウクライナを本拠地にしたバレエ団がこの公演の為に結集したというのも感慨深く(指揮者が急遽交替になったようですが)東京フィルハーモニー交響楽団の演奏も素晴らしかった

個人的には正統派な「白鳥の湖」の方が好みではありますが、ここでしか観ることの出来ない斬新な演出が盛り沢山 これは一見の価値あり!だと思いました

Musical『TRACE U』

Musical『TRACE U』

Musical『TRACE U』製作委員会

浅草九劇(東京都)

2023/08/04 (金) ~ 2023/09/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

β(津田英佑&榊原徹士)の回を観劇
開演時間になると5名のバンドマンが現われて各々のチューニングを始める
ヤバい、この音はまさにライブハウスのそれ
案の定、オープニングからイケイケのロックナンバーが披露され、お行儀よく座っているのが勿体無いくらい
ミュージカル、二人芝居というより2名のアーティストライブ感が強い内容
会場全体をすっかりロッククラブ空間にしてしまう巻き込み型は「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」をどこか彷彿させたけれど、本作では派手な客イジリは無し
ただそう大きくはない会場全体を縦横無尽に活用し、観客を二人の空間世界に強い力で取り込んでいく演出はかなり個性的
やがては二人のやり取りを通して曲の方もストーリー性を帯びてくるので、じっくり聴き入る事が出来るように
ちょっと浮世離れしたような世界観は人によって好みが分かれる所ではあるかも

これが戦争だ

これが戦争だ

劇団俳小

ザ・ポケット(東京都)

2023/07/22 (土) ~ 2023/07/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

血気盛んな兵士3名と影のある雰囲気をまとった軍医1名
兵士の中に若い女性が1名いるものだから愛情と愛欲の入り混じった人間関係が生じてしまうのは当然と言えば当然の流れか
この部分だけを切り取ったなら かなり興味深い大人の物語として観てしまうところ、そういう訳にはいかない
そこは戦争の最前線なのだから

主に語り描かれるのはネックとなる二日間の出来事
それぞれの証言に嘘が無い証拠に、起こった事実こそ皆一致しているのだけれど、それぞれの目線から立った証言が積み重なっていくごとに現場で起こった事がより立体的に見えてくる
あまりにも惨い戦略の数々に居た堪れない気持ちになってしまうが、これが「戦争」なのだと真っ直ぐに考えるため必要な痛みだと思って大切に受け止めたい

真に迫る演技で鮮明な人物像が立ちあがっており、それ故に痛みがダイレクトに突き刺さってくる舞台でした

スペーストラベロイド

スペーストラベロイド

collaboLab

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2023/07/19 (水) ~ 2023/07/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

体裁を取り繕うにも程がある、誤魔化しの限界突破か(笑)
嘘と勘違いと本気がこれでもか!と混ざり合って、どこか懐かしさを感じるくらいコッテコテのコメディー作品でした
それでも役者さん達が素晴らしく爽やかに演じられているのでコッテコテ感はかなり軽減されていたかも

馬鹿馬鹿しい状況と宇宙圏内にいるという危機感、有り得ないコントラストを如何にテンポ良く熱く演じられているかが作品の肝(きも)
誰がどんな勘違いをしているのか混沌としてきても、そこをわかりやすく見せてくれるテクニックに感心しました

ザ・ショルダーパッズ この身ひとつで

ザ・ショルダーパッズ この身ひとつで

劇団鹿殺し

本多劇場(東京都)

2023/07/13 (木) ~ 2023/07/18 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「鹿版 The Wizard of OZ」を観劇
どちらかと言えば先日拝見した「銀河鉄道の夜」の方が好きだと思ったけれど、これは個人的な好み
肉と魚のどっちが好きかと同じ、素材(原作)が全く違うのだから
コメディータッチが好きな人ならこっちかも
どちらにしてもガッツリ鹿殺しワールドなのは間違いない

それにしても案山子にブリキにライオン、魔女とかどうやって区別するのだろう?は、象徴的なアイテムを頭に被ったり股間に貼ったりなどして解決
その結果のドロシーの姿はちょっと衝撃的
とにかく男性陣、裸(ショルダーパッズスタイル)はシッカリ死守しておりました(笑)

タイトルにもある「この身ひとつで」というのはまさしくその通りで
生身の躰が集結し 演じ、歌い、踊り、猥雑な熱さが芸術となって昇華していく
泥臭く下積みから培ってきた世界観だからこその美は綺麗という範疇には収まらず、やっぱりひと味もふた味も違います

ザ・ショルダーパッズ この身ひとつで

ザ・ショルダーパッズ この身ひとつで

劇団鹿殺し

本多劇場(東京都)

2023/07/13 (木) ~ 2023/07/18 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「鹿版 銀河鉄道の夜23」初日を観劇
終了アナウンスが流れても鳴りやまない拍手
そういう自分も手が痛くなるくらい手をたたいていた
何だろう、この湧き上る感情は

女性陣は白の清楚な衣装(ジョパンニ役の葉月チョビさんだけは白のボーイッシュな衣装)
男性陣はカンパネルラ役の丸尾丸一郎さんをはじめ全員が肩パッドで股間隠し、ほぼ裸の一択
もう完全にヘンテコな格好なのだけれど、全員体型が良いのと動きが素晴らしく、もはや芸術の香りさえしてくる
とはいえ、その際どい恰好を活かして笑わせるのも忘れない
そこはチャッカリしている(笑)
めくるめく芝居、歌、ダンスのコンビネーション
元祖鹿殺しのぶっ飛んだ感覚と「銀河鉄道の夜」の浮世離れした感覚が絶妙にマッチングしていて喜怒哀楽と言えばいいのか上手く表現できないけれど、色んなものが混然と入ってきて何とも言えない感情がこみ上がってくる
鳴りやまない拍手、トリプルコールに応じてくれ面白い話も聞く事ができ、もう大満足の舞台でした

いとしの儚

いとしの儚

悪童会議

ステラボール(Stellar Ball)(東京都)

2023/07/06 (木) ~ 2023/07/17 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

古くから伝わる日本伝承話が大人のドラマ大作としてショーアップされたような作品
賭博に魅入られた男の愚行に翻弄される美しき女「儚」
その美しさとはうらはらに彼女は墓場の死体を集めて創られた人間ではないもの
流転する状況に息を飲み、緊張感が高まったところでゾクッとくる笑いで緩ませて、いきなりストーンと落とす
本当によくできた脚本で、さすがこれまで様々なところで公演され続けてきた演目だと思う
迫力ある演出、ツボを押さえた演技のおかげでこの名作を存分に楽しむ事ができました
ドラマチックに盛り上げてくれる歌声も美しくて切なく、時には苦悩がダイレクトに伝わってきて、これらも大好きなシーン、後まで余韻を残します

ネタバレBOX

主人公の鈴次郎と儚を演じられた役者さんは若いながらも難しい役を好演されており素晴らしかったです

欲を言えば
鈴次郎にはこぼれ出る愛嬌とゾッとするような冷酷さ
儚には処女性と妖艶さ
相反するふたつが同居したような一筋縄ではいかない魅力が加わればもういう事なし
かなり欲張りすぎかもしれないけれど、それだけ魑魅魍魎 奥深い物語でありました

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